判決 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対して平成14年4月16日付けでした原判決別紙徴収金目録記載の固定資産税及び都市計画税の徴収のための譲渡担保権者に対する告知処分を取り消す。 3 被控訴人が控訴人に対して平成14年4月24日付けでしたA株式会社の有する別紙債権目録(1)(2)記載の債権のうちの株式会社Bに対する500万7507円の債権に関する債権差押処分を取り消す。 4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件事案の概要は,次のとおり付加,訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第二事案の概要及び争点」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決2頁2行目の「A」を「A株式会社(以下「A」という。)」と,4行目の「B」を「株式会社B(以下「B」という。)」,同行の「本件各債権」を「別紙債権目録(1)記載の債権」と,6行目の「同様の内容の」を「AがC等の第三債務者に対して有する別紙債権目録(2)記載の債権を控訴人に譲渡する旨の」と,7行目の「という。」を「といい,これらの債権をあわせて以下「本件譲渡担保債権」という。」とそれぞれ改める。 (2) 原判決2頁10行目の「本件地方税」を「原判決別紙徴収金目録記載の固定資産税及び都市計画税(以下「本件地方税」という。)」と改める。 (3) 原判決2頁12行目の「その後,平成14年4月17日,同月16日付けで」を「平成14年4月16日,控訴人に対し,」と,14行目の「本件各債権」を「本件譲渡担保債権」と,15行目 る。 (3) 原判決2頁12行目の「その後,平成14年4月17日,同月16日付けで」を「平成14年4月16日,控訴人に対し,」と,14行目の「本件各債権」を「本件譲渡担保債権」と,15行目の「徴収する旨を文書(甲1)で原告に対して告知した」を「徴収する旨の譲渡担保権者に対する告知書(甲1,以下「本件告知書」という。)を発し,本件告知書は同月17日ころ控訴人に到達した」とそれぞれ改める。 (4) 原判決2頁16行目の次に行を改めて「なお,本件告知書には「納期限」のみが記載され,「法定納期限」は記載されていなかった。」と加える。 (5) 原判決2頁17行目の「平成14年4月25日,同月24日付けで」を「平成14年4月24日」と,18行目から19行目にかけての「本件各債権」を「本件譲渡担保債権」と,22行目の「差し押さえた」を「差し押さえ,その差押調書謄本(甲2)が平成14年4月25日ころ控訴人に到達した」とそれぞれ改める。 (6) 原判決2頁25行目の「本件各債権」を「本件未払債権」と,3頁1行目の「要件がなく」を「要件を満たしておらず」と,同頁2行目の「本件告知処分から」を「本件告知書を発した日から」とそれぞれ改める。 (7) 原判決3頁11行目,14行目及び15行目の「本件各債権」を「本件譲渡担保債権」と,16行目の「移転した」を「移転し,担保の目的たる財産ではなくなった」と,20行目の「本件各債権」を「本件譲渡担保債権」と,22行目の「本件各債権」を「譲渡担保に供された債権」とそれぞれ改める。 (8) 原判決5頁7行目から9行目までを「したがって,徴税吏員が相当の調査をしても,地方団体の徴収金を満足させるだけの滞納者の財産を発見することができないときに当たり,滞納者の「財産につき滞納処分をしても 原判決5頁7行目から9行目までを「したがって,徴税吏員が相当の調査をしても,地方団体の徴収金を満足させるだけの滞納者の財産を発見することができないときに当たり,滞納者の「財産につき滞納処分をしてもなお徴収すべき地方団体の徴収金に不足と認められるとき」という要件を満たしているものである。」と改める。 (9) 原判決5頁16行目から17行目にかけての「滞納市税等」を「滞納した本件地方税」と改める。 (10) 原判決6頁4行目の次に,行を改めて次のとおり加える。 「3 本件告知書に「納期限」のみが記載され,「法定納期限」が記載されていないのは違法か(争点3)。 (控訴人の主張)本件告知書は「法定納期限」という極めて重要事項の記載が欠落しているから違法である。 (被控訴人の主張)法14条の18第2項の告知書の記載事項を定めた地方税法施行令6条の8には,「納期限」を記載すべきものとされており,「法定納期限」を記載すべきとはされていないうえ,そもそも,告知書は,譲渡担保財産に対して不意に差押えをすることを避けるため,譲渡担保権者に対する予告として発するものであるから,後続の滞納処分の対象となる財産と滞納処分の原因を特定するに足る記載があれば十分であるから,本件告知書に「法定納期限」の記載がなくとも,何ら重要な事項の記載が欠落していることにはならない。」(11) 原判決6頁5行目の「3 本件差押処分は本件告知処分から」を「4 本件差押処分は本件告知書を発した日から」と,6行目の「争点3」を「争点4」とそれぞれ改める。 (12) 原判決7頁3行目の「4」を「5」,同行「争点4」を「争点5」とそれぞれ改める。 2 原審は,①本件未払債権が, 発した日から」と,6行目の「争点3」を「争点4」とそれぞれ改める。 (12) 原判決7頁3行目の「4」を「5」,同行「争点4」を「争点5」とそれぞれ改める。 2 原審は,①本件未払債権が,譲渡担保権の実行により,譲渡担保設定者が被担保債権を弁済して譲渡担保財産を受け戻すことができなくなり,譲渡担保財産が譲渡担保権者に確定的に帰属したとはいえないので,本件告知処分の時点において,本件未払債権は法14条の18第1項の譲渡担保財産に当たる,②本件告知処分の時点において,Aは,法14条の18第1項の「その者の財産につき滞納処分をしてもなお徴収すべき地方団体の徴収金に不足すると認められるとき」に該当する,③法13条の2の繰上徴収を行うことができた場合であるから,本件差押処分が本件告知書を発した日から10日を経過する前に行われたものであったとしても違法ではなく,控訴人に繰上徴収を行う旨の告知がなされていない点も本件差押処分の取消事由となるほどに重大なものではないなどとして,控訴人の請求をいずれも棄却した。 これに対し,控訴人が,原審の判断に不服があるとして本件控訴を提起した。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断するが,その理由は,次のとおり付加,訂正するほか,原判決の「事実及び理由」中「第三当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決7頁25行目の「本件各債権」を「別紙債権目録(1)記載の債権」と,末行の「本件譲渡担保契約」を「譲渡担保契約」と,8頁1行目の「本件譲渡担保契約」を「同譲渡担保契約」と,2行目から3行目にかけての「本件譲渡担保契約書記載の」を「同譲渡担保契約の契約書記載の」とそれぞれ改める。 (2) 原判決8頁16行目の「本件譲渡担保 譲渡担保契約」を「同譲渡担保契約」と,2行目から3行目にかけての「本件譲渡担保契約書記載の」を「同譲渡担保契約の契約書記載の」とそれぞれ改める。 (2) 原判決8頁16行目の「本件譲渡担保契約(ただし,平成13年9月19日締結のものに限る。)」を「同譲渡担保契約」と改める。 (3) 原判決9頁4行目の「本件譲渡担保契約」を「同譲渡担保契約」と改める。 (4) 原判決9頁6行目から7行目にかけての「D等を第三債務者とする以外は」を「AがC等の第三債務者に対して有する別紙債権目録(2)記載の債権について」と改める。 (5) 原判決9頁19行目の「同月5日」を「同年12月5日」と改める。 (6) 原判決10頁6行目の「差押通知書」を「その差押調書謄本(甲2)」と改める。 (7) 原判決10頁末行から12頁5行目までを次のように改める。 「2 一般に,譲渡担保権は,弁済や担保権の実行による被担保債権の消滅に伴い消滅すると解されており,法14条の18第6項の規定からすると,同条も通常は被担保債権が消滅した場合に譲渡担保権が消滅し,「譲渡担保財産」が存在しなくなることを前提に規定されているものと解される。そうすると,譲渡担保権者がその意思表示により担保権の実行を開始しても,実行が完了するまで,すなわち譲渡担保財産の適正な評価や換価処分のうえ,清算等を行い消滅する被担保債権の額が確定して消滅するまでは譲渡担保権は消滅せず,譲渡担保権の設定された財産は「譲渡担保財産」として存続するものと解され,この理は譲渡担保財産が債権である場合にも当てはまると考えられる。そして,譲渡担保財産が債権の場合,譲渡担保権者としては担保権の実行として現実に譲渡債権から回収した金額と同額の被担保債権を消滅させるというのが通常の意思であると解され にも当てはまると考えられる。そして,譲渡担保財産が債権の場合,譲渡担保権者としては担保権の実行として現実に譲渡債権から回収した金額と同額の被担保債権を消滅させるというのが通常の意思であると解されることからすると,当事者間でこれと異なる特段の合意をしない限り,譲渡担保権者が第三債務者から現実に譲渡債権を取り立てて被担保債権の弁済に充当するまでは被担保債権は消滅しないから,その時点までは担保権の実行は完了せず,法14条の18にいう「譲渡担保財産」として存続すると解するのが相当である。 3 本件譲渡担保契約においては,前記のとおり,控訴人において第三債務者から支払を受けたときは,控訴人は適当と認められる順序・方法により,Aの控訴人に対する債務の弁済の一部又は全部に充当することができる旨の合意はあるものの,第三債務者から現実に譲渡債権を取り立てて被担保債権の弁済に充当する以前に譲渡債権をその券面額で被担保債権の弁済に充当して被担保債権の消滅させるなどの,通常の意思と異なる特段の合意が存在したとは認められない。そうすると,本件未払債権は,本件告知処分の時点より前に本件譲渡担保契約に基づく譲渡担保権の実行通知がなされていたとしても,控訴人において担保権の実行として取り立てて被担保債権の弁済に充当するまでは被担保債権が消滅しないから(被担保債権の額が譲渡債権の額を上回っている場合であっても同様である。),その時点では担保権の実行は完了せず,「譲渡担保財産」として存続するものと解するのが相当である。 4 したがって,本件未払債権が担保権の実行通知をした時点で「譲渡担保財産」でなくなったとの控訴人の主張は採用できず,本件告知処分の時点において,本件未払債権は,法14条の18第1項所定の「譲渡担保財産」に当たるといえる。」 権の実行通知をした時点で「譲渡担保財産」でなくなったとの控訴人の主張は採用できず,本件告知処分の時点において,本件未払債権は,法14条の18第1項所定の「譲渡担保財産」に当たるといえる。」(8) 原判決13頁9行目の「E市長は,」の次に「本件告知処分の後,」を加える。 (9) 原判決14頁17行目から22行目までを次のように改める。 「 しかしながら,滞納者の「財産につき滞納処分をしてもなお徴収すべき地方団体の徴収金に不足すると認められるときに限り」との法14条の18第1項の要件は,客観的に徴収金に不足が生じていたことまでを必要とするものではなく,徴税吏員が相当の調査をしても,地方団体の徴収金を満足させるだけの滞納者の財産を発見することができないときには,これを満たすものと解すべきであるから,仮に,本件告知処分の時点で,Aに,客観的には,滞納している本件地方税を徴収するのに不足のない財産があったとしても,これによって直ちに本件告知処分が前記要件を満たさなくなるものではない。また,仮に,破産管財人の財産調査によって,Aに,破産宣告がされた平成14年4月26日の時点においてさえ,合計約1839万円の財産があったことが判明したとしても,破産管財人の財産調査は破産者であるAの協力を得ながら行うことができるものであるから,破産管財人の財産調査によって判明したからといって,徴税吏員が相当の調査をすれば明らかになったはずであるとまでいえず,これによって直ちに本件告知処分が前記要件を満たさなくなるものではない。 なお,仮に,徴税吏員の調査に不十分な点があったとしても,当該調査は処分の内容的な適正を図ることのみを目的として求められているものであるから,処分の内容が適正である限り,徴税吏員の調査に不十分な点があったことの 徴税吏員の調査に不十分な点があったとしても,当該調査は処分の内容的な適正を図ることのみを目的として求められているものであるから,処分の内容が適正である限り,徴税吏員の調査に不十分な点があったことのみをもって処分の取消事由にすることはできないと解するのが相当である。」(10) 原判決14頁22行目の次に行を改めて次のとおり加える。 「四争点3について法14条の18第2項の告知書の記載事項を定めた地方税法施行令6条の8には,「納期限」を記載すべきものとされており,「法定納期限」を記載すべきとはされていないうえ,そもそも,告知書は,譲渡担保財産に対して不意に差押えをすることを避けるため,譲渡担保権者に対する予告として発するものであるから,後続の滞納処分の対象となる財産と滞納処分の原因を特定するに足る記載があれば十分であるところ,本件告知書に「法定納期限」の記載がなくとも,何ら重要な事項の記載が欠落していることにはならないから,本件告知書に「納期限」のみが記載され,「法定納期限」が記載されていないことは何ら違法ではない。」(11) 原判決14頁23行目の「四争点3について」を「五争点4について」と改める。 (12) 原判決15頁1行目の「しかしながら,」から3行目から4行目にかけての「定められているところ」までを「しかしながら,法14条の18第3項は,同条2項の告知書を発した日から10日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは,徴税吏員は,譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして,その譲渡担保財産につき滞納処分をすることができる旨を定め,同条4項は,同条3項の滞納処分について法13条の2を準用し,同条1項1号には,納税者又は特別徴収義務者の財産につき滞納処分が開始 なして,その譲渡担保財産につき滞納処分をすることができる旨を定め,同条4項は,同条3項の滞納処分について法13条の2を準用し,同条1項1号には,納税者又は特別徴収義務者の財産につき滞納処分が開始されたときには繰上徴収ができる旨が定められているところ,」と改める。 (13) 15頁21行目の「五争点4について」を「六争点5について」と改める。 2 以上によれば,控訴人の請求はいずれも理由がなく,原判決は結論において相当であるから,本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第5民事部裁判長裁判官太田幸夫裁判官大西忠重 裁判官細島秀勝別紙省略
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