平成13(行ウ)415 公文書非開示決定取消請求

裁判年月日・裁判所
平成14年11月14日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-5759.txt

判決文本文3,602 文字)

平成14年11月14日判決言渡平成13年(行ウ)第415号公文書非開示決定取消請求事件判決原告 A被告松山地方法務局長 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は、訴状に収入印紙を貼付して納付した手数料のうちの4100円分と本件第1回口頭弁論期日以降に原告に生じた費用は被告の負担とし、その余は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が、原告に対し、平成13年9月28日付けでした、行政文書不開示決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、原告が、平成13年8月20日、被告に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、「平成10年から平成12年登記所適正配置(総合計画委員会)」と題する行政文書の開示請求(以下「本件請求」という。)を行ったところ、被告が同年9月28日付けで行政文書不開示決定(以下「本件処分」という。)を行ったため、本件処分は、原告が開示を請求した文書が法所定の不開示事由に該当しないにもかかわらずされた違法なものであるとして、本件処分の取消しを求めるものである(なお、原告は、本件訴状に、水戸地方法務局長を被告として同被告がした公文書不開示決定の取消しを求める訴えをあわせて記載していたが、第1回口頭弁論期日において同訴えを取り下げた。)。 2 前提事実(認定根拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)(1) 原告は、法務大臣に対し、平成13年8月20日付け請求書で法4条1項の規定に基づき、「平成10年から平成12年登記所適正配置(総合計画委員会)」と題する行政文書の開示請求(本件請求)を行った。 (2) 本件請求に係る請求書の送付を受けた法務省大臣官房秘書課情報公開係は、本件請求が松山地方法務局が保有する行政文書に対する請求であること 会)」と題する行政文書の開示請求(本件請求)を行った。 (2) 本件請求に係る請求書の送付を受けた法務省大臣官房秘書課情報公開係は、本件請求が松山地方法務局が保有する行政文書に対する請求であることを原告に確認し、同請求書の宛先を被告と修正した上、同請求書を同法務局に回送し、同請求書は、平成13年8月24日に被告に到達した。 (3) 被告は、原告に問い合わせを行い、本件請求に係る文書を「平成10年から平成12年までの間に開催した登記所適正配置に関する総合計画推進委員会の会議等結果報告書」(以下「本件文書」という。)とした上で、平成13年9月28日、本件文書につき法5条5号及び6号に該当し、法6条1項本文に規定する場合に当たらないとの理由で、不開示とする旨の決定(本件処分)を行った。 (4) そこで、原告は、平成13年12月25日、本件処分の取消しを求めて訴えを提起した。 (5) 法務大臣は、訴外Bが同大臣に対して行った「新適正配置計画『新3か年計画』について(通知)」、「新登記所適正配置計画『第2新3カ年計画』について(通知)」と題する文書の開示請求、並びに訴外Cが同大臣に対して行った「登記所適正配置計画にかかる新たな3か年計画の策定について(依頼)」、「登記所適正配置計画にかかる新たな3か年計画の策定について(報告)」、「新登記所適正配置計画『第2新3か年計画』について(通知)」の開示請求に対して同大臣がした各不開示決定について、各請求人が行った異議申立ての手続において、情報公開審査会が、前記各文書は、法5条5号及び6号の不開示情報に該当しないとの情報公開審査会の答申を行ったため、各訴外人に対し、平成14年4月30日付けで、同答申の趣旨に則り前記の各文書を開示する旨の異議決定をした。 (6) 被告は、前記(5)記載の各決定を踏まえ、本件 の情報公開審査会の答申を行ったため、各訴外人に対し、平成14年4月30日付けで、同答申の趣旨に則り前記の各文書を開示する旨の異議決定をした。 (6) 被告は、前記(5)記載の各決定を踏まえ、本件処分を見直した結果、本件文書に記録された情報のうち、個人に関する情報であって、氏名等により特定の個人を識別することができるものについては法5条1号に該当するため不開示とすべきであるものの、その余の部分についてはこれを開示するのが相当であると判断し、平成14年7月11日付けで本件処分を職権で全部取り消した上、改めて原告の開示請求に対して、本件文書のうち個人識別情報が記録されている部分を不開示とし、その余の部分を開示する旨の決定をし、同月13日、決定通知書が原告に配達された。 第3 当裁判所の判断 1 行政事件訴訟法9条によれば、処分の取消しの訴えは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができるとされ、同条の括弧書きの趣旨からすると、「処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後において」は「なお処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者」に限り、当該処分又は裁決の取消しの訴えを提起することができるものと解すべきである。これによれば、処分の効果が消滅した場合には、原則として当該処分の取消しを求める訴えの利益は消滅し、過去に当該処分を受けたことが将来別の処分をする場合の加重要件とされていたり、不利益な事由として考慮し得ることを定める法令上の根拠があるなど、処分の効果がなくなった後においても、処分の取消しにより回復すべき法律上の利益が存する場合に限り、当該処分の取消しを求める訴えの利益が存するといえる。 これを本件についてみると、本件処分は、平成13年9月28日にされたものの、 も、処分の取消しにより回復すべき法律上の利益が存する場合に限り、当該処分の取消しを求める訴えの利益が存するといえる。 これを本件についてみると、本件処分は、平成13年9月28日にされたものの、平成14年7月11日、被告が職権でこれを取り消したことによりその効力が消滅するに至ったものであって、本件処分の効力が消滅した後において、本件処分がされたことを理由として、将来別の処分をする場合の加重要件としたり、不利益な事由として考慮するなど、本件処分を受けたことにより不利益な取扱いを受けるおそれがある法令や制度等が存在するとは認められない。 したがって、原告には、本件処分の取消しを求める利益は存せず、本件訴えに係る訴えの利益は存しないというべきである。 2 以上によると、原告の本件訴えは不適法であるので却下すべきであるが、前記第2、2(5)、(6)の経緯にかんがみると、被告は当初示した不開示決定を職権で全部取り消した上、新たな一部開示決定を行っており、しかも、それと同旨の判断は本件第1回口頭弁論期日の1ヶ月以上前に被告の上級行政庁によって示されているのであるから、被告も当然にこれに従わざるを得ない立場にあったと認められるのであり、被告がこれらの事情を第1回口頭弁論期日前に原告に説明したならば、原告において同期日終了前に本件訴えを取り下げることにより、訴え提起手数料の2分の1の還付を受けるとともに第1回口頭弁論期日以降の訴訟活動が不要となったところ、被告が第1回口頭弁論期日においてもこのような説明をしなかったばかりか、不開示事由該当性に関する原告の主張を争う旨記載した答弁書を陳述し、その後、原告から平成14年6月10日付けの求釈明書によってこれに関連する釈明を受け、同年9月3日に当裁判所に提出した準備書面によって、ようやく上記経緯を主張するに 張を争う旨記載した答弁書を陳述し、その後、原告から平成14年6月10日付けの求釈明書によってこれに関連する釈明を受け、同年9月3日に当裁判所に提出した準備書面によって、ようやく上記経緯を主張するに至ったことは、本件記録上明らかである。 このような訴訟進行の経緯にかんがみると、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法62条及び63条の趣旨に則り、本件訴え提起手数料のうち原告が第1回口頭弁論期日の終了前に本件訴えを取り下げたならば還付を受けられたであろう部分と同期日以降に原告に生じた費用については被告の負担とし、その余の訴訟費用は各自の負担とするのが相当である(本件訴状に収入印紙を貼用して納付された手数料のうち8200円については、本来別個の訴えとして提起すべき水戸地方法務局長を被告とする事件の訴え提起手数料として納付されたものであるから、本判決によってその負担関係を定めることはできない。)。 第4 結論よって、原告の訴えを却下することとし、上記のとおり訴訟費用の負担を定め、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官鶴岡稔彦裁判官廣澤諭

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る