令和6(わ)265 危険運転致傷、道路交通法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
令和6年7月12日 福岡地方裁判所
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判決文本文2,178 文字)

令和6年7月12日宣告令和6年(わ)第265号、第374号判決 主文 被告人を懲役2年6月に処する。 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)第1 被告人は、福岡県公安委員会から運転免許証の交付を受けていたものであるが、令和5年7月24日、福岡市南区花畑四丁目7番1号福岡自動車運転免許試験場において、同免許証の有効期間の更新を受けようとするに当たり、真実は、過去5年以内に持病であるてんかんの発作により意識を失ったことがあったのにこれを秘し、免許の更新申請の際に交付を受けた質問票の項目1「過去5年以内において、病気(病気の治療に伴う症状を含みます。)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。」の質問について、「いいえ」の欄に該当する旨印をつけて偽りの事実を記載した上、同質問票を同試験場職員に提出し、もって免許証の更新の質問票に虚偽の記載をして同公安委員会に提出した。 第2 被告人は、令和5年11月21日午前8時7分頃、普通乗用自動車を運転し、福岡県糟屋郡a 町bc 丁目d 番e 号のガソリンスタンドから発進して進行するに当たり、てんかんの影響により、その走行中に意識障害に陥るおそれがある状態で、同車を運転し、もって自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある病気の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、同日午前8時14分頃、同町af 丁目g 番g 号付近道路を大字a 方面からah 方面に向かい時速約5kmで進行中、てんかんの発作により意識障害の状態に陥り、その頃、同所において、自車を時速約35kmに加速させながら右斜め前 方に暴走させ、折から同町ai 丁目j ah 方面に向かい時速約5kmで進行中、てんかんの発作により意識障害の状態に陥り、その頃、同所において、自車を時速約35kmに加速させながら右斜め前 方に暴走させ、折から同町ai 丁目j 番k 号付近路側帯等をah 方面から大字a 方面に向かい歩行中のA(当時28歳)ら別表記載(別表省略)の9名に自車を順次衝突させて路上に転倒させるなどし、よって、同人ら9名に同表記載の各傷害をそれぞれ負わせた。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は、急に発作が起こって意識を失い、病院に救急搬送されることを繰り返したことにより、令和4年3月、医師からてんかんの診断を受け、2年間車の運転禁止を指示されたにもかかわらず、車の運転をやめず、令和5年7月には、運転免許の更新手続に臨むに当たり、車の運転を継続したいという身勝手な理由から、判示第1の虚偽報告の犯行に及んだ。さらに、その約2か月後に運転中に意識を失って物損事故を起こし、自車を廃車にしたにもかかわらず、新車を購入して運転を続ける中、判示第2の危険運転致傷の犯行に及んだ。このように、被告人は、判示第2の犯行に及ぶまでの間に、運転中にてんかん発作により重大な人身事故を引き起こす危険が大きいことを認識し、運転をやめる機会が何度もあったのに、その危険を軽視し、自分の都合を優先して運転を続けた結果、同犯行に至っているのであって、そのいきさつに酌むべき事情はなく、判示第2の犯行態様は、人の生命、身体に対する危険性が非常に高い悪質なものである。 そして、被告人は、判示第2の当日、車の運転中にてんかんの発作を起こして意識を失い、自車を時速約35kmに加速させながら右斜め前方に暴走させ、路肩付近に居合わせた多数の歩行者に自車を次々と衝突させ、登校中の高校生8名を含む 2の当日、車の運転中にてんかんの発作を起こして意識を失い、自車を時速約35kmに加速させながら右斜め前方に暴走させ、路肩付近に居合わせた多数の歩行者に自車を次々と衝突させ、登校中の高校生8名を含む合計9名に重軽傷を負わせた。被害者のうち4名は、加療又は全治約2か月から3か月という重傷を負っており、更にそのうち1名は、脳の一部に損傷を受けた上、 後遺症としてあごに神経知覚異常や前歯の完全脱臼による審美障害等が残っている。 被害者らの身体的苦痛の大きさはもちろん、突然の事故に遭遇し、事故後も学校や日常生活に様々な支障が生じたという精神的苦痛も大きく、本件により生じた結果は重大である。被害者やその家族らのほとんどが被告人に対し厳罰を求めているのももっともである。 以上に加え、判示第1の犯行が適正な運転免許行政を阻害する程度が大きいことも併せると、被告人の刑事責任は重いというべきであり、被告人に前科がなく、加入していた任意保険によって、一部の被害者との間で示談が成立しており、その余の被害者との間でも相応の金銭賠償がなされることが見込まれていることや、被告人が事実を認めて被害者らに謝罪の言葉を述べていること等を考慮しても、本件は刑の執行を猶予するのが相当な事案ということはできず、被告人に対しては主文の実刑をもって臨むのが相当と判断した。 (検察官の求刑・懲役5年、弁護人の科刑意見・懲役3年、保護観察付き執行猶予5年)令和6年7月12日福岡地方裁判所第1刑事部 裁判長裁判官今泉裕登裁判官志田健太郎裁判官星野徹 官星野徹

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