平成25(行コ)11 α環境影響評価手続やり直し義務確認等請求,損害賠償請求控訴事件(原審・那覇地方裁判所平成21年(行ウ)第10号,同年(ワ)第1467号)

裁判年月日・裁判所
平成26年5月27日 福岡高等裁判所 那覇支部 その他
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判決文本文11,047 文字)

平成26年5月27日判決言渡平成25年(行コ)第11号 α環境影響評価手続やり直し義務確認等請求,損害賠償請求控訴事件 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2(1) 主位的請求別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らと被控訴人との間で,沖縄防衛局長が,「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」(平成19年8月14日公告縦覧。以下同じ。)の作成をやり直す義務を負うことを確認する。 (2) 予備的請求別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らと被控訴人との間で,沖縄防衛局長が作成した「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」は違法であることを確認する。 3(1) 主位的請求別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らと被控訴人との間で,沖縄防衛局長が,「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書」(平成21年4月2日公告縦覧。以下同じ。)の作成をやり直す義務を負うことを確認する。 (2) 予備的請求別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らと被控訴人との間で,沖縄防衛局長が作成した「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書」は違法であることを確認する。 4 別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らと被控訴人との間で,沖縄防衛局長が,平 成18年5月1日,日米安全保障協議委員会において日米両政府により合意された「再編実施のための日米のロードマップ」に基づき行われるa飛行場代替施設建設事業につき,別紙修正事項目録記載の各事項について,環境影響評価法5条から27条までの規定及び沖縄県環境影響評価条例5条から24条までの規定による環境影響評価その他の手続をやり直す義務を負うこ 設建設事業につき,別紙修正事項目録記載の各事項について,環境影響評価法5条から27条までの規定及び沖縄県環境影響評価条例5条から24条までの規定による環境影響評価その他の手続をやり直す義務を負うことを確認する。 5(1) 被控訴人は,別紙控訴人目録(1)及び(2)記載の控訴人らに対し,それぞれ1万円及びこれに対する平成21年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人は,別紙控訴人目録(4)記載の控訴人らに対し,それぞれ1万円及びこれに対する平成21年10月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要(略称は原判決のものを用いる。) 1 日本国政府は,平成11年12月に閣議決定された「a飛行場の移設に係る政府方針」に基づき,a飛行場代替施設建設事業(本件事業)として,沖縄県名護市α崎沖を埋め立てて埋立地上に飛行場及びその施設を建設すること(いわゆるα沖合案)を決定した。本件事業は,沖縄県名護市α沿岸域(本件事業予定地)の公有水面約160ヘクタールを埋め立て,埋立地上に飛行場及びその施設の設置をすることを内容とするものである。 本件事業のうち,公有水面の埋立ては環境影響評価法(法)2条2項1号トの要件に該当する「第一種事業」及び沖縄県環境影響評価条例(条例)2条2項,別表6項の要件に該当する「対象事業」として,飛行場等の設置は条例2条2項,別表5項の要件に該当する「対象事業」として,それぞれ法又は条例の定める環境影響評価手続を経ることを要し,沖縄防衛局長(旧・那覇防衛施設局長。防衛局長)は,事業者として,これらの事業の環境影響評価手続を進め,評価書の公告縦覧等をしなければ,本件事業を行うことができないものとされている。 日米安全保障協議委員会は,平成18年5月 防衛局長)は,事業者として,これらの事業の環境影響評価手続を進め,評価書の公告縦覧等をしなければ,本件事業を行うことができないものとされている。 日米安全保障協議委員会は,平成18年5月1日,在日米軍及び関連する自衛隊の「再編実施のための日米のロードマップ」を承認し,沖縄における再編については,a飛行場代替施設などが定められ,a飛行場代替施設については,α岬(α崎)とこれに隣接するβ湾とα湾の水域を結ぶ形で設置し,V字型に配置される2本の滑走路は,それぞれ1600メートルの長さを有し,2つの100メートルのオーバーランを有することなどとされている。 防衛局長は,法又は条例に基づき,平成19年8月7日付けで,沖縄県知事,名護市長及びγ村長に対し,本件事業に係る環境影響評価を行う方法を記載した「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書」(本件方法書)をそれぞれ送付し,同月14日,その公告をするとともに,縦覧を開始した。 防衛局長は,平成20年3月15日から平成21年3月4日にかけて,本件方法書を前提として,本件事業に係る環境影響評価のための調査を実施した。 防衛局長は,法又は条例に基づき,平成21年4月1日,沖縄県知事,名護市長及びγ村長に対し,本件事業に係る環境影響評価の結果等について記載した「a飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書」(本件準備書)をそれぞれ送付し,同月2日,その公告をするとともに,縦覧を開始した。 本件は,(1)控訴人らのうち,別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らが,防衛局長のした本件事業に係る法又は条例に基づく環境影響評価及びその関連手続(環境影響評価手続等)に不備等があると主張して,本件事業の主体である防衛局長が所属する被控訴人に対し,公法上の確認の訴えとして,主位的に,(ア)防衛局長 は条例に基づく環境影響評価及びその関連手続(環境影響評価手続等)に不備等があると主張して,本件事業の主体である防衛局長が所属する被控訴人に対し,公法上の確認の訴えとして,主位的に,(ア)防衛局長が,環境影響評価方法書(方法書)及び環境影響評価準備書(準備書)を作成し直す義務を負うことの確認,(イ)別紙修正事項目録記載の事項を踏まえて環境影響評価手続等を改めて実施する義務を負うことの確認をそれぞれ求め,上記(ア)について予備的に,作成済みの本件方法書及び本件準備書が違法であることの確認を求めるとともに(本件各確認の訴え),(2)控訴人らが,環境影響評価手続等における不備等によって,控訴人らの法又は条例によって保 障されている「意見陳述権」が侵害され,それにより精神的苦痛を被ったと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項又は民法709条,715条1項に基づく損害賠償として,慰謝料各1万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた(本件損害賠償請求)事案である。 原審は,別紙控訴人目録(1)記載の控訴人らの本件各確認の訴えをいずれも却下し,控訴人ら全ての本件損害賠償請求をいずれも棄却したので,控訴人らが控訴した。 なお,原審においては,控訴人以外にも原告ら(原判決別紙原告目録(1)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(1)に掲載のない者,原判決別紙原告目録(2)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(2)に掲載のない者,原判決別紙原告目録(3)記載の原告,原判決別紙原告目録(4)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(4)に掲載のない者)が存在し,原判決別紙原告目録(1)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(1)に掲載のない者及び原判決別紙原告目録(3)記載の原告は,被控訴人に対し,本件各確認の訴え及び本件損害賠償請求の双方を提起し,原判決別紙原 決別紙原告目録(1)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(1)に掲載のない者及び原判決別紙原告目録(3)記載の原告は,被控訴人に対し,本件各確認の訴え及び本件損害賠償請求の双方を提起し,原判決別紙原告目録(2)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(2)に掲載のない者及び原判決別紙原告目録(4)記載の原告らのうち別紙控訴人目録(4)に掲載のない者は,被控訴人に対し,本件損害賠償請求のみを提起していたが,原審は控訴人らに対するのと同様の判決をし,敗訴者である上記の者らによる控訴がなかったことから,上記判決は確定した。 2 環境影響評価手続の概要,前提事実,争点及び当事者の主張は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」第2の2ないし5の控訴人らと被控訴人に関する部分のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決6頁2行目から3行目にかけての「法26条」を「法27条」に改める。)。 (当審における控訴人らの主張)(1) 本件各確認の訴えについて環境基本法は,「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与 すること」をも目的とし(同法1条),事業者は「公害を防止」する義務を負い(同法8条1項),国は「公害を防止するために必要な規制の措置」を講ずる義務を負い(同法21条1項),環境影響評価を推進する措置を採るとしている(同法20条)ことから,環境基本法は個別の生活利益の保護をも目的とすることは明らかであり,同法20条に基づいて制定された環境影響評価法(法)も,上記のような環境基本法の解釈を前提としなければならない。そして,法は「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資すること」を目的とし,対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域(関係地域)内の住民については,同地域で方法書,準備書及び環境影 は「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資すること」を目的とし,対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる地域(関係地域)内の住民については,同地域で方法書,準備書及び環境影響評価書(評価書)の縦覧を受け,方法書及び準備書については説明会を受けるという形で手続的に強化され,事業者は,方法書及び準備書に対する意見に配意して,環境影響評価の項目等の選定を行い,あるいは準備書の記載事項に検討を加えなければならず,意見の概要とこれに対する事業者の見解を準備書及び評価書に記載しなければならないとされているから,事業者は,住民らの意見に配意し,応答する義務を負っている。また,条例においても同様の定めがされている。環境影響評価手続において,環境の保全について適正な配慮がされているか否かは,直接にその後の許認可及び事業内容を規定するのであり,住民らの生活環境の保護を左右することになる。 したがって,法及び条例は,少なくとも関係地域等に居住する住民らの個別的な生活利益を環境影響評価手続を介して保護しているから,関係地域等に居住する住民らにとってはこれは自己の生活利益を守る制度である。そうすると,環境評価手続において方法書及び準備書に対して意見を述べることは,単に事業者の情報収集手段を定めたというものではなく,「原理的権利」として広く承認された環境権の「手続的権利」として全ての住民に保障されるべきものであるが,とりわけ関係地域等に居住する住民らにとっては「権利防衛的参加機能」を有するものであり,個人の「手続的権利」として「意見 陳述権」を保障したものというべきである。 特に,控訴人番号(2)80,(2)273,(1)14,(1)17,(1)20の各控訴人は,本件事業の実施により飛行場が完成してMV-22(オスプレイ)などの米 」を保障したものというべきである。 特に,控訴人番号(2)80,(2)273,(1)14,(1)17,(1)20の各控訴人は,本件事業の実施により飛行場が完成してMV-22(オスプレイ)などの米軍の飛行機が飛行することで,騒音や低周波音によって生活利益の侵害を受けるおそれがある。本件事業により飛行場が完成して供用が開始されると,損害賠償請求は認められても差止請求は棄却ないし却下されるから,事後的に抗告訴訟や民事訴訟等によって住民が適切に自己の利益を守ることができる場面は存在しない。 以上によれば,本件各確認の訴えには確認の利益が認められる。 (2) 本件損害賠償請求について上記(1)のとおり,法及び条例は,環境影響調査手続において,方法書及び準備書に対して住民らの「意見陳述権」を保障している。 しかし,被控訴人は,平成19年5月18日から本件事業予定地における法に基づく環境影響評価に先立つ環境現況調査(事前調査)を実施し,ジュゴンを追いやるなどαの環境を改変した。控訴人らは,その後作成された本件方法書や本件準備書に対してしか意見を陳述することができず,控訴人らの「意見陳述権」が侵害され,また,本件方法書は,事業計画に関する記載がわずか7頁にも満たないものであり,控訴人らは意見陳述の前提となる十分な情報を得られずに実質的に意見陳述の機会を奪われ,その後,被控訴人から次々と後出しされた事項に対しては環境影響評価手続において意見陳述の機会を奪われた。 控訴人らは,被控訴人の行為により環境影響評価手続における「意見陳述権」を侵害され,精神的苦痛を被ったところ,その精神的苦痛に対する慰謝料は,控訴人らそれぞれにつき1万円を下らない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件各確認の訴えは不適法であるからいずれも却下し,本件損 苦痛を被ったところ,その精神的苦痛に対する慰謝料は,控訴人らそれぞれにつき1万円を下らない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件各確認の訴えは不適法であるからいずれも却下し,本件損 害賠償請求は理由がないからいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」第3の2及び3の控訴人らと被控訴人に関する部分のとおりであるから,これを引用する。 (当審における控訴人らの主張に対する判断)(1) 本件各確認の訴えについて控訴人らは,環境基本法は,個別の生活利益の保護をも目的とすることは明らかであり,同法20条に基づいて制定された環境影響評価法(法)も,環境基本法の解釈を前提とすべきである上,法は「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資すること」を目的とし,関係地域内の住民については,同地域で方法書,準備書及び評価書の縦覧を受け,方法書及び準備書については説明会を受けるという形で手続的に強化され,事業者は,方法書及び準備書に対する意見に配意して,環境影響評価の項目等の選定を行い,あるいは準備書の記載事項に検討を加えなければならず,意見の概要とこれに対する事業者の見解を準備書及び評価書に記載しなければならないとされているから,事業者は,住民らの意見に配意し,応答する義務を負っているものであって,このことは条例においても同様であるから,法及び条例は少なくとも関係地域等に居住する住民らの個別的な生活利益を環境影響評価手続を介して保護するものであり,関係地域等に居住する住民らが方法書及び準備書に対して意見を述べることは,単に事業者の情報収集手段を定めたものではなく,「権利防衛的参加機能」を有し,個人の「手続的権利」として「意見陳述権」を保障したものである旨主張する。 が方法書及び準備書に対して意見を述べることは,単に事業者の情報収集手段を定めたものではなく,「権利防衛的参加機能」を有し,個人の「手続的権利」として「意見陳述権」を保障したものである旨主張する。 しかし,環境基本法は,「環境の保全について,基本理念を定め,並びに国,地方公共団体,事業者及び国民の責務を明らかにするとともに,環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とす る」(同法1条)ものであり,また,環境の保全に関し,現在及び将来の世代の人間の環境の恵沢の享受と継承等,環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等及び国際的協調による地球環境保全の積極的推進という基本理念を掲げ(同法3条ないし5条),上記基本理念にのっとり,国は環境保全に関する基本的な政策を策定し,及び実施する責務を有し,地方公共団体は,環境の保全に関し,国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し,及び実施する責務を有するにとどまらず,事業者の責務についても規定するほか,国民についても,環境の保全上の支障を防止するため,その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努め,また,環境の保全に自ら努めるとともに,国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有するものとされており(同法6条ないし9条),これらを受けて,環境の保全に関する基本的政策(同法第2章)及び環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等(同法第3章)を定めるものである。そうすると,環境基本法は,基本理念に加えて,国,地方公共団体及び国民の責務のほか事業者の責務 的政策(同法第2章)及び環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関等(同法第3章)を定めるものである。そうすると,環境基本法は,基本理念に加えて,国,地方公共団体及び国民の責務のほか事業者の責務,環境保全に関する基本的な事項を規定することによって,環境保全に関する国の政策の基本的な方向性を示すことを内容とするものであることが明らかである上,その究極的な目的として,現在の国民にとどまらず,「将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する」とか,「人類の福祉に貢献すること」とされており,国民の責務も掲げられていることに鑑みると,国のみならず社会全体が一丸となって環境の保全に協力し,現在のみならず将来の人類のために環境を保全し,環境負荷の少ない持続的に発展することのできる社会を構築しようとするものであるといえる。これに加えて,環境基本法には,いわゆる「環境権」に関する規定は全く存在せず,住民の参加については,環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに事業者,国民又はこれらの者の組織する民間団体が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資する ためという範囲内で,環境の状況その他の環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとされているのみであること(同法27条)も併せ考慮すると,環境基本法が個人の個別的な生活利益の保護そのものを目的としているとまで解することは困難である。したがって,環境基本法20条(環境影響評価の推進)に基づいて法が制定され,条例もこれと同様のものであるからといって,環境基本法が「個別の生活利益の保護」をしており法や条例についてもそれに沿って解釈すべきであるとの控訴人らの主張は,前提を欠くものといわざるを得ない。 次に,環境影響評価法(法)は,「土地の形状の変更,工作物の新設等の事業を行う事 をしており法や条例についてもそれに沿って解釈すべきであるとの控訴人らの主張は,前提を欠くものといわざるを得ない。 次に,環境影響評価法(法)は,「土地の形状の変更,工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ,環境影響評価について国等の責務を明らかにするとともに,規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め,その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により,その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し,もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする」ものであって(法1条),条例も同様の目的を定めている(条例1条)。環境影響評価手続の概要は,原判決の「事実及び理由」第2の2のとおりであって,法及び条例は,環境影響調査の実施前に,環境影響評価の項目や手法などを記載した方法書を関係地域内において縦覧に供するなどし,方法書について環境の保全の見地からの意見を有する者は,所定の期間内に,事業者に対して意見書を提出して,これを述べることができるものとし,環境影響評価の結果等を記載した準備書についても,同様に縦覧に供し,また,意見陳述の機会を設けているものの,この手続は,環境影響評価に当たって調査, 予測,評価の基礎となる環境情報については,事業者が自らの責任と負担で収集することが基本であるところ,地方公共団体や一般の人々の間にも広く分散して保有されていることから,地域の自然環境の状況や,住民の環境との 基礎となる環境情報については,事業者が自らの責任と負担で収集することが基本であるところ,地方公共団体や一般の人々の間にも広く分散して保有されていることから,地域の自然環境の状況や,住民の環境との触れ合いの状況,住民が懸念をもっている環境汚染の要素などについて地方公共団体や一般の人々に広く提供を求めることにより,事業者が単独で収集するのと比較して的確かつ効率的に収集することができるようにする見地から設けられたものであって,これと別異の解釈を取らなければならないような事情を見いだすことはできない。加えて,方法書や準備書について意見を述べる主体は,「環境の保全の見地からの意見を有する者」とされており,その居住地等を含めて何らの限定がされていない上,法及び条例においては,提出された意見については,それが関係地域内の住民によって提出されたものであるか否かを問わず,事業者が「配意」すれば足りるものとされており,個々の意見を環境影響評価手続に反映させたり,個々の意見に対して事業者が応答する義務を負うものとされているわけではないこと(なお,「配意」と「応答」を同一の意味であると解するのは文言上無理がある。),意見陳述の機会を設けられているからといって,意見を述べる側に「意見陳述権」があると解釈をしなければならない必然性があるとはいえないことにも照らすと,法及び条例は,環境評価手続において方法書及び準備書に対して個々人に「意見陳述権」を保障したものと解することはできないというべきであって,このことは,対象事業に係る環境影響を受ける範囲であると認められる関係地域内の住民について,同地域で方法書,準備書及び評価書の縦覧を受け,方法書及び準備書について説明会を受けるものとされていることをもって左右されるものということもできない。したがって,控訴人らに本件 地域内の住民について,同地域で方法書,準備書及び評価書の縦覧を受け,方法書及び準備書について説明会を受けるものとされていることをもって左右されるものということもできない。したがって,控訴人らに本件事業に係る環境影響評価手続において作成された本件方法書及び本件準備書に対する「意見陳述権」があるものと認めることはできない。 控訴人らの上記主張は採用できない。 また,控訴人らは,控訴人番号(2)80,(2)273,(1)14,(1)17,(1)20の各控訴人は,本件事業の実施により飛行場が完成してMV-22(オスプレイ)などの米軍の飛行機が飛行することによる騒音や低周波音によって生活利益の侵害を受けるおそれがあるが,本件事業により飛行場が完成して供用が開始されると,損害賠償請求は認められても差止請求は棄却ないし却下されるから,事後的に抗告訴訟や民事訴訟等によって住民が適切に自己の利益を守ることができる場面は存在しないので,本件各確認の訴えについては,確認の利益がある旨主張する。 しかし,上記説示のとおり,控訴人らには本件事業に係る環境影響評価手続において作成された方法書及び準備書に対して「意見陳述権」があるものと認めることはできない。また,控訴人番号(2)80,(2)273,(1)14,(1)17,(1)20の各控訴人について,本件事業により完成した飛行場にMV-22(オスプレイ)などの米軍の飛行機が飛行することによる騒音や低周波音が発生するおそれがあるといった個別的な事情が存在するものと仮定しても,本件各確認の訴え以外に損害を避けるために他に適当な方法がないなどと考えなくてはならない根拠を見いだすこともできない。控訴人らの上記主張は前提を欠くものであって採用できない。 そして,本件各確認の訴えについて,控訴人らに確認の利益 ために他に適当な方法がないなどと考えなくてはならない根拠を見いだすこともできない。控訴人らの上記主張は前提を欠くものであって採用できない。 そして,本件各確認の訴えについて,控訴人らに確認の利益が認められないことは原判決が説示するとおりであり,控訴人らがそのほか縷々主張するところも上記判断を左右するものとはいえない。 (2) 本件損害賠償請求について控訴人らは,環境影響調査手続において,方法書及び準備書に対して住民らの「意見陳述権」が保障されているにもかかわらず,被控訴人が不適切な事前調査を実施して作成した本件方法書や本件準備書に対してしか意見を陳述することができず,また,本件方法書は,事業計画に関する記載がわずか7頁にも満たないものであり,控訴人らは意見陳述の前提となる十分な情報 を得られずに実質的に意見陳述の機会を奪われ,その後,被控訴人から次々と後出しされた事項に対しては環境影響評価手続において意見陳述の機会を奪われたことから,控訴人らの「意見陳述権」を侵害された旨主張する。 しかし,上記説示のとおり,控訴人らには本件方法書及び本件準備書に対して「意見陳述権」があると認めることはできないから,控訴人らの上記主張は前提を欠くものであって採用できない。 そして,本件損害賠償請求が認められないことは原判決が説示するとおりであり,控訴人らがそのほか縷々主張するところも上記判断を左右するものとはいえない。 2 よって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所那覇支部民事部 裁判長裁判官今泉秀和 裁判官岡田紀彦 裁判官並河浩二 別 裁判長裁判官今泉秀和 裁判官岡田紀彦 裁判官並河浩二 別紙修正事項目録 ① 約1700万立方メートルの埋立土砂を沖縄県内外から調達すること② 米軍がジェット機(C-35)を配置すること③ 米軍航空機が集落上空を飛行することもあり得ること④ 920メートルと430メートルの進入灯を設置すること⑤ 洗機場を3か所設置すること⑥ ヘリパッドを4か所設置すること⑦ 係船機能付きの護岸を設置すること⑧ 汚水処理浄化槽を設置すること⑨ MV-22オスプレイを配備すること⑩ 滑走路長と,滑走路と同程度の荷重支持能力を有するオーバーランの合計の長さを1800メートルとすること以上

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