【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人高橋進の上告理由一について 原審が適法に確定したところによれば、(
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人高橋進の上告理由一について原審が適法に確定したところによれば、(1) 上告人は、昭和四八年末ころ、ガス配管工事、プロパンガス、ガソリンなどの販売等を業とするD株式会社(以下「訴外会社」という)の経営者で代表取締役であるEから、上告人の氏名を使用して「F機器 A」の名称で商売をしたいので氏名の使用を認めてほしい旨依頼され、これを許諾した、(2) Eはその後右名称を使用して新規の店舗を開店することはしなかつたが、昭和四九年一月九日株式会社G銀行H支店との間に「F機器 A」の名義で当座勘定契約を結んで右名義の預金口座を開設し、その口座を利用して、上告人に了解を得ることなく、Eの経営する訴外会社の営業に関連して上告人名義で約束手形を振出していた、(3) 上告人は、右当座勘定による取引の事実を知りながら、当座預金残高が不足になつた際、Eの指示を受けて同人から現金を受領し自ら同支店に行つて入金手続をしたりして、これを黙認していた、(4) 被上告人代表者Iは、昭和五一年ころ初めてEから同人の裏書にかかる「F機器 A」振出名義の約束手形の割引を依頼された際、支払場所である前記G銀行H支店に振出人の信用状態を照会したところ、「振出人Aは昭和四九年から同支店と取引があり、二〇〇万円位の手形はいつも決済されている。」との回答を得たので、安心して以後三回にわたつて手形の割引に応じたが、これらの手形はいずれも決済された、(5) 本件手形は、Eが自己の経営する訴外会社の営業に関連して前記当座預金口座を利用し支払場所をG銀行H支店とし、振出人欄にEにおいて用意した「F機器A」のゴム印と「A」の印鑑を押捺し、受取人をEとして振出し、E 、Eが自己の経営する訴外会社の営業に関連して前記当座預金口座を利用し支払場所をG銀行H支店とし、振出人欄にEにおいて用意した「F機器A」のゴム印と「A」の印鑑を押捺し、受取人をEとして振出し、Eから被上告- 1 -人に白地式裏書によつて譲渡したもので、被上告人は、前三回の割引の際と同様に、「F機器 A」が振出した手形と信じ、Eの割引依頼に応じてこれを割引いて取得したものである、というのである。 右事実関係のもとでは、Eに「F機器」を冠した自己の名称を使用して営業を営むことを許諾した上告人が、右の名称使用を許諾した営業の範囲内と認められるガス配管工事やプロパンガスその他の燃料の販売を業務内容とする訴外会社の営業のために上告人名義で振り出された本件手形につき、Eが右の名称を使用して営業を営むことがなかつたにも拘らず、これまでにその名称でG銀行H支店との間で開設した当座勘定取引口座を利用した前記振出名義の約束手形が無事決済されてきた状況を確かめたうえでその裏書譲渡を受けた被上告人に対し、商法二三条の規定の類推適用により、手形金の支払義務があるものとした原審の判断は、正当として是認することができる。所論引用の判例(最高裁昭和三九年(オ)第八一五号同四二年六月六日第三小法廷判決・裁判集八七号九四一頁)は、本件と事案を異にし適切でない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同二について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決す つきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官横井大三裁判官環昌一- 2 -裁判官伊藤正己裁判官寺田治郎- 3 -
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