主文 本件上告は、平成四年八月二四日取下げにより終了したものである。 理由 被告人に対する頭書被告事件について、平成四年七月二九日東京高等裁判所がした判決に対し、同日原審弁護人が、同年八月一一日被告人が、それぞれ上告を申し立て、次いで被告人が同月二四日上告を取り下げたところ、原審弁護人は、同月三一日付けの書面をもって、右上告取下げは被告人が訴訟能力を欠いた状態でしたものであるから無効である旨申し立て、さらに、被告人は、同年九月七日付けの書面をもって、刑の執行が予想していたよりもつらいので、右上告取下げを撤回して審議の続行を求める旨申し立てた。 記録及び当審における事実取調べの結果によれば、被告人は、第一審の審理中に精神分裂病が発症したものの、その後病状が不完全寛解の程度にまで回復し、被告人が上告を取り下げた同年八月二四日当時も、病状は同程度であって、上告取下げの意義を理解した上で上告を取り下げたものと認められる。したがって、被告人の上告取下げは有効であり、本件上告は右取下げによって既に終了したものというべきであるから、もはや右取下げの撤回も認められない。 以上の次第で、本件上告は右取下げにより終了したものであるが、前記申立ての経緯にかんがみその趣旨を明らかにすることとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 平成五年九月一〇日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官小野幹雄裁判官大堀誠一裁判官味村治- 1 -裁判官三好達裁判官大白 裁判官味村治- 1 -裁判官三好達裁判官大白勝- 2 -
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