平成25(行コ)33 各所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第8号(第1事件),同第9号(第2事件),同第10号(第3事件),同第11号(第4事件),同第12号(第5事件),同第13号(第6事件),同第14号(第7事件)及び同第15号(第8事件))

裁判年月日・裁判所
平成25年7月10日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文7,355 文字)

- 1 -平成25年7月10日判決言渡平成25年(行コ)第33号各所得税更正処分等取消請求控訴事件 主文 1 控訴人らの本件各控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 控訴人A(第1事件)(1) 原判決中控訴人Aに関する部分を取り消す。 (2) 京橋税務署長が平成21年3月9日付けで控訴人Aに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額395万7736円,還付金の額に相当する税額3万0100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 控訴人B,控訴人C及び控訴人D(第2事件)(1) 原判決中控訴人B,控訴人C及び控訴人Dに関する部分を取り消す。 (2) 世田谷税務署長が平成21年3月9日付けで亡Eに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額273万1103円,還付金の額に相当する税額1万9168円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 3 控訴人F(第3事件)(1) 原判決中控訴人Fに関する部分を取り消す。 (2) 江東西税務署長が平成21年3月9日付けで控訴人Fに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額370万6522円,還付金の額に相当する税額61万3050円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 4 控訴人G(第4事件)- 2 -(1) 原判決中控訴人Gに関する部分を取り消す。 (2) 船橋税務署長が平成21年3月9日付けで控訴人Gに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち純損失金額156万3610円,還付金の額に ) 原判決中控訴人Gに関する部分を取り消す。 (2) 船橋税務署長が平成21年3月9日付けで控訴人Gに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち純損失金額156万3610円,還付金の額に相当する税額25万9433円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 5 控訴人H(第6事件)(1) 原判決中控訴人Hに関する部分を取り消す。 (2) 緑税務署長が平成21年2月27日付けで控訴人Hに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額310万8408円,還付金の額に相当する税額4万6569円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 6 控訴人I(第7事件)(1) 原判決中控訴人Iに関する部分を取り消す。 (2) 川崎北税務署長が平成21年3月9日付けで控訴人Iに対してした平成17年分の所得税の更正処分のうち総所得金額565万7433円,納付すべき税額13万6100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 7 控訴人J(第8事件)(1) 原判決中控訴人Jに関する部分を取り消す。 (2) 板橋税務署長が平成21年3月11日付けで控訴人Jに対してした平成17年分の所得税の更正処分(ただし,平成21年7月9日付けの異議決定により一部が取り消された後のもの)のうち総所得金額851万9459円,納付すべき税額22万2200円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 控訴人A,亡E(控訴人B,控訴人C及び控訴人D(以下,この3名を「控- 3 -訴人Bら」という。)の被相続人。),控訴人F,控訴人G,亡K(原審原告L,原審原告M及び原審原告N(以下,この3名を「原審原告Lら」という。)の訴訟被承継人),控 以下,この3名を「控- 3 -訴人Bら」という。)の被相続人。),控訴人F,控訴人G,亡K(原審原告L,原審原告M及び原審原告N(以下,この3名を「原審原告Lら」という。)の訴訟被承継人),控訴人H,控訴人I及び控訴人Jの8名は,いずれも,株式会社O(現在の株式会社P,以下「O」という。)が運営していた適格退職年金制度に基づく退職年金の受給者であり,上記退職年金制度の終了に伴って支払われた一時金を平成19年分の退職所得とする所得税の確定申告書又は修正申告書を提出したところ,上記一時金は平成17年分の一時所得に該当するとして,平成17年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を受けた。 本件は,控訴人A,控訴人Bら,控訴人F,控訴人G,原審原告Lら,控訴人H,控訴人I及び控訴人Jが被控訴人に対し,それぞれ,上記一時金は平成19年分の退職所得に該当すると主張して,税務署長のした更正処分(ただし,控訴人Jについては,異議決定により一部が取り消された後のもの)のうち,上記確定申告書又は修正申告書に記載した総所得金額等を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める事案であり,上記一時金についての所得区分と帰属年度が争われたものである。 原審は,控訴人A,控訴人Bら,控訴人F,控訴人G,原審原告Lら,控訴人H,控訴人I及び控訴人Jの請求をいずれも棄却し,控訴人らが控訴した。 2 事案の概要の詳細は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人らの主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要」1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁23行目「以下「亡E」という。」を「亡E」と改め,同頁24行目の「亡K(以下「亡K」という。),」を削除する。 要」1ないし5に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁23行目「以下「亡E」という。」を「亡E」と改め,同頁24行目の「亡K(以下「亡K」という。),」を削除する。 (2) 同4頁24行目冒頭から同5頁4行目末尾までを削除し,同頁5行目の「キ」を「カ」と,同頁10行目の「ク」を「キ」と,同頁15行目の「ケ」を「ク」とそれぞれ改める。 - 4 -(3) 同9頁12行目の「亡Kが1843万4928円,」を削除する。 (4) 同10頁22・23行目の「亡Kは平成20年6月4日に,」を削除する。 (5) 同11頁1行目の「亡Kを除く」を削除し,同頁4行目冒頭から同頁7行目末尾までを削除する。 (6) 同11頁8・9行目の「別紙4「各課税処分の経緯」」を「別紙4の1~4,6~8「各課税処分の経緯」」と改める。 (7) 同11頁11・12行目の「別紙5「各課税処分の根拠及び適法性」」を「別紙5「各課税処分の根拠及び適法性」(ただし,「第5 亡K」を除く。 以下同様。)」と改める。 3 当審における控訴人らの主張(1) 本件各一時金は,本件年金制度に基づき,退職によって支払われていた退職年金が一時金として一括払されたものであって,一括で支払われることによって「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)でなくなることはなく,実質的にみても,本件各一時金は,本件年金規定13条に基づく選択一時金と同様の性質の一時金であり,これと異なる取扱いをする合理的理由はないのであるから,退職所得に区分されるものである。 (2) 本件各一時金の所得の帰属年分,すなわち,所得税法36条1項に規定する「収入すべき金額」が確定した時期について,平成17年2月28日に提起された年金受給権の確認を求める別件訴訟は である。 (2) 本件各一時金の所得の帰属年分,すなわち,所得税法36条1項に規定する「収入すべき金額」が確定した時期について,平成17年2月28日に提起された年金受給権の確認を求める別件訴訟は,平成19年3月6日に本件和解が成立して終局したが,控訴人らは,一貫して本件年金制度の終了を否定しており,平成17年4月1日時点で支払があることを認識していなかったものであって,本件和解の成立時に初めて収入実現の蓋然性,現実性が認められたというべきであり,これをもって収入すべき金額が確定したと認められるから,本件各一時金は平成19年の所得となる。 (3) 本件年金制度の終了については,本件年金規定31条自体は,本件年金制度が終了した後の基金の分配方法を定めた規定にすぎず,これをもって一方- 5 -的に終了させる根拠規定と解することは誤りであるところ,別件訴訟においても,本件和解の成立で互譲によって終局したから,平成17年4月1日付けで本件年金制度が終了して,本件各一時金を法律上権利行使できる状態にあったか否かは,依然不明のままであるというべきであって,本件和解では,本件年金制度の終了時期には一切触れられておらず,便宜上,既に供託されていた供託金の還付を受ける方法で一部の支払を受け,残部を直接支払う処理をしたものにすぎない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求は,理由がないからいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり補正し,後記2のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第 3 当裁判所の判断」1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決24頁24行目の「本件年金規定14条1項」を「本件年金規定13条1項」と改める。 ( 理由」中「第 3 当裁判所の判断」1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決24頁24行目の「本件年金規定14条1項」を「本件年金規定13条1項」と改める。 (2) 同25頁10行目末尾の次に「なお,説明会で配布された資料の末尾には,上記の分配金について,一時所得の取扱いとなり,平成18年2月から3月までに,住所地を所轄する税務署に対し,平成17年の源泉徴収票と一時所得の支払調書をもって,確定申告をする必要がある旨記載されていた。」を加える。 (3) 同27頁2行目の「支払われる」の次に「本件年金規定13条,14条の」を加え,同頁同行目の「同条2号」を「同規定31条2号」と,同頁4行目の「加入者」を「加入者(現役従業員)」とそれぞれ改め,同頁6行目冒頭から同頁18行目末尾までを次のとおり改める。 「 以上の事実関係に照らせば,本件各受給権者は,Oを退職したことにより,既に本件年金制度に基づく退職年金の支給を受けていたが,その後,OがQ信託銀行との間で適格退職年金契約である本件年金信託契約を解約- 6 -して,同契約に係る本件年金制度が終了し,本件年金規定31条が適用された結果,同条の規定に基づき,その分配金として本件各一時金が支払われたものと認められるのであるから,その支払の原因が本件各受給権者の退職にあるとは認められないのものというべきである。 そして,本件年金規定は,その31条が,「(基金の分配)」として,「退職年金制度が終了したときは,年金基金を次の各号により処分する。」と定め,同条2号が,「年金特定金銭信託契約及び年金信託契約に係る年金基金は,年金の支給を受ける権利を有する者に年金の現価相当額に達するまで当該現価相当額に比例して分配し,なお残余があるときは,年金の支給を受け 号が,「年金特定金銭信託契約及び年金信託契約に係る年金基金は,年金の支給を受ける権利を有する者に年金の現価相当額に達するまで当該現価相当額に比例して分配し,なお残余があるときは,年金の支給を受ける権利を有しない加入者に退職年金制度終了日における勤務年数にその時の退職金算定基礎額を乗じて得た額に比例して分配する。」と定めており,このような本件年金規定31条の文理及び同条2号に基づく一時金の支払を受ける者の中に退職をしていない加入者も含まれる旨が定められ,退職年金受給権者に対しては,年金の現価相当額を上限として当該現価相当額に比例して,また,年金の支給を受ける権利を有しない上記加入者に対しては,勤続年数に退職金算定基礎額を乗じて得た額に比例して,それぞれ分配することを定めていることからしても,本件各一時金は,本件年金信託契約が解約されて同契約に係る本件年金制度が終了し,同契約に係る本件年金基金の清算に伴う分配金として支払われたものと認められるのであって,その支払の原因が本件各受給権者の退職にあるものとは認められないのである。 その上,本件各一時金の支払額は,将来の年金給付の総額の60.2パーセントに相当する金額とされ,本件年金規定31条2号に基づき算出されたものであるが,この金額は,同規定13条に基づき,退職年金に代わる一時金である「選択一時金」を選択した場合における同規定14条3項に基づく計算方法とは異なるものであり,退職年金受給権者により有利な- 7 -ものとなっているのであって,この点からしても,本件各一時金が,選択一時金と性質を同じくするものとは認められないものというべきである。 以上によれば,前記(2)に判示するところに照らして,本件各一時金は,所得税法施行令72条2項4号にいう「適格退職年金契約に基づいて支 じくするものとは認められないものというべきである。 以上によれば,前記(2)に判示するところに照らして,本件各一時金は,所得税法施行令72条2項4号にいう「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金」に当たると認められるとしても,同号にいう「退職により支払われるもの」に該当するとは認められず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。」(4) 同28頁16行目の「支払われたものであって,」の次に「本件各受給権者は,本件各一時金の支払を受けた後も,引き続き,従前の年金給付の39. 8パーセントに相当する部分は,閉鎖型適格退職年金として年金の支給を受けていたのであるから,」を加え,同頁21行目の「該当するともいえないから,」から同頁23行目末尾までを次のとおり改める。 「該当するともいえない。そして,本件各一時金は,本件年金信託契約が解約されて本件年金信託契約に係る本件年金制度が終了し,同契約に係る本件年金基金の清算に伴う分配金として支払われたものと認められることは,前記イ判示のとおりであって,この点からしても,「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」に該当するとは認められないのであるから,本件各一時金について,通達31-1(1)が適用又は準用されてみなし退職所得に該当する旨の控訴人らの主張は,これを採用することはできない。」(5) 同32頁16行目末尾の次に「そして,本件各受給権者による別件訴訟の提起とOらとの間における本件和解の成立は,法律上,本件各一時金についての権利が発生して行使することができるようになることを妨げるものではなく,これを客観的に認識することができる状態となったことを妨げる事情にも当たらないのであるから,その権利の確定時期を左右する事情には当たらないというべきである。」を加える。 - 8 るものではなく,これを客観的に認識することができる状態となったことを妨げる事情にも当たらないのであるから,その権利の確定時期を左右する事情には当たらないというべきである。」を加える。 - 8 -2(1) 当審において,控訴人らは,本件各一時金について,本件年金制度に基づく退職年金が一時金として一括払されたものであって,一括で支払われることによって「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)でなくなることはなく,実質的にみても,本件年金規定13条に基づく選択一時金と同様の性質の一時金であって,これと異なる取扱いをする合理的理由はない旨を主張する。 しかし,本件各一時金が,本件年金信託契約が解約されて同契約に係る本件年金制度が終了し,同契約に係る本件年金基金の清算に伴う分配金として支払われたものであり,選択一時金と性質を同じくするものとは認められないことなど前記1判示の各点に照らせば,これが「退職により支払われるもの」(所得税法施行令72条2項4号)とは認められないことは,前記1判示のとおりである。 控訴人らの主張は採用することができない。 (2) また,控訴人らは,本件各一時金について,別件訴訟では,一貫して本件年金制度の終了を否定し,平成17年4月1日時点でその支払があることを認識しておらず,平成19年3月6日の本件和解成立時に初めて収入実現の蓋然性,現実性が認められ,収入すべき金額が確定したのであるから,平成19年分の所得である旨を主張し,また,本件年金規定31条自体は,基金の分配方法を定めた規定にすぎず,平成17年4月1日付けで本件年金制度が終了して,本件各一時金を法律上権利行使できる状態にあったか否かは,依然不明のままである旨を主張する。 しかし,本件各受給権者による別 た規定にすぎず,平成17年4月1日付けで本件年金制度が終了して,本件各一時金を法律上権利行使できる状態にあったか否かは,依然不明のままである旨を主張する。 しかし,本件各受給権者による別件訴訟の提起とOらとの間における本件和解の成立は,法律上,本件各一時金について,その権利が発生して行使することができるようになることを妨げるものではなく,これを客観的に認識することができる状態となったことを妨げる事情にも当たらないのであるから,その権利の確定時期を左右する事情には当たらないというべきことは,- 9 -前記1判示のとおりである。その上,実際にも,本件各受給権者に対して,説明会等を通じて,本件年金信託契約に係る本件年金制度の終了と本件各受給権者による本件各一時金の権利行使が予定されている旨が事前に説明され,平成17年4月20日付けの通知書も送付されたことは,前記1判示のとおりである。 控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 3 よって,原判決は相当であって,控訴人らの本件各控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官大竹たかし 裁判官山本剛史 裁判官平田直人

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