【DRY-RUN】主 文 一 被告は、原告Aに対し、金六、三五四円及び内金三、一七七円に対する昭和四 五年三月一一日から完済に至るまで年五分の割合による金具を、原告Bに対し、金 一、七二六円及び内金一、四九三円に対
主文 一被告は、原告Aに対し、金六、三五四円及び内金三、一七七円に対する昭和四五年三月一一日から完済に至るまで年五分の割合による金具を、原告Bに対し、金一、七二六円及び内金一、四九三円に対する昭和四五年三月一一日から完済に至るまで年五分の割合による金具を、各支払え。 二原告らその余の請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は被告の負担とする。 四この判決は、主文第一項に限り仮りに執行することができる。 事実 第一当事者の求めた裁判一原告ら 1 被告は、原告Aに対し六、三五四円、同Bに対し一、七二六円、及び右金員に対する昭和四五年三月一一日から各完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決並びに仮執行の宣言。 二被告 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 との判決並びに担保を条件とする仮執行免脱の宣言。 第二当事者の主張一請求の原因 1 被告は、公衆電気通信業務及びこれに付帯する業務等を行なうため、日本電信電話公社法に基づき設立された公法上の法人である。 原告らは、いずれも被告の職員であり、昭和四三、四四年当時、原告Aは、被告の近畿電気通信局西地区管理部に属する此花電報電話局(以下此花局ともいう。)電報課の受付通信係に、同Bは、同課の配達係に、それぞれ勤務していたものである。 2 原告らは、それぞれ被告に対し、別紙目録(一)の(イ)、(ロ)、(ハ)欄記載のとおり有給休暇しを請求し、休暇をとつたところ、被告は、右請求をいずれも認めず、同目録(二)欄記載のとおり原告らが、就労しなかつた時間を欠勤したものとして扱い、欠勤分として原告らが本来受給すべき賃金から同目録(ホ)欄記載の金員を差引いた。 3 しかしながら、原告らの右請求のう 同目録(二)欄記載のとおり原告らが、就労しなかつた時間を欠勤したものとして扱い、欠勤分として原告らが本来受給すべき賃金から同目録(ホ)欄記載の金員を差引いた。 3 しかしながら、原告らの右請求のうち、年次休暇(以下年休という。)の請求は、いずれも原告らが当該年度において労働基準法(以下法という。)三九条一、二項に基づき有していた休暇日数の範囲内でなされたものであつて当然有給休暇として認められるべきものであり、原告Bが請求した病気休暇(以下病休という。)も、被告の職員就業規則(以下就業規則という。)三五条により有給休暇として認められているものであつて(別紙目録(二)参照)、被告がこれらの請求を認めず、欠勤扱いとしたことは、後述のとおり違法、無効であるから、被告は、賃金から差引いた前記各金員を、未払賃金として原告らに支払うべき義務がある。 4 よつて、被告に対し、原告Aは、別紙目録(一)の(ホ)欄記載の三、一七七円と法一一四条所定の付加金としてこれと同額の三、一七七円の合計六、三五四円及びこれに対する本件訴状送達の翌日である昭和四五年三月一一日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求め、同Bは、同欄記載の二三三円と一、二六〇円の小計一、四九三円に、右二三三円に対する前同様の付加金としてこれと同額の二三三円を加えた合計一、七二六円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払いを求める。 二請求の原因に対する被告の答弁と主張 1 答弁請求の原因1、2の各事実及び同3の事実のうち、原告らの年休請求が、その主張どおり原告らが有していた休暇日数の範囲内でなされたものであること、及び病休が就業規則により有給休暇として定められていることは、認めるが、その余の主張は争う。 2 主張(一) 年休が成立するには次に述べるとおり使用者 いた休暇日数の範囲内でなされたものであること、及び病休が就業規則により有給休暇として定められていることは、認めるが、その余の主張は争う。 2 主張(一) 年休が成立するには次に述べるとおり使用者の承認が必要であると解すべきところ、本件では被告はこの承認を与えていないから、原告ら主張の本件各年休は、いずれも有効に成立していない。 すなわち、法三九条三項三項但書は、使用者は、労働者が請求した時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる旨規定しているが、そ趣旨からすれば、法は、労働者に賃金を得させながら一定期間労働者を就労から解放することにより労働者の利益を考慮することの反面、労働者の不就労が業務の運営に重大な関係を有することから使用者側の利益も考慮して、両者の均衡を図るため、使用者に対し請求にかかる休暇を与えるに先き立ち、休暇を請求時季に付与することの適否の判断及びこれに基づく承認あるいは不承認の意思表示をする機会を与えているものと解される。さらに、法三九条一ないし三項は、使用者に年休を「与えなければならない」旨規定し、法一一九条は、右規定に違反した者に重い刑罰を課しているが、このように違反という以上、法は、右規定にいわゆる「与えなければならない」に相当するところの、休暇の効果発生のための使用者の積極的な年休の付与行為を予定しているものと解すべく、したがつて年休の請求は、これに対する使用者の付与、承認をまつて始めてその効力を生ずるものというべきである。 右法意を受けて、就業規則四五条は、年休を受けるには事前に所属長の承認を必要とする旨規定しているのであり(別紙目録(二)参照)、また被告と全国電気通信労働組合(以下組合という。)との間で締結された「年次有給休暇に関する協約」六条も 休を受けるには事前に所属長の承認を必要とする旨規定しているのであり(別紙目録(二)参照)、また被告と全国電気通信労働組合(以下組合という。)との間で締結された「年次有給休暇に関する協約」六条も休暇は本人から請求があつた場合に付与する旨規定し(同目録参照)、さらに「賃金に関する協約」三六条二号は、職員が無断欠勤した際には昇給額を減額する旨規定しいるが、同協約中の「覚書」によれば、無断欠勤とは所属長の承認を受けない欠勤(欠務を含む。)、遅刻及び早退をいうものとする旨定められているのであつて(同目録参照)、原告ら職員が年休を受けるためには、年休についての付与、承認権限を有する所属長の承認を得ることが必要である。 しかるに、原告らの所属長である此花局電報課長C(以下C課長という。)は、原告らに対し、その請求にかかる年休を一切承認していないから、原告らの本件年休は、いずれもその効力を生ずるに由ないものである。 (二) 仮りに、右主張が理由がないとしても、原告らの本件各年休請求は、次に述べるとおりいずれも被告の適法な時季変更権の行使により、その効果が消減している。 (1) 時季変更権の要件である法三九条三項但書にいう「請求された時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するかどうかは、右権利を行使する当時の事業の客観的な状況に基づいて判断されるべきであるが(したがつて、時季変更権を行使したにもかかわらず欠勤した場合に、結果として事業に支障を生じたかどうかによつて判断されるべきではない。)、その際事業の規模、年休請求者の職場における配置、その担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、時季を同じくして年休を請求する者の人数等諸般の事情が考慮されるべきであり、本件においては特に次のような諸点が考慮されるべきである。 、その担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、時季を同じくして年休を請求する者の人数等諸般の事情が考慮されるべきであり、本件においては特に次のような諸点が考慮されるべきである。 (イ) 被告の経営にかかる公衆電気通信事業は、国家社会のいわば神経系統の機能を営むものであり、無数の緊急の通信を昼夜をわかたず迅速に取り扱うべき使命を有し、高度の公共性を有する事業である。 原告らが従事している電報の発受信、配達等の業務は、被告の右事業の一環をなすものであつて、二四時間をとおして緊急性を要し、寸時の遅滞も許されないものであつて、かような業務においては、業務のわずかの遅滞、支障も「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものというべきである。 (ロ) 被告は、右のような事業の特殊性に鑑み、二四時間業務を確保するため、交替勤務制を採用し、各人の担当時間割を予め担務予定表により明らかにするなどして、厳密な業務遂行計画をたて、その計画どおり業務を執行しているのであるが、原告らの職場である此花局電報課においても、電報業務の右のような不断性に即応することを条件に、組合(此花分会)との協約に基づく服務線表協議を行ない、業務量に見合つた要員配置をしたうえ、その業務執行にあたつているのである。 したがつて、担務予定表(服務線表)上のある時間帯に勤務割された者が、突然年休を請求することは、要員配置に狂いが生ずることになるが、そのために電報業務に少しでも支障が生ずれば、それを放置することは許されず、ただちに勤務割変更等の措置をもつて対処しなければならないので、就業規則四五条及び労使間の「年次有給休暇に関する協約の覚書」四条は、原告らのように交替服務による職員の年休請求は、休暇日の前々日までにしなければならない旨規定しているのであり(別紙目録(二) で、就業規則四五条及び労使間の「年次有給休暇に関する協約の覚書」四条は、原告らのように交替服務による職員の年休請求は、休暇日の前々日までにしなければならない旨規定しているのであり(別紙目録(二)参照)、もし休暇日の前々日以後に年休請求がなされるならば、勤務割変更等の措置をすることは、労使間の中央協約により交替要員の同意を必要とするため困難を伴ううえ、時間的にも余裕がなく事実上困難であるから、このような場合は時季変更権を行使されても止むを得ないというべきである。 (ハ) 原告らが所属する此花局電報課は、当時、別紙目録(三)記載の人員、勤務形態によつて構成されていた。 なお、受付通信係は電報の受付、送受信を、配達係は受信電報の配達を、それぞれ担当し、配達係のうち「交付」とは電報の配達につき配達順路等の指示をするもの、「外配」とは電報を宛名人の住所まで届けるものである。また、固定日勤とは、勤務時間が午前九時から午後五時までに一定されている者、輪番とは、電報業務が二四時間をとおして提供され、しかも即時性が強く要求される性質上、日勤、夜勤、宿直等各種の服務を一定周期で勤務する者のことである。 以上のとおり、原告らの職場のように人員の少ない部署においては、担務予定表作成にあたつては、同時に数人が年休をとることまで予定する必要はないものというべきであり、交替勤務制(輪番制)の特殊性からして、ある時間帯においては一人の年休も許されない場合が生じても止むを得ないものというべきである。 (2) ところで、原告らの本件各年休請求は、いずれも被告の事業の正常な運営を妨げるおそれがあつたので、時季変更権を有するC課長は、前項記載の諸事情を考慮のうえ右請求をいずれも不承認(時季変更権の行使)としたのであるが、その理由の詳細は次のとおりである。 なお、事業の正常 妨げるおそれがあつたので、時季変更権を有するC課長は、前項記載の諸事情を考慮のうえ右請求をいずれも不承認(時季変更権の行使)としたのであるが、その理由の詳細は次のとおりである。 なお、事業の正常な運営を妨げるか否かの判断は、事業の遂行について全責任を有する使用者の専権に属する事柄であるから、C課長の判断が特に著しく条理に反した不当なものでない限り、右時季変更権の行使を違法、不定なものというべきでない。 (イ) 原告Aの昭和四四年八月一一日の年休請求について同原告は、当日午前九時から午後五時までの勤務が予定されていたところ、当日午前九時二〇分ころになつて始めてC課長に対し、同日の午後半日(午後一時から同五時まで)の年休を請求してきたが、前々日までに請求できなかつた理由は何ら説明されなかつた。 さらに、同原告の勤務部署である受付通信係の当日の担務予定は、別紙目録(四)の(1)記載のとおりであり、これによれば同原告の右請求を承認すれば、午後一時から同三時まで、及び同四時三〇分から同五時まで係員が一名のみとなることが明らかである。同係には、係員の外に係長、課内庶務がいるが、係長は既に組合休暇をとつていたし、課内庶務には労使間の支部協約により受付通信業務は命令できない状況にあつた。また、勤務割変更の措置をとることは、時間的にみて全く不可能であつた。 ところで、受付通信係においてその業務を支障なく遂行するためには、少なくとも電報の受信を行なう者と電報発信依頼客の応待等をする者の二名が必要であるが、当日右担務予定表でも明らかなように日勤帯(午前九時から午後五時まで)に係員三名を予定していたところ、そのうち一名が既に年休をとつていたため、日勤帯の係員が原告を含む二名のみとなり、このような人員の配置状況からして同原告に年休を承認する余地は全くな ら午後五時まで)に係員三名を予定していたところ、そのうち一名が既に年休をとつていたため、日勤帯の係員が原告を含む二名のみとなり、このような人員の配置状況からして同原告に年休を承認する余地は全くなかつたのである。 なお、当日はC課長が同原告の業務を代行し認とか処理したが、そもそも電報課長は、局長の命を受け所属職員等を指揮監督して、その課の業務を執行する職責を有するものであり、いわゆる管理業務の遂行者であるから、このように受付通信係の業務を代行することは、課長本来の業務にあたらず、したがつてそのこと自体業務の正常な運営を妨げるものというべきであるのみならず、そのために課長本来の管理業務にも支障が生じたのであつて、時季変更権を行使すべき被告の事業の正常な運営を妨げる客観的な事情が存したこは明らかである。 そこで、C課長は、右のような経過並びに人員配置状況に鑑み、同日午前九時二〇分ころ直ちに同原告に対し、同原告の年休請求を不承認とする旨の意思表示をしたものである。 (ロ) 同原告の同月一八日の年休請求について同原告は、当日午前九時から午後五時までの勤務が予定されていたところ、当日午前八時四〇分ころになつて始めて職員のDを通じてC課長に対し、同日一日の年休を請求してきたが、やはり前々日までに請求できなかつた理由は何ら説明されなかつた。 さらに、受付通信係の当日の担務予定は、前同目録の(2)記載のとおりであり、これによれば同原告の右請求を承認すれば、午前九時から午後三時までの日勤帯に係員が一名のみとなることが明らかである。当日は、前記の係長、課内庶務の両名とも出勤していたが、同人らには前記の支部協約により受付通信業務を命令できない状況にあつたし、また時間的にみて勤務割変更の措置をとることも不可能であたこと、日勤帯に係員が一名だけでは正常な 務の両名とも出勤していたが、同人らには前記の支部協約により受付通信業務を命令できない状況にあつたし、また時間的にみて勤務割変更の措置をとることも不可能であたこと、日勤帯に係員が一名だけでは正常な業務運営ができないことは前同様であり、同原告に年休を承認する余地は全くなかつたのである。 なお、当日は、週休の職員が二名もいたため、一名も年休を付与できない状態にあつたが、これは前述のとおりその勤務が交替制という特殊なものであるところから、たまたまそうなつただけであり、止むを得ないところである。 当日は、C課長が同原告の業務を代行し何とか処理したが、そのために業務の正常な運営が妨げられたことは前同様であり、時季変更権を行使すべき被告の事業の正常な運営を妨げる客観的な事情が存したことは明らかである。 そこで、C課長は、右のような経過並びに人員配置状況に鑑み、同日午後三時ころ同原告に対し、同原告の年休請求を不承認とする旨の意思表示をしたものである。 ところで、右不承認の意思表示は、請求にかかる年休日の途中でなされているが、本件のように使用者において拒否する余裕のない形で年休がとられた場合には、時季変更権は、請求にかかる年休日の途中あるいは事後においても遡及的に行使しうるものと解すべきである。蓋し、このように解しないと、同じく事業の正常な運営を妨げる事由がある場合に、時間的に余裕をもつて年休の請求をした者は、時季変更権の行使により年休を付与されなくなり、使用者が拒否の余裕のない形で年休を請求した者は、時季変更権の行使を受けずに年休を付与される結果となり、明らかに不合理な結果を招来することになるからである。 (ハ) 原告Bの同月二〇日の年休請求について同原告は、当日午前一〇時から午後六時までの勤務が予定されていたところ、当日午前八時三〇分ころに 明らかに不合理な結果を招来することになるからである。 (ハ) 原告Bの同月二〇日の年休請求について同原告は、当日午前一〇時から午後六時までの勤務が予定されていたところ、当日午前八時三〇分ころになつて始めて職員のEを通じてC課長に対し、同日午前中二時間の年休(午前一〇時から午後〇時まで)を請求してきたが、前々日までに請求できなかつた理由は何ら説明されなかつた。 さらに、同原告の勤務部署である配達係(「外配」担当)の当日の担務予定は、前同目録の(3)記載のとおりであり、これによれば、同原告の右請求を承認すれば、午前一〇時から午後〇までの日勤者は臨時雇一名を含めて僅か二名のみとなることが明らかである。また、勤務割変更の措置をとることは、時間的にみて全く不可能であつた。 ところで、「外配」業務は、電報受信直ちに行なわなければならないが、電報は時間的に規則正しく受信されるものではなく、時には一時に多数受信されて配達員全員が配達のため外出しなければならないこもあり、また至急電報も受信されることもあるが、これは特に迅速に配達しなければならないのであり、これら受信電報を何時でも直ちに配達するためには少なくとも「外配」担当の係員三名が必要である。 しかるに、当日は、右担務予定表からも明らかなように病休が二名、週休が二名勤務変更が一名いたため、午前中の「外配」担当の係員は原告を含めて三名だけであり、しかもそのうち一名は事務能力の劣る臨時雇であつたので、同原告の右請求を承認する余地は全くなかつたのである。当日は、「交付」担当の係員一名が「外配」業務を手伝つたのであるが、そのために配達係全体の業務遂行に重大な支障が生じたことはいうまでもないところであつて、時季変更権を行使すべき被告の事業の正常な運営を妨げる客観能な事情が存したことは明らかというべきで たのであるが、そのために配達係全体の業務遂行に重大な支障が生じたことはいうまでもないところであつて、時季変更権を行使すべき被告の事業の正常な運営を妨げる客観能な事情が存したことは明らかというべきである。 そこで、C課長は、右のような経過並びに人員配置状況に鑑み同日午後〇時一〇分ころ同原告に対し、同原告の年休の請求を不承認とする旨の意思表示をしたものである。 なお、右不承認の意思表示は、請求にかかる年休の経過後になされているが、本件のように使用者が拒否の余裕のない形で年休がとられた場合には、時季変更権は、年休の経過後においても遡及的に行使しうることは前述のとおりである。 (三) 原告Bの昭和四三年四月五日の病休請求は、次の述べるとおりその実質的要件、手続的要件が充足されていないうえ、所属長たるC課長の承認がなされていないから、その効力は発生していない。すなわち、(1) 病休は、就業規則によつて始めて有給休暇として認められたものであり、法に基づくものではないから、病休を有効に取得するためには、病休が有給休暇とされている趣旨に従い、就業規則等が規定している次のような諸要件を充足しなければならないものというべきである。 (イ) 病休が有給休暇として定められている趣旨は、職員が病気になつた場合、生活の心配なく療養に専念し、一日ま早く健康体に回復することにより、労働力の確保を図ることにあるから、病休を取得するための実質的要件としては、就労することが不可能か、もしくは困難であるなど現実に就労することについて支障を生ずる程度の病気でなければならず、担当職務の変更等により職員が通常提供している労務の質、量を軽減すれば就労に支障を生じない程度のものは、病休の対象にならないものというべきである。 (ロ) 就業規則四二条一項三号は、疾病等にかかつたとき、医師 変更等により職員が通常提供している労務の質、量を軽減すれば就労に支障を生じない程度のものは、病休の対象にならないものというべきである。 (ロ) 就業規則四二条一項三号は、疾病等にかかつたとき、医師の証明に基づき別に定める期間を限度として療養に必要な期間病休を与える旨規定しているが(別紙目録(二)参照)、その趣旨は、労使間の「病気休暇の付与に関する了解事項」(以下「了解事項」という。)が、職員が病休を受けるためには、原則として医師の証明書を付して所属長の承認を得なければならないが、病休の期間が二日以内であつて医師の証明書を受けることが因難な場合は、直属上長等の証明書をもつて医師の証明書にかえることができる旨定めているように(同目録参照)、病休の実質的要件である疾病による就労因難の事実を、請求者自身が医師の証明書等によつて明らかにするよう、手続的要件として明らかにしたものと解すべきである。 したがつて、請求にかかる当該疾病につき医師等の証明書がなく、これを認めるのに疑問があり、または仮りに疾病にかかつていたとしても、就労因難かどうかを判断することができない場合、請求者はその不利益を負担しなければならないというべきである。 (ハ) 就業規則四五条は、職員は病休を受けようとするときは事前に所属長の承認を受けなければならい旨規定しているが(同目録参照)、この規定と右「了解事項」の規定からすれば、所属長は、職員から病休請求がなされた場合、この請求が右実質的要件を充足していると判断した場合に始めて病休として承認する建前であることが明らかであり、したがつて所属長の承認は、病休の効力発生要件であるというべきである。 (2) ところで、同原告は、当日午後〇時から同八時までの勤務が予定されていたのであるが、当日突然(時間不明)電話で頭痛のため病休を請求する 属長の承認は、病休の効力発生要件であるというべきである。 (2) ところで、同原告は、当日午後〇時から同八時までの勤務が予定されていたのであるが、当日突然(時間不明)電話で頭痛のため病休を請求する旨の連絡をしたうえ、右勤務に就かなかつた。ところが、同原告から病気休暇届が提出されなかつたので、同月九日C課長は、同原告に右届を提出するよう指示したところ、翌日になつて始めて同原告から右届が提出されたが、頭痛等の病気を証明する診断書等の資料はなんら添付されていなかつた。そこで、C課長は、同原告に証明資料を添付するよう要求したが、同原告がこれに応じなかつたので、同年五月一日再度証明資料を提出するよう指示したが、同原告は、右指示に従わず、また証明資料を提出できない理由もなんら説明しなかつた。そのため、C課長は、同原告が病気のため就労困難であつたかどうか判断できなかつたので、同原告の病休請求を承認しなかつたのである。 三被告の主張に対する原告らの反論 1 被告の主張(一)について被告は、年休は労働者の請求に対する使用者の付与、承認をまつて始めて効力が生じるのに、本件では使用者たる被告がこの承認を与えていないから、本件各年休はいずれも有効に成立していない旨主張するが、労働者の年休の権利は、法三九条一、二項の要件が充足されることによつて法律上当然に生ずる権利であつて、年休は、右権利の行使として労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定し時季を指定することによつて成立するものであるから、年休の成立要件として、使用者の付与、承認なる観念を容れる余地はないものというべく、したがつて被告の右主張は、その前提を欠き失当というべきである。 2 被告の主張(二)について被告は、原告らの本件各年休請求に対し、これを承認しなかつた措置をも 念を容れる余地はないものというべく、したがつて被告の右主張は、その前提を欠き失当というべきである。 2 被告の主張(二)について被告は、原告らの本件各年休請求に対し、これを承認しなかつた措置をもつて、法三九条三項但書所定の時季変更権を行使したものであると主張するが、右不承認の措置が時季変更権の行使にあたるとすること自体既に失当であるのみならず、仮りに右不承認の措置が時季変更権の行使にあたるとしても、本件においては、次に述べるとおり右但書にいう時季変更権を行使すべき被告の事業の正常な運営を妨げる客観的な事情は何ら存しなかつたのであるから、右時季変更権の行使は適法なものとはいえず、これによつて原告らの本件各年休請求(時季指定)の効果は消滅することはないというべきである。 (一) 被告の右主張のうち、法三九条三項但書にいう事業の正常な運営を妨げるか否かの判断にあたり、考慮すべき事情として述べている部分に対する反論は次のとおりである。 (1) 被告は、公衆電気通信事業が公共性を有し、原告らが従事している電報業務が不断性、緊急性を有していることを強調するが、そのことを強調するあまり法三九条三項但書の要件が不当に広く解釈されることがあつてはならない。 なぜなら、右事業が公共性を有し、電報業務が不断性、緊急性を有しているといつても、それはかかる公共の重要な事業を円滑に遂行しうる人員をいかに確保すべきかという専ら使用者たる被告側の問題ではあつても、当該事業に働らく労働者に対し法の趣旨以下に過重な労働条件を課し、あるいは権利を侵害することを合理化するものではないからである。 (2) 被告は、就業規則等に原告らのように交替服務による職員の年休請求は、休暇の前々日までにしなければならない旨定められているところから、年休請求が休暇の増々日以降になされた場合 ないからである。 (2) 被告は、就業規則等に原告らのように交替服務による職員の年休請求は、休暇の前々日までにしなければならない旨定められているところから、年休請求が休暇の増々日以降になされた場合には、時季変更権を行使されてもそれを甘受すべきである旨主張するが、法は年休を請求すべき時期について何ら制限していないから、就業規則等によつて請求の時期に右のような制限を加えることは、法の定める基準に達しない労働条件を定めるものとして無効であり、右主張は理由がないというべきである。 仮りに、右就業規則等の規定が何らかの効力を有するとしても(それとても訓示的規定としての効力にとどまるものというべきである。)、右規定の趣旨は、被告が主張するように、年休請求により人員配置計画等に支障が生ずるかどうかを予め被告に検討させ、支障が生ずる場合には勤務割変更等の措置を講ずる余裕を被告に与えることにあるものと解されるから、本件のように勤務割変更等の措置をとる必要がない場合にまで(この点は後述する。)、右規定に従つて休暇日の前々日までに年休を請求しなければならない理由は何ら存しないものというべきである。 また、被告における年休請求の実態をみても、休暇日の前々日までに年休が請求された事例は極めて少ないのであつて、本件のように半日単位、二時間単位の年休の場合は、それが緊急を要する私用等のために一時的に労務から解放されることが多いところから、休暇の直前になつて請求するのが通例になつているのであり、このような実態からしても、原告らが休暇日の前々日までに年休を請求しなかつたことを、時季変更権を行使する理由のひとつにすることは許されないものというべきである。 (3) 被告は、原告らが所属している電報課は、配置要員が少なく、交替勤務制の特殊性からして、ある時間帯では一人の年 を、時季変更権を行使する理由のひとつにすることは許されないものというべきである。 (3) 被告は、原告らが所属している電報課は、配置要員が少なく、交替勤務制の特殊性からして、ある時間帯では一人の年休も許されない状態が生じても止むを得ない旨主張する。 しかしながら、右電報課の組織、人員は被告主張のとおりであるが、配置要員が少なく、時間帯によつては一人の年休も許されない場合がある等といつた状態は、被告の不当な合理化により人員が異常に削減されたためであり、かかる人員不足による弊害を、労働者の年休の権利の侵害によつて補なうことは許されず、被告の右主張が不当なることは明らかである。 (二) 被告の前記主張のうち、原告らの本件各年休請求に対し、時季変更権を行使した理由の詳細について述べている部分に対する反論は、次のとおりである。 なお、原告らが年休を請求した当日の担務予定が別紙目録(三)記載のとおりであることは認める。 (1) 被告は、原告らが休暇日の前々日までに年休を請求できなかつた理由を説明しなかつた旨主張するが、年休を休暇日の前々日までに請求しなければならない義務のないこと前述のとおりであるのみならず、これまでそのような説明を求められた事はなく、また求められてもいないのに自ら進んで説明する者もいないのであつて、本件において特に原告らがそのような説明をしなかつたことをもつて、時季変更権を行使する理由のひとつにすることは許されないものというべきである。 (2) 被告は、原告らの本件年休を承認すると、原告らの職場における業務を円滑に遂行するために最少限度必要とされる人員を確保することができなくなるから、原告らの年休を承認する余地はなかつた旨主張するが、原告らの職場では、これまででも被告が最少限度必要であると主張している人員を確保できなかつたことが 要とされる人員を確保することができなくなるから、原告らの年休を承認する余地はなかつた旨主張するが、原告らの職場では、これまででも被告が最少限度必要であると主張している人員を確保できなかつたことがしばしばあり(ちなみに、昭和四三年四月から同四七年三月までの受付通信係における人員配置状況をみても、日勤帯において係員が一名となる状態がしばしば生じていたことが知られるのである)、このような場合でも係員の年休を承認し、電報課長あるいは他の係員が、本来の業務を遂行する傍ら当該係員に代わつてその業務を遂行するのが慣行になつているのであつて、本件においてもこの慣行どおり勤務割変更等の措置をとるまでもなく、原告Aに代りC課長が、同Bに代り「交付」担当の係員が、それぞれ原告らの業務を遂行し、なんら業務に支障が生じていないのであるから、被告の右主張は理由がないものというべきである。 (3) 被告は、C課長が原告Aに代わりその業務を遂行することは、管理業務の遂行者である課長本来の業務にあたらず、そのこと自体業務の正常な運営を妨げるものであり、課長本来の業務にも支障が生じた旨主張するが、C課長が課長として管理業務を遂行する職責を有するものとしても、臨時必要に応じて係員の業務を助けたり、これを代行することが禁じられているわけではなく、むしろ原告らの所属する電報課の勤務形態と人員からして、予め予定されていることであり(事実、前述のとおり慣行化していたところである。)、またそうすることが直ちに課長本来の業務に支障をきたすものではなく、本件においても特にC課長の本来の業務に支障が生じた形跡は認められないから、被告の右主張は理由がないというべきである。 (4) なお、原告らが本件年休を請求した際、C課長は、原告らに請求の理由すなわち休暇の利用目的を明らかにするよう求め、 障が生じた形跡は認められないから、被告の右主張は理由がないというべきである。 (4) なお、原告らが本件年休を請求した際、C課長は、原告らに請求の理由すなわち休暇の利用目的を明らかにするよう求め、原告らがこれを明らかにしなかつた由をもつて原告らの年休を承認しなかつたのであるが、C課長の言によれば、請求の理由如何によつては業務に若干の支障が生じても、年休を承認しなければならない場合があるものと考えていたというのであるから、この一事をもつてしても、当時時季変更権を行使しなければならないほどの、業務の正常な運営を妨げる客観的な事情は、何ら存しなかつたことが明らかに窺えるところである。 しかのみならず、本来年休をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であるから、右のように請求の理由を質すことは許されないところであり、したがつて請求の理由を明らかにしない由をもつて、原告らの年休請求を不承認とすることは違法であり、時季変更権の行使としての効力をもちえないものというべきである。 3 被告の主張(三)について被告は、原告Bの病休請求は、効力発生要件である所属長の承認がなされていないから、効力を生ずる余地がない旨主張する。 しかしながら、就規規則四二条、四五条及び「了解事項」の規定の内容は、被告主張のとおりであるが、これらの規定の趣旨からすれば、病休の効力発生要件は、就業規則四二条一項所定の疾病にかかつたこと、及び病休の付与を求める請求行為だけであり、所属長の承認は効力発生要件ではないというべきである。 なぜなら、就業規則四五条は、年休を取得する場合にも所属長の承認を受けなければならない旨規定しているが、年休の成立については、もともと所属長の承認は要件ではないのであるから、右規定の趣旨は、年休をとるには、請求者の時季指定行為が を取得する場合にも所属長の承認を受けなければならない旨規定しているが、年休の成立については、もともと所属長の承認は要件ではないのであるから、右規定の趣旨は、年休をとるには、請求者の時季指定行為が必要であることを明らかにしたにすぎないものと解すべきであり、これと同様病休についても右規定が所属長の承認を受けなければならないと規定している趣旨は、他に請求手続を定めた規定がないところから、病休を取得するにあたつては、請求者の請求行為が必要であることを明らかにしたにとどまるものというべきであり、所属長の承認なるものは、請求者が就業規則四二条一項所定の疾病にかかつているかどうかを事実上確認する行為を意味するにすぎないものと解すべきだからである。 なお、所属長が、請求者が就業規則四二条一項所定の疾病にかかつているかどうかを確認することにあたつては、「了解事項」は、原則として医師の証明書が必要であるとしているが、病休の期間が二日以内であつて医師の証明書を受けることが困難な場合は、直属上長等の証明書をもつて医師の証明書に代えることができるものとされ、さらに労使間の「病気休暇の付与に関する了解事項の運用についての記録書」(以下「記録書」という。)によれば、右の直属上長等の証明書は単なる証明で足りることが確認されている(別紙目録(二)参照)。 実際の運用も、病休の期間が二日以内の場合は、請求者から事前に所属長あるいは所属長が不在のときは係長に対し電話等で病気の事実と病休の付与を求める旨申出ることによつて、病気の事実が確認され、病休が付与されてきたのであつて、このような処理方法は労使間の慣行になつていたのである。 ところで、同原告は、当日朝起床したところ、頭痛があり発熱していたので、当日午前九時三〇分ころ此花局電報課に電話したところ、C課長が不在であつた のような処理方法は労使間の慣行になつていたのである。 ところで、同原告は、当日朝起床したところ、頭痛があり発熱していたので、当日午前九時三〇分ころ此花局電報課に電話したところ、C課長が不在であつたため、F係長に対し、病状を説明したうえ、同日一日の病休の付与を求める旨申出て、その日の勤務を休み自宅で静養したのであるが、これによれば、同原告の病休は、前記の効力発生要件をいずれも充足し、労使間の慣行に反するものでなく、病気による不就労の事実は確認され、有効に成立しているものというべきである。 4 原告らの右1ないし3の主張がいずれも理由がないとしても、C課長が原告らの本件年休及び病休の請求を認めず、欠勤扱いとしたことは、原告らに対する不合理な差別扱いであつて、違法、無効である。 すなわち、被告は、これまで事業所の統廃合等により人員を削減するいわゆる合理化政策をとり続け、そのため生じた要員不足等のしわ寄せを労働者の労働強化によつて対処してきたのであるが、C課長が年休の理由を質したり、従来の慣行に反して病休の付与を拒否するのは、右労働強化に伴なう労働者支配の一環をなすものであり、このような労働者の権利に対する不当な侵害は、特に原告らのように組合から排除された者や労働者の権利を守るために安易に妥協しない労働者に向けられたのであつて、C課長が原告らの本件年休及び病休の請求を認めず、欠勤扱いとしたことも決してその例外ではなく、それ自体合理的な理由がなく、不当な差別扱いを目的とするものであるから、違法かつ無効である。 四原告らの反論に対する被告の再反論 1 原告らの反論2(一)、(3)について原告らは、被告の不当な合理化政策により人員が大幅に削減された結果、原告ら労働者の年休の権利が不当に制限されている旨主張するが、被告は、前述のとおり担務予定表を 告らの反論2(一)、(3)について原告らは、被告の不当な合理化政策により人員が大幅に削減された結果、原告ら労働者の年休の権利が不当に制限されている旨主張するが、被告は、前述のとおり担務予定表を作成するにあたつては、組合とも協議のうえ、年休等の諸休暇を見込んで業務量に見合つた要員配置をしているのであつて、これまで業務上の支障がない限り、職員の請求した時季に年休を付与してきたのであり、原告ら職員も発給された年休を殆んど全て消化しているところからも明らかなように、原告ら職員の年休の権利を不当に制限している事実はなく、原告らの右主張は理由がないというべきである。 2 原告らの反論2(二)、(2)について原告らは、原告らの職場でこれまでも最少限度必要とされている人員を確保できなかつたことがしばしばあり、このような場合には、電報課長等が必要に応じて課員の業務を代行するのが慣行になつていた旨主張するが、そのような事例は極くわずかであり、しかもそのそれぞれの事例に病気など已むを得ない事情が存するか、特に閑散日時に年休を付与するなどの事情により右のような事態を招来したものであつて、本件とは全く事情を異にするのであり、本件のように無断欠勤者に代つて電報課長がその業務を行なうことは、課長本来の業務にあたらず、そのようなことが慣行化している事実もないから、原告らの右主張は理由がないというべきである。 3 原告らの反論2(二)、(4)について原告らは、C課長が原告らに年休を請求する理由を質し、原告らがこれを明らかにしなかつたことを理由に、右請求を承認しなかつたことは違法である旨主張するが、C課長が請求の理由を質したのは、所属長は本来業務の正常な運営を妨げるか否かによつて年休を承認するかどうかを決するのであるが、休暇の事由が重大であり、かつ緊急性を有す ことは違法である旨主張するが、C課長が請求の理由を質したのは、所属長は本来業務の正常な運営を妨げるか否かによつて年休を承認するかどうかを決するのであるが、休暇の事由が重大であり、かつ緊急性を有する場合であれば、通常承認することができないようなときでも承認することがあり得るからであり、本件のように業務の正常な運営を妨げる場合に、年休請求者がその休暇の事由を明らかにしなかつたときは、年休請求について不承認とされることを甘受しなければならないものと解すべきところ、原告らはいずれも休暇の事由を明らかにしなかつたため、C課長において休暇の事由の重大性及び緊急性の有無についての判断をなし得なかつたので不承認とした次第であつて、原告らの右主張は理由がないというべきである。 4 原告らの反論3について原告らは、病休は所属長の承認によつて努力が生ずるものではなく、就業規則四二条一項所定の疾病にかかつたことを前提に、病休の付与を求める請求手続をとることによつて、その効力を生ずるものであり、現に病休の期間が二日以内の場合は、請求者から所属長らに対し、事前に電話等で病休をとる旨連絡することにより、前記疾病にかかつている事実が確認され、病休が付与されてきたのであり、この処理方法は労使間の慣行になつている旨主張するが、病休が、本人からの請求に対する所属長の承認によつてその効力を生ずるものであることは前述のとおりであり、さらに労使間の「記録書」によつても明らかなように、二日以内の病休についても、単なる届出によつてその効力が生ずるものではなく、所属長の承認が必要であり、所属長がこの承認を与うる前提として、前属上長等の証明あるいは必要に応じ医師の証明書により、請求者が確かに傷病のため就業できない事実が確認されなければならないことを、組合側も了解しているところであつ 所属長がこの承認を与うる前提として、前属上長等の証明あるいは必要に応じ医師の証明書により、請求者が確かに傷病のため就業できない事実が確認されなければならないことを、組合側も了解しているところであつて(別紙目録(二)参照)、C課長は、従来からこの「記録者」の趣旨に従つて病休を処理してきたのであり、本人からの電話連絡等のみで病気の事実を確認し、病休を付与してきた事実はなく、またそのような処理方法が慣行化しているわけでもないから、原告らの右主張は理由がないというべきである。 第三証拠関係(省略) 理由 一請求原因1、2の各事実及び同3の事実のうち、原告らの本件各年休請求が、いずれも原告らが当該年度において有する所定の年次有給休暇日数の範囲内でなされたものであり、病休が就業規則三五条により有給休暇として認められていることは、当事者間に争いがない。 二そこで、まず原告らの本件各年休の成否について判断する。 1 一般に、労働者の年休の権利は、法三九条一、二項の要件が充足されることによつて法律上当然労働者に生ずる権利であつて、労働者の請求をまつて始めて生ずるものではなく、労働者が、その有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季を指定(同条三項の「請求」とは休暇の時季の指定と解すべきである)したときは、客観的に同条三項但書所定の事由が存在し、かつこれを理由として使用者が時季変更権を行使しない限り、右の指定によつて年休が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である(最高裁第二小法廷昭和四八年三月二日判決、民集二七巻二号一九一頁参照)。 ところで、原告らが別紙目録(一)の1ないし3記載の日に、その有する休暇日数に範囲内で、同目録(ハ)欄記載のとおり年休を請求(時季の指定)したことは、 三月二日判決、民集二七巻二号一九一頁参照)。 ところで、原告らが別紙目録(一)の1ないし3記載の日に、その有する休暇日数に範囲内で、同目録(ハ)欄記載のとおり年休を請求(時季の指定)したことは、前記のとおりであるから、これによつて被告の適法な時季変更権の行使がない限り、その指定どおり年休が成立するものというべきである。 2 被告は、年休は、労働者の請求に対する使用者の承認を要し、本件ではこの承認がなされていない旨主張するが、年休の権利の法的性質は前説示のとおりであつて、年休の成立要件として「労働者の請求」や、これに対する使用者の「承認」の観念を容れる余地はない。 なお、被告は、法三九条一ないし三項、一一九条の規定の趣旨からして、使用者に年休を付与承認すべき積極的な義務を課したものと解すべきであり、また就業規則等にも年休を取得するには所属長の承認を受けなければならない旨規定されていることからしても、年休の成立要件として使用者の承認が必要である旨主張するが、法三九条一ないし三号で年休を「与えなければならない」としているが、その実際は、労働者自身が休暇をとること、すなわち就労しないことによつて始めて休暇の付与が実現されるのであつて、法が休暇の付与義務者たる使用者に要求しているのは、労働者がその権利として有する年休を享受することを妨げてはならないという消極的な不作為を基本的内容とする義務にすぎないものと解するのが相当であり(前記判決参照)、また就業規則等に所属長の承認を要する旨規定してみても、それは強行法規たる法の定めに反するものとして効力をもちえない。いずれにしても被告の右主張は理由がないものというべきである。 3 被告は、次に原告らの本件各年休の時季指定の効果は、被告の法三九条三項但書に基づく適法な時季変更権の行使により消滅している旨主張 い。いずれにしても被告の右主張は理由がないものというべきである。 3 被告は、次に原告らの本件各年休の時季指定の効果は、被告の法三九条三項但書に基づく適法な時季変更権の行使により消滅している旨主張するので、以下の主張の当否について判断する。 (一) 思うに、法三九条三項但書にいう「事業の正常な運営を妨げる」かどうかは、当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきである。 (二) そこで、これを本件についてみるに、原告らが勤務している此花局電報課の人員、勤務形態が別紙目録(三)記載のとおりであること、原告Aは、同課の受付通信係に所属し、同係は、電報の受付、送受信等の業務を行なうものとされていること、原告Bは、同課の配達係に所属し、同係は、受信電報の配達等の業務を行なうものとされ、同係の「交付」は、右業務のうち電報の配達につき配達順路等の指示を担当し、「外配」は、右業務のうち宛名人の住所まで電話を届けることを担当するものであり、同原告は、そのうち「外配」を担当していること、原告らが本件各年休の時季を指定した当日の担務予定は、別紙目録(四)記載のとおりであり、右指定どおり原告らが休暇をとると、原告Aが所属している受付通信係においては、午前九時から午後五時までの日勤帯で、係員が一名のみとなる時間帯(昭和四四年八月一一日は、午後一時から同三時までと同四時三〇分から同五時まで、同月一八日は、午前九時から午後三時まで)が生じ、原告Bが所属している配達係(「外配」担当)においては、問題の当日の午前一〇時から午後〇時まで「外配」担当の係員が二名(内一名は臨時雇)のみとなること、以上の事実はいずれも当事者間に争いがない。 ( 告Bが所属している配達係(「外配」担当)においては、問題の当日の午前一〇時から午後〇時まで「外配」担当の係員が二名(内一名は臨時雇)のみとなること、以上の事実はいずれも当事者間に争いがない。 (三) 右事実と前記一の事実に、成立に争いのない乙第一号証、証人Cの証言により成立を認めうる乙第一一号証、証人Gの証言により成立を認めうる乙第一二号証、証人H、同C、同Gの各証言、原告ら各本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば、(1) 被告における年休等の有給休暇に関する一切の決裁権限は、所属長に帰属するものとされ、原告らに対してはC電報課長が所属長として右の決裁権限を有していること、(2) 原告ら所属の電報課では、当時、平常時の日勤帯の業務処理にあたり、その業務量に適応する人員として、受付通信係に係員を少なくとも二名、配達係の「外配」担当に係員を少なくとも三名を配置できるよう担務予定が組まれているが、右の人員が確保できないときは、業務処理上事務停滞等の支障が生ずるおそれがあつたこと、(3) 原告Aは、昭和四四年八月一一日午前九時二〇分ころC(電報)課長に対し、知人の葬儀に参列するため、前記のとおり同日の午後半日の年休を請求したが、これに対し同課長は、休暇を必要とする事情如何によつては、業務に支障が生ずるおそれがある場合でも、年休を認めなければならない場合があるものと考え、同原告に休暇の事由を明らかにするよう説明を求めたが、同原告がこれに応じなかつたため、業務に支障が生ずるおそれがあることを理由に、右請求を不承認とする旨の意思表示をしたこと、(4) 同原告は、右同日午後一時ごろC課長の承認が得られないまま退社し、そのため前記のとおり受付通信係の係員が一名のみとなる時間帯が生じたが、当時は業務繁忙期ではなく、またC課長が必要に応じて随時 (4) 同原告は、右同日午後一時ごろC課長の承認が得られないまま退社し、そのため前記のとおり受付通信係の係員が一名のみとなる時間帯が生じたが、当時は業務繁忙期ではなく、またC課長が必要に応じて随時同係の業務を代行したこともあつて、特に業務上の支障は生じなかつたこと、(5) 同原告は、同月一八日午前八時四〇分ころ職員のDを通じてC課長に対し、妻の入院手続をとるため前記のとおり同日一日の年休を請求したうえ、同日午前九時から予定されていた勤務に就かなかつたが、これに対しC課長は、前記と同様の考えから休暇を必要とする事情を質すため、同原告に出社するよう求め、同日午後三時ころ出社した同原告に休暇の事由を明らかにするよう説明を求めたが、同原告がこれに応じなかつたため、前記と同様の理由により右請求を不承認とする旨の意思表示をしたこと、(6) 同原告は、右同日午後三時ころから就労したものの、同日午前九時から午後三時まで勤務に就かなかつたため、その間前記のとおり受付通信係の係長が一名のみとなつたが、この日も前記と同様業務繁忙期ではなく、またC課長が必要に応じて随時同係の業務を代行したこともあつて、特に業務上の支障は生じなかつたこと、(7) 原告Bは、同月二〇日午前七時三〇分ころ職員のEを通じてC課長に対し、私用のため前記のとおり同日の午前中二時間の年休を請求したうえ、同日午前一〇時から予定されていた勤務に就かなかつたが、これに対しC課長は、同日午後〇時一〇分ころ出社した同原告に、前記と同様の考えから休暇の事由を明らかにするよう求めたところ、同原告がこれに応じなかつたため、前記と同様の理由により右請求を不承認とする旨の意思を表示をしたこと、(8) 同原告が右のとおり午前中二時間の勤務に就かなかつたため、その間配達係の「外配」担当の係員は、前記のとお じなかつたため、前記と同様の理由により右請求を不承認とする旨の意思を表示をしたこと、(8) 同原告が右のとおり午前中二時間の勤務に就かなかつたため、その間配達係の「外配」担当の係員は、前記のとおり二名のみとなつたが、この日も業務繁忙期でなかつたうえ、当日同係の「交付」担当の係員は全員出勤の予定であつて、人員に余裕があつたところから「交付」担当の係員一名が「外配」の業務を手伝つたので、特に業務に支障は生じなかつたこと、(9) 原告らの職場では、これまでも平常時の日勤帯において、受付通信係の係員が二名を欠き、配達係の「外配」担当の係員が三名を欠いたことがしばしばあり、このようなときでも電報課長が本来の管理業務を行なう傍ら係員の業務を代行するなどして、係員に可及的に年休を付与するよう配慮してきたのであり、また担務予定表どおり係員を配置していても、なお業務繁忙等のために業務に停滞が生ずるおそれがあるときは、電報課長が右と同じように受付通信係あるいは配達係の業務を随時手伝つたり、配達係の「交付」担当の係員が「外配」の業務を手伝うなどして、業務上の混乱を未然に防止してきたのであつて、このように電報課長あるいは「交付」担当の係員が、他の係員の業務を代行することは通常行われていたところであつて、特段異とするに足らなかつたこと、以上の事実を認めることができ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 (四) 右認定の事実関係からすれば、原告らの職場では、日勤帯の業務処理にあたつては、受付通信係に少なくとも二名、配達係の「外配」担当に少なくとも三名の係員を配置すれば、業務繁忙期でないかぎり特に業務に支障が生ずるおそれがなかつたことが明らかである。 ところで、原告Aが年休の時季を指定した同月一一日及び同月一八日の日勤帯には、少なくとも受付通信係の係長が一名 ば、業務繁忙期でないかぎり特に業務に支障が生ずるおそれがなかつたことが明らかである。 ところで、原告Aが年休の時季を指定した同月一一日及び同月一八日の日勤帯には、少なくとも受付通信係の係長が一名配置されていたほか、C課長がいつでも同係の業務を代行しうる業務体制にあつたことが明らかであり、また原告Bが年休の時季を指定した同月二〇日の日勤帯には、少なくとも配達係の「外配」担当の係員が二名配置されていたほか、「交付」担当の係員一名がいつでも「外配」の業務を代行しうる業務体制にあつたことが明らかであるが、前認定のとおり必要に応じて随時電報課長あるいは配達係の「交付」担当の係員が、他の係員の業務を代行することが通常行われ、業務繁忙期でない限り、これによつて業務の混乱を防止できていた事実に徴すれば、右のいずれの場合も、日勤帯の業務処理にあたり最低限度必要とされる前記の人員が確保されていたものと認めるのが相当である。 してみれば、原告らの本件各年休の時季指定が業務繁忙期になされたものでないことは前認定のとおりであるから、原告らが右指定どおり休暇をとつても、原告らの各職場における右のような人員配置状況からして格別業務上の支障が生ずるおそれがあつたとは認められず(C課長が原告らに休暇の事由を質し、その事由如何によつては休暇を承認しなければならないものと考えていたのも、右と同様の認識にたつていたものと推認される。)、事実、問題の当日にはいずれも前認定のとおり格別業務上の支障が生じていないのであるから、被告が主張するような時季変更権を行使すべき業務の正常な運営が妨げられる客観的な事情は存しなかつたものといわなければならない。 (五) なお、被告は、管理業務の遂行者たるC課長が、前記のように受付通信係の業務を代行しなければならないこと自体業務の正常な運営を 妨げられる客観的な事情は存しなかつたものといわなければならない。 (五) なお、被告は、管理業務の遂行者たるC課長が、前記のように受付通信係の業務を代行しなければならないこと自体業務の正常な運営を阻害するものであり、そのために課長本来の業務にも支障が生じた旨主張するが、電報課長が本来の管理業務を行なう傍ら必要に応じて受付通信係等の業務を代行することは、前認定のとおり随時行なわれていたのであるから、本件においてC課長が受付通信係の業務を代行しなければならなかつたことが、直ちに正常な運営を阻害するものとはいえず、またC課長が受付通信係の業務を代行したため、本来の管理業務に具体的にどのような支障が生じたのか主張自体明らかでないのみならず、本件の全証拠によつてもそのような支障が生じたことを窺わせるに足りる具体的な事実を何ら認めることができないから、被告の右主張は理由がないというべきである。 また、被告は、就業規則等に、原告ら交替服務による職員の年休請求は、休暇日の前々日までにしなければならないと定められているのに、原告らがこの規定遵守せず、休暇の直前になつて突然年休の時季を指定したこと、あるいは休暇日の前々日までに年休の時季を指定できなかつた理由を説明しなかつたことが、時季変更権を行使せざるをえなつた理由のひとつでもある旨主張しているが、法は、労働者が年休の時季を指定すべき時期について、何らこれを制限すべき規定を置いていないから、いつ年休の時季を指定するかは労働者の自由であると解すべきであり(ただ、使用が時季変更権を行使する時間的余裕をおいてなされるべきことは、事柄の性質上当然である。)、就業規則等によつて右時期に関する規定を設けても、それは訓示的な意味に止まり、法的な拘束力をもちえず、したがつて原告らが休暇の前々日までに年休の時季を指定し べきことは、事柄の性質上当然である。)、就業規則等によつて右時期に関する規定を設けても、それは訓示的な意味に止まり、法的な拘束力をもちえず、したがつて原告らが休暇の前々日までに年休の時季を指定しなつたこと、あるいは指定できなつた理由を説明しなかつたことを、時季変更権を行使する理由のひとつにすることは許されないものというべきである。 (六) 右にみたとおり、原告らが本件各年休の時季を指定した当日、被告には法三九条三項但書所定の事由が存在しなかつたことが明らかであるから、被告の時季変更権に関する前記主張は、その余の点について判断するまでもなく理由がないものというべく、したがつて原告らの本件各年休は、前記のとおりその時季指定によつて有効に成立しているものというべきである。 三次に、原告B主張の本件病休の成否について判断する。 1 思うに、有給休暇としての病休は、被告の就業規則により始めて認められたものであるから、その効力発生要件は、就業規則の規定、及びその解釈、運用に関する労使間の労働協約並びに運用の実態等によつて明らかにされるべきである。 2 別紙目録(二)記載の病休に関する就業規則の各規定、及びこれらの規定の解釈、運用に関する労使間の「了解事項」「記録書」の各内容(以上いずれも争いのない事実)によれば、職員が傷病にかかり就労が因難なときは、医師の診断書を付して所属長の承認を受けることにより、所定の期間病休が与えられるのが原則であるが、病休の期間が二日以内であつて医師の証明書を受けることが因難な場合は、直属上長等の証明をもつて医師の証明書に代えることができることになつている。 原告B所属の此原局電報課における実際の運用についてみるに、成立に争いのない乙第一三号証の一ないし六五、証人Gの証言とこの証言により成立を認めうる乙第一〇号証、証人C とができることになつている。 原告B所属の此原局電報課における実際の運用についてみるに、成立に争いのない乙第一三号証の一ないし六五、証人Gの証言とこの証言により成立を認めうる乙第一〇号証、証人C、同Hの各証言、原告B本人尋問の結果を総合すると、此原局電報課では、電報課長が期間二日以内の病休請求の場合における事実の証明と、病休請求の承認の権限をも合わせ有していること、同課では、職員が二日以内の病休の承認を受けようとするときは、本人自らあるいは家族等が電話で電報課長に、電報課長が不在のときは所属の係長に病気で出勤できないから休ませて欲しい旨通知し、これを受けた課長あるいは係長は、電話での応答によつてその病状等を確認し、後日その職員が出勤してきたときに所定の「病気休暇願」なる用紙に必要な事項を記入のうえ提出させ、課長が直接右の確認をしたときはそのまま該請求を承認し、係長が右の確認をしたときは、係長の証明により課長がこれを承認し、病休として処理するのが通例であり、時には右以外の方法で病状を確認することもあつたが、必ずしも診断書その他の証明書を徴していなかつたこと、以上の事実を認めることができ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 3 原告Bが昭和四三年四月五日、同日一日の病休を請求したことは当事者間に争がなく、この事実に証人H、同Cの各証言及び同原告本人尋問の結果を総合すれば、同原告は、右同日朝起床したところ風邪気味で微熱があり、頭痛もあつたので、同日予定されていた午後〇時から同八時までの勤務に就くことは無理であると判断し、同日一日の病休を受けるべく、午前九時三〇分ころ此花局電報課に電話したところ、C課長が不在であつたため、F配達係長に対し、右症状を具体的に説明したうえ、同日一日の病休を請求し、その日は一日常備薬を服用するなどして を受けるべく、午前九時三〇分ころ此花局電報課に電話したところ、C課長が不在であつたため、F配達係長に対し、右症状を具体的に説明したうえ、同日一日の病休を請求し、その日は一日常備薬を服用するなどして自宅で静養した。 F係長は、右同日C課長に同原告から右のとおり病休の請求がなされたことを報告し、同月九日同原告から所定の用紙である「病気休暇願」に必要事項を記入されてこれを提出させ、同用紙の処理者印欄に認印をし、服務予定表及び出勤簿にも請求にかかる右当日を病休として処理をした。 ところが、後日になつてC課長は、同原告に対し当日の症状について詳しく説明を求めることなく、医師の証明書あるいは売薬を購入したことを証明する領収書等を提出するよう命じたところ、同原告は従前からそのような資料を求められたことがなかつたとしてこれに応じなかつたところ、C課長は、同原告の右病休の請求を不承認とし、欠勤扱いにした。 以上の事実を認めることができ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 4 以上認定の各事実関係からすれば、原告Bが昭和四三年四月五日、同日一日の病休の付与を求めた行為、その方法は、従前の病休請求の運用の実態と何ら変るものではなく同原告は、右同日頭痛等のために就労困難であつたものと認めるのが相当であり、またF係長が、同日不在であつたC課長に代わり同原告から病状等について具体的な説明を受け、その結果前認定のとおり「病気休暇願」の処理者印欄に認印し、かつ服務予定表及び出勤簿に病休として処理したことからすれば、同係長としても同原告が前記病気のため就労困難であつたことを認めていたものと推認でき、かつ、同係長の右処理は、前認定の病休請求の運用の実態からすれば、「記録書」にいう直属上長の証明に準じた効力を有するものと認めるのが相当である。 そして本件のような突然 を認めていたものと推認でき、かつ、同係長の右処理は、前認定の病休請求の運用の実態からすれば、「記録書」にいう直属上長の証明に準じた効力を有するものと認めるのが相当である。 そして本件のような突然の発病による一、二日間の欠勤のような場合、発病による就労困難な状態が証明されたならば、病休を付与することとしていたことからして、このような場合における所属長の承認なるものは、その事実関係を確認すること以上に出るものではなく、その承認がないから病休として成立しないとすることは相当でない。原告Bは、現に発病により就労困難の状態にあつたのであり、所属の電報課において通例行われていたとおりの病休の届出をなし、かつ、上司のF係長も必要な証明をなしたのであるから、C課長の承認の有無にかかわらず、病休として成立しているものというべきである。 四以上説示した次第であつてみれば、原告ら主張の本件各有給休暇は、いずれも有効に成立しているものというべきであるから、被告がこれを欠勤したものとして扱い、原告らが本来受給すべき賃金から右欠勤分に相当する金員(この金額については、前記のとおり当事者間に争いがない。)を控除することは許されず、この金員はいわゆる休暇手当として被告から原告らに支払われるべきものである。 したがつて、被告は、原告Aに対し、休暇(年休)手当として、賃金から控除した金員である別紙目録(一)の(ホ)欄記載の三、一七七円及びこれに対する弁済期の経過後である昭和四五年三月一一日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金並びに同原告の請求にかかる法一一四条所定の付加金として、未払の右休暇(年休)手当金と同一額の三、一七七円を支払うべき義務があり、原告Bに対し、休暇手当金として、賃金から控除した金員である同目録(ホ)欄記載の二三三円(年休手当金) 条所定の付加金として、未払の右休暇(年休)手当金と同一額の三、一七七円を支払うべき義務があり、原告Bに対し、休暇手当金として、賃金から控除した金員である同目録(ホ)欄記載の二三三円(年休手当金)と一、二六〇円(病休手当金)の合計一、四九三円及びこれに対する前同様の遅延損害金並びに同原告の請求にかかる右と同様の付加金として、未払の右年休手当金と同一額の二三三円を支払うべき義務があるものというべきである。 なお、原告らは、右付加金についても右と同様の遅延損害金の支払いを求めているが、法一一四条に基づき使用者が支払うべき付加金の支払義務は、裁判所がその支払いを命ずることによって始めて発生し、これに対する遅延損害金の起算日は該判決確定の日の翌日と解するのが相当であり、同日以前においては付加金支払義務の履行遅滞は生じていないものと解すべきであるから、原告らの本訴請求のうち、右遅延損害金の支払いを求める部分は理由がないというべきである。 五よつて、原告らの本訴請求は、右認定の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用し、なお、被告の担保を条件とする仮執行免脱宣言の申立は本件においては相当でないからこれを却下して、主文のとおり判決する。 (別紙)目録(一)〈18981-001〉以上目録(二)(1) 就業規則第三五条休暇には次の種類がある。 (一) 有給休暇ア年次休暇イ特別休暇ウ年末年始の休暇エ病気休暇(以下略)第四二条職員が次の各号の一に該当する場合は、当該各号に定めるところによりその者に病気休暇が与えられる。 (一) 業務上負傷し、または疾病にかかつたとき医師の証明に基づき療養に必要な期間 以下略)第四二条職員が次の各号の一に該当する場合は、当該各号に定めるところによりその者に病気休暇が与えられる。 (一) 業務上負傷し、または疾病にかかつたとき医師の証明に基づき療養に必要な期間(二) 結核性疾患にかかつたとき(前号に該当する場合を除く)医師の証明に基づき別に定める期間を限度として療養に必要な期間(三) その他負傷し、または疾病にかかつたとき医師の証明に基づき別に定める期間を限度として療養に必要な期間(以下略)第四五条職員は、第三五条の休暇(年末年始の休暇を除く)を受けようとするときは、事前に(交替服務による職員に係る年次休暇については、前々日までに)所属長の承認を受けなければならない。 (以下略)(2) 年次有給休暇に関する協約第六条休暇は本人から請求があつた場合に付与するものとする。ただし、請求の時季に付与できない場合は、他の時季に振り替えることができる。 (3) 年次有給休暇に関する協約の覚書四交替服務者が休暇を請求する場合は、原則として、前々日の勤務終了時までに請求するものとする。 (4) 賃金に関する協約第三六条職員が次の各号のいずれかに該当する場合には、それぞれの定めるところにしたがい昇給額を減額する。 一 (省略)二無断欠勤がある職員の定期昇給前年度の勤務期間中に無断欠勤がある職員の定期昇給は、その情状により四分の一ないし四分の二に相当する額だけ昇給額を減じて行なう。 (覚書) 1 協約第三六条第二号にいう「無断欠勤」とは、所属長の承認を受けない欠勤(欠務を含む。)遅刻および早則をいうものとする。 (以下省略)(5) 病気休暇の付与に関する了解事項職員が病気休暇を受けようとするときは、医師の証明書を付して所属長の承認を受けなければならない。ただし、病気休暇の期間が二日以内であ とする。 (以下省略)(5) 病気休暇の付与に関する了解事項職員が病気休暇を受けようとするときは、医師の証明書を付して所属長の承認を受けなければならない。ただし、病気休暇の期間が二日以内であつて医師の証明書を受けることが困難な場合は、直属上長、衛生管理者または寮長等の証明をもつて医師の証明書にかえることができる。 (6) 病気休暇の付与に関する了解事項の運用についての記録書病気休暇の付与に関する了解事項(三五中了第一四号)のただし書の運用については、次のように行なうことに意見の一致をみた。 医師の証明を受けることが困難な場合の解釈をめぐつて紛争が起きているが、この問題については、これまで検討してきたように困難な場合の例を具体的に示すことは簡単でないと考えるので、公社はこの際二日以内の病床については、医師の証明書を必要とせず届出があれば付与する明確に表現すべきである。 公社としては、組合側が主張するような取り扱いとするためには、相互の信頼と職員の良識が前提にならなければならないので、この精神で双方が指導するものであれば、二日以内の病休については、直属上長、衛生管理者または寮長等の証明により、本人が傷病のため就業できないものであることを所属が認定できるときは、画一的に医師の証明書を求めることはしない。ただし、一般的ではないが、特に傷病の事実を確認する必要があると認められる場合は、医師の証明書の提示を求めることを考えるのもやむを得ないと思う。 了解する。 目録(三)電報課の人員〈18981-002〉電報課の勤務型態〈18981-003〉目録(四)(1) 昭和四四年八月一一日の受付通信係の担務予定表〈18981-004〉(2) 昭和四四年八月一八日の受付通信係の担務予定表〈18981-005〉(3) 昭和四四年八月二〇 3〉目録(四)(1) 昭和四四年八月一一日の受付通信係の担務予定表〈18981-004〉(2) 昭和四四年八月一八日の受付通信係の担務予定表〈18981-005〉(3) 昭和四四年八月二〇日の配達係の担務予定表〈18981-006〉〈18981-007〉(注) この他に週休二名(内一名は臨時雇)、病休二名
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