令和3(あ)855 殺人、生命身体加害略取、逮捕監禁致死、逮捕監禁被告事件

裁判年月日・裁判所
令和5年7月3日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 令和1(う)585
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判決文本文2,254 文字)

- 1 -令和3年(あ)第855号 殺人、生命身体加害略取、逮捕監禁致死、逮捕監禁被告事件令和5年7月3日 第二小法廷判決 主 文本件上告を棄却する。 理 由弁護人森直也、同小坂井久、同小林功武の上告趣意のうち、死刑制度に関して憲法13条、31条、36条違反をいう点は、死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁、最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁、最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)及びその趣旨に照らして明らかであるから、理由がなく、その余は、憲法違反、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお、所論に鑑み記録を調査しても、被告人からAを拳銃で撃って殺害した旨打ち明けられたというBの証言につき、他の証拠から認められる客観的事実関係と整合することなどからその信用性を認め、被告人と共犯者である F (以下「F」という。)との共謀の事実をも認定するなどして、本件各事実について被告人を有罪と認定した第1審判決を是認した原判決は正当として是認することができ、本件につき、刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 量刑について付言すると、本件は、被告人が、Fと共謀の上、同人と金銭トラブルのあったAを、約1年2か月間にわたって狭いおりの中に逮捕監禁し、その後、Aを拳銃で射殺し(逮捕監禁、殺人)、Fほか3名と共謀の上、Fの父親の死に関わった人物とみていたC の上、同人と金銭トラブルのあったAを、約1年2か月間にわたって狭いおりの中に逮捕監禁し、その後、Aを拳銃で射殺し(逮捕監禁、殺人)、Fほか3名と共謀の上、Fの父親の死に関わった人物とみていたCをその生命に対する加害目的で略取し逮捕した上、- 2 -自動車内にその身体を緊縛した状態で閉じ込め監禁し、これら一連の逮捕監禁行為によってCを死亡させ(生命身体加害略取、逮捕監禁致死)、Fと共謀の上、同人の経営するパチンコ店から逃げ出した従業員であるDを、約1か月間にわたって倉庫内の小室の中に逮捕監禁し(逮捕監禁)、Fと共謀の上、かつて同人の父親に対する傷害致死被告事件で有罪判決を受けて服役したEの頸部を圧迫して殺害した(殺人)という事案である。 の各犯行は、FらによるAに対する債権回収に介入してきたいわゆる事件屋からAを引き離すなどの目的で、Aを長期間にわたってマンション内に設置した狭いおりの中に閉じ込めるなどし、その後、拳銃で射殺したものである。被告人は、Aを虐げて被告人に絶対的に服従する状態にさせるなど人としての尊厳を踏みにじる扱いを長期間にわたって続けたもので、逮捕監禁の態様は極めて悪質であり、拳銃を至近距離から2回発射した殺害態様は強固な殺意に基づく冷酷なものである。また、の犯行は、これに先立ち一度拉致したEに逃げられたにもかかわらず、犯跡隠蔽のための焼却炉等を用意した上でEを再び襲うなど執拗かつ計画的な犯行であり、手足を拘束され抵抗できない状態のEの頸部を強く圧迫して窒息死させたものであって、ここにも強い殺意が認められる。さらに、の犯行も、Fの父親の死に関する事情を聞き出した後に殺害する目的でCを拉致し、あらかじめ監禁及び遺体の焼却処分を見越して用意した倉庫に連れ込むなどした計画性の高い犯行であり、逮捕監禁の態様は に、の犯行も、Fの父親の死に関する事情を聞き出した後に殺害する目的でCを拉致し、あらかじめ監禁及び遺体の焼却処分を見越して用意した倉庫に連れ込むなどした計画性の高い犯行であり、逮捕監禁の態様は、両手両足を拘束した上、口にテープを貼り寝袋に入れるなどした非常に危険なものであって、実際、これによりCを死に至らしめている。別々の機会に2名を殺害し、更に別の機会に逮捕監禁行為を原因として1名を死亡させ、合わせて3名もの人命を奪った結果は誠に重大である。いずれの被害者にも特段の落ち度は認められず、遺族らが厳しい処罰感情を表明しているのも当然である。 被告人は、Fの犯行計画に沿った準備や他の共犯者への指示等を中心となって行い、また、各殺人の実行行為やA及びCの遺体の焼却処分は専ら被告人が担ったものである。したがって、本件各犯行を立案し、被告人らに実行させた首謀者はFで- 3 -あることを踏まえても、被告人は、Fの指示の下で動く実行役の中では中核的な存在であり、その果たした役割は重要かつ不可欠なものである。 これらの事情に照らすと、被告人の刑事責任は極めて重大である。 そうすると、前記のとおり、本件各犯行の首謀者はFであることなど被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって、刑訴法414条、396条、181条1項ただし書により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官勝山浩嗣、同石山宏樹、同佐々木洋二郎 公判出席(裁判長裁判官 尾島 明 裁判官 草野耕一 裁判官 岡村和美) 裁判長裁判官 尾島 明 裁判官 草野耕一 裁判官 岡村和美)

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