昭和48(オ)657 土地明渡請求

裁判年月日・裁判所
昭和49年3月22日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 昭和44(ネ)1014
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【DRY-RUN】主    文      原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。      右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人山岸光臣の上告理由について。  原判決

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判決文本文2,195 文字)

主文原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。 右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。 理由上告代理人山岸光臣の上告理由について。 原判決は、(一)被上告人がその所有の本件土地をゴルフ場用地として原審脱退被控訴会社(以下、被控訴会社という。)に賃貸したこと、(二)被控訴会社が被上告人に無断で上告会社に対し本件土地の賃借権を譲渡したこと、(三)被上告人が被控訴会社に対し賃借権の無断譲渡を理由に本件賃貸借契約を解除したことを認定したうえ、右賃借権の譲渡が賃貸人に対する背信行為にあたらないとみることはできないとして、被上告人が所有権に基づき上告会社に対し本件(1)の土地の明渡を求めた請求を認容したのである。しかして、原判決は、右賃借権の譲渡が行なわれた当時、譲受人である上告会社が賃借人である被控訴会社とは代表取締役を異にし、全く別個独立に本件ゴルフ場を経営するに至つたことを認定し、この点を重要視して、賃借権の無断譲渡を理由とする解除の効力を認めたものであることは、その判文に徴して明らかである。 しかし、(一)上告会社は、元来、被控訴会社の子会社として、本件ゴルフ場運営のために設立され、当初は代表取締役はじめ取締役もほぼ共通していたこと、(二)本件ゴルフ場の経営は当初から相当長期間継続して行なわれるものであることが予想されること、(三)被上告人以外の本件ゴルフ場用地の賃貸人百余名がすべて賃借権の譲渡を承諾していることは、原判決が認定しているところであつて、これらの諸事情は、本件土地の賃借権が上告会社に譲渡されても、通常の賃貸人にとつて、必ずしも不利益をもたらすとは断じ難いものであることを窺わせるのである。のみならず、原判決(その引用する第一審判決を含む。)は、(一)本件土地の賃貸にあ 告会社に譲渡されても、通常の賃貸人にとつて、必ずしも不利益をもたらすとは断じ難いものであることを窺わせるのである。のみならず、原判決(その引用する第一審判決を含む。)は、(一)本件土地の賃貸にあ- 1 -たり、被上告人は、賃借の申込をしてきた被控訴会社に対し、まず他の百余名の土地所有者と交渉するように勧めて、それぞれの契約を締結させたのち、最後に自己との交渉に入るに及んで、他の賃貸人らより有利な賃貸条件を持ち出して被控訴会社を困惑させ、結局、他の賃貸人らより高額の賃料で賃借することを余儀なくさせたこと、(二)その際、被上告人は、附帯契約として、本件土地の立木を五〇〇万円で買い取ること等をも被控訴会社に承諾させ、しかも、右金員を、自己の税金対策上、いわゆる裏金として支払うよう約束させたこと、(三)賃貸借期間について少なくとも二〇年との諒解が成立したにもかかわらず、被上告人はその後、些細な感情の縺れから、契約書の「五年」の記載に固執し、期間満了による契約終了を主張して本件土地の明渡を求める本訴を提起したこと、(四)本件土地は本件ゴルフ場の維持にとつて重要な位置を占めており、そのうち(2)ないし(7)の土地は、本件ゴルフ場の内奥部に点在していて、被上告人がその明渡を受けても、これを他の用途に使用することが至難であるにもかかわらず、あえて本件土地の明渡を求めていること、などの諸事情をも認定しているのであり、これによれば、被上告人は、本件賃貸借契約の賃貸人として誠実な態度を維持していたとは必ずしも言い得ない。 以上のような観点よりするときは、本件賃借権の譲渡が被上告人に無断でなされたことは、上告会社側にとつて少なからぬ落度があつたと言うべきものであるとしても、他の賃貸人らすべてが本件賃借権の譲渡を承諾して本件ゴルフ場用地のための賃貸借の存続 権の譲渡が被上告人に無断でなされたことは、上告会社側にとつて少なからぬ落度があつたと言うべきものであるとしても、他の賃貸人らすべてが本件賃借権の譲渡を承諾して本件ゴルフ場用地のための賃貸借の存続を望んでいるにかかわらず、一人被上告人のみがこれを承諾しないことは、賃貸借関係における信義則上、問題があると解する余地かないではなく、上告会社の経営者が被控訴会社のそれと異なるに至つたとしても、そのために、本件土地の使用収益の方法、経営者の信用の程度、賃料支払の確実性等に、実質的な影響があつたかどうかなど、本件賃借権の譲渡が被上告人に不利益を及ぼすものではない旨の上告会社の主張について審理を尽くしたうえで、その譲渡が賃貸人に対- 2 -する背信性を具有するかどうかの判断をする必要があるものと言うべきである。しかるに、原審は、これらの点についてなんら判示するところがないから、原判決には民法六一二条の解釈、適用を誤り、ひいて審理不尽、理由不備の違法があり、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかで、本件上告は、この点において理由があるものと言うべきである。 よつて、上告理由中その余の点についての判断を省略し、民訴法四〇七条一項により原判決中上告会社敗訴の部分を破棄し、前記の点につきさらに審理、判断させるため右部分を原審に差し戻すこととし、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官大塚喜一郎裁判官岡原昌男裁判官小川信雄裁判官吉田豊- 3 - 裁判官小川信雄裁判官吉田豊- 3 -

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