主文 被告人を懲役6年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成29年12月17日午後3時頃から同日午後4時頃までの間に,大阪市内のマンション当時の被告人方において,実子であるA(当時生後6か月)に対し,その両脇等を両手で抱えたままその頭部等を前後に激しく揺さぶり,同人をソファ付近に放り投げ,その頭部等を壁等に打ち付けさせるなどの暴行を加え,よって,同人に急性硬膜下血腫,脳浮腫,両眼網膜出血,左上腕骨遠位端骨折,右下顎縁沿いの線状表皮剥脱並びに右頰部,左下顎縁中央部及び右大腿󠄀部等の皮下出血等の傷害を負わせ,平成30年1月6日午後2時53分頃,同市内の病院において,同人を前記急性硬膜下血腫,脳浮腫等の傷害に基づく頭蓋内損傷による脳機能不全により死亡させた。 (証拠の標目)略(法令の適用)罰条刑法205条(量刑の理由) 1 被告人は,無抵抗の被害児の両脇を抱えるなどして,その頭部等を手加減することなく揺さぶった上で放り投げる行為を2回繰り返し,放り投げた際に被害児の頭部等を壁等に打ち付けさせるという強度の暴行を加えており,行為態様は悪質である。もっとも,児童虐待でも,殴打するなどの暴行を長時間加えたような事案と比較すると,本件が特に執拗で無慈悲とまで評価することはできない。 生後わずか6か月で,実の父親によって一方的に命を奪われた被害児の無念は察するに余りあり,被害児の死亡という結果はもとより重大である。被害児の母(被告人の本件当時の妻)及び祖母が厳しい処罰感情を抱くのも当然である。 被告人は,本件当日,仕事のために家を空けていた妻の代わりに,長男(当時1歳9か月)と被害児の育児を一人で担っており,泣き止まない被害児に苛 )及び祖母が厳しい処罰感情を抱くのも当然である。 被告人は,本件当日,仕事のために家を空けていた妻の代わりに,長男(当時1歳9か月)と被害児の育児を一人で担っており,泣き止まない被害児に苛立ちを募らせ,突発的に本件犯行に及んだと認められるところ,このような動機に酌量すべき事情はない。しかし,被告人は,これまで,不慣れながらも被告人なりに長男及び被害児の育児に努めていたのであり,本件までに虐待を加えたとの事情は認められないこと,本件当時,仕事が繁忙な中で育児を行っており,相当程度ストレスを抱える環境にあったのは理解できることなどを踏まえると,検察官の主張するように,本件犯行の動機や経緯が救いようのないほど悪質とまではいえない。 これらの諸事情を踏まえると,本件は,凶器を用いない児童虐待による傷害致死事件の中で,中程度の部類に属する事案である。 2 一般情状についてみると,被告人が法廷で拙いながらも反省の弁を述べたこと,前科前歴がないことなどの事情が認められる。なお,被告人の父親が今後の監督を誓約したが,十分な監督は期待し難いことからすると,この点は被告人に有利な事情として考慮することはできない。 以上より,被告人を主文の刑に処するのが相当と判断した。 (求刑懲役8年)平成31年1月22日大阪地方裁判所第5刑事部裁判長裁判官長瀨敬昭裁判官大久保優子裁判官大畑勇馬
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