平成18年7月19日判決言渡平成15年(ワ)第29336号損害賠償請求事件判決主文 原告らの被告らに対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実 及び理由第一請求 被告らは,原告A1に対し,連帯して金2710万7046円及びこれに対する平成15年6月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告A2に対し,連帯して金300万円及びこれに対する平成16年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告らは,原告A3に対し,連帯して金300万円及びこれに対する平成16年1月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 訴訟費用は被告らの負担とする。 仮執行宣言第二事案の概要本件は,原告A1(以下「A1」という)が,平成3年6月3日,当時通。 園していた幼稚園のトイレで同じ年中組であった訴外B1(以下「B1」という)と衝突して頭部を強打する事故に遭い,救急車で搬送されたC赤十字病。 院(以下「被告病院」という)における被告日本赤十字社の雇用する医師の。 治療に過誤があったために脳の外傷が悪化したことが原因で外傷性てんかんなどを発症したとして,B1の両親である被告B2及び同B3(以下両者を併せ 。 ,て「B夫妻」という)に対しては責任無能力者の監督義務者の責任に基づき被告病院を設置運営する被告日本赤十字社に対しては使用者責任に基づき,原告A1が被告らに対して損害賠償金とこれに対する不法行為の後である平成15年6月27日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,原告A1の両親である原告A2(以下「A2」という)及び原告。 A3(以下「A3」という)が被告らに対して慰謝料金とこれに対する訴状 ら支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,原告A1の両親である原告A2(以下「A2」という)及び原告。 A3(以下「A3」という)が被告らに対して慰謝料金とこれに対する訴状。 送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 これに対し,被告B夫妻は訴外B1が原告A1と衝突したことを否認し,被告病院は治療行為に過失が存することを争い,さらに被告らは,本件事故と原告A1の症状(てんかん)との因果関係を争った。 一争いのない事実等 当事者等(一)原告A1は,原告A2と原告A3の子であり,昭和61年8月11日生まれである。訴外B1は,被告B夫妻の子であり,昭和61年4月6日生まれである。平成3年6月3日当時,原告A1は4歳,訴外B1は5歳であり,ともに東京都練馬区a町b丁目c番d号所在のD幼稚園(以下「本件幼稚園」という)年中組に通園していた(乙1,丙4,。 。 AB8)(二)被告日本赤十字社は,被告病院を設置運営しており,E医師(以下「E医師」という)は,本件当時から被告病院に勤務している小児科医。 である(乙6,証人E医師,弁論の全趣旨)。 A 本件事故の発生A1は,平成3年6月3日午後1時20分頃,本件幼稚園で,トイレから出ようとしたところ,トイレに入ろうとした園児と衝突しあお向きに転倒し後頭部をぶつけた。A1が転倒したとき,訴外B1は衝突現場のトイレにい た。A1の担任のF教諭(以下「F先生」という)は,A1から頭を打っ。 たことを聞いたが,A3にも幼稚園の園長にもそのことを伝えなかった。 (丙12,争いのない事実)B 被告病院の受診A3は,同日本件幼稚園までA1を迎えに行ったが,自宅に戻る途中でA1の体調が悪くなり,自宅に戻っ 3にも幼稚園の園長にもそのことを伝えなかった。 (丙12,争いのない事実)B 被告病院の受診A3は,同日本件幼稚園までA1を迎えに行ったが,自宅に戻る途中でA1の体調が悪くなり,自宅に戻った後救急車で被告病院を受診した。被告病院では,小児科のE医師がA1を診察し,採血,,脳波,髄液検査等をCT実施した(甲2)。 A 本件の診療経過は,別紙事実経過及び診療経過一覧表(ただし,下線部分。 ,を除く)のとおりである(なお,別紙事実経過及び診療経過一覧表のうち事実経過,診療経過欄,反論欄中下線を付した部分は,当事者間に争いのある事実であり,その余の事実は当事者間に争いがない。 。) A1は,平成12年6月28日,中学校で突然崩れ落ちるように倒れて意識を失い,救急車でG病院を受診した。A1は,その後も同年8月25日,同年10月1日,平成13年10月8日と計4回にわたり突然倒れて意識を失い病院に搬送された。 A1は,てんかんを疑われ,平成13年10月23日から抗てんかん剤を服用するようになった(甲16,17の1)。 A 本訴状が被告らに対して送達されたのが平成16年1月16日であることは,当裁判所に顕著である。 二 争点 本件事故の状況と加害者 原告A1について早期の脳外科受診の必要性及び髄液検査の適応の有無 原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったか否か。 原告A1に足の激痛及び外傷性てんかんが発生したか否か,並びに原告A1に生じた症状と本件事故との間に因果関係があるか否か。 被告病院の髄液検査と損害との間に因果関係があるか否か。 損害額(本件で判断する必要がなかった争点)三争点に関する当事者の主張争点についての当事者の主張は、別紙主張要約書のとおりである。 第三当裁判所の判断一 害との間に因果関係があるか否か。 損害額(本件で判断する必要がなかった争点)三争点に関する当事者の主張争点についての当事者の主張は、別紙主張要約書のとおりである。 第三当裁判所の判断一証拠によれば、原告A1の診療録には下記1の記載があること及び下記2の事実を認めることができる(以下()内に書証番号を示し,書証番号のの後。 Pろの数字はページ数を示す)。 1(一)被告病院小児科の入院時看護記録(平成3年6月3日)の入院までの経過欄には次の記載がある(乙 23)。 APA1は,平成3年5月26日,体温37.5度の発熱,咳,喘鳴があり,近医を受診して喘息様気管支炎といわれ,内服薬を服用して2,3日で軽快した。 同年6月1日,体温37.5度の発熱,喘鳴ごくわずかあり,家で様子を見ていたが,同月2日午後から体温が下がり元気だった。 同月3日,朝から元気に幼稚園に行った。13時30分トイレで転倒して後頭部を打撲した。本人は何も訴えなかったので,その後も普通に幼稚園で過ごしていた。13時50分に母親が幼稚園に迎えに行った。朝と比べて顔色不良で疲れた様子だった。自転車に乗せるとしくしく泣き出した。 「つらいの」と問うと「うん」と答えていた。家に帰ってからぐったりしていたのですぐに寝かせたが,14時過ぎより「痛い痛い」と泣き叫んだ。 両上肢を突っ張り閉眼したまま泣くことを3分間ずつ3回繰り返した。1回嘔吐あり。いくら呼んでも返事をせず,泣き叫ぶので救急車を呼んだ。 救急車の中で歯を強く食いしばり,眼球上転あり(時間ははっきりしない,嘔吐(-),救外でEEG(脳波)の最中,嘔吐1回あり,CTをと)り,入院となる。 (二)被告病院小児科の外来カルテの初診時(平成3年6月3日)の現病歴欄には,次の記載がある(乙 3,4)。 A ),救外でEEG(脳波)の最中,嘔吐1回あり,CTをと)り,入院となる。 (二)被告病院小児科の外来カルテの初診時(平成3年6月3日)の現病歴欄には,次の記載がある(乙 3,4)。 AP13時50分に迎えに行ったら「疲れた感じ,帰宅後嘔吐,イタイタ」イと泣きわめく,救急車で歯を食いしばっていた,眼球上転あり,泣いたりとか歯を食いしばることを救急車の中で繰り返していた。頭を打った? 「頭を打った」と本人は言っている。 AP~(三)被告病院小児科の入院カルテには,次の記載がある(乙 2,57)。 (1)現病歴欄の記載1週間前から風邪気味,時に37.5度軽度の発熱+,幼稚園のトイレにて転倒,30分後帰宅するが元気なし,突然イタイイタイと言い,せん妄となる。救急車にて来院,発熱(-),嘔吐+,下痢(-),けいれんはっきりせず。 (2)6月3日の欄の記載意識障害にて入院,#外傷,#脳炎,脳症,♯てんかん,#代謝異常検査結果上,血ガス,髄液,頭部,レントゲン全て正常範囲内CT20時覚醒,意識清明,髄膜刺激徴候np,23時40分,頭痛とのコールあり,診察時入眠中,項部硬直(-)++ルンバール後の頭痛か?昼間頭部打撲しており,念のため脳外御高診。 (3)6月3日の小児科から脳外科への診療依頼状の記載主訴として頭痛。本日意識障害のため17時50分当科入院となった児です(本日13時30頃幼稚園で転倒し,後頭部を打ったそうで。 す)当科にて血液検査,ルンバール,頭部CT(-),EEG,頭部X。 p施行しましたが,異常は認められていません。その他尿ケトンで+++した。20時ころより意識清明となりました。23時頃より後頭部の頭 痛を強く訴えています。頭痛と頭部打撲につき御高診お願い申し上げます。 (4)ア は認められていません。その他尿ケトンで+++した。20時ころより意識清明となりました。23時頃より後頭部の頭 痛を強く訴えています。頭痛と頭部打撲につき御高診お願い申し上げます。 (4)ア上記依頼に対する同月4日の脳外科の医師の返事の記載打撲部に打撲の跡はなく,ご指摘どおり,頭部Xp,CTとも異常はありません。半日たっての診察でしたが,特に神経学的に異常ないようです。けいれんも話を聞いた限りでははっきりしません。……様子を見るのでよいと思われます。 Aイなお,被告病院脳外科の外来カルテには,次の記載がある(乙 4)。 P6月4日午前0時30分の所見として,入眠しているが,呼名繰りXp返し開眼し発語あり。外傷なし。運動面:四肢の動き良好,頭部:骨折なし,:,経過観察でよいとお話しする。 CTnp 原告A2は,原告A1が救急車で搬送された際には大学で講義中であったが,原告A3からの伝言を聞いて自宅に帰り,午後3時頃自宅に到着した。 原告A3は、本件幼稚園からA1を連れて帰る途中でA1が「頭ゴッツンしたの」と言っていたのを思い出し,被告病院でA1が検査を受けている間に,原告A2に電話して,幼稚園に電話して本件幼稚園でA1が頭を打ったかどうか確認するように依頼した。原告A2は,本件幼稚園に電話して,A1の担任のF先生に対し,A1が園で頭を打ちませんでしたかと尋ねたところ「はい打ちました。自分で打ったと言っていました」という返答が戻,。 ってきた。原告A2は,このとき特に頭を打った状況等については何も質問せずF先生から何も説明を聞いていない。その後,原告A2は,電話を切り,原告A3が再びかけてきた電話で,原告A3に対して原告A1が頭を打ったことが幼稚園で確認できたことを伝えた(甲2、甲17の1,原告A。 A 説明を聞いていない。その後,原告A2は,電話を切り,原告A3が再びかけてきた電話で,原告A3に対して原告A1が頭を打ったことが幼稚園で確認できたことを伝えた(甲2、甲17の1,原告A。 AA2)二前記第二の一の争いのない事実等と上記一で認定した事実に加え、以下の証 拠及び弁論の全趣旨によれば、本件について以下の事実が認められる(以下。 ()内に書証番号を示し,書証番号のの後ろの数字はページ数を示す)P。 平成3年6月3日から4日にかけての診療経過(日付の記載のない時刻表示は全て同月3日の時刻である)(一)原告A1は,被告病院小児科に搬送された時点で,意識障害があり,その程度は3・3・9度方式で3-100であった。 原告A3は,E医師に対し,原告A1を午後1時50分頃本件幼稚園に迎えに行き,朝と異なり疲れた感じで体調が悪そうであったので帰宅後寝かせたが,原告A1が嘔吐し突然イタイタイと泣きわめくようになり,救急車を呼んだところ,救急車内では歯を食いしばり,眼球上転があり,泣いたり歯を食いしばることを繰り返していたことを告げた。 E医師は,診察の初めに原告A3が痛みを訴えているのが腹部かもしれないとして「まさか腸重積ではないでしょうね」と尋ねたため,意識障害との関係は薄いと思ったが念のため浣腸して便の性状を確認し,腸重積を否定した。この時点では,4歳の原告A1が本件幼稚園で頭をゴッツンしたと言っただけであるから原告A3も原告A1が真実頭を打ったかどうか確認ができておらず,E医師も頭を打ったかも知れないと原告A3から聞いただけであり,頭部を診察したが外傷や打撲痕はなかった(証人E医。 師)(二)E医師は,輸液を行うとともに20パーセントブドウ糖液40CCを静脈注射し,さらに意識障害の原因を探るため,採血・検尿等 だけであり,頭部を診察したが外傷や打撲痕はなかった(証人E医。 師)(二)E医師は,輸液を行うとともに20パーセントブドウ糖液40CCを静脈注射し,さらに意識障害の原因を探るため,採血・検尿等ルーティンの検査,血液ガス,頭部レントゲン写真,頭部と検査を実施したが,CT上記静脈注射後の検尿で尿糖,ケトン体という異常が見られたほ+++++++かは,頭部の骨折や頭蓋内出血,脳挫傷等の異常は何も認められなかった。 原告A1は,脳波検査()中に嘔吐し,原告A3は,午後4時頃までEEGには原告A2に電話して原告A1が本件幼稚園で頭を打ったことを確認で きたので,脳波検査後にE医師に対して,原告A1が頭を打ったことを伝えたが,受傷状況については何も説明できなかった。E医師は,さらに意識障害の鑑別診断を進めるため午後5時50分頃髄液検査を実施したが,異常所見はなかった(証人E医師,原告A3)。 (三)E医師は,原告A1が意識障害で被告病院に搬送された時点で,意識障害の原因として,Ⅰ頭蓋内病変として,①頭部外傷,②脳血管障害,③感染症,④脳症,⑤脳腫瘍,⑥てんかん,⑦脱髄性疾患,⑧血管炎,Ⅱ頭蓋外病変として,循環障害,呼吸障害,代謝障害,感染症,及びⅢ心因性を鑑別診断する必要があると考えていた。ただ,E医師は,病歴等を聞いて,上記のうち,Ⅰの②脳血管障害及び⑤脳腫瘍,Ⅱの循環障害及び呼吸障害,並びにⅢについては,可能性が低いと考えていた。 E医師は,髄液検査を行う前の血液検査,頭部,,脳波検査が終XpCT了した段階で,上記鑑別を要する疾患のうち,Ⅰの①頭部外傷のうちの硬膜下血腫及び硬膜外血腫,②脳血管障害のうちの脳内出血,急性小児片麻痺,Ⅱの循環障害,呼吸障害,代謝障害のうち糖代謝異常,肝障害のうちの肝性昏睡,高アン を要する疾患のうち,Ⅰの①頭部外傷のうちの硬膜下血腫及び硬膜外血腫,②脳血管障害のうちの脳内出血,急性小児片麻痺,Ⅱの循環障害,呼吸障害,代謝障害のうち糖代謝異常,肝障害のうちの肝性昏睡,高アンモニア血症,水・電解質異常のうちの低ナトリウム血症,高ナトリウム血症,低カルシウム血症,低マグネシウム血症及び水中毒,低体温並びに熱射病が否定されたほか,敗血症も否定されたと判断した。したがって,この時点で残されていた鑑別を要する疾患は,Ⅰの②脳血管障害のうち少量のくも膜下出血があるか否か,③脳炎などの感染症,④脳症,Ⅱのうちの代謝障害という程度となった。 脳炎や脳症は,早期に診断して治療を開始しなければ,病状が急変したり後遺症が残ったりする結果を招くおそれがあることから,E医師は,髄液検査によって脳炎,脳症あるいはで検出できない程度の少量のくもCT膜下出血といったものを否定したいと考えて髄液検査を実施した。 原告A1には,髄液検査の禁忌とされている脳圧亢進症状は見られなか った。原告A1の髄液検査の結果として,血性の髄液は見られなかった。 (証人E医師)(四)原告A1は,午後8時頃意識を回復し,トイレで衝突して転倒し後頭部を打撲したことを話した。原告A1は,午後11時40分頃頭痛を訴え,原告A2は,ようやくそのころになって長男を寝かしつけて被告病院に駆けつけて,脳外科医の診察を求め,被告病院小児科当直医のH医師は,その希望を容れ,当日の当直がたまたま脳外科のI医師であったので診察をX依頼した。I医師は,翌4日午前0時30分原告A1を診察して,頭部やを検討したが,頭部に外傷もなく頭骨の骨折も脳の損傷も認めらpCTれず,神経学的にも異常所見がなかったので経過観察でよいと判断し,その旨小児科に返答した(証人E医師,原告A3)。 ,頭部やを検討したが,頭部に外傷もなく頭骨の骨折も脳の損傷も認めらpCTれず,神経学的にも異常所見がなかったので経過観察でよいと判断し,その旨小児科に返答した(証人E医師,原告A3)。 (五)原告A1は,同年6月4日は,機嫌良く吐き気もなく神経学的にも異常が認められなかったので,原告A2らが退院を希望したところ,E医師は,翌5日の退院を許可し,原告A1は,同月5日朝血液検査を受けた後で被告病院を退院した(乙 8 9)。 AP ~2(一)原告A1は,被告病院小児科を退院した翌日の平成3年6月6日,突然腰痛,下肢痛が出現して救急車で被告病院を受診した。原告A1は,被告病院救急外来で診察を受けたが神経学的所見には異常がなく,巣症状もなく,診察中に徐々に痛みが軽くなった。原告A1の家族が脳外科の診察を希望したので救急外来からの依頼で脳外科でも診察を受けたが,発熱,嘔吐,頭痛といった訴えはなく,起立,歩行も可能であったので,脳外科の医師は脳外科が対応する問題ではないとして救急外来に経過観察でよいと返事し,救急外来の医師は外来で経過観察とした(乙1,2,5)。 A(二)原告A1は,同月6日以降毎日のように突然下肢痛が出現し,痛みがおさまるまでしゃがみ込んで足を動かすことができないことを繰り返した。 原告A1は,小学校入学後は次第にこのような下肢痛が出現する頻度が減 少した。 しかし,原告A1は,同月6日以降,下肢痛の診断,治療のために一度も医療機関を受診したことはなく,原因を調べるための検査を受けたことも全くなかった。原告A2から原告A1の下肢痛について打ち明けられ,見守ることを依頼された小学校のJ教諭は,一度も原告A1が下肢痛に襲われたところを見たことはない(甲3,15,16,原告A3)。 A てんかん発 A2から原告A1の下肢痛について打ち明けられ,見守ることを依頼された小学校のJ教諭は,一度も原告A1が下肢痛に襲われたところを見たことはない(甲3,15,16,原告A3)。 A てんかん発作(一)原告A1は,中学2年生であった平成12年6月28日,中学校で昼休みに階段を上りきったところで急に意識を失って倒れた。けいれんの有無については明らかでない。原告A1は,救急車でG病院に搬送されたが,G病院到着時には意識は回復して清明であり,呼吸,脈拍,血圧などバイタルサインにも異常はなく,にも異常はなかった。そこで,G病院のCT医師は,K病院を紹介した(甲4の1及び2,丙7のうちの甲8部。 AB分)原告A1は,同年7月12日K病院を受診した。K病院の外来カルテには,訴え,状況等欄に,立っている時倒れて気を失った,検査をしたい,G病院では,血液,,心電図,調べたが異常なし,脳波のとれる病CTXp院に行くように言われた,原因,症状,経過等欄に,6/28立っているとき急に意識消失発作+,全身けいれん(5分間)今回初めて,神経学的所見異常なし,と記載されている。原告A1は,同年7月14日K病院で脳波検査を受け,外来カルテには,左右差があるθ波が出現している(θ波は,脳の機能低下時に出現することもあるが,幼児では異常所見とはいえない,MRIの所見は異常がないと記載されている(甲5,9))。 A(二)原告A1は,同年8月25日,クラブ活動の合宿で訪れた中学校の箱根寮で,入浴中に洗い場で意識を失って倒れた。このとき原告A1の手がけいれんしていた。原告A1は,救急車でL医院に搬送されたが,到着前 から意識が回復し始め,L医院に到着後完全に意識が回復した。原告A1は,入院せずに箱根寮に戻ったがその後は異常は生じなか 手がけいれんしていた。原告A1は,救急車でL医院に搬送されたが,到着前 から意識が回復し始め,L医院に到着後完全に意識が回復した。原告A1は,入院せずに箱根寮に戻ったがその後は異常は生じなかった(甲 。 A4,丙7のうちの甲8部分)B(三)原告A1は,同年10月1日,中学校の学園祭で演劇部の公演で舞台上で演技をしている際に,突然身体をゆっくり回転させながら崩れるように倒れた。原告A2が舞台に駆け上がると,原告A1は横向きに倒れて手足を少しけいれんさせており,口から泡を吹いていた。 原告A1は,救急車で被告病院に搬送され,12時45分に被告病院に到着し,15時30分に帰宅した。 被告病院小児科の外来カルテには,現病歴欄に「演劇会で意識を消失,し,体をひねりながら背中から転倒,後頭部を打った。約5分間けいれん+,救急車内で気がついた。頭痛+,5分間のけいれん後は閉眼しているが受け答えは可能であった。15分位して意識が戻った。5月にも同様の既往があり,2階から3階に上がって部屋に入って転倒。 ,脳波上異CT常なし。ストレスがたまっている。不登校の子のことをみんなに聞かれる。 精神科で軽~中度抑うつ状態と診断され内服中」との記載があり,外来カルテの診断欄には,平成12年5月学校でも失神したこと+,このときも体を回転させるように倒れ最初の5分間は全身性強直けいれん様の手足の動きあり,流涎+,その後呼名に反応,手を握り返すなどの動きが出て15分くらいで意識レベル清明に,との記載があり,鑑別診断としててんかAApBんとヒステリーが記載されている(甲17の1,乙 3,4,丙。 7のうちの甲8部分)(四)原告A1は,平成13年10月8日,ファーストフード店内で突然意識を失って手足がけいれんを起こし,約5分間経過後呼 が記載されている(甲17の1,乙 3,4,丙。 7のうちの甲8部分)(四)原告A1は,平成13年10月8日,ファーストフード店内で突然意識を失って手足がけいれんを起こし,約5分間経過後呼びかけに反応するようになった。原告A1は,救急車でK病院に搬送されたが,到着時には意識清明で,頭部,検査をしたが異常なく,医師は,駆けつけた原XpCT 告A3と原告A1に対し,今回で3回目であり,てんかん発作が疑われるのでMRIや脳波等を外来で精査するように説明した。 原告A1は,同月11日,脳波を専門とするMクリニックで脳波検査を受け,基礎波形はα波にθ波が頭頂葉,後頭葉で混入する年齢相応の基礎波形で,左頭頂葉優位の陰性棘波様波形が出現し,びまん性の3~4ヘルツの棘波様波形を伴う高振幅徐波が散発という所見が得られ,軽度の異常が見られるという判定であった。K病院では,同月23日,Mクリニックでの脳波検査の結果を意味がはっきりしない棘波が出ていると判断し,MRI検査では異常がないが,てんかんの治療として抗てんかん剤の投与を開始した。 原告A1は,同年12月11日にもMクリニックで脳波の再検査を受けたが,所見は前回検査とほぼ同じで,陰性棘波様波形が出現した部位が左P(左頭頂葉)ではなく(電極の頭の頂点部分)優位であったこととCzびまん性の3~4ヘルツの棘波様波形を伴う高振幅徐波が出現しなかったことだけが異なっていて,判定は前回と同じ軽度の異常波形が見られるというものであった(甲5,10,11,16)。 A 本件事故とてんかんとの関係についての医師の見解(一)原告A3は,平成13年11月6日,K病院の医師に対し,本件事故が原因でてんかんという後遺症が生じたという内容の診断書を書くように依頼した。K病院のN医師は,平成12 係についての医師の見解(一)原告A3は,平成13年11月6日,K病院の医師に対し,本件事故が原因でてんかんという後遺症が生じたという内容の診断書を書くように依頼した。K病院のN医師は,平成12年6月に初回発作,同年10月に2回目の発作があり,その9年前の1991年(平成3年)に頭部外傷を受けたが,当時のでは異常なし,頭蓋骨骨折はなかった,意識障害がCTあり被告病院の治療を受けたという事実関係を前提として,MRI上異常所見がなく外傷当時の所見を持っていない当院としては必ずしも因果関係を証明できるものではないことを説明して,外傷との因果関係を証明するよう要望があるが不可能であると返答した(甲5)。 A (二)原告A1は,その後平成14年3月19日からO病院小児神経科のP医師の診療を受けるようになり,P医師は,平成15年9月30日,診断書で原告A1の病名をてんかんと診断し「てんかんの原因は不明です。 ,現時点では,遺伝的,器質的原因は証明できません。1991年に意識消失を伴う頭部外傷の既往がありますので,これが本症の原因である可能性もあります」と記載した。P医師は,原告A1の脳波の焦点を,左頭頂より中心部であると診断している(甲6,7,丙7の甲8部分)。 AB(三)E医師は,平成3年6月3日に原告A1が,自宅で「痛い痛い」と泣き叫び,両上肢を突っ張り閉眼したまま泣くことを3分間ずつ3回繰り返したこと,救急車の中で歯を強く食いしばり,眼球を上転させていたことについては,せん妄状態なのかけいれんなのかはっきりせず,てんかんの全般性の強直発作の部分症状として考えることも可能ではあるが,全身性のけいれん発作を起こしている最中に痛いと言葉を話すということは通常は考えられないから,これら一連の症状は全身性けいれん発作では の全般性の強直発作の部分症状として考えることも可能ではあるが,全身性のけいれん発作を起こしている最中に痛いと言葉を話すということは通常は考えられないから,これら一連の症状は全身性けいれん発作ではないのではないかと判断している(証人E医師)。 本件幼稚園及び園児の状況(一)本件幼稚園では,建物2階に年長組の教室が3クラス,1階に年中組の教室が2クラスあった。2階にはトイレがなく,2階の年長組の園児も本件事故現場である1階のトイレを利用していた。本件幼稚園では,午後2時に通常保育は降園になるので,担任の先生は,午後1時ころからクラスの園児をトイレに行かせるようにしており,トイレが混まないように他のクラスの園児がトイレを済ませたかどうかを確認しながら自分のクラスの園児を順次トイレに行かせるようにしている。しかし,それでも,午後1時から午後1時40分頃にかけては,トイレの中に園児が20人くらいいる状況になり,年長クラスの担任の先生は,1階のトイレの状況を見ながら自分のクラスの園児をトイレに行かせるようにしていたが,年中の園 児と年長の園児がトイレで一緒になることもある。本件幼稚園では,階段を駆け降りないよう指導していたが,中には急いでトイレに行こうとして階段を駆け降りる年長の園児もいた(丙8)。 B(二)本件事故現場のトイレのドアは,事故当時から外開きのドアであった。 1階のトイレの出入口は,トイレの中央部付近の廊下に面した場所と,トイレの横の階段に面する場所の2箇所あり,事故現場のトイレから近い中央部付近にある廊下に面した出入口を出ると,廊下をはさんで向かい側にゆり組の教室がある。1階トイレのドアの幅は54センチメートル,トイレの奥行きは69センチメートルであった(丙9,証人Q)。 B(三)原告A1は,本件幼稚 口を出ると,廊下をはさんで向かい側にゆり組の教室がある。1階トイレのドアの幅は54センチメートル,トイレの奥行きは69センチメートルであった(丙9,証人Q)。 B(三)原告A1は,本件幼稚園の年中組のうちのすみれ組に在籍し,B1は,同じ年中組のうちのゆり組に在籍していた。B1は,原告A1よりも4か月早く生まれている(証人Q)。 (四)原告A1の身長は,平成元年9月の3歳児健診の時点で90.6センチメートル,平成5年5月の6歳8か月の時点で111.6センチメートルであった。 80パーセントの児童の身長は,3歳の時点では87ないし97センチメートル,6歳の時点では105ないし116センチメートルの範囲内に入るが,原告A1の身長もその範囲内にあり,ことさらに小柄というわけではない(甲12,13)。 A 本件事故についての原告A1の記憶と本件事故をめぐる交渉経緯等(一)原告A1は,意識が回復した後の平成3年6月4日朝,原告A3に対して,本件幼稚園のトイレから出ようとしたところ突然園児がトイレに飛び込んできて衝突し,原告A1が転倒して後頭部を打ったこと,転倒した後で見たら相手の園児の胸の名札にはひらがなでB1の氏名が書いてあったことを話した。原告A1は,衝突前に誰かが廊下をすごい勢いで走ってくる音が聞こえていたこと,その子がノックもせずにトイレの個室に駆け 込んできたことを記憶している(甲16,原告A3)。 A(二)Q園長のダイアリーには,平成3年6月6日の欄に以下の記載がある。 (甲18)AA1さん6/31:20頃①トイレでB1に開けられ,足をふまれすべる。泣いてRとFに訴える。担任はいったんは聞いたがこのままにしてしまう。 ②帰りの支度(Aいすにすわる,母迎えの際,泣く。担任は「どう)して泣く 0頃①トイレでB1に開けられ,足をふまれすべる。泣いてRとFに訴える。担任はいったんは聞いたがこのままにしてしまう。 ②帰りの支度(Aいすにすわる,母迎えの際,泣く。担任は「どう)して泣くの」と聞き,母に少し風邪気味ですかとたずねる。 ③子供は,6/8父からの話だと「園長と担任2人がすみれ組にいて職員室で少し冷やしてもらった。→園側でいうと事実ではない。 ④家に帰り,もどし,日赤へ行く。内科の検査(頭を打ったことを知らなかったので)から始まり,頭の検査になる。 夜8:303人で病院。翌日4日4時過ぎ病院へ(F見舞品もって再度。 )5日F病院へ,退院後であり家に(母より担任,園長,父親とTEL話したい旨。 )6日父親と話す(園長)→自宅へは無用,用件を聞く。 TEL),8日(土)園に来てくださる(父。3人(後で園主もまじえ)要望用件を聞く。 ゆ,す担任,園長とでB1よりトイレで確認。 Aさん要望{頭を打つ→10年の内5年再発50%,残5年再発20%}・園からの陳謝・B1謝罪・園から家族・本人に対してのそれなりの気持ちを表してほしい(三)原告A2は,平成3年6月6日Q園長に電話して,F先生とQ園長に対して,本件事故の経緯について当初F先生らが原告A1が自分で頭を打 ったと説明しB1と衝突したことを隠していたことについて説明を求めた。 原告A2は,同月8日本件幼稚園でQ園長らと話合いをした際に,1週間たっても加害者の両親が謝罪に来ないと園長に対して不満をぶつけ,Q園長の謝罪と原告の損害を補償すること及びB1の謝罪を要望した。 Q園長は,その後,事故現場のトイレで担任のF先生とともにB1に確認したが,B1がどのように答えたか覚えていない。Q園長は,その後,被告B3に電話して,自分も同行するので一緒に原告方に謝罪に した。 Q園長は,その後,事故現場のトイレで担任のF先生とともにB1に確認したが,B1がどのように答えたか覚えていない。Q園長は,その後,被告B3に電話して,自分も同行するので一緒に原告方に謝罪に行くことを要請した。 (甲18,証人Q,被告B3)A(四)(1)本件幼稚園は,原告A2との間で,平成3年6月15日,原告A1の本件事故に関し,以下の内容の確認書を作成した(丙7の7枚。 B目)①本件事故に関しては本件幼稚園に責任がある。 ②事故発生後の本件幼稚園の対応措置は不適切であった。 ③①及び②によって,原告A1及び原告A2ら親族は,肉体的及び精神的に多大な苦痛を強いられた。 ④当該事故に起因する諸経費は,本件幼稚園が支弁する。 ⑤本件事故によって原告A2及び原告A1等に生じる一切の損害については,本件幼稚園がこれを賠償する。 ⑥確認の証拠として本書を2通作成し,原告A2及び本件幼稚園が各1通を保管する。 (2)本件幼稚園は,保険会社に提出する災害報告書(丙12)の災害B発生状況等には,おおむね原告A2がQ園長らに対して述べたとおりの記載をした(丙12,証人Q)。 B(五)(1)被告B3は,上記Q園長からの電話を受けてB1に事故への関与の有無を確認したが,B1は何の話をしているのかわらないという様子 で「分かんない」と答えるのみであった。 そこで,被告B夫妻は,Q園長からの謝罪要請を受け容れるかどうか検討したが,B1の本件事故への関与を否定する材料がないことに加え、後記(八)のとおりB1を含めて2人の子が本件幼稚園に通園中であって園長との関係を悪化させるわけにいかないことを考慮して,原告A2に謝罪することとした(丙4,13,被告B夫妻)。 B(2)被告B夫妻は,平成3年6月10日以降に,Q園長 幼稚園に通園中であって園長との関係を悪化させるわけにいかないことを考慮して,原告A2に謝罪することとした(丙4,13,被告B夫妻)。 B(2)被告B夫妻は,平成3年6月10日以降に,Q園長,原告A1の担任の教諭であるF先生,B1の担任の教諭であるS先生と共に原告A2の勤務先であるT大学に原告A2を訪ねて,謝罪した。原告A2は,子供を責めようとは思わない旨述べたが,B1が直接原告A1に対して謝罪することを要請した(甲17の1,原告A2)。 Aなお,原告らは平成3年6月8日に被告B夫妻がT大学を訪ねて第1回目の謝罪をしたと主張し、これに沿う供述や陳述書の記載があるが,上記6(二)で認定したQ証人のダイアリーの記載(甲18)に照らAすと,同日は原告A2が本件幼稚園を訪ねてQ園長に対して謝罪の要望を伝えた日であり,被告B夫妻がT大学を訪ねて第1回目の謝罪をしたのは,翌週の月曜以降のことであると認定するのが相当である。 ,(3)第1回目の謝罪時における原告A2の要請を受けて,被告B夫妻はB1に直接謝罪させることにしたが,B1は「よっちゃんやってないから行かないもん」と言い始めて謝罪を拒否したため,お見舞いという名目で「ごめんね。早く元気になってね」という内容の手紙を書かせて。 原告A1に交付することにした。 被告B3とB1は,平成3年6月19日に原告A1に謝罪するために原告A2,原告A3と待ち合わせたレストランを訪れたが,B1は手紙を原告A1に交付しただけで口頭で謝罪することがなく,食事後部屋の内外を動き回って遊ぶような状況で,被告B3も冒頭のあいさつが「こ の度は申し訳ありません」ではなく「こんにちは」から始まってきちんと陳謝することがなくB1の行動を注意することもなかった。 そのため,原告らは,かかる第2回目の謝罪 告B3も冒頭のあいさつが「こ の度は申し訳ありません」ではなく「こんにちは」から始まってきちんと陳謝することがなくB1の行動を注意することもなかった。 そのため,原告らは,かかる第2回目の謝罪は謝罪の目的を達していないと考え,原告A2は,被告B2に対して,電話で,B1が直接原告A1に謝罪することが目的であったが果たされていないことを告げた。 A被告B2は,B1を連れてもう一度謝罪に行くことを約束した(甲。 17の1,丙4,13,原告A2,被告B2)B(4)被告B2は,B1を連れて,平成3年7月13日,第3回目の謝罪のために原告A2の勤務先であるT大学の研究室を訪れた。原告A1は同席せず,原告A2と原告A3のみが応対した。被告B2は,室内に入るなり謝罪し,B1もごめんなさいと言ったので,原告らは謝罪を受け容れ,原告A3は,第2回目の謝罪の時に被告B3がそう言ってくれていれば本日お会いする必要はなかった旨告げた(甲17の1,被告。 AB2)(六)本件幼稚園のQ園長は,原告A2と面会して文面について了解を得たうえで,園児の親に対し,平成3年9月19日付けで以下の内容の「お知らせ」を配布した。 「7月のD号で退園児としてお知らせしたすみれ組の原告A1は,6月3日降園準備中にトイレで他のクラスの子に足を踏まれ,その弾みで転倒し,後頭部を打ってしまいました。……当日,担任は原告A1からその事実を聞きながら,応急措置をすることなく(お母様の迎えの際に伝える,こともなく)降園させてしまいました。帰宅後,頭痛等を訴え,救急車で被告病院に運ばれ,その時の状況がわからないまま,諸検査をする結果となってしまいました。3ヶ月あまり経過し,徐々に回復しつつも検査の恐怖心,激痛,ご両親の心労等多大なご心痛をおかけしてしまいましたこと,又在 運ばれ,その時の状況がわからないまま,諸検査をする結果となってしまいました。3ヶ月あまり経過し,徐々に回復しつつも検査の恐怖心,激痛,ご両親の心労等多大なご心痛をおかけしてしまいましたこと,又在園児の御父母の皆様に不安をいだかせるような事態となりましたこと, 深くお詫び申し上げます。……尚,この度は園側の不祥事でありますので,よくご理解いただき,A様にはご迷惑がかかりませんよう,よろしくお願いいたします(丙14)。」B(七)被告B3は,上記お知らせを見て,同じゆり組のUの母親であるVに対して,このお知らせに記載された原告A1を負傷させた園児はB1かもしれないと話すと,Vは即座にB1が負傷させたことを否定し,B1は原告A1を助けおこしただけであると子供のUから聞いたと説明した(丙B5,16,17,25。 )そこで,B夫妻は,Q園長と面会して,原告A1を負傷させたのがB1ではなく別の園児であったと抗議したが,原告A2や原告A3に対しては,取りたてて連絡を取ることはなく抗議もしなかった。 Q園長は,B夫妻からかかる抗議を受けたが,自身や担任の教諭も直接現場を見ていたわけではないので実際に原告A1と衝突したのが誰かを確定することができず困惑し,原告A1に対して責任を負うのは本件幼稚園であると考えていたこともあって,原告らに対して何ら連絡を取ることなく放置した。ただ,Q園長は,本件幼稚園のパンフレットやポスターにB1の写真を大きく載せてB夫妻の歓心を買うよう試み,抗議を受けたことの埋め合わせをした(丙18,Q証人,被告B3)。 B(八)被告B夫妻には,3人の子がいるが全員本件幼稚園を卒園していて,合計すると7年間にわたり子供たちが本件幼稚園に通園した。B1は,B夫妻の二女で本件事故当時は入園して2年目であり,長男が本件 (八)被告B夫妻には,3人の子がいるが全員本件幼稚園を卒園していて,合計すると7年間にわたり子供たちが本件幼稚園に通園した。B1は,B夫妻の二女で本件事故当時は入園して2年目であり,長男が本件幼稚園に入園したばかりの年であった。B夫妻の長男は,左足がかかとまでしかなく義足を装用しているという障害を負っていたにもかかわらず,本件幼稚B園で受け入れてもらったので,B夫妻は,Q園長に感謝していた(丙。 20,被告B夫妻)(九)本件幼稚園のQ園長は,原告A2及び原告A3に対し,平成3年6月 15日以降に見舞金として100万円,転園に伴い入園費用等の返還として30万円を支払い,さらに原告らが平成15年3月に第一東京弁護士会BBに対して申し立てた仲裁手続で,100万円を支払った(丙1,丙。 7の甲8部分,証人Q)三医学的知見証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件に関する医学的知見について、以下の事実が認められる(以下()内に書証番号を示し,書証番号のの後ろの数字。 Pはページ数を示す)。 意識レベルの評価(乙 2)BP日本では,意識レベルの評価として,JapanComaScale(3・3・9度方式)が用いられており,内容は以下のとおりである。 Ⅲ刺激をしても覚醒しない状態300:痛み刺激に反応しない200:痛み刺激で少し手足を動かしたり,顔をしかめる100:痛み刺激に対し,はらいのけるような動作をするⅡ刺激をすると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む)30:呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する20:簡単な命令に応じる,例えば握手10:合目的運動(例えば右手を握れ,離せ)をするし言葉も出るが間違いが多いⅠ刺激しないでも覚醒している状態3:自分の名前,生年月日がいえない2:見当識障害がある 命令に応じる,例えば握手10:合目的運動(例えば右手を握れ,離せ)をするし言葉も出るが間違いが多いⅠ刺激しないでも覚醒している状態3:自分の名前,生年月日がいえない2:見当識障害がある1:意識清明とはいえない 意識障害の原因となる疾患としては,次のようなものが挙げられる(乙。 3)BP (一)頭蓋内病変に伴うもの(中枢神経障害)①頭部外傷,②脳血管障害,③感染症,④脳症,⑤脳腫瘍,⑥てんかん,⑦脱髄性疾患,⑧血管炎(二)頭蓋外病変に伴うもの(全身性代謝障害)①循環障害,②呼吸障害,③代謝障害,④感染症(三)心因性精神疾患-ヒステリー,過換気症候群 小児の頭部外傷で来院した患者について,神経放射線学的検査で異常が認められなかった場合,意識障害,神経学的異常所見,けいれん,吐き気及び嘔吐が認められないときには自宅での経過観察でよく、受傷直後に一過性に意識障害があったような場合でも,6時間以上経過して上記のように異常が認められないときにも同様であるとされている。これに対してで異常所CT見がはっきりしなくても,意識障害,けいれん,そのほかの神経学的異常が疑われれば,入院にて経過観察が必要とされ、や神経学的異常所見が認CTめられれば,脳外科医と連絡を取り,その後の治療方針について適切な判断が必要とされる(甲7)。 Bまた,頭痛,悪心,嘔吐のほか項部強直等の髄膜刺激症状の有無は意識障害の原因を推測する上で重要であり,これが認められる場合は,眼底や画像所見で髄液検査を行うことが禁忌とされる頭蓋内圧亢進のないことを確かめた上で,髄液検査をすべきであり,これによって,神経疾患全般,特に感染BPB症の診断及び鑑別(除外)が可能となるとされている(甲 1112,乙 8,9,2, ないことを確かめた上で,髄液検査をすべきであり,これによって,神経疾患全般,特に感染BPB症の診断及び鑑別(除外)が可能となるとされている(甲 1112,乙 8,9,2, 324 。 PBBP)感染症の一種である脳炎については,早期に診断して治療を開始しなければ,病状が急変したり,後遺症が残るおそれがあり,脳症についても同様のおそれがある(証人E医師。 ) 外傷による意識障害は,通常であれば外傷直後から発症するもので,外傷 から時間を経過した後で発症することは珍しい。 髄液穿刺によって血腫を作った場合には,血腫が神経を圧迫し,神経が支配する下肢の運動麻痺あるいは下肢の感覚障害を引き起こすが,そのような症状は,血腫による神経の圧迫が取り除かれるまで持続する(証人E医。 師)5(一)外傷性てんかんの診断基準はWalkerの基準が有名である(甲。 2,丙 251)BPBPWalkerの基準は以下の内容である。 ①発作はまさしくてんかんである。 ②外傷以前にはけいれんを起こしていない。 ③他に脳または全身疾患を持たない。 ④外傷は脳損傷をおこしうるほどに強かった。 ⑤最初のてんかん発作は,外傷以来あまり経過していない時期に起こった。 ⑥てんかん型,,脳損傷部位が一致している。 EEG*「外傷以来あまり経過していない時期」とは,閉鎖性頭部外傷の場合受傷後2年,開放性頭部外傷の場合受傷後10年である。 (二)外傷性てんかんの多くには,脳損傷部位に合致した上の低吸収域CTが認められる。外傷性てんかんの診断には,客観的な脳損傷を立証することが重要であり,,MRIなどの所見が有用である(甲 2,3)CTBP。 (三)外傷性てんかんには,次のような分類がなされている(甲 外傷性てんかんの診断には,客観的な脳損傷を立証することが重要であり,,MRIなどの所見が有用である(甲 2,3)CTBP。 (三)外傷性てんかんには,次のような分類がなされている(甲 3)。 BP①即時型外傷性てんかん(超早期てんかん)=24時間以内に発生する②早発てんかん=受傷後一週間以内に発症するもの③晩発てんかん=受傷後8日以後に発症するもの(四)らによると,晩発てんかんでは,頭部外傷後5年以内にてんAnnegersかんが出現する危険性は,重い外傷では11.6パーセント,中等度の外 傷では1.6パーセント,軽度の外傷では0.6パーセントであり,0. 6パーセントという数値は,一般多数集団におけるてんかんの発生率をそれほど高く上回っていない(甲 289)。 BP(五)外傷直後から数秒あるいは数分以内(最早期発作)におこすてんかん発作は,多くは孤発性で繰り返すことは稀なので,てんかんとはみなされない。一週間以内(早期発作)におこすてんかん発作のあるものにも,このことは当てはまる(甲 287)。 BP てんかんは,反復発作を主徴とする病態をさし,その病因は多岐にわたるが,現在では,その病因から2つに分類されている。すなわち,脳に器質的病変の存在することが証明できない機能性てんかん群(特発性ともいう)と脳に何らかの病変を見いだすことができる器質性てんかん群(症候性または続発性ともいう)の2つである(丙 11,17)。 BP 頭部外傷を受けた小児に特有の病態として,若年者頭部外傷症候群がある。 これは,頭部外傷後数分から数時間の無症状期を経て,嘔吐及び意識障害やけいれん発作などの小児に特徴的とされる症状を呈した後,何ら後遺症を残すことなく速やかに回復する病態であり,その 傷症候群がある。 これは,頭部外傷後数分から数時間の無症状期を経て,嘔吐及び意識障害やけいれん発作などの小児に特徴的とされる症状を呈した後,何ら後遺症を残すことなく速やかに回復する病態であり,その中には,特に5歳以下の小児を中心として,外傷後一週間以内のいわゆる早期てんかんを起こす症例群もあると報告されているが,そのような症例においても,予後は良好であって外傷性てんかんに移行することはないとされている(乙B3。 )四争点についての判断 争点1(本件事故の状況と加害者)について(一)前記二5及び6で認定した事実及び弁論の全趣旨を総合すると,原告A1が,平成3年6月3日午後1時20分ころ,本件幼稚園のトイレにおいて,他の園児に衝突されて倒れ,頭部を打ったことは容易に認定できる。 このとき原告A1に衝突した園児が誰かについては,原告らは訴外B1であると主張し,被告B夫妻はこれを否認している。しかし,原告らの主 張は本件事故当時から一貫しており,前記二6のとおり,本件幼稚園においても原告らのその旨の申立てに基づいて同様の判断の下に被告B夫妻及び訴外B1に謝罪を求め,同被告らは,3回にわたって謝罪の機会を設け,訴外B1は謝罪の手紙を書いた上で口頭でも謝罪しているのであって,その後本訴提起前の仲裁手続に至るまで長期間にわたり,これに反する行動を原告らに対してとっていないのであるから,上記の謝罪が事実に反してされたものであることが明らかにならない限り,原告ら主張のとおり訴外B1が原告A1に衝突したものと認定するのが常識にかなうものと考えられる。 (二)そこで,被告B夫妻のこの点に関する主張をみると,同被告らが原告らの主張を否認する論拠は,第1に,三回にわたって謝罪したのは,訴外B1に事故当時の記憶がなく無実を証明する手段がなかったた 。 (二)そこで,被告B夫妻のこの点に関する主張をみると,同被告らが原告らの主張を否認する論拠は,第1に,三回にわたって謝罪したのは,訴外B1に事故当時の記憶がなく無実を証明する手段がなかったため,原告らの強い要請に応じてやむを得ず行ったものであり,加害の事実を認めてしたものではないこと,第2に,上記謝罪の後に他の園児の母親から,その園児が本件事故を目撃しており,原告A1に衝突したのは訴外B1ではなく,一歳年上の年長組の園児であると聞いたことの2点にある。 このうち,第1の点は,謝罪が事実に反するものであることを積極的に裏付けるものではないし,訴外B1に謝罪当時においても本件事故時の記憶がなかったのであれば,原告A1の申立てとそれに基づく本件幼稚園の判断を左右するに足りる事情は見当たらず,それらに基づいて訴外B1が原告A1に衝突したと認定することを妨げるものではないといわざるを得ない。また,前記二6(三)及び(五)のとおり,訴外B1は本件事故から5日以上経過してから関与の有無を質されて「分かんない」と答えているのであるが,本件事故は,園児同士が群れ遊んでいるような日常的な状況で起こったものではなく,トイレの個室内という特殊な場所で起こったものであって,衝突の相手方は頭を打って泣き出しているという幼い園児にと ってはかなりの出来事なのであるから,そのような事態に遭遇したことがあるかないかを問われて上記のように返答すること自体やや不自然であり,児童が自己の悪事を認めたくないものの嘘をつくことも躊躇されるためにとっている態度のようにも思われるところである。このことは,訴外B1が両親から謝罪を求められるに至って「よっちゃんやってない」と言い始め,当初の何も覚えていないかのような態度と矛盾する言動を取り始めていることからも窺えるところ るところである。このことは,訴外B1が両親から謝罪を求められるに至って「よっちゃんやってない」と言い始め,当初の何も覚えていないかのような態度と矛盾する言動を取り始めていることからも窺えるところである。なお,被告B2は,本件幼稚園には子供の入園に関して恩義があるため,その要請を拒めなかったとも供述しているが,このような事情もまた本件事故状況に関する原告A1の申立ての信用性を左右するものではない。 次に,他の園児が本件事故を目撃していたとの点については,証拠によって認められる事実は前記二6(七)第1段落のとおりであり,被告B夫妻の主張のうち,原告A1に衝突したのが年長組の園児であるとの点についてはVの記憶があいまいであるため認定することは困難である。そして,上記認定事実は,本件事故後3か月以上経過した時点における母親同士の会話の内容であって,Vの話は本件事故に近接した時点で娘のUから聞いた内容に基づくというものであるところ(丙B16,内容についてUの)確認はとっていないのであるから(丙B4,16,母親の間で上記のと)おりの会話がされたとしても,その内容が事実に合致するものか否かは明らかでないといわざるを得ない。 (三)上記(二)のとおり,被告B夫妻が主張するところは先にした謝罪が事実に反するものであると認めるに足りるものとは言い難いことからすると,原告ら主張の事実があったものと認定するのが常識にかなうところではあるが,元々この点についての事実認定は,幼稚園児の記憶に基づかざるを得ない点で不確実なものとならざるを得ないこと,被告日本赤十字社の損害賠償義務の有無を判断するためには不必要なものであり,被告B夫妻の 損害賠償義務を判断する場合にも,他の争点の判断如何によっては不必要となる可能性もあること,及び本件口頭弁論終結時から 社の損害賠償義務の有無を判断するためには不必要なものであり,被告B夫妻の 損害賠償義務を判断する場合にも,他の争点の判断如何によっては不必要となる可能性もあること,及び本件口頭弁論終結時から約15年も前に起きた幼稚園児同士の事故について現時点において加害者を特定することの当否には疑問が生じないでもないことからすると,この争点について判断を留保し,他の争点についての判断に進むのが相当である。 争点2(原告A1について早期の脳外科受診の必要性の有無及び髄液検査の適応の有無)について(一)脳外科は,頭蓋内の手術を専門とする科であり,頭蓋内の手術が必要でない疾患については専門外であるところ,原告A1には,神経学的異常所見がなく,頭部やによって頭骨の骨折や検出可能な頭蓋内出血がXpCT,存在しないことが明らかになっているから,頭蓋内の手術の必要性はなく脳外科の専門とする診療行為は想定できなかったと認められるし,上記のとおり,頭蓋内出血が認められない以上,脳外科医に連絡を取って相談する必要性も認められないことは,前記三3の医学的知見からして明らかである。むしろ,原告A1の被告病院到着後の主な問題点は意識障害の原因探索であり,意識障害の原因は頭部外傷に限られないから,その原因探索は小児科が専門とする領域であり,小児科で診療を受けたことは適切であったと認められる。 したがって,原告A1について早期に脳外科を受診させる必要性があったとは認められない。 (二)前記第三の一及び二1並びに三1ないし4で認定した事実によれば,原告A1には入院前に頭痛及び嘔吐という髄膜刺激症状がみられた一方,髄液検査を実施した時点で同検査の禁忌とされる状態はなかったのであるから,一般的に神経疾患全般,特に感染症の診断と鑑別のために髄液検査が適応とされ 前に頭痛及び嘔吐という髄膜刺激症状がみられた一方,髄液検査を実施した時点で同検査の禁忌とされる状態はなかったのであるから,一般的に神経疾患全般,特に感染症の診断と鑑別のために髄液検査が適応とされる状態にあったと認められる。他方,その時点までには,原告A1が頭部を打撲したことは確認できたものの,E医師はもとより原告 A3にもどのような状況でどの程度頭部を打撲したかについては何も情報がなかったこと(原告A3から幼稚園への問い合わせ結果を聴取していることからすると,同医師には自ら打撲状況について調査をすべき義務はなかったというべきである,頭部打撲後相当時間を経てから意識障害が生。)じるという珍しい経過をたどり意識障害が髄液検査の時点でも持続していること,意識障害の程度が3・3・9度方式で3-100と重い方から3CT番目のランクに入り重篤なこと,頭部には打撲痕がなく頭骨の骨折や上頭蓋内出血も見られないので頭部外傷の積極的根拠が存在しないこと,当日は発熱がなかったとはいえ1週間前から風邪気味で発熱があり感染症の可能性を完全に否定できる状況ではなかったこと等に照らすと,その時点における原告A1の意識障害が頭部打撲によって生じたと断定することはできず,髄液検査の必要性を減ずる事情は見当たらなかったと認められる。そして,仮に脳炎や脳症であれば早期に診断して治療を開始しなければ,病状が急変して重大な結果を生じたり後遺症が残ったりするおそれがあり,脳炎や脳症の疑いを早期に否定しておく必要があったこと等に照ら。 すと,原告A1については髄液検査の適応があったと認めることができる 争点3(原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったか否か)について原告らは,無理な腰椎穿刺によって周囲の神経を傷つけたと主張しているが,神経損傷の事実を直接的 があったと認めることができる 争点3(原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったか否か)について原告らは,無理な腰椎穿刺によって周囲の神経を傷つけたと主張しているが,神経損傷の事実を直接的に認めるに足りる証拠はなく,原告らの主張も検査の翌日から原告A1に下肢の痛みが生じたことを根拠に神経損傷の事実が推認できるとの趣旨であると考えられる。 しかし,前記第三の一及び二1並びに三4で認定した事実によれば,髄液検査の結果血腫が生じて神経を圧迫したのであれば,持続的な下肢の運動麻痺や感覚障害を引き起こすはずであり,原告A1のように下肢の痛みが被告病院まで搬送されて診察を受けている最中に軽減し歩行等が可能になるとい う一時的な痛みについては,その原因が血腫による神経の圧迫では説明がつかないこと,髄液検査によって出血を来したのであれば採取した髄液に血液が混入するのが通常であるが,採取した髄液には血液の混入は認められなかったこと,等の画像診断を受けておらず腰椎穿刺部位の血腫の存在が画像CT上明らかになっていないこと,髄液穿刺の針が直接神経を傷つけたのであれば,やはりその傷ついた神経が支配する下肢の領域の持続的な運動麻痺,感覚障害をきたすはずであること等に照らすと,原告A1に下肢の痛みが生じたことから髄液検査の手技が不適切であったと推認することはできず,他にE医師の髄液検査の手技が不適切であったと認めるに足りる証拠はない。 なお,原告らは,母親を同席させないで検査を実施したことや原告A1が痛がっているのに押さえつけて検査を実施したと指摘しているが,検査に当,たって母親を同席させるか否かは医師の判断に委せられるべき事項であるし髄液検査に相当の痛みが伴い4歳児にこの痛みを我慢させるのは通常困難であることから,小児にこれを実施する際にはその ,検査に当,たって母親を同席させるか否かは医師の判断に委せられるべき事項であるし髄液検査に相当の痛みが伴い4歳児にこの痛みを我慢させるのは通常困難であることから,小児にこれを実施する際にはその身体を押さえつけて身動き,のできない体勢にしなければ,安全に髄液検査を行うことはできない。また原告らは検査について母親の同意を得ていないと指摘しているが,検査手技の適否と同意の有無とは無関係の事柄といわざるを得ない。 以上によると,原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったとは認められない。 争点4(原告A1には足の激痛及び外傷性てんかんが発生したか否か,並びに原告A1に生じた症状と本件事故との間に因果関係があるか否か)について(一)足の激痛について原告A1が平成3年6月6日以降下肢痛にしばしば襲われ生活に支障が生じたことは,前記二2で認定したとおりである。 しかし,前記二2のとおり,原告らは,第1回の痛みの発生の際には被 告病院を受診したものの,その痛みに対しては痛みの持続中に鎮痛剤を投与するといった対症療法を行うほかないとの被告病院の説明に納得し,それ以後は痛みが発生しても医療機関を全く受診せず,痛みの原因を探るため腰椎穿刺部の検査等もしていないことが認められる。これらのことCTからすると,原告A1の下肢の痛みについては,その存在は否定できないものの,その程度はもとより発生の機序も不明といわざるを得ない。 このように発生の機序が不明である以上,原告A1に下肢の痛みが本件事故時の頭部打撲によって発生したとは認められないし,本件事故に端を発した被告病院での何らかの治療行為によって発生したものとも認め難いから(このうち,髄液検査との関係については後記5において説示するとおりである,原告ら主張の足の激痛と本件事故との間には因 に端を発した被告病院での何らかの治療行為によって発生したものとも認め難いから(このうち,髄液検査との関係については後記5において説示するとおりである,原告ら主張の足の激痛と本件事故との間には因果関係が認。)められない。 (二)原告A1に発生したてんかんについて前記二3及び4の事実からすると,原告A1は現在てんかんに罹患しており,その発作は原告A1が中学2年生であった平成12年6月28日に初めて生じたものと認められる。しかし,前記三6のとおり,てんかんの病因は多岐にわたるのであるから,原告A1が現にてんかんに罹患していることから,直ちにそれが外傷性てんかんであると認め又は推認することは困難であり,この点については,まず,原告A1の症状が外傷性てんかんの診断基準に合致するものか否かを慎重に検討する必要がある。 そこで,検討するに,前記第三の一1,二1,3,4,三5及び6で認定した事実によれば,外傷性てんかんの診断のためには客観的な脳損傷の存在を発見することが重要であるところ,種々の検査を重ねても原告A1には脳に客観的な損傷が見当たらず,しかもその日のうちに意識が回復していることからすると,原告A1の頭部外傷は軽度であると判断され,頭部外傷が軽度の場合に外傷性てんかんを発症する率は0.6パーセントと 非常に低く一般人がてんかんを発症する確率と大差がないことが認められる。また,原告A1の頭部外傷はその所見からして閉鎖性頭部外傷に該当するが,Walkerの基準では,最初のてんかん発作が外傷以来あまり経過していない時期,閉鎖性頭部外傷の場合は外傷後2年以内に起きることが外傷性てんかんの診断基準のひとつとされているところ,原告A1の最初のてんかん発作は上記のとおり外傷後9年を経過して生じているのであるから,この点において原告A1の症 は外傷後2年以内に起きることが外傷性てんかんの診断基準のひとつとされているところ,原告A1の最初のてんかん発作は上記のとおり外傷後9年を経過して生じているのであるから,この点において原告A1の症状は外傷性てんかんの診断基準に合致しないこととなる。 これに対し,原告らは,原告A1が本件事故当日に自宅において「痛い痛い」と泣き叫び,両上肢を突っ張り閉眼したまま泣くことを3分間ずつ3回繰り返したこと,及び救急車の中で歯を強く食いしばり,眼球を上転させていたことについて,これらがてんかんのけいれん発作であったと主張する。しかし,前記二4(三)のとおり,これらの症状はせん妄状態なのかけいれんなのかはっきりせず,てんかんの全般性の強直発作の部分症状として考えられないでもないが,初めの段階で「痛い痛い」という明確な言葉を発している点において,これら一連の症状をてんかんとみることには違和感が残らざるを得ない。その上,原告A1は,上記症状が出現してからまもなく被告病院において脳波検査を受けたが,てんかんを示す脳波は検出されていないこと,上記症状をてんかん発作と考えると,その後9年間も発作が全くなかったことになること,原告A1が平成12年6月28日以降におこした4回にわたるてんかん発作には,両上肢を突っ張るといった症状がなく,発作の形態を異にすることなどを考え合わせると,少なくとも上記症状が上記診断基準にいう最初のてんかん発作に該当するとは認められない。また,仮に,上記症状がてんかん発作であるとしても,前記三5(五)及び7のとおり,外傷後1週間以内に発症する早期てんかんには,その後発作を繰り返さないものもあり,若年者頭部外傷症候群に伴 う早期てんかんは外傷性てんかんに移行することはないとされているところ,本件事故当日の原告A1の症状は若年者頭部 早期てんかんには,その後発作を繰り返さないものもあり,若年者頭部外傷症候群に伴 う早期てんかんは外傷性てんかんに移行することはないとされているところ,本件事故当日の原告A1の症状は若年者頭部外傷症候群のうちの早期てんかんを伴う症例群の特徴を備えていると認めることができるから,これが外傷性てんかんに移行したものとは認め難い。 また,原告らは,この点について,原告A3の実弟であるW医師の意見書(甲3)及びX医師の意見書(甲B15)を提出しているが,W医師Bは,一般内科を専門とする内科医であって小児科医ではなく,てんかんを専門とする神経内科医でもないこと,原告A1を病院で診察したわけではなくカルテの記載のみに基づく意見であることからして,同医師の意見書は採用できない。また,X医師も,原告A1を診察したことがなくカルテの記載のみに基づくもので,救急車内の症状を強直性のてんかん発作である可能性が高いと判断する根拠が単に総合的判断とするのみで具体的に示されていないことからして,その意見書も採用できない。 以上によると,原告A1に現に生じているてんかんの症状を外傷性てんかんによるものであると認めることはできず,そうである以上,この症状が外傷によって発症したものとも認められないから,本件事故との因果関係もまた認められないこととなる。 争点5(被告病院の髄液検査と損害との間に因果関係があるか否か)について原告らは,被告病院での髄液検査の際に原告A1の神経損傷が生じたとの前提の下に,同検査と原告A1のその後の足の激痛及び外傷性てんかんとの間に因果関係があると主張する。 しかし,前記四3で認定説示したとおり,被告病院での髄液検査によって原告A1の神経を損傷したとは認められないのであるから,原告らの上記主張は前提を欠くものである。また,前記二 関係があると主張する。 しかし,前記四3で認定説示したとおり,被告病院での髄液検査によって原告A1の神経を損傷したとは認められないのであるから,原告らの上記主張は前提を欠くものである。また,前記二2(二)のとおり,原告A1に生じた足の痛みについては,第一回目のもの以外は医療機関での診察を受けてお らず,その原因を調査するための検査もされていないため,いかなる機序で発生したのか不明といわざるを得ず,この点からも,原告A1の足の痛みと髄液検査との間には因果関係があるとは認められない。そして,原告らは,足の痛みが治まった時期とてんかん発作の始まった時期が近接していることを根拠として,両者には関係があり,てんかん発作の出現と髄液検査との間にも因果関係があると主張しているが,上記のとおり,足の痛みの発生と髄,液検査との間に因果関係が認められない以上,原告らの主張を前提としても。 髄液検査とてんかん発作の出現との間には因果関係があるとは認められない五 結論 前記四2及び3のとおり,原告A1に対する被告病院での診療行為に問題があるとは認められないから,被告日本赤十字社が原告らに損害賠償義務を負担すべき根拠は見当たらないし,前記四4及び5のとおり,原告A1のてんかんは外傷性てんかんとは認められないから頭部を打撲したこととてんかんとの間には相当因果関係が認められないし,原告A1の足の痛みの原因は不明であり髄液検査ひいては頭部を打撲したこととの間に相当因果関係が認められないから,仮に,訴外B1が本件事故に関与していたとしても,被告B夫妻には原告らに対する損害賠償義務は生じないこととなる。 したがって,争点1及び6について判断するまでもなく,原告らの被告らに対する本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし、民事訴訟法61条,65条1項本文を適 損害賠償義務は生じないこととなる。したがって、争点1及び6について判断するまでもなく、原告らの被告らに対する本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし、民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官藤山雅行 裁判官金光秀明裁判官萩原孝基 (別紙)平成15年第29336号損害賠償請求事件ワ原告A外2名被告日本赤十字社B外1名主張要約書【主張のあらまし(目次)】 第一 本件事故の状況と加害者 ……………………………………………………………………(原告らの主張) 本件事故時の状況 被告B夫妻による3回の謝罪 (1)平成3年6月8日の謝罪 (2)平成3年6月19日の謝罪 (3)平成3年7月13日の謝罪 被告B夫妻の答弁の矛盾 (1)被告B夫妻が「訴外B1が無実であると知った」後の対応 (2)仲裁手続における答弁の矛盾 本件幼稚園も訴外B1が加害者であることを認めている ………………………………………………………………(被告B夫妻の主張) 原告らに対する謝罪に至る経緯 目撃者の存在 年長の園児が加害者である可能性が極めて高いこと 第二 原告A1について早期の脳外科受診の必要性及び髄液検査の適応の有無 ……………………………………………………………………(原告らの主張) 原告A1を安静に保つべきであったのに、安静にしなかった。原告A1は、直ちに脳外科にて診察させるべきであった。特に髄液検査について (1)髄液検査の危険性 (2)髄液検査の適応 安静に保つべきであったのに、安静にしなかった。 原告A1は、直ちに脳外科にて診察させるべきであった。 特に髄液検査について (1)髄液検査の危険性 (2)髄液検査の適応がなかった (3)適応がないにもかかわらず、不要な髄液検査を行い、安静に保たなかった ………………………………………………………(被告日本赤十字社の主張) 原告A1に髄液検査の適応があったこと (1)髄液検査の一般的必要性及び適応 (2)原告A1に対する髄液検査の必要性及び適応 原告A1に来院後直ちに脳外科の診察を受けさせるべきであったとはいえないこと 第三原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったか否か ……………………………………………………………………(原告らの主張) 髄液検査に当たっての、医師の注意義務 原告A1に対する髄液検査の問題点 ………………………………………………………(被告日本赤十字社の主張) 幼児に対する一般的な髄液検査の態様 原告A1に対する髄液検査の手技に問題がなかったこと 第四原告A1に、足の激痛及び外傷性てんかんが発生したか否か ……………………………………………………………………(原告らの主張) 原告A1の症状の推移 (1)幼稚園での衝突後の経緯 (2)救急車の中での原告A1の様子 …………………………………………51 原告A1は、外傷性てんかんである(1)の診断基準 Walker(2)原告A1の症状は、の診断基準を満たしている Walker(3)補足 足の激痛 (1)退院翌日である平成3年6月6日の足の激痛 (2)そ 原告A1の症状は、の診断基準を満たしている 補足 足の激痛 (1)退院翌日である平成3年6月6日の足の激痛 (2)その後も、原告A1の足の激痛は毎日続いた (3)小学校時代 (4)中学校進学 (5)小括 ………………………………………………………(被告日本赤十字社の主張) ………………………………………………………………(被告B夫妻の主張) 原告A1の本件手技前の疾患の存在 脳震盪を起こし得るほどに強い頭部外傷の不存在 早期てんかんが発症していないこと 脳波の異常部位と頭部外傷部位とが異なること 第五本件事故と損害との間に因果関係があるか否か ……………………………………………………………………(原告らの主張) B1がトイレに駆け込んだ際の外傷の強さ 救急車の中での発症 てんかんの再発と脳波の異常部位と頭部外傷部位との同一性 ………………………………………………………………(被告B夫妻の主張) 原告A1の本件手技前の疾患の存在 脳震盪を起こし得るほどに強い頭部外傷の不存在 早期てんかんが発症していないこと 脳波の異常部位と頭部外傷部位とが異なること 早期てんかんが発症していたからといって、必ずしも晩期てんかんが発症するとは限らないこと 第六被告病院の髄液検査と損害との間に因果関係があるか ……………………………………………………………………(原告らの主張) 因果関係の立証の程度について 髄液検査と足の激痛との間の因果関係 被告病院の医師が、適応のない髄液検査 ………………………………………………………………(原告らの主張) 因果関係の立証の程度について 髄液検査と足の激痛との間の因果関係 被告病院の医師が、適応のない髄液検査を行ったこと等により、原告A1を安静に保たなかったため、そのことが、原告A1の外傷性てんかん再発の可能性を増悪させた ………………………………………………………(被告日本赤十字社の主張) 第七損害額 ……………………………………………………………………(原告らの主張) 原告A1 (1)逸失利益金1720万7046円 (2)後遺障害慰謝料金690万0000円 (3)足の激痛発作の慰謝料金300万0000円 原告A3及び原告A2各金300万0000円 ………………………………………………………(被告日本赤十字社の主張) ………………………………………………………………(被告B夫妻の主張) 本件幼稚園からの和解金の受領等 第一本件事故の状況と加害者()原告らの主張本件事故時の状況 原告A1は、平成3年6月3日朝は元気だった。同日昼頃、原告A1(当時4歳)が幼稚園内のトイレから出ようとしたところ、訴外B1が、ものすごい勢いでトイレに駆け込み、ノックもしないでトイレの個室のドアを開けて中に飛び込んできた。そして、訴外B1は、原告A1の足をふみながら、同時に原告A1に激突した。そのため、原告A1は、訴外B1に踏まれた足を支点にして、弧を描くように、その場で自分の頭をトイレの横の壁に強く打ち付けた。 原告A1は、この時、激突してきたのは訴外B1であったことを名札を見て確認している。 被告B夫妻による3回の謝罪 被告B夫妻は、事故後に、3回に渡って、原告 の頭をトイレの横の壁に強く打ち付けた。 原告A1は、この時、激突してきたのは訴外B1であったことを名札を見て確認している。 被告B夫妻による3回の謝罪 被告B夫妻は、事故後に、3回に渡って、原告らに謝罪した。 平成3年6月8日の謝罪( )訪問者被告B夫妻及び本件幼稚園長応対者原告A2 平成3年6月19日の謝罪( )訪問者被告B3(以下「B3」という、訴外B1)応対者原告ら被告B3は、訴外B1に確認したこととして、確かにトイレに駆け込んで中から出ようとしてぶつかったこと、その結果相手が倒れたことなどを話した。 被告B3から、真摯な謝罪の言葉はなかった。 平成3年7月13日の謝罪( )訪問者被告B2(以下「B2」という、訴外B1。) 応対者原告A2、原告A3原告らは、前回6月19日に謝罪の言葉がなかったことから、再度、被告B夫妻に面会を求めた。被告B2は、真摯に謝罪の態度を示し、また、訴外B1も「ごめんなさい」と言った。 、被告B夫妻の答弁の矛盾 被告B夫妻が「訴外B1が無実であると知った」後の対応( )被告B夫妻は「3回目の謝罪」からしばらくして、Vから、原告A1と、衝突したのは年長の子で、訴外B1ではない旨を聞かされたという。そして、それを聞いた被告B2は、原告らの話や本件幼稚園の話はでたらめだと感じ、本件幼稚園長宅に抗議に行ったという。 しかしながら、被告B夫妻は、肝心の原告らには、全く抗議しなかった。 仮に、被告B夫妻の主張のとおりとすれば、訴外B1は無実であるにもかかわらず、被告B夫妻は、原告らに対して、3度に渡って謝罪をさせられた、、ことになるのである。被告B夫妻は「園長から強い要請を受けたことから渋々ながら謝罪」したというのであるから、衝突したのは訴外B1ではない B夫妻は、原告らに対して、3度に渡って謝罪をさせられた、、ことになるのである。被告B夫妻は「園長から強い要請を受けたことから渋々ながら謝罪」したというのであるから、衝突したのは訴外B1ではないと言われたならば、当然に、原告らに対して、その旨を連絡し、抗議をするか、少なくとも、事情を説明するはずである。 しかし、被告B夫妻から、原告らに対しては、その旨の連絡は一切なかった。 これは、結局、被告B夫妻が、原告A1に衝突したのは訴外B1であることを、訴外B1自身から聞いており、訴外B1が衝突したと確信していたことを如実に示すものである。 仲裁手続における答弁の矛盾( )被告B夫妻は、本件訴訟に先立つ第一東京弁護士会においての仲裁手続において、原告らの本件訴訟と同様の申立てに対して、答弁書を提出した。その答弁書が、丙B3である。 その答弁と本件訴訟での答弁とには、食い違いがある。 すなわち、仲裁手続の答弁においては、被告B夫妻は、本件事故から約1週間後にその事実を聞き、その後2回謝罪をさせられたとし(丙B3〔3頁、その後、本件事故から約2週間後に、訴外B1の同級生の母親から、〕)訴外B1が加害者ではないことを聞いたという(丙B3〔2頁。 〕)しかしながら、被告B夫妻は、本件事故後から、5日後である平成3年6月8日、16日後である同月19日及び1か月以上後である7月13日に、それぞれ、謝罪に来ている。 従って、上記だけをみれば、被告B夫妻は、同級生の母親から訴外B1が加害者でないことを聞いた後にも、原告らに対して、謝罪していることになる。 そこで、原告らは、上記仲裁手続きにおいて、この点を指摘した。 それを受けて、本件訴訟の答弁書においては、訴外B1が加害者ではないことを聞いたのは、3回目(1か月以上後)の謝罪の後であったと なる。 そこで、原告らは、上記仲裁手続きにおいて、この点を指摘した。 それを受けて、本件訴訟の答弁書においては、訴外B1が加害者ではないことを聞いたのは、3回目(1か月以上後)の謝罪の後であったと主張を変えた(被告B夫妻答弁書〔6頁。 〕)このように、被告B夫妻は、その主張を自らに都合よく変更しているのであり、その主張は信用できない。 本件幼稚園も訴外B1が加害者であることを認めている 本件幼稚園は、本件訴訟に先立つ第一東京弁護士会においての仲裁手続において、原告らの本件訴訟と同様の申立てに対して、答弁書を提出した。その答弁書が、甲A8である。 その中で、本件幼稚園は「事故当日「担任の教諭は、申立人(原告A、」1)から、トイレでBさん(訴外B1)に足を踏まれて後頭部を打った旨の申告を受けた」としている(甲A8〔2頁。 〕)本件幼稚園の上記答弁は、当然、当時の担任等の関係者から事情聴取をし、事実関係を確認してなされたものというべきである。従って、加害者が、訴外 B1であることは、明白である。 ()被告B夫妻の主張原告らに対する謝罪に至る経緯 訴外B1が原告A1に対し、平成3年6月3日昼頃、訴外本件幼稚園の園( )内トイレでぶつかった事実はない。B1は、トイレで倒れていた原告A1を見つけ、起こしてあげただけである(丙B4。 ) 被告B夫妻は、園から原告らに対して謝罪して欲しいと強く要請されたた( )め、B1に対して事故のことを確認したが、B1はまだ幼稚園年中であったこともあり、1週間前のことを思い出せなかったため無実を証明する手段がなかったことから、渋々ながら原告らに対して謝罪した。 1回目は、本件幼稚園から電話があった翌日、被告B夫妻が、園長、B1の担任とA1の担任と一緒に、原告A2の勤務先であるT学園 無実を証明する手段がなかったことから、渋々ながら原告らに対して謝罪した。 1回目は、本件幼稚園から電話があった翌日、被告B夫妻が、園長、B1の担任とA1の担任と一緒に、原告A2の勤務先であるT学園に行って謝罪した。2回目の謝罪には、被告B3とB1が近所の食堂に行って原告らに対し謝罪した。3回目の謝罪には、被告B2とB1と2人で原告らに謝罪に行った。 3回の謝罪に行ったのは、原告らからの強い要請があったからであり、被告B夫妻が加害の事実を認めていたからではない(丙B4。 )目撃者の存在 3回目の謝罪からしばらくして、本件幼稚園から事故の発生と経緯を記した文書が配布された当日、被告B3がB1と一緒に遊んでいたUの母親Vに対し、「実は、ここに書かれている加害者は、うちのB1かもしれないのよ」と話。 したところ、Vは「ええ~。違うわよ。うちのUが見てたのよ。やったのは年長の子で、B1ちゃんが助け起こしたのよ」と聞かされた(丙B5。 。 )被告B2は、その週の土曜日に被告B3とともに園長宅へ出向き「先日、、事故について文書を配布されたが、我々は目撃者の保護者から、やったのはB 1じゃないと聞かされた。それによると、加害者は年長の園生であり、B1は助けただけというじゃないか。あの文書には個人名こそ書いていないが、加害者が年中と書いてある点までAさんの言うとおりの書き方じゃないか」と事。 実関係を確認しないまま謝罪を要求し、文書を配布した本件幼稚園に対して強く抗議した(丙B4。 )年長の園児が加害者である可能性が極めて高いこと 本件事故の目撃者であるVの娘Uが原告A1にぶつかったのは年長の子だ( )ったと証言していたこと(丙B4・丙B5。 ) 本件幼稚園には、本件事故当時から2階にトイレがないため、降園時には( )2階の の目撃者であるVの娘Uが原告A1にぶつかったのは年長の子だ( )ったと証言していたこと(丙B4・丙B5。 ) 本件幼稚園には、本件事故当時から2階にトイレがないため、降園時には( )2階の年長の園児たちが階段から駆け下りて本件トイレに駆け込むことがあった(丙B9)という事実が上記目撃証言を裏付けている。 第二原告A1について早期の脳外科受診の必要性及び髄液検査の適応の有無()原告らの主張原告A1を安静に保つべきであったのに、安静にしなかった 原告A3は、被告病院のE医師に対して、原告A1が頭をぶつけたことを告げており、E医師もそのことを認識していた。頭を打った場合には、通常、安静にすることが求められる。意識障害がある場合には、その必要性はさらに大きい。これはなぜかと言えば、患者の症状をより悪化させないためである。ある文献(甲B7、小児科外来診療のコツと落とし穴5「小児救急」130頁)には、小児の頭部外傷の場合には、CTと単純X線検査を両方行い、異常が認められなかった場合には、以下のようにするとの記載がある。 「意識障害、神経学的異常所見、痙攣、吐気、嘔吐が認められないケースでは自宅で経過観察としてよい「CTで異常所見がはっきりしなくても、意。」識障害、痙攣、そのほかの神経学的異常が疑われれば入院にて経過観察が必要 である「CT上は異常所見がはっきりしないが意識障害が認められる場合、。」一過性から数時間で清明な状態に回復すれば臨床的には脳震盪の診断となるが、6時間以上経過しても意識障害が遷延するような場合は、びまん性脳損傷のような脳の器質的な障害を考えなければならない。このような場合は、MRIが有効である」。 このように、小児の頭部外傷の場合には、CTと単純X線検査を両方行い、異常が認められなかった場合に、 損傷のような脳の器質的な障害を考えなければならない。このような場合は、MRIが有効である」。 このように、小児の頭部外傷の場合には、CTと単純X線検査を両方行い、異常が認められなかった場合に、それでもなお意識障害が続くようであれば、とりあえず、経過観察するとされている。これはすなわち、安静にしておくべきだということである。そして、安静にする理由は、そうした方が、患者の回復がより早くなり、また、他の重大な疾患を引き起こす可能性を高めないことが経験的に判っているからである。 ところが、E医師は、原告A1の症状は、頭を打った者の症状ではないと言い張り、痛くて嫌がる原告A1を無理矢理に押さえつけ、麻酔を打った上で、採血検査、脳波検査、髄液検査を初め「近代医学で考えられるすべての検、査」をしたが、それは不必要な検査であり、いたずらに原告A1を疲弊させ、安静に保つべきところを、そうしなかった。 原告A1は、直ちに脳外科にて診察させるべきであった 原告A3は、E医師に対して、脳外科の医師に診察してもらいたい旨を再三訴えたが、E医師は、小児科での診察にこだわり、脳外科を受診させなかった。 その後、原告A1を平成3年6月3日深夜に診察した脳外科医のI医師は、原告らに対して「随分検査しましたね、脳外科に来てたらCTスキャンは撮、るけど、絶対安静で頭の周りを毛布で囲むくらいなんですけどね「すべて。」の原因は頭を打ったことにある。脳震盪ないし脳挫傷でしょう」と告げ、当。 初から脳外科で診察を受けていれば、CT検査をして異常がなければ、その後は絶対安静にしていたはずであることを認めていた。 以上のとおり、原告A1が、脳外科にて診察を受けていれば、CTスキャン の検査で異常がないことが確かめられた後は、絶対安静に保たれていたはずであった。 特に髄 ていたはずであることを認めていた。 以上のとおり、原告A1が、脳外科にて診察を受けていれば、CTスキャン の検査で異常がないことが確かめられた後は、絶対安静に保たれていたはずであった。 特に髄液検査について 髄液検査の危険性( )そもそも、髄液検査は、痛みを伴い体内への侵襲の大きい検査であり、まったく危険の伴わない検査ではないので、症例を選んで行うことが勧められている。腰椎穿刺に対するこどもの不安・恐怖は計り知れない。また、幼児、年少児の場合には、検査中に動くことが多く、術者の穿刺手技のみならず確実に体位を保持することが重要である。 よって、腰椎穿刺を実施するにあたっては、検査の目的、必要性など家族に十分に説明したうえで施行する必要性がある。特に10か月~5歳までの小児の場合には、安心感を得るために、検査時に母親の同席が必要であるとされている。 また、髄液の採取量は5以下、新生児では2以下にとどめるとさmlmlれている。穿刺後、頭痛や腰部の疼痛が発生することがあり、ごくまれに脊髄クモ膜下、硬膜下、硬膜外出血を伴うこともあるとされている。 しかし、E医師は、原告A3の了承なく、髄液検査を実施した。 髄液検査の適応がなかった( )E医師は「神経疾患である脳炎・脳症が原因であるのかどうか調べるた、めに髄液検査の施行を決定した」とする(被告日本赤十字社準備書面(1)〔7頁。 〕)しかし「脳炎・脳症」を疑う場合には、当該患者に「髄膜刺激症状」が、見られることがその前提とされている(乙B1-チャート。 )ここで「髄膜刺激症状」とは、文献によれば「髄膜の急性・亜急性炎症、ないし刺激状態に際してみられるもので、頭痛、項部強直、ケルニッヒ症候の3つが主なものである」とされている(甲B5〔1112頁。 〕) さ 症状」とは、文献によれば「髄膜の急性・亜急性炎症、ないし刺激状態に際してみられるもので、頭痛、項部強直、ケルニッヒ症候の3つが主なものである」とされている(甲B5〔1112頁。 〕) さらに、このうち「項部強直」とは「脊髄前根の刺激症状の一つとし、、て項部筋肉の強直性痙攣」のことであり「髄膜炎、クモ膜下出血、破傷風、などのときに見られる」とされている(甲B5〔691頁。 〕)また「ケルニッヒ症候」とは「患者の下肢を伸ばしたまま上にあげて、、躯幹に近づけると、痛みのため顔をしかめ反射的に下肢が膝関節で屈折する現象をいう。髄膜刺激により出現し、髄膜炎に特有な一症状である」とさ。 れている(甲B5〔605頁。 〕)しかしながら、原告A1は、頭痛こそ訴えていたものの(これは頭を打ったことによるものであることは明らかである、上記の項部強直及びケルニ)ッヒ症候は全くなかった。つまり、原告A1には、髄膜刺激症状は全く見あたらなかった。 また、他に原告A1には、小児科・内科的な意識障害の原因は見あたらなかった。 従って、原告A1には、髄液検査の適応が欠けていた。 なお、この点、被告日本赤十字社の代理人は、平成16年2月6日の第1回口頭弁論期日において「頭を打ったら、髄液検査をするのは、当たり前、である」旨発言していたが、これは明白な誤りであるので、念のために申。 し添える。 適応がないにもかかわらず、不要な髄液検査を行い、安静に保たなかった( )E医師は、原告A1に対して、適応がないにもかかわらず、全く意味のない髄液検査を行い、原告A1に本来必要のない恐怖感を与えたことに加えて、嫌がる原告A1を暴れさせて泣き叫ばせながら、髄液検査を行った。 このように、原告A1を極力安静に保つべきであったにもかかわらず、現実には正反 い、原告A1に本来必要のない恐怖感を与えたことに加えて、嫌がる原告A1を暴れさせて泣き叫ばせながら、髄液検査を行った。 このように、原告A1を極力安静に保つべきであったにもかかわらず、現実には正反対に、原告A1を安静に保たなかった。 ()被告日本赤十字社の主張 原告A1に髄液検査の適応があったこと 髄液検査の一般的必要性及び適応( )髄液は、脳の代謝状態を反映するものであり、髄液検査は種々の神経疾患を診断する目的で行われ、神経疾患全体の適応がある。 頭部CT検査によっては判別できない軽微なくも膜下出血等の存在が髄液検査によって判明することもあるため、かかる出血が疑われる場合も、髄液検査の適応はある。 原告A1に対する髄液検査の必要性及び適応( )問診及び意識レベルの状態の確認などから、原告A1の意識障害の原因については、頭部外傷、脳炎・脳症、てんかん、代謝異常が疑われ、このうち脳炎・脳症がその意識障害の原因であるのかどうかを調べるため原告A1に対して髄液検査を行う必要があった。 また、頭部CT検査によっては判別できない軽微なくも膜下出血等が意識障害の原因となっている可能性もあったため、髄液検査によってかかる出血が生じていないかどうかを調べる必要もあった。 従って、原告A1には髄液検査の適応があった。 原告A1に来院後直ちに脳外科の診察を受けさせるべきであったとはいえな いこと原告A1が来院した時点では、ただ原告A3より「原告A1が『頭をこつんしたの』と言っていた」との点が聴取されたのみで、原告A1の頭部には顕著な外傷痕もなく、何らの検査も行わず直ちに原告A1の意識障害の原因を頭部外傷と断定することはできなかった。 原告A1の意識障害の原因が来院時より頭部外傷と断定できたということを前提として、来院後直ちに脳外科 もなく、何らの検査も行わず直ちに原告A1の意識障害の原因を頭部外傷と断定することはできなかった。 原告A1の意識障害の原因が来院時より頭部外傷と断定できたということを前提として、来院後直ちに脳外科の診察を受けさせるべきであったとする原告らの主張は、そもそもその前提が誤りである。 来院日の翌日未明に原告A1を診察した被告病院脳外科のI医師も「打撲、 の跡はなく、御指摘どおり(頭部レントゲン、とも異常ありまskullX-PCT)せん。半日たっての診察でしたが特に神経学的に異常ないようです」と診断しており(乙A5〔7頁、来院後直ちに脳外科の診察を受けさせなければな〕)らなかったということはない。 第三原告A1に対する髄液検査の手技に問題があったか否か()原告らの主張髄液検査に当たっての、医師の注意義務 腰椎穿刺は、患者の腰椎の棘突起を触知し、線を基準に穿刺部位を確Jacoby認し、針を刺入して、髄液を採取するというものである(甲B6。いわば、)背骨に針を侵入させて行う方法であり、体内侵襲を伴う検査として極めて危険な検査である。まったく危険の伴わない検査ではないので、症例を選んで行うことが勧められている。 特に、腰椎穿刺に対するこどもの不安・恐怖は計り知れない。また、幼児、年少児の場合には、検査中に動くことが多く、術者の穿刺手技のみならず確実に体位を保持することが重要である。 よって、腰椎穿刺を実施するにあたっては、検査の目的、必要性など家族に十分に説明したうえで施行する必要性がある。特に10か月~5歳までの小児の場合には、安心感を得るために、検査時に母親の同席が必要であるとされている。 また、髄液の採取量は5以下、新生児では2以下にとどめるとされmlmlている。 特に脳圧亢進が疑われる場合には、髄 場合には、安心感を得るために、検査時に母親の同席が必要であるとされている。 また、髄液の採取量は5以下、新生児では2以下にとどめるとされmlmlている。 特に脳圧亢進が疑われる場合には、髄液流出に伴う髄液圧低下のため、各種ヘルニアが惹起され、また、致命的な呼吸障害、意識障害を生じるので、禁忌とされている。 また、副作用として、頭痛、腰痛などがあり、ときには、脳神経麻痺などをみることがあり、感染があれば化膿症髄膜炎を併発することがあるとされる。 原告A1に対する髄液検査の問題点 ところが、E医師は、原告A3の了承を得ることなく、原告A1に対して髄液検査を行った。 また、原告A1は、髄液検査の際に「やめて!」と悲鳴を上げ「痛、、い!「ママ!ママ!助けて!」という悲鳴をひっきりなしに続けていた。 」これに対して、E医師をはじめとする被告病院のスタッフは、力づくで押さえ込んで髄液検査を実施したという。 しかしながら、いかに子供とはいえ、意識不明の患者が、意識不明にもかかわらず痛みに反応していやがって暴れているのに対して腰椎穿刺を行った場合には、検査の意味を理解しておとなしく検査に協力している場合に比べて、不要な傷を負わせる可能性は格段に高いと言わなければならない。 現に、原告A1は、その後たびたび足の激痛におそわれたのであるが、それは、暴れる幼児に対し、無理に腰椎穿刺をしたことで、周囲の神経を傷つけ、後遺症が出現したものであると考えられる。 ()被告日本赤十字社の主張幼児に対する一般的な髄液検査の態様 髄液検査の際、乳幼児では協力を得ることが困難なので、患者をおさえる必要がある。介助者は処置台上に乗り、患児を前屈位にして抱え込むようにしておさえる。 原告A1に対する髄液検査の手技に問題がなかったこと 平成3年当時、 協力を得ることが困難なので、患者をおさえる必要がある。介助者は処置台上に乗り、患児を前屈位にして抱え込むようにしておさえる。 原告A1に対する髄液検査の手技に問題がなかったこと 平成3年当時、原告A1は幼児であったため(当時4歳、同人に対する髄)液検査は、介助者が同人をおさえ、腰椎穿刺により髄液を採取するという方法で行われたものであり、髄液検査の態様・手技に何ら問題はなかった。 第四原告A1に、足の激痛及び外傷性てんかんが発生したか否か()原告らの主張原告A1の症状の推移 幼稚園での衝突後の経緯( )原告A1は、原告A3と自転車で自宅へ帰る途中「ウー、ウー」とか、「ウーン」とか言葉にならないような声を出し続け、原告A3の問いかけに対しても、返事をすることができなかった。原告A1は、乗っていた自転車から落ちそうになるくらい体がふらふらしており、徐々に様子がおかしくなっていったがどうにか自宅に戻った。 原告A3らが自宅に戻ったのは、平成3年6月3日午後2時ころだった。 原告A3らが家についた頃には、原告A1はもう目を閉じており、原告A3の問いかけにも全く反応せず、自分で歩く事もできなかった。原告A1を寝かせると、すぐに「痛い!痛い!」と叫んで体を大きく激しく動かした。 原告A1の叫ぶ声があまりに大きく、反応があまりに激しかったため、原告A3は救急車を呼んだ。 救急車の中での原告A1の様子( )原告A1の救急車の中での様子については、被告病院のカルテ中に以下のような記載がある。 「救急車で歯をくいしばっていた(乙A1号証のA3)」「眼球上転あり(乙A1号証のA3)」「痛い痛いと泣き叫んだ。両上腕をつっぱり、閉眼したまま泣くことが3分間ずつ3回繰り返した。1回嘔吐あり(乙A5号証の23頁)。」「救急 号証のA3)」「眼球上転あり(乙A1号証のA3)」「痛い痛いと泣き叫んだ。両上腕をつっぱり、閉眼したまま泣くことが3分間ずつ3回繰り返した。1回嘔吐あり(乙A5号証の23頁)。」「救急車の中で、歯を強くくいしばり、眼球上転あり(時間ははっき。 りしない(同)。)」 これらの各記載された原告A1の症状は、まさに、てんかんの痙攣発作の症状そのものである。 原告A1は、外傷性てんかんである の診断基準( )Walkerによれば、その診断基準は、Walker①発作はまさしくてんかんである②外傷以前には痙攣を起こしていない③他に脳または全身の疾患を持たない④外傷は脳損傷を起こしうるほどに強かった⑤最初のてんかん発作は外傷以来あまり経過していない時期に起こった⑥てんかん型・EEG・脳損傷部位が一致しているとの6つであるとされている(甲B1。 ) 原告A1の症状は、の診断基準を満たしている( )Walker原告A1については、てんかんを発症する器質的、遺伝的素因がない。 さらに、上記の診断基準に照らせば、①原告A1の発作は、「突然崩れ落ちるように倒れ、同時に意識を失った」「突然ふらふらと倒れ、同時に意識を失った」「倒れた時、手がけいれんしていた」「体をひねるように倒れ落ち、同時に意識を失った」「倒れた時、手足がけいれんしていた」「突然倒れ意識を失った。少しの間けいれんしていたが、意識は数分で回復した」というものであり、これらの症状は、まさにてんかんの発作である。 ②また、原告A1には、平成3年6月3日の外傷以前に、けいれんの既往はない。 ③また、原告A1には、他に脳又は全身の疾患はない。 ④さらに、平成3年6月3日の外傷は、原告A1が、トイレから出ようとしたところ、訴外 成3年6月3日の外傷以前に、けいれんの既往はない。 ③また、原告A1には、他に脳又は全身の疾患はない。 ④さらに、平成3年6月3日の外傷は、原告A1が、トイレから出ようとしたところ、訴外B1が、ものすごい勢いでトイレに駆け込み、ノックもしないでトイレの個室のドアを開けて中に飛び込んできて、原告A1と激突したというものであり、原告A1は、その場で、自分の頭をトイレの横の壁に強く打ち付けた、というものであり、外傷は脳損傷を起こすほど強かったと言える。 ⑤発作の初発時期は、被告病院から提出されたカルテの各記載によれば、原告A1は、外傷後早期てんかんを発症していたと思われる。 すなわち、カルテ中には、「救急車で歯をくいしばっていた(乙A1号証のA3)」「眼球上転あり(乙A1号証のA3)」「痛い痛いと泣き叫んだ。両上腕をつっぱり、閉眼したまま泣くことが3分間ずつ3回繰り返した。1回嘔吐あり(乙A5号証の2。」3頁)「救急車の中で、歯を強くくいしばり、眼球上転あり(時間はは。 っきりしない(同)。)」という各記載がある。 これらの各記載された原告A1の症状は、まさに、てんかんの痙攣発作の症状そのものである。 ⑥てんかん型・EEG・脳損傷部位が一致している外傷の部位、すなわち、平成3年6月3日の本件事故において、原告A1が頭をぶつけた部位と、異常な脳波が出ている場所とが一致している(甲6。 ) 補足( )ア単なる脳震盪ないし脳挫傷だけでは説明がつかない 原告A1は、頭を打った直後ではなく、その後一定時間が経過してから、状態が急激に悪化している。すなわち、原告A1は、本件幼稚園で頭を打った後、少なくとも数時間が経過した後、帰宅してから「痛い、痛い」、と叫んで、体を大きく激しく動かした。原告A3は、その様 から、状態が急激に悪化している。すなわち、原告A1は、本件幼稚園で頭を打った後、少なくとも数時間が経過した後、帰宅してから「痛い、痛い」、と叫んで、体を大きく激しく動かした。原告A3は、その様子を見て、救急車を呼んだ。仮に、原告A1が、頭を打った時、脳震盪を起こしていたとしても、その後一定時間は、原告A1は自分で歩き、母親の原告A3の自転車に乗せられて自宅まで帰っているのである。単純に脳震盪だけでこのような状態になったとは考えられない。従って、原告A1は、頭部外傷後、てんかん様の発作が合併したと考えられるのである。 イ被告病院による各種検査でも異常はなく、意識障害の原因は明らかにされていない原告A1については、被告病院の各種検査において、CTやレントゲンには何の異常もなく、その他実施された各種検査にも何の異常もなかった。 従って、原告A1の意識障害の原因として考えられるのは、まさにてんかん発作しかない(乙B1〔2枚目「チャート、5枚目。 」〕)ウ原告A1は、その後、現にてんかんを発症している原告A1には、外傷後9年を経過して、以下のとおりてんかんの発作が発生した。 ①平成12年6月28日②平成12年8月25日③平成12年10月1日④平成13年10月8日このように、その後、現に原告A1がてんかんを発症していることからも、外傷後数時間を経た時点で、原告A1が外傷性の早期てんかんを発症していたことが裏付けられるのである。 エ晩期てんかんの発症因子 の基準の⑤「外傷後あまり経っていない」とは、閉鎖性頭部外Walker傷の場合には2年ないし5年、開放性の場合には10年とされている(丙B6、標準脳神経外科学251頁。 )Walしかし、同書(丙B6、標準脳神経外科学251頁)では、上記のの基準は厳しすぎるきら 傷の場合には2年ないし5年、開放性の場合には10年とされている(丙B6、標準脳神経外科学251頁。 )Walしかし、同書(丙B6、標準脳神経外科学251頁)では、上記のの基準は厳しすぎるきらいがあるとして、外傷性てんかん発生のリスkerクとして、以下のようなものもあげている。 ①開放性脳損傷(約50%)およびそれに感染を伴う場合②脳挫傷および6時間以上の意識障害、24時間以上の外傷後健忘(PTA)の存在、GCSスコア<10のもの③急性頭蓋内血種④陥没骨折、硬膜裂傷⑤早期てんかん発症例また、は、晩期てんかん(外傷性てんかん)の発症を予測しうJennettる3つの因子を上げている(甲B4、丹羽真一ほか「小児のてんかん」290頁。 )①早期てんかんの存在②外傷後2週間以内の頭蓋血種の除去③陥没骨折の存在オ原告A1の症状上記の点について、原告A1は、①頭部外傷後、数時間以内のてんかん様の発作があったのであり、これは早期てんかんであると思われること②原告A1には、少なくとも平成3年6月3日の事故後、救急車を呼んだ午後2時前には意識不明状態となり、その後、同日夜まで意識不明の状態が続いていたことが認められる。 従って、これらの点からすれば、原告A1のてんかんは、外傷性(晩期)てんかんの診断基準を満たしている。 カW医師の意見W医師は、被告病院のカルテ等の資料を検討するなどして、原告A1が外傷性てんかんであるという意見を述べている。 足の激痛 退院翌日である平成3年6月6日の足の激痛( )原告A1は、平成3年6月3日の衝突事故の後、被告病院に入院し、その後同月5日に退院したのであるが、退院したその翌日である同月6日、突如として足の激痛に襲われた。それは、原告A1が、それまでに経験し 原告A1は、平成3年6月3日の衝突事故の後、被告病院に入院し、その後同月5日に退院したのであるが、退院したその翌日である同月6日、突如として足の激痛に襲われた。それは、原告A1が、それまでに経験したことがないほどの強烈な痛みであった。原告A1は、起きあがることもできず、救急車で被告病院の外科に搬送された。しばらくして、原告A1の足の痛みは徐々に和らいでいった。 その後も、原告A1の足の激痛は毎日続いた( )その後も、原告A1の足の激痛は毎日続いた。原告A1の足の激痛は、その場に倒れ込んでしまい全く身動きできなくなる程強烈なものであった。原告A1は、うめき声を上げて、大粒の涙をぽろぽろこぼした。痛みが和らぐまで5分から10分以上激痛が続いた。立って歩ける程度まで、痛みが和らぐまでには、10分以上かかった。とにかく、どうしようもない痛みだった。 小学校時代( )原告A1は、本件事故以来、足の激痛の発作に悩まされてきたが、その激痛の発作は、回数こそ徐々に減少し、また痛みも当初ほどは強くなくなってきていたが、それでも完全に無くなったわけではなく、依然として続いていた。 1、2年生のころ(平成5、6年)は平均すれば1月に1回か2回程度の発作があった。 それが、3、4年生のころ(平成7、8年)には、2、3か月に1回程度となり、5、6年生のころ(平成9、10年)には、さらに頻度は少なくなった。 しかし、完全になくなったわけではなく、思い出したように激痛に襲われていた。 中学校進学( )その後、原告A1は、平成11年4月に、中学校に入学した。原告A1は、本件事故以来、足の激痛に悩まされてきたが、このころには、激痛が襲う間隔は、以前に比較して長くなっており、比較的楽になっていた。原告A1は、中学校に入ってから、足の激痛に襲わ 入学した。原告A1は、本件事故以来、足の激痛に悩まされてきたが、このころには、激痛が襲う間隔は、以前に比較して長くなっており、比較的楽になっていた。原告A1は、中学校に入ってから、足の激痛に襲われて動けなくなったことは、ほとんど記憶にない。 小括( )以上のとおり、原告A1は、平成3年6月3日の本件衝突事故及びそれに引き続く被告病院での診療(検査)以来、度重なる足の激痛に悩まされてきた。それは、少なくとも小学校6年時(平成10年)まで、継続していた。 さらに、その足の激痛がほぼ収まったころにあたる、平成12年6月28日に、第1回目のてんかん発作を発症し、それ以後、合計4回の発作を発症した。 ()被告日本赤十字社の主張原告A1には「足の激痛」も「外傷性てんかん」も生じていない。 原告らは、原告A1には「足の激痛発作」が約7年間にもわたり継続したと主張するが、その根拠となる客観的資料は、①平成3年6月6日に原告A1が「腰痛・下肢痛」を訴えて被告病院に来院したとの記録(乙A1〔4頁)及び②原〕告A3作成の「夏の学校児童健康調査」と題する書面中の「突然足が痛み出すことがあります」との記載のほかには全くない。原告ら主張のごとき激烈な痛みが約7年間にもわたって継続していたのであれば、原告A1は当然に通院を継続し たはずであるところ、上記の被告病院通院記録の後、原告A1が足の痛みを訴えて通院したとの記録は一切ないのである。 また、原告らが原告A1の「外傷性てんかん」の症状として主張する事実は、。 原告らが挙げる外傷性てんかんの定義(の診断基準)を満たしていないWalker()被告B夫妻の主張原告A1の本件手技前の疾患の存在 原告A1は、3歳頃より風邪を引くとゼーゼーいうようになり、喘息様気管支炎と診断され、本件事故前の平 準)を満たしていないWalker()被告B夫妻の主張原告A1の本件手技前の疾患の存在 原告A1は、3歳頃より風邪を引くとゼーゼーいうようになり、喘息様気管支炎と診断され、本件事故前の平成3年5月26日には37.5度の熱を出し、近医を受診したところ喘息性気管支炎と診断されていたこと(乙A5〔23頁、9歳になる兄と同様、原告A1もアトピーの持病があり、一時期、ミ〕)ルクとチーズにアレルギー反応を示していたこと(乙A5〔23頁、平成〕)12年当時にもチーズを食べると蕁麻疹が出ることがあったこと(甲A5〔2頁)などは証拠上明らかであるし、本件事故の1週間以上前から風邪気味で〕あり、時には37.5度程度の微熱もあり、水分摂取量が低下していたこと(乙A5〔2~3頁、咽頭にも軽度の発赤が認められたこと(乙A5〔4〕)頁、平成3年6月3日の入院時には、若年者頭部外傷症候群の他に脱水症〕)という診断がなされていたことなど(乙A5〔1頁)も明らかである。さら〕に、平成12年の被告病院のカルテには「ストレスがたまっている。不登校、の子のことをみんなに聞かれる。精神科で軽~中度抗うつ状態とされ、内Dx服中(乙A2〔3頁)などと心因性の疾患を疑わせる記載もある。 」〕したがって、原告A1には、本件事故前からもともと疾患をもっていたことが十分認められるのであって、の6要件を満たさないことは明らかでWalkerある。 脳震盪を起こし得るほどに強い頭部外傷の不存在 原告A1が頭を打ったとされるトイレは、和式便器で、ドアに向かって反( ) 対側にある壁までの距離が約70センチメートルと極めて狭い空間であり、年中幼児の平均身長が約110センチメートルであることを考えると、仮に足を踏まれてぶつかってこられたとしても って反( ) 対側にある壁までの距離が約70センチメートルと極めて狭い空間であり、年中幼児の平均身長が約110センチメートルであることを考えると、仮に足を踏まれてぶつかってこられたとしても、容易に壁に手をついたり、もう一方の足を床についたりして壁との衝突を避けうる空間であり、手もつかず、しりもちもつかずに左頭頂部を壁に打ちつけることは不可能である。 また、ドアは外開きであって、そもそも外から園児がノックもしないでトイレ内に走り込んでくることはあり得ず、仮にぶつかってきたとしても、それはドアを一旦開けてからぶつかってきたことになり、極めて不自然であるばかりか、仮にぶつかった事実があったと仮定しても、その勢いはかなり低いものにならざるを得ない(丙B8・9。 ) 平成3年6月4日、被告病院の脳外科I医師は「打撲部に打撲の跡はなく、( )、とも異常ありません。半日たっての診察でしたが、特に神経学skullx-pCT的に異常ないようです。けいれんも話をきいた限りでははっきりしません。 後頭部を打撲すると1~3日嘔気、嘔吐がつづく患者さんが多いのですが、長く続くようでしたらステロイドを少量使うと子どもさんは元気になるのが早いようです(乙A2〔4~6頁)と診断しているが、原告A1が同月。」〕3日午後5時50分にストレッチャーに乗せられて入院した際には「吐気、(-、嘔吐(-」とされており(乙A5〔26頁、その後も6月5日))〕)の退院に至るまで、吐き気や嘔吐を訴えた形跡は見当たらないのであって(乙A5〔26~28頁、典型的な頭部打撲の症状とは異なっていた。 〕) 原告A1の頭部外傷が軽症であったことは、Wも「その後、日赤で検査し( )た結果は、頭部CTにもレントゲンにも異常がないそうですので、A1の場合は、通常 頭部打撲の症状とは異なっていた。 〕) 原告A1の頭部外傷が軽症であったことは、Wも「その後、日赤で検査し( )た結果は、頭部CTにもレントゲンにも異常がないそうですので、A1の場合は、通常は、単純な脳震盪ないし検査で判明しない程度の軽い脳挫傷と考えるのが普通だと思います(甲B3〔2頁)と認めている。 。」〕早期てんかんが発症していないこと 臨床的なてんかん発作が確かにあり、その発作型と意味ある関連を示す脳( ) 波異常を証明しうることがてんかんの必要条件とされている(但し、同じ発作を繰り返し、何らかの脳波異常を示しても、進行する脳腫瘍、脳血管侵襲の急性期、急性脳炎など急性・進行性の脳障害が基底にあって発作を起こす疾患においては、けいれんをはじめとする発作が反復して起きる場合があるが、これらはてんかんから除外される(丙B10〔11~32頁)が、)〕本件では早期てんかんを証明しうる脳波異常が存在したとの証拠はない(丙B10〔33~71頁。 〕) 単純性の熱けいれん、低カルシウム血症、低血糖症、失神発作、片頭痛、( )アルコールけいれん、ヒステリー発作、ナルコレプシー、夜驚症などでは、てんかんに特有な脳波異常が見られず、てんかんからは除外されており(丙B10〔11~19頁、同〔72~88頁、20~25%という極めて〕〕)多くの非てんかん性発作がてんかん発作と誤診されていること(丙B11〔309~330頁「外的因子により誘発される機会発作は、特に小児〕)、に特徴的で、生後6か月から4歳までは発熱が主な誘因となる(丙B1。」1〔1~7頁)とされていること「その他の混乱要因として、小児では〕、軽い外傷の頻度が高いため、外傷と発作の偶然の一致を除外できない点がある(甲B4〔288頁)とされて となる(丙B1。」1〔1~7頁)とされていること「その他の混乱要因として、小児では〕、軽い外傷の頻度が高いため、外傷と発作の偶然の一致を除外できない点がある(甲B4〔288頁)とされていることから考えると、原告A1が、。」〕3歳頃より風邪を引くとゼーゼーいうようになり、喘息様気管支炎と診断され、本件事故前の平成3年5月26日には37.5度の熱を出し、近医を受診したところ喘息性気管支炎と診断されていたこと(乙A5〔23頁、〕)9歳になる兄と同様、原告A1もアトピーの持病があり、一時期、ミルクとチーズにアレルギー反応を示していたこと(乙A5〔23頁、平成12〕)年当時にもチーズを食べると蕁麻疹が出ることがあったこと(甲A5〔2頁、本件事故の1週間以上前から風邪気味であり、時には37.5度程〕)度の微熱もあり、水分摂取量が低下していたこと(乙A5〔2~3頁、〕)咽頭にも軽度の発赤が認められたこと(乙A5〔4頁、平成3年6月3〕) 日の入院時には、若年者頭部外傷症候群の他に脱水症という診断がなされていたことなど(乙A5〔1頁)に鑑みると、原告A1の上記諸症状が外傷〕に基づくものとは断定できない。 「らによると、重篤な外傷後の早期発作の発生率は30.5%で( )Annegersあるが、軽度と中等度の外傷では約1%に過ぎない(甲B4〔288」頁)と指摘されていることからすると、本件事故のように軽微な外傷で早〕期てんかんが発症したとは考えにくい。 Wの意見書は「上記のA1の症状は、明らかに、頭部外傷後、何らかの( )、機序で、てんかん様の発作が合併したのではないかと考えられます。そして、その後A1がてんかんを発症していることからすれば、既に外傷後数時間経た時点で、A1は外傷性の早期てん 後、何らかの( )、機序で、てんかん様の発作が合併したのではないかと考えられます。そして、その後A1がてんかんを発症していることからすれば、既に外傷後数時間経た時点で、A1は外傷性の早期てんかんを発症していたのではないかとみるのが自然です(甲B3〔3頁)と診断しているが、この意見書では、非。」〕てんかん発作との識別が検討されておらず、医学上、外傷後晩期てんかんの発症を予測しうる因子として早期てんかんが存在することが指摘されているに過ぎないのに(甲B4〔290頁「外傷後晩期てんかんが発症してい〕)、るから、これらの症状は早期てんかんに違いない」と全く逆の論理展開を。 主張しており、いわば結論をもって理由を導き出しているというに等しく信用性が認められない。 原告らは、事故直後は被告B夫妻に対して、早期てんかんに対する損害賠( )償などの請求を一切していないし、仲裁手続においても早期てんかんに関する主張は一切していないのであるから、今頃になって早期てんかんの存在を主張し始めたこと自体、極めて不自然かつ不合理である。 脳波の異常部位と頭部外傷部位とが異なること 外傷性てんかんの場合、衝突部位と脳波の異常部位とが一致するといわれているところ、本件幼稚園が平成3年7月13日に関係機関に報告するために作成した災害報告書には、原告らからの説明に基づいて災害発生の状況が記載さ れており、そこには「後頭部をタイルで打った(丙B12)と記載されてい」る。これは、平成15年9月30日にO病院による「脳波の焦点は左頭頂より中心部です(甲A6)という診断結果と矛盾する。 。」原告らは、平成16年10月20日付準備書面(6)3頁において「頭を、打った壁がどこかは不明であるが、左の頭頂部を打った」と主張し、この衝。 突部位と脳波の A6)という診断結果と矛盾する。 。」原告らは、平成16年10月20日付準備書面(6)3頁において「頭を、打った壁がどこかは不明であるが、左の頭頂部を打った」と主張し、この衝。 突部位と脳波の異常部位が一致していると主張する(甲A6)が、原告らは衝突部位という極めて重要な事実について、診断結果と衝突部位とを一致させるため、意識的に供述を変遷させており、信用性がない。 第五本件事故と損害との間に因果関係があるか否か()原告らの主張B1がトイレに駆け込んだ際の外傷の強さ 前記の主張に同じ第四救急車の中での発症 前記の主張に同じ第四てんかんの再発と脳波の異常部位と頭部外傷部位との同一性 前記の主張に同じ第四()被告B夫妻の主張原告A1の本件手技前の疾患の存在 前記の主張に同じ第四脳震盪を起こし得るほどに強い頭部外傷の不存在 前記の主張に同じ第四早期てんかんが発症していないこと 前記の主張に同じ第四 脳波の異常部位と頭部外傷部位とが異なること 前記の主張に同じ第四早期てんかんが発症していたからといって、必ずしも晩期てんかんが発症す るとは限らないこと仮に原告A1に早期てんかんが発症していたとしても「らによる、Annegersと、大人例とは違って小児例では重傷あるいは中等度の外傷後の早期発作と晩期てんかんには何らの相関もなかった(甲B4〔289頁)とされている」〕とおり、必ずしも原告A1に平成12年以降発生した各発作が外傷性てんかんに基づくものであるとは断定できない。 第六被告病院の髄液検査と損害との間に因果関係があるか()原告らの主張因果関係の立証の程度について 最高裁は「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学、的証明ではな 。 第六被告病院の髄液検査と損害との間に因果関係があるか()原告らの主張因果関係の立証の程度について 最高裁は「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学、的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、事実と結果との間に高度の蓋然性を証明することであり、その判定は通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる」とし「高度の蓋然性」という表現を用いている(最高裁第二小法廷・昭和50年10月24日判決・ルンバール判決・民集29巻9号1417頁・判例)、時報792号。この判決は、民事訴訟における因果関係の証明度についてもまた医学的証拠や科学的証拠の評価基準としてもリーディングケースとなっており「通常人」を判断基準として、全証拠を総合検討した上で、真実性の確、信を持ちうることで、法的に因果関係の証明がなされたものと判断している。 髄液検査と足の激痛との間の因果関係 髄液検査は、強い体内侵襲を伴う検査として本来的に危険な検査である。 副作用としては、頭痛、腰痛のほか脳神経麻痺や化膿性髄膜炎などが報告されているが、実際の副作用はこれにとどまらない。 裁判事例でも、髄液検査を行った際に血管を傷付けて血腫ができ、神経を圧迫して下肢麻痺などの後遺症が残ったという事例が報告されている(甲B9、鳥取地裁米子支部山陰労災病院事件。なお、同訴訟は病院側が2500万円を支払う和解によって終了した。 。)原告A1は、被告病院を退院した翌日に、足の激痛の発作を起こしている。 原告A1の足の激痛の発作は、被告病院にて各種検査を受けてから後に発生したものであり、本件事故及び被告病院での診療の前には、原告A1には足の激痛発作など全くなかった。 さらに、原告A1は、平成3年6月6 A1の足の激痛の発作は、被告病院にて各種検査を受けてから後に発生したものであり、本件事故及び被告病院での診療の前には、原告A1には足の激痛発作など全くなかった。 さらに、原告A1は、平成3年6月6日から平成11年ころまで、継続的に激痛発作に見舞われている。このように激痛が一過性のものではなく、継続的なものだったこと、激痛の発作の内容がほぼ同様のものだったことからすれば、その原因は、特定の神経系統の損傷によるものと考えられるのであり、そして、それが損傷する可能性があるのは、平成3年6月3日の髄液検査以外には考えられない。 従って、上記の最高裁判決に照らしても、被告病院の適応のない髄液検査と原告A1の足の激痛との間に因果関係があることは明白である。 被告病院の医師が、適応のない髄液検査を行ったこと等により、原告A1を 安静に保たなかったため、そのことが、原告A1の外傷性てんかん再発の可能性を増悪させた原告A1は、すでに平成3年6月3日の時点で、最初のてんかんを発症していた。その後、原告A1は、平成11年ころまでの間(特に平成3年6月6日以降は毎日のように、継続的に動けなくなるほどの突然の足の激痛に見舞わ)れていた。そして、平成12年ころを境に、足の激痛発作がなくなったのとちょうど引き換えるように、てんかん発作を再発症した。 原告A1のてんかん発作が再発症してからは、足の激痛発作は一度も発生していないのである。このようなことが偶然に起きているとは思われない。 このように、それまであった足の激痛発作がなくなり、それと同時期にてんかん発作を発症したことからすれば、足の激痛とてんかん発作との間には、通常、何らかの影響関係があったものと考えられる。 そして、前述したとおり、原告A1の足の激痛は、被告病院の適応のない髄液検査が原因であったので したことからすれば、足の激痛とてんかん発作との間には、通常、何らかの影響関係があったものと考えられる。 そして、前述したとおり、原告A1の足の激痛は、被告病院の適応のない髄液検査が原因であったのであるから、従って、被告病院の医師が、原告A1を安静に保たず、かつ、適応のない髄液検査を行ったことは、その後の原告A1の外傷性てんかん再発の可能性を増悪させたというべきであり、相当因果関係が存する。 ()被告日本赤十字社の主張前記のとおり、そもそも、原告A1には「足の激痛」及び「外傷性てんかん」が生じていないものであるが、仮に、これらが生じていたとしても、原告A1の頭部外傷及びその後の髄液検査等の検査の施行と「足の激痛」の発生との間、「足の激痛」の発生と「外傷性てんかん」の発症との間には、それぞれ因果関係はない。 原告A1の意識障害の原因は若年者頭部外傷症候群であったが(乙A5〔1頁、若年者頭部外傷症候群の予後は良好であり、意識障害に加えけいれん発〕)作を呈した場合であってもいわゆる外傷性てんかんに移行することはない(乙B3。 )第七損害額()原告らの主張原告A1 逸失利益金1720万7046円( )①症状固定日平成12年6月28日(症状固定時満13歳)②後遺障害等級9級10号(35%)(抗痙攣剤を内服する限りにおいては、数か月に1回程度若しくは完全に発作を抑制しうる場合、又は発作の発現はないが脳波上明らかにてんかん性棘波を認めるもの「通常の労働は可能であるが、その就労する職種が相当な程度に限定されるもの」甲9)③平成11年賃金センサス女子学歴計345万3500円上記に基づき、次の計算式で算出した。 345万3500円×0.35×(18.5651(54年の係数)-4.3294(5年の係数)) 」甲9)③平成11年賃金センサス女子学歴計345万3500円上記に基づき、次の計算式で算出した。 345万3500円×0.35×(18.5651(54年の係数)-4.3294(5年の係数))=1720万7046円 後遺障害慰謝料金690万0000円( )後遺障害等級9級10号に相当する後遺障害慰謝料としては、690万円が相当である。 足の激痛発作の慰謝料金300万0000円( )原告A1の足の激痛は、筆舌に尽くしがたいものであり、その苦痛を慰謝するには、金300万円をもってするのが相当である。 各金300万0000円原告A3及び原告A2原告A3及び原告A2は、本件事故後及び被告病院での医療過誤事故後、原告A1とともに、その苦しみを負ってきた。 とりわけ、原告A3は、本件事故後、被告病院に最初から付き添っていながら、最初から脳外科の診察を受けさせることができず、E医師ら小児科医による不必要な検査を止めさせることができなかったことを深く悔やみ、原告A1がこのようなことになった責任は、まるで自らが原因であるかのごとく感じており、深刻な精神的なダメージを受けた。 このように、原告A3及び原告A2は、本件事故及びその後の医療過誤によって、原告A1が被った損害とは別に、精神的な苦痛を受けた。その苦痛を慰謝するには、それぞれ、金300万円をもってするのが相当である。 ()被告日本赤十字社の主張原告らの主張については全て否認ないし争う。 ()被告B夫妻の主張本件幼稚園からの和解金の受領等 平成15年6月13日仲裁手続において、訴外本件幼稚園が原告らに対し、和解金として金100万円を支払い、和解手数料8万4000円を折半するとの内容で和解している。 原告らは、本件事故後、訴外本件幼稚園から入園料及び支払済 続において、訴外本件幼稚園が原告らに対し、和解金として金100万円を支払い、和解手数料8万4000円を折半するとの内容で和解している。 原告らは、本件事故後、訴外本件幼稚園から入園料及び支払済みの月謝全額の返済を受領している。
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