神戸地方裁判所平成14年7月22日判決平成13年(わ)第1302号窃盗被告事件 主文 被告人を懲役1年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,平成13年10月1日午前10時35分ころ,兵庫県A郡B町Ca番地のb所在の古本店「D」において,同店店長V管理にかかるミュージックCD5枚組1点(時価約3000円相当)を窃取したものである。 (証拠の標目)ー括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号ー省略(事実認定の補足説明)弁護人は,被告人は,判示ミュージックCD5枚組1点(以下,「被害CD」という。)を購入することとし,所携の財布内の現金では代金支払に足りないと考え,不足の現金を駐車車両まで取りに戻るため,被害CDを持ったまま店外に出たものに過ぎず,被告人には窃盗の犯意はないから,無罪であると主張し,被告人も弁護人の主張におおむね沿う供述をするが,前掲関係各証拠によれば,弁護人主張の点を含め,判示の犯罪事実を優に認めることができるのであるが,所論にかんがみ,以下,若干補足する。 1 証人Vの当公判廷における供述その他前掲関係各証拠によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告人は,平成13年10月1日午前10時30分ころ,判示古本店「D」へ入店した。 (2) 被告人は,同日午前10時35分ころ,被害CDを脇の下に挟み込むようにして隠し持ったまま,店舗出入口の方に向かい,その内側に設置されている防犯ゲート(防犯用タグ。商品に付けられた電磁波用のシールを外さずに通過するとそのシールに反応して警報音が鳴る仕組みの万引検知用の防犯装置)を通過したが,その際,警報音が鳴ったため,レジ周りにいた同店店長Vが被告人を追いかけ,店外において,被告人に ールを外さずに通過するとそのシールに反応して警報音が鳴る仕組みの万引検知用の防犯装置)を通過したが,その際,警報音が鳴ったため,レジ周りにいた同店店長Vが被告人を追いかけ,店外において,被告人に声を掛け,防犯装置の警報音が鳴った旨伝えて,確認のためもう一度店内に戻るように依頼した。 (3) 店内に戻り,金属製の物を身につけていないか確認された被告人は,車のキーを差し出した後,再び防犯ゲートを通過したが,再び警報音が鳴ると,「悪い。」と言いながら,脇の下辺り,服の下から被害CDを取り出し,商品代金を払うから許してくれと謝った。 (4) その間,被告人は金を取りに行く途中であったとの趣旨の発言は一切していない。 2 以上のとおり認められる。証人Vの当公判廷における供述の信用性は十分であり,加えて,被告人の前掲検察官及び司法警察員に対する各供述調書中の各供述部分は,一貫して本件犯行を自認するものであるところ,その信用性もまた十分である。 これに対して,被告人は,公判廷において,本件窃盗の犯意を否認し,大要,不足の現金を駐車車両まで取りに戻るため,被害CDを持ったまま店外に出たに過ぎないなどと弁解するが,その弁解は抽象的にはおよそあり得ないこととまではいえないけれども,その弁解を述べる被告人の当公判廷における供述は,前後一貫せず,極めて誠実さに欠け,かつ曖昧なものである上,前記認定の事実,殊に,最終段階に至るまで被害CDを隠し持って,被害CDを購入するつもりであったのに金を取りに戻るため店外に出てしまった旨を一切述べていないことや,その直後,前記Vに対し犯行を自認していること,捜査段階においても,一貫して捜査官に対し本件犯行を自認し,前記弁解は一切述べていないこと等の事実に照らすと,被告人の前記公判における弁解は,到底信用できるも ,前記Vに対し犯行を自認していること,捜査段階においても,一貫して捜査官に対し本件犯行を自認し,前記弁解は一切述べていないこと等の事実に照らすと,被告人の前記公判における弁解は,到底信用できるものでない。 3 そして,前記のとおり,被告人の自白調書の信用性は十分であるところ,この事実と前記1認定事実によれば,判示事実は,被告人に被害CD窃取の犯意があることを含め,これを認めるに十分である。 したがって,弁護人の主張は理由がない。 (累犯前科)被告人は,平成11年5月12日名古屋地方裁判所岡崎支部で窃盗及び覚せい剤取締法違反の各罪により懲役1年10月に処せられ,平成13年3月7日その刑の執行を受け終わったものであって,この事実は,検察事務官作成の前科調書(検察官請求証拠番号17)及び判決書謄本2通(同20,21)によってこれを認める。 (法令の適用)罰条刑法235条再犯加重刑法56条1項,57条宣告刑懲役1年訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(負担させない。)(量刑の理由)本件は,前記累犯前科のほか懲役前科1犯を有する被告人が,前刑の執行終了後7か月も経ないで,格別の理由なく窃盗(万引)に及んだ事案であるところ,その規範意識の乏しさは深刻な状態にあるといわざるを得ず,加えて,被告人が,公判廷において,不自然不合理な弁解に終始して恥じるところがないことを併せ考慮すると,その刑事責任は軽視しえないというべきであるが,罪質,被害CDは,犯行直後,被害者に取り戻され実害がなかったこと等被告人のために酌むべき事情をも十分に考慮して,主文のとおり量定した。 よって,主文のとおり判決する。 平成14年7月22日神戸地方裁判所第11刑事係甲裁判官杉森研二 主文 べき事情をも十分に考慮して,主文のとおり量定した。よって,主文のとおり判決する。 理由 平成14年7月22日神戸地方裁判所第11刑事係甲裁判官杉森研二
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