昭和48(行コ)26 更正処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
昭和50年11月12日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文28,486 文字)

○ 主文原判決を取消す。被控訴人が昭和四三年三月二九日付でした控訴人の昭和三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度の法人税更正(ただし、東京国税局長が昭和四三年一〇月二九日付でした裁決によつて取消された部分を除く)および昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度の法人税更正の各処分を取消す。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。○ 事実控訴人代表者は、主文と同旨の判決を求め、被控訴人指定代理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。当事者双方の事実上の主張および証拠の関係は、次に記載するほかは原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。一、控訴人代表者は次のとおり付加陳述した。本件更正処分の通知書に付記すべき理由不備の違法について1、原判決理由の二の2に認定された本件更正理由および被控訴人が本件において更正の理由として主張するところは、いずれも中野税務署の係官として本件の調査を担当したAが被控訴人の決裁をうるために作成した「法人税決議書」のうちの調査経過書に更正の理由として記載した更正理由とはその趣旨を異にし、また控訴人に対する本件更正通知書に記載された更正理由ともその趣旨を異にする。したがつて、本件更正理由が原判決の認定したようなものであるとすれば、本件更正通知書には真実の更正理由とは異る理由が附記された点において違法がある。2、右のとおり原判決が認定した前記更正理由は、本件更正通知書に記載された更正理由と同一趣旨のものでなく、また中野税務署の本件担当の係官Aが調査の結果「権利等譲渡収入」という用語で表現しようとした趣旨とも異るのであるから、被処分者である控訴人は到底本件更正の理由を理解しえないのである。のみならず、青色申告者に対する更正理由の附記 Aが調査の結果「権利等譲渡収入」という用語で表現しようとした趣旨とも異るのであるから、被処分者である控訴人は到底本件更正の理由を理解しえないのである。 と同一趣旨のものでなく、また中野税務署の本件担当の係官Aが調査の結果「権利等譲渡収入」という用語で表現しようとした趣旨とも異るのであるから、被処分者である控訴人は到底本件更正の理由を理解しえないのである。のみならず、青色申告者に対する更正理由の附記 Aが調査の結果「権利等譲渡収入」という用語で表現しようとした趣旨とも異るのであるから、被処分者である控訴人は到底本件更正の理由を理解しえないのである。のみならず、青色申告者に対する更正理由の附記は、単に相手方に更正の理由を知らせるためばかりではなく、慢然たる更正のないように、更正の妥当公正を担保する目的をも含むから、申告者が更正の理由を知つていると否とにかかわりなく通知書の記載自体によつてこれを明らかにすべきであり、更に帳簿書類の記載以上に信憑力ある資料を摘示して処分の具体的根拠を明らかにすることを要する。しかるに本件附記理由は「権利等譲渡収入」というきわめて曖昧な表現であつて、右の要件を具備するものではない。二、被控訴人指定代理人は、次のとおり付加陳述した。被控訴人は本件各更正の理由付記についての主張について、次のとおりふえんする。本件の借入金又は敷金の名目で控訴人が金銭を受領したのは事実を仮装したものであつて、右金銭の受領に控訴人の益金となる。ところで、右益金となることについての事実関係は同一であつても、当該事実関係にかかる法律的評価は多様であつてその性格上おおむね左のように分けられる。1、特定入居者として公社に推せんし、特定入居者らをして公社の行う公募又は抽せんによらないで公社の住宅を購入し同住宅に入居することを得させたことの対価もしくは謝礼金。2、特定入居者から無抽せんで公社の分譲住宅を購入しうるよう、公社に推せんしたことについての仲介手数料ないしは、無抽せんで購入するための手数料。3、特定入居者に公社の分譲住宅の優先入居権を移譲したことの対価。4、控訴人が一旦公社から住宅の分譲を受け、その住宅を入居者にそのまま又は庭園の使用権ないし賃借権を附して移譲したことの対価。そして原処分調査担当者が、本件各更正に理由付記をす 移譲したことの対価。4、控訴人が一旦公社から住宅の分譲を受け、その住宅を入居者にそのまま又は庭園の使用権ないし賃借権を附して移譲したことの対価。そして原処分調査担当者が、本件各更正に理由付記をするに際して認識した法律的評価は右の3であり、右の法律的評価の趣旨にそつて理由付記をしたものであるが、右の法律的評価は控訴人が特定入居者らと住宅売買契約書を取交わす(乙第一〇号証の一、二)とともに当該契約書中で「入居権の移譲」の文言を使用していたこと、住宅そのものは、法令上公社から控訴人が取得することを禁じられていたこと等から、控訴人が公社へ入居者を推せんすることにより得られる住宅の優先的買受資格ないしは、優先的に入居できる利益の移転を主体に認識せざるを得なかつたことに起因したものである。 あるが、右の法律的評価は控訴人が特定入居者らと住宅売買契約書を取交わす(乙第一〇号証の一、二)とともに当該契約書中で「入居権の移譲」の文言を使用していたこと、住宅そのものは、法令上公社から控訴人が取得することを禁じられていたこと等から、控訴人が公社へ入居者を推せんすることにより得られる住宅の優先的買受資格ないしは、優先的に入居できる利益の移転を主体に認識せざるを得なかつたことに起因したものである。しかして、原判決は本件各更正の理由を右の1の趣旨で認定しているが、右のとおり、本件各更正の理由付記の基礎となる事実関係に差異がなく、いわば法律的判断の理由付けの差異に過ぎないものであるから、不備の違法があるということは正鵠を射ていないものである。しかも、事実を仮装していた控訴人にとつては、本件各更正の理由付記の全体から、原判決が認定した本件各更正の趣旨を、控訴人が当該更正通知書を受領した当時、十分理解することが可能な状況であつたことに既述したとおりである。三、証拠(省略)○ 理由一、次の事実はいずれも当事者間に争がない。1、控訴人主張のとおり本件更正処分がなされたこと、すなわち原判決事実摘示中の「原告の請求原因」の1記載の事実2、右更正通知書に更正の理由として、原判決三枚目表九行から同四枚目表二行までに記載のとおり記載されていること二、所得の認定について1、財団法人東京都住宅公社(以下公社という)が住宅金融公庫から住宅建設資金の貸付けを受けて昭和三 、原判決三枚目表九行から同四枚目表二行までに記載のとおり記載されていること二、所得の認定について1、財団法人東京都住宅公社(以下公社という)が住宅金融公庫から住宅建設資金の貸付けを受けて昭和三九年中に控訴人所有の東京都中野区<以下略>所在の宅地の上に鉄筋コンクリート造地下一階地上六階の長期分譲住宅を建設し(但し地下一階および地上一階部分の建設主は控訴人である)、同年一一月一六日住宅金融公庫法施行規則第一九条第一項の規定に基づいて控訴人に対し同住宅への入居者の抽せんを依頼し、控訴人がこれをうけて公社に対し原判決末尾の別表一および二の住宅番号欄記載の番号の住宅への入居者として氏名欄記載の者を抽せんし、これらの者から年月日欄記載の日に科目欄記載の借入金または敷金という名目で金額欄記載の金員を受領した事実は当事者間に争いがない。2、右事実に、いずれも成立に争のない甲第五・六号証、甲第一一号証の五の(1)から(7)まで、乙第一・二号証、乙第六号証、乙第七号証の一・二、乙第八・九号証、乙第一〇号証の一・二、乙第一一号証、乙第一五号証、乙第一七号証、乙第二二号証の一・二、乙第三七ないし第三九号証、いずれも原審証人Bの証言によつて成立の真正が認められる乙第二三号証、乙第二五ないし第二七号証、乙第三一号証、控訴人主張の写真であることについて争いのない甲第一〇号証の一ないし九、ならびに原審証人A、同C、同Dの各証言を総合すると、次の事実が認められる。 乙第七号証の一・二、乙第八・九号証、乙第一〇号証の一・二、乙第一一号証、乙第一五号証、乙第一七号証、乙第二二号証の一・二、乙第三七ないし第三九号証、いずれも原審証人Bの証言によつて成立の真正が認められる乙第二三号証、乙第二五ないし第二七号証、乙第三一号証、控訴人主張の写真であることについて争いのない甲第一〇号証の一ないし九、ならびに原審証人A、同C、同Dの各証言を総合すると、次の事実が認められる。(一) 公社は昭和三九年から同四〇年にかけて前記住宅を分譲した。当時東京都内における住宅の需給状況は極めて窮屈であつたうえ、公社の分譲住宅は都心から交通至便の地にあり、しかも民間のそれと比較して価格が著しく低廉であつたばかりでなく、頭金(一三〇万円)のほかは長期(三五年)の割賦で支払うこととされている 屈であつたうえ、公社の分譲住宅は都心から交通至便の地にあり、しかも民間のそれと比較して価格が著しく低廉であつたばかりでなく、頭金(一三〇万円)のほかは長期(三五年)の割賦で支払うこととされているため、入居希望者が多く、これを購入しようとする者は平均五・六〇倍もの高率の抽せんに当せんしなければならなかつたが、公社から入居者の推せんを依頼された者によつて推せんされた場合は、抽せんによらないで、公社の分譲住宅を購入することができた。住宅金融公庫法の規定の趣旨によれば、同公庫から住宅建設資金の貸付けをうけて建設した住宅の譲渡については、建設費、公庫の貸付金の利息その他の必要費を超えて金品を受領し、その他譲受人の不当な負担となることを譲渡の条件としてはならないのであるが、公社から入居者(住宅の譲受人)の推せんを依頼された者は被推せん者から何らかの名義で相当額の謝礼金を収受するのが通例となつていた。(二) 控訴人は、その所有の前記土地の上に公社のため地上権を設定して公社に分譲住宅の敷地を提供したところから、公社から二階より六階までの分譲住宅二二戸の内一一戸について入居者の推せん依頼をうけたもので、控訴人が公社に対し誰を推せんするかについては、公社の定めた入居資格を有する者であることのほかは、全く控訴人の自由な裁量にまかされていた。(三) 控訴人は、公社に対し右一一戸の内原判決末尾の別表一および二記載の番号の住宅(二〇〇番台のものは二階、三〇〇番台のものは三階である)についてそれぞれ同氏名欄の者を入居者として推せんし、抽せんによらないで同住宅を購入することを得させた。 せん依頼をうけたもので、控訴人が公社に対し誰を推せんするかについては、公社の定めた入居資格を有する者であることのほかは、全く控訴人の自由な裁量にまかされていた。(三) 控訴人は、公社に対し右一一戸の内原判決末尾の別表一および二記載の番号の住宅(二〇〇番台のものは二階、三〇〇番台のものは三階である)についてそれぞれ同氏名欄の者を入居者として推せんし、抽せんによらないで同住宅を購入することを得させた。この建物の一階および地下は控訴人の所有で、二階の住宅の前に一階の屋上部分があるので、控訴人はその一階屋上部分に土を盛り、芝を植えて二階の各戸毎に仕切りの塀を設け、二階の住宅に附属の ことを得させた。この建物の一階および地下は控訴人の所有で、二階の住宅の前に一階の屋上部分があるので、控訴人はその一階屋上部分に土を盛り、芝を植えて二階の各戸毎に仕切りの塀を設け、二階の住宅に附属の、それぞれ約一五坪程の庭園を造つた。そこは一階の屋上であるから、大きな木を植えたり重い石や構築物を設置することはできない。四控訴人が原判決末尾の別表氏名欄記載の入居者のうちE、F、G、Hら四名から収受した金員について。(イ) Eは、本件住宅三〇三号室購入の際に控訴人との間に契約書を取交すことをしなかつたが、控訴人から右住宅を購入したものとして、公社に支払う頭金一三〇万円のほかに、控訴人に対し、「住宅購入代金」として金七〇万円を支払つた。抽せんによらないで公社の住宅を購入しえたところから当然のこととして支払つたものである。その際、Eは控訴人から、昭和三九年一二月一二日付金三〇万円、昭和四〇年六月三〇日付金四〇万円の二通の領収書を受取つたが、そこにはいずれも、但書として「借入金として年一分の利息を、昭和四一年三月末日より毎年三月末日に支払致します」と書かれている。同人は右の七〇万円を返えしてもらうつもりはなかつたが、控訴人の係りの者から「対外的には借りたことにしておいてくれ」と頼まれたので、このような領収書の発行をうけたものと考えていた。控訴人はその後Eに対し昭和四一年五月に同年度分の利息として金七、〇〇〇円を支払い、その後も昭和四五年まで毎年五月頃にその年分の利息として各七、〇〇〇円の支払をした(以上この項の認定は、前掲証拠のうち主として甲第一一号証の五の(1)ないし(7)、乙第七号証の一、二、乙第二六号証による)。 りの者から「対外的には借りたことにしておいてくれ」と頼まれたので、このような領収書の発行をうけたものと考えていた。控訴人はその後Eに対し昭和四一年五月に同年度分の利息として金七、〇〇〇円を支払い、その後も昭和四五年まで毎年五月頃にその年分の利息として各七、〇〇〇円の支払をした(以上この項の認定は、前掲証拠のうち主として甲第一一号証の五の(1)ないし(7)、乙第七号証の一、二、乙第二六号証による)。(ロ) Fは本件住宅三〇四号室購入の際に、控訴人との間に別紙一のような契約書を作成した。同人は公社に支払う頭金のほかに控訴人 証の五の(1)ないし(7)、乙第七号証の一、二、乙第二六号証による)。(ロ) Fは本件住宅三〇四号室購入の際に、控訴人との間に別紙一のような契約書を作成した。同人は公社に支払う頭金のほかに控訴人に対し金七〇万円を支払うについて、無抽せんで入居できるのであるから、世間でいわれている礼金のようなものを支払うのは当然と考えていたし、もともと右室についてはその所有権は控訴人にあると信じていたので別に疑問をもたなかつた。Fはその際に控訴人の係りの者から「この七〇万円は借入金ということになつており、年一分の利息がつくので受取つて下さいよ」といわれたが、その返還をうける期待はしていないので、それに利息がつくというのはおかしいと思つたが、特にたしかめてみなかつた。同人はその後昭和四三年九月になつて控訴人から利息と称して金員の支払を受けるまで、右七〇万円について利息の支払をうけたことはない(以上この項の認定は前掲証拠のうち、主として乙第一〇号証の二、乙第二七号証による)。(ハ) Gは、本件住宅二〇四号室購入の際に、控訴人との間に別紙二・三のような契約書二通を作成し、控訴人に対し、公社に支払う頭金一三〇万円のほかに金一三五万円を支払つた。そして、控訴人からGに対し右合計金二六五万円の内金五〇万円は昭和四〇年二月五日に、残金二一五万円は同年三月二日に受領した旨の二通の領収証が発行され、五〇万円の領収書には「新井町住宅二〇四号室売買契約による手附金」との、二一五万円の領収証には「新井町住宅二〇四号契約による残金の入金分」との但書が書かれている。Gははじめ右金二六五万円は庭園付住宅の購入代金の頭金と考えていた。そして最終的に契約書作成の段階になつて控訴人の係員から敷金ということを聞いたが、名目はどうであろうと敷金という認識はなかつた。 年三月二日に受領した旨の二通の領収証が発行され、五〇万円の領収書には「新井町住宅二〇四号室売買契約による手附金」との、二一五万円の領収証には「新井町住宅二〇四号契約による残金の入金分」との但書が書かれている。Gははじめ右金二六五万円は庭園付住宅の購入代金の頭金と考えていた。そして最終的に契約書作成の段階になつて控訴人の係員から敷金ということを聞いたが、名目はどうであろうと敷金という認識はなかつた。また返えしてもらえる金 万円は庭園付住宅の購入代金の頭金と考えていた。そして最終的に契約書作成の段階になつて控訴人の係員から敷金ということを聞いたが、名目はどうであろうと敷金という認識はなかつた。また返えしてもらえる金だとも思つていなかつた。控訴人からGに対し、敷金を返えすという話はなかつた。同人は控訴人に対し庭園の賃料を支払つたことはない。Gは昭和四二年二月になつて右住宅を庭園付のまま代金二九〇万円でIに売渡した(以上この項の認定は、前掲証拠のうち主として甲第五・六号証、乙第二二号証の一・二、乙第二三号証によるほか、成立に争のない乙第一二号証の一・二による)。(二) Hは、本件住宅二〇三号室の購入の際に、控訴人との間に別紙四・五のような二通の契約書を作成した。同人はその際庭園付住宅を頭金二七〇万円で控訴人から買受けたものと考えてその支払をした。そして同人は、その内の一四〇万円が庭の貸借についての敷金だとは考えなかつたし、それを返えしてもらえるものとも考えなかつた。同人はその後しばらくして控訴人から庭園の賃料を請求されてこれを支払つた。同人は昭和四四年七月に右住宅を庭園付のまま代金三二〇万円で控訴人に譲渡した(以上この項の認定は前掲証拠のうち主として乙第一〇号証の一、乙第一一号証、乙第三一号証および原審証人Cの証言による)。3、被控訴人は、本件更正通知書に記載の「三九年一二月一二日借入金に経理したEよりの入金分七〇〇、〇〇〇円ほか一件」の「ほか一件」というのは、原判決末尾別表一のPよりの入金分を指し、「昭和四〇年三月二日借入金に経理したFよりの入金分七〇〇、〇〇〇円ほか一件」の「ほか一件」というのは、同別表二のJよりの入金分を指し、「四〇年三月二日預り敷金に経理したGよりの入金分一、三五〇、〇〇〇円ほか三件」の「ほか三件」というのは、同別表二のK、L、H 〇円ほか一件」の「ほか一件」というのは、同別表二のJよりの入金分を指し、「四〇年三月二日預り敷金に経理したGよりの入金分一、三五〇、〇〇〇円ほか三件」の「ほか三件」というのは、同別表二のK、L、Hの三名よりの入金分を指し、これらはいずれも「借入金」もしくは「敷金」ではなく、控訴人が無抽せんで公社の分譲住宅を購入しうるように推せんしたことについての仲介手数料、又は入居者に公社の分譲住宅への入居権を移譲したことの対価であつて、被控訴人は更正通知書において、その趣旨でこれを「権利等譲渡収入」と表現して、控訴人の所得に加算すべきであるとしたのであると主張する。 三件」というのは、同別表二のK、L、Hの三名よりの入金分を指し、これらはいずれも「借入金」もしくは「敷金」ではなく、控訴人が無抽せんで公社の分譲住宅を購入しうるように推せんしたことについての仲介手数料、又は入居者に公社の分譲住宅への入居権を移譲したことの対価であつて、被控訴人は更正通知書において、その趣旨でこれを「権利等譲渡収入」と表現して、控訴人の所得に加算すべきであるとしたのであると主張する。そこで、この理由の記載の形式に不備があるかどうかの点は後に判断することとし、まずその「借入金」もしくは「敷金」の実質が、被控訴人主張のようなものであるかどうかの点について考察する。(一) 原判決末尾の別表一・二に記載の八名のうちE、F、GおよびHの四名について、同人らが同別表金額欄の各金員を控訴人に支払つた点に関連する事実関係は、前記2(四)の(イ)ないし(二)において認定したとおりで、この事実によると、右四名はこれらの金員について、それはいずれも控訴人から本件住宅(建物の区分所有権)を、二階のそれについては庭園の使用権をも含めて購入した売買代金の一部と認識しており、契約書等に「借入金」とか「敷金」とかの文言があつても、将来その返還をうけうるものという認識ないし期待をもつていなかつたのである。そして他方、以上認定の各事実と成立に争いのない乙第一四号証、乙第一五号証の各記載を総合すると、控訴人を代表して右契約の衝に当つたKは、右の金員はいずれも、Eらを公社に入居者として推せんし、無抽せんで住宅を購入することをえさせたことに対し報酬(礼金)を取得する目的で、被推せん者との関係では住宅売買 代表して右契約の衝に当つたKは、右の金員はいずれも、Eらを公社に入居者として推せんし、無抽せんで住宅を購入することをえさせたことに対し報酬(礼金)を取得する目的で、被推せん者との関係では住宅売買の形式を用いて収受したものであることがうかがわれる。控訴人は、Eに対し、同人から受領した金七〇万円について、借入金として年一分の利息を支払う約束をし、現実にその支払をしたのであるが、その利率は低廉にすぎる上、元金の返済について何らかの約定をした事実は、これを窺うに足るものが全く存しないので、以上認定の諸般の事情を併せて考慮すると、右七〇万円は控訴人が無抽せんで本件住宅を購入することをえさせたことの仲介手数料、もしくは謝礼金としてEから受領したもので、右利息の支払は、これを借入金と偽装するための手段として行なつたものと判断するのが相当である。 し、現実にその支払をしたのであるが、その利率は低廉にすぎる上、元金の返済について何らかの約定をした事実は、これを窺うに足るものが全く存しないので、以上認定の諸般の事情を併せて考慮すると、右七〇万円は控訴人が無抽せんで本件住宅を購入することをえさせたことの仲介手数料、もしくは謝礼金としてEから受領したもので、右利息の支払は、これを借入金と偽装するための手段として行なつたものと判断するのが相当である。控訴人がFから受領した金七〇万円も、以上認定の事実を総合すれば、これを借入金と見るのは困難であつて、やはり控訴人がFに対して本件住宅を無抽せんで購入することをえさせたことに対する仲介手数料ないしは謝礼金と判断するのが相当である。控訴人がGおよびHから受領した金員についても、前記認定の諸般の事情を総合すると、これを庭園の賃貸借に附随の敷金と見ることは困難で、控訴人の偽装とみるべきであろう。しかし、この二人の場合は右のEおよびFの場合とは多少趣を異にする。前掲乙第三七ないし第三九号証によると、本件の二階と三階の住宅は面積も間取りもほぼ同じもので、前記のように二階の住宅には約一五坪程の庭園が付いているが、三階のそれには庭園がついていない。EとFの購入した住宅は三階で、GとHが購入したのは二階である。本件のように都心に近い高層ビルの住人にとつては此のような庭園は、屋上庭園であることによる使用方法の制限はあつても、 庭園がついていない。EとFの購入した住宅は三階で、GとHが購入したのは二階である。本件のように都心に近い高層ビルの住人にとつては此のような庭園は、屋上庭園であることによる使用方法の制限はあつても、大きな魅力をもち、したがつて経済的にも十分評価しうるものであろう。そして右庭園の部分は、控訴人の所有にかかる一階の部分の屋上にあり、控訴人がそこに庭園を造つたものである。これらの点を考え併わせると、GとHが控訴人に支払つた金額のうちの半額は、EとFの場合と同様に、控訴人が無抽せんで本件住宅の購入を得させたことに対する仲介手数料もしくは謝礼金として受領したもの、残りの半額は控訴人が両名に対し庭園の使用権(使用貸借もしくは賃貸借による)を設定したことの対価として受領したものと判断すべきであろう。以上によれば、控訴人がE、F、GおよびHから受領した原判決別表一・二の当該部分に記載の金員は、いずれも控訴人の所得として課税の対象とすべきである。 EとFの場合と同様に、控訴人が無抽せんで本件住宅の購入を得させたことに対する仲介手数料もしくは謝礼金として受領したもの、残りの半額は控訴人が両名に対し庭園の使用権(使用貸借もしくは賃貸借による)を設定したことの対価として受領したものと判断すべきであろう。以上によれば、控訴人がE、F、GおよびHから受領した原判決別表一・二の当該部分に記載の金員は、いずれも控訴人の所得として課税の対象とすべきである。なお、控訴人が本件更正決定の後にした措置およびそれが右の認定の妨げとならないことについて、原判決の一八枚目裏八行から一九枚目裏九行までの記載(ただし一九枚目表一〇行から一一行の「甲第一一号証の二」を「甲第一一号証の二の(1)から(3)まで」と訂正する)をここに引用する。ところで、原審証人上島嶌の証言によると、被控訴人は本件更正に際し、調査の結果、控訴人が入居者から収受した原判決別表記載の金員は「入居権移譲の対価」もしくは「物件移譲の対価」、庭園のある住宅については「庭園の使用権の対価をも含めて」と判断し、これを「特定入居者よりの権利等譲渡収入」と表現したものであることが認められる。そして本訴においても被控訴人は二次的にではあるが「入居権を移譲したことの対価」などと主張している。しかし、前記認定の事実によると、庭 居者よりの権利等譲渡収入」と表現したものであることが認められる。そして本訴においても被控訴人は二次的にではあるが「入居権を移譲したことの対価」などと主張している。しかし、前記認定の事実によると、庭園については別として、本件住宅自体については、控訴人は「移譲」することのできる「権利」と云えるようなものをもつていなかつたのである。前に説明した本判決添付の別紙一および三・四の各契約書の中には、一たん控訴人が公社に頭金を支払つて公社から住宅の譲渡をうけ、これを更に控訴人からF、G、Hらに譲渡する趣旨の記載があるが、前掲乙第八号証および成立に争いのない乙第一三号証の一・二によると、公社は控訴人の推せんによつて二〇三号二〇四号および三〇四号の各室については、一たんM、N、Oなる者をそれぞれ譲受人と定め、これらの者から頭金各一三〇万円を受領したが、その後控訴人から被推せん者変更の申出があつたので、右三名に対する住宅の譲渡を解消して、受領ずみの頭金を返還し、あらためて控訴人の推せんにより二〇三号室についてはHを、二〇四号室についてはGを、三〇四号室についてはF(控訴人が公社に対し以上三室について右三名を入居者として推せんしたことは、当事者間に争いがない。 一たんM、N、Oなる者をそれぞれ譲受人と定め、これらの者から頭金各一三〇万円を受領したが、その後控訴人から被推せん者変更の申出があつたので、右三名に対する住宅の譲渡を解消して、受領ずみの頭金を返還し、あらためて控訴人の推せんにより二〇三号室についてはHを、二〇四号室についてはGを、三〇四号室についてはF(控訴人が公社に対し以上三室について右三名を入居者として推せんしたことは、当事者間に争いがない。)を譲受人として、これらの者との間に直接の売買契約(長期分譲住宅契約)を結び、同人らから頭金の支払をうけた事実が認められる。本判決添付の別紙一および三・四の記載によると、右のM、NおよびOなる者は、控訴人が便宜のためその名義を使用したにすぎず、頭金を支払つたのは控訴人であるようだが、いずれにしても公社と右Mら三名との間の契約は解消され、Hら三名は公社から直接本件住宅を買受けたのであつて、控訴人から買つたのではなく、控訴人はこれらの室についてもHらとの関係では公社に対し入居者の推せんをする地位をもつて 三名との間の契約は解消され、Hら三名は公社から直接本件住宅を買受けたのであつて、控訴人から買つたのではなく、控訴人はこれらの室についてもHらとの関係では公社に対し入居者の推せんをする地位をもつていたにすぎないのである。したがつて、本件更正理由中の「権利等譲渡収入」という表現は、控訴人の主観もしくは、その収入の実質上の趣旨から見た場合には適切ではないのであるが、控訴人は前記のとおりEら四名との間に「公社分譲住宅売買契約」を締結し、その代金の一部として前記各金員を受領したのであつて、この客観的事実からすれば、これらの金員はまさに権利譲渡の対価としての収入なのである(第三者の権利の売買ももとより可能で、控訴人は結果において売主として義務を完全に履行したことになるが、此の点を深く論ずる要はあるまい)。以上いろいろ考察して来たが、要するに、控訴人がEらから収受した金員の性質については、これを法律的にせんさくすれば、様々な見方が可能であつて、被控訴人がその一面を捉えて「権利等譲渡収入」と判断したとしても、その判断に誤りがあるとはいいえないのである。(二) 次に、原判決末尾の別表一・二に記載の八名のうちのその余の四名すなわち、P、J、KおよびLについてであるが、控訴人はこの四名についても前記のとおり、控訴人がこれらの四名から同別表の当該欄記載の金員を受領した事実を争つてはいない。 、これを法律的にせんさくすれば、様々な見方が可能であつて、被控訴人がその一面を捉えて「権利等譲渡収入」と判断したとしても、その判断に誤りがあるとはいいえないのである。(二) 次に、原判決末尾の別表一・二に記載の八名のうちのその余の四名すなわち、P、J、KおよびLについてであるが、控訴人はこの四名についても前記のとおり、控訴人がこれらの四名から同別表の当該欄記載の金員を受領した事実を争つてはいない。しかし、この四名については、本件住宅の入居についての推せん者と被推せん者の関係として、一般的に前記二の1および同2の(一)ないし(二)の事実が認められるだけで、この四名の各人が右の金員を如何なる趣旨で支払い、控訴人がこれを如何なる趣旨において受領したかの点の具体的な事情については、これを窺うべき資料がない。殊に、前掲乙第一五号証、乙第一七号証、成立に争いのない乙第一四 右の金員を如何なる趣旨で支払い、控訴人がこれを如何なる趣旨において受領したかの点の具体的な事情については、これを窺うべき資料がない。殊に、前掲乙第一五号証、乙第一七号証、成立に争いのない乙第一四号証(甲第九号証)乙第一六号証の一ないし五および原審証人Jの証言によると、Pは当時の控訴入会社の代表取締役Qの長男、JはKの主宰するK事務所の事務員でKとともに控訴人会社の経理事務を担当していた者、Kは当時控訴人会社の代表取締役のQが病気であつたため同人に代つて事実上控訴人会社の業務を主宰し、後に控訴人会社の代表取締役に就任した者、LはKの友人であつて、本件住宅のうちこれらの者の名義で購入されたものは、前記四名のように一般から募集されたものではなく、いずれも実質上は控訴人もしくはKの購入にかかるものであることがうかがわれるのであつて前記四名の場合とは事情を異にするのである。前掲乙第一六号証の五によると、控訴会社の代表取締役Kは、本件更正処分の後の昭和四三年六月一三日付で「K」に宛てて別紙六記載の内容の通知書を送付した事実が認められ、これと乙第十六号証の一ないし四の記載とを対比すると、控訴会社代表取締役Kはその頃同時にH、G、FおよびEに宛てて、それぞれ同人らから受領した金員が「借入金」もしくは「敷金」名義であつたかの差に応じて、右通知書とほぼ同一の内容の通知書を送付した事実が認められるが、この事実だけからして、控訴人が右Kら四名から受領したものとする金員の実質も、すべて前記Eら四名から受領した金員と同様のものであろうと推測するには、甚だ躊躇を感ぜざるをえないのであつて、他に控訴人が右Kら四名から受領したものとする金員の実質が被控訴人主張のようなものである事実を認めるに足る資料はない。 は「敷金」名義であつたかの差に応じて、右通知書とほぼ同一の内容の通知書を送付した事実が認められるが、この事実だけからして、控訴人が右Kら四名から受領したものとする金員の実質も、すべて前記Eら四名から受領した金員と同様のものであろうと推測するには、甚だ躊躇を感ぜざるをえないのであつて、他に控訴人が右Kら四名から受領したものとする金員の実質が被控訴人主張のようなものである事実を認めるに足る資料はない。被控訴人が本件更正処分において、この四名からの「借入金」もし えないのであつて、他に控訴人が右Kら四名から受領したものとする金員の実質が被控訴人主張のようなものである事実を認めるに足る資料はない。被控訴人が本件更正処分において、この四名からの「借入金」もしくは「敷金」につき、申告書の記載に誤りがあるとした実体上の判断は、根拠薄弱として違法とせざるをえない。三、理由附記について被控訴人は、前記のとおり本件更正通知書に附記された更正の理由の記載のうち「ほか一件」とか「ほか三件」とかの記載は、それぞれ原判決末尾添付の別表一・二のうちの前記二の3の冒頭に記載の者からの入金分を指し示すものであるという。しかし、右附記理由の記載自体からはもとよりそのようなことを読み取れるものではない。右の記載自体からは、更正にかかる勘定科目が「ほか一件」もしくは「ほか一二件」の分も、同じく「借入金」もしくは「敷金」なのか、又はその他の科目なのかの点および収入の日、相手方、金額などが不明で、所得として加算すべきものとする合計金額算定の根拠を具体的に示したものとは云いえない。右の附記理由は控訴人の帳簿書類の記載に誤り(仮装)があり、ひいては申告にかかる課税標準としての所得金額の計算に誤りがあることを指摘するものであろうが、被控訴人が誤りがあるという個所が帳簿書類のどの部分なのかが、右の記載自体からは不明である。被控訴人は、本件更正の理由は、控訴人において十分推知しえたと主張するが、法が更正通知書に理由の附記を要求する所以のものは、その理由を納税者に知らしめる目的からばかりでなく、これによつて更正の慎重を期待し、課税の適正公平に資する目的に出でたものであるから、納税者がその理由を知りえたかどうかに関わりないのである。以上、本件更正処分の通知書には、理由附記として不備の違法もあると云わなければならない。四、よつて原判決を取 正の理由は、控訴人において十分推知しえたと主張するが、法が更正通知書に理由の附記を要求する所以のものは、その理由を納税者に知らしめる目的からばかりでなく、これによつて更正の慎重を期待し、課税の適正公平に資する目的に出でたものであるから、納税者がその理由を知りえたかどうかに関わりないのである。以上、本件更正処分の通知書には、理由附記として不備の違法もあると云わなければならない。四、よつて原判決を取 る目的に出でたものであるから、納税者がその理由を知りえたかどうかに関わりないのである。以上、本件更正処分の通知書には、理由附記として不備の違法もあると云わなければならない。四、よつて原判決を取消し、控訴人の本訴請求を認容することとし、訴訟費用の負担について民訴九六条、八九条にしたがい主文のとおり判決する。(裁判官松永信和小林哲郎間中彦次)別紙一公社分譲住宅売買契約証売買物件の表示一、所在地東京都中野区<以下略>一、物件財団法人東京都住宅公社○○住宅<以下略>右物件の売渡人中野興業株式会社以下(甲)と買受人F以下(乙)との間に左記条項により売買契約を締結する。左記一、本物件の売買価格一金弐百万円也二、乙に本日金二〇〇万円也を甲に支払い、甲に之を受領して売買契約を完了した。三、甲に昭和三九年一二月一五日財団法人東京都住宅公社より特定分譲住宅として割譲をうけたる際納入したる金一三〇万円の前記住宅公社発行の長期分譲新井町住宅三〇四号の頭金領収書とともにその入居権を乙に移譲してその入居に支障のないようにすること又金一三〇万円の領収書は現在O名義となつているが、之は甲の一時的便宜のため頭金納入時使用したるもので入居権の責任の有無は甲にあることを乙は了承すること。四、乙が甲に支払つた本売買契約金中の金七〇万円に甲が乙より之を借り入れ金として甲は毎年三月三一日付をもつて年一分の金利を乙に支払うこととする。尚その期間は期限の定めなきもので乙が入居中は勿論移譲後も又同じである。五、本物件は長期返済分譲住宅であり乙は本契約の成立により入居したる場合は、住宅公社入居契約証に従うものとする。六、甲は本契約成立により乙が入居後といえども乙と公社との本契約成立まで責任をもつて善処すること。(以下省略)別紙二庭園賃貸借契約書 より入居したる場合は、住宅公社入居契約証に従うものとする。六、甲は本契約成立により乙が入居後といえども乙と公社との本契約成立まで責任をもつて善処すること。 る。五、本物件は長期返済分譲住宅であり乙は本契約の成立により入居したる場合は、住宅公社入居契約証に従うものとする。六、甲は本契約成立により乙が入居後といえども乙と公社との本契約成立まで責任をもつて善処すること。(以下省略)別紙二庭園賃貸借契約書 より入居したる場合は、住宅公社入居契約証に従うものとする。六、甲は本契約成立により乙が入居後といえども乙と公社との本契約成立まで責任をもつて善処すること。(以下省略)別紙二庭園賃貸借契約書賃貸人中野興業株式会社(以下甲とす)社長田島周賃借人 G(以下乙とす)右当事者間に左の庭園賃貸借契約を締結した第一条甲はその所有の左の庭園を乙に賃貸した東京都中野区<以下略>庭一四坪八合第二条乙は敷金として一三五万円を甲に支払うこと第三条甲は当該庭園に関する租税その他の公課を負担する第四条本件庭園の塀の自然的損耗による破損の修理および庭園の床面の漏水等の修繕費は体貸主において負担し、その他の修繕費は借主において負担する第五条賃貸料は一カ月金一千円とし毎月末日支払うこと第六条乙はその責に帰すべき事由によつて賃借物を毀損した場合はその賠償の責に任ずる第七条乙が右二条の賃借料又は賠償金の支払を怠つたときは甲は敷金をもつてこの弁済に充当することができる第八条乙に第一条の規定により借受けた庭園について次の各号に掲げる行為をしてはならない一、庭園を庭園以外の目的に供すること二、塀の外観を変更し又は庭園内部に工作物を築造すること(但し甲の書面による承諾をえた場合はこの限りにあらず)三、無断にて他人に転貸すること四、その他共同生活の秩序をみだす行為をすること第九条当庭園は分譲住宅に附属するものにして住宅部分を第三者に譲渡する場合は庭園の賃借権も一緒に譲渡せねばならない第十条敷金の還付は第九条の条項に該当した場合にのみ精算される(以下省略)別紙三公社分譲住宅売買契約証売買物件の表示(省略)右物件の売渡人中野興業株式会社以下(甲)と買受人G以下(乙)との間に左記条項により売買契約を締結する左記 み精算される(以下省略)別紙三公社分譲住宅売買契約証売買物件の表示(省略)右物件の売渡人中野興業株式会社以下(甲)と買受人G以下(乙)との間に左記条項により売買契約を締結する左記一、本物件の売買価格金二六五万円二、乙は本日金五〇万円を契約手付金として甲に支払い、甲はこれを受領した三、右残金は昭和四〇年三月三〇日に乙は甲に支払う又甲は昭和三九年一二月一五日東京住宅公社より特定分譲住宅として割譲をうけた際納入した金一三〇万円の前記公社発行の長期分譲新井町住宅第二〇四号の頭金領収証とともにその入居権を乙に移譲してその入居に支障のないようにすること金一三〇万円の領収証は現在第三者名義となつているがこれは甲の一時的便宜のため納入時使用したるもので入居権の責任の有無は甲にあることを乙は了承する四、乙が甲に支払つた本売買契約金の中の金一三五万円は別記約一四坪八合の庭園の賃貸借契約を表示物件に付属せるものとして支払うものであり、乙は毎月その賃料として金一千円を甲に支払うこと五、本物件は三五年間の長期返済住宅であり乙は本契約の成立により入居したる場合は住宅公社入居契約証に従うものとする(以下省略)別紙四公社分譲住宅売買契約証売買物件の表示(省略)右物件の売渡人中野興業株式会社以下(甲)と買受人H以下(乙)との間に左記条項により売買契約を締結する左記(以下は、代金額、支払方法などにおいて異るほかに、別紙三と同様の条項が記載されているので省略する)別紙五庭園賃貸借契約書(以上は、賃借人の氏名、金額などにおいて異るほかは、別紙二と同様の条項が記載されているので省略する)別紙六通知書貴殿が昭和四十年三月十一日に支払われた東京都住宅公社○○住宅<以下略>貴殿名義庭敷金金一五〇万円同<以下略>L名義 下(乙)との間に左記条項により売買契約を締結する左記(以下は、代金額、支払方法などにおいて異るほかに、別紙三と同様の条項が記載されているので省略する)別紙五庭園賃貸借契約書(以上は、賃借人の氏名、金額などにおいて異るほかは、別紙二と同様の条項が記載されているので省略する)別紙六通知書貴殿が昭和四十年三月十一日に支払われた東京都住宅公社○○住宅<以下略>貴殿名義庭敷金金一五〇万円同<以下略>L名義 別紙二と同様の条項が記載されているので省略する)別紙六通知書貴殿が昭和四十年三月十一日に支払われた東京都住宅公社○○住宅<以下略>貴殿名義庭敷金金一五〇万円同<以下略>L名義庭敷金金一五〇万円同<以下略>R名義借入金金一〇〇万円同<以下略>P名義借入金金五〇万円の賃貸借契約につき税務当局と当社との間に見解の相違が生じましたので二〇一号室および二〇五号室の庭園の賃貸借期間は満三十年とし、期限終了と同時に敷金を返却します第三者に譲渡する場合にはその時をもつて期限の終了とし、敷金の清算をします三〇二号および三〇五号室の借入金について、その期間は期限の定めなきものでありましたが、その期限は貴殿が東京都住宅公社との間に締結された長期分譲住宅分譲契約書第四条の二項に記載された契約終了の期日と同日の昭和七四年一二月一日にお支払申上げます(以下省略) 主文 原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。○ 事実第一当事者が求めた裁判一原告「被告が昭和四三年三月二九日付でした原告の昭和三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度の法人税更正(ただし、東京国税局長が昭和四三年一〇月二九日付でした裁決によつて取り消された部分を除く。)および昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度の法人税更正をいずれも取り消す」旨の判決二被告主文第一項と同旨の判決第二主張一原告の請求原因 1 本件処分の経緯原告は、青色申告の承認を受けた法人であるが、昭和四〇年三月三〇日に、昭和三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度(以下「第一事業年度」という。)の法人税について、欠損金額を一三、五四一円とする確定申告を、また、昭和四一年三月三一日に、昭和四〇年二月一日か 三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度(以下「第一事業年度」という。)の法人税について、欠損金額を一三、五四一円とする確定申告を、また、昭和四一年三月三一日に、昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度(以下「第二事業年度」という。 下「第一事業年度」という。)の法人税について、欠損金額を一三、五四一円とする確定申告を、また、昭和四一年三月三一日に、昭和四〇年二月一日か 三九年二月一日から昭和四〇年一月三一日までの事業年度(以下「第一事業年度」という。)の法人税について、欠損金額を一三、五四一円とする確定申告を、また、昭和四一年三月三一日に、昭和四〇年二月一日から昭和四一年一月三一日までの事業年度(以下「第二事業年度」という。)の法人税について、欠損金額を六、九五七、三一〇円とする確定申告を、いずれも青色の申告書によつてしたところ、被告は、昭和四三年三月二九日に、第一事業年度の法人税について所得金額を二、一五〇、九四七円とする更正(以下「第一の更正」という。)および第二事業年度について所得金額を三四四、一一〇円とする更正(以下「第二の更正」という。)をした(もつとも、右第一の更正のうち所得金額一、一八六、四五九円をこえる部分は、東京国税局長が昭和四三年一〇月二九日にした原告の審査請求に対する裁決によつて取り消された。)。2 本件処分の違法性被告がした本件各更正(ただし、第一の更正については、東京国税局長がした前記裁決によつて取り消された後の部分に限る。以下同じ。)は、次のとおりいずれも違法である。(一) 理由付記の不備第一の更正にかかる更正通知書には、更正の理由として、「加算金額雑収人もれ一、二〇〇、〇〇〇円三九年一二月一二日借入金に経理したEよりの入金分七〇〇、〇〇〇円ほか一件計一、二〇〇、〇〇〇円は、特定入居者よりの権利等譲渡収入とします」と記載されており、第二の更正にかかる更正通知書には、更正の理由として、「加算金額雑収入もれ七、四五〇、〇〇〇円四〇年三月二日借入金に経理したFよりの入金分七〇〇、〇〇〇円ほか一件計一、七〇〇、〇〇〇円および四〇年三月二日預り敷金に経理したGよりの入金分一、三五〇、〇〇〇円ほか三件計五、七五〇、〇〇〇円は、特定入居者よりの権利等譲渡収入とします 金分七〇〇、〇〇〇円ほか一件計一、七〇〇、〇〇〇円および四〇年三月二日預り敷金に経理したGよりの入金分一、三五〇、〇〇〇円ほか三件計五、七五〇、〇〇〇円は、特定入居者よりの権利等譲渡収入とします」と記載されている。しかし、右各記載のうち「権利等譲渡収入」とは何を意味するのかが不明であるから、被告が原告において借入金または敷金に経理した入金をいかなる収入と認定したのかが明らかでないばかりでなく、右各更正の理由中には、被告が何故に右入金を借入金または敷金と認めずに「権利等譲渡収入」と認定したのかの記載が全くない。 〇〇〇円ほか三件計五、七五〇、〇〇〇円は、特定入居者よりの権利等譲渡収入とします」と記載されている。しかし、右各記載のうち「権利等譲渡収入」とは何を意味するのかが不明であるから、被告が原告において借入金または敷金に経理した入金をいかなる収入と認定したのかが明らかでないばかりでなく、右各更正の理由中には、被告が何故に右入金を借入金または敷金と認めずに「権利等譲渡収入」と認定したのかの記載が全くない。したがつて、このような理由の記載によつては、原告において更正の具体的な理由を理解することができないから、右各更正の理由の付記は不備であつて、本件各更正は違法である。(二) 所得の認定の誤り被告が本件各更正において原告の雑収入に当たると認定した金員は、原告が真実借入金または敷金として他から受領したものであつて、原告の所得には当たらないから、本件各更正はいずれも違法である。二被告の答弁および主張 1 原告の請求原因1記載の事実は認める。2 被告がした本件各更正には、原告主張の違法はない。(一) 理由付記について本件各更正にかかる更正通知書に、更正の理由が、それぞれ原告の請求原因2(一)記載のとおり付記されていることは認める。しかしながら、理由の付記の程度は、事案に即しておのずから精粗の区別があつてしかるべきであり、更正通知書に付記された理由の記載内容が、他の諸事情と相俟つて更正の具体的理由を了知しうる程度のものであれば、その具体的理由が詳しく記載されていなくても、理由の付記を命じた法の趣旨を没却するものではないから、何ら違法ではない。そして、更正の理由は、被処分者との関係で判然としていれば足り、また、通常の会計知識を有す 理由が詳しく記載されていなくても、理由の付記を命じた法の趣旨を没却するものではないから、何ら違法ではない。そして、更正の理由は、被処分者との関係で判然としていれば足り、また、通常の会計知識を有する常識人が理解できる程度に記載されていればよいと解すべきである。このような見地から本件各理由の付記の程度を見ると更正の対象となつたものの勘定科目、氏名、年月日、単価、合計金額を記載し、右は権利等譲渡収入であるから雑収入として計算すべきことを表現している。そして、原告代表者は税理士の職務に従事しているのであるから、右記載と原告備付けの元帳とによつて、本件更正の理由を具体的に理解することができるはずであつて、右記載は、法が要求している理由の付記の程度を十分満たしているというべきである。 各理由の付記の程度を見ると更正の対象となつたものの勘定科目、氏名、年月日、単価、合計金額を記載し、右は権利等譲渡収入であるから雑収入として計算すべきことを表現している。そして、原告代表者は税理士の職務に従事しているのであるから、右記載と原告備付けの元帳とによつて、本件更正の理由を具体的に理解することができるはずであつて、右記載は、法が要求している理由の付記の程度を十分満たしているというべきである。(二) 所得の認定の根拠(1) 原告は、昭和三五年一一月一六日、財団法人東京都住宅公社(以下「公社」という。)が住宅金融公庫法第一七条第一〇項の規定に基づく貸付けを受けて原告所有の土地の上に建築した中高層長期分譲住宅について、公社から、同法旅行規則第一九条第一項の規定に基づき、同住宅への入居者の推せん依頼を受け、公社に対し別表一および二の住宅番号欄記載の番号の住宅への入居者として、氏名欄記載の者を推せんし、これらの者から年月日欄記載の日に金額欄記載の金員を科目欄記載の借入金または敷金という名目で受領した。(2) 原告が右のとおり公社に対して分譲住宅への入居者を推せんするについては、全く原告の自由裁量に委ねられていたのであり、原告が入居者の推せんをすることができることは、住宅需給状況が極度にひつ迫し、公社の分譲住宅を購入しようとする者は高倍率の抽せんに当せんしなければならなかつた当時の情勢の下では、原告に何らかの経済的利益をもたらすものであつた。そこで、原告は、公 住宅需給状況が極度にひつ迫し、公社の分譲住宅を購入しようとする者は高倍率の抽せんに当せんしなければならなかつた当時の情勢の下では、原告に何らかの経済的利益をもたらすものであつた。そこで、原告は、公社に推せんした各入居者から、無抽せんで公社の分譲住宅を購入しうるように推せんしたことについての仲介手数料を借入金または敷金という名目で受領したものである。そうでないとしても、原告は、各入居者に公社の分譲住宅への入居権を移譲したことの対価を、借入金または敷金という名目で入居者から受領したものである。(3) 原告が入居者らから受領した金員が真実借入金または敷金でないことは、借入金は、原告が入居者らから借り入れたような形式をとつているが、その返済期間の定めがなく、利息が年一分という経済ベースを無視した超低利に定められていること、また、敷金は、原告が庭園を二階の入居者らに賃貸するに伴つて受領した形式をとつているが、右庭園は、原告がその所有の一階部分の屋上に造つた簡単なものであつて、その利用について著しい制限がつけられていること、そして、入居者らは、原告に対して支払つた金員が貸金または敷金であるという認識をもつていなかつたこと等の事実から明らかであり、原告がこのように借入金または敷金でない金員をそのように装つて受領したのは、入居者の推せんをした者が入居者から金銭等を受領することが法令上禁止されているからである。 庭園は、原告がその所有の一階部分の屋上に造つた簡単なものであつて、その利用について著しい制限がつけられていること、そして、入居者らは、原告に対して支払つた金員が貸金または敷金であるという認識をもつていなかつたこと等の事実から明らかであり、原告がこのように借入金または敷金でない金員をそのように装つて受領したのは、入居者の推せんをした者が入居者から金銭等を受領することが法令上禁止されているからである。(4) したがつて、原告が第一事業年度中に借入金という名目で受領した別表一記載の合計一、二〇〇、〇〇〇円および第二事業年度中に借入金または敷金という名目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円は、いずれも当該年度の益金を当たるから、各事業年度の申告もれの所得として原告の申告にかかる所得金額に加算すべきである。三被告の主張に対する原告の 目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円は、いずれも当該年度の益金を当たるから、各事業年度の申告もれの所得として原告の申告にかかる所得金額に加算すべきである。三被告の主張に対する原告の認否および反論被告の答弁および主張2(二)記載の事実中、(1)記載の事実は認める。同(2)記載の事実中、原告が入居者らから受領した金員が手数料収入もしくは入居権移譲の対価収入であるとの点は否認する。同(3)記載の事実中、借入金につき期限の定めがなかつたことおよび利息が年一分の定めであることは認める。しかし、そうだからといつて、原告が受領した金員が借入金でないとはいえない。むしろ、原告は、年一分という低利で借入れをすることによつて、市中金利との差額分の利益を得ることに入居者推せんの対価的価値を求めたものである。また、同(3)記載の事実中、原告が入居者らに賃貸した庭園が簡単なものであつて、その利用について著しい制限がつけられていたとの点は否認する。右庭園は、原告において相当額の費用をかけて、二階の各住宅のベランダの前面に当たる一階屋上の面積一五坪(約五〇平方メートル)前後のコンクリートに防水を施し、専用排水溝、排水管、散水用水道設備、外周の手すり等を設け、土を一二尺(約九〇センチメートル)に盛り、全面に芝を張りつめたものであつて、その貸借人から一坪(三・三平方メートル)当り一〇〇、〇〇〇円程度の敷金を預るのは当然である。第三証拠関係(省略)○ 理由一本件処分の経緯原告の請求原因1記載の事実は当事者間に争いがない。 当たる一階屋上の面積一五坪(約五〇平方メートル)前後のコンクリートに防水を施し、専用排水溝、排水管、散水用水道設備、外周の手すり等を設け、土を一二尺(約九〇センチメートル)に盛り、全面に芝を張りつめたものであつて、その貸借人から一坪(三・三平方メートル)当り一〇〇、〇〇〇円程度の敷金を預るのは当然である。第三証拠関係(省略)○ 理由一本件処分の経緯原告の請求原因1記載の事実は当事者間に争いがない。二理由付記について 1 本件各更正にかかる更正通知書に、更正の理由が原告の請求原因2(一)記載のとおり付記されていることは当事者間に争いがない。2 右付記理由によれば、被告が雑収入もれとして原告の所得金額に加算すべきものと 各更正にかかる更正通知書に、更正の理由が原告の請求原因2(一)記載のとおり付記されていることは当事者間に争いがない。2 右付記理由によれば、被告が雑収入もれとして原告の所得金額に加算すべきものとした金額は、原告の総勘定元帳のうち借入金勘定および預り敷金勘定の部分(成立に争いのない乙第一九号証から第二一号証まで)との関連において、原告が別表一および二の氏名欄記載の者から年月日欄記載の日に受領し、借入金または敷金として経理した金額欄記載の金額であることがおのずから明らかである。そして、右付記理由の措辞は必ずしも適切であるとはいい難いにしても、後記認定の本件事実関係に徴すれば、被告は、右付記理由によつて、原告が受領した右金員は、真実は、借入金または敷金ではなく、原告が別表一および二の氏名欄記載の者をいわゆる特定入居者として公社に推せんし、同人らをして、公社の行なう抽せんによらないで、公社の住宅番号欄記載の番号の住宅を購入し同住宅に入居することを得させたことの対価として受領したものであつて、原告がこれを借入金または敷金として経理したのは仮装であるから、原告の収益に該当し、したがつて、原告の所得金額に加算すべきである旨を表現した趣旨であり、被処分者である原告としては、本件各更正にかかる更正通知書を受領した当時、右付記理由自体から、右の趣旨を了解することが可能であつたと認められる。3 そうすると、右付記理由は、更正にかかる金額が、原告の申告の基礎となつた帳簿書類との関連において、いかなる項目のいかなる金額であるのかおよび被告がなにゆえにそれを原告の所得金額に加算すべきものと判断したのかの具体的根拠を、被処分者である原告において、その記載自体から了解することができる程度のものであるというを妨げないから、本件各更正の理由の付記に不備の違法がある旨 とが可能であつたと認められる。3 そうすると、右付記理由は、更正にかかる金額が、原告の申告の基礎となつた帳簿書類との関連において、いかなる項目のいかなる金額であるのかおよび被告がなにゆえにそれを原告の所得金額に加算すべきものと判断したのかの具体的根拠を、被処分者である原告において、その記載自体から了解することができる程度のものであるというを妨げないから、本件各更正の理由の付記に不備の違法がある旨 金額に加算すべきものと判断したのかの具体的根拠を、被処分者である原告において、その記載自体から了解することができる程度のものであるというを妨げないから、本件各更正の理由の付記に不備の違法がある旨の原告の主張は採用することができない。三所得の認定について 1 被告の答弁および主張2(二)の(1)記載の事実は当事者間に争いがない。2 右争いのない事実に、いずれも成立に争いのない甲第五号証、甲第六号証、甲第一一号証の五の(1)から(4)までおよび(7)、乙第一、二号証、乙第六号証、乙第七号証の一、二、乙第八、九号証、乙第一〇号証の一、二、乙第一一号証、乙第一五号証、乙第一七号証および乙第三七号証から第三九号証まで、いずれも証人Bの証言によつて成立の認められる乙第二三号証、乙第二五号証から乙第二七号証までおよび乙第三一号証、原告主張のとおりの写真であることについて争いのない甲第一〇号証の一から九までならびに証人A、同Cおよび同Dの各証言を総合すれば、次のような事実が認められる(一部争いのない事実を含む。)。(一) 公社が原告所有の土地の上に建築した住宅を分譲した昭和三九年から同四〇年当時、東京都内における住宅の需給状況は極度にひつぱくしていたうえ、公社の分譲住宅は民間企業のそれと比較して著しく低廉であり、しかも、代金は長期の割賦で支払うことができるため、購入希望者が多く、これを購入しようとする者は、通常、高倍率の抽せんに当せんしなければならなかつたこと、(二) ところが、住宅金融公庫法施行規則第一九条第一項の規定によつて公社が入居者の推せんを依頼した者によつて推せんされた者は、公募および抽せんによらないで、公社の分譲住宅を購入することができたこと、(三) このように公社から入居者の推せんの依頼を受けた者が、被推せん者をして抽せんによらない した者によつて推せんされた者は、公募および抽せんによらないで、公社の分譲住宅を購入することができたこと、(三) このように公社から入居者の推せんの依頼を受けた者が、被推せん者をして抽せんによらないで公社の分譲住宅の購入を得させた場合に、被推せん者から相当額の謝礼金を収受する例は、世上しばしば見られることであつたが、これは、住宅金融公庫の貸付けにかかる住宅の譲渡人が譲受人から金品を受領し、その他譲受人の不当な負担となることを譲渡の条件としてはならない旨を定めた住宅金融公庫法および同法施行規則の規定の趣旨に反する行為であるため、これを公然と行なうことははばかられることであつたこと、(四) 原告は、その所有の土地に公社のため地上権を設定して、公社に対し分譲住宅の敷地を提供したところから、公社から入居者の推せんの依頼を受けたものであり、原告が公社に対し誰を入居者として推せんするかについては、全く原告の自由な裁量に委ねられていたこと、(五) 原告は、公社に対し別表一および二の氏名欄記載の者を住宅番号欄記載の番号の住宅の入居者として推せんし、公社の行なう抽せんによらないで同住宅を購入することを得させ、その際、三階の住宅の各入居者からは借入金という名目で、二階の住宅の各入居者からは敷金という名目で、それぞれ各別表金額欄記載の金銭の交付を受けたものであること、(六) 原告と借入金という名目の金銭を交付した入居者との間の契約によれば、原告は入居者に対して利息を支払う旨定められているが、利率は年一分という甚しい低利であり、また、右借入金の返還期限の定めはなく、入居者は、購入した住宅に入居中はもちろん、これを他に譲渡した後も原告に対して返還を請求することができないように定められていること、(七) 敷金という名目の金銭は、原告が二階の住宅への入居者に庭 こと、(六) 原告と借入金という名目の金銭を交付した入居者との間の契約によれば、原告は入居者に対して利息を支払う旨定められているが、利率は年一分という甚しい低利であり、また、右借入金の返還期限の定めはなく、入居者は、購入した住宅に入居中はもちろん、これを他に譲渡した後も原告に対して返還を請求することができないように定められていること、(七) 敷金という名目の金銭は、原告が二階の住宅への入居者に庭 、入居者は、購入した住宅に入居中はもちろん、これを他に譲渡した後も原告に対して返還を請求することができないように定められていること、(七) 敷金という名目の金銭は、原告が二階の住宅への入居者に庭園を賃貸したのに伴つて受領したことになつているが、右庭園は、たまたま二階の各住宅のベランダの前面に原告所有(登記簿上はKの所有名義であるが実質上は原告の所有に属する。)の一階店舗部分の屋上が一五坪(約五〇平方メートル)前後ずつ張り出していることを利用して、原告がそこに土を盛り、芝を植えて造つたものであつて、二階の住宅を購入するため原告から公社に対する推せんを得ようとする者は、好むと好まざるとにかかわらず、原告からこの庭園を賃借するほかなかつたばかりでなく、この庭園の賃貸借契約においては、賃借人は、住宅を他に譲渡する場合には、庭園の賃借権をともに譲渡しなければならず、敷金はこの場合に限つて精算される旨の約定となつていること、この庭園は、右のとおり一階の屋上部分に当たるから、その利用方法はおのずから制限を受け、大きな庭木を植えたり、重量のある庭石・構築物等を設置するなどの行為はできないと考えられること、そして、このような庭の賃貸借に伴つて賃貸人が賃借人から一坪(三・三平方メートル)当り約一〇〇、〇〇〇円にも相当するような高額の敷金の預託を受けることは、正常な取引においては、ありえないことであること、(八) 原告に対して借入金または敷金という名目の金銭を交付した者のうち、E、F、GおよびHは、右金銭を交付した当時、それが貸金または敷金であるという意識を明確に有していたわけではなく(ことにEは、原告から対外的には借りたことにしておいてくれと依頼された。)、むしろ、抽せんによらないで公社の分譲住宅を購入させてもらつたことに対する謝礼金または庭付き分譲住 に有していたわけではなく(ことにEは、原告から対外的には借りたことにしておいてくれと依頼された。 を交付した者のうち、E、F、GおよびHは、右金銭を交付した当時、それが貸金または敷金であるという意識を明確に有していたわけではなく(ことにEは、原告から対外的には借りたことにしておいてくれと依頼された。)、むしろ、抽せんによらないで公社の分譲住宅を購入させてもらつたことに対する謝礼金または庭付き分譲住 に有していたわけではなく(ことにEは、原告から対外的には借りたことにしておいてくれと依頼された。)、むしろ、抽せんによらないで公社の分譲住宅を購入させてもらつたことに対する謝礼金または庭付き分譲住宅の購入代金の一部であると考えていたので、将来原告からその返還を受けることを期待していなかつたこと、(九) 原告は、前示のとおり、借入金という名目の金銭を支払つた者に対しては年一分の利息を支払う約定であつたにもかかわらず、支払いを請求して来たEに対して右約定を履行しただけで、他の者に対してはこれを履行せず、原告の決算においても、これらの者に対する未払利息の計上をしていないこと、また、原告は、庭園の賃貸借契約において、賃借人から月一、〇〇〇円の賃料の支払いを受ける約定であつたにもかかわらず、Hから約定の賃料を受領しただけで、他の賃借人からはこれを徴収せず、原告の決算においても、これらの者からの未収賃料の計上をしていないこと。3 以上の事実によれば、原告が借入金または敷金という名目で受領した前示金銭は、事実、潜入金または敷金ではなく、公社からの入居者の推せん依頼に基づき、別表一および二の氏名欄記載の者を住宅番号欄記載の住宅への入居者として公社に推せんし、これらの者をして、公募、抽せんによらないで、同住宅を購入することを得させたことの対価もしくは謝礼金として受領したものであり、当該事業年度における原告の収益に該当すると認めるのが相当である。なお、乙第一六号証の一から五まで(いずれも成立に争いがない。)によれば、原告に、昭和四三年六月一三二日に、借入金および敷金の返還朋限を一方的に定め、右期限到来のうえは、これを返還する旨の内容証明郵便を各入居者にあてて発送したことが認められ、乙第一八号証、乙第二八号証の二、甲第一一号証の五の(5)(以上はいずれ び敷金の返還朋限を一方的に定め、右期限到来のうえは、これを返還する旨の内容証明郵便を各入居者にあてて発送したことが認められ、乙第一八号証、乙第二八号証の二、甲第一一号証の五の(5)(以上はいずれも成立に争いがない。 還朋限を一方的に定め、右期限到来のうえは、これを返還する旨の内容証明郵便を各入居者にあてて発送したことが認められ、乙第一八号証、乙第二八号証の二、甲第一一号証の五の(5)(以上はいずれ び敷金の返還朋限を一方的に定め、右期限到来のうえは、これを返還する旨の内容証明郵便を各入居者にあてて発送したことが認められ、乙第一八号証、乙第二八号証の二、甲第一一号証の五の(5)(以上はいずれも成立に争いがない。)、甲第一一号証の一、四、六および七の各(1)(以上のうち一、四および六の各(1)についてはそれぞれ成立に争いのない各(2)によつて、七の(1)については弁論の全趣旨によつて、それぞれその成立を認める。)および甲第一一号証の三(弁論の全趣旨によつてその成立を認める)によれば、原告は、昭和四三年九月三〇日に、借入金または敷金の額を額面金額とする約束手形を各入居者にあてて振り出し交付したことが認められ、また、甲第一一号証の二(成立に争いがない。)および乙第三三号証(証人Cの証言によりその成立を認める。)ならびに証人Cの証言によれば、原告は、昭和四四年七月ころHから同人が購入した住宅を買い受けるとともに同人に賃貸した庭園の返還を受け、同年八月二〇日、同人の代理人Cに対し敷金の返還として一、四〇〇、〇〇〇円を支払つたことが認められるが、以上の事実は、いずれも本件各更正後のことに属し、弁論の全趣旨に徴し、本件各更正が誤つている旨の原告の主張を裏づける目的でされたものと認められるから、前記認定を左右するに足りない。また、乙第一四号証(甲第九号証と同じ)および乙第一五号証(いずれも成立に争いがない。)のうち前記詔定にそわない部分は信用することができず、他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。4 したがつて、原告が第一事業年度中に借入金という名目で受領した別表一記載の合計一、二〇〇、〇〇〇円および第二事業年度中に借入金または敷金という名目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円を、それぞれ各事業年度の原告の所得として、原告の申告にか 受領した別表一記載の合計一、二〇〇、〇〇〇円および第二事業年度中に借入金または敷金という名目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円を、それぞれ各事業年度の原告の所得として、原告の申告にかかる所得金額に加算すべきであるとした本件各更正には、所得の認定を誤つた違法はない。 または敷金という名目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円を、それぞれ各事業年度の原告の所得として、原告の申告にか 受領した別表一記載の合計一、二〇〇、〇〇〇円および第二事業年度中に借入金または敷金という名目で受領した別表二記載の合計七、四五〇、〇〇〇円を、それぞれ各事業年度の原告の所得として、原告の申告にかかる所得金額に加算すべきであるとした本件各更正には、所得の認定を誤つた違法はない。四結論そうすると、本件各更正には、原告主張の違法はないから原告の請求は理由がない。よつて、原告の請求を棄却し、訴訟費用は敗訴の原告の負担として、主文のとおり判決する。<略>

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