平成21年8月6日判決言渡平成20年(行ウ)第236号不当労働行為再審査申立棄却命令取消請求事件 主文 1 中央労働委員会が中労委平成○年(不再)第○号事件について平成20年2月20日付けでした再審査申立てを棄却する旨の命令を取り消す。 2 訴訟費用は,補助参加によって生じた費用は被告補助参加人らの負担とし,その余の費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告との業務委託契約に基づいてA株式会社の音響製品等(以下「A製品」という。)の修理等業務に従事する個人営業のB代行店(以下,これを「個人代行店」といい,法人等企業形態のB代行店を「法人等代行店」といい,これらを併せて「代行店」という。)により労働組合として結成されたとする補助参加人分会,補助参加人C及びD労働組合E支部(以下「組合支部」という。)から代行店の待遇改善について団体交渉を申し入れられた原告が,補助参加人分会が出席する交渉及び代行店に関する事項についての交渉に応じないとしたことについて,大阪府労働委員会(以下「府労委」という。)から,組合支部に対するものを除き,労働組合法(以下「労組法」という。)7条2号に当たる不当労働行為であるとされ,団体交渉に応ずべきことなどを命じられたところ,これを不服として中央労働委員会(以下「中労委」という。)に再審査を申し立てたが,中労委により再審査申立てを棄却する旨の命令がされたことから,個人代行店は労組法上の労働者に当たらないなどと主張して,同命令の取消しを求める事案である。 1 前提事実(証拠を掲記していないものは,当事者間に争いがない。) (1) されたことから,個人代行店は労組法上の労働者に当たらないなどと主張して,同命令の取消しを求める事案である。 1 前提事実(証拠を掲記していないものは,当事者間に争いがない。) (1) 当事者ア原告A株式会社(以下「A」という。)は,その修理部門を担う子会社を全国に21社設立していた。当該21社は,F株式会社を含む7つの地域サービス会社に統合再編され,さらに,当該7社は,昭和60年9月21日に統合され,原告が設立された。原告は,A製品の設置,修理等の業務を行い,G支社を始め,7つの地域に支社を有している。 イ補助参加人等(ア) 補助参加人C補助参加人Cは,D労働組合(以下「D」という。)の下部組織で,大阪府内のD組合員により組織される労働組合であり,平成18年5月ころの組合員数は752名であった。 (イ) 組合支部組合支部は,原告のG支社の労働者により組織される労働組合であり,平成18年5月ころの組合員数は9名であった。組合支部は,当初,Dに所属していなかったが,平成16年4月1日,Dに加盟した。 なお,原告には,組合支部のほか,Hに加盟するI労働組合がある。 (ウ) 補助参加人分会補助参加人分会は,Dに加入する個人代行店により組織される団体であり,その構成員数は,平成17年1月29日の時点は18名,平成18年5月ころは3名であった。 (2) 補助参加人C等からの個人代行店の待遇改善についての団体交渉の申入れと当該交渉事項に関する団体交渉の経緯ア補助参加人C,組合支部及び補助参加人分会(以下,この3者を併せて「本件3団体」という。)は,原告に対し,平成17年1月31日,個人代行店がDに加入 と当該交渉事項に関する団体交渉の経緯ア補助参加人C,組合支部及び補助参加人分会(以下,この3者を併せて「本件3団体」という。)は,原告に対し,平成17年1月31日,個人代行店がDに加入して労働組合としての補助参加人分会を結成したことな どを通知する「労働組合結成通知書」を提出すると同時に,「要求書」と題する書面(以下「本件要求書」という。)を提出し,本件要求書に記載の要求事項について,口頭により同年2月3日に団体交渉を行うように申し入れた(以下「本件団交申入れ」という。)。 本件要求書には,「私たち歩合契約労働者の待遇改善について下記の労働協約締結要求を致します。」との記載とともに(乙30),要求事項として,①最低保証賃金を月額30万円とする,②1日の就労時間は午前9時から午後6時まで(休憩は午前12時から午後1時まで)とし,年間総休日数は110日とし,時間外勤務及び休日(祝祭日)勤務手当については別途協議する,③社会保険及び労働保険に加入する,④車両等業務の遂行上必要な諸経費は原告が全額負担する,⑤その他については労働基準法(以下「労基法」という。)に準拠する旨の記載がされていた(以下,上記の各要求事項を併せて「本件要求事項」という。)。 イ原告は,平成17年2月3日,補助参加人C及び組合支部との話合いの席に着いたが,補助参加人C及び組合支部に対し,補助参加人分会と交渉をするつもりはなく,本件要求事項の趣旨説明を聞くつもりもない旨を述べた。 ウ本件3団体は,原告に対し,平成17年2月8日,同日付けの「申入書」と題する文書により,本件要求事項を議題とする団体交渉を同月10日に開催するように申し入れた。[乙31]これに対し,原告は,組合支部に対し,同月9日付けの「貴労働組合等と の「申入書」と題する文書により,本件要求事項を議題とする団体交渉を同月10日に開催するように申し入れた。[乙31]これに対し,原告は,組合支部に対し,同月9日付けの「貴労働組合等との交渉について」及び同月14日付けの「回答『貴労働組合等との交渉について』の補足と追加」と題する各文書により,団体交渉の当事者が明確でないこと,10名に及ぶ交渉委員が参加する団体交渉は正常な交渉ができる状況にないこと,殊に,補助参加人分会が原告の雇用する労働者をもって結成された当事者適格を有する労働組合であるとは解されないこと を指摘し,補助参加人分会が出席する交渉及び代行店に関する事項についての交渉には応じられない旨を回答した。[乙32,33]エ本件3団体は,原告に対し,平成17年2月14日,同日付けの「申入書」と題する文書により,団体交渉に応ずるように申し入れたが,原告は,組合支部に対し,同月25日,同日付けの「貴労働組合等との交渉について」と題する文書により,補助参加人分会の「役員」が出席する交渉及び代行店に関する事項についての交渉に応ずることはできない旨を回答した。 オ補助参加人C及び組合支部は,原告に対し,平成17年3月5日,同日付けの「申入書」と題する文書により,団体交渉に応ずるように申し入れたが,原告は,補助参加人C及び組合支部に対し,同月11日,同日付けの「申入れにたいする回答」と題する文書により,補助参加人分会の「役員出席のもとでの団体交渉」及び代行店に関する事項についての交渉には応じられない旨を回答した。 カその後,現在に至るまで,本件3団体と原告との間において,本件要求事項を議題とする団体交渉は行われていない。 (3) 本件3団体による救済の申立てと救済命令ア本件3団体は, カその後,現在に至るまで,本件3団体と原告との間において,本件要求事項を議題とする団体交渉は行われていない。 (3) 本件3団体による救済の申立てと救済命令ア本件3団体は,府労委に対し,平成17年3月29日,本件団交申入れに対する原告の対応が労組法7条2号に当たる不当労働行為であるとし,本件団交申入れに係る団体交渉に応ずべきこと並びに謝罪文の交付及び掲出を求めて,救済申立てをした(府労委平成○年(不)第○号事件)。[乙1]府労委は,上記救済申立事件について,平成18年11月17日付けで,補助参加人C及び補助参加人分会に係る本件団交申入れに対する原告の対応は労組法7条2号の不当労働行為に当たるとし,下記(ア)及び(イ)の内容の救済命令を発する一方,組合支部は本件要求事項に関する団体交渉の当事者としての資格を有さず,救済申立ての当事者適格を有しないとして, 組合支部の申立てを却下する旨の命令を発した(以下「本件初審命令」という。)。[乙23](ア) 原告は,補助参加人C及び補助参加人分会から提出された本件要求事項を議題とする団体交渉に応じなければならない。 (イ) 原告は,補助参加人C及び補助参加人分会に対し,下記の文書を速やかに手交しなければならない。 「 年月日D労働組合C執行委員長 J 様D労働組合E支部K分会分会長 L 様ビクターサービスエンジニアリング株式会社代表取締役 M当社が、貴組合から提出された平成17年1月31日付け要求書記載 ビクターサービスエンジニアリング株式会社代表取締役 M当社が、貴組合から提出された平成17年1月31日付け要求書記載の事項を議題とする団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。」イ原告は,中労委に対し,平成18年12月5日,本件初審命令のうち前記アの救済命令部分を不服として,再審査を申し立てた(平成○年(不再)第○号事件)。また,組合支部は,中労委に対し,同日,本件初審命令のうち前記アの却下命令部分を不服として,再審査を申し立てた(同第○号事件)。 中労委は,上記各再審査申立事件を併合し,平成20年2月20日付けで,原告及び組合支部の各再審査申立てをいずれも棄却する旨の命令を発した(以下「本件命令」という。)。同命令書の写しは,同年3月25日, 原告に交付された。 2 争点本件の主たる争点は,以下の2点であり,争点②は,下記○ⅰから○ⅳの項目に細分される。 ① 個人代行店は,労組法上の労働者であるといえるか。 ② 本件団交申入れに対する原告の対応は,団体交渉を正当な理由がなく拒むものであるか。 ○ⅰ 補助参加人分会は,本件団交申入れ時に組合規約を具備していたか。 ○ⅱ 補助参加人分会が本件団交申入れ時に組合規約を具備していなかったとしても,原告には補助参加人分会の本件団交申入れに応諾すべき義務が生じるか。 ○ⅲ 組合支部が加わっていることを理由に原告が本件団交申入れに応じないとすることは,本件団交申入れに係る団体交渉を拒む正当な理由になるか。 団交申入れに応諾すべき義務が生じるか。 ○ⅲ 組合支部が加わっていることを理由に原告が本件団交申入れに応じないとすることは,本件団交申入れに係る団体交渉を拒む正当な理由になるか。 ○ⅳ 本件要求事項は,いわゆる義務的団交事項であるか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点①(個人代行店の労組法上の労働者性)について【被告の主張】ア労組法の目的,立法趣旨及びその3条に定める労働者の定義に照らせば,労組法上の労働者は,必ずしも労働契約下にある労務提供者に限られず,これと同程度に団体交渉の機会を与えるという保護を及ぼす必要性と適切性が認められる同種労務供給契約下にある者をいうと解するのが相当である。したがって,労組法上の労働者は,労基法9条にいう労働者と同義のものではなく,労基法上の労働者よりも広い概念のものである。 下記イで述べるとおり,①個人代行店は,原告の主要業務の一つである修理業務に関して,恒常的に不可欠な労働力として原告の企業組織に組み込まれて労務を提供しており,②個人代行店が締結している業務委託契約 の内容が,事実上又は契約上,原告により一方的に決定されており,③個人代行店は,その業務遂行に関して,原告から,時間的,場所的な拘束を受け,休日の設定,変更について規制を受け,作業内容のみならずその遂行の態様にまで及ぶ具体的な指示を受けているなど,原告の指揮監督の下で業務を遂行していると評価することができ,④個人代行店には,原告から発注された業務の受注について諾否の自由がなく,⑤個人代行店の報酬は,出来高払いとされているが,労務提供の対価としての性格を有しており,⑥個人代行店の原告への専属性は高い。以上の各事由を総合的に勘案すると,個人代行店は,原告との関係において,通 個人代行店の報酬は,出来高払いとされているが,労務提供の対価としての性格を有しており,⑥個人代行店の原告への専属性は高い。以上の各事由を総合的に勘案すると,個人代行店は,原告との関係において,通常の商取引関係にある事業者とみるのは相当でなく,原告の指揮監督の下に労務を提供し,その対価として報酬を受け取っている者として,労組法3条にいう「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」に当たり,かつ,労組法7条2号にいう「雇用する労働者」に当たると認めるのが相当である。 イ個人代行店の労働者性について(ア) 個人代行店の原告の企業組織への組込み以下の事実関係によれば,個人代行店は,原告の従業員とともに,原告の主要業務の一つである修理業務にとって不可欠な労働力として,恒常的に原告の企業組織に組み込まれて労務を提供しているということができる。 a 原告の前身会社はAの修理部門から発足したものであったところ,修理業務については,原告の前身会社の発足当初から,修理業務の受注量に対して原告の従業員だけでは対応しきれない状況であったことから,代行店に委託することとされたものである。そして,代行店は,原告の事業活動の中心部分の一つである修理業務を恒常的に担っており,原告の業務計画は,処理しなければならない修理業務等のサービ ス件数について,代行店が担当すべきものを入れて立てられており,また,原告の経営計画は,売上げについて,代行店による売上分を含めた内容で立てられている。 b 修理業務の内容は,原告の従業員と個人代行店との間に特段の差異がなく,原告は,個人代行店を原告の従業員と同じく「サービスマン」と呼称し,従業員行動綱領が記載された冊子を個人代行店にも配布し b 修理業務の内容は,原告の従業員と個人代行店との間に特段の差異がなく,原告は,個人代行店を原告の従業員と同じく「サービスマン」と呼称し,従業員行動綱領が記載された冊子を個人代行店にも配布し,個人代行店に対し,原告の従業員と同様に,原告所定の制服,名札,社員証を着用させ,その担当地域を管轄する原告のサービスセンター(以下,単に「サービスセンター」という。)の名称を記載した名刺を所持させ,顧客宅を訪問する際には原告の名称を名乗らせ,顧客から修理代金を受領する際には原告名義の領収書等を渡させるなどし,対外的には,個人代行店を,原告とは別個の事業者としてではなく,原告の従業員と区別せずに原告組織の一員として扱い,業務を遂行させている。 c 原告の代行店となるためには,原告による筆記試験及び面接を受け,合格した後に研修を受けることが要求されている。そして,その費用は原告が負担するほか,研修生には原告から研修日当が支払われるなど,原告は,代行店に対し,A製品の修理業務に必要な技術水準を身につけるための教育を行っている。 (イ) 業務内容の一方的決定以下の事実関係によれば,原告は,個人代行店が行う修理業務の内容を事実上(業務担当地域については契約上)一方的に決定していたということができる。契約の内容を一方当事者が決定することは,労働契約に特有のことではないが,労働契約関係又はこれに準ずる関係においては,力関係の不均衡から労務供給契約の内容が使用者によって一方的に決定されることが多くみられるため,労組法は,このような労務提供者 の保護を図るため,対等の立場での団体交渉を促進しようとするものであるところ,こうした労組法の立法趣旨に照らせば,労務供給契約の内容が一方的に決定されているという事実は,当該労務 うな労務提供者 の保護を図るため,対等の立場での団体交渉を促進しようとするものであるところ,こうした労組法の立法趣旨に照らせば,労務供給契約の内容が一方的に決定されているという事実は,当該労務供給を行う労務提供者が,労組法上の労働者に当たるかどうか,換言すると,団体交渉の機会を与えるという保護を及ぼす適切性と必要性が認められる者に当たるかどうかの判断を行う上で,重要な要素となるものである。 a 個人代行店と原告との間の業務委託契約は,原告が一方的に定める修理業務,修理代金回収業務,品質基準の遵守,修理業務の報告,業務担当地域の指定,変更等の契約内容を記載した定型の契約書が用いられ,個人代行店がこれらの契約内容をそのまま受諾した場合にのみ成立するものであった。 b 無料修理に係る委託料は,その具体的内容が個人代行店に開示されないまま,原告により一方的に決定されていた。 c 業務委託契約上,原告が個人代行店の業務担当地域の指定及び変更権を有しており,実際にも,原告は,個人代行店の所在地を考慮しつつ,なるべく業務担当地域が重複しないようにその割り振りをしている。 (ウ) 業務遂行上の指揮監督以下の事実関係のとおり,個人代行店は,その修理業務について,原告による時間的拘束,場所的拘束を受けて従事し,作業内容のみならず,その遂行の態様についても,原告の指示を受けているものであるから,原告の指揮監督の下で修理業務を行っていると評価することができる。 a 原告は,出張修理について,代行店の業務担当地域,受注可能件数及び顧客宅への訪問時間帯等を考慮し,1日の受注可能件数を8件と設定した上で,各個人代行店に修理業務を割り振っている。他方,個 人代行店が受注可能件数を変更す 代行店の業務担当地域,受注可能件数及び顧客宅への訪問時間帯等を考慮し,1日の受注可能件数を8件と設定した上で,各個人代行店に修理業務を割り振っている。他方,個 人代行店が受注可能件数を変更する場合には,原告のコールセンター長の了承を得ることとされ,独自の判断で業務量の枠を変更することはできない。この点は,原告のG支社長であるNもその旨の供述(乙150)をしているところである。このように,個人代行店の業務量は,原告により決められていた。そして,個人代行店は,特段の事由のない限り,原告が顧客から受注した出張修理業務で受注可能件数の範囲内で割り振って発注したものを拒否することができないこととされており,個人代行店には修理業務を受注するか否かの自由はなかった。 b 代行店は,出張修理業務について,営業日ごとに,その日の業務を確認し,当該営業日の修理業務に就くのであるが,個人代行店の多くは,原告が作成した当該営業日における個人代行店別の修理業務が記載された出張訪問カードにより上記確認を行っている。同カードによる上記確認はサービスセンターのパソコンを使用して行われているため,個人代行店の多くは,上記確認をするために,毎営業日の朝,サービスセンターに出向くことを余儀なくされている。また,上記の個人代行店は,営業日の出張修理業務が終了した後も,サービスセンターのパソコンを使って伝票類の処理や出張訪問カードに修理業務の進捗状況等を記入するために,サービスセンターに戻ることを余儀なくされている。このように,上記の個人代行店は,出張修理業務に関して,原告による時間的拘束を受けている。 c 個人代行店の休日は,原告が,各個人代行店の希望を聞いた上で,同じ業務担当地域の個人代行店同士又は隣接する業務担当地域の個人代行店同士の 関して,原告による時間的拘束を受けている。 c 個人代行店の休日は,原告が,各個人代行店の希望を聞いた上で,同じ業務担当地域の個人代行店同士又は隣接する業務担当地域の個人代行店同士の休日が重ならないように,毎月20日までに翌月における各個人代行店の休日の希望日を調整し,決定していた。 d 出張修理に関して個人代行店が担当する地域は,原告が一方的に指 定及び変更する権限を有しており,個人代行店は,出張修理業務について,原告による業務担当地域の指定及び変更という形で場所的な拘束も受けている。 e 個人代行店は,出張修理業務について,原告が作成する出張訪問カードを通じて指示を受け,顧客から代理受領した修理代金については,修理日の翌日に原告に入金することとされ,遅れた場合には遅延理由書を書かされ,さらに,修理代金の回収又は入金処理に当たり例外的な事項が発生した場合には原告の指示を受けるものとされている。 f 個人代行店が行う修理業務における作業は,原告が配布したサービスマニュアルに基づいて行われるほか,「サービスマン接客マナーの基本事項」を記載した冊子が原告の従業員と同様に個人代行店にも配布されており,個人代行店は,原告から,接客等を含む業務遂行の態様について具体的な指示を受け,これに従うことが求められている。 (エ) 報酬の労務対価性以下の事実関係によれば,個人代行店の報酬は,出来高払制であるものの,労務提供の結果に対する対価というよりは,労務提供そのものに対する対価としての性格を有しているとみるべきである。 a 個人代行店の受注件数が1日8件を目安とする上限設定がされており,その結果,報酬についても上限が存することになる。そのため,個人代行店は,自らの の性格を有しているとみるべきである。 a 個人代行店の受注件数が1日8件を目安とする上限設定がされており,その結果,報酬についても上限が存することになる。そのため,個人代行店は,自らの判断で受注件数を増やすなどしてその報酬を増やすことができない。 b 無料修理については,原告が別に定める計算式により一方的に決定された報酬が支払われている。 c 無料修理に係る報酬の中には,作業時間を反映させるものが含まれている。 (オ) 原告への専属性 原告は,出張修理業務に関して,時間的限界等を考慮して,個人代行店の1日の受注可能件数を8件と設定しているところ,個人代行店が同件数の修理業務を受注し,その全部を処理するとなると,1日の大半が当該修理業務に費やされることになる。個人代行店は,受注についての諾否の自由が認められない中,営業日当日の朝にならないとその日の修理業務が確定しないから,仮に受注件数が上記件数より少ない日であっても,個人代行店がその日のうちに他社から都合よく修理業務を受注し,これを処理することは事実上困難である。以上のことからすると,個人代行店は,営業日における業務時間を原告からの受注業務に費やしているのが常態であり,原告への専属性は相当に高い。 (カ) その他以下の事実関係は,個人代行店の労働者性を補強するものである。 a 原告は,個人代行店にサービスセンター内のパソコン,机,椅子の使用を認めている。 b 原告は,個人代行店に対し,修理業務で使う特殊で高価な機器を無償で貸与している。 c 原告は,個人代行店に対し,営業用に使用する車両に係る自動車保険及び業務ができなくなる事態に備える所得補償保険に加入することを 修理業務で使う特殊で高価な機器を無償で貸与している。 c 原告は,個人代行店に対し,営業用に使用する車両に係る自動車保険及び業務ができなくなる事態に備える所得補償保険に加入することを義務付けている。 【原告の主張】ア労組法3条の「労働者」及び同法7条2号の「雇用する労働者」は,労基法9条の「労働者」と基本的に同様の指標と方法により判断されるべきである。上記の判断指標となるものは,①契約の合理的意思,②危険負担と計算,③報酬の性質,実績,内容,支払方法,④公租公課の負担,手続,⑤特段の指揮監督,⑥時間的,場所的拘束の程度である。 個人代行店は,独立の自営業者として,原告と業務委託契約を締結し, 同契約に基づいて,原告から発注された修理業務を受注して同業務を行う者である。被告が主張する上記【被告の主張】イの各点は,下記イで述べるとおり,いずれも個人代行店の労働者性を根拠付けるものではなく,下記ウで述べるとおり,①同契約に現れる契約当事者の合理的な意思,②個人代行店が自己の危険負担と計算の下に修理業務に従事していること,③個人代行店の報酬が,その性質,実績,内容,支払方法のいずれの点においても,原告の従業員の賃金と全く異なること,④個人代行店の公租公課の負担方法及び税務手続が原告の従業員と全く異なること,⑤個人代行店は,原告から,業務遂行に関して特段の指揮監督を受けていないこと,⑥修理業務に係る個人代行店の時間的,場所的拘束の程度が原告の従業員に比べて緩やかであることからすれば,個人代行店の労働者性を認めることはできない。 労組法上の労働者は,上記のとおり,労基法上の労働者と同様の指標と方法により判断されるべきものであるが,仮に労組法上の労働者の範囲と労基法上の労働者の範囲とに違い めることはできない。 労組法上の労働者は,上記のとおり,労基法上の労働者と同様の指標と方法により判断されるべきものであるが,仮に労組法上の労働者の範囲と労基法上の労働者の範囲とに違いがあるべきものとしても,個人代行店は,上記①~⑥の点から,労基法上の労働者にも労組法上の労働者にも当たらない。 イ被告の主張について(ア) 個人代行店の原告の企業組織への組込みに係る主張についてa 原告は,その前身会社の発足当初から,一定の技術力が要求される修理業務について,原告の限られた従業員だけでは対応しきれない部分につき,代行店と業務委託契約を締結し,同契約に基づいて代行店に対して個別の修理業務を発注してきたのであり,このような契約関係が今日まで継続しているのである。このような沿革,経緯により,個人代行店が原告から受注して行う修理業務及びその売上げが原告の業務計画及び経営計画の前提となっているのであるが,これにより個 人代行店の独立自営性が損なわれるものではない。また,原告から上記の態様で修理業務の委託を受けている代行店は,個人の事業者だけでなく,法人等企業組織の事業者(法人等代行店)もおり,いずれの代行店も,原告から委託された修理業務をあくまで自己の営業として行っているのである。 被告は,個人代行店が原告の企業組織に組み込まれているとする根拠として,原告の業務計画上,処理しなければならない修理業務を含むサービス件数に個人代行店が担当すべきものが入っていることを挙げるが,原告の経営計画上の売上げに個人代行店に対する委託分を含めるのは,顧客に対する修理業務の主体が原告であることに基づく当然の理である。 b 修理業務の内容や領収書等の書類処理において原告の従業員と個人代行 売上げに個人代行店に対する委託分を含めるのは,顧客に対する修理業務の主体が原告であることに基づく当然の理である。 b 修理業務の内容や領収書等の書類処理において原告の従業員と個人代行店との間に差異がないのは,従業員及び個人代行店のいずれも,原告が顧客から受注した修理業務を行っていることによるのである。 同様に,個人代行店を「サービスマン」と呼称し,個人代行店に従業員と同様に制服,名札,社員証を着用させ,その担当地域を管轄するサービスセンターの名称を記載した名刺を所持させ,顧客を訪問する際には原告の名称を名乗らせるなど,顧客との関係において原告の従業員と区別した業務態様を執らせていないことも,顧客が原告による修理を受けているという安心を持ってもらうための方策の一つである。 なお,制服は個人代行店が購入するものであるし,名刺は初刷の費用のみを原告が負担しているにすぎない。社員証については,単に名札として使用していたにすぎず,原告のG支社が入っているビルのセキュリティーの観点からその着用が必要とされたにすぎない。 cA製品の修理業務には,安全と品質確保のために一定の技術上の水準が要請されているところ,個人代行店が業務委託契約に基づきA製 品の修理業者として修理業務に従事する場合にも,上記の技術的水準を満たす必要がある。個人代行店になろうとする者に対する研修は,上記の技術的水準を身に付けてもらうため,業務委託契約の締結に先立って行っているものであり,原告は,同研修を終了して上記技術的水準を満たすと認める個人代行店との間で業務委託契約を締結している。同研修は,採用後に実施されるのが一般の原告の従業員に対する研修とはその位置付けが異なる。(イ) 業務内容の一方的決定に係る主張についてa 契約 業務委託契約を締結している。同研修は,採用後に実施されるのが一般の原告の従業員に対する研修とはその位置付けが異なる。(イ) 業務内容の一方的決定に係る主張についてa 契約の一方当事者が定型の契約書を作成して提示し,他方当事者がその内容について異議なく了承して,その内容で契約を締結することは,様々な契約においてよくあることである。このような態様で締結された契約の内容は,一方当事者により一方的に決定されたものということはできない。b 原告は,無償修理の委託料の算定方法を,予め代行店に説明している。 c 代行店の業務担当地域は,原告と代行店との話合いにより決定されており,原告が依頼した業務担当地域を代行店が拒絶した例もある。(ウ) 業務遂行上の指揮監督に係る主張についてa 個人代行店は,出張修理業務に関して,個人代行店自身の都合により,営業日1日当たりの受注可能件数を予め設定することができる。 原告は,個人代行店が設定する枠内で出張修理業務を発注しているにすぎず,これを受注するかどうかは,個人代行店の自由である。なお,個人代行店は,受注の自由があるとはいうものの,自ら営業日及び受注可能件数を設定して原告に発注の申込みをしているのであるから,業務委託契約における信義則上,その枠内で発注された出張修理業務を受注することが要請されるというべきである。 b 個人代行店は,原告の従業員と異なり,そもそも出勤義務を負わず,勤怠管理も受けず,就業規則による服務規律や懲戒処分等の適用も受けない。原告の従業員は,直行直帰をする場合には必ず上司の許可とその許可によるタイムカードの訂正手続が必要となり,これに反すると懲戒処分の対象となり得るが,個人代行店は,このような手続 等の適用も受けない。原告の従業員は,直行直帰をする場合には必ず上司の許可とその許可によるタイムカードの訂正手続が必要となり,これに反すると懲戒処分の対象となり得るが,個人代行店は,このような手続の対象者ではなく,また,上記の手続は執られていない。 c 個人代行店は,出張修理に関して,個人代行店自身の都合により,①営業日及び休業日の設定,②各営業日における営業可能時間帯,③各営業可能時間帯における受注可能件数を予め設定することができ,また,それらを変更することも自由であり,これについて原告のコールセンター長の了承は必要でない。原告は,個人代行店に対し,個人代行店が予め設定した上記各事項の枠内で,顧客から受注した出張修理業務を発注しているにすぎない。休業日(週1回)を設定するに当たり,同一の業務担当地域を担当する代行店間で調整を行うことがあるとしても,これは,代行店同士の信義に基づくものであり,原告の指揮監督によるものではない。 d 原告が一方的に個人代行店の業務担当地域の指定,変更をしていないことは,上記(イ)cのとおりである。 e 代行店は,原告が作成する出張訪問カードを通じて受注する出張修理業務の日時,場所,修理内容について連絡を受けているが,これらの事項のうち,日時は顧客が希望する日時であり,場所は顧客の住所であり,修理内容は顧客の依頼内容によるものであり,原告が一方的に指示をしているものではない。これらの出張修理業務の内容は,顧客からの依頼によって決まるものであり,当該内容による原告から個人代行店に対する出張修理業務の発注は,個人代行店に対する指揮監督としての業務遂行に関する指示に当たるものではない。 f 原告が個人代行店に対してサービスマニュアルに沿って修理業務を行わせ に対する出張修理業務の発注は,個人代行店に対する指揮監督としての業務遂行に関する指示に当たるものではない。 f 原告が個人代行店に対してサービスマニュアルに沿って修理業務を行わせているのは,個人代行店が業務委託契約に基づきA製品の修理業者として原告が顧客から受注した修理業務を行う上で当然のことであり,個人代行店に対する指揮監督としての業務遂行に関する指示に当たるものではない。 また,原告が個人代行店に研修を実施し,原告の制服,名札,名刺を使用するように指導していることが,個人代行店に対する指揮監督としての業務遂行に関する指示に当たらないことは,前記(ア)のb及びcのとおりである。 (エ) 報酬の労務対価性に係る主張についてa 代行店の報酬の法的性質は委託料であり,これは定額ではなく,出来高に応じたものである上,原告の従業員の賃金が年功色の濃いものであるのに対し,年功色は全くない。代行店同士を比較しても,年齢や経験年数からすれば甚だしい逆転現象が顕著にみられるほか,業務担当地域が同じ代行店同士の間でも,その能力と努力の如何により,その年収額に大きな開きが生じている。 b 無料(無償)修理における委託料は,工料のおおむね67%であるところ,原告は,代行店に対し,その旨を説明してきており,より詳細な説明にも応じる準備がある。 c 個人代行店は,業務委託契約に基づき,修理に使用した部品について,修理に係る委託料のほかに,当該部品の売上金額の2%に当たるマージンを受け取っている。また,個人代行店は,業務委託契約に基づき,開発商品の販売,物件紹介に関して,一定料率による委託料の支払を受ける。原告の従業員は,その業務において上記のようなことを行っても,マージン等の支給 いる。また,個人代行店は,業務委託契約に基づき,開発商品の販売,物件紹介に関して,一定料率による委託料の支払を受ける。原告の従業員は,その業務において上記のようなことを行っても,マージン等の支給はない。これらのマージン等が支払われる点も,修理業務に当たる原告の従業員の賃金体系とは全く異なる。 (オ) 原告への専属性に係る主張について原告への専属性は,必ずしも労働者性を肯定する決め手になるものではない。 (カ) その他の主張についてa 原告は,サービスセンターのパソコン,机,椅子使用を,個人代行店のみならず,同センターに出入りする運送業者等にも認めている。 したがって,当該物品の使用は,個人代行店の労働者性と関係するものではない。 b 修理業務に使う特殊で高価な機器は,使用頻度が高くないものであり,個人代行店がこれを備えるには経済的な負担が掛かることから,原告は,その所有する当該機器を個人代行店が必要な時に便宜供与として一時的に貸与して使用することを認めている。したがって,この点も,個人代行店の労働者性と関係するものではない。 c 原告は,個人代行店に対し,営業車両に係る自動車保険及び所得補償保険に加入することを求めているが,前者は,企業コンプライアンスの観点から要請しているものであり,後者は,個人代行店自身の収入補償のためである。したがって,この点も,個人代行店の労働者性と関係するものではない。 ウ個人代行店の非労働者性について以下の各事由は,いずれも個人代行店が独立の自営業者であることを根拠付けるものである。 (ア) 業務委託契約に現れる契約当事者の合理的な意思a 個人代行店は,原告と業務委託契約を締結するに当たり ずれも個人代行店が独立の自営業者であることを根拠付けるものである。 (ア) 業務委託契約に現れる契約当事者の合理的な意思a 個人代行店は,原告と業務委託契約を締結するに当たり,事前に研修を受けなければならないところ,同研修は,個人代行店が独立自営業者となることを目的として行われるものであり,同研修に係る契約書には,その旨明記されている。 b 研修を終えた個人代行店が原告と業務委託契約を締結するかどうかは,個人代行店の自由である。 c 原告と業務委託契約を締結した個人代行店は,一度同契約を終了させた後,改めて同契約を締結することがある。他方,原告の従業員には,一度原告を退社した後に改めて入社する者はない。 d 個人代行店が原告と取り交わした業務委託契約書には,その間の契約が特定の業務を委託することを内容とする契約であることが明記されている。現に,個人代行店であり,かつ,補助参加人分会の分会長を名乗るLは,出張修理業務を行った際,顧客に対して原告の下請業者であると言っており,また,個人代行店である野沢は,独立の自営業者である旨の発言をしている。 e 個人代行店が原告との間の業務委託契約に基づき支払われる委託料は,個人代行店と原告との間で覚書を交わして取り決めており,その内容は,原告の従業員の賃金と本質的に異なる。 (イ) 個人代行店が自己の危険負担と計算の下に業務に従事していることa 個人代行店は,法人等代行店と同様に,原告との間で原告以外の会社等からの受注を禁止されておらず,現に,個人代行店の中には,他社から受注している者がいる。 b 個人代行店は,営業に使用する車両を自ら所有し,同車両で出張修理業務を行っており,同車両に係る経費 の受注を禁止されておらず,現に,個人代行店の中には,他社から受注している者がいる。 b 個人代行店は,営業に使用する車両を自ら所有し,同車両で出張修理業務を行っており,同車両に係る経費,自動車保険の費用は,当該個人代行店が負担している。 c 個人代行店は,原告の従業員と異なり,原告において労働保険及び社会保険の対象とされていない。 d 個人代行店は,自営業者として,不測の事態に備えて,その負担において所得補償保険に加入している。 (ウ) 個人代行店の報酬 a 上記イ(エ)aのとおり,原告との業務委託契約に基づく個人代行店の報酬は,出来高払制であり,個人代行店は,能力と努力次第で高額の報酬を得ることができる。この点は,原告の従業員に係る年功的な内容の給与規定に基づく給与体系と全く異なる。 b 上記イ(エ)cのとおり,個人代行店は,業務委託契約に基づき,開発商品の販売,修理付帯部品の使用,物件紹介に関して,一定料率による委託料の支払を受ける。この点も,修理業務に当たる原告の従業員の賃金体系とは全く異なる。 c 個人代行店は,原告に対し,修理業務に係る委託料の支払請求をした上で,委託料の支払を受けており,その際,消費税を加算した金額の支払を受けている。 (エ) 個人代行店の公租公課の負担方法及び税務手続個人代行店は,業務委託契約に基づき支払われる委託料について,源泉徴収されることなく原告からその全額の支払を受けている。また,個人代行店は,当該委託料に係る所得について,事業所得者として税務申告を行っており,個人代行店の中には,個人事業者が利用できる青色申告制度を利用して税務申告を行っている者もいる。 (オ) 個人代行店が,原告 委託料に係る所得について,事業所得者として税務申告を行っており,個人代行店の中には,個人事業者が利用できる青色申告制度を利用して税務申告を行っている者もいる。 (オ) 個人代行店が,原告から,業務遂行に関する特段の指揮監督を受けていないこと個人代行店は,業務委託契約に基づき受注する修理業務を遂行する上で,原告の就業規則上の規制を受けることはなく,また,前記イ(ウ)のとおり,原告からの特段の指揮監督を受けることなく修理業務を行っている。 (カ) 個人代行店の時間的,場所的拘束の程度個人代行店は,前記イ(ウ)のとおり,業務委託契約に基づき受注する修理業務を遂行する上で,出勤義務はなく,時間管理(退勤管理)も受 けず,営業日及び休業日は自ら設定することができるなど,原告との関係において時間的にも場所的にも拘束を受けていない。 【補助参加人らの主張】労組法上の労働者には,労務供給契約の形態が雇傭,請負,委任,無名契約のいずれであるかを問わず,団結権を保障する必要性と適切性が認められる者が広く包含されると解すべきところ,①個人代行店が原告の事業遂行に不可欠な労働力としてその企業組織に組み込まれていること,②業務遂行の日時,場所,方法等について,原告から指示を受けていること,③個人代行店には業務の受注について諾否の自由がないこと,④報酬その他の契約内容が原告により一方的に決められていることなどからすれば,個人代行店が労組法上の労働者に該当することは明らかである。 (2) 争点②(本件団交申入れに対する原告の対応は,団体交渉を正当な理由がなく拒むものであるか。)について【被告の主張】ア補助参加人分会における組合規約の具備等(争点②○ⅰ,○ⅱ) 本件団交申入れに対する原告の対応は,団体交渉を正当な理由がなく拒むものであるか。)について【被告の主張】ア補助参加人分会における組合規約の具備等(争点②○ⅰ,○ⅱ)(ア) 労働者集団が労組法2条の労働組合に該当するためには,団体運営に必要な組合規約を備えていることが必要であるが,組合規約は,必ずしもその体裁上書面として完成されたものである必要はなく,組合員の権利義務,機関,役員,統制,会計等の組織運営の基本的要素を内容として備えたものであれば足りる。 補助参加人分会は平成17年1月29日にその結成大会を開催したが,同大会において,Dで用いられている組合規約の文案(フォーム)に手書きで訂正を加えたものがその参加者に示され,これについて承認が得られている。Dの用いる組合規約の文案には,組合員の権利義務,機関,役員,統制,会計等の組合規約に必要な基本的要素が記載されているから,上記承認に係る組合規約は,必ずしも完成された体裁のものではな かったが,少なくとも上記基本的要素を内容とするものが同大会において承認されたものと推認することができる。 なお,組合規約の開示については,団体交渉の申入れやその開催に際して義務付けられるものではなく,その開示がないことを理由に団体交渉に応じないとすることはできない。 (イ) 仮に補助参加人分会が本件団交申入れ時に労組法上の労働組合該当性が認められるに十分な組合規約を具備していなかったとしても,補助参加人分会は,本件初審命令までに組合規約を具備している。原告は,現在に至るまで補助参加人分会が求める団体交渉に応じていないのであり,その対応は不当なものというべきである。 イ組合支部が加わっていることを理由とする本件団交申入れの拒否 している。原告は,現在に至るまで補助参加人分会が求める団体交渉に応じていないのであり,その対応は不当なものというべきである。 イ組合支部が加わっていることを理由とする本件団交申入れの拒否の正当性(争点②○ⅲ)本件団交申入れに関して,組合支部が補助参加人分会の構成員の待遇について団体交渉権を有するものとは認められないとしても,原告においては,本件団交申入れに組合支部が加わっていることに疑義があるのであれば,その旨を本件3団体に告げ,組合支部からの出席者を外すなどの対応を求め,本件3団体がこれに応じた場合には速やかに団体交渉に応じることが可能であった。そうであるにもかかわらず,原告は,上記のような対応をとらず,補助参加人分会が団体交渉の当事者資格を有しないなどの正当な理由とは認められない理由を挙げて一切の団体交渉を拒否したのであるから,本件団交申入れに対する原告の対応には正当な理由がない。 ウ本件要求事項の義務的団交事項該当性(争点②○ⅳ)本件要求事項のうち,賃金,労働時間,休日,社会保険・労働保険への加入,車両等の経費負担については,いずれも個人代行店の労働条件又は待遇にかかわるものであり,原告がその処分権限を有するから,義務的団交事項に当たる。 また,原告との団体交渉において「労基法の適用を求める」と要求することに意味はないが,団体交渉において労基法が適用されたのと同様の結果となる労働協約の締結を要求することは不可能でないから,そのような要求である限り,義務的団交事項に当たり得る。また,本件要求事項中の「その他については労働基準法に準拠する」という事項も,個人代行店の待遇を労基法が定める水準に準拠するものとするように合意することを求めるものであって,労基法そのものを 得る。また,本件要求事項中の「その他については労働基準法に準拠する」という事項も,個人代行店の待遇を労基法が定める水準に準拠するものとするように合意することを求めるものであって,労基法そのものを適用することまで求めているものではないとみることができるものであるから,当該事項も義務的団交事項に当たる。 なお,個人代行店が労基法上の労働者に当たるか否かは法的判断の問題であり,当事者が団体交渉で決すべきものではないから,本件団交申入れの中に個人代行店が労基法上の労働者に当たる旨の見解が示され,同見解に立って具体的な事項について団体交渉の申入れがされたとしても,同見解部分は具体的な要求事項とは別個に本件3団体の法的見解を示す部分にすぎない。そうすると,原告は,本件3団体の法的見解の当否について団体交渉に応ずる必要はないが,それ故に具体的な要求事項までが義務的団交事項に当たらなくなるということはできない。 【原告の主張】ア補助参加人分会における組合規約の具備等(争点②○ⅰ,○ⅱ)組合規約を具備していることは,労働組合が労組法上の保護を受けるための要件の一つである「労働組合としての団体性」を満たすために必要なものである。補助参加人分会は,その結成時であるとする平成17年1月29日に組合規約を具備しておらず,本件団交申入れ時にもこれを具備していなかったから,原告はこのような団体に対して団体交渉に応諾すべき義務を負わない。 また,上記要件は,団体交渉の申入れの時点において具備されていなけ ればならず,また,原告から組合規約の開示要求があった場合には,組合としてこれを開示しなければならない。仮に,現在においては,補助参加人分会につき「労働組合としての団体性」が認められるとしても,本件団交 らず,また,原告から組合規約の開示要求があった場合には,組合としてこれを開示しなければならない。仮に,現在においては,補助参加人分会につき「労働組合としての団体性」が認められるとしても,本件団交申入れに対する原告の過去における具体的な対応が不当労働行為であるとして救済申立てがされている本件については,本件団交申入れの時点や救済申立ての時点にさかのぼって補助参加人分会の労働組合資格が認められる余地はない。 イ組合支部が加わっていることを理由とする本件団交申入れの拒否の正当性(争点②○ⅲ)本件要求事項は,補助参加人分会の構成員たる個人代行店に関する事項が要求対象となっており,組合支部がその当事者として団体交渉に参加するためには,組合支部が補助参加人分会の上部団体でなければならない。 ところが,組合支部は,補助参加人分会の上部団体ではなく,補助参加人分会とは組織上同列の労働組合であり,補助参加人分会に対して何ら統制力を有さず,その構成員たる個人代行店に関する事項について競合的に団体交渉権を有する者ではないから,本件要求事項を交渉事項とする本件団交申入れに係る団体交渉の当事者適格を有しないというべきである。 そして,共同団交は,共同する各当事者が不離一体となって行う団体交渉の方式であるから,その当事者の中に1つでも当事者適格を有しない労働組合が含まれている場合には,使用者は当該共同団交に応諾すべき義務はない。 ウ本件要求事項の義務的団交事項該当性(争点②○ⅳ)本件3団体は,本件団交申入れにおいて,個人代行店が労基法上の労働者であることを前提とする要求,個人代行店について労基法の適用を求める要求をしているが,個人代行店は労基法上の労働者ではないから,そのような要求はそもそも成り立ち得 いて,個人代行店が労基法上の労働者であることを前提とする要求,個人代行店について労基法の適用を求める要求をしているが,個人代行店は労基法上の労働者ではないから,そのような要求はそもそも成り立ち得ず,そのような要求事項に関する団体交 渉を原告に強制することはできない。 また,仮に個人代行店が労組法上の労働者に該当するとしても,義務的団交事項となるのは,原告と個人代行店との間の業務委託契約という個人代行店に特有の契約に基づく個人代行店に特有の待遇に関するものに限られるから,本件団交申入れにおける労基法の適用を前提とした要求事項は義務的団交事項ではない。 【補助参加人らの主張】ア補助参加人分会における組合規約の具備等(争点②○ⅰ,○ⅱ)平成17年1月29日に開催された補助参加人分会の結成大会において,その参加者全員に組合規約案(乙92),労働組合結成通知書案(乙93),要求書案(乙94)等が配布され,同規約案は全会一致で承認されている。承認を受けた同規約案は,後に字句が訂正され,平成18年1月22日に開催された第2回臨時大会において,現行の組合規約(乙97)と同一内容の規約が承認されている。以上のとおり,補助参加人分会は,本件団交申入れ時において団体性を基礎付けるに足りる組合規約を具備していた。 仮に補助参加人分会の組合規約がその結成大会で承認されていなかったとしても,そのこと故に補助参加人分会の労組法上の労働組合性が否定されるわけではない。しかも,本件においては,府労委による本件初審命令が発せられるまでの間に組合規約が提出されているから,補助参加人分会が労組法上の労働組合として本件初審命令に至る救済手続に参加する資格を有し,救済の対象となる。 イ組合支部が加わってい 令が発せられるまでの間に組合規約が提出されているから,補助参加人分会が労組法上の労働組合として本件初審命令に至る救済手続に参加する資格を有し,救済の対象となる。 イ組合支部が加わっていることを理由とする本件団交申入れの拒否の正当性(争点②○ⅲ)仮に本件団交申入れに係る団体交渉において組合支部の当事者適格が否定されるとしても,本件3団体は,共同で行う団交に固執したわけではな く,原告において補助参加人C及び補助参加人分会のみを団体交渉の相手方とすることに何ら障害はなかった。そうであるにもかかわらず,原告は,本件3団体すべてに対して団体交渉を拒否したのであるから,その拒否には正当な理由がない。 ウ本件要求事項の義務的団交事項該当性(争点②○ⅳ)本件3団体は,本件団交申入れにおいて労基法の適用を要求したわけではなく,個人代行店に係る個々具体的な労働条件に関する要求をしたのである。また,「労働基準法に準拠する」との要求事項も,労基法に規定されている具体的な労働条件の確保を要求しているものである。したがって,本件要求事項は義務的団交事項に当たる。 第3 争点に対する判断 1 争点①(個人代行店の労組法上の労働者性)について(1) 労組法上の労働者について労組法3条は「この法律で『労働者』とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。」と規定している。 一般に労働者とは,労働契約上の被用者をいうものであるが,労働者が使用者と交渉する際に対等の地位に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させ,労働者の団結権,団体交渉権を擁護することなどを目的とし,団結権の侵害に当たる使用者の一定の行為を不当労働行為として排除,是正して正常な労 地位に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させ,労働者の団結権,団体交渉権を擁護することなどを目的とし,団結権の侵害に当たる使用者の一定の行為を不当労働行為として排除,是正して正常な労使関係を回復する制度を設けている労組法の目的,趣旨にかんがみると,労務を提供する者が,労働契約上の被用者でなくても,労務提供を受ける者から,被用者と同視できる程度に,その労働条件等について現実的かつ具体的に支配,決定されている地位にあると認められ,かつ,当該労務提供の対価としての収入を得ていると認められる場合には,当該労務提供者は,同条の労働者に当たるものと解するのが相当である。これを本件についてみれば,個人代行店は原告と労働契約関係にない者であるから(この事 実は,当事者間に争いがない。),個人代行店が原告との関係で同条の労働者に当たるといえるためには,① 個人代行店と原告との間の労務提供に係る合意の内容及びその労務提供の実態からみて,個人代行店の労働条件等について原告から現実的かつ具体的に支配,決定されていること,及び,②その労務提供の対価と認められる収入を得ていること,以上が認められることが必要である。 (2) 前記第2の1(前提となる事実)の各事実並びに掲記の各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,原告と個人代行店との契約の内容,個人代行店の業務実態等について,以下の事実を認めることができる。 ア代行店の制度の概要(ア) 代行店は,原告と業務委託に関する契約書(以下「本件委託契約書」といい,それに基づく契約を「本件委託契約」という。)を交わし,A製品の修理業務及びそれに付帯する業務に従事する者である。 なお,A製品の修理には,顧客等から料金を徴収する有料修理とメーカーの保証期間内に行われる無料 委託契約」という。)を交わし,A製品の修理業務及びそれに付帯する業務に従事する者である。 なお,A製品の修理には,顧客等から料金を徴収する有料修理とメーカーの保証期間内に行われる無料修理とがある。 (乙43,44,46,106,107,135)(イ) 代行店の制度は,AがA製品の修理業務を自ら行っていた昭和34年ころから存在していた。同制度は,Aの修理担当従業員だけでは一定の技術力を要する修理業務の全部をこなすことができなかったため,当該従業員でまかなえない部分を社外の修理業者に委託したことに始まる。 昭和40年ころには,個人代行店と法人等代行店の2種類の代行店が存在していた。法人等代行店の中には,複数の個人代行店が一つのグループを作り,これを代表する個人代行店が一括して修理業務を受注し,受注した修理業務を各個人代行店に割り振るという形態のものもあった。 代行店は,昭和60年当時から,原告の前身会社の修理業務の相当割合を担当していた。その状態は,現在も同様である。 (甲2,乙135,150)(ウ) 原告のG支社(その前身会社を含む。)における個人代行店数と法人等代行店数の内訳は,昭和46年3月当時には,前者が36店,後者が8店であり,平成17年9月末時点では,前者が31店,後者が3店,平成19年4月1日時点では,前者が24店,後者が7店であった。 なお,同日の時点において,G支社には,正社員56名,契約社員21名,パートタイマー25名の合計102名の従業員がおり,このうち,出張修理業務を担当していた従業員は6名(正社員3名,契約社員3名),持込修理を担当していた従業員は21名(正社員12名,パートタイマー9名)であり,代行店31店のう 2名の従業員がおり,このうち,出張修理業務を担当していた従業員は6名(正社員3名,契約社員3名),持込修理を担当していた従業員は21名(正社員12名,パートタイマー9名)であり,代行店31店のうち,個人代行店21店,法人等代行店6店は出張修理業務を,個人代行店3店,法人等代行店1店は持込修理業務を担当していた。 (乙135,193)イ本件委託契約の内容(ア) 原告と本件委託契約を締結して個人代行店になるには,原告による筆記試験及び面接を受け,これに合格した場合に,原告と研修契約を締結し,おおむね3か月間の原告による研修を受け,これを了することが必要である。 (乙45,135,150)(イ) 原告と個人代行店を含む代行店との間の本件委託契約は,原告が作成した統一書式の本件委託契約書及び委託料等に関する覚書を取り交わして締結されている。本件委託契約書は,当初,その標題は「契約書」であったが,その後,「基本契約書」となった。 本件委託契約書は,その冒頭に,原告(甲)と代行店となる電子機器修理業者(乙)とがA製品の修理業務及びそれに付帯する業務について委託契約を締結するとの記載があり,18か条の規定から成るものであ る。その規定の内容は,以下のとおりである。 「第1条契約の目的甲は乙をB代行店に指定し,甲が実施すべき修理サービス業務の一部を代行させる。 乙は修理業務を行うに当り,「安全,迅速,確実,親切」を規範とし,市場におけるA及びA製品の信用を高め,甲乙両者の繁栄をはかることを目的とする。 第2条修理業務修理業務の内容は下記のとおりとする。 ① 出張修理乙は びA製品の信用を高め,甲乙両者の繁栄をはかることを目的とする。 第2条修理業務修理業務の内容は下記のとおりとする。 ① 出張修理乙は甲より指示された場所(特約店又は顧客宅等)に訪問し,修理を行うものである。 ② 持込修理甲より指定された持込修理品を甲又は乙の作業場において修理を行うものである。 以下(略)第3条修理代金回収業務(1) 保証期間を過ぎた修理品については,必要に応じ甲の定めた修理料金規程により,顧客に対し売上伝票又は,請求書を発行するものである。 (2) 直接代金の回収を指示されているものについては,発生の都度,乙の責任において代金を回収し,甲に入金するものとする。 (3) 2項に使用する領収書は,甲の指定のものを使用し,領収書の控及び未使用分については,毎週一回以上甲に提出検収を受けるものとする。 (4) 例外事項については,甲の指示を受けるものとする。 第4条委託料の支払い甲は乙の実績に基づき,別に定める委託料を支払うものとする。 第5条委託業務の品質保持乙は,修理業務の実施に際し,甲が定める品質基準を守り適正な処理を行うものとする。 第6条再修理責任乙が修理(工事,保守を含む)した機器が完了引き渡し後,3カ月以内に同一症状で故障した場合,又は,6カ月以内に同一個所が再度故障した場合は,速やかに,無償にて再修理するものとする。 第7条部品供給(1) 甲は修理業務に必要とする部品を乙に有料支給又は貸与する。 ( 同一個所が再度故障した場合は,速やかに,無償にて再修理するものとする。 第7条部品供給(1) 甲は修理業務に必要とする部品を乙に有料支給又は貸与する。 (2) 乙は安全性及び機能上の理由から,甲の支給する以外の部品は使用してはならない。但し,甲の許可を得た部品については,市販品の使用を認めるものとする。 (3) 貸与された部品は,乙の責任にて管理し半期毎に棚卸を実施,差損が発生した場合は,乙が負担するものとする。 第8条修理業務の報告乙は修理に関する全ての事項を,甲の指定する修理報告書を使用して,甲に報告するものとする。 第9条 (略)第10条義務事項乙は次の事項を義務とする。 (1) 修理業務遂行に必要な技術力を保有すること。 (2) 甲が定めた設備(計測器等)を保有すること。 (3) 甲が定めた修理安全確認事項を実施すること。 (4) 甲が定めた保険等に加入すること。 (5) その他,法に定められた諸事項を守ること。 第11条禁止事項(1) 乙は甲より受託した業務を未契約の第三者に再委託してはならない。 以下(略)第12条業務担当の地域(1) 乙の業務担当地域は甲が指定するものとする。 (2) 業務の都合により甲は乙の業務担当地域を変更することが出来る。 第13条契約の改定・終了・延長(1) 本契約を改定する必要が生じた場合は,甲・乙協議の上定めるものとする。 (2) 契約期間満了時3カ月前迄に,甲・乙のどちらか一 第13条契約の改定・終了・延長(1) 本契約を改定する必要が生じた場合は,甲・乙協議の上定めるものとする。 (2) 契約期間満了時3カ月前迄に,甲・乙のどちらか一方より文書による期間を延長しない旨の申し出があった場合は,契約期間満了日をもって本契約は終了するものとする。 (3) 文書による契約満了の申し出がなき場合は,自動的に契約期間を1カ年間延長し,以後これを繰返す。 第14条契約の解除甲は乙が次の事項に該当すると認めたときは,契約期間中でも本契約を解除することができる。 (1) 本契約の各条に違反したとき。 (2) 委託業務の履行が能力的に困難であると認めたとき。 (3) 乙が甲の信用を著しく損う行為があったと認められたとき。 第15条納税義務乙は本契約締結後,所管の税務署に営業届を提出し,年度毎の申告を行うものとする。 第16条 (略)第17条有効期間本契約の有効期間は,平成○年○月○日から平成○年○月○日迄の1年間とする。 第18条 (略)」(乙43,44,46,106,107,135,150)(ウ) 覚書は,その冒頭に,原告(甲)と代行店となる電子機器修理業者(乙)との間に締結された委託契約に基づいて覚書を締結するとの記載があり,平成10年当時のものは10項目の覚書事項から成るものであり,平成14年当時のものは7項目の覚書事項から成るものである。そのうち両者に共通する覚書事項は,以下のとおりである。 a 委託料の支払特約店 の覚書事項から成るものであり,平成14年当時のものは7項目の覚書事項から成るものである。そのうち両者に共通する覚書事項は,以下のとおりである。 a 委託料の支払特約店又は顧客に請求する修理工料及び出張料に対し,次の比率にて支払うものとする。 (a) 有料修理出張工料の額に対する,平成10年当時のものは70%相当額,平成14年当時のものは60%相当額。 持込工料の額に対する,平成10年当時のものは67%相当額,平成14年当時のものは50%相当額。 なお,出張工料には,出張料を含むものとする。 (b) 無料修理別に定める工料に対する,出張の場合は122.7%相当額,持込の場合は100%相当額。 b 代金の回収,入金処理(a) 乙が業務委託に使用する帳票類は甲が貸与する。 (b) (a)の使用状態について原則として月1回以上検収するものとする。 (c) 回収した代金は,その都度,甲に入金するものとする。 (d) 乙の責任による3か月以上の未回収については,委託料から相殺することができる。 (e) 修理単価は,甲が定めた修理料金規程によるものとする。 c 乙から甲への月次請求書は,甲が作成し,乙が検収するものとする。 差違が生じた場合は,30日以内に申し出,2か月以内に協議精算するものとする。 (乙44,46,107)(エ) 平成10年当時の覚書には,上記(ウ)のほかに,以下の事項が列挙されている。これらの事項は,平成14年当時の覚書には記載されていない。 a 乙は,次の計測 6,107)(エ) 平成10年当時の覚書には,上記(ウ)のほかに,以下の事項が列挙されている。これらの事項は,平成14年当時の覚書には記載されていない。 a 乙は,次の計測器,工具を設備するものとする。 ① テスター及び一般工具(半田ゴテ・ドライバー・ニッパー等)以下(略)b 乙は,不慮の災害に備え,保険に加入するものとする。 (a) 車輌保険ⅰ 対人賠償保険ⅱ 対物賠償保険ⅲ 搭乗者損害保険(b) 火災・盗難保険(c) 所得補償保険(d) 傷害保険又は生命保険(e) その他共済保険(乙44) (オ) 平成14年当時の覚書には,委託料に関して,上記(ウ)aの(a)及び(b)のほかに,下記事項が記載されている。同事項は,平成10年当時の覚書には記載されていない。 (c) 売上貢献度開発商品拡売料 10%付帯修理部品使用料 2%物件紹介料粗利益の8%(自己申告による。)(乙46,107)(カ) 個々の代行店の業務担当地域は,代行店の所在地を考慮しつつ,他の個人代行店の業務担当地域となるべく重複しないよう割り振られている。 (乙135)ウ個人代行店が従事する出張修理業務の実際(ア) 個人代行店は,原告のコールセンターに対し,毎月20日までに翌月の休業日を届け出る。これにより,休業日でない日,すなわち営業日も定まることになる。休業日の届出については,同じ業務担当地域を受け持つ複数の個人代行店が同じ ールセンターに対し,毎月20日までに翌月の休業日を届け出る。これにより,休業日でない日,すなわち営業日も定まることになる。休業日の届出については,同じ業務担当地域を受け持つ複数の個人代行店が同じ日に休業するとなると,当該業務担当地域における出張修理業務の遂行に支障が出ることから,原告からあらかじめ個人代行店間で調整するよう要請されており,このような調整がされて休業日の届出がされるのが一般的である。 各営業日ごとに個人代行店が担当する出張修理業務の件数については,原告において,個人代行店の出張修理実績を基にした出張修理業務に要する時間等を考慮して,1日当たりの受注可能件数を8件と定めているが,業務担当地域等の特性により同件数より少ない受注可能件数が定められている個人代行店がある。受注可能件数を8件とする場合の割り振りは,午前中に1件,午後のうち午後5時までに6件,午後5時以降に 1件とするのが一般的である。 個人代行店が当該営業日の受注可能件数を変更する場合には,あらかじめ原告のコールセンターに対し,その旨を届け出ることとなる。受注可能件数の変更は,上記8件を減らすものが多いが,これを増やすものもある。 個人代行店から休業日及びその変更並びに受注可能件数の変更の届出があった場合において,業務担当地域における出張修理業務の遂行に支障が生じるときは,原告のコールセンター長から当該届出をした個人代行店に対し,当該届出の内容の変更を申し入れることがある。このようなときは,当該個人代行店と同センター長との協議を経て,当該変更の成否が決まることとなる。 (なお,被告は,受注可能件数を変更するのに同センター長の承認が必要であると主張し,その根拠としてNの供述(乙150)等を挙げる。 しかし, 議を経て,当該変更の成否が決まることとなる。 (なお,被告は,受注可能件数を変更するのに同センター長の承認が必要であると主張し,その根拠としてNの供述(乙150)等を挙げる。 しかし,同人の当該供述部分は,個人代行店の届出に係る受注可能件数の変更について述べたものではなく,同センターにおいて受注可能件数の変更をコンピュータに入力する際の内部手続を述べたものにすぎないものであり,当該供述部分をもって被告の上記主張を認めることはできず,他に,同主張を認めるに足りる証拠はない。)(甲1,乙76,119~121,135,149,150)(イ) 顧客等からの出張修理の依頼は,電話又はファックスにより,原告のコールセンターに対してされる。同センターは,顧客から出張修理の依頼を受け付けると,顧客の住所地及び修理希望日時と,個人代行店の業務担当地域及び訪問時間帯ごとの受注可能件数に従い,当該依頼に係る出張修理業務を各個人代行店に割り振り,その内容等をパソコンに入力する。以上のデータ等を基に,訪問先,故障状況,受付日,訪問予定日時が記載された個人代行店ごとの出張訪問カードが作成されることと なる。 (乙50,52,118~121,135,150)(ウ) 個人代行店は,原告の従業員と異なり,原告の就業規則は適用されておらず,サービスセンターへ出向く義務がなく,タイムカード等による出退勤管理もされていないが,後記一部の者を除く出張修理業務を担当する個人代行店は,午前9時ころまでに各業務担当地域を管轄するサービスセンターに出向き,同所にあるパソコンを使って出張訪問カードをプリントアウトするなどして,各個人代行店に割り振られた当日の出張修理業務の内容を確認するのが一般的である。出張訪問カードに関す サービスセンターに出向き,同所にあるパソコンを使って出張訪問カードをプリントアウトするなどして,各個人代行店に割り振られた当日の出張修理業務の内容を確認するのが一般的である。出張訪問カードに関する処理をファックスやISDN回線を通じた通信により行っている一部の個人代行店は,以上の作業をするためにサービスセンターに出向くことはない。個人代行店は,特別な事情のない限り,割り振られた修理業務をすべて受注しており,出張訪問カードの記載に基づいて,顧客に電話をかけ,訪問時間や順路を調整,決定し,出張修理に赴くこととなる。 (乙118,147~150)(エ) 個人代行店は,以上の手続を経て,出張訪問カードに記載された顧客を訪問し,その依頼に係るA製品の修理を実施する。個人代行店は,当該修理を終了した後,修理代金を受け取り,顧客に対して原告から支給された原告名義の領収書等を手交する。 個人代行店が1日に処理する出張修理件数は,通常,5件から8件程度であり,最終の顧客への訪問時間は午後6時から午後7時ころになることが多い。 (乙49の1~3,50,53,55)。 (オ) 個人代行店がその日に予定された出張修理業務をすべて完了すると,上記(ウ)の一部の者を除く個人代行店は,通常,サービスセンターに戻り,伝票類の処理をするほか,同センターに設置されたパソコンを用い, 出張訪問カードにその日の修理の進捗状況等を入力する作業をしている。 顧客から受領した上記(エ)の修理代金は,その受領日の翌日に入金処理をすることとなっている。この入金処理の手続が遅れた場合,個人代行店は,原告に対し,遅延理由書を提出しなければならないものとされている。 上記一部の個人代行店は,出張修理終了後以上の作業 することとなっている。この入金処理の手続が遅れた場合,個人代行店は,原告に対し,遅延理由書を提出しなければならないものとされている。 上記一部の個人代行店は,出張修理終了後以上の作業をするためにその日に同センターに出向くことはないが,部品の調達,受領した修理代金の納付等のために,1か月に4回~5回は同センターに出向く必要がある。 (乙50,118,150)エ個人代行店の出張修理業務の受託に関する禁止等(ア) 個人代行店は,原告以外の者からA製品以外の製品の修理を請け負うことについては制約がない。現在,2名の個人代行店が,原告から受注する修理業務のほかに,A製品以外の製品の修理業務を併せて行っている。 (甲1,乙150,151)(イ) 原告は,A製品の修理について,個人代行店が原告を通さずに直接顧客から仕事を受けることを禁じており,代行店が顧客からこのような仕事を受ける場合には,事前にその旨を原告に申し出た上,その承認を得るべきものとしている。 (甲1,乙150,151)(ウ) 本件委託契約書上,代行店が未契約の第三者に対し,原告から受注したA製品の修理業務を再委託することが禁止されていること(前記イ(イ))の主たる趣旨は,修理品質の保持にある。 個人代行店間では,複数の個人代行店が一つのグループを作り,これを代表する個人代行店が原告から修理業務を一手に受注し,その受注業 務を各個人代行店に割り振って出張修理業務を分担していたことがある(前記ア(イ))。法人等代行店がその従業員をA製品の修理業務に従事させるように,個人代行店も,その従業員を修理業務に従事させることは妨げられない。 (乙135,149,150) (前記ア(イ))。法人等代行店がその従業員をA製品の修理業務に従事させるように,個人代行店も,その従業員を修理業務に従事させることは妨げられない。 (乙135,149,150)オ修理業務に関する個人代行店への配布物(ア) 原告は,代行店に対し,A製品の機種ごとに,商品固有のサービス事項,分解方法,調整方法,修理の手引き等が記載されているA作成のサービスマニュアル(冊子やCD-ROM等に収録等されている。)を配布しており,代行店は,原告の従業員と同様に,同マニュアルに従って修理業務を行っている。原告は,量販店の修理部門に対しても,同マニュアルを配布している。 (甲1,乙115の1・2,135,149)(イ) 原告は,代行店に対し,出張修理業務に関して,「修理料金概算表」,「作業技術料区分」等が記載されている「民生用機器修理技術料金基準」と題する冊子を代行店に配布している。 (乙81,150)(ウ) 同冊子には,付録として,「サービスマン接客マナーの基本事項」が付いており,名札の着用,顧客への訪問時には「Bの○○です。○○の修理にお伺いしました」と笑顔で挨拶することなど,訪問前の準備事項,訪問時の注意及び修理前のマナー等のほか,「B社員のモットー」及び「従業員行動綱領」が記載されている。 また,原告は,代行店に対し,Aが同社の従業員の行動基準について定めた「企業行動基準」と題する冊子も配布している。 (乙74,81,150)カ個人代行店が使用する作業服,工具等 (ア) 原告は,出張修理業務に従事する原告の従業員と同様に,個人代行店を「サービスマン」と呼称し,個人代行店に対し,作業服及び名札を着用させ,初刷のみ 行店が使用する作業服,工具等 (ア) 原告は,出張修理業務に従事する原告の従業員と同様に,個人代行店を「サービスマン」と呼称し,個人代行店に対し,作業服及び名札を着用させ,初刷のみではあるが,原告の経費で名刺を印刷し,支給している。 個人代行店の作業服は,原告の従業員の作業服と同じデザインであり,その名札にも,原告の従業員と同様に,「O」のロゴが入っている。なお,短期間ではあるが,G支社のビルに出入りする個人代行店に対し,当該ビルの入退出のために,「社員証何某ビクターサービスエンジニアリング株式会社」と印刷された原告の従業員と全く同じ体裁の名札が使われたことがあった。個人代行店の名刺には「G支社何某ビクターサービスエンジニアリング株式会社」と印刷され,「O」のロゴが入っている。 (乙56,57の1・2,58,114,135,150)(イ) 個人代行店は,A製品の修理業務に必要な工具等のうち,ドライバー,テスター等の一般的な工具や計測器を自ら所有しているが,オシロスコープや電界強度計等の一部の機器については,原告から無償で貸与されたものを使用している。これは,高価なものである,使用頻度が少ないものであるという理由のほかに,家電製品のデジタル技術への切り替え等が進む中で特殊な計測機器が必要となっていることや,当該計測機器の精度を一定のものにしておく必要があることによる。 (甲1,2,乙44,135,147)(ウ) 原告は,個人代行店に対し,修理に用いる部品について,Aの純正部品を使用することを求め,これを有料支給又は貸与している(前記イ(イ))。なお,個人代行店が原告から貸与されている純正部品は,原告の在庫管理等の必要上,金額にして8万円以内にとどめるよう Aの純正部品を使用することを求め,これを有料支給又は貸与している(前記イ(イ))。なお,個人代行店が原告から貸与されている純正部品は,原告の在庫管理等の必要上,金額にして8万円以内にとどめるようにされている。 個人代行店は,貸与された純正部品の管理に当たって生じた差損を負担するものとされている(前記イ(イ))が,実際には,ほとんどの場合,負担することはない。また,原告は,修理作業中にやむを得ず発生する部品の破損については,代行店の責任を問わない扱いをしている。 (乙43~46,106,107,135,147,149,150)(エ) 個人代行店は,出張修理業務を行う顧客を訪問する際,その移動手段にはその所有する自動車を使い,当該自動車に係るガソリン代等の諸費用を自ら負担している。 (乙20,135)キ研修等(ア) 前記イ(ア)のとおり,代行店として本件委託契約を締結するためには,原告と研修契約を締結し,原告による研修を受ける必要がある。同研修を実施する趣旨は,その契約書に「本契約は電子機器修理業として『独立自営』をめざす乙(実習生)の為一定の研修期間を定め甲(原告のG支社)、乙双方が協力、実戦教育の積み重ねにより『技術、人格』共に優れた『サービスエンジニア』として育成する事を目的とする」と記載されているように,代行店に一定の水準に達する修理技術を習得させることにある。 同研修に要する交通費,教材費及び宿泊費等は,原則として原告が負担し,また,原告は,研修日当を支払っている。実習生は,研修期間中の実習により収入を得ることがあるが,その収入は,研修費用に充当されることになっている。 (乙45,135)(イ) 原告は,技術革新に 日当を支払っている。実習生は,研修期間中の実習により収入を得ることがあるが,その収入は,研修費用に充当されることになっている。 (乙45,135)(イ) 原告は,技術革新に対応するため,その従業員に限らず,本件委託契約を締結している個人代行店もその対象に含めて,研修を実施しており,受講した個人代行店に対し,営業補償の趣旨で,当初は1日に50 00円,その後順次増額されて平成10年当時は1万円の研修日当を支払っている。 また,原告は,その従業員の公的資格取得を奨励する制度を設けているところ,個人代行店も同制度の適用対象者とし,原告の従業員に配布している「B公的資格奨励制度」と題する社外秘の冊子を配布している。 (乙45,60,66,135,147,150)ク委託料,納税及び保険加入(ア) 委託料a 原告が代行店に支払う毎月の委託料は,当初は,代行店において請求書を作成し,原告が売上伝票と照らし合わせて請求書の内容を確認して確定していたが,原告における一般事務がコンピュータで処理されるようになってからは,原告において売上伝票に基づいて代行店名義の請求書を作成し,代行店が同請求書の金額を検収して確定している。そして,原告は,代行店に対し,確定した委託料全額とこれに対する消費税を加算した金員を支払っており,その際,源泉徴収や社会保険料等の控除をしていない。 (乙44,46,107,135,149)b 委託料は,上記イ(ウ)の原告と代行店間で取り交わした覚書に基づき定められており,以下のものから成る。 修理に関しては,有料修理の場合は,民生用機器修理技術料金基準記載の修理料金に対して,出張工料が当初70%,後に60% で取り交わした覚書に基づき定められており,以下のものから成る。 修理に関しては,有料修理の場合は,民生用機器修理技術料金基準記載の修理料金に対して,出張工料が当初70%,後に60%に相当する額,持込工料が当初67%,後に50%に相当する額であり,無料修理(保証期間中の修理)の場合は,原告が別に定める工料の額から一定の計算をした額とされており,総じて同工料の67%程度の金額である。 また,代行店が出張修理の際に使用した純正部品の代金は,顧客が 同部品を購入したものとして修理代金に含まれるところ,代行店は,原告から,修理そのものに係る委託料とは別に,当該部品の価額の2パーセント相当額が委託料として支払われる。原告の従業員には,このような支払はされない。 さらに,代行店は,原告の開発商品を販売したり,物件を紹介した場合,原告から,修理そのものに係る委託料とは別に,開発商品拡売料及び物件紹介料を委託料として支払われる。原告の従業員には,このような支払はされない。 (乙44,46,81,82,147,150)(イ) 納税本件委託契約書には,業務委託契約を締結した後,代行店が所管の税務署に営業届を提出し,年度ごとの納税申告を行う旨の規定があり(前記イ(イ)),代行店は,いずれも,上記営業届を提出し,事業者として確定申告をしている。G支社における個人代行店のうち半数近くの者は,その税務申告に関して,個人事業者が利用できる青色申告の承認を得ている。 (乙135,148,149)(ウ) 保険加入代行店は,本件委託契約等に基づき,原告が加入を求める保険(自動車保険や所得補償保険等)に,自ら保険料を負担して加入している。 135,148,149)(ウ) 保険加入代行店は,本件委託契約等に基づき,原告が加入を求める保険(自動車保険や所得補償保険等)に,自ら保険料を負担して加入している。 なお,原告は,上記保険のうち所得補償保険については,個人代行店が怪我や病気等により業務の遂行ができず,収入がなくなった場合の生活保障のために加入することを求めており,その案内資料を代行店に配布し,加入を希望する代行店からの申込みを取りまとめ,保険会社との契約締結を取り次いでいる。 (乙43,44,46,84,106,107,135,150) (3) 検討上記(2)の認定事実(以下「前記認定事実」という。)に基づき,個人代行店の労組法上の労働者性について検討する。 ア原告における代行店制度前記認定事実のア及びイによれば,原告(前身会社を含む。)における代行店の制度は,昭和34年ころから始まっており,原告が顧客から受注する修理業務でその修理担当従業員がまかなえない部分を社外の修理業者に外注して修理業務を代行させるものであること,この外注の方法は,原告と代行店との間で本件委託契約を締結して行われていることが認められる。そして,前記認定事実ア(ウ)で認定した原告の修理担当従業員の人数と代行店の数によると,原告の修理業務の相当部分を代行店が行っていることが推認できる。 イ本件委託契約の内容前記認定事実イ(イ)で認定した本件委託契約書の内容によれば,本件委託契約は,原告が代行店に対し,その契約期間中,原告の業務である修理業務及びそれに付帯する業務を委託するというものであり,継続的な業務委託についての基本契約に当たるものと解される。他方,原告と本件委託契約を締結した個人代行店におい 契約期間中,原告の業務である修理業務及びそれに付帯する業務を委託するというものであり,継続的な業務委託についての基本契約に当たるものと解される。他方,原告と本件委託契約を締結した個人代行店において,本件委託契約が上記の内容のものと異なる契約であるとの認識を有していることを認めるに足りる証拠はない。 ウ被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イの(ア)~(カ)で主張する事由が個人代行店の労組法上の労働者性を根拠付けるものであると主張するので,以下個別に検討する。 (ア) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ア)のa~cの事実関係を挙げて,個人代行店が原告の従業員とともに,原告の主要業務の一つである修理業務にとって不可欠な労働力として,恒常的に原告の企業組織に組み込まれて労務を提供していると主張する。 a 同aの事実関係について 本件委託契約は,原告の業務である修理業務のうち原告の修理担当従業員だけではまかなえない部分を代行店に業務委託するものであり,代行店が原告から委託を受けて行う修理業務は本来原告の修理業務であって,代行店が処理した修理業務の成果はそのまま原告の修理業務の成果となる関係にある。したがって,代行店が本件委託契約に基づいて処理する修理業務が原告の業務計画を構成する一部分となること,及び,代行店が処理した修理業務に係る売上げが原告の経営計画を構成する一部分となることは,本件委託契約及びその業務の内容上当然のことである。 そして,上記の関係は,代行店が原告との間で本件委託契約関係を継続する限り続くものである。以上の状態のみをもって,代行店が原告の企業組織の一部を構成するものとして位置付けられる存在であるということはできず,これを代行店が原告の企業組織に組み込まれていると表現 する限り続くものである。以上の状態のみをもって,代行店が原告の企業組織の一部を構成するものとして位置付けられる存在であるということはできず,これを代行店が原告の企業組織に組み込まれていると表現するのは適切とはいえない。 b 同bの事実関係について前記認定事実のウ(エ),オ及びカ(ア)によれば,個人代行店について上記事実関係(ただし,原告が個人代行店を原告の組織の一員として扱っていることを除く。)が認められる。しかし,上記事実関係は,個人代行店が修理業務を行う際の顧客との対応関係に係るものであるところ,このような対応関係は,個人代行店が原告から委託を受けて行う修理業務が原告が顧客から依頼された修理業務であることから,顧客との関係において原告による修理が行われていることを示すための措置を講じているものであると考えられ,このうち原告名義の領収書等を用いることについては,本件委託契約書及び覚書において約定事項にもなっている(前記認定事実イの(イ)及び(ウ))。したがって,上記事実関係から直ちに原告が個人代行店を原告の組織の一員として扱っているとみることはできず,上記事実関係をもって代行店が原告の企業組織に組み込まれ ていると表現するのは適切とはいえない。 c 同cの事実関係について前記認定事実のイ(ア)及びキによれば,上記事実関係が認められる。 しかし,代行店が原告から委託を受けて行う修理業務は原告が顧客から依頼された修理業務であるから,代行店が修理業務を行うに当たっては,その質及び水準が原告による修理業務の質及び水準に相応するものであることが要請されるというべきである。そのために,原告は,代行店になる者について,原告による研修を受け,これを了することを要件とし(前記認定事実イ(ア)) よる修理業務の質及び水準に相応するものであることが要請されるというべきである。そのために,原告は,代行店になる者について,原告による研修を受け,これを了することを要件とし(前記認定事実イ(ア)),本件委託契約でも,代行店に対し,修理業務の実施に際して原告が定める品質基準を守り適正な処理を行うこと(本件委託契約書5条)及び修理業務遂行に必要な技術力を保有すること(同10条1号)を求めているのであり(前提事実イ(イ)),上記事実関係にある原告の代行店に対する対応は,以上の要請事項を確保するためのものと解するのが相当である。そうすると,上記事実関係をもって,代行店が原告の企業組織の一部として位置付けられる存在であるということはできない。 d 以上によれば,上記各事実関係は,前記(1)で述べた労組法上の労働者性を基礎付けるに足りるような個人代行店の企業組織への組込みを根拠付けるものであるとはいえず,被告の上記主張は採用することができない。 (イ) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(イ)のa~cの事実関係を挙げて,個人代行店の修理業務の内容が原告により一方的に決定されており,この点は,個人代行店について労組法上の労働者性を判断する上で重要な要素であると主張する。 前記認定事実イ(イ)によれば,本件委託契約は,個人代行店に限らず,法人等代行店についても,原告が作成した統一書式の本件委託契約書及び 委託料等に関する覚書を取り交わして締結されていることが認められる。 この事実は,原告と代行店が,無料修理に係る委託料,業務担当地域の割り振りを含む本件委託契約書における約定及び覚書に記載の委託料等に関する事項について合意したことを示すものであり,他方,代行店が原告から当該内容の本件委託契約の締結を強制されたな ,業務担当地域の割り振りを含む本件委託契約書における約定及び覚書に記載の委託料等に関する事項について合意したことを示すものであり,他方,代行店が原告から当該内容の本件委託契約の締結を強制されたなどの特段の事情の存在はうかがわれない。そうすると,本件委託契約書及び覚書のいずれもが原告において作成したものであったとしても,これについて代行店が合意しており,その意思が反映されたものとなっている以上,本件委託契約の内容及びそれに基づく修理業務の内容が原告により一方的に決定されたものということはできない。 また,甲6,乙47,135及び149によれば,本件委託契約締結後,原告の申入れにより委託料の変更及び一部の個人代行店について業務担当地域が変更されている事例があるが,これらの変更は,それぞれ代行店の同意を得て行われていることが認められる(なお,Lの陳述書(乙76)及び府労委の審問における供述(乙149)には,個人代行店の業務担当地域の変更が原告の指示や都合により一方的に決定されている旨述べる部分があるが,前掲証拠に照らし,採用することができない。)。 以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)のa~fの事実関係を挙げて,個人代行店が原告による指揮監督を受けて出張修理業務を行っていると評価できる旨主張する。 a 個人代行店が従事する出張修理業務の実際の態様等は,前記認定事実ウのとおりである。 b 前記認定事実ウ(ア)によれば,出張修理業務について,個人代行店の1日の受注可能件数の目安が8件と定められているのは,原告において個人代行店の出張修理の実績を基にした出張修理業務に要する時間等を 考慮したものであるが,この受注可能 業務について,個人代行店の1日の受注可能件数の目安が8件と定められているのは,原告において個人代行店の出張修理の実績を基にした出張修理業務に要する時間等を 考慮したものであるが,この受注可能件数は,個人代行店が変更を申し出ることにより,当該届出をした個人代行店の業務担当地域における出張修理業務の遂行に支障のない限り,その内容で変更されていること,上記支障がある場合には,原告のコールセンター長から当該届出の内容の変更が申し入れられ,当該個人代行店と同センター長とが協議を行って当該届出に係る変更の成否を決めていることが認められる。そうすると,被告が前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)aで主張する個人代行店の業務量が原告により決められていたとの事実関係は,認めることができない。 また,被告は,個人代行店は,特段の事由のない限り,原告が各個人代行店に割り振った出張修理業務を拒否できないとも主張する。確かに,前記認定事実ウ(ウ)のとおり,個人代行店は,特別の事情のない限り,原告により割り振られた出張修理業務を拒むことができないこととされていることが認められる。しかし,他方,前記認定の本件委託契約の内容及び前記認定事実ウの(ア)~(ウ)によれば,本件委託契約を締結した個人代行店は,あらかじめその営業日,営業日における業務時間及び受注可能件数を設定し,原告は,個人代行店が設定した上記各事項の枠内で,顧客から受注した出張修理業務を出張訪問カードを使って個人代行店に発注していることが認められる。この事実関係は,出張修理業務について,個人代行店が営業日,営業日における業務時間,受注可能件数を提示し,原告が当該提示内容に合わせて発注していることを示しているものであり,そうすると,個人代行店が特別の事情がない限り原告からの発注を 個人代行店が営業日,営業日における業務時間,受注可能件数を提示し,原告が当該提示内容に合わせて発注していることを示しているものであり,そうすると,個人代行店が特別の事情がない限り原告からの発注を拒めないのは,個人代行店が提示している受注枠内の発注がされていることによるものと解されるのであり,個人代行店に受注の諾否の自由がないことによるものとはいえない。 以上によれば,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)aで主張され ている事実関係は,出張修理業務について個人代行店が原告から指揮監督を受けていることを認め得る根拠事実となるものではない。 c 前記認定事実ウの(ウ)及び(オ)によれば,個人代行店のうち出張訪問カードに関する処理をファックスやISDN回線を通じた通信により行っている一部の個人代行店を除く者は,その営業日に,各業務担当地域に設置されたサービスセンターにあるパソコンを使って出張訪問カードを打ち出すなどしてその日の出張修理業務の内容を確認するために,午前9時ころまでに同センターに出向き,また,その日の出張修理業務が終了した後,伝票類の処理や出張訪問カードに修理業務の進捗状況等を記入するために同センターに戻っていることが認められる。しかし,他方,前記認定事実ウ(ウ)によれば,個人代行店は,原告の従業員と異なり,原告の就業規則の適用がなく,出勤義務はなく,出退勤管理もされていないこと,上記一部の個人代行店は,その余の個人代行店が営業日に行っている上記の作業のために,同センターに出向くことはないことが認められる。 以上の認定事実によれば,上記一部の個人代行店は,出張修理業務に関して,被告が主張する態様の時間的拘束を受けているとはいえないし,その余の個人代行店が出張修理業務の前後に同センター 。 以上の認定事実によれば,上記一部の個人代行店は,出張修理業務に関して,被告が主張する態様の時間的拘束を受けているとはいえないし,その余の個人代行店が出張修理業務の前後に同センターに行くのは,本件委託契約上の義務ではない上,個人代行店自身が本件委託契約に基づき原告から出張修理業務を受注するについて,また,終了した出張修理業務を報告等するために,便宜上同センターに行っているにすぎないというべきであり,上記一部の個人代行店と同様に,出張修理業務に関して,被告が主張する態様の時間的拘束を受けているとはいえない。 したがって,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)bで主張されている事実関係は,出張修理業務について個人代行店が原告から指揮監督を受けていることを認め得る根拠事実となるものではない。 d 前記認定事実ウ(ア)によれば,個人代行店の休業日は,同認定の手続により決まることが認められる。この認定事実によれば,個人代行店の休業日は,個人代行店が自ら設定しているものということができる。 以上によれば,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)cで主張されている事実関係は,出張修理業務について個人代行店が原告から指揮監督を受けていることを認め得る根拠事実となるものではない。 e 前記認定事実イの(イ)及び(カ)によれば,出張修理業務に係る個人代行店の業務担当地域は,本件委託契約上,原告において指定し,変更することができるものとされていること,個人代行店の所在地を考慮しつつ,他の個人代行店の業務担当地域となるべく重複しないように割り振られていることが認められる。 本件委託契約において出張修理業務に係る個人代行店の業務担当地域を原告が指定し,変更することができるという点 の業務担当地域となるべく重複しないように割り振られていることが認められる。 本件委託契約において出張修理業務に係る個人代行店の業務担当地域を原告が指定し,変更することができるという点は,原告が個人代行店の出張修理業務の活動範囲を限定するものである。しかし,代行店制度は,原告が顧客から受注する出張修理業務のうちその修理担当従業員でまかなえない部分を代行店に外注するというものであるから,代行店が希望する業務担当地域が原告において代行店を必要としない地域であれば,原告は当該代行店と本件委託契約を締結する必要がないものである。 他方,代行店にとっても,業務担当地域が特定されることにより原告から発注される出張修理業務の地域的範囲が明確になる。原告が個人代行店の業務担当地域を指定し,変更することができるとされている趣旨は,以上の点を考慮し,出張修理業務を円滑に行うために,バランスよく代行店を配置することにあると考えられるのであり,個人代行店の業務担当地域は,原告において代行店を必要とする地域と代行店の所在地との相互関係により規整され,原告においても,自由にその指定又は変更ができるというものではないと解される。そうすると,個人代行店の業務 担当地域の指定,変更が原告に任されるのは,代行店制度上,当然に予定されたものというべきものであり,出張修理業務に関して個人代行店を場所的に拘束しているというのは相当でない。 以上によれば,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(ウ)dで主張されている事実関係は,出張修理業務について個人代行店が原告から指揮監督を受けていることを認め得る根拠事実となるものではない。 f 前記認定事実ウの(ウ)及び(オ)によれば,個人代行店は,営業日ごとに,原告が作成する出張訪問カードにより個別の 原告から指揮監督を受けていることを認め得る根拠事実となるものではない。 f 前記認定事実ウの(ウ)及び(オ)によれば,個人代行店は,営業日ごとに,原告が作成する出張訪問カードにより個別の出張修理業務を受注していること,顧客から代理受領した修理代金を修理日の翌日に原告に入金することとされ,入金が遅れた場合には遅延理由書を提出しなければならないことが認められ,また,前記認定事実イ(イ)によれば,個人代行店は,修理代金の回収又は入金処理に当たり例外的な事項が発生した場合には,原告の指示を受けるものとされていることが認められる。 しかし,上記認定事実のうち出張訪問カードに関することについては,前記認定事実ウ(ウ)によれば,原告は,個人代行店に対し,本件委託契約に基づく個別の出張修理業務の発注を出張訪問カードにより行い,これにより個人代行店は当該発注に係る個別の出張修理業務を受注していることが認められるのであり,原告における出張訪問カードの作成及び個人代行店に対するその提示は,個別の出張修理業務を発注するための手続として行われているものであって,これにより,個人代行店に対する指揮監督上の出張修理業務の指示とみることはできない。 次に,上記認定事実のうち個人代行店の修理代金の入金処理に関することについては,本件委託契約の約定事項の一つであり(本件委託契約書3条(2)),個人代行店が代行店になるに当たって受託業務事務の一つとして合意している事項である。そして,入金が遅れた場合の遅延理由書の提出は,同事務のうち入金処理が遅れた場合のものとして行われ ているものと認められ,個人代行店が同書類の提出を求められることについて,上記受託業務事務の適切な履行の確保の趣旨を超えて,原告による労務管理上の指揮監督であると 遅れた場合のものとして行われ ているものと認められ,個人代行店が同書類の提出を求められることについて,上記受託業務事務の適切な履行の確保の趣旨を超えて,原告による労務管理上の指揮監督であると評価し得る事情はうかがえない。 最後に,上記認定事実のうち個人代行店が修理代金の回収又は入金処理に当たり例外的な事項が発生した場合に原告の指示を受けるものとされていることについては,これも本件委託契約の約定事項の一つである(本件委託契約書3条(4))ところ,これは,修理代金の回収及び入金処理が原告と顧客との間の修理依頼により生ずる法律関係の中で重要な事柄であることからすると,その処理に関して想定外の事態が生じた場合に原告が実質的に関与できるようにしておく必要性を考慮して定められたものと考えられる。そうすると,上記約定による原告の指示は,例外的事象が生じた場合の対処方法を定めるものであり,個人代行店に対する労務管理上の指揮監督とは異質なものというべきである。 g 前記認定事実オによれば,原告は,A作成のサービスマニュアル(乙115の1・2),「サービスマン接客マナーの基本事項」が記載された冊子(乙81)及びA作成の企業行動基準(乙74)を,原告の従業員と同様に,代行店に配布していること,上記各配布物のうちサービスマニュアルは,A製品の機種ごとに商品固有のサービス事項,分解方法,調整方法,修理の手引等が記載されているものであり,その余のものは,従業員の行動基準や出張修理業務担当者の接客の心得等が記載されているものであることが認められる。 代行店が原告から委託を受けて行う修理業務は,原告が顧客から依頼された修理業務であるから,代行店が修理業務を行うに当たっては,接客を含めて代行店の行う修理業務の質及び水準が原告 れる。 代行店が原告から委託を受けて行う修理業務は,原告が顧客から依頼された修理業務であるから,代行店が修理業務を行うに当たっては,接客を含めて代行店の行う修理業務の質及び水準が原告による修理業務の質及び水準に相応するものであることが要請されること,そのために,原告は,原告による研修を了した者のみとの間で本件委託契約を締結す ることとしており,修理業務の実施に際しては原告の定める品質基準を守り適正な修理を行うことや修理業務遂行に必要な技術力を保有することを本件委託契約における約定としていることは,上記(ア)cで説示したとおりである。以上のことからすると,原告の代行店に対する上記各配布物の配布は,上述の修理業務の品質保持の観点から行われているものと解されるのであり,代行店に対する労務管理上の指揮監督に当たるものとはいい難い。 h 以上a~gによれば,被告の上記主張は採用することができず,本件全証拠によっても,原告と個人代行店との間において本件委託契約の内容及びそれに基づく業務の性質上当然に必要と考えられるものを超えた労務管理上の個別的,具体的な指揮監督とみることのできる事情等はうかがえない。 (エ) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(エ)のa~cの事実関係を挙げて,本件委託契約における個人代行店の報酬は,出来高払制であるものの,労務提供の結果に対する対価というよりは,労務提供そのものに対する対価としての性格を有している旨主張する。 しかし,本件委託契約に基づく代行店の報酬の内容は,前記認定事実のイ(ウ)~(オ)及びク(ア)で認定したとおり,委託料として支払われるものであるところ,同認定事実によれば,委託料の最低保証はなく,有料修理の場合の委託料の額は,原告が定めた修理料金規程( 定事実のイ(ウ)~(オ)及びク(ア)で認定したとおり,委託料として支払われるものであるところ,同認定事実によれば,委託料の最低保証はなく,有料修理の場合の委託料の額は,原告が定めた修理料金規程(民生用機器修理技術料金基準)に基づいて,出張工料及び持込工料それぞれについて定める同規程記載の修理料金の一定割合に相当する額とされており,また,無料修理の場合の委託料は,原告が別に定める工料の額から一定の計算をした額とされており,その算定方法はいわゆる出来高払方式である。そして,この方式によると,修理する機器が同じものであれば,修理に掛かる時間の長短にかかわらず,委託料も同じであり,修理する機器が異なれば,修理 に掛かる時間が同じであっても,委託料は異なることになる。また,代行店は,修理をした際に使用した部品の代金の2%に当たる金員が委託料として支払われるほか,代行店が原告の開発商品を販売したり,物件を紹介した場合には,開発商品拡売料の一定割合の額及び物件紹介に係る粗利益の一定割合の額も委託料として支払われるところ,これらの委託料は,当該委託料の発生原因となる部品の売上げ,開発商品の販売,物件の紹介という成果があって初めて発生するものである。そして,甲1及び乙135によれば,以上の各内容の委託料からなる個人代行店の報酬は,出張修理業務を担当する原告の従業員の報酬体系と全く異なるものであることが認められる。 以上のような内容の本件委託契約に基づく委託料は,正に当該修理業務等を完了した結果に対する対価としての性質を有するものというべきであり,労務の提供そのものに対する対価としての性格は希薄であるといわざるを得ない。 他に,本件全証拠によっても,本件委託契約における個人代行店の委託料について,労務提供に対する対価の性 あり,労務の提供そのものに対する対価としての性格は希薄であるといわざるを得ない。 他に,本件全証拠によっても,本件委託契約における個人代行店の委託料について,労務提供に対する対価の性格を持つことを認め得る事情をうかがわせるものはない。 (オ) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(オ)の事実関係から,個人代行店はその営業日における業務時間のほとんどを本件委託契約に基づき原告から受注する業務を行うために費やしており,原告への専属性が相当に高い旨主張する。 しかし,事業主と労務提供者との間の専属性は,労働契約特有の性質ではなく,請負,委任その他の契約関係においても認められるものであり,上記専属性は,個人代行店の労組法上の労働者性を決める決定的要因ではない。本件についてみると,本件委託契約は,原告だけから修理業務等を受注することが定められているものではなく,前記認定事実エ(ア)で認定 したとおり,代行店は,他の企業等からも,本件委託契約における修理業務等と同種の業務を受託することは何ら制限されていないのである。代行店の中には,その実態において原告からのみ修理業務を受託している者もあるが,それは,当該代行店が,自己の判断により,原告とだけ本件委託契約を締結し,原告から受注する修理業務のみを行っていることによるものであり,本件委託契約上の制約でも原告からの個別の指示によるものでもない。そして,そのような個人代行店が営業日の業務時間のほとんどを原告から受注した修理業務を行うために使っているのは,顧客が時間を指定して出張修理を依頼したものを原告が受注し,これを原告が当該個人代行店の受注可能時間及び受注可能件数の枠内で割り振って発注し,個人代行店がその内容で出張修理業務を受注して行っていることの結果にほか 定して出張修理を依頼したものを原告が受注し,これを原告が当該個人代行店の受注可能時間及び受注可能件数の枠内で割り振って発注し,個人代行店がその内容で出張修理業務を受注して行っていることの結果にほかならず,これをもって個人代行店が原告との関係において労組法上の労働者であることを根拠付け得る専属性を有するものとみることはできない。 以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。 (カ) 被告は,前記第2の3(1)【被告の主張】イ(カ)のa~cの事実関係は個人代行店の労働者性を補強するものである旨主張する。 前記認定事実のウ(ウ),カ(イ)及びク(ウ)並びに乙135によれば,上記事実関係を認めることができる。 しかし,上記事実関係のうち個人代行店がサービスセンター内のパソコン等を使用していることについては,前記認定事実ウの(ウ)及び(オ)により認められる個人代行店の出張修理業務受注手続及び同業務終了後の事務処理手続に照らすと,原告の個人代行店に対する便宜供与として使用が認められているものと認めるのが相当であり,個人代行店の労組法上の労働者性を積極的に根拠付ける事実関係とはいえない。 次に,上記事実関係のうち原告が個人代行店に対して修理業務で使う特殊で高価な機器を無償で貸与していたことについては,甲1によれば,オ シロスコープ,絶縁抵抗計,デジタルマルチメーター及び電界強度計が上記の特殊で高価な機器に当たること,これらの機器の使用頻度は高くなく,個人代行店がこれを具備するには経済的な負担が掛かること,修理業務の品質保持のため,これらの機器の精度を一定のものに維持しておく必要があるところ,原告が精度維持を担うのが相当であることから,これらの機器を原告が備え,必要に応じて個人代行店に 掛かること,修理業務の品質保持のため,これらの機器の精度を一定のものに維持しておく必要があるところ,原告が精度維持を担うのが相当であることから,これらの機器を原告が備え,必要に応じて個人代行店に貸与していることが認められる。以上の認定事実によると,これらの機器の貸与は,個人代行店が修理業務を行うについての便宜供与として行われているものと認めるのが相当であり,個人代行店の労組法上の労働者性を積極的に根拠付ける事実関係とはいえない。 最後に,上記事実関係のうち原告が個人代行店に対して自動車保険や所得補償保険に加入することを義務付けていることについては,本件委託契約の約定とされているものであり(本件委託契約書第10条),原告が一方的に義務付けたものではなく,個人代行店が同意している事項である。 そして,原告が個人代行店に対して上記各保険に加入することを求めることは,その内容に照らして,労務管理上の指揮監督とは異質のものというべきものである。したがって,上記の事実関係も,個人代行店の労組法上の労働者性を積極的に根拠付ける事実関係とはいえない。 (キ) 以上(ア)~(カ)の検討によれば,被告が主張する事実関係等は,いずれも個人代行店について,労組法上の労働者性を根拠付けるものとはいえない。これに対し,個人代行店について,① 独立自営を目的として本件委託契約を締結する要件とされている研修を受けることとされていること(前記認定事実キ(ア)),② 個人代行店は,本件委託契約上,同契約を締結していない第三者に対して原告から受注した修理業務を再委託することを禁止されているが(本件委託契約書11条(1)。前記認定事実イ(イ)),同契約を締結している他の代行店には再委託することを禁止され ておらず(乙150,151),この点は,個人 再委託することを禁止されているが(本件委託契約書11条(1)。前記認定事実イ(イ)),同契約を締結している他の代行店には再委託することを禁止され ておらず(乙150,151),この点は,個人代行店が原告から受注した修理業務を必ずしも自ら行う必要がないことを意味するのであり,労働力の処分権を使用者に委ねるという労働契約関係における本質的な要素とは相容れないものであるといえること,③ 個人代行店の修理等業務に係る委託料の支払関係は,委託料について源泉徴収及び社会保険料等の控除がされておらず,委託料全額とこれに対する消費税を加えたものが支払われていること(前記認定事実ク(ア)),④ 個人代行店は,自営業者としての営業届を提出するものとされ,その税務申告は,個人事業者として行われており,原告のG支社における個人代行店の半数近くの者は,個人事業者が利用できる青色申告の承認を得ていること(前記認定事実ク(イ)),⑤ 個人代行店は,その出張修理業務を行うについて,自ら所有する自動車を使い,当該自動車に係るガソリン代等の諸費用を自ら負担していること(前記認定事実カ(エ)),以上の事実関係が認められるところ,これらの事実関係は,個人代行店が,独立の事業者としての実態を備え,その立場で原告と本件委託契約を締結して出張修理業務を行っていることを根拠付けるものである。 (ク) 以上によれば,本件委託契約の内容及びそれに基づく個人代行店の労務提供の実態からみて,個人代行店がその労働条件等について原告から現実的かつ具体的に支配,決定されている地位にあるとはいえないし,また,個人代行店が本件委託契約に基づき得る収入が,その労務提供の対価であると認めることもできない。したがって,個人代行店が,原告との関係において,労組法上の労働者に当たる者と認める はいえないし,また,個人代行店が本件委託契約に基づき得る収入が,その労務提供の対価であると認めることもできない。したがって,個人代行店が,原告との関係において,労組法上の労働者に当たる者と認めることはできない。 2 争点②(本件団交申入れに対する原告の対応は団体交渉を正当な理由がなく拒むものであるか。)について上記1で説示したとおり,個人代行店が原告との関係において労組法上の労働者に当たる者であることを認めることはできないから,その待遇の改善を求 める本件団交申入れは,いわゆる義務的団交事項について団体交渉を求めるものであるとはいえない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件団交申入れに応じない原告の対応が不当労働行為に当たるとし,原告の再審査の申立てを棄却した本件命令は違法であるというべきである。第4 結論以上によれば,原告の本件請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部 裁判長裁判官青野洋士 裁判官松本真 裁判官武智舞子
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