【DRY-RUN】主 文 本件控訴はこれを棄却する。 理 由 弁護人の控訴の趣意第一点について、 論旨は、原判決は被告人がAから買い受けた物品は同人が税関の許可を受けず駐 留
主文 本件控訴はこれを棄却する。 理由 弁護人の控訴の趣意第一点について、論旨は、原判決は被告人がAから買い受けた物品は同人が税関の許可を受けず駐留米軍兵士から関税免除品を日本国内において譲り受けたもの、すなわち不正の行為により関税を納付しないで輸入したものと認定し、被告人の所為を関税法第百十条第一項、第百十二条第一項に該当するものとしている。しかしながら、右関税免除品の譲受については、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(以下単に臨時特例法と略称する。)第十二条の規定によつて税関に申告してその許可を受けなければならないのであるから、その申告許可なくして駐留米軍兵士から右物件を譲り受けたものは関税法第百十一条に該当し、したがつて被告人の所為は同法第百十二条第三項に該当するものと解すべきにかかわらず、原判決がこれを同法第百十二条第一項に問擬したのは法令の適用を誤つたもので、この誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであるから破棄を免れない。というのである。よつて按ずるに、被告人がAから買い受けた本件物品が前記臨時特例法第六条に規定する関税を免除された物品であることは記録上疑のないところであつて、同法第十二条によれば合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関、軍人用販売機関等、合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族及び契約者等以外の者(以下合衆国軍隊その他特定関係者以外の者と略称する。)が同法第六条の規定の適用を受けた物品の譲受を日本国内においてしょうとするときは当該譲受を輸入とみなし、関税法及び関税定率法の規定を適用する旨を定められ、一方右物品の譲渡をなす側に対しては、同法第十一条により合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族 おいてしょうとするときは当該譲受を輸入とみなし、関税法及び関税定率法の規定を適用する旨を定められ、一方右物品の譲渡をなす側に対しては、同法第十一条により合衆国軍隊の構成員、軍属、これらの者の家族若しくは契約者等又はこれらの者であつた者が同法第六条の規定の適用を受けた物品を日本国内において合衆国軍隊その他特定関係者以外の者に譲渡をしょうとするときは政令で定めるところにより税関に申告し、当該物品の検査を経て譲渡の許可を受けなければならないものとされ、かつ右の許可を受けないで物品の譲渡をし又はしょうとした者については関税法第百十一条の規定を準用し、この場合においては同条中「輸入」とあるのは「譲渡」と読み替えるものとする旨が定められているところよりすれば、前記Aが税関の許可を受けず駐留軍兵士から関税免除品を日本国内において譲受けた所為をその譲受の点のみに着目すれば右はまさに所論のごとく関税法第百十一条に該当するものといわなければならない。しかしながら、右Aが税関の許可を受けず駐留米軍兵士から関税免除品を日本国内において譲り受け、もつて不正の行為により関税を納付しないでこれを輸入した点に着目すれば右は、すなわち、詐欺その他不正の行為によつて関税を免れたものに該当し、関税法第百十条<要旨第一>第一項第一号前段に該当するものといわなければならない。所論は、この点に関し、右関税法第百十条第一項</要旨第一>第一号前段は詐欺行為等積極的行為によつて関税を免れた者を対象としたものと解すべきであり、本件はこれに該当しないと主張するけれども、右は所論のごとき詐欺行為等積極的行為による場合のみならず、輸入申告をしないで有税品を直接陸揚して密輸入し、若しくは、本件のごとく、税関の許可を受けないで関税免除品を駐留米軍兵士から日本国内において譲り受けて関税の賦課決 為等積極的行為による場合のみならず、輸入申告をしないで有税品を直接陸揚して密輸入し、若しくは、本件のごとく、税関の許可を受けないで関税免除品を駐留米軍兵士から日本国内において譲り受けて関税の賦課決定を不能ならしめる場合等にもその適用があるも<要旨第二>のと解するを相当とする。されば所論Aが税関の許可を受けず駐留米軍兵士から関税免除品を日本国内</要旨第二>において譲り受け、もつて不正の行為により関税を納付しないで輸入した所為は、一面において関税法第百十一条第一項に該当するとともに、他面において同法第百十条第一項第一号に該当するものというべく、したがつてAから右違反に係る物品をその情を知りながら買い受けて取得した被告人の所為は一面において同法第百十二条第三項に該当するとともに、他面において同法第百十二条第一項に該当し、右は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五十四条第一項前段、第十条により重い関税法第百十二条第一項の刑に従い処断すべきものといわなければならない、してみると、原判決が、被告人の所為につき所論のごとく関税法第百十条第一項、第百十二条第一項を適用処断したのは結局において相当であつて、原判決には何ら所論のごとき判決に影響を及ぼすべき法令適用の誤があるものということはできない。畢竟論旨は理由がない。 (その他の判決理由は省略する。)(裁判長判事花輪三次郎判事山本長次判事下関忠義)
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