平成23(行コ)148 差押処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成21年(行ウ)第301号)

裁判年月日・裁判所
平成23年10月26日 東京高等裁判所 租税
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判決文本文3,346 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 原判決別紙1処分部分目録記載の各処分部分(総額4197万7446円に係る部分)をいずれも取り消す。 3 処分行政庁が控訴人に対し,平成19年6月29日付けでした原判決別紙2物件目録記載の各土地(以下「本件各不動産」という。)の差押処分を取り消す。 4 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件の事案の概要(関係法令,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張の要旨を含む。)は,下記2に控訴人の当審における主張を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」(原判決2頁4行目から同17頁18行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 原審が控訴人の本件訴えのうち,原判決別紙1処分部分目録記載の各処分(本件各督促処分)の取消請求に係る訴えをいずれも却下し,その余の請求を棄却したことから,控訴人が控訴(本件各督促処分の取消し請求を求める部分については上記第1の2のとおり)をした。 2 控訴人の当審における主張次の事情によれば,本件各督促処分及び本件差押処分は,徴収権を濫用するものであり,また,信義則に違反する。 (1) 本件第2次物納申請に係る財産のうち,原判決別紙2財産目録2記載1の不動産(以下「α物件」という。)は,国道に接したほぼ正方形の土地であり,平成11年10月1日に売却されていることからしても,境界を確定して処分することが可能な物件であったのに,豊島税務署長は,これを管理又は処分するのに不適当な財産であると判断し,滞納者に対して物納財産の変更要求をしてα物件に係る物納申 ことからしても,境界を確定して処分することが可能な物件であったのに,豊島税務署長は,これを管理又は処分するのに不適当な財産であると判断し,滞納者に対して物納財産の変更要求をしてα物件に係る物納申請を取り下げさせる一方,物納が困難な上記財産目録2記載3ないし6の各不動産(本件第2次物納申請物件)に変更させ,本件の滞納処理を長期化させた。 (2) 豊島税務署長らは,滞納者本人,本件第1次物納申請の代理権しか有していなかった滞納者代理人弁護士,不動産鑑定士等との間で,本件各物納申請について,実現性の乏しい接触を繰り返すことに長期間を費やした。 (3) 処分行政庁は,滞納者が,平成13年11月には物納申請物件に根抵当権の設定登記をしたり,平成14年1月には破産宣告を受けるなど,本件の物納に大きな障害を抱えていることを知っていた。 (4) 処分行政庁が平成17年5月30日にした物納申請の却下処分は,上記の緩慢な事務を経てされたものであり,そのために生じた物納申請財産の価値の劣化や膨大な延滞税の不利益を連帯納付義務者である控訴人らが課されている。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の本件訴えのうち,本件各督促処分の一部取消しの訴えはいずれも不適法であり,本件差押処分の取消しを求める請求は理由がないと判断する。その理由は,下記2に控訴人の当審における主張に対する判断を加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判 所の判断」の1項及び2項(原判決17頁20行目から同35頁16行目まで。ただし,原判決22頁20行目の「相続法」を「相続税法」に改める。)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人の当審の主張に対する判断控訴人は,本件各督促処分及び本件差押処分が徴収権を濫用するものであり,また 相続法」を「相続税法」に改める。)に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴人の当審の主張に対する判断控訴人は,本件各督促処分及び本件差押処分が徴収権を濫用するものであり,また,信義則に違反すると主張するので検討する。 (1) 前提事実及び証拠(乙37)によれば,豊島税務署の担当者は,平成11年6月24日及び同年7月1日,滞納者及び滞納者が依頼した不動産鑑定士から,α物件について,隣接地との境界線について争いが起きており,境界確定には訴訟等によるしか方法がなく,確定できるまでに時間がどれ位かかるか不明であるので,他の物件に変更することで物納申請を継続したい旨の申出を受けたこと,上記担当者が同年8月25日にα物件の現地確認を行い,豊島税務署長は,同年9月29日,隣接地との境界線が明確でなく,隣接地主から境界線に異議のない旨の了解が得られないため,α物件が管理又は処分をするのに不適当な財産であるとして,滞納者に対して「相続税物納財産変更要求決議書」を送付したこと,これを受けて,滞納者は,同年10月19日,同税務署長に対し,α物件の物納申請を取り下げ,本件第2次物納申請物件に物納申請を変更したことが認められる。控訴人は,α物件が境界を確定して処分することが可能であったと主張するが,α物件がほぼ正方形の形状であり(甲24),同年10月1日にα物件が売買されたこと(甲23)から,直ちに,α物件の境界が確定していたということはできないから,豊島税務署長の上記変更要求が不合理であるとはいえない。 (2) 原判決が認定した事実及び証拠(甲21,22,37の1及び2,38,乙22,23,37)によれば,処分行政庁等が滞納者(又は滞 納者代理人弁護士)と交渉を重ねたことが認められるが,これについて格別不合理な点があるという (甲21,22,37の1及び2,38,乙22,23,37)によれば,処分行政庁等が滞納者(又は滞 納者代理人弁護士)と交渉を重ねたことが認められるが,これについて格別不合理な点があるということができないことは原判決(「事実及び理由」欄の第3の2(3)ウ)が認定,説示するとおりである。控訴人は,神毅弁護士が本件第1次物納申請の代理権しか有していなかった旨主張するが,同弁護士が滞納者から本件第2次物納申請について委任を受けていなかったとしても,同弁護士は,本件第2次物納申請についても,滞納者のために事実上その代理人と同様に行動していたことを自認していることや,滞納者も同弁護士の行動を認めていたこと(上記書証等)に照らすと,豊島税務署長等が同弁護士を滞納者代理人と認めて交渉を継続したことが,不合理であるということはできない。 (3) 原判決が認定した事実及び証拠(乙23)によれば,滞納者は,平成13年11月29日に本件各物納申請に係る一部の不動産について根抵当権の設定登記をし,平成14年1月23日に破産宣告を受けたものの,本件各物納申請に係る不動産は,破産管財人によって換価されることなく破産手続が廃止され,滞納者は,平成16年4月1日,滞納者代理人弁護士を通じて,物納申請を維持し根抵当権等の抹消をするとの申出をしたことが認められるのであって,処分行政庁において,控訴人の主張する事情により直ちに物納上の大きな障害であると判断しなかったことが不合理であるということはできない。 (4) また,本件全証拠によっても,処分行政庁が控訴人に対して控訴人の信頼の対象となる公的見解を表示したり,控訴人がその表示を信頼しそれに基づいて行動したという事情はうかがえない。 そうすると,処分行政庁が平成17年5月30日にした本件第1次物件申請及び第 訴人の信頼の対象となる公的見解を表示したり,控訴人がその表示を信頼しそれに基づいて行動したという事情はうかがえない。 そうすると,処分行政庁が平成17年5月30日にした本件第1次物件申請及び第2次物納申請を却下するに至った経過などをもって,徴収権の濫用があるとも,信義則に反するものであるとも認めることはできない。 控訴人の当審における主張は採用することができない。 3 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第9民事部 裁判長裁判官下田文男 裁判官綿引 穣 裁判官北澤純一

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