平成25(ワ)24622 貸金等請求事件(分離後の損害賠償請求関係)

裁判年月日・裁判所
平成27年1月29日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-84828.txt

キーワード

判決文本文4,536 文字)

- 1 -平成27年1月29日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成25年(ワ)第24622号貸金等請求事件(分離後の損害賠償請求関係)口頭弁論終結日平成26年12月11日判決 東京都千代田区<以下略>原告X同訴訟代理人弁護士寒河江 孝 允 東京都港区<以下略>被告株式会社政界往来社 同訴訟代理人弁護士寺島 哲 中村安利 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成26年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,原告が,被告に対し,被告が原告の有していた商標権を侵害したと主張して,主位的に,商標権侵害の不法行為に基づく平成21年1月1日から平成23年3月13日までの損害賠償金の一部及びこれに対する不法行為の後の日(訴え変更に係る準備書面送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,予備的に,上記期間の商標使用料相当額の不当利得金の一部の支払を求めた事案である(なお,本件は,原告が,被告及び分離前の被告Yに対する貸金等請求訴訟において,上記損害賠償請求を- 2 -追加し,同請求に係る部分の弁論が分離されたものである。)。 1 争いのない事実等(後掲各証拠及び は,原告が,被告及び分離前の被告Yに対する貸金等請求訴訟において,上記損害賠償請求を- 2 -追加し,同請求に係る部分の弁論が分離されたものである。)。 1 争いのない事実等(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実を含む。)(1) 当事者被告は,出版業等を目的とする株式会社である。 原告は,後記(2)アの商標権の商標権者であったものである。 (2) 原告の商標権(甲30,32,33)ア原告は,以下の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件商標」という。)を保有していた。 登録番号第1657797号出願年月日昭和55年2月5日登録年月日昭和59年2月23日商品の区分第16類指定商品雑誌,新聞登録商標別紙商標目録記載のとおりイ被告は,本件商標権に係る商標登録につき商標法50条1項に基づく取消審判請求(取消2011-300188)をし,平成23年3月14日にその旨予告登録された。本件商標権に係る商標登録は,同年8月17日付け審決により取り消され,同審決は同年11月28日に確定した。 (3) 被告の行為被告は,平成21年1月1日から平成23年3月13日までの間,別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章」という。)を,被告会社が発行する,政治に関する論評等を掲載する月刊誌「政界往来」(以下「被告雑誌」という。)に付して使用した。 2 争点に関する当事者の主張本件商標と被告標章が類似すること,被告雑誌が本件商標の指定商品に含ま- 3 -れることには争いがなく,(1) 先使用権の有無,(2) 消滅時効の成否,(3)損害額ないし不当利得額が争点である。 (1) 先使用権の有無(争点1)について 標の指定商品に含ま- 3 -れることには争いがなく,(1) 先使用権の有無,(2) 消滅時効の成否,(3)損害額ないし不当利得額が争点である。 (1) 先使用権の有無(争点1)について(被告の主張)ア被告雑誌は昭和5年創刊の雑誌であり,被告は,本件商標の商標登録出願前から被告雑誌を発行し,被告標章を被告雑誌に使用していた。本件商標の商標登録出願時の被告雑誌の発行部数は7~8万部であり,被告標章は,現に被告雑誌を表示するものとして周知であった。 イ被告は,現在まで,被告標章を被告雑誌に付して使用している。 (原告の主張)ア本件商標の商標登録出願時の被告雑誌の発行部数は,被告が主張するほど多くはなかった。 イ被告雑誌は,昭和60年頃から平成3年頃まで及び平成4年頃から平成20年頃までにおいて,それぞれ数回に渡り発行が半年程度中断していたから,被告は,被告標章を継続して使用していたとはいえない。 (2) 消滅時効の成否(争点2)について(被告の主張)損害の発生から3年の経過により,不法行為に基づく損害賠償請求権は時効により消滅した(民法724条)。 被告は,原告に対し,平成26年8月29日の本件弁論準備手続期日において,上記消滅時効を援用するとの意思表示をした。 (原告の主張)平成23年当時被告の運営責任者であった分離前の被告Yらは,原告の保有する本件商標権を意図的に消滅させることを企て,被告の取締役会の承認決議を得ないで本件商標の商標登録についての取消審判請求をした。被告の行為は会社法の規定に反し,また,信義則に反しており,消滅時効を援用す- 4 -ることは権利の濫用として許されない。 (3) 損害額ないし不当利得額(争点3)について(原告の主張)ア被告雑誌の発行部数は年間1万 また,信義則に反しており,消滅時効を援用す- 4 -ることは権利の濫用として許されない。 (3) 損害額ないし不当利得額(争点3)について(原告の主張)ア被告雑誌の発行部数は年間1万部であり,商標使用料は1部当たり100円が相当であるから,原告は,被告による本件商標権侵害により,219万7260円の損害を被った(商標法38条3項)。 イまた,被告は,本件商標権侵害により,商標使用料相当額である219万7260円を不当に利得している。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 先使用権の有無(争点1)について(1) 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア被告雑誌は,被告の前身である政界往来社により昭和5年に創刊され,昭和26年11月19日に第3種郵便物認可を受け,遅くとも昭和55年1月までに雑誌コードを取得した。被告雑誌は,書店で一般に販売されるほか,定期購読者に郵送販売もされていた。 政界往来社は,昭和27年2月11日に法人化して被告となり,被告は,設立の後平成23年1月頃までの間,「政界往來」ないし「政界往来」の題号を使用して被告雑誌を発行していた。 (乙6,8,10)イ被告は,昭和55年1月1日発行(新年号)及び同年2月1日発行(2月号)の被告雑誌の表紙に,被告雑誌の題号を示すものとして,別紙被告標章目録記載2の「政界往來」の横書きの文字から成る標章(以下「出願時標章」という。)を付していた。 上記新年号には,三越社長のインタビュー記事が掲載された。また,上- 5 -記各号裏表紙全面には松下電器の広告が掲載され,上記2月号には,阪急,京阪電車,協和銀行の広告等も掲載された。 (乙5,8)ウ被告雑誌は,少なくとも平成22年4月から11月までの間は,毎 -記各号裏表紙全面には松下電器の広告が掲載され,上記2月号には,阪急,京阪電車,協和銀行の広告等も掲載された。 (乙5,8)ウ被告雑誌は,少なくとも平成22年4月から11月までの間は,毎月発行されていた。被告は,被告雑誌の表紙に,被告雑誌の題号を示すものとして,被告標章を付していた。上記各誌の裏表紙全面にはサントリー株式会社,住友不動産株式会社やトヨタ自動車株式会社の広告が掲載された。 (甲34~38の各1~3,乙2の1~8)(2) 以上を前提に被告の先使用権の有無を判断する。 ア上記(1)によれば,本件商標の商標登録出願時までに,「政界往來」の題号の被告雑誌の創刊から約50年,被告による発行開始から30年近くが経過していること,本件商標の商標登録出願の頃,被告は出願時標章を被告雑誌の題号を示すものとして被告雑誌の表紙に付して使用しており,被告雑誌には複数の大手企業が広告を掲載し,大手デパートの経営者のインタビュー記事も掲載されていることが認められ,これらの事情によれば,出願時標章は,本件商標の商標登録出願の際,出願前からの使用により,被告の業務に係る商品である被告雑誌を表示するものとして,政治関係の雑誌の需要者の間に広く認識されていたとみることができる。 イまた,上記(1)によれば,被告は,本件商標の商標登録出願時から平成23年頃までの間,出願時標章ないし被告標章を被告雑誌に付して使用していたことが認められる。 上記各標章はいずれも一般的な字体の文字のみを横書きに等間隔に配置した標章であること,標章を構成する文字は「政界往來」と「政界往来」で一文字異なるが,「來」は「来」の旧字体であることからすれば,上記各標章は社会通念上同一であると認めるのが相当である。 よって,被告は,出願時標章ないしこれと同一性のある 界往來」と「政界往来」で一文字異なるが,「來」は「来」の旧字体であることからすれば,上記各標章は社会通念上同一であると認めるのが相当である。 よって,被告は,出願時標章ないしこれと同一性のある被告標章を,継- 6 -続して被告雑誌に使用していたものということができる。 ウこれに対し,原告は,① 商標登録出願時の被告雑誌の発行部数は被告の主張より少なく,周知性は認められないこと,② 被告雑誌は,昭和60年頃から平成3年頃まで及び平成4年頃から平成20年頃までに,数回にわたり半年程度発行が中断しており,被告が被告標章を継続して使用していたとはいえないことを主張する。 しかし,①について,被告雑誌の発行部数を示す客観的資料は提出されていないものの,上記アに説示したところによれば,相当程度の発行部数があったと推認することができ,原告の主張は採用できない。 また,②について,原告の主張は中断時期や期間について具体性を欠いている上,被告は本件商標の商標登録出願の時点で30年近くにわたり月刊誌である被告雑誌を発行していたこと,平成22年には少なくとも8か月にわたり被告雑誌が発行され,これらには複数の大手企業の広告が掲載されていたことなどの事情に照らせば,原告の主張するような一時的な休刊があったとしても,出願時標章ないし被告標章の使用の継続性を欠くとして先使用権が否定されることはないと解される。 エ以上によれば,被告には先使用権が認められ,被告による被告標章の使用は原告の本件商標権を侵害するものではない。 (3) したがって,その余の点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。 2 よって,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 なお,原告の平成26年9月5日付け文書提出命令の申立ては必要性がな を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。 よって,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 なお,原告の平成26年9月5日付け文書提出命令の申立ては必要性がないので,これを却下する。 主文 理由 事実 争点 判断 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川浩二 裁判官清野正彦 裁判官髙橋彩

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る