令和5年第1486号、同第1926号建造物侵入幇助、強盗致傷幇助、建造物侵入、強盗被告事件令和6年10月10日千葉地方裁判所刑事第2部判決 主文 被告人を懲役6年6月に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 A及び氏名不詳者らと共謀の上、金品を強取する目的で、令和5年8月12日午後2時6分頃、株式会社B代表取締役Cが看守する埼玉県越谷市(住所省略)所在のD質店店舗内に、同店出入口から侵入し、その頃から同日午後2時9分頃までの間、同所において、同人(当時54歳)らに対し、持っていた包丁を突き付けるなどの脅迫を加え、同人らの反抗を抑圧した上、前記C管理の時計7本等41点(販売価格合計1115万9300円相当)を強取し第2 E、A及び氏名不詳者らが、共謀の上、金品を強取する目的で、同年9月7日午後6時18分頃、千葉県習志野市(住所省略)所在のF質店店長Gが看守する同店店舗に、正面出入口から侵入し、その頃、同所において、同人(当時41歳)及び同店従業員H(当時50歳)に対し、持っていた包丁を突き付け、持っていたハンマーを振り下ろすなどの暴行脅迫を加え、同人らの反抗を抑圧した上、前記G管理の腕時計等合計88点(販売価格合計3934万9900円)を強取し、その際、前記包丁の刃を前記Hの手に接触させ、同人に全治まで約2週間を要する左母指・右中指・右母指切創の傷害を負わせるに当たり、その情を知りながら、これに先立つ同日午前11時54分頃、氏名不詳者らからの依頼を受けて、茨城県取手市(住所省略)所在のI店において、同店からレンタカーを借りた上、 同日午後3時3分頃、千葉県柏市(住所省略)所在のJ駐車場において、前記E及び 、氏名不詳者らからの依頼を受けて、茨城県取手市(住所省略)所在のI店において、同店からレンタカーを借りた上、 同日午後3時3分頃、千葉県柏市(住所省略)所在のJ駐車場において、前記E及びAに前記犯行を行うための交通手段として同レンタカーを引き渡し、もって前記E、A及び氏名不詳者らの前記犯行を容易にさせてこれを幇助したものである。 (量刑の理由)本件は、同一の犯罪組織の下で敢行された建造物侵入、強盗(判示第1。以下「埼玉事件」という。)と建造物侵入幇助、強盗致傷幇助(判示第2。以下「千葉事件」という。)からなる事案である。 いずれの事件も、指示役、実行役、車両調達役等の役割分担がなされ、事前に包丁及びハンマー等の凶器や犯行現場に行く自動車を準備した上、高額な商品がある店舗に侵入し、従業員らに刃物を突き付けたり、ハンマーで店内のショーケースを叩き割って商品を取り出したりして実行されたもので、計画的かつ組織的な犯行であって、その態様は極めて危険で悪質である。 次に、結果についてみると、いずれも、従業員らは、営業時間中、突然包丁等を示されて脅迫を受けるなどしたものであり、殺されるかもしれないなどと思い、強い恐怖心を抱いたというのであって、その精神的苦痛は大きい。さらに、同種事案と比較しても被害額は非常に高額である上、壊されたショーケースの修繕が必要になり、営業にも支障が出るなど、経済的被害も甚大である。また、千葉事件については従業員が全治2週間の傷害を負った上、日常生活にも支障が出るなどしており、身体的被害も軽視できない。被害者らが厳罰を求めているのももっともである。 被告人の関与について検討すると、まず埼玉事件について、被告人は、指示役の指示に従い、凶器等を準備した上、自動車を運転してもう1名の実行役であるAと 被害者らが厳罰を求めているのももっともである。 被告人の関与について検討すると、まず埼玉事件について、被告人は、指示役の指示に従い、凶器等を準備した上、自動車を運転してもう1名の実行役であるAとともに現場に赴き、両名で被害店舗に侵入した後、従業員らに包丁を示して脅迫するとともに、Aが壊したショーケースから商品を奪うなどしたもので、その果たした役割は必要不可欠といえる。指示役の指示に従って実行してはいるものの、犯行状況を撮影した防犯カメラ映像によれば、被告人が店内の状況に応じて臨機応変に 対応していたことが認められ、さらに、Aとのメッセージのやり取り等からすれば被告人に報酬を得る目的が相応にあったことは明らかであるから、一定程度主体的に犯行に及んでいたといえ、弁護人のいうように極めて従属的であったとはいえない。千葉事件における被告人の関与は、自らが借りたレンタカーを実行犯らに提供したというものにとどまるが、実行犯らの犯行及び逃走を容易にしたことは明らかである。この点、弁護人は、被告人は指示役から、金庫番が使用するための自動車を準備してほしいと言われていたため、強盗に使用される可能性は乏しいと考えていたなどと主張するが、そもそも被告人に埼玉事件における強盗を指示した人物の話を被告人が鵜呑みにしたとは考えにくいし、Aとのやり取り等の関係証拠によれば、被告人において、自身が準備したレンタカーが強盗に使用される可能性を十分に認識していたことが優に認められるから、弁護人の主張は採用できない。 動機及び経緯についてみると、被告人は、生活のために借りた消費者金融への借金の返済等に追われていたところ、「闇バイト」などと検索して知り合った指示役からの指示に従って本件各犯行に及んだというのであり、安易で身勝手というほかない。被告人は、実家の住所 りた消費者金融への借金の返済等に追われていたところ、「闇バイト」などと検索して知り合った指示役からの指示に従って本件各犯行に及んだというのであり、安易で身勝手というほかない。被告人は、実家の住所等を把握していた指示役から脅されたため、断ることができなかったと供述するところ、確かに、指示役から強盗を指示されて断ったものの、引き受けるよう脅されたことが埼玉事件に及ぶきっかけになったことはうかがわれるが、被告人は、警察等への相談など容易にできたはずの他の手段によることなく、結局は、安易に指示役の指示に従うことを選んだのであるから、この点を酌量するにも限度がある。さらに、埼玉事件の後も、指示役らとのやり取りを続けた上、再びその指示に従って、報酬目的で千葉事件に及んだ点においても、その意思決定は強い非難を免れない。 以上の犯情を踏まえると、被告人の刑事責任は相当に重く、同種事案の量刑傾向を踏まえても、相当期間の実刑は免れない。その上で、被害品の一部が各被害店舗に返還されていること、被告人が、事実を認めて反省の言葉を述べていること、各被害者らに対しても、謝罪文を送付した上、千葉事件の被害者らに対しては、被害 額からすると極めて少額といわざるを得ないものの、合計20万円の被害弁償を行い、同人らから謝罪を受け入れる意向が示されていること、前科がないこと、現在22歳と若年であること、母親が当公判廷において、今後も引き続き被告人と同居した上、家族とともに監督する旨を誓約していることなど、酌むべき一般情状も考慮し、主文のとおり量刑した。 (求刑懲役8年)(裁判長裁判官松本圭史裁判官一場修子裁判官岸本若菜) 8年)(裁判長裁判官松本圭史裁判官一場修子裁判官岸本若菜)
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