主文 被告人を懲役1年4月に処する。 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。 理由 (犯罪事実)被告人は,平成13年12月27日午前零時35分ころ,栃木県真岡市a町b丁目c番地付近道路において,運転開始前に飲んだ酒の影響により,前方注視及び運転操作が困難な状態で,普通貨物自動車を時速30ないし40キロメートルで走行させ,もって,アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させたことにより,同日午前零時53分ころ,同市d町e丁目f番地g付近道路において,赤色信号により停止していたA運転の普通乗用自動車後部に自車前部を追突させ,よって,上記A運転車両に同乗中のB(当時24歳)に加療約3週間を要する頚椎捻挫症の傷害を負わせたものである。 (証拠)略(適用法令) 1 罰条刑法208条の2第1項前段 2 未決勾留日数算入同法21条 3 訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑事情)本件は,スナックで短時間のうちに空腹状態のまま焼酎のお湯割りを4杯ほど飲み,店を出て駐車場に停めてあった車に乗り込み,宿泊先の旅館に帰宅しようと発進させたときには,酔いのため正常な運転が困難な状態になっており,被告人もそれを十分認識していたにもかかわらず,車を路上に乗り出し,殆ど意識のない状態で左右に大きく車を蛇行させながら走行を続け,赤信号のため停止中の被害車両に追突して,その同乗者に怪我をさせたというものである。被告人の蛇行運転については事故前に既に危険を感じた目撃者から警察に通報がされていて,実際に被告人は運転開始から僅か8分後に本件事故を発生させたものであり,事故から約30分経過後に実施された飲酒検知では呼気1リットルにつき0.7 に既に危険を感じた目撃者から警察に通報がされていて,実際に被告人は運転開始から僅か8分後に本件事故を発生させたものであり,事故から約30分経過後に実施された飲酒検知では呼気1リットルにつき0.7ミリグラムという極めて高い濃度のアルコールが検出され,その後の取調べでも,スナックを出た後の経路について全く記憶がなく,赤信号を青信号と見誤ったというものであって,事故の相手が歩行者等であった場合を想定すると,被告人の運転は,重大な死傷事故が起きてもおかしくない極めて危険な運転であったということができる。また,事故直後には,自らに非があるにもかかわらず,被害車両の運転者に対して言いがかりをつけ,その顔面を平手で殴打したり,肘を打ちつけたりするなどの暴行を働いており,犯行後の行動も極めて悪質である。被告人は,過去に無免許運転,酒酔い運転等で何度も罰金に処せられたほか,執行猶予付きの判決や実刑判決を受けたこともあるなど,車の運転に関する前科が多数あり,平成10年6月18日には,無免許運転で懲役4月,5年間の保護観察付き執行猶予の判決を受けているもので,その後再び運転免許を取得したとはいえ,自力で更生する機会を与えられ,交通法規を守ることはもちろん,より一層慎重な運転が要求されていたにもかかわらず,その執行猶予期間中にまたも安易に酒を飲んだうえ意識をなくすまで酔って車を運転するという暴挙に出たものであって,遵法精神の欠如は甚だしく,その刑事責任は極めて重いといわなければならない。 これに対し,被告人の運転の危険性からすると大惨事が発生する可能性があったにもかかわらず,幸いにして被害者の怪我は湿布薬を貼る程度で軽快したという比較的軽いものですんだことや,被告人の家族は,妻が病弱で生活に困窮しているという悲惨な状況にあり,そのような中で被告人の長女は高 かかわらず,幸いにして被害者の怪我は湿布薬を貼る程度で軽快したという比較的軽いものですんだことや,被告人の家族は,妻が病弱で生活に困窮しているという悲惨な状況にあり,そのような中で被告人の長女は高校に進学するためにアルバイトをして蓄えた20万円すべてを被害者らへの支払に当てようとしていること,今回の件で前回の執行猶予が取り消されることにより,その刑も併せて執行されることになる,等の事情も認められるが,これらの点を十分斟酌しても,主文のとおりの量刑はやむを得ないと判断した次第である。 (検察官荒井公男,国選弁護人伊澤行夫各出席)(求刑-懲役1年4月)平成14年3月13日宇都宮地方裁判所真岡支部裁判官森高重久
▼ クリックして全文を表示