昭和51(ツ)78 自動車引渡請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和52年7月19日 東京高等裁判所
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判決文本文2,300 文字)

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告人の上告理由について<要旨>被上告人を売主とし、更生会社五味縫製株式会社(以下「更生会社」という。)を買主として本件自動車の所有</要旨>権留保約款付割賦販売契約が締結された後、更生会社につき会社更生手続が開始され、その当時更生会社は金二七万六〇〇〇円の残代金債務を、一方被上告人は右残代金債務が完済されたとき更生会社に対し本件自動車の所有権移転の登録をすべき義務を負つていたことを確定した上、右の場合は会社更生法一〇三条一項の「双務契約において会社及び相手方が更生手続開始当時まだともにその履行を完了しないとき」にあたり、更生会社の管財人たる上告人において契約を解除することなくその履行を選択したから、被上告人の残代金債権は同法二〇八条七号により共益債権となるものと解し、上告人に対しその履行を求める被上告人の予備的請求を認容すべきものとした原判決の判断は正当であつて、その過程に右各法条の解釈適用を誤つた違法は存しない。上告人は、原判決のように解するときは、登録を対抗要件としない動産の所有権留保約款付割賦販売契約との間に不当な差異を生ずる旨主張する。しかしながら、会社更生法一〇三条一項、二〇八条七号の規定は、双務契約にあつては対立する二個の債権が対価関係にあり、互いに他を担保視しあう関係に立つているにもかかわらず、双方未履行のまま会社更生手続が開始されるや、相手方に対し、その債権につき更生債権として更生手続による制約をうけることを受忍させる一方、その債務の完全な履行を強いるというのでは衡平の原則に反するとの考慮から、管財人において相手方にその債務の履行を求めるのであれば、その債権はこれを共益債権として扱い更生手続外 ことを受忍させる一方、その債務の完全な履行を強いるというのでは衡平の原則に反するとの考慮から、管財人において相手方にその債務の履行を求めるのであれば、その債権はこれを共益債権として扱い更生手続外で完全に履行させることとして、双務契約上の両債権の間に存する対価関係を保障し相手方の保護をはかる趣旨に出たものである。 相手方にその債務の履行を求めるのであれば、その債権はこれを共益債権として扱い更生手続外 ことを受忍させる一方、その債務の完全な履行を強いるというのでは衡平の原則に反するとの考慮から、管財人において相手方にその債務の履行を求めるのであれば、その債権はこれを共益債権として扱い更生手続外で完全に履行させることとして、双務契約上の両債権の間に存する対価関係を保障し相手方の保護をはかる趣旨に出たものである。そして自動車の売買(それが所有権留保約款付割賦販売であつても異なるところはない。)において所有権移転の対抗要件たる登録名義の変更手続をすることが売主の重要な義務であることはいうまでもないとともに、残代金が完済されたとき右義務を履行すべきものとされている場合には、売主としては、買主からの残代金の完済のない限り登録名義の変更手続を強いられることはないわけであり、右双方の義務の履行未了の間に買主につき更生手続が開始された場合は、不動産の売買において同時履行の関係に立つ代金支払と所有権移転登記義務の履行とがともに未了のまま更生手続が開始された場合と同様に正に右の衡平の見地からの考慮を及ぼすべき場合であるということができる。これに反し、登録を対抗要件としない動産の売買において目的物の引渡を了し、代金債権のみが残つている場合には、売主にはもはや代金の完済時まで履行を拒絶しうべき義務は存在せず、残代金債権につき更生手続による制約をうけつつ右債権と対価関係に立つ自らの債務の履行を更に強いられるという関係にはないのであるから、右売主が前記各法条による保護をうけえず、所有権留保の特約自体の効力として認められる限度で代金債権に対する担保目的の実現をはかりうるにとどまるとしても、けだしやむをえないところであるといわなければならない。右と異なり、所有権留保約款付割賦販売の目的たる動産をすべて一律に扱い、不動産売買の場合とは取扱を異にすべきであるとする論 るにとどまるとしても、けだしやむをえないところであるといわなければならない。右と異なり、所有権留保約款付割賦販売の目的たる動産をすべて一律に扱い、不動産売買の場合とは取扱を異にすべきであるとする論旨は、前記各法条の立法趣旨に照らし、当裁判所の採用しえないところである。所有権留保約款付割賦販売契約の売主として採りうる手段が他に存する旨の所論をもつては、右各法条の適用を否定すべき論拠とするに足りず、また自賠法上の運行供用者責任の所在の如きは、全く異なつた観点から検討されるべき別個の問題であつて、ここに論ずべき限りでない。 動産をすべて一律に扱い、不動産売買の場合とは取扱を異にすべきであるとする論旨は、前記各法条の立法趣旨に照らし、当裁判所の採用しえないところである。所有権留保約款付割賦販売契約の売主として採りうる手段が他に存する旨の所論をもつては、右各法条の適用を否定すべき論拠とするに足りず、また自賠法上の運行供用者責任の所在の如きは、全く異なつた観点から検討されるべき別個の問題であつて、ここに論ずべき限りでない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官室伏壮一郎裁判官横山長裁判官河本誠之)(別紙)目録自動車登録番号松本××な○○○○車名トヨタ型式 KM一〇V車台番号 〇六八一四八

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