昭和29(う)924 競売入札妨害(教唆)被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年11月30日 福岡高等裁判所 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      被告人等全員に対する原判決を破棄する。      被告人A1を罰金参万円に、      同A2、同A3を各罰金弐万円に、      同A4、同A5、同A6、同A7、同A8、同A

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主文被告人等全員に対する原判決を破棄する。 被告人A1を罰金参万円に、同A2、同A3を各罰金弐万円に、同A4、同A5、同A6、同A7、同A8、同A9、同A10、同A11、同A12を各罰金壱万円に、それぞれ処する。 但し被告人等において右の罰金を完納することができないときは金四百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。 訴訟費用中原審における証人B1、同B2、同B3(第一、二回)に各支給した分は被告人A1の単独の、同B4(第一、二回)、B5に各支給した分は被告人A2の単独の、同B6、同B7、同B8、同B9(第一、二回)、B10(第一、二回)、B11(第一、二回)、B12、鑑定人C1(第一、二回)に各支給した分は被告人A2、同A1、同A4の連帯の、証人B13、同B14に各支給した分は被告人A2、同A3、同A5、同A6、同A1、同A7の連帯の、証人B15、同B16、同B17、同B18に各支給した分は被告人A8、同A3、同A9、同A10、同A11、同A12、同A1の連帯の各負担とし、当審における鑑定人C2、同C3に各支給した分は被告人等全員の連帯負担とする。 理由検察官の控訴趣意は、記録に編綴されている検察官納富恒憲提出の控訴趣意書に記載のとおりであり、弁護人牧野良三の陳述した答弁は、記録に編綴してある弁護人牧野良三、同沖蔵、沢田有志夫連名で提出の答弁書に記載のとおりであるから、いづれもここに引用する。 同控訴趣意第二点(法令適用の誤)について、刑法第九十六条の三が国家又は公共団体の行う競売又は入札に関し、これを妨害し、その公正を害すべき行為の可罰性を認め、偽計若しくは威力を用いる妨害行為のほかに、同条第二項において偽計 誤)について、刑法第九十六条の三が国家又は公共団体の行う競売又は入札に関し、これを妨害し、その公正を害すべき行為の可罰性を認め、偽計若しくは威力を用いる妨害行為のほかに、同条第二項において偽計の一種とも見られる談合のうち、公正なる価格を害し、又は不正の利益を得る目的を以てする談合を規定している趣意からすると、不正談合罪に「公正なる価格を害する目的を以てするもの」と「不正の利益を得る目的を以てするもの」との二態様があつて、公正なる価格を害する目的を以てする談合の罪の外に公正なる価格を害する目的はなく単に不正の利益を得る目的のみに出た談合罪の成立する場合があり得ることが明らかである。即ち同条第二項の規定する不正談合罪において公正なる価格を害する目的に出るものは、公正なる価格すなわち、客観的に妥当又は適正価格とは異り、当該入札において自由且つ公正な競争が行われるならば形成されるであらうと推測される観念的な価格を害すること、換言すれば、協定により実質的には競争をなさずして、落札する価格が、右のごとき公正価格以上(但し買受のときは以下)であることを認識(又は未必的に認識)して、敢えて談合する場合に成立し、従つてその公正なる価格を害し、入札施行者に不利益を与える具体的危険の存在すること<要旨第一>を要件とするに対し、不正の利益を得る目的に出るものは、社会通念上悪質であり且つ不当な額であると見ら</要旨第一>れる金銭その他の経済的利益を得ることを企図して、契約者となるべき者(及び契約価格)に関し協定をなす場合に成立し、従つて不当な利益を以て契約者となる地位が取引されることにより入札の公正が害される危険は抽象的に存在するを以て足り、それが公正なる価格を害することに直接関連することを必要としないものと解すべきである。ただ不正談合の罪であつて、公正価 地位が取引されることにより入札の公正が害される危険は抽象的に存在するを以て足り、それが公正なる価格を害することに直接関連することを必要としないものと解すべきである。ただ不正談合の罪であつて、公正価格の侵害と不正利益の取得との両事項を併わせ目的とするものの存することは、容易にこれを認め得るところであるけれども、そのことからただちに、ただ不正の利益を得る目的のみに出る不正談合罪の成立する場合があることを否定することはできない。 ところで、原判決の説示によれば、不正の利益とは公正なる価格を害するに至るべき利益を意味し、談合金の授受が不正の利益となるためには、これにより公止なる価格が害されたことが必要であるとの見解をとつているものと認められるのであるが、かく解するときは同条第二項が公正なる価格を害する目的に出る談合罪のほかに、不正の利益を得る目的に出る談合罪を規定した法意に合致しないこととなり、また原判決は協定により落札者となる者が談合金捻出のため、自己の工事実費に相当の利潤を加えたものに、さらに談合金を加算したものを落札金額とするごとき場合に、不正の利益を得る目的を以てする談合罪が成立するとしているけれども、かかる場合には該目的と公正なる価格を害する目的とを併有するものといい得ること前に説示したところより自ら明白である。 もとより談合金の授受を伴う協定を、すべて不正の利益を得る目的を以てする談合であると断ずることは早<要旨第二>計であつて、協定が入札希望者間において、営業上の適正なる価格を維持し、共倒れとなることを防止する等</要旨第二>入札者共同の正当な利益を保全し、それが業者の自衛策として許容し得る目的に出たものであるとか、その他特定業者の営業援護のための譲歩という外他意なくしてなされるものであり、且つ授受される利益が社会通念に照し不 同の正当な利益を保全し、それが業者の自衛策として許容し得る目的に出たものであるとか、その他特定業者の営業援護のための譲歩という外他意なくしてなされるものであり、且つ授受される利益が社会通念に照し不当と認められない限度のものであるならば、これを不正の利益を得る目的を以てする談合ということはできないことは言を俟たないけれども、右のごとき特別の事情が存せず、当初から談合金の授受そのものを主眼とし、特定入札希望者が談合金を提供することにより、実質的には競争しないで落札者たる地位を獲得し、他の入札者は落札者となる意欲を放棄することの報酬として談合金の分配を受けることを企図して協定がなされ、且つその談合金が当該落札価格、各入札者の工事見積に要した費用その他当該入札における具体的諸事情からして不当に高額であると認められるものであるときは、たとえ、その協定により公正なる価格を害すべきことの認識はなく、また現実には落札価格が公正なる価格の範囲内のものであつても、落札価格に談合金が加算されるとか、工事施行に手加減がなされる惧れなしとしないので、(殊に落札者となるものが当該入札に関し経済的に最も優位な条件に在る者でないときに然り)前に説示した入札の公正という法益侵害の危険性は存し、その違法性を看過すべきでないから、まさに不正の利益を得る目的を以てする不正談合罪が成立するものといわなければならない。 これを本件についてみるに、本件の事実関係は後に論旨第一点に対する判断において説示するとおりであつて、本件公訴事実中第二のD1保健所新築請負工事においては、被告人A2は、該工事の入札資格者として指定されておらず且つこの種工事に関する談合にしばしば関与していることが業者間に噂されていた被告人A1の幹旋により該工事を落札しようと企図し、指名入札者のうち被告人A3等四 、該工事の入札資格者として指定されておらず且つこの種工事に関する談合にしばしば関与していることが業者間に噂されていた被告人A1の幹旋により該工事を落札しようと企図し、指名入札者のうち被告人A3等四名と交渉したが、いずれも工事施行の意欲が強く、容易に話が纒らぬところから、被告人A1の勧説により談合金を提供して競争入札を避け、落札者たる地位を獲得すべく、その額について再三折衝を重ねた結果、落札価格の五分と決定し、被告人A2から協定参加の入札者及び被告人A1に対し右五分に相当する金員を提供し、その入札金額は二百九拾五万八千円を以て入札し、他の入札者はいづれもそれより高額で入札することの協定が成立し、次に本件公訴事実中右入札に引続いて施行された第一のD2中学校新築請負工事においても、被告人A2は前同様被告人A1の協力を得てこれを落札しようと企図し、指名入札者のうちE1工業の被告人A4外二名と交渉したが、容易に妥結を見ないため、被告人A1の勘説により談合金を同人等に提供して落札者たる地位を獲得すべく、その額について折衝して遂に落札価格の三分に相当する金員を提供することとし、被告人A2は三百九拾八万円を以て入札し、他の入札者はそれより高額で入札することの協定が成立し、また公訴事実中第三のD3地方事務所新築請負工事において、被告人A8は前記A1の協力を得て落札者となることを企図し、指名入札者被告人篠塚陽一等六名と折衝し、談合金として落札価格の三分を提供することにより落札者たる地位を獲得することとし、その入札金額は五百弐拾万円を以て入札し、他の入札者はいづれもそれより高額で入札することの協定が成立したことが明らかであるから、右各入札においては、いづれも当初から談合金の授受を目的として、落札者を決定することの協定が行われたものであり、且つその談合金額 もそれより高額で入札することの協定が成立したことが明らかであるから、右各入札においては、いづれも当初から談合金の授受を目的として、落札者を決定することの協定が行われたものであり、且つその談合金額並に各自の分配額は、前示各落札価格、及び記録上明らかな各入札者の工事見積に要した費用との比較その他当該入札における具体的諸事情から考慮して、社会通念上正当として是認し得る範囲を越えたものであることが認められ、右認定を排するに足る事由は記録上見当らないので、右各入札において被告人等が各公正価格を害することの認識があつたか否かを論ずるまでもなく、被告人等の本件各談合行為は、検察官所論のごとく、不正の利益を得る目的を以てなした場合に該当することは、前に説示したところがら自ら明白であつて、弁護人等の答弁書所論の不正談合罪の成立を否定する見解には賛同し難い。 それで原判決が判示のごとく説示して、被告人等の本件所為が刑法第九十六条の三第二項に所謂不正の利益を得る目的を以て談合する罪を構成しないものと判定したのは、右法条の解釈適用を誤つたことに帰着するから、論旨は理由がある。 同控訴趣意第一点(事実誤認)について、原判決は本作公訴事実のうち、第一乃至第三の各建築請負工事の入札に際し、被告人A1の斡旋により、指名入札者のうち爾余の被告人等が互に通謀して、落札者となるべき者及び落札価格を予定し、落札予定者からそれぞれ他の協定参加の入札者に対し、談合金を提供させる協定を為し、協定参加の入札者達は落札予定者の入札する価格より高い価格で入札して、予定通り各落札予定者に落札させて、提供された談合金の分配を受けていることは認められるが、右各入札について、公正なる価格は如何程に形成されるかということ、従つて各落札価格が公正価格を害すべきものであつたかどうかということが させて、提供された談合金の分配を受けていることは認められるが、右各入札について、公正なる価格は如何程に形成されるかということ、従つて各落札価格が公正価格を害すべきものであつたかどうかということが明らかにされておらず、また被告人等に右各談合金の授受により公正なる価格を害するにいたるべきことの認識があつたことの証明がないので、不正の利益を得る目的がある場合に該当しないとの理由で、不正談合罪の成立を否定していることが判文上明らかである。 しかし記録及び原裁判所において取調べた証拠並に被告人等質問の結果を綜合して考察すると、本件公訴事実のうち第二のD1保健所新築請負工事について、被告人A2はその使用人F1を通じ、該工事の入札資格者に指名されておらず、且つこの種工事に関する談合にしばしば関与することが業者間に噂されていた被告人A1に対し、昭和二十四年一月二十一日の入札施行に先立ち、自己が落札者となるよう談合に協力方を依頼し、同人の斡旋により入札当日熊本市G1公園附近において、指名入札者のうちE2組を除くE3組の被告人A7、E4組の同A6、E5工務店の同A5、E6組の同A3等の業者に、競争入札によらず、被告人A2に該工事を落札させて呉れと交渉し、各業者いづれも工事施行の意思があり、殊に被告人A3はその隣接工事をしていた関係からその意欲が強く、容易に話がまとまらぬところから、被告人A1は被告人A2をして、談合金を提供させることを申出で、その額について折衝の途中、被告人A2は一且競争入札により金弐百六拾四万円で入札することを決意し、入札書に該金額を記載した程であるが、結局提供する談合金額を落札金額の一分から三分に、さらに五分に吊上げ、漸く妥結をみ、被告人A2から五分に相当する談合金を提供することにより落札者となることを予定し、その入札価格は金弐百 程であるが、結局提供する談合金額を落札金額の一分から三分に、さらに五分に吊上げ、漸く妥結をみ、被告人A2から五分に相当する談合金を提供することにより落札者となることを予定し、その入札価格は金弐百九拾五万八千円とし、他の協定参加の入札者はそれより高い価格で入札することの協定が成立し、該協定を実行して被告人A2は金拾五万円を被告人A1及び判示入札者等に提供して判示価格で落札者と決定し、他の入札者等は一人当り約参万円の分配を受け、また公訴事実のうち第一のD2中学校新築請負工事についても、被告人A2は前回の入札に引続いて被告人A1に対し、該工事を落札したい意向を告げて協力を要請し、同人の斡旋により同年二月中旬頃熊本市a町b、H1食堂にI1大工組合を除く指名入札者であるE7組のJ1の代理人J2、E1工業の被告人A4、E3組の原審相被告人J3の代理人B10を集合させて、被告人A2に是非落札させて貰い度い旨交渉し、各業者がいづれも該工事施行の意思があり、殊にE7組の施行意思が強固であるため、容易に妥結に至らぬところから、被告人A1から談合金の提供を申出でたが、その額について授受者双方間に折合いがつかず、落札金額の五分から四分、三分と折価を重ねて漸く双方の歩み寄りが出来、被告人A2から三分に相当する談合金を提供することにより落札者となることを予定し、その入札価格は金参百九拾八万円とし、他の協定参加の入札者はそれより高い価格で入札することの協定が成立し、該協定を実行して被告人A2は金拾弐万円を被告人A1及び前示入札者等に提供して、前示価格で落札者と決定し、他の入札者等は一人当り約弐万五千円(H1食堂の支払を差引いた額)の分配を受け、さらに公訴事実のうち第三のD3地方事務所新築請負工事について、被告人A8は該工事の入札日の数日前、熊本県庁前で被告人A1 入札者等は一人当り約弐万五千円(H1食堂の支払を差引いた額)の分配を受け、さらに公訴事実のうち第三のD3地方事務所新築請負工事について、被告人A8は該工事の入札日の数日前、熊本県庁前で被告人A1に出会い、自己が代表するK1標式会社をして落札者たらしめるよう協力を依頼し、同人の斡旋に上り同年九月一日の入札施行当日の午前中熊本市c町割烹L1ことB17方において、集合した指名入札者であるE8組の被吉人A10、E9組の同A9、E10組の同A11、E11組の同A12、E6組の同A3、E12工業の代表者某に対し、被告人A1、同A8からK1株式会社に是非落札させてくれるよう交渉した結果、被告人A8から談合金として落札金額の三分を提供することによりK1株式会社を落札者とすることを予定し、その入札価格は金五百弐拾万円とし、他の入札者はそれより高い価格て入札することの協定が成立し、該協定を実行して被告人A8は金拾五万六千円を他の入札者及び被告人A1等に提供して、前示価格でK1株式会社が落札者と決定し、他の入札者等は一人当り約弐万円(L1における当日の昼食費の支払を差支いた額)の分配を受けた事実が明らかである。因に前示各証拠のうちには、本件各談合において、俗に「出し」或は「ひつかけ」と称する方法を以て談合金の授受がなされたかのごとき各被告人等の供述もあるが、いづれの場合にも落札者となるべき者の入札価格は各入札者に明示され、これに対する一定の割合の金員を提供することを条件として、その者を落札者と予定し、他の入札者はそれより高い価格で入札することが協定されたもので、その実質は業者間における談合形式中の所謂「貰い」と称するものに該当することも明白である。叙上のごとく本件各談合においては、前示のごとき局外者である被告人A1が介在して、被告人A2は前記第二の入札 その実質は業者間における談合形式中の所謂「貰い」と称するものに該当することも明白である。叙上のごとく本件各談合においては、前示のごとき局外者である被告人A1が介在して、被告人A2は前記第二の入札に引続き第一の入札に際し、前記各他の入札者との間に、また被告人A8は第三の入札に際し、前記各他の入札者との間に、いづれも前示のごとき談合金の授受によりそれぞれ落札者となることを主眼として本件談合を為したもので業者の自衛上為されたものでなく、且つその談合金は記録上及び証拠上明らかなごとく各落札価格、各入札者の工事見積に要した費用との比較その他の諸事情を参酌考量して、単なる社交上の儀札若しくは同業者間の仁義として默過さるべき程度のものではなく、社会通念上不当に高額であることを肯認するに充分であり、記録を精査しても右認定を妨げる事由を発見することはできない。 而して不正談合罪における不正の利益を得る目的ありとするには、公正なる価格と直接に関連あることを要するものでなく、公正なる価格を害するに至るべきこと従つてその認識があることを必要とするものでないと解すべきことはすでに論旨第二点に対する判断において説示したとおりであるから、被告人等の各談合は、当初から不当な額の談合金の授受により、落札者の地位を取引する目的を以て為されたものであつて、これを不正の利益を得る目的に出たものとして、不正談合罪の成立を肯定するに毫も差支はないこと、まさに検察官所論のとおりであるといわざるを得ない。 それ故原判決が被告人等の本件各談合は、これが不正の利益を得る目的を以てしたことを認めるに足りる証拠がないことを理由として、各被告人に無罪の言渡をなしたのは、前段に説示のごとく不正談合の罪に関する法律の解釈を誤りひいて事実の誤認を誤つたものというのほかなく、右の誤りは判決に影響 認めるに足りる証拠がないことを理由として、各被告人に無罪の言渡をなしたのは、前段に説示のごとく不正談合の罪に関する法律の解釈を誤りひいて事実の誤認を誤つたものというのほかなく、右の誤りは判決に影響を及ぼすこと明らかであるから、論旨は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れない。 そして当裁判所は本件記録及び原裁判所において取調べた証拠並びに当裁判所における事実調の結果によつて、直ちに判決をすることができるものと認められるので、原判決を刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十条第三百八十二条に従い破棄した上同法第四百条但書に則り更に裁判をすることとする。 当裁判所の認定する事実並びにこれを認めた証拠は次のとおりである。 (罪となる事実)第一、被告人A2、同A4、並びに原審における相被告人J3、同J1はいづれも熊本県鹿本郡d町外三ケ村の各自治体の共同で施行されたD2中学校新築請負工事の競争入札に際し、右自治体から指名された建築業者の代表的地位にある者であつたが、(一) 被告人A1は昭和二十四年二月中旬頃、被告人A2が該工事を落札施行したい意向であることを知り、熊本市a町H1食堂に指名入札者五名のうち、被告人A2のほか同A4、J3の代理人B10、J1の代理人J2を集合させ、同所において同人等に対し今回の入札に際してはA2の出身地であるから是非とも同人に落札させて貰いたい旨述べたところ、他の業者も該工事施行の意思があり容易に話がまとまらなかつたので、A2から談合金を提出させることにより同人に落札させることを折衝し、結局A2から落札金額の三分に相当する金員を提供し、入札価格を金参百九拾八万円として同人を落札者とし、他の入札者は右入札価格より高価に入札し、その代りに右A2から提供する金員の分配を受けることを勧説して関係者を之に承諾せしめ 相当する金員を提供し、入札価格を金参百九拾八万円として同人を落札者とし、他の入札者は右入札価格より高価に入札し、その代りに右A2から提供する金員の分配を受けることを勧説して関係者を之に承諾せしめ、後記(二)のごとき談合を為さしめ、以て不正の利益を得る目的の談合を教唆し、(二) 被告人A2、同A4及び前記J3の代理人B10、同J1の代理人J2は、即日同所において、被告人A1の右勧説の趣旨に応じ(一)記載の趣旨通り不正の利益を得る目的を以て談合をなし、よつて同年二月二十八日施行の競争入札に際し、被告人A2をして金参百九十八万円にて落札せしめ、同人から右三分に相当する金拾弐万円を交付させてそれぞれ之を被告人A1と共に平等に分配し、第二、被告人A2、同A3、同A5、同A6、同A7はいづれも熊本県が昭和二十四年一月二十一日施行したD1保健所新築請負工事の競争入札に際し、指名された土木建築請負業者又はその代理人であつたが、(一) 被告人A1は同日前記被告人A2の依頼により指名入札者六名のうち同被告人等五名を熊本市b町G1公園に集めて、同人等に対し、今回の入札に際してはA2を是非とも落札者にして貰いたい旨述べたところ、他の業者も該工事施行の意思が強く容易に妥結を見ないので、折衝を重ね、A2をして談合金を提供させることにより同人に落札させることを申向け、遂にA2から落札金額の五分に相当する金員を提供し、入札価格を金弐百九拾五万八千円として同人を落札者とし、他入札者は右価格より高価に入札し、その代りにA2から提供する金員の分配を受けることを勧説して関係者を之に承諾せしめ、後記(二)のごとき談合をなさしめ、以て不正の利益を得る目的の談合を教唆し、(二) 被告人A1を除く爾余の被告人等は、右同所において、被告人A1の右勧説の趣旨に応じて(一 関係者を之に承諾せしめ、後記(二)のごとき談合をなさしめ、以て不正の利益を得る目的の談合を教唆し、(二) 被告人A1を除く爾余の被告人等は、右同所において、被告人A1の右勧説の趣旨に応じて(一)に記載の趣旨通り不正の利益を得る目的を以て談合をなし、即日熊本県庁内土木部監理課長室における入札に際し、被告人A2をして金弐百九拾八万円にて落札せしめ、その頃同人より右五分に相当する金拾五万円を交付させてそれぞれ之を被告人A1と共に平等に分配し、第三、被告人A8、同A3、同A9、同A10、同A11、同A12はいづれも熊本県が昭和二十四年九月一日施行したD3地方事務所新築工事の競争入札に際し、指名された土木建築業者又はその代理人であつたが、(一) 被告人A1は同日被告人A8の依頼により、前示被告人六名及びE12株式会社代表者某等を熊本市c町e番地のf、割烹L1こと、B17方に集めて、同人等に対し、右入札にはA8の代理するK1株式会社に落札させて貰いたい旨述べ、同人に談合金を提供させることにより、同会社をして落札させることを交渉し、A8から落札金額の三分に相当する金員を提供し、入札価格を金五百弐拾万円として同会社を落札者とし、他の入札者はこれより高価に入札し、その代りにA8から提供する金員の分配を受けることを勧説して関係者を之に承諾せしめ、後記(二)のごとき談合をなさしめ、以て不正の利益を得る目的の談合を教唆し、(二) 被告人A1を除く爾余の被告人等及びE12株式会社の代表某は、右同所において、被告人A1の右勧説に応じ、(一)に記載の趣旨通り不正の利益を得る目的を以て談合をなし、即日熊本県庁内土木部監理課長室における入札に際し、約旨通りそれぞれ入札し、被告人A8の代理するK1工業標式会社をして金五百弐拾万円にて落札せしめ、爾余の被告人 正の利益を得る目的を以て談合をなし、即日熊本県庁内土木部監理課長室における入札に際し、約旨通りそれぞれ入札し、被告人A8の代理するK1工業標式会社をして金五百弐拾万円にて落札せしめ、爾余の被告人等はその頃A8から右三分に相当する金拾五万六千円を交付させてそれぞれ之を被告人A1と共に平等に分配したものである。 (証拠)第一事実について、一、被告人A1の司法警察員(第一回)及び検察事務官(第一、二回)に対する各供述調書一、被告人A2の司法警察員(第一、二回)及び検察事務官に対する各供述調書一、 J1の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、被告人A4の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、 J3の検察事務官に対する供述調書一、 B10の司法警察員及び検察事務官に対する各供述調書一、原審第四回公判調書中証人B10の供述一、 B8の検察事務官に対する供述調書一、原審第四回公判調書中証人B8の供述一、 B19の検察事務官に対する供述調書一、原審第十九回公判調書中証人B11の供述一、同第二十回公判調書中証人B12の供述第二事実について、一、 B19の検察事務官に対する供述調書一、被告人A1の司法警察員(第三回)及び検察事務官に対するれ供述調書一、被告人A2の司法警察員(第一、二回)及び検察事務官に対する各供述調書一、被告人A3の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、原審第十四回公判調書中証人A3の供述一、原審第十五回公判調書中証人B5の供述一、被告人A5の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、被告人A6に対する検察事務官の供述調書一、被告人A7の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対 書中証人B5の供述一、被告人A5の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、被告人A6に対する検察事務官の供述調書一、被告人A7の司法警察員(第一回)及び検察事務官に対する各供述調書一、熊本県土本部監理課長提出の入札調書についてと題する書面第三、事実について、一、原審第十四回公判調書中被告人A8、同A3、同A1の各供述一、同第四回公判調書中証人B15、同B18の各供述一、被告人A1の検察官に対する供述調書一、被告人A3の司法警察員(第一回)及び検祭官に対する各供述調書一、被告人A12の検察官に対する供述調書一、被告人A8の検察官に対する(第一乃至第三回)各供述調書一、被告人A9の検察官に対する供述調書一、被告人A11の検察官(第一、二回)に対する各供述調書一、被告人A10の司法警察員及び検察官に対する各供述調書一、 B15の検察官(第一回)に対する供述調書の各記載並びに当審における各被告人等の各供述(各関係事実につき)を綜合してこれを認定する。 法律に照すに、被告人等の判示各所為はいづれも刑法第九十六条の三第二項、罰金等臨時措置法第二条、第三条に、なお被告人A1の判示各所為は前示各法条のほか、刑法第六十一条に各該当するので、その所定刑中名罰金刑を選択し、また被告人A2、同A1、同A3の以上の各罪は刑法第四十五条前段の併合罪であるから第四十八条第二項を適用し、同被告人等に対しては各罪の罰金の合算額範囲内において、その余の被告人等に対しては所定罰金額範囲内において、それぞれ主文の刑に処し、被告人等において右の罰金を完納することができないときは同法第十八条を適用し、金四百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置することとし、原審並びに当審において生じ 、それぞれ主文の刑に処し、被告人等において右の罰金を完納することができないときは同法第十八条を適用し、金四百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置することとし、原審並びに当審において生じた訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項、第百八十二条に従い、主文掲記のとおり被告人等に単独又は連帯して負担させることとする。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長判事筒井義彦判事柳原幸雄判事岡林次郎)

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