平成21(行コ)2 不指定処分取消等請求控訴事件(原審・福井地方裁判所平成18年(行ウ)第7号)

裁判年月日・裁判所
平成21年7月15日 名古屋高等裁判所 金沢支部 その他
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判決文本文9,938 文字)

- 1 -主文 原判決主文第2項中「認知症対応型共同生活介護事業者への不指定処分を取り消す」との部分を取り消す。 控訴人のその余の控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴人の求めた裁判 原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2事案の概要 本件は,被控訴人が控訴人に対し,①被控訴人のした小規模多機能型居宅介護事業者及び介護予防小規模多機能型居宅介護事業者への指定申請に対し,大野市長が平成18年6月16日付けでした不指定処分(以下「本件不指定処分」という)の取消しと,②特定非営利活動法人a(以下「NPOa」とい。 う)のした小規模多機能型居宅介護事業者及び介護予防小規模多機能型居宅。 介護事業者への指定申請に対し,大野市長が,平成18年6月16日付けでした「事業所の対象とする」との通知(以下「本件通知」という)及び平成1。 8年12月14日付けでした上記各事業者への指定処分(以下「本件各指定処分」という)の各取消しを,それぞれ求めた事案の控訴審である。 。 原審が,被控訴人の上記①の請求を認容し,②の訴えを却下するとともに,大野市長が平成18年6月16日付けで被控訴人に対し認知症対応型共同生活介護事業者への不指定処分をしたとして,同処分を取り消す旨の判決をしたところ,控訴人が,原判決中,被控訴人の上記①の請求を認容した部分及び上記認知症対応型共同生活介護事業者への不指定処分を取り消すとした部分を不服として本件控訴を提起した。 前提となる事実- 2 -次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第2の2「前提事実」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決3頁15行目の「という」の次に「ことがある -次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の第2の2「前提事実」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決3頁15行目の「という」の次に「ことがある」を加える。 (2)原判決3頁15行目の「115条の11第1項」を「平成20年法律第42号による改正前の法115条の11(以下「法115条の11」という)第1項」に改める。 。 (3)原判決4頁16行目の「115条の13第1項,2項」を「平成20年法律第42号による改正前の法115条の13第1項,2項」に改める。 (4)原判決5頁4行目から同頁5行目に掛けての「地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護」を「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」に改める。 。 (5)原判決6頁1行目の「115条の2」を「法115条の11」に改める(6)原判決6頁3行目の「市町村介護事業計画」を「市町村介護保険事業計画」に改める。 (7)原判決6頁17行目の「甲6,7」を「甲7」に改める。 ()()(8)原判決7頁1行目から同頁2行目に掛けての「,認知症対応型共同生活介護」を削除する。 (9)原判決7頁3行目の「申請した(」の次に「同申請を以下「本件指定申請」という」を加える。 。 (10)原判決7頁8行目から8頁2行目までを以下のとおり改める。 「したうえで,平成18年6月16日,被控訴人に対しては,本件不指定処分を,NPOaに対しては,本件通知をし,同年12月14日,NPOaに対し,本件各指定処分をした」。 (11)原判決8頁3行目から6行目までを以下のとおり改める。 「エ被控訴人の本訴提起等- 3 -被控訴人は,平成18年7月5日,本件不指定処分等の取消しを求めて本訴を提起した」。 争点 本件の争点は,本件不指定処分の適法 までを以下のとおり改める。 「エ被控訴人の本訴提起等- 3 -被控訴人は,平成18年7月5日,本件不指定処分等の取消しを求めて本訴を提起した」。 争点 本件の争点は,本件不指定処分の適法性であり,次の3つの争点に分けることができる。 (1)小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請に対して,市町村長は,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認めるときは事業者への指定をしないことができるか(2)本件指定申請について,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認められるか(法78条の2第5項4号所定の要件を満たすか)(3)本件不指定処分をするに当たって,法78条の2第6項所定の措置(介護保険の被保険者その他の関係者の意見を反映させるための措置)が講じられたか 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請に対して,市町村長は,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認めるときは事業者への指定をしないことができるか)について次のとおり補正するほかは,原判決の9頁14行目から11頁5行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決9頁23行目と同頁24行目の間に以下のとおり加える。 「介護保険法も,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の事業者の指定申請に対して,人的物的設備要件を満たした- 4 -場合は,必ず指定しなければならず,指定を拒絶してはならないとは規定していない」。 イ原判決10頁10行目と同頁11行目の間に以下のとおり加える。 「小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業 ればならず,指定を拒絶してはならないとは規定していない」。 イ原判決10頁10行目と同頁11行目の間に以下のとおり加える。 「小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定の申請に対して,総量規制をせず,指定目標量を超える事業者が指定された場合に生ずる問題は,以下のとおりである。 (ア)上記各サービスが供給過剰となり,過当競争に陥る。 (イ)他市町村から控訴人市内に住民票を移して流入する被保険者が現れる。 (ウ)控訴人の介護保険財政は,介護保険料見直し年度まで赤字となり,介護保険料の見直し年度以降においては,控訴人の市民は,流入被保険者に対する介護保険給付についての負担を分担させられることとなる。 (エ)控訴人市内に流入した被保険者にあっては,結果的に,住み慣れた地域を離れて他市町村の施設へ通ったり入所したりすることとなる。 (オ)市町村の募集がない場合にも,上記各事業者の指定申請を行うことができることになり,市町村介護保険事業計画が根底から覆ってしまう。 エ原判決は,居宅における介護サービスは,施設における介護サービスに比べて,サービスに要する費用が比較的低額であることを根拠として,介護サービス等の提供事業者の自由競争に委ねても介護保険の事業計画の達成という観点からは問題が少ない旨判示するが,指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準(厚労告126)別表3及び4によれば,小規模多機能型居宅介護費が認知症対応型共同生活介護費より低額なのは,要介護2までであり,- 5 -要介護3,4では,両者はほぼ同等となり,要介護5では,小規模多機能型居宅介護費の方が高額となっており,原判決には,事実の誤認がある。 オ控訴人以外にも,多くの市町村が,控訴人と同じ考えで市町村介護保険事業計 は,両者はほぼ同等となり,要介護5では,小規模多機能型居宅介護費の方が高額となっており,原判決には,事実の誤認がある。 オ控訴人以外にも,多くの市町村が,控訴人と同じ考えで市町村介護保険事業計画を策定し,同計画で定められた保険給付の総量には法的拘束力があるとの見解に基づき事務処理をしている」。 ウ原判決10頁11行目の「エ」を「カ」に改める。 エ原判決10頁11行目から同頁12行目に掛けての「原告の小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定の申請」を「本件指定申請」に改める。 オ原判決10頁13行目の「本件不指定処分1」を「本件不指定処分」に改める。 カ原判決10頁23行目と同頁24行目の間に以下のとおり加える。 「このように,介護保険法が,地域密着型サービスの事業者の指定において,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護についてのみ指定をしないことができると定め,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護については,そのような定めを規定しなかったのは,前者の3つのサービスは居住系のサービスであり,それらの施設が突然廃止された場合,利用者は行き先がなくなり,路頭に迷うことになるが,後者の3つのサービスは居宅系のサービスであり,施設が突然廃止されたとしても,上記のような弊害はないからである」。 キ原判決10頁24行目の「市町村介護保険実施計画」を「市町村介護保険事業計画」に改める。 ク原判決11頁5行目の「本件不指定処分1」を「本件不指定処分」に改- 6 -める。 (2)争点(2)(本件指定申請について,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認められるか)について次のとおり補正する 指定処分1」を「本件不指定処分」に改- 6 -める。 (2)争点(2)(本件指定申請について,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認められるか)について次のとおり補正するほかは,原判決の11頁9行目から同頁15行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決11頁12行目から同頁13行目に掛けての「本件各不指定処分」を「本件不指定処分」に改める。 (3)争点(3)(本件不指定処分をするに当たって,法78条の2第6項所定の措置が講じられたか)について次のとおり補正するほかは,原判決の11頁18行目から12頁16行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決の11頁19行目,同頁25行目,12頁15行目,同頁16行目の各「本件各不指定処分」を,それぞれ「本件不指定処分」に改める。 第3当裁判所の判断 争点(1)(小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請に対して,市町村長は,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生じるおそれがあると認めるときは事業者への指定をしないことができるか)について(1)前記前提事実(2)ア(イ),(ウ)のとおり,地域密着型サービスには,①夜間対応型訪問介護,②認知症対応型通所介護,③小規模多機能型居宅介護,④認知症対応型共同生活介護,⑤地域密着型特定施設入居者生活介護,⑥地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の各サービスがあり,地域密着型介護予防サービスには,①介護予防認知症対応型通所介護,②介護予防小規模多機能型居宅介護,③介護予防認知症対応型共同生活介護の各サービスが- 7 -ある(法8条14項,8条の2第14項。 )地域密着型サービス事業の事業者の指定の要件等については,法78条の 防小規模多機能型居宅介護,③介護予防認知症対応型共同生活介護の各サービスが- 7 -ある(法8条14項,8条の2第14項。 )地域密着型サービス事業の事業者の指定の要件等については,法78条の2が規定しているところ,同条4項は,地域密着型サービス事業の事業者の指定をすることができない場合を,同条5項は,上記指定しないことができる場合を,それぞれ列挙し,同項4号は,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の各事業者の指定申請に対してのみ,当該市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認められるときは,指定をしないことができる旨規定している。 また,地域密着型介護予防サービス事業の事業者の指定の要件等については,法115条の11が規定しているところ,同条2項は,地域密着型介護予防サービス事業の事業者の指定をすることができない場合を,同条3項は,上記指定をしないことができる場合を,それぞれ列挙しているが,同項においては,当該市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認められるときを,指定しないことができる場合として規定していない。 本件指定申請のうち,小規模多機能型居宅介護事業者への指定申請については,法78条の2第4項及び第5項の規定する各事由が存在するとは認められず,また,介護予防小規模多機能型居宅介護事業者への指定申請については,法115条の11第2項及び第3項の規定する各事由が存在するとは認められない。 (2)この点,控訴人は,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請があった場合にも,法78条の2第5項4号の類推適用により,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあるときは,指定を拒否するこ 介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請があった場合にも,法78条の2第5項4号の類推適用により,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあるときは,指定を拒否することができ,本件指定申請においては,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあった旨主張するので,以下,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事- 8 -業者の指定申請があった場合にも,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあるときは,指定を拒否することができるかについて検討する。 ア法78条の2は,地域密着型サービスに属するすべての介護サービスの事業者の指定の要件等についての規定であるところ,同条5項4号では,地域密着型サービスのうち,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の各事業者の指定についてのみ,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することができる旨規定していることからすると,介護保険法は,地域密着型サービスのうち,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定においては,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することは許されないという趣旨で定められたものと解するのが相当である。また,法115条の11は,介護予防地域密着型サービスに属する各介護サービスの事業者の指定の要件等についての規定であるところ,同条3項は,地域密着型サービスについての規定である上記の法78条の2第5項に対応するものであるが,法115条の11第3項は,事業者の指定をしないことができる場合として,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそ 型サービスについての規定である上記の法78条の2第5項に対応するものであるが,法115条の11第3項は,事業者の指定をしないことができる場合として,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがある場合を規定していないから,上記と同様に,介護保険法は,介護予防地域密着型サービスに属する各介護サービスの事業者の指定においても,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することは許されないという趣旨で定められたものと解するのが相当である。 したがって,地域密着型サービスのうちの夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定並びに介護予防地域密着型サービスに属するすべての介護サービスの事業者の指定に- 9 -おいて,法78条の2第5項4号を類推適用して,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することができると解釈することは,介護保険法の上記趣旨に反し,許されないというべきである。 イ(ア)これに対して,控訴人は,市町村介護保険事業計画により定められた保険給付の総量は法的拘束力を有すると主張し,これを理由に,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定においても,法78条の2第5項4号を類推適用すべきであると主張する。 この点,控訴人の主張する「市町村介護保険事業計画により定められた保険給付の総量」の意味は必ずしも明確ではないが,これを,法117条2項1号で市町村介護保険事業計画において定めることを要求されている各種介護給付等対象サービスの必要利用定員総数又は量の見込みのことであると解したとしても(なお,法117条2項は,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介 ている各種介護給付等対象サービスの必要利用定員総数又は量の見込みのことであると解したとしても(なお,法117条2項は,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護については,市町村介護保険事業計画に,その必要利用定員総数を定めることを要求し,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護については,その量の見込みを定めることを要求している,介護保険法上,これに法的拘。)束力を与えることを規定した条項はないし,介護保険法によって市町村介護保険事業計画の策定権限が市町村に授権されているからといって,直ちにその策定に係る事業計画により定められたところが控訴人主張のとおり法的拘束力を有することになるものとはいえず,かえって,介護保険法は,指定申請のあった認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の当該市町村又は当該日常生活圏域における利用定員の総数が,当該市- 10 -町村又は当該日常生活圏域において市町村介護保険事業計画で定める上記各サービスの必要利用定員総数に既に達している場合等でも,当該申請に係る事業者の「指定をしないことができる」と規定しているに止まり(法78条の2第5項,常に事業者の指定が許されないとはしてい)ないのであるから,控訴人の上記主張は理由がないというべきである。 むしろ,前記アのとおり,介護保険法は,地域密着型サービスのうちの夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護の事業者の指定や介護予防地域密着型サービスに属する各介護サービスの事業者の指定においては,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することを許容して 型居宅介護の事業者の指定や介護予防地域密着型サービスに属する各介護サービスの事業者の指定においては,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することを許容していないのであり,市町村介護保険事業計画により定められた上記各サービスの量の見込みが法的拘束力を有することを前提に制定されたものではないというべきである。 (イ)また,控訴人は,法78条の2第5項4号に規定された介護サービス以外の地域密着型サービス及び介護予防地域密着型サービスについて,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがある場合にも事業者の指定を拒否できないとすると,上記の各介護サービスの供給が過剰となり,過当競争に陥ること,保険給付の総量が上昇し,介護保険財政が圧迫されること,他市町村から被保険者が控訴人市内に住民票を移して流入してくるようになり,控訴人の市民は,これらの流入被保険者に対する介護保険給付についての負担を分担させられることなどの種々の弊害が生ずる旨主張する。 しかしながら,本件証拠上,控訴人が主張する弊害のすべてが,実際に発生する蓋然性があるかは明らかではなく,仮に,控訴人が主張するような問題が生ずる可能性があるとしても,介護保険法の上記の条文の構成からすると,同法は,そのような可能性を考慮に入れた上で,地域- 11 -密着型サービスのうち,認知症対応型共同生活介護,地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の事業者の指定においては,市町村介護保険事業計画の達成の観点からの指定拒否を認め,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護の事業者の指定並びに介護予防地域密着型サービスに属するすべての介護サービスの事業者の指定においては,これを認めないこと 否を認め,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護の事業者の指定並びに介護予防地域密着型サービスに属するすべての介護サービスの事業者の指定においては,これを認めないこととしたものと解されるから,控訴人の上記主張は理由がない。 (ウ)また,控訴人は,法78条の2第5項4号及び法115条の11は,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の事業者の指定申請に対して,それぞれ法78条の2第4項又は法115条の11第2項所定の事由がない場合は,必ず指定しなければならないとは規定していない旨主張するが,前記アで判示したとおり,法78条の2第5項及び法115条の11は,その条文構造上,夜間対応型訪問介護,認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅介護並びに介護予防地域密着型サービスに属するすべての介護サービスの事業者の指定においては,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することができないものとしたと解するのが相当であり,控訴人の上記主張は理由がない。 (エ)さらに,控訴人は,控訴人以外にも,多くの市町村が,市町村介護保険事業計画で定められた保険給付の総量には法的拘束力があるとの見解に基づき事務処理をしている旨主張するが,仮に,控訴人以外の市町村の多くが,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護等の各事業者の指定において,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがある場合には,事業者の指定を拒否するという事務処理をしているとしても,そのことは,それらの市町村の事務処理が介護保険法の規定に反していることを意味するだけであり,そうであるか- 12 -らといって,大野市長の本件不指定処分が適法となるいわれはないから,控訴人の上記主張は理由がな らの市町村の事務処理が介護保険法の規定に反していることを意味するだけであり,そうであるか- 12 -らといって,大野市長の本件不指定処分が適法となるいわれはないから,控訴人の上記主張は理由がない。 以上のとおり,小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護の各事業者の指定申請があった場合には,市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあることを理由に指定を拒否することができず,また,本件指定申請については,その他に,これを拒否し得る事由が存在するとは認められないから,その余の点を考慮するまでもなく,本件不指定処分は,介護保険法に反し違法である。 なお,原判決は,大野市長が,平成18年6月16日付けで,被控訴人に対し,認知症対応型共同生活介護の事業者への不指定処分をしたとして,同処分を取り消しているが,本件訴訟において,被控訴人は,上記の処分の取消しを求めてはいない(このことは原審における被控訴人の弁論上明らかであるし,当審においても,当事者双方が一致して明言しているところである)から,。 原判決の上記部分は,処分権主義に反することになり,取消しを免れない。 以上によれば,本件控訴は,原判決のうち,大野市長が平成18年6月16日付けで被控訴人に対してした認知症対応型共同生活介護事業者への不指定処分を取り消した部分の取消しを求める限度で理由があり,その余は理由がないから,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所金沢支部第1部裁判長裁判官渡辺修明裁判官桃崎剛- 13 -裁判官佐野信

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