主文 1 本件控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。 1審被告会社は,1審原告に対し,11万6760円,及び,うち平成24年1月から同年9月まで各月4308円,同年10月は4311円に対する各月25日から平成26年1月22日まで年6%,翌23日から支払済みまで年14.6%の各割合による金員,うち平成24年11月から平成25年3月まで各月4812円,同年4月は4815円に対する各月25日から平成26年1月22日まで年6%,翌23日から支払済みまで年14.6%の各割合による金員,うち平成25年5月から同年11月まで各月5270円,同年12月は5277円に対する各月25日から平成26年1月22日まで年6%,翌23日から支払済みまで年14.6%の各割合による金員,うち2635円に対する同月25日から支払済みまで年14.6%の各割合による金員を支払え。 1審被告会社は,1審原告に対し,11万6760円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 1審被告らは,1審原告に対し,連帯して10万円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 1審被告会社は,1審原告に対し,6万0600円及びうち3万0300円に対する平成25年10月24日から,うち3万0300円に対する平成26年1月24日からそれぞれ支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 1審被告らは,1審原告に対し,連帯して5万円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 1審原告のその余の請求(当審におけるその余の拡張請求及び追加請求を含む。)をいずれも棄却する。 3 1審被告らの本件各 12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 1審原告のその余の請求(当審におけるその余の拡張請求及び追加請求を含む。)をいずれも棄却する。 3 1審被告らの本件各附帯控訴をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じて,1審原告に生じた費用の100分の2と1審被告会社に生じた費用の100分の3を1審被告会社の負担とし,1審原告に生じた費用の100分の1と1審被告Yに生じた費用の10分の1を1審被告Yの負担とし,1審原告及び1審被告らに生じたその余の費用を1審原告の負担とする。 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 控訴及び附帯控訴の趣旨 1 控訴の趣旨原判決中1審原告敗訴部分を取り消す。 1審被告会社は,1審原告に対し,67万0440円及びこれに対する平成24年1月25日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。(1審原告は,当審において附帯請求をこのように拡張した。)イ 1審被告会社は,1審原告に対し,67万0440円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 ウ 1審被告会社は,1審原告に対し,33万5220円及びこれに対する平成23年1月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において附帯請求をこのように拡張した。)エ 1審被告会社は,1審原告に対し,99万0324円及びこれに対する平成25年4月24日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において附帯請求をこのように拡張した。)オ 1審被告らは,1審原告に対し,連帯して95万円及びこれに対する平 成25年12 支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において附帯請求をこのように拡張した。)オ 1審被告らは,1審原告に対し,連帯して95万円及びこれに対する平 成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において1審被告Yの買取強要行為の不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)請求を追加した。)カ 1審被告会社は,1審原告に対し,5万円(原判決主文第4項で認容された元金)に対する平成25年12月14日から平成26年1月23日まで年5%の割合による金員を支払え。(1審原告は,当審において附帯請求をこのように拡張した。)キ 1審被告らは,1審原告に対し,連帯して11万円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 (1審原告は,当審において,1審被告Yに対する請求を追加すると共に,1審被告会社に対する附帯請求をこのように拡張した。)ク 1審被告Yは,1審原告に対し,1審被告会社と連帯して5万円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。(1審原告は,当審において,1審被告Yに対する請求を追加した。) 2 附帯控訴の趣旨原判決中,1審被告ら敗訴部分を取り消す。 上記の部分につき,1審原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(以下,略語は原判決の例による。) 本件は,1審被告会社との間で,有期労働契約を締結し,同社の運営する郵便局(本件郵便局)において,所属課の上司である1審被告Yの下で郵便の集配業務に従事し,平成26年1月22日をもって退職したと主張する1審原告が,時間外労働を行ったにもかかわらず割増賃金が支払われていなかったとして,1審被告会社に対し, 告Yの下で郵便の集配業務に従事し,平成26年1月22日をもって退職したと主張する1審原告が,時間外労働を行ったにもかかわらず割増賃金が支払われていなかったとして,1審被告会社に対し,平成23年1月支給分から同年12月支給分までの未払賃金相当額 について,不法行為に基づく損害賠償請求として合計162万2328円及び各月ごとに13万5194円に対する時間外割増賃金の支給日(毎月24日)の翌日(各月25日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払(なお,予備的な主張として合計33万5220円の支払及び各月ごとに2万7935円に対する前同様の遅延損害金の支払)平成24年1月支給分から平成26年1月支給分までの未払賃金について,労働基準法37条に基づき,合計331万3157円の支払と,うち平成24年1月支給分から平成25年12月支給分までについては,それぞれ各月に支給されるべき金額に対する支給日の翌日である各月25日から上記退職日(平成26年1月22日)まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,退職日の翌日である同月23日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)6条1項所定の年14.6%の割合による遅延損害金,うち平成26年1月支給分6万8501円については支給日の翌日である同月25日から支払済みまでの同割合による遅延損害金の支払(なお,予備的な主張として平成24年1月支給分から平成25年12月支給分までの未払賃金について,合計67万0440円の支払と各月2万7935円に対する前同様の遅延損害金の支払)1審被告会社に対し,平成25年12月16日に勤務し,翌17日から退職日の前日である平成26年1月21日までの出勤日(23日間)については,年次有給休暇を使用したとして, 様の遅延損害金の支払)1審被告会社に対し,平成25年12月16日に勤務し,翌17日から退職日の前日である平成26年1月21日までの出勤日(23日間)については,年次有給休暇を使用したとして,未払賃金22万0800円(1日分の基本給9200円の24日分)及びこれに対する平成26年1月支給分(11日分の10万1200円)については同年1月25日から,同年2月支給分(13日分の11万9600円)については同年2月25日から,それぞれ支払済みまで賃確法6条1項に基づく年1 4.6%の割合による遅延損害金の支払1審被告会社に対し,の331万3157円と,次有給休暇に関する違反部分である21万1600円(9200円の23日分)の合計352万4757円について労働基準法114条本文に基づく付加金の支払とこれに対する判決確定の日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払1審被告Yが,1審原告に対し,年賀はがき等の商品販売についてノルマを達成できない場合に自費による商品買取りを強要した(本件買取強要行為)ことについて,1審被告Yに対し民法709条,1審被告会社に対し民法709条又は同法715条に基づき,連帯して商品購入額相当額の損害賠償金5万円とこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払1審被告Yが,1審原告に対し,暴言を発し,暴行を加えたとして,1審被告Yに対し民法709条,1審被告会社に対し民法709条又は同法715条に基づき,連帯して慰謝料100万円とこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払1審被告会社における時給制契約社員の労働条件は,労働契約法20条で禁止される不合理な労働条件に これに対する平成25年12月14日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払1審被告会社における時給制契約社員の労働条件は,労働契約法20条で禁止される不合理な労働条件に当たり,そのような労働条件を定めていることが不法行為であるとして,1審被告会社に対し,不法行為に基づく損害賠償として,慰謝料150万円(予備的に経済的損害81万4038円と慰謝料20万円の合計101万4038円)及びこれに対する毎月の損害発生日(給与支給日)の翌日(各月24日)から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払1審被告会社と1審被告Yの不法行為と1審原告が負担した弁護士費用に相当因果関係があるとして,1審被告会社に対し,不法行為に基づ く損害賠償として77万円及びこれに対する退職日である平成26年1月22日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 (平成23年1月支給分から同年12月支給分までの未払賃金相当額の損害賠償請求)(平成24年1月支給分から平成26年1月支給分までの未払賃金請求)の各請求について1審原告の主張する残業時間は認められないとしたものの,休憩時間の一部が業務に充てられていたとし,その部分について時間外手当が未払であることを認め,ただし,その時間を証拠によって認定することができないとして民事訴訟法248条を適用し,平成24年1月から平成26年1月支給分までの間の勤務日ごとに10分の範囲での未払に相当する部分(合計11万6760円と各支給日からの遅延損害金)の請求を認めて,その余の請求を棄却し(原判決主文第1項),(平成25年12月16日以降の未払賃金請求)については,平成25年12月14日に退職していたとして棄却の請求(付加金請 らの遅延損害金)の請求を認めて,その余の請求を棄却し(原判決主文第1項),(平成25年12月16日以降の未払賃金請求)については,平成25年12月14日に退職していたとして棄却の請求(付加金請求)の請求が一部認容された限度で認め(原判決主文第2項),④の請求(本件買取強要行為の不法行為に基づく損害賠償請求)については本件買取強要行為の存在を否定して請求をの請求(暴言,暴行の不法行為に基づく損害賠償請求)については1審被告Yが自認する限度で暴行等の存在を認めて慰謝料10万円と遅延損害金の限度で認容し(原判決主文第3項),⑥の請求(労働契約法20条違反による不法行為に基づく損害賠償請求)については不合理な差別があるとはいえないとして請求を棄却し,⑦の請求(1審被告会社に対する弁護士費用相当額の損害賠償請求)については5万円とこれに対する平成26年1月24日からの遅延損害金の限度で認めた(原判決主文第4項)。 1審原告が,これを不服として控訴をし,1審被告らが附帯控訴をした。 なお,1審原告は,当審において,については,原審における予備的請求の金額に原審が一部認容した昼休憩分の金額を加算した額まで請求を減縮し,附帯請求については,その起算日を全て最初の給与支給日とした上で,については,その利率を一律,賃確法に基づく割合(年14.6%)とする拡張をしの請求額を前提にした請求に減縮し請求原因として,を請求原因として追加して主張し(控訴の,損害額に関する主位的主張を撤回し,予備的主張の経済的損害について拡張し(全体としては減縮した。),遅延損害金の起算点を労働契約法の施行日である平成25年4月24日として附帯請求を拡張し請求元金を減縮すると共に遅延損害金の起算点を平成25年12月14日として附帯請求を拡張し は減縮した。),遅延損害金の起算点を労働契約法の施行日である平成25年4月24日として附帯請求を拡張し請求元金を減縮すると共に遅延損害金の起算点を平成25年12月14日として附帯請求を拡張し,1審被告Yに対する請求を追加(訴えの変更)した。 したがって,の各主位的請求との請求については当審の審理の対象ではない。 2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,原判決を後記3のとおり補正し,同4及び5のとおり,当審における補充主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」の2ないし4(原判決5頁24行目から29頁15行目まで。ただし,引用される別紙を含む。)に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 原判決の補正原判決6頁21行目から25行目を「ウ 1審原告は,平成25年12月14日,1審被告会社を退職した。」と改める。 同7頁14行目を削除し,15行目冒頭の「エ」を「ウ」と改める。 同8頁1行目から9頁5行目までを削除する。 同9頁6行目冒頭の「」を「ア」と,同7行目の「12」を「12の1ないし3」とそれぞれ改め,同15行目の「(二次的主張)」及び同22行目の「甲7」をいずれも削除する。 同10頁18行目と19行目の間に次のとおり加える。 なお,1審原告は,昼休憩時間45分のうち,少なくとも平均して1日当たり10分間は休憩をとれなかった。この点の時間外労働に対する未払賃金は,平成24年1月からの2年間に限ってみても,平成24年10月支給分まで合計4万3083円,同年11月支給分から平成25年4月支給分までが合計2万8875円,同年5月支給分から平成26年1月支給分(平成25年12月14日勤務分までの分)までが合計4万4802円の合計11万6760円になる。 11月支給分から平成25年4月支給分までが合計2万8875円,同年5月支給分から平成26年1月支給分(平成25年12月14日勤務分までの分)までが合計4万4802円の合計11万6760円になる。」同13頁8行目冒頭から15行目の「また,」までを削除する。 同14頁2行目から15頁23行目までを削除する。 同16頁2行目の「331万3157」を「78万7200」と改める。 同4行目から10行目までを削除する。 同16行目冒頭の「」を「」と改める。 同」を「」と改める。 同18頁22行目冒頭の「」を「」と改める。 同19頁24行目冒頭の「」を「」と改める。 同20頁4行目の「これにより」から6行目の「20万円」までを「これにより99万0324円」と改める。 同18行目から22行目までを削除する。 同 同21頁1行目から7行目までを削除する。 冒頭る。 同18行目の「これにより,」から20行目末尾までを次のとおり改める。 「これにより,1審原告は,平成25年4月1日以降,63万4630円(25万1838円×0.7×1.8×2回)の損害を被った。」同21 同勤務手当」を削除する。 同23行目の「他方,」から24行目末尾までを削除する。 同23頁26行目の「主位的には,」から24頁7行目末尾までを次のとおり改める。 「前記ア記載のとおりの経済的損害として合計99万0324円の損害を受けた。」同24頁20行目から25頁1行目までを削除する。 同14行目から18行目までを削除する。 と改める。 当」を削除する。 同27頁11行目から18行目までを削除する。 同29頁8行目から13行目 同14行目から18行目までを削除する。 と改める。 当」を削除する。 同27頁11行目から18行目までを削除する。 同29頁8行目から13行目を次のとおり改める。 「 1審原告は,本件訴訟追行のために弁護士を訴訟代理人として選任せざるを得なかったところ,そのために要した弁護士費用のうち77万円は,1審被告らの各不法行為と因果関係のある損害であるが,少なくともそのうち16万円が賠償されるべきである。 また,1審被告Yも1審被告会社と共同して不法行為に及んだものというべきであるから,1審被告会社と連帯して同額の支払をすべきである。 なお,遅延損害金の起算点は平成25年12月14日である。」 4 当審における1審原告の補充主張超過勤務時間についてアこの点について,昼休憩時間以外の残業を認めなかった原判決は誤りである。 原判決が認定の基礎とした超勤命令簿(乙4)については,それと対査されているという終業時刻記録簿(乙5)の記載は,従業員が超勤命令簿に記載された時刻を記入しているだけのものであるから,それによって記載内容の信用性が担保されているとはいえない。その記載に当たっても,1審被告会社が作成した超勤命令簿と異なる時刻を記入することができるような環境ではない。実際にも,終業時刻記録簿に記入された就業時間が5分刻みになっていることから,現実の就業時刻が記載されていないことが明らかである。 超勤命令簿についても,手書きの帳簿では従業員が勤務先の意向を忖度せざるを得ないことから正確に記載されることは期待できない。そもそも,正確な記載が期待できないからこそ,平成29年1月20日付け「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(甲16)や とから正確に記載されることは期待できない。そもそも,正確な記載が期待できないからこそ,平成29年1月20日付け「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(甲16)や,平成13年4月6日付けのいわゆる「厚生省46通達」(甲17)でタイムカードなど,自動的,客観的に勤務時間を記録する手段を採ることを雇用者としての責務としているのである。 1審原告についてみても,平成25年12月は出勤日が少ない割に残業時間が多いが,これは毎年12月の残業時間が多いわけではないことからして,1審原告が退職を決意した時期で1審被告会社の意向を気にする必要がなくなり,実際の残業時間を記載したためである。 平均すれば午後9時まで残業していたという1審原告の述べるところにも一定の信用性があり,少なくとも1審被告会社の反証(乙4)を弾劾することはできている。 イまた,1審被告会社が用いている「想定超勤」の数値は,事前に登録した基準たる配達物数(基準物数)と当日の配達物数の比較から算出されるが,少なくとも,傾向として想定超勤時間の数値が増えれば,当日の配達物数が増加しているのであり,残業が増えるはずで,想定超勤時間が0の日は残業がない,あるいは少ないということがいえる。したがって,想定超勤時間が0の日の1出勤日当たりの記録上の残業時間のうち想定超勤時間(0分)を超える部分の方が,全ての超勤日の1出勤日当たりの記録上の残業時間のうち想定超勤時間を超える部分より長ければ,その差はサービス残業といえる。その平均をとると1日当たり53分程度であった(原照)。 ウよって,1審原告は,1審被告会社に対し,原判決が認めた昼休み時間に相当する残業に加え,稼働1日当たり53分の残業に対する残業代として67万0440円の請求権を有して 程度であった(原照)。 ウよって,1審原告は,1審被告会社に対し,原判決が認めた昼休み時間に相当する残業に加え,稼働1日当たり53分の残業に対する残業代として67万0440円の請求権を有している。 なお,遅延損害金の起算日は最初の支払期日の翌日である平成24年1月25日からであり,損害金の利率については賃確法に基づき年14. 6%の割合とすべきである。 エなお,昼休み時間について,1審被告Yは,業務過多により1審原告が休憩をとれないことも把握した上で昼休憩をとるように言っており,その改善のためにアルバイトを雇用しようとしていた。 オまた,1審原告が訴外で未払賃金を請求する2年以上前から3年前までの残業代相当額33万5220円についても不法行為に基づく損害賠償として支払が命じられるべきである。 なお遅延損害金(年5%)の起算日は最初の支払期日である平成23年1月24日とすべきである。 カさらに,付加金については,ウ同様の金額(67万0440円)の支払(遅延損害金の起算日は判決確定の日の翌日から支払済みまで年5%の割合)が命じられるべきである。 1審被告Yの不法行為についてア給湯室での暴行について証拠(甲6の480,481,483ないし485項のやりとり,486,487項で1審被告Yが話題をそらそうとしていること)から,1審被告Yが,1審原告の襟首をつかんで給湯室に投げつけた(押し投げた)ことは明らかであり,1審被告Yも1審原告の襟首をつかんでいたこと自体は否定していない。そうであれば,1審原告が頚椎捻挫の傷害を負っても何ら不自然ではない。 1審原告が退職届を出した際,走って逃げた事実はない。そのようなことがあれば1審被告Yが追いついて後ろ襟をつかむことは困難なはずである。退職届を出した理由を 傷害を負っても何ら不自然ではない。 1審原告が退職届を出した際,走って逃げた事実はない。そのようなことがあれば1審被告Yが追いついて後ろ襟をつかむことは困難なはずである。退職届を出した理由を確認するのであればほかに穏当な方法はあったのであり,1審被告Yの行動は社会的相当性に欠ける。 なお,仮に1審被告Yの暴行の態様が,原判決認定の限度であるとしても,それによる慰謝料額は10万円を上回る。 イ自爆営業の強要について証拠(甲5)のとおり,1審原告はレターパック約40通を今も自宅に保管している。1審被告会社の一従業員にすぎない1審原告が,私用でかように大量のレターパックを購入する必要はないから,1審被告会社の課 したノルマと上司の圧力により購入せざるを得なかったことは明らかである。 労働契約法20条違反についてア 1審原告は,有期契約労働者である期間雇用社員のうち時給制契約社員であり,郵便局等での一般的業務に従事し,時給制で給与が支給されるものとして採用された者と定義され,雇用契約期間は6か月以内と定められている。その業務内容は,郵便の外務事務及びその他これに付随,関連する業務であり,転居を伴う配置転換はない。 また1審原告は,特定の曜日,時間帯に勤務することを前提とした雇用契約をしていないから,そのような時給制契約社員がいることは,1審原告の労働条件を判断するに当たり無関係である。 1審被告会社の平成26年4月以降の新人事制度を前提とすれば,郵便外務業務について,主として標準的な業務に従事し,担当業務を効率的に遂行し,安定的かつ継続的な組織運営に貢献することとされ,主任や課長代理などへの昇任,昇級はないものとされ,原則として転居に伴う転勤がないとされる新一般職が,1審原告との比較対象となる正社員である。1 行し,安定的かつ継続的な組織運営に貢献することとされ,主任や課長代理などへの昇任,昇級はないものとされ,原則として転居に伴う転勤がないとされる新一般職が,1審原告との比較対象となる正社員である。1審原告は,同人事制度施行以前に在職していたため,直接,これと比較することはできないが,その当時も正社員の中には課長以上の役職に昇進するものもあれば,主任までしか昇進しない者があり,後者は,上記の新一般職とほぼ同様の状況にある。 したがって,労働契約法20条の適用のために1審原告と比較すべき対象となる正社員は,せいぜい主任までの正社員とすべきである。 イ職務の内容(業務の内容及び責任の程度)当該職務の内容及び配置の変更の範囲及びその他の事情が不合理性の考慮要素となるところ,立法経緯からみても文言解釈からしても,賃金が労務提供の対価であるという賃金の性質論に照らしても, が重視される必要がある。 1審原告が担当していた職務の内容は,主任・担当レベルの正社員と全く同一であった。 業務としての担当配達区における配達業務,その際に生じた苦情対応,シフトへの組み込み(正社員の勤務を交代することもある。)などが正社員と同一であることはもちろん,超過勤務や配達支援なども正社員と区別なく命じられる。郵便事故対応についても,担当区については対応が求められており,スキル評価の中に苦情・申告の対応ができるという項目が含まれている。苦情対応は初期対応こそが重要である。苦情処理がこじれた場合に限って,役職者が対応することになるだけであり,正社員がこれを引き継ぐことはまずない。 営業の販売目標も正社員と同様に設定される。販売目標を達成することができなければ,時給制契約社員のスキル評価のうち基礎項目とされる「管理者,正社員,リーダーの指示を理 れを引き継ぐことはまずない。 営業の販売目標も正社員と同様に設定される。販売目標を達成することができなければ,時給制契約社員のスキル評価のうち基礎項目とされる「管理者,正社員,リーダーの指示を理解して対応している。」を「×」とされることもあり得るのであり,その場合には時給が10円下がる。上司から営業活動を指示されるに当たり,次の契約はない,正社員登用に合格しないなどと言われることもあり,事実上のノルマになっている。正社員は取組状況が判断指標とされているのに対し,時給制契約社員は結果だけで判断されることからより厳しい状況におかれているといえる。 ミーティングに平の正社員が参加することはほとんどない。 管理職に当たらない担当・主任レベルの平社員は転居を伴う配置転換はない。郵便局をまたぐ配置転換すら例外的である。 他方,時給制契約社員は雇止めと同時に別の局で雇用される形で実質異動する場合がある。 正社員については,就業規則上,課長代理以上への昇任が可能ではあ るものの,平成25年4月1日時点で正社員のうち管理職は43%にとどまっており,転勤を伴わないものが大多数である。昇任等の抽象的な可能性をもって議論するのであれば,時給制契約社員であっても正社員に登用され昇任等をしていく可能性はある。 正社員登用制度があることは,労働契約法自体に無期契約労働者への転換の可能性があることを予定している(18条)ことからも,また,将来における格差解消の可能性という不確定要素によって現在の不合理その他の事情として考慮すべき事情には当たらない。むしろ,選抜基準に合理性があり,容易に登用されるということであれば,より一層,非正規労働者の処遇は正規労働者に近づける必要があることになる。 仮に考慮することができるとしても,1審被告会社におけ むしろ,選抜基準に合理性があり,容易に登用されるということであれば,より一層,非正規労働者の処遇は正規労働者に近づける必要があることになる。 仮に考慮することができるとしても,1審被告会社における正社員登用制度は,合格率27~28%程度で,期間雇用社員の比率は毎年ほぼ一定であり,試験内容も必ずしも業務と関連しないという事情からすると,人事政策で裁量的に登用しているにすぎず,能力本位で一定の水準に達すれば採用しているとはいえない全く不十分なものである。 労使交渉を経て定められた就業規則であることは,労働契約法20条が強行法規であることからすれば,考慮要素とすべきではない。仮に考慮要素となるとしても従前の労使交渉の経緯については,労働者側の代表者である組合が,正社員のみならず非正規労働者の利益も等しく代表することができている場合に限られるというべきである。特に,1審原告は入社と同時にJP労組に加入するのが当然との説明を受け,またそうしなければ入社できないと考えて加入したにすぎないのであり,そのような組合が非正規労働者の利益を代表しているとはいえない。 の要素として考慮すれば,それは単なる現状追認となるから,考慮要素とならない。 ウまた,有期契約労働者と無期契約労働者の格差の不合理性の判断は個々の労働条件ごとに判断されるべきで,仮に両者の職務の内容に差があるとしても,当該労働条件の趣旨とかかる差異との関係が希薄であれば,当該労働条件の差異は不合理であるということになる。 さらに,手当の趣旨に関し,無期契約労働者としての長期的な勤続を確保するためのインセンティブを与えるためという説明は,結局,無期契約労働者であるから手当を支給するというのと同義であり,雇用期間が有期か無期かで支給の有無を決めていることほかならない。かか 勤続を確保するためのインセンティブを与えるためという説明は,結局,無期契約労働者であるから手当を支給するというのと同義であり,雇用期間が有期か無期かで支給の有無を決めていることほかならない。かかる趣旨による格差を認めることは,労働契約法20条の趣旨に反する。 なお,そもそも1審被告会社が,一部の手当について,正社員にインセンティブを与えるために支給していることを示す客観的資料は存在しない。 むしろ1審被告会社においては,19万人以上も期間雇用社員を雇用し,その勤続期間を長期化させている反面,正社員には早期退職を促しているという実態があり,かかる実態を踏まえれば,正社員に長期勤続へのインセンティブを与える趣旨の手当が存在するなどとはいえないはずである。 エ各論基本賃金・通勤費時給制契約社員は出勤日数が1か月21日以下の場合は,正社員より少ない賃金,通勤費しか支給されない。いずれも,正社員と同様のシフト勤務に入っている時給制契約社員については,その出社日数や業務内容からして,差別的取扱いをする理由がない。 1審原告は,その就労期間において1か月が21日以下の勤務日数となった3か月間に関し,基本賃金について3日分の合計2万7600円,通勤費について同じく3日分の360円の損害を被った。 祝日給祝日給は,祝日に勤務することが社会生活,家庭生活等の観点から平 日の勤務に比べて過重であるため,その過重性の対価として支給されているものである。 正社員も時給制契約社員ももともとの業務内容は同一であり,祝日における勤務内容も同一である。同手当が支給される上記趣旨に照らすと配転の有無なども無関係である。 同手当が設けられた歴史的な経緯については,労働契約法20条が定められた以上,時給制契約社員と正社員を差別することにつ 一である。同手当が支給される上記趣旨に照らすと配転の有無なども無関係である。 同手当が設けられた歴史的な経緯については,労働契約法20条が定められた以上,時給制契約社員と正社員を差別することについて,合理性があることの根拠とはなり得ない。その上,1審被告会社はシフト制勤務の会社であり,祝日に勤務すればその分平日が当然に振替休日となるから勤務日の日数は変わらない。 これにより,1審原告は,祝日1日当たり8時間と平均的なサービス残業時間53分の勤務をしており,労契法20条が施行された平成25年4月1日以降に4日間の祝日勤務をしたことにより,5万5164円(9200円÷8×(8+53÷60)×1.35×4)の不利益を被った。 早出勤務等手当夜間勤務については,そもそも運転に気を遣う必要がある上に,時間帯指定の郵便が集中し,通常の配達区以外も担当する必要があることなど,負荷の大きい業務であることから,同様の業務に従事する時給制契約社員にその支給がないのは不合理である。 同手当について,正社員が4時間以上の勤務を前提に支給されるとしても,通常,正社員は8時間勤務であるので,その支給対象から外れることはない。 歴史的な経緯が,同手当についての差別の合理性を基礎付ける事情といえないことは前記のとおりである。 1審原告は,同手当につき,正社員と比べて12日間について150 円,10日間について350円不利益に扱われたことになるから,平成25年4月1日以降,合計5300円の不利益を被った。 臨時手当(夏期,年末賞与)臨時手当は,当該手当の対象期間において業務を遂行し,会社に貢献したことの対価である。1審原告が正社員と同様に勤務シフトに組み込まれ,同様の業務を遂行してきたことは既に述べたとおりである。 1審被告会社の臨 ,当該手当の対象期間において業務を遂行し,会社に貢献したことの対価である。1審原告が正社員と同様に勤務シフトに組み込まれ,同様の業務を遂行してきたことは既に述べたとおりである。 1審被告会社の臨時手当については,支給に際し,その裁量を認める規定がなく,一定の期間勤務をしていれば支給対象となる性質のものである。 配置転換の有無は,臨時手当の支給要件には含まれていない。また,支給要件として長期雇用のインセンティブなどという要件は規定されていないし,その趣旨を反映した要件もない。インセンティブなどという抽象的な事情で判断すると全ての処遇の差がそれによることにされかねない。 そもそも,1審被告会社においては,時給制契約社員の臨時手当の支給に際し,「0.3」という係数を乗じる形になっており,これは正社員に比して3分の1以下であるところ,このような格差を生じさせる合理的な根拠はない。 金額の決定について労使交渉が行われていることを合理性を基礎付ける事情として考慮するためには,その前提として労働組合が非正規労働者の意見を適正に反映していたことまで明らかにされる必要がある。 同一労働同一賃金ガイドライン案(平成28年12月20日)においても,賞与について会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合,フルタイム労働者と同一の貢献をした有期雇用労働者には貢献に応じた部分について同一の支給をしなければならないとしている。 これにより1審原告は合計63万4630円の不利益を受けた。 作業能率手当(正社員の外務精通手当等)1審原告が担当する職務内容について正社員との差異はない。時給制契約社員については,業務の習熟度について評価基準により評価され,これは時給決定の基準となるだけで,正社員であれば支払われる外務精通手当は支払われな する職務内容について正社員との差異はない。時給制契約社員については,業務の習熟度について評価基準により評価され,これは時給決定の基準となるだけで,正社員であれば支払われる外務精通手当は支払われない。Aランクに達した時給制契約社員のみ一定額の作業能率評価手当が支給されるのみである。 一方,正社員は,職務の広さ及び習熟度が評価されて昇給の際に加算があることに加えて,郵便外務手当,区分能率手当,配達能率手当が支給される。 正社員に対してのみ,昇給の際の加算に加え,これら手当が支給される合理的理由はない。 1審原告は,正社員に比較し,配達能率手当と外務精通手当を併せて合計10万6620円の不利益を被った。 外務業務手当外務業務手当は正社員のみに支給され,時給制契約社員には支給されていない。 外務業務手当は,内務労働に比して外務労働の負荷が重いことから設けられたというべきである。給与規程変更前から外務業務員の給与の方が高く,それは業務の重さに由来するとしかいえないはずである。 正社員間の業務による負担の公平化を図るために設けられた手当であるならば,同様の業務に従事する時給制契約社員と正社員の差別に合理性があるとはいえない。 1審原告がJP労組の組合員であったことは事実であるが,労働契約法20条に反する労働協約は無効であるし,JP労組と1審被告会社との労働協約の存在を差別の合理性の根拠とするには,JP労組が非正規労働者の意見をいかに適正に取り上げて交渉に臨んだかということまで 明らかにされる必要がある。 1審原告は,かかる手当に関し,正社員との比較において最低でも10万5450円の不利益を被った。 夏期・冬期特別休暇正社員は夏期及び冬期に有給でそれぞれ3日ずつの特別休暇を取得することができるのに対し,時給制契 当に関し,正社員との比較において最低でも10万5450円の不利益を被った。 夏期・冬期特別休暇正社員は夏期及び冬期に有給でそれぞれ3日ずつの特別休暇を取得することができるのに対し,時給制契約社員にはこれらの休暇が付与されていない。 しかし,特別休暇付与の趣旨を考えてみると,取得要件は在籍日のみであり,勤務期間の長短は一切要件に組み込まれておらず,長期にわたり1審被告会社に貢献するインセンティブは含まれていない。むしろ,お盆と年末年始を休暇とする国民的慣習によるものである。 したがって,同様の時期に業務に従事する時給制契約社員と正社員を差別する合理的理由はない。 1審原告は,この点について5万5200円の不利益を被った。 なお,遅延損害金の起算日は,労働契約法20条施行後の初めての給与支給日である平成25年4月24日とすべきである。 5 1審被告らの主張超過勤務時間についてア 1審被告会社において従業員に対し,超勤命令簿への押印を強制しているような事情はなく,終業時間が5分刻みになっているのは超勤命令が5分刻みで行われているからにすぎない。1審被告会社においては,1審原告が主張するガイドラインにいう使用者が自ら現認することにより確認し,適正に記録することを実践している。 外務業務については,想定超勤時間を前提に,業務運航計画,応受援の必要性等を検討し業務内容を確定して運行される(想定超勤時間を踏まえて当日の業務内容を増減させた上で実際の業務が実施される)のだから, 想定超勤時間と時間外勤務が比例する傾向にあるとはいえない。 イ 1審被告会社では,本件郵便局において,8時から16時45分までの勤務については,13時から13時15分までの15分間を休息時間(期間雇用社員就業規則(乙2)22条),13時1 とはいえない。 イ 1審被告会社では,本件郵便局において,8時から16時45分までの勤務については,13時から13時15分までの15分間を休息時間(期間雇用社員就業規則(乙2)22条),13時15分から14時までの45分を休憩時間(同23条)とし,休息時間はそもそも正規の勤務時間に含まれており,休憩時間については業務の都合で取得できなかった場合は振り替えて取得するとされ(同23条3項),そのように指導していた。 1審被告Yが,1審原告との面談時に昼休みがとれていない旨の1審原告の訴えに対し,わかっている旨回答しているが,それが,休息時間を超えて休憩時間に及んでいるかどうかも明らかではなく,ほかに,昼の休憩時間が勤務に充てられていたことを示す証拠はない。 1審被告Yの不法行為についてア 1審被告Yが,1審原告の後ろ襟をつかんだこと,そのまま給湯室に連れて行ったことは,1審原告が,退職届を投げてよこし,呼び止められたにもかかわらず立ち止まることなく逃げるように走って行ったことや,話の内容からして他の社員に聞かれるのを避ける必要があるためやむを得ずしたものであるから,社会的相当性を欠くとはいえない。 給湯室での暴行に関し,1審原告の主張は録音反訳(甲6,7)中の都合のよい部分のみを取り出して主張するものであり,到底認められるものではない。 イ自爆営業の強要との主張に関しては,証拠(甲5)のみをもって,それが強要された結果だとはいえないし,そもそも甲第5号証の写真に写るものの全てを1審原告が購入したことを明らかにする証拠もない。 労働契約法20条違反についてア労働契約法20条については,その文言上,同条の掲げる要素を考慮してもなお不合理かどうかが判断できない場合には同条違反には当たら ず,ここにいう不合理 労働契約法20条違反についてア労働契約法20条については,その文言上,同条の掲げる要素を考慮してもなお不合理かどうかが判断できない場合には同条違反には当たら ず,ここにいう不合理とは,有期契約労働者の労働条件が,同条の趣旨に照らして,無期契約労働者のそれに比較し法的に否認すべき内容ないし程度で不公正に低いものをいうと解される。そして,同条が労使間の私的自治に対する例外的な法的介入を定めたものであること,無期契約労働者と有期契約労働者の処遇は,会社の人事制度全体との整合性を考慮しつつ,両者の人材活用の仕組み,運用の違いの内容・程度や,従前の労使交渉の経緯も踏まえて総合的に検討されるべきであり,このような複雑な利益調整は,可能な限り,労使間の交渉に委ねられるべき事柄であることからすれば,法的に否認すべき内容ないし程度であるといえるか否かは,会社の経営・人事制度上の施策として不合理といえる程度にまで至っているか否かによって判断すべきである。 また,1審被告会社においては従業員区分に応じて人事制度,賃金体系等を全く別個に詳細に設計し,運用してきており,同一名称の手当の支給の相違にだけ注目し,正社員就業規則等の一部の条項を取り出して不合理性を論じることは不適切である。 さらに,同条の定める判断要素のうその他の事情として,様々な事情が考慮されるべきであり,本件では,1審被告会社の手当,休暇制度の歴史的経緯や労使交渉の状況,正社員登用制度の存在及び運用状況といった点は,その他の事情として十分に考慮すべきである。 1審原告が退職した時点においては新人事制度の導入前であり,1審被告会社に勤務する正社員は旧一般職(現在の地域基幹職)の者しかいなかった。したがって,労働契約法20条の適用を検討するに当たり,1審原告の就労条件を た時点においては新人事制度の導入前であり,1審被告会社に勤務する正社員は旧一般職(現在の地域基幹職)の者しかいなかった。したがって,労働契約法20条の適用を検討するに当たり,1審原告の就労条件を新人事制度の一般職と比較することなどあり得ない。 1審被告会社の旧一般職は,役割,キャリアパスに連動した研修を実施しつつ,昇任,昇格していく中で将来的に求められる職務及び責任を 担っていくことを想定される人材である。 1審原告が参酌すべきと主張するガイドライン案は,労働契約法20条に基づくものではなく,その解釈指針を示したものともされていない。 むしろその前文には,後の法改正の指針とされることが予定されている旨記載されている。したがって,現行の労働契約法20条の解釈に当たってガイドライン案は参酌されるべきではない。 イ1審被告会社の正社員と時給制契約社員の間には,業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度に大きな相違があり,これは採用,人事評価制度,人材育成・研修制度及び苦情等の対応責任などにおける取扱いの違いに反映されている。 正社員は,様々な業務に幅広く従事し,事務職や企画職,管理業務を担うことも想定されているのに対し,時給制契約社員は特定の定型業務のみに従事する。 正社員については管理職についた者が管理業務に従事することはもとより,そうでない者もその業務を補佐し,優先的にシフトの穴埋めを行うなどの姿勢が求められる。時給制契約社員は,定型業務を適式に処理することが求められるのみである。また,時給制契約社員には,勤務時間の長さや勤務時間帯,勤務曜日を限定して就労している者があり,これら者はその他のシフトには入れられない。 採用に当たっても正社員は長期にわたり1審被告会社に勤務することを前提に応募資格を制限し,志望理由を 勤務時間帯,勤務曜日を限定して就労している者があり,これら者はその他のシフトには入れられない。 採用に当たっても正社員は長期にわたり1審被告会社に勤務することを前提に応募資格を制限し,志望理由を明記させ適性検査と複数回の面接を経て厳格な要件の下で,慎重な手続を踏んで採用するのに対し,時給制契約社員は簡易な採用手続をとっている。 人事評価に当たっても正社員は業績評価と職務行動評価から構成され,業務についてのみならず,自己研さん,状況把握力,論理的思考力,チャレンジ志向の有無なども評価要素となっている一方,時給制契約社員 は極めて簡易な評価項目となっている。営業活動についても正社員は人事評価の一要素となっているのに対し,時給制契約社員については指標の達成に向けた取組状況を評価する人事評価項目は存在しない。なお,1審原告は営業成績が販売目標値を達成していなかったが,自己都合退職するまで雇用契約が更新されてきた。 研修の内容等にも相違がある。 苦情対応についても,初動対応は時給制契約社員も行うものの,1審被告会社を代表して責任ある者が対応する必要がある場合は正社員が行っている。 また,配転及び昇任,昇格の有無の点でも大きな相違がある。 正社員については,就業規則で出向,転籍又は就業場所又は担当職務の変更を命じることがあり得る旨明示されており,支社エリア内での局間異動や支社への異動等が命じられる可能性がある。実際に幅広い経験をさせることを主たる目的としつつ配転が行われている。時給制契約社員についてはそのような異動は行われない。局の閉鎖等に伴い勤務する局が変わる場合があるが,本人の同意がある場合に限られ,業務命令による異動とは異なる。 正社員は,おおむね5年目頃に主任に昇任し,その後,課長代理,15年目頃には相当数が課 の閉鎖等に伴い勤務する局が変わる場合があるが,本人の同意がある場合に限られ,業務命令による異動とは異なる。 正社員は,おおむね5年目頃に主任に昇任し,その後,課長代理,15年目頃には相当数が課長に昇任している。進んで昇任,昇格しない者も一定数存在するが,それを実現し得る立場にあり,また期待される立場であることは他の正社員と何ら変わらない。時給制契約社員に職位はなく,昇任,昇格もない。 手当,休暇制度の歴史的経緯は,その他の事情として考慮されるべきである。1審被告会社がもともと国家事業であった郵便事業を民営化したもので労働条件が法律で定められており,民営化時にも法律に基づきそれを承継している点からも,一般的な民間企業と異なる歴史的経緯が 諸条件の合理性判断に影響することは明らかである。 また,1審被告会社は日本郵政グループ労働組合(JP労組)との間で労使交渉を経て労働協約を締結しており,1審原告は退職するまでの間,JP労組の組合員として労働協約の適用を受ける立場であったところ,本件訴訟は,自身の所属していた労働組合が1審被告会社との間で合意していた労働条件について,退職後,不合理な差別と主張するものである。 さらに,1審被告会社においては正社員登用制度が設けられており,時給制契約社員と正社員の労働条件の相違は固定的なものではない。 1審被告会社の人事制度,賃金体系等は社員の区分ごとに別個独立の体系として詳細かつ複雑に設計されており,一部の条項を抜き出して比較し時給制契約社員の契約内容とすることは全体的な人事制度,賃金体系を破綻させるもので,解釈の範囲を超えた契約条項の書換えである。 正社員と時給制契約社員の間の期待される役割,職責の相違は典型的には正社員に対しては年功や生活保障の観点も考慮した基本給や諸手当も 系を破綻させるもので,解釈の範囲を超えた契約条項の書換えである。 正社員と時給制契約社員の間の期待される役割,職責の相違は典型的には正社員に対しては年功や生活保障の観点も考慮した基本給や諸手当も支払う一方で時給制契約社員は時間給を中心とした賃金を支払っていることにも表れているように,賃金体系,休暇制度等を含む労働条件全体に反映されている。 幅広い職務経験をし,重い職責を担うことを期待される正社員には,有為な人材を採用し長期にわたり就労を継続してもらう必要があり,そのためには人事上の諸制度,諸手当等を手厚くする必要がある。かようなインセンティブをどのような従業員にどの程度与えるかはまさに企業の経営判断とも関わる裁量の広く認められるべき事項である。 エ以上に述べてきたことからも,1審被告会社における正社員と時給制契約社員の労働条件の相違に不合理な差がないことは明らかであるが,以下のとおり個別の労働条件についてみても不合理な差はない。 基本賃金・通勤費そもそも時給制契約社員が実際に働いた時間数に応じて賃金を支払う形態をとっていることから生じる差であり,1審原告の主張は全く当を得ないものである。 祝日給社会一般には休日とされる祝日に勤務することに対する配慮としては時給制契約社員にも正社員と同様の割増賃金が支払われている。 正社員に対する祝日給の制定の経緯は原審で述べたとおりであり,時給制契約社員とは,その歴史的背景が異なることや,祝日がそもそも勤務日であるか否かの点で相違があることから,不合理な差ではない。 早出勤務等手当時給制契約社員は採用の際に早朝や夜間の時間帯に勤務することを前提に契約している。早出勤務等手当は,本来その勤務時間がそのような時間帯ではなく,勤務シフトによってイレギュラーにそのよう 勤務等手当時給制契約社員は採用の際に早朝や夜間の時間帯に勤務することを前提に契約している。早出勤務等手当は,本来その勤務時間がそのような時間帯ではなく,勤務シフトによってイレギュラーにそのような時間帯に勤務することになる正社員に対して支給される手当であるから,時給制契約社員に支給されなくとも何ら不合理ではない。 なお,時給制契約社員については,そもそも時給が夜間帯に勤務する者については高めに設定され,かかる時間帯の勤務について割増賃金も支給されている。 その上で,早朝夜間割増賃金は,労働基準法37条に規定される割増賃金とも異なっており,また深夜割増賃金の割増率は時給制契約社員の方が高くなっていることや,勤務1回につき一定額を給付することになっているなど,制度設計が正社員と異なることにも留意すべきである。 また,正社員については当該勤務に4時間以上勤務した場合に支給されるが,時給制契約社員は当該勤務に1時間以上勤務した場合に支給されるという要件の相違もある。 そのほか,正社員には長期間就労を継続してもらうためのインセンティブとして支給されている面もある。 臨時手当(夏期・年末賞与)臨時手当については,各社員の1審被告会社への長期にわたる貢献度に対するインセンティブを付与する目的で支給されている。 そもそも一定の在職要件があることから,単なる対象期間に業務を遂行したことへの対価でないことは明らかである。 そして,支給に際し正社員と時給制契約社員の計算式が相違しているのは歴史的経緯によるものであるし,計算式の定数は労使交渉の結果を踏まえて定められてきたものである。 作業能率手当(正社員の外務精通手当等)郵便外務業務精通手当等は平成16年4月の給与制度改革で正社員の基本給及び手当の一部を原資として,支給項 交渉の結果を踏まえて定められてきたものである。 作業能率手当(正社員の外務精通手当等)郵便外務業務精通手当等は平成16年4月の給与制度改革で正社員の基本給及び手当の一部を原資として,支給項目を組み替えて支給されることになったものであるから,時給制契約社員に支給すべき理由がない。 手当の目的をみても郵便外務業務精通手当等は,正社員の担当する職務の精通度合いに応じて支給されるものであるところ,時給制契約社員には資格給の加算として同様の支給がされている。別個の制度設計で運用されているにもかかわらず,時給制契約社員にさらに正社員と同様の郵便外務業務精通手当等を支給するのは賃金体系を破綻させるものである。 なお,正社員の基本給の基礎昇給は1年間懲戒処分や休職等がなく勤務したことを評価して昇給が行われるものであり,上記の手当や資格給とは対象が異なる。加算昇給も正社員としての多岐にわたる評価項目から行われるもので担当業務のみの習熟度から支給される時給制契約社員の資格給とは異なる。 外務業務手当 外務業務手当は,正社員間の公平を確保するために支払われていた基本給の一部を手当化し,より柔軟な職員配置を可能としたものであって,時給制契約社員に支給されるべき理由がない。 また,時給制契約社員については,労使交渉を経て外務業務に従事することに対し,基本給に加算がされる賃金体系となっており,独立に反映されている。別個の制度設計で運用されているものを一方的に取り込むことは賃金体系を破綻させるものである。 夏期・冬期特別休暇夏期・冬期休暇の制度は,正社員に長期雇用に対するインセンティブを付与するために設けられている。もともと郵政省時代に導入された制度に端を発するものでもあり,インセンティブをどの範囲の従業員に与えるかについて 休暇の制度は,正社員に長期雇用に対するインセンティブを付与するために設けられている。もともと郵政省時代に導入された制度に端を発するものでもあり,インセンティブをどの範囲の従業員に与えるかについては企業に裁量が広く認められることから不合理とはいえない。 冬期休暇は12月29日から31日までを年末年始特別休暇の対象期間から外したことによる代償措置として設けたものであって代休ではない。 オなお,1審原告の業務内容が郵便の外務事務及びその他これに付随,関連する業務であり,転勤を伴う配置転換はないとされていることは争わない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,本件各控訴のうち,労働契約法20条違反による不法行為に関する点及びそれに伴う弁護士費用の請求に関する部分には,一部理由があるが,その余の点についてはいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおり原判決を補正し,後記2のとおり当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほか,原判決「第3 当裁判所の判断」(原判決29頁16行目から52頁6行目まで。ただし,引用される別紙を含み,同41頁5行 目から同42頁5行目までは除く。)に記載のとおりであるからこれを引用する。 原判決38頁24行目及び同39頁2行目の「恒常的に」を「平均的に」と改める。 同40頁16行目と17行目の間に次のとおり加える。 「1審被告会社が,超勤命令簿の正確性を精算調書,終業時刻記録簿及び点呼記録簿で精査した結果,超勤命令簿と異なるところがあるり,本訴提起後に1審原告に対し,この部分についての未払賃金及び遅延損害金は支払済みである。」同41頁4行目と5行目の間に次のとおり加える。 なお,1審原告が訴訟外で未払賃金を請求した日から2年以上前の昼休憩時間中の時 ,この部分についての未払賃金及び遅延損害金は支払済みである。」同41頁4行目と5行目の間に次のとおり加える。 なお,1審原告が訴訟外で未払賃金を請求した日から2年以上前の昼休憩時間中の時間外労働についても,同様に存在していた可能性はある。 もっとも,これが仮に存在していたとすれば,1審原告は,それに相応した未払賃金請求権を取得することになるから,時間外労働をしたことによる損害があるとは直ちに評価できない。1審原告は,未払賃金請求権について消滅時効期間を経過したことを前提に,不法行為に基づく損害賠償請求をするものと解されるが,消滅時効が完成した結果,未払賃金請求権が行使できなくなったとしても,それは時効の援用による結果であって,それ自体を不法行為と観念することはできない。 したがって,不法行為に基づく損害賠償請求については,損害の立証がないといわざるを得ない。」同42頁6行目冒頭の「4」を「3」と改める。 同21行目冒頭の「5」を「4」と改める。 同43頁10行目冒頭の「6」を「5」と改める。 同44頁24行目冒頭の「7」を「6」と改める。 同45頁19行目から52頁2行目までを次のとおり改める。 「7いて1審原告が本件において労働契約法20条違反を主張する労働条件は夏期・年末特別休暇を除きいずれも給与に関するものであるところ,1審被告会社においては本件当時,正社員には社員就業規則(乙1),期間雇用社員には期間雇用社員就業規則(乙2)が適用されており,それらによれば,給与について,正社員には社員給与規程(乙1の76条),期間雇用社員については期間雇用社員給与規程(乙2の46条)の定めるところにより支給されている。したがって,1審原告の主張は,これらの規定に関する不合理な相違をいうもので 給与規程(乙1の76条),期間雇用社員については期間雇用社員給与規程(乙2の46条)の定めるところにより支給されている。したがって,1審原告の主張は,これらの規定に関する不合理な相違をいうものである。そこで,まず,これらの規定について概観しておく。 ア社員給与規程社員給与規程(甲12)は,窓口業務を担当する組織(第2編)と郵便業務を担当する組織(第3編)で定めを別にしている。 このうち,郵便業務を担当する組織に属する社員に対する給与は,基本給と諸手当(超過勤務手当,祝日給,夜勤手当等)から成る。(160条)a 基本給は,社員の職及び職種(担当する職務内容による分類)並びにこれらによって分類される職群(職種をさらに分類された職務内容と雇用条件の類似性による分類であり,職種及び職群の区分ならびに各職種に分類される職の職務内容は,職群及び職種分類表に定められる。)とこれに対する職務の級(職種の分類される職の職務の複雑困難性と責任の度に基づき区分され,「職務による級別区分の基準」の範囲内で定められる。)並びに基本給の調整額で定まる。(161条ないし166条) 昇格とは,勤務成績が良好であること等の要件を満たす場合に上位の職務の級に決定することである。(171条)一方,昇給は基礎昇給と加算昇給からなり,基礎昇給は,1年間を良好な成績で勤務したときに同一級の4号俸上位の号俸に昇給させることで,満55歳を超える社員には行われない。 加算昇給は勤務成績が特に良好な社員に対して昇給させることができるとするものである。(174,175,180,183ないし185条)郵便局における郵便物等の運送等に従事する職務は,一般職群の職種一般職に分類され(別表第20),職務の級は1級(担当者),2級(課長代理),3級(課長)及 175,180,183ないし185条)郵便局における郵便物等の運送等に従事する職務は,一般職群の職種一般職に分類され(別表第20),職務の級は1級(担当者),2級(課長代理),3級(課長)及び4級(部長,副部長)に分類されている(別表第21)。そして一般職群基本給表により各級ごとに1号俸から125号俸(4級)ないし157号俸(2級)までの基本給が号俸ごとに定められている。 (別表第22)基本給表について郵便窓口業務従事者との間に差異はない。 (別表第3)b 基本給の調整額は,職務の複雑困難性と責任の度,職務遂行能力等の発揮の度又は勤労の強度,勤務の形態,勤務環境その他の勤務条件を同じ職群に属する職種にある他の社員と比較した場合において,基本給の調整が必要と認められる社員に対して支給される。(168条)諸手当a 超過勤務手当は時間外勤務について基本給等の25%増し,週休日,非番日又は祝日給が支給される日の時間外勤務について35%増しの手当などを支給するものである。(236条, 237条)b 祝日給は,社員が祝日において割り振られた正規の勤務時間中に勤務することを命ぜられて勤務した時に支給される(祝日代休が指定された場合は支払われない)。(238条)c 夜勤手当は,社員が午後10時から午前5時までの間に勤務したときに支給する。(240条)d 特殊勤務手当は,著しく危険,不快,不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で,給与上特別の考慮を必要とし,その特殊性を基本給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する社員に,勤務の特殊性に応じて支給する。(248条)外務業務手当社員が外務業務に従事した場合に,郵便業務調整手当の区分に応じ,1日について570円ないし1420円が支給さ るものに従事する社員に,勤務の特殊性に応じて支給する。(248条)外務業務手当社員が外務業務に従事した場合に,郵便業務調整手当の区分に応じ,1日について570円ないし1420円が支給される。(249条)早出勤務等手当社員が正規の勤務時間として,始業時刻が7時以前となる勤務又は終業時刻が21時以降となる勤務に4時間以上従事した時に支給するものであり,郵便局における勤務は1回につき350円ないし850円,それ以外は350円ないし500円とされている(250条)。 夜間特別勤務手当社員が正規の勤務時間として,郵便局において新夜勤等に服し,かつ,夜間(午後10時から午前6時までの間)の全時間にわたって勤務した時に支給する。 (251条)郵便物区分能率向上手当新規採用後6か月未満の社員を除く郵便物の差立及び配達に係る区分事務並びに郵便物の輸送(発着)に係る事務に従事する社員に対し,郵便物の結束 数などによって1日につき180円ないし830円が支給される(ただし,1か月について13日を限度とする。)。 (262条)郵便物配達能率向上手当新規採用後6か月未満の社員を除く郵便物の配達事務を担当する社員を対象に,配達すべき郵便物を配達完了したかどうかなどによって1日当たり240円ないし880円が支給される(ただし,1か月について13日を限度とする。)。(263条)郵便外務業務精通手当新規採用後6か月未満の社員を除く郵便業務調整額の支給を受ける社員のうち主として外務事務に従事する社員に対し,職務の精通度合いを1審被告会社が定めるところで評価してその評価段階に応じた金額(月額5100円ないし1万6500円)に調整率(0.3ないし1)を乗じた額が支給される。(265条)なお,窓口業務に従事す 合いを1審被告会社が定めるところで評価してその評価段階に応じた金額(月額5100円ないし1万6500円)に調整率(0.3ないし1)を乗じた額が支給される。(265条)なお,窓口業務に従事する職員についても,早出勤務手当,る特殊勤務手当は規定されていない(ただし,郵便内務業務精通手当が支給される。)。(89,117,118,264条)e 一般社員に対する夏期手当 6月1日に在職する一般社員(休職者などを除く)に対し,以下の式で算定される額を支給する。(273条,別表第38)(基本給+扶養手当+調整手当)×対象期間における在職期間に応じた割合(0.3~1.0)×支給の都度定める割合なお,一般職の2級ないし4級の者については,夏期手当算定基礎額(基本給+扶養手当+調整手当)に基本給の月額と調 整手当の月額の合計に5%を乗じた額が加算される。 f 一般社員に対する年末手当 12月1日に在職する一般社員(休職者などを除く)に対し,以下の式で算定される額の合計額を支給する。(274条)(基本給+扶養手当+調整手当)×対象期間における在職期間に応じた割合(0.3~1.0)×支給の都度定める割合(基本給+調整手当)×対象期間における在職期間に応じた割合(0.3~1.0)×評定区分に応じた成績割合(支給の都度定める割合を基準にその150%ないし90%の範囲。なお懲戒処分を受けるとさらに減額される。)イ期間雇用社員給与規程期間雇用社員給与規程(甲13)も,窓口業務を担当する組織(第2編)と郵便業務を担当する組織(第3編)で定めを別にしている。さらに郵便業務を担当する組織編においても,スペシャリスト契約社員(第2章),エキスパート契約社員(第3章),月給制契約社員(第4章),時給制契約社員(第5章)及 織(第3編)で定めを別にしている。さらに郵便業務を担当する組織編においても,スペシャリスト契約社員(第2章),エキスパート契約社員(第3章),月給制契約社員(第4章),時給制契約社員(第5章)及びアルバイト(第6章)とで異なる定めがおかれている。(甲13)このうち,郵便業務を担当する組織に属する時給制契約社員の給与は,基本賃金と諸手当(時間外,祝日,深夜割増賃金,早朝・夜間割増賃金,特殊勤務手当,臨時手当及び作業能率評価手当等)から成る。(101条)a 基本賃金は時給制であり,基本給と加算給からなる。基本給は地域別最低賃金に相当する額に20円を加えた額(支店において外務業務に従事する者についてはさらに別表7に定める額(A地域130円,B地域80円)を加えた額)を下限とする。 (103条1項ないし3項)なお,月給制契約社員の基本賃金は基本月額等の合計額とされている。(92条1項)また,窓口業務に従事する時給制契約社員は,支店において外務業務に従事する者への加算額の定めに相当するものはない。 (50条,別表第3)b 加算給は基礎評価給と資格給の合計額から成る。(103条4項)基礎評価給は,基礎評価において全ての項目で「できている」と評価された者及び配達業務等に従事する職員のうち接遇・マナー2つ星又は3つ星の認定を受けたものを対象に半年ごとの評価で時給に10円ないし20円が加算される(103条4項1号)。 資格給は,スキル評価の結果に基づくAないしCランクのランクと習熟度に応じて時給に加算されるものであり,最高で550円の加算となる。(103条4項2号,別表第8)なお,郵便窓口事務従事者については,最高で180円の加算にとどまる。(50条4項2号,別表第4)c なお,郵便業務を担当する組織に属 高で550円の加算となる。(103条4項2号,別表第8)なお,郵便窓口事務従事者については,最高で180円の加算にとどまる。(50条4項2号,別表第4)c なお,郵便業務を担当する組織に属する月給制契約社員については,基本賃金は基本月額,調整額及び地域手当の合計額とされており基本月額は毎年の更新時期にその前1年間に係る評価結果が良好であった場合,一定額を加算したものに改定されるとされているが,スキル評価の結果に基づく基本給への加算の規定はない。(92条)諸手当a 時間外割増賃金は時間外勤務について基本賃金額の25%増 し,非番日の勤務についても25%増し,週休日の勤務については35%増しの手当などを支給するものである。(106条)さらに祝日に勤務した場合は祝日割増賃金として35%増しの手当を,深夜に勤務した場合は30%増しの手当を支給する。 (107,108条)b 正社員の祝日給に対応する規定はない。 c 早朝・夜間割増賃金は正規の勤務時間の始業時刻が5時から7時以前となる勤務及び終業時刻が21時から22時以前となる勤務に1時間以上従事したときは,1回当たり200円ないし500円を支給するものである。(109条,97条)なお,郵便業務を担当する組織に属する月給制契約社員についても同様の規定がおかれている(97条)が,窓口業務に従事する時給制契約社員の支給額は200円ないし300円となっている。(56条)d 特殊勤務手当は,非常災害復旧作業手当,放送受託事務取扱手当及び営業手当となっており,社員給与規程が準用されている。(110条,98条)e 臨時手当 6月1日又は12月1日に雇用されている時給制契約社員のうち,基準日前6か月間の期間における勤務日数が60日以上の者に対し次式によって支給 程が準用されている。(110条,98条)e 臨時手当 6月1日又は12月1日に雇用されている時給制契約社員のうち,基準日前6か月間の期間における勤務日数が60日以上の者に対し次式によって支給される。(111条)(対象期間において支給した賃金の総額のうち基本賃金の合計額)÷6×0.3×対象期間における実際の勤務日数の区分に応じた割合(1ないし1.3。なお,実勤務日数が120日以上で対象期間の全期間において1日の正規の勤務時間数が8時間である時給制契約社員(1審原告)については1.8である。) なお,郵便業務を担当する組織に属する月給制契約社員については,基本賃金月額×0.3×2.0という数式で算出されることになっている。(99条)f 作業能率評価手当作業能率測定時の直近のスキル評価がAランクかつ基礎評価結果が全てできていると評価された者に対し,そのレベルに応じて半年に1回,区分業務に従事する者は1万5000円ないし11万円,配達業務に従事する者は2万円ないし15万円が支給される。(112条,100条)g なお,通勤手当に関し,郵便業務を担当する組織に属する月給制契約社員に対しては,社員給与規程210条から218条により支給される。(93条,80条)h 時給制契約社員の時間外割増賃金,祝日割増賃金,深夜割増賃金,早朝夜間割増賃金及び臨時手当については,1審原告が所属するJP労組と1審被告会社との間で成立した平成19年10月22日付け労働協約と同一内容であり,同日付の期間雇用社員の勤務時間・休暇に関する協約には夏期・冬期特別休暇の定めはなく,祝日に勤務しない時給制契約社員に給与を支給しないことも同日付協約の附属覚書に定められている。(乙40,41の各1,2)次に,労働契約法20条に定める不合 には夏期・冬期特別休暇の定めはなく,祝日に勤務しない時給制契約社員に給与を支給しないことも同日付協約の附属覚書に定められている。(乙40,41の各1,2)次に,労働契約法20条に定める不合理な相違の有無を検討するに当たり,比較対照されるべき労働者について検討する。 ア 1審原告は,1審被告会社においては,実際には転居を伴う転勤をすることもなく,役職者へ昇進することもない正社員が多数存在するのであり,1審原告の労働条件との間で比較されるべきは,これらの正社員に適用されるべき労働条件であると主張する。 イ 1審被告会社では,平成26年4月以降,1審原告が従事していた郵便外務業務について,その標準的な業務に従事し,主任や課長代理などへの昇給,昇任がないものとされ,俸給表も1級のままで(甲25(14頁))原則として転居を伴う転勤がないこととされた新一般職という正社員の類型が設けられたが,1審原告が退職した平成25年12月14日までの間については,正社員の中に新一般職というカテゴリーは存在しておらず,昇給,昇任や転居を伴う転勤の可能性がないこととされた正社員が存在したことを認めるに足りる証拠はなく,これらの者に限って適用される労働条件を定めた就業規則や給与規程が存在したと認めるに足りる証拠もない。 すなわち,無期契約労働者である正社員のうち,1審原告と同一内容の職務に従事し,同一の職務内容,配置の範囲の変更の可能性がある者に限って適用される労働条件は存在しなかった。 本件において1審原告が問題とする労働条件に関し,無期契約労働者である正社員について定めた就業規則及び給与規程の対象となっていたのは,1審原告と同じく郵便外務業務に従事する者に限っても,一般職群の一般職(以下「一般職」という。)に位置付けられ,1級(担当 働者である正社員について定めた就業規則及び給与規程の対象となっていたのは,1審原告と同じく郵便外務業務に従事する者に限っても,一般職群の一般職(以下「一般職」という。)に位置付けられ,1級(担当者)から4級(部長,副部長)までの正社員である。 したがって,労働契約法20条の適用に当たり,問題となる就業規則及び給与規程に定められた労働条件の相違について検討するために比較すべきは,1審原告と同様に郵便業務を担当する組織に属する,一般職に分類される正社員であるというべきである。 ウなお,1審原告は自身の労働条件との関係で,時給制契約社員の中に曜日,時間帯を限って勤務する者がいることは無関係であるとも主張するが,これも,上記と同様に,勤務日,時間帯を限って就労する時給制契約社員と1審原告のようにほぼフルタイムで勤務す るような就労形態をとる時給制契約社員とを区別して適用される就業規則等があるわけではないため,1審原告を含む郵便業務を担当する組織に属する時給制契約社員全体に適用される労働条件を前提として比較することになる。 そこで,郵便業務を担当する組織に属する,正社員と時給制契約社員の業務の内容及び責任の程度等についてみると,各末尾に掲記した証拠によれば,この点に関して以下の事実が認められる。 ア就業規則の定め1審被告会社においては,本件当時,就業規則により以下のような定めをおいていた。 社員就業規則(甲10,乙1)社員とは,1審被告会社へ入社を希望する者の中から選考により雇用期間を定めず採用された者で,6か月の試用期間を経て勤務する者(2条1項,第2章第1節)であり,社員就業規則の適用を受け(2条2項),定年年齢は60歳であり(15条2項),階層別,専門別,その他の研修が予定されている(85条)。 社員 期間を経て勤務する者(2条1項,第2章第1節)であり,社員就業規則の適用を受け(2条2項),定年年齢は60歳であり(15条2項),階層別,専門別,その他の研修が予定されている(85条)。 社員は,業務上の都合等で,出向,転籍又は就業の場所若しくは担当する職務の変更(人事異動等)を命じられることがあり,その命令に従わなければならず(11条),人事異動を命じられることなく臨時に他の職務を命じられることもある(23条2項)。 勤務時間は,1日について原則として8時間,4週間について1週平均40時間とされ,週休日は日曜日であり,所属長が週休日のほかに4日の非番日を設けることとされる(45条1項,48条1項,2項)。ただし,祝日については,当日勤務することを命じられている社員のほかは,勤務を要しないものとされ(5 4条1項),祝日において勤務を命じられた正規の勤務時間の全部を勤務した社員が希望する場合であって,所属長が業務に支障がないと認めた場合は祝日代休を付与することができる(55条1項)。 そして,社員の勤務については,所属長が4週間を単位として当該期間における各日の社員の勤務の種類,始業時刻及び終業時刻,週休日並びに非番日を定め(勤務の指定),社員に周知する(52条1項)。 なお,社員には,夏期における休養(6月1日から9月30日までの期間において在籍日に応じて1日ないし3日間)及び冬期における休養(平成25年4月1日改正前の社員就業規則(郵便事業編)が適用された社員については10月1日から翌年3月31日までの期間に3日間)が有給の特別休暇として定められている。(63条,68条1項19号,20号,112条2項1号)期間雇用社員就業規則(甲11,乙2)他方,期間雇用社員に対しては,期間雇用社員就業規則が適用 間)が有給の特別休暇として定められている。(63条,68条1項19号,20号,112条2項1号)期間雇用社員就業規則(甲11,乙2)他方,期間雇用社員に対しては,期間雇用社員就業規則が適用される。(1条)期間雇用社員は5つの類型に区分されており,このうち時給制契約社員は郵便局等での一般的業務に従事し,時給制で給与が支給されるものとして採用された者である。なお,月給制契約社員は,高い知識・能力を発揮して郵便局等での一般的業務に従事し,月給制で給与が支給されるものとして採用された者,アルバイトは郵便局等での季節的な波動性に応じて1か月未満の期間を定めて採用された者とされている。このほか専門的な知識等を要する業務に従事するスペシャリスト契約社員,専門的業務に従事するエキスパート契約社員がある。(2条3項) 期間雇用社員は,1審被告会社への入社を希望する者の中から選考により採用され,契約に当たり,契約期間は6か月以内で,雇用契約を更新することができ(5条,11条,12条),満65歳に達した日以降の更新は行わないとされている(12条2項)。 人事異動に関する定めはなく(13条の削除),1審原告の雇用条件説明書にも転居を伴う配置転換は行わないことが明記されている(当事者間に争いがない)。研修についても,1審被告会社は,人材を育成するため,必要な研修を行う(51条)としているのみである。 時給制契約社員の勤務時間については,1日について8時間以内,4週間について1週平均40時間以内となっている。(21条1項4号)週休日の定めは正社員と同様であるが,正規の勤務時間を割り振られた日及び週休日以外の日は全て非番日とされており(24条1項,2項),そもそも祝日を含め,週休日以外の日に出勤することが当然の前提とはなっ 日の定めは正社員と同様であるが,正規の勤務時間を割り振られた日及び週休日以外の日は全て非番日とされており(24条1項,2項),そもそも祝日を含め,週休日以外の日に出勤することが当然の前提とはなっていない。そのため,祝日に勤務を命じられると勤務しなければならず,祝日代休は付与されない。 (28条1項,29条1項)勤務時間については,平成25年4月1日改正前の期間雇用社員就業規則が適用されていた者については,正社員のうち社員就業規則別表第1ないし第4に規定する範囲に準じて定められ(25条,60条1項),一般職では,基本的には日勤(午前8時30分から午後5時15分),中勤(午前10時30分から午後7時15分),夜勤(午後1時15分から午後10時まで)となっている。 所属長が,4週間を単位として,当該期間における各日の社員の勤務の種類,始業時刻及び終業時刻,週休日並びに非番日を定めることとなっている。(27条)特別休暇として夏期及び冬期の休養についての定めはない。 イ具体的な職務内容について1審被告会社の正社員の中には,1審原告と同様の郵便集配業務に従事する者がある。業務内容が同一であることから,正社員の急な用事で期間雇用社員が代替することがあり(甲44(4頁),甲45(14頁)),新入社員などの通区訓練の指導は期間雇用社員が行う場合がある(甲54(7頁))。期間雇用社員であっても,自分の配達業務が早く終われば,配達に時間を要している者の応援に行くこともあり(甲49(3頁)),年賀はがきなどの携行販売も行っている(甲44(10頁))。 また,配達業務についてクレームがあれば,初期対応は,正社員,期間雇用社員の別なく配達をした者が対応せざるを得ない(甲25(9頁),甲44(10頁),甲45(16頁),甲4 44(10頁))。 また,配達業務についてクレームがあれば,初期対応は,正社員,期間雇用社員の別なく配達をした者が対応せざるを得ない(甲25(9頁),甲44(10頁),甲45(16頁),甲49(9頁))。 もっとも,期間雇用社員は,当該業務に継続して従事する(甲54(15頁))のに対し,正社員は配置換えが予定されており,1審被告会社の各部署において,多様な業務に従事している(乙13,原審被告Y本人128項)。 郵便集配業務に関しては,部課長(正社員)からの指示は各班の班長(正社員)を集めたミーティングで行われ,班長不在時には他の正社員がこのミーティングに代理出席するものの,期間雇用社員が出席することはない(乙13,原審原告本人16,17項,原審被告Y本人145項)。 班長,副班長などとして班の管理業務を行うのは課長代理以上の者(正社員)に限られ,郵便認証司になるのも正社員のみである(甲44(5頁),甲50(16頁),原審被告Y本人130,144項)。 勤務時間帯についても,期間雇用社員でも残業や休日出勤を命じられることはある(甲54(10頁))が,特定の勤務時間帯に勤務する前提で採用される者もあり,その者については,それ以外の時間帯はシフトから外れ,勤務を命じられることはない(甲45(22,23頁),乙19,25)。 配達業務に関するクレーム対応についても初動対応で対処しきれない場合,課長代理以上の者(正社員)に引き継がれ,期間雇用社員が対応することはない(甲25(9頁),甲45(5頁),甲49(9頁),乙16(14頁),乙35,原審被告Y本人132項)。 人事評価に際しては,配達業務に関与する従業員に限っても正社員の評価項目は多岐にわたり,論理的思考力や自己研さん,業務品質向上,チャレンジ志向といっ 14頁),乙35,原審被告Y本人132項)。 人事評価に際しては,配達業務に関与する従業員に限っても正社員の評価項目は多岐にわたり,論理的思考力や自己研さん,業務品質向上,チャレンジ志向といった組織全体への貢献を考慮した項目も含まれるのに対し,時給制契約社員は担当業務についてのみ評価されることとされている(甲45(10頁),乙16(6ないし11頁),19,26ないし30)。年賀はがきやカタログ商品などの営業についても,正社員の場合は,指標の達成に向けた取組状況が人事評価の要素の一つであるのに対し,時給制契約社員については評価の対象とはなっていない(甲25(20頁),甲44(17頁),甲49(13頁),原審被告Y本人128項)。 ウ職務の内容及び配置の変更の範囲について 採用の時点において,期間雇用社員は,学歴要件がなく,面接も1回で,当該業務(例えば配達業務)を行えるかどうかだけを確認して採用することになるのに対し,正社員は,将来,会社の経営に貢献し,部下の指導等もできるような人材として,学歴要件を設定した上で志望動機を記載したエントリーシートの提出を求め,複数回の面接を重ねるなどして採用し,採用後も年に1回,上司との間で将来の昇任,昇格に関連して面談を行っている(甲45(1,2頁),乙16(2ないし5頁),19(5,6頁))。 研修についても,正社員に対しては階層別,専門別,機能別に複数の研修が予定されているのに対し,期間雇用社員については,担当業務についての採用時研修が行われるのみである(乙31,32)。 そして,正社員に関しては,一定程度の割合の者が課長代理,課長あるいはそれ以上の役職者となっていく(甲25(21ないし23頁),乙16(12,13頁))。他方,時給制契約社員には職位は付されてお そして,正社員に関しては,一定程度の割合の者が課長代理,課長あるいはそれ以上の役職者となっていく(甲25(21ないし23頁),乙16(12,13頁))。他方,時給制契約社員には職位は付されておらず,昇任,昇格もない(乙15(9頁))。 また,正社員は,支社(例えば,九州支社)が実施する採用試験に合格した者が支社長により採用され,採用された支社エリア内(九州各県)の郵便局であれば,会社の命令による人事異動があり得,業務の必要性により配置転換や職種転換を命じられることがあり,正当な理由なくこれを拒むことができない。これに対し,期間雇用社員は,部内の要員配置等の事情のため,同一部内での班の配置換えが行われるものの,局をまたいでの人事異動は行われない。(乙13,原審被告Y本人128,157,349 項)以上を前提にして,1審原告が問題とする労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるかどうかを順次検討していく。 ア労働契約法20条は,有期労働契約を締結している労働者の労働条件が,期間の定めがあることにより,期間の定めのない労働者の労当該職務の内容及び配置の変更の範囲,その他の事情を考慮し,不合理と認められるものであってはならないと定める。 イここにいう「期間の定めがあることにより」とは,専ら期間の定めの有無を理由として労働条件の相違が定められた場合に限定して解すべきとはいえないものの,ある有期契約労働者の労働条件がある無期契約労働者の労働条件と相違していることだけをとらえて当然に同条の規定が適用されるというものではなく,当該有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違が,期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要する趣旨であると解するのが相当である。 ウ の規定が適用されるというものではなく,当該有期契約労働者と無期契約労働者との間の労働条件の相違が,期間の定めの有無に関連して生じたものであることを要する趣旨であると解するのが相当である。 ウまた,同条は労働条件の相違が「不合理と認められるものであってはならない」と規定しており,その文言に照らすと同条にいう不合理性についてはまず有期契約労働者側においてこれを基礎付ける具体的事実(評価根拠事実)についての主張立証責任を負い,使用者は,当該労働条件が不合理なものであるとの評価を妨げる具体的事実(評価障害事実)についての主張立証責任を負うものと解するのが相当である。 エそして,その相違が不合理と認められるか否かの判断に当たって は同条が考慮要素として規定するの各要素を検討することになる。 この点につき,1審原の事情を重視して検討すべきであると主張するが,規定の構造や文言等からみて,労働条件のの事情を総合的に考慮して判断すべきである。 オまた,労働契約法20条の不合理性の判断は,個々の労働条件ごとに判断されるべきものである。 そして,本件において,1審原告が問題とする労働条件は主として給与に係るものであるところ,給与は基本給のほか種々の手当などで構成されており,それぞれが,職務内容や勤続期間,会社への貢献,労働時間の長さなどと関連し,それぞれの給付の性質,目的をもっを検討するに当たっては,当該給付の性質や目的も踏まえた検討を行う必要があるといえる。 本件において,1審原告が問題としている労働条件の相違は,1審被告会社において,有期雇用契約の時給制契約社員と無期雇用契約の正社員との間で就業規則及び給与規程の定めが異なっていることに起因する相違であるから,いずれも,雇用契約の期間の定めの有無に関連して生 被告会社において,有期雇用契約の時給制契約社員と無期雇用契約の正社員との間で就業規則及び給与規程の定めが異なっていることに起因する相違であるから,いずれも,雇用契約の期間の定めの有無に関連して生じたものであるといえる。 そこで,以下,個々の労働条件ごとにその相違が不合理と認められるものであるか否かについて検討する。 基本賃金・通勤費の相違についてア 1審原告は,1審原告が正社員とほぼ同様のシフト(勤務日数)で勤務していることを前提に,1か月当たりの勤務日数が,正社員の平均的な勤務日数より少なくなる月について,正社員と異なり減 少した日数分の基本賃金及び通勤手当を得られないことが差別的取扱いであるとの主張をしている。 イしかしながら,上記の相違は,そもそも,1審原告の給与体系が時給制であり,正社員の給与体系が月給制であることに起因する相違である。 そして,郵便外務業務に従事している正社員と時給制契約社員とでは,郵便外務業務という意味での業務の内容は同一であるが,時給制契約社員は,特定の勤務曜日あるいは特定の勤務時間帯に限定して採用される者があるように,その業務に従事する勤務体制が,当然に正社員と同様の勤務日数をフルタイムで勤務することを前提としたものとはなっていない。このことは,有期雇用契約である月給制契約社員が存在していることからも明らかであるといえる。 すなわち,業務内容のうち,勤務体制という点については,時給制契約社員と正社員とでは明らかに異なっており,それを前提として給与体系に時給制か月給制かの相違が設けられていると認められる。 そうすると,かかる相違に起因する基本賃金・通勤費の相違が不合理であると認めることはできない。 1審原告のように時給制契約社員の中に,正社員と同様の勤務日数をフルタイムで ていると認められる。 そうすると,かかる相違に起因する基本賃金・通勤費の相違が不合理であると認めることはできない。 1審原告のように時給制契約社員の中に,正社員と同様の勤務日数をフルタイムで勤務する者もあり得るが,そのような者だけを前提とした労働条件が定められていないことからすると,時給制契約社員の中にそのような勤務体制をとるものがあることは,上記の判断を左右するものではない。 祝日給についてア時給制契約社員が祝日に勤務することを命ぜられて勤務した場合には,当日の就労に対する基本賃金額に加え,その35%に相当す る祝日割増賃金が加算して支払われることになっており(甲13の107条),この加算割合は正社員と異ならない。 郵便外務業務に従事する正社員と時給制契約社員の祝日に行う本来の業務に違いはなく,祝日に勤務することが社会生活,家庭生活等の観点から平日の勤務において過重であることから,その対価を支給すべきであることも同様であるところ,両者には,その対価として同様の割増率での割増賃金が支給されており,1審原告が主張する趣旨から支給される手当については相違がない。 イ他方,正社員には,これとは別に,祝日において,割り振られた正規の勤務時間中に勤務することを命ぜられて勤務した時に,1時間当たりの給与に100分の135を乗じた金額が支給される(ただし,祝日代休が指定された場合は支給されない)。(甲12・238条1項,239条,237条1項2号)時給制契約社員にはこのような手当は支給されないから,この点において正社員との間に労働条件の相違がある。 ウそこで,この相違の不合理性について,給付の性質,目的を踏まえて検討する。 祝日給は,昭和23年1月1日から適用された「政府職員の新給与実施に関する法律」(昭 の間に労働条件の相違がある。 ウそこで,この相違の不合理性について,給付の性質,目的を踏まえて検討する。 祝日給は,昭和23年1月1日から適用された「政府職員の新給与実施に関する法律」(昭和23年法律第46号)により,常勤職員については祝日も勤務時間の割り振りがある日とされたことに伴い,昭和24年1月1日から,祝日に勤務しない常勤職員との衡平を図る観点から,祝日に勤務した常勤職員に対し支給されることとなり,その後,平成19年の郵政民営化の際,郵政民営化法173条に基づき基本的に民営化前の労働条件及び処遇が踏襲されることとされたことにより,祝日給も踏襲されたものである。(乙17,弁論の全趣旨) 正社員の祝日については,就業規則による限り,所属長から非番日とされない限り,勤務日であることが原則であるものの,例外として当日勤務することを命じられている社員のほかは,勤務を要しないものとされている。 したがって,正社員の基本給は,祝日も勤務することを前提に定められているにもかかわらず,祝日に勤務を要しないとされた者は当該日数分の減給があるわけではないから,祝日に勤務することを命じられた者との間に不均衡があるということができる。 一方,時給制契約社員は,週休日の定めは正社員と同様であるものの,正規の勤務時間を割り振られた日及び週休日以外はそもそも非番日となっており,祝日を含め,週休日以外の日に出勤することが当然の前提となっていない。祝日に勤務時間が割り振られれば,出勤日となり,就労に応じた基本賃金及び割増賃金を得られるが,そうでない場合はそれを得られない。 すなわち,祝日給が支給されている趣旨は,正社員の勤務体制を前提にした正社員間の処遇の均衡を図ってきた歴史的な経緯によるものである。 そして,時給制契約社員 そうでない場合はそれを得られない。 すなわち,祝日給が支給されている趣旨は,正社員の勤務体制を前提にした正社員間の処遇の均衡を図ってきた歴史的な経緯によるものである。 そして,時給制契約社員との間に相違が生じているのは,祝日が本来的には勤務日であることとされ,それを前提に基本給等が定まっている正社員と,そもそも祝日は当然に勤務日ではなく,就労した時間数に応じて賃金を支払うこととされている時給制契約社員の勤務体制の相違によるものであるといえる。 そうすると,祝日給が支給される趣旨は,1審原告が主張するものとは異なるのであり,上に述べた事情を総合考慮するならば,この点に関する相違を不合理であるとまで認めることはできない。 早出勤務等手当について ア正社員に支給される早出勤務等手当は,諸手当の中の一つであり,正規の勤務時間として始業時刻が7時以前となる勤務又は終業時刻が21時以降となる勤務に4時間以上従事した時に1回について350円ないし850円の手当を支給されるものである。 他方,時給制契約社員の早朝・夜間割増賃金は正規の勤務時間の始業時刻が5時から7時以前となる勤務及び終業時刻が21時から22時以前となる勤務に1時間以上従事したときは,1回について200円ないし500円を支給する制度である。 イそもそも,正規の勤務時間外にこれらの時間帯に勤務した場合に超過勤務手当が支給されることや,その支給割合については正社員も時給制契約社員も相違がない。 それとは別に,これらの時間帯に正規の勤務として業務に従事した場合には,上記のとおり,超過勤務手当とは別途の手当が支給されること自体については,名称の相違はあるものの,正社員と時給制契約社員の間で相違がない。 ウしたがって,その相違は,1回当たりの支給額の相違に帰 上記のとおり,超過勤務手当とは別途の手当が支給されること自体については,名称の相違はあるものの,正社員と時給制契約社員の間で相違がない。 ウしたがって,その相違は,1回当たりの支給額の相違に帰着するものである。 この点につき,正社員と時給制契約社員とで当該時間帯における業務の内容は同一であるといえる。しかしながら,当該時間帯に1時間勤務すれば基本賃金と併せて支給が受けられるとされる時給制契約社員と,勤務時間の関係で当該時間帯を含んで4時間以上の勤務に従事しなければ支給を受けられないとされる正社員とでは支給要件が異なる。正社員が4時間勤務して加算される金額という意味では,勤務1回当たりの支給額を時給換算した場合の加算額は,正社員の方が時給制契約社員を下回る場合も出てくることになる。 その上,早出勤務等手当の支給が問題になる時給制契約社員は, そもそも採用の際に同手当の支給対象となる時間帯を勤務時間とすることを前提にして労働契約を締結している者がある(乙18(5,6頁))点でも正社員と異なっている。 そうすると,勤務体制も基本給を含めた給与体系も異なる両者について,勤務した際に従事する業務の内容が同一で,勤務1回当たりの支給額が異なるという事実のみをもって,その相違が不合理であるということはできないというべきである。 夏期,年末手当についてア正社員には夏期,年末手当が支給されており,時給制契約社員に対しても同時期に臨時手当が支給されているものの,両者の算定方式が異なっていることから,同趣旨の手当につき,両者に相違があるということができる。 イ1審原告は,時給制契約社員については臨時手当の算出に当たり係数として0.3が乗じられることになっていることを指摘し,正社員の夏期,年末手当に比して3分の1の割合に るということができる。 イ1審原告は,時給制契約社員については臨時手当の算出に当たり係数として0.3が乗じられることになっていることを指摘し,正社員の夏期,年末手当に比して3分の1の割合に減じられており不合理な差であると主張する。 しかしながら,支給される手当についての算定方式の相違が不合理であるか否かは,算定方式全体を検討して判断する必要がある。係数のみをみても,時給制契約社員については,これとは別に実際勤務日数に応じて定められる割合として1ないし1.8が乗じられることになっている一方,正社員は在職期間に応じた割合は0.3ないし1となっていることを踏まえると,1審原告が主張するように,単純に正社員に比して臨時手当が3分の1以下に減じられているものとはいえない。 正社員の夏期,年末手当が,会社への貢献度に応じて支給される性質のものであることは,正社員の夏期手当において級に応じ た加算があること,年末手当において評価に応じた加減がされることから明らかである。 もっとも,夏期,年末手当は,いずれもその算定の基礎を基本給に置いているところ,正社員の基本給は職種,職群及び級によって定まる基本給表によるとはいえ,年1回の4号俸上位への昇給が予定されていること,郵便物等の運送等に従事する職務と郵便窓口業務従事者との間で基本給表が同一であることを踏まえると,年齢給や功労報償としての性質が強いものであるということができ,夏期,年末手当もその性質を包含するものと考えられる。 他方,時給制契約社員の臨時手当は,基本賃金を基礎としているところ,基本賃金は基本給と加算給から成り,加算給にはスキル評価の結果に基づき加算される資格給及び基礎評価給が含まれているから,会社への貢献度を評価して支給する仕組みが同様に組み込まれているも るところ,基本賃金は基本給と加算給から成り,加算給にはスキル評価の結果に基づき加算される資格給及び基礎評価給が含まれているから,会社への貢献度を評価して支給する仕組みが同様に組み込まれているものの年齢給としての性質はない。 このように,夏期,年末手当と臨時手当とで算定の基礎となる賃金の性質を異にしていることについては,正社員と時給制契約社員との間で職務の内容並びに職務の内容及び配置の変更の範囲に相違があることや,賞与の功労報償的な性格や将来の労働への意欲向上としての性格,有為な人材の獲得・定着を図る必要性があることなどを考慮すると,不合理な差であるとは認め難く,そもそも算定の基礎となる賃金の考え方が異なっており,単純に支給の対象となる期間における会社への貢献度のみを勘案して正社員の夏期及び年末手当が支給されているわけではないことを踏まえると,一部の係数が相違していることを取り出して,算定方式に不合理な相違があると認めることはできない。 ウなお,1審原告は,正社員の職務の内容,当該職務の内容及び配 置変更の範囲を踏まえて無期契約労働者としての長期的な勤続を確保するためのインセンティブを与えるという説明は,結局,無期契約労働者であるから手当を支給するのと同義であり,雇用期間が有期か無期かで支給の有無を決定しているだけであって,当該相違が合理的であることの理由にはならないと主張し,また,正社員に早期退職を促し,他方で期間雇用社員の勤続期間を長期化させている実態を踏まえれば,そもそも正社員に長期的な勤続を確保するためのインセンティブを与える趣旨の手当は存在するはずがないなどと主張する。 しかしながら,正社員については,その基本給が当初は低く抑えられており(新大卒で月額14万6900円。甲12の165,169条,別表 ティブを与える趣旨の手当は存在するはずがないなどと主張する。 しかしながら,正社員については,その基本給が当初は低く抑えられており(新大卒で月額14万6900円。甲12の165,169条,別表22,25参照),定期昇給が予定されており,研修については階層別,専門別,その他の研修が予定され,異動,配置換えが予定されている。また,正社員として採用された者が実際に,一定割合,管理職になっている。これらの事実を踏まえると,1審被告会社において,正社員は,長期雇用を前提にした上で,様々な職種を経験させ,管理職として指導者的立場に立てる者になるよう育成し,一定割合の者が実際にそうなることを予定して採用されているのであり,ここにいうインセンティブとは,長期雇用を通じてそのように成長していくことへのインセンティブを含むものであり,かかる要素を考慮して正社員と期間雇用社員との間で同趣旨の手当につき異なる算定方法をとることが不合理であるということはできない。 また,正社員のうちに早期退職を促されている者があるとしても,それは一定の年齢に達した者に限られること,期間雇用社員の勤続期間が長期化しているとはいっても,それらの者については,業務 内容が限られており,管理職への昇任が予定されていないことからすれば,正社員についてかかるインセンティブを付与する趣旨は否定されないというべきである。 作業能率評価手当についてア正社員は,郵便物区分能率向上手当(新規採用後6か月以降について,1か月につき13日を上限として,1時間当たりに換算して基準以上の郵便物を結束した場合に,郵便局の区分に応じて1日ごとに180円ないし830円を支給するというもの。社員給与規程262条),郵便物配達能率向上手当(新規採用後6か月以降について,1か月につき1 上の郵便物を結束した場合に,郵便局の区分に応じて1日ごとに180円ないし830円を支給するというもの。社員給与規程262条),郵便物配達能率向上手当(新規採用後6か月以降について,1か月につき13日を上限として,1分当たりに換算して基準以上の郵便物を誤配なく配達した場合に,郵便局の区分に応じて1日ごとに240円ないし880円を支給するというもの。同263条)及び郵便外務業務精通手当(新規採用後6か月以降について,会社の定める評価基準により従業員の外務の職務の精通度合いを段階で評価し,AからCの評価段階に該当すると,それぞれ1か月につき1万6500円ないし5100円を支給するというもの。同265条)が支給されている。 イ時給制契約社員に対しては,作業能率測定時の直近のスキル評価がAランクでかつ基礎評価結果が全てできていると評価された者には(甲13,112条,100条)レベル1ないし7のランクに応じて半年に一度の測定月の翌月の給与支給日に作業能率評価手当が支給されている。 その上,そもそも時給制契約社員の基本給は,基本給が基礎基本給と加算給から成るところ,加算給は基礎評価給と資格給から成り,スキル評価の結果によって資格給が加算されており,基本給自体が業務能力を反映させて定められている。(甲13,103条2,4, 5項,乙18(3,4頁))他方,正社員の基本給は,成績が特に良好な場合は加算昇給される場合があるとされているにすぎない(甲12,175条,183条,乙17,18(4頁))上に,成績評価の項目が当該業務に関するものに限られていないから,加算昇給は単純に業務能力に対する評価による加算額ともいえない。 ウすなわち,時給制契約社員は,業務の遂行能力が基本給に反映されるのに加えてこれに対応した手当が設けられてい に限られていないから,加算昇給は単純に業務能力に対する評価による加算額ともいえない。 ウすなわち,時給制契約社員は,業務の遂行能力が基本給に反映されるのに加えてこれに対応した手当が設けられているのに対し,正社員の基本給における業務遂行能力は例外的に反映されるのみで専ら手当で評価されている。(乙17)これは,時給制契約社員に対する作業能率評価手当が,日本郵政公社時代において,評価がAランクに達した非常勤職員の更なるモチベーションの向上を図るため,インセンティブ付与を目的として平成17年10月に導入されたものであるのに対し,正社員に対する郵便物配達能率向上手当及び郵便外務業務精通手当は,平成16年4月の給与制度改革において,常勤職員の基本給に加算されていた各種の郵便関係調整額を圧縮し,より能力・実績に応じた支給を行うことで常勤職員に対し,能力向上へのインセンティブを付与するために新設された手当であることに由来している。(乙17,弁論の全趣旨)エそうすると,1審原告が問題とする正社員の手当に相当する支給は,時給制契約社員に対しても名称を異にする手当及び基本給の一部として支給されている。 そして,外務業務に限った習熟度に対してされる給付について,業務の内容及び配置の変更が予定される正社員については専ら手当として考慮し,当該業務のみに当たることを前提に採用される期間 雇用社員についてはその一部を基本給の中に取り込んで考慮する給与体系を設けること自体は,正社員と時給制契約社員との間では職務内容や,職務の内容及び配置の変更の範囲に相違があることなどを考慮すると不合理な相違であるとはいえない。 したがって,問題となる相違は,その対象者の範囲ないしはその金額の多寡ということになる。そして,上記のとおりの正社員と時給制契 囲に相違があることなどを考慮すると不合理な相違であるとはいえない。 したがって,問題となる相違は,その対象者の範囲ないしはその金額の多寡ということになる。そして,上記のとおりの正社員と時給制契約社員の業務の内容等の相違に加え,そもそも賃金体系等の制度設計を異にし,新たな手当として時給制契約社員のために設けられた手当と,正社員に対して従前の手当を組み替えて支給される手当とではその給付開始の経緯や趣旨が異なることも考慮すると,単純な各手当の支給額の相違や一部の手当について対象者の範囲に相違があることのみから,それらが不合理な相違であるということはできない。 オなお,郵便物区分能率向上手当(甲12の262条)が区分A(郵便点数3001点以上の郵便局)で満額(13日分)で支給されて月額1万0790円,郵便物配達能率向上手当(263条)が区分A(1区当たり配達物数(平常1日当たり)2000通以上又は配達箇所数が1000か所以上の郵便局)で同様に月額1万1440円,郵便外務業務精通手当(265条)がA評価でかつ調整率が最大(100%)の場合で月額1万6500円であることを考慮すると(本件郵便局が区分Aであることについては,1審被告らの控訴審第1準備書面67頁参照),それぞれ最高ランクで加算を受けたとしても,月額合計3万8730円であり,時給換算(1か月22.5日勤務,1日8時間勤務として換算)すると215円の増額にとどまる。 他方,時給制契約社員の資格給は最大で時給550円が加算され るものであり,1審原告自身をみても平成25年,26年に資格給は350円(甲65の3,4)が加算されており,さらにこれとは別に作業能率評価手当が支給される可能性があることも踏まえると,職務の精通度合いに応じて支給される給与として不合理な相違が 26年に資格給は350円(甲65の3,4)が加算されており,さらにこれとは別に作業能率評価手当が支給される可能性があることも踏まえると,職務の精通度合いに応じて支給される給与として不合理な相違があるとは認められないというべきである。 外務業務手当についてア時給制契約社員には,正社員の外務業務手当(外務業務に従事した場合に,1日につき,AからEの5つの区分に従って,1420円ないし570円を支給するというもの。甲12の249条)は支給されないことが認められる。 イ外務業務手当は,平成19年4月に実施された内務職と外務職の職種統合に伴い,従前基本給の一部として支給されていた内務調整額及び外務調整額を手当化し,より低額であった内務調整額と同額である郵便業務調整額(195条。平成26年3月に廃止。)として一本化したことにより,従来より支給額が下がることのないように,より高額の調整額が支給されていた外務業務について差額相当分を別途支給して正社員間の公平を確保するために設けられたものである。(乙17)そもそも,正社員の基本給については,一般職群基本給表により各級ごとに1号俸から125号俸(4級)ないし157号俸(2級)までの基本給が号俸ごとに定められているところ,基本給表について郵便窓口業務従事者との間に差異はない。(甲12。別表第3,別表第22)したがって,正社員において内務業務と外務業務の業務内容の相違に鑑みて外務業務の従事者に給与を加算する趣旨の手当は外務業務手当のみということになる。 ウ他方,時給制契約社員の基本給の下限は,地域別最低賃金に相当する額20円を加えた額であるが,支店において外務業務に従事する同社員については,A地域で130円,B地域で80円が加算されることになっている。(甲13,1 員の基本給の下限は,地域別最低賃金に相当する額20円を加えた額であるが,支店において外務業務に従事する同社員については,A地域で130円,B地域で80円が加算されることになっている。(甲13,103条3項1号,別表第7,乙17,乙18(3頁))窓口業務に従事する時給制契約社員は,支店において外務業務に従事する者への加算額に相当するものはない。(なお,集金事務,アウトバウンド事務,かんぽ募集事務又は業務インストラクター補助の事務に従事する者については別途の加算がされる。(甲13,50条,別表第3))このように,時給制契約社員についても内務業務に従事する者との比較において,外務業務に従事する者については,外務業務に従事していることを理由として給与の加算が行われているのだから,正社員における外務業務手当と同趣旨の手当ないし給与の加算がないとはいえない。 エそして,その額に相違があることについては,両者の賃金体系に相違があること(ちなみにB地域で1日8時間就労した場合の加算は日額640円となるがこれは正社員のE区分の外務業務手当日額570円を上回る。)や,正社員と時給制契約社員との間では職務内容や,職務の内容及び配置の変更の範囲に相違があることなどを考慮すると,不合理な相違があるとまではいえない。 特別休暇の不存在について証拠(乙17,乙39の1,2)によれば,1審被告会社の正社員に付与されている夏期休暇については,昭和30年代後半以降,民間企業において夏期休暇を与える例が増加したことも踏まえ,当時,郵政省では年次有給休暇を与えるように指導するにとどまっていたもの が,労使交渉を経て夏期休暇を1日付与することになり,その後,一般の国家公務員に平成2年から3日の夏期休暇が付与されたことを考慮して,平成3年から えるように指導するにとどまっていたもの が,労使交渉を経て夏期休暇を1日付与することになり,その後,一般の国家公務員に平成2年から3日の夏期休暇が付与されたことを考慮して,平成3年から付与日数が現在の3日間になったものであり,冬期休暇については,もともと年末年始特別休暇(12月29日から翌年1月3日。週休日,非番日,祝日を除く。)があったところ,12月29日からの期間が最繁忙期に当たるため,平成20年から21年にかけて,年末年始特別休暇を1月2日及び3日に見直し,新たな特別休暇として冬期休暇を新設したものであることが認められる。 我が国においては,現在,官公庁及び大多数の民間企業において夏期及び冬期に特別休暇が設けられていること,このような特別休暇の制度が設けられているのは,夏期については古くから祖先を祀るお盆の行事,冬期については年末から正月三が日にかけての行事があり,それに合わせて帰省をするといった国民的な習慣や意識を背景にするものであることは公知の事実である。 このように,夏期及び冬期休暇が,主としてお盆や年末年始の慣習を背景にしたものであることに照らすと,かかる休暇が正社員に対し定年までの長期にわたり会社に貢献することへのインセンティブを与えるという面を有している(乙17の13頁,乙18の9頁)としても,そのような時期に同様に就労している正社員と時給制契約社員との間で休暇の有無に相違があることについて,その職務内容等の違いを理由にその相違を説明することはできず,制度として時給制契約社員にこれが全く付与されないことについては,不合理な相違であるといわざるを得ない。 時給制契約社員は,正社員と異なり当該期間が当然に勤務日となっているわけではなく,勤務日と指定されたとしても,当該期間中にその全てが正社員と同程度 いては,不合理な相違であるといわざるを得ない。 時給制契約社員は,正社員と異なり当該期間が当然に勤務日となっているわけではなく,勤務日と指定されたとしても,当該期間中にその全てが正社員と同程度の日数の勤務に従事するとは限らないが,上 記のとおりの休暇が設けられた趣旨を踏まえれば,正社員の夏期特別休暇に在籍日要件が設けられているように,当該期間中の実際の勤務の有無や,平均的な勤務日数などの要件を付加した上で,時給制契約社員に対し,正社員に比して一定割合の日数を付与するという方法も考えられるところであって,当該期間中に実際に勤務したにもかかわらず,正社員と異なりおよそ特別休暇が得られないというのはやはり不合理な相違といわざるを得ない。 1審原告が所属する労働組合と,1審被告会社との間では,平成19年10月22日付けで,期間雇用社員の休暇に関し労働協約が締結されており,そこには夏期・年末年始休暇についての定めはない(乙41の1)ものの,そのことだけでは,不合理性を否定することはできないというべきである。 そして,本件においては,前記認定のとおり,1審原告が正社員とほぼ同程度の勤務日数,勤務時間で就労していたと認められることに照らすならば,1審原告に対しては,同程度の休暇を付与するのが相当であったというべきである。 したがって,労働契約法20条が制定された平成25年4月以降,1審被告会社が,1審原告に対しかかる休暇取得の機会を与えなかったことは,同条に反し,1審原告に対する不法行為に当たるというべきである。 なお,当該労働条件が労使間での協議を踏まえて決定されたという事情は,相違の不合理性を否定する事情として考慮することができ,その場合は交渉の経過なども併せて検討する必要があると解されるが,夏期・年末年始特別休暇の 件が労使間での協議を踏まえて決定されたという事情は,相違の不合理性を否定する事情として考慮することができ,その場合は交渉の経過なども併せて検討する必要があると解されるが,夏期・年末年始特別休暇の点を除き,本件においては,この点について不合理性を否定する事情として考慮するまでもなく1審原告の主張する相違が不合理なものであると認めることはできない。 以上のとおりであるから,1審被告会社について,夏期及び冬期休暇の点を除き,労働契約法20条違反を理由とする不法行為の成立を認めることはできない。 一方,夏期及び冬期休暇を,1審原告に付与しなかったことが不法行為に当たることは上記のとおりであり,1審原告は,平成25年6月1日時点で在籍していたので,平成25年9月30日までの間に有給で3日間の夏期休暇を,退職する同年12月14日までの間に有給で3日間の冬期休暇を取得する機会を失ったといえる。 これにより,1審原告が被った損害は,当時の1審原告の時給が1150円であったことから,1日8時間就労したことを前提にすると夏季特別休暇分,冬期特別休暇分についてそれぞれ2万7600円であると認められる。 時間給制契約社員の給与は毎月末日締めの翌月24日支払であったから,夏期特別休暇分の損害については,平成25年10月24日から,冬期特別休暇分の損害については平成26年1月24日から遅延損害金が生じる。」同52頁3行目冒頭の「9」を「8」と改め,同4行目から6行目を次のとおり改める。 「 本件訴訟の内容,経過等に照らすと,1審原告が要した弁護士費用のうち,1審被告Yの暴行による不法行為と相当因果関係のある損害としては5万円,1審被告会社の労働契約法20条違反の不法行為と相当因果関係のある損害としては,夏期特別休暇分,冬期特別休暇 弁護士費用のうち,1審被告Yの暴行による不法行為と相当因果関係のある損害としては5万円,1審被告会社の労働契約法20条違反の不法行為と相当因果関係のある損害としては,夏期特別休暇分,冬期特別休暇分についてそれぞれ2700円と認めるのが相当である。 したがって,1審被告らは連帯して5万円とこれに対する不法行為の日である平成25年12月14日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金を支払う義務を負い,1審被告会社は,これとは別に2700円と これに対する平成25年10月24日から及び2700円とこれに対する平成26年1月24日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。」 2 1審原告の補充主張について超過勤務時間についてア 1審原告は,超勤命令簿が実態を反映しているかどうかについて疑問がある旨主張するが,終業時刻記録簿との比較を踏まえて,その記載内容に信用性があると認められることは,当審において引用した原判決(37頁26行目から38頁8行目まで)に記載のとおりである。 これと異なり,平均して午後9時ころまで残業していたとする1審原告本人の原審における供述は採用することができない。 1審原告は,終業時刻記録簿自体が,超勤命令簿の記載を前提に作成されているとも主張するが,1審被告会社において,従業員が超勤命令簿の記載を踏まえて終業時刻記録簿を作成する運用が行われていたのであれば,1審原告のように終業時刻の記載を欠いた日が多いまま放置されるということは想定し難く,このほか,1審原告が指摘する事情は,超勤命令簿の信用性を左右するに足る具体的な事情とはいえない。なお,甲第16号証のガイドライン及び甲第17号証の通達においては,使用者が自ら現認する形で残業時間を確認する方法も記録方法とされている 超勤命令簿の信用性を左右するに足る具体的な事情とはいえない。なお,甲第16号証のガイドライン及び甲第17号証の通達においては,使用者が自ら現認する形で残業時間を確認する方法も記録方法とされている。 イまた,1審原告は,想定超勤時間と残業時間の比較で,サービス残業の傾向は十分に読み取れるとも主張する。 しかし,想定超勤時間を算定するに際しては,基準物数と当日の担当者の配達物数が参照されるところ,基準物数は,天候や配達担当社員の業務の習熟度などの個別事情を捨象した年1回の調査で得られる統計情報を基にした1区当たり450分で作業を終えることが可能な配達物数(当審において引用した原判決32頁26行目から33頁5行目まで)にすぎない。 したがって,1審原告の当日の業務が,1審原告において残業代を請求している全期間において,想定超勤時間を算出する際に参照された当日の配達物の配達業務のみであれば,1審原告自身の能力や習熟度による影響も平均化される可能性があり,1審原告の主張するところが全体的な傾向を示すものといえる余地もある。 しかしながら,当審において引用した原判決(32頁26行目から33頁5行目まで,37頁18行目から24行目まで)記載のとおり,実際には,配達業務に従事する以上,業務に要する時間には天候などの影響が生じるほか,配達業務自体に限ってみても他区の応受援など,統計で考慮されない諸事情により勤務時間が左右され,さらに,配達業務以外にも会議や研修への出席などの業務が加わることを踏まえると,1審原告が主張するような,想定超勤時間と残業時間の比較から,サービス残業の傾向を読み取ることは困難というべきである。 ウ 1審原告は,1審原告が退職を決意した平成25年12月の残業時間が突出して多いことが1審原告の主張を裏付けると 間と残業時間の比較から,サービス残業の傾向を読み取ることは困難というべきである。 ウ 1審原告は,1審原告が退職を決意した平成25年12月の残業時間が突出して多いことが1審原告の主張を裏付けると主張する。しかしながら,12月は他の月との比較でいえば繁忙期であるから残業が増えるのは当然といえる。また,平成25年12月は10日の勤務で平均3時間弱の残業であるところ,他の年度との比較においても平成23年12月は20日の勤務(12月31日の非番廃休の勤務分を除く)で平均約3時間の残業をしたことになっており,平成22年12月と平成24年12月も約2時間半の残業をしていること(乙4),平成25年12月は勤務日数が少なく平均値の変動が大きくなるという側面が否定できないことを踏まえると,平成25年12月の残業時間が突出して多いとはいえない。 エ以上のとおりであるから,この点に関する1審原告の主張は採用することができない。 なお,前提としての未払賃金の存在が認められないので,この点に関す る付加金についての主張も理由がない。 1審被告Yの暴行及び自爆営業の強要についてア 1審原告は,証拠(甲6・本件暴行があったとされる日の翌々日である平成25年12月16日における1審原告と1審被告Yとの会話録音の反訳書)によれば,1審被告Yが,1審原告の襟首をつかんで給湯室に投げつけた(押し投げた)ことは明らかであり,1審被告Yも襟首をつかんでいたこと自体は否定していないなどと主張する。 この点,上記反訳書においては,1審原告が,自らの主張する暴行態様を認めさせようと1審被告Yに対し誘導を試みているものの,結局,1審被告Yは,呼び止めても止まらない1審原告を追いかけ,首根っこ(服の後ろ襟)をつかまえて給湯室へ連れて行ったこと,その後はいろいろ を認めさせようと1審被告Yに対し誘導を試みているものの,結局,1審被告Yは,呼び止めても止まらない1審原告を追いかけ,首根っこ(服の後ろ襟)をつかまえて給湯室へ連れて行ったこと,その後はいろいろ問い詰めたことを認めているにとどまり,1審原告の主張を裏付けるような供述をしていると認めることはできない。 なお,上記反訳書の481項には,1審被告Yの発言として,「押し投げた」との記載があるものの,反訳書の基となった会話録音のDVD(甲7)によれば当該部分の1審被告Yの口調は,語尾が上がっており,1審原告の「給湯室に,押し投げましたよね?」との発言に対し疑問を呈したり,驚いたりしている様子を示しているのであって,1審被告Yが1審原告を押し投げたことを認めたものということはできない。また,上記反訳書の484項で1審原告が,「あ,襟ですか?こう掴んで締めましたよね?」と聞いているのに対し,485項で1審被告Yが「あー」と応じたとの記載があるところ,上記DVDの録音では,詳細は聞き取れないものの,1審被告Yが,何か言い分を述べている様子があり,その後,486項で,1審原告が「でも」と切り出して自らの言い分を認めさせようとしていることからすると,485項では,1審被告Yから,襟をつかんで締めたという1審原告の主張を否定する発言があったものと思われる。(甲 7の37:32から38:20ころまで)診断書(甲8)の記載内容についても,1審原告に具体的な外傷等の客観的所見があったことはうかがわれず,頚椎症,腰痛症の診断は,1審原告の首や腰に痛みがあるとの主訴に基づくものと解され,1審原告の主張する暴行態様を裏付けるに足るものではない。 よって,暴行の態様についての1審原告の主張は採用することができない。 なお,当審において引用した原判 あるとの主訴に基づくものと解され,1審原告の主張する暴行態様を裏付けるに足るものではない。 よって,暴行の態様についての1審原告の主張は採用することができない。 なお,当審において引用した原判決(35頁2行目から12行目まで)で認定した1審被告Yの暴行態様を前提にすれば,暴行を受けたことにより1審原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料が10万円を上回ることはない。 イ 1審原告は,1審原告が自宅にレターパック等を保管していること(甲5)から,自爆営業を強要されたことが明らかであると主張する。しかしながら,当審において引用した原判決(42頁23行目から43頁8行目まで)記載のとおり,1審原告がこれを購入したことが,1審被告Yから社会通念上許容される限度を超える強要を受けた結果であると認めるに足りる証拠はない。 3 1審被告らの補充主張について1審被告会社は,本件郵便局における昼休憩は,勤務時間である休息時間と休憩時間からなり(乙38の1,2),1審被告Yが,昼休みをとれていないような発言をしていることは,休憩時間に業務が及んでいるか否かなどを明らかにするものではなく,結局,この点に関する証拠はないと主張する。 しかしながら,1審被告Yの認識が,業務の継続は休息時間までにとどまっており,あるいは代替の休憩時間も取得されていることから,休憩時間に勤務が及んでいることはないというものであれば,1審原告との面談に際し,その旨,反論ないし説明をすると考えられるところ,1審被告Yがそのよう な反論ないし説明をした形跡はない。 したがって,1審被告Yが述べたところを踏まえ,休憩時間が少なくとも10分程度,業務に充てられていたとする原判決の認定は相当である。 1審被告Yは,同被告が1審原告の後ろ襟を掴んだこと,そのまま給湯室 って,1審被告Yが述べたところを踏まえ,休憩時間が少なくとも10分程度,業務に充てられていたとする原判決の認定は相当である。 1審被告Yは,同被告が1審原告の後ろ襟を掴んだこと,そのまま給湯室に連れて行ったことは,1審原告が,退職届を投げてよこし,呼び止められたにもかかわらず立ち止まることなく逃げるように走って行ったという経緯等に鑑みるならば,社会的相当性を欠くとはいえないと主張する。 しかしながら,前記認定の暴行の態様に照らすならば,1審被告Yの主張する経緯等があり,その時点で,退職届の扱いについて1審原告と話をする必要性があったとしても,そのことによって上記暴行が社会的相当性を有する行為であったいうことはできない。 したがって,1審被告らの補充主張はいずれも採用することができない。 4 そうすると,1審原告の請求については次のとおりの範囲で認められる。 未払賃金(時間外手当)に関する請求については,平成24年1月分以降の昼の休憩時間の一部11万6760円について請求する部分とこれに対する各支払期からの遅延損害金を請求する限度で理由があり(原判決主文第1項と同じ。),その余の請求(当審において拡張された附帯請求も含む。)には理由がない。 元金額及びこれに対する本判決確定の日の翌日からの遅延損害金を請求する限度で理由があり(原判決主文第2項と同じ。),その余の請求には理由がない。 買取強要行為の不法行為についての商品購入額相当額の損害賠償請求については理由がない。 1審被告Yの暴行等及び買取強要行為の不法行為についての慰謝料請求は,1審被告Yの暴行について,1審被告らに対し,10万円とこれに対する平成25年12月14日からの遅延損害金の支払を求める限度で理由があり (原判決主文第3項と同じ。),その余 謝料請求は,1審被告Yの暴行について,1審被告らに対し,10万円とこれに対する平成25年12月14日からの遅延損害金の支払を求める限度で理由があり (原判決主文第3項と同じ。),その余の請求は理由がない。 1審被告会社の労働契約法20条違反の不法行為についての経済的損害に関する請求は,5万5200円とうち2万7600円に対する平成25年10月24日から支払済みまで,うち2万7600円に対する平成26年1月24日から支払済みまで,年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求には理由がない。 1審被告らに対する各不法行為に基づく弁護士費用相当額の請求については,1審被告Yの暴行に関して1審被告らに対し,連帯して5万円と暴行のあった日である平成25年12月14日からの遅延損害金の支払を求めるものと1審被告会社に対し,労働契約法20条違反の不法行為に関し,5400円とうち2700円に対する平成25年10月24日から支払済みまで,うち2700円に対する平成26年1月24日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求には理由がない。 したがって,るが,の点については,1審被告会社に対し,労働契約法違反の不法行為に基づき5万5200円と弁護士費用5400円の合計6万0600円及びこれに対する各不法行為の日からの遅延損害金を認容すべきところ,これを棄却した点で一部失当であるほか,1審被告Yの暴行についての不法行為に基づく損害賠償としての弁護士費用相当額及びこれに対する遅延損害金について,1審被告Yに対して請求を追加し,1審被告会社に対し遅延損害金の起算点を不法行為の日からとして拡張した点についても認容すべきである。 なお,原判決主文第1項に「うち2635円に対する同月25 いて,1審被告Yに対して請求を追加し,1審被告会社に対し遅延損害金の起算点を不法行為の日からとして拡張した点についても認容すべきである。 なお,原判決主文第1項に「うち2635円に対する同月25日(平成26年1月25日)から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員」(原判決1頁25行目から26行目)とある点について,1審原告から,同月25日が,平成25年12月25日の誤りではないかとの指摘があるが,2635円は平成25年12月1日から同月14日までの就労分の未払賃金に相当 する額であり,その支払時期は翌月24日(原判決31頁参照)であるから,誤りはない。 よって,本件控訴に基づき,原判決を主文第2項のとおり変更することとし,当審において拡張及び追加されたものを含むその余の請求をいずれも棄却し,本件各附帯控訴はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部 裁判長裁判官阿部正幸 裁判官横 井 健太郎 裁判官坂本寛は,転補により署名押印することができない。 裁判長裁判官阿部正幸
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