平成15(ワ)12164 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成18年6月23日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文59,881 文字)

平成18年6月23日判決言渡平成15年第12164号損害賠償請求事件( )ワ判決主文 被告らは、原告に対し、連帯して110万円及びこれに対する被告北九州市については平成15年6月16日から、被告Aについては同月27日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は、鑑定に要した費用についてはこれを2分し、その1を被告らの負担とし、その余を原告の負担とし、その余の訴訟費用については原告の負担とする。 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告らは、原告に対し、連帯して2億2000万円及びこれに対する被告北九州市については平成15年6月16日から、被告Aについては同月27日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要事案の要旨 原告は、胆石症及び総胆管結石の疑いがあるとして被告北九州市が設置経営する北九州市立医療センターに入院して検査を受けたところ、悪性の膵頭部腫瘍があると診断されたため、同医療センターの医師である被告A医師の執刀により、膵頭十二指腸等を切除する手術を受けたが、術後の病理検査により、原告の疾病は悪性の膵頭部腫瘍でなく、慢性膵炎であったことが判明した。 このことについて、原告は、被告A医師が慢性膵炎を膵頭部腫瘍と誤診したことや十分な説明をしなかったことなどにより、生命維持に関わる臓器を失い、療養生活を強いられたことなどを主張して、被告らに対し、不法行為又は診療契約上の債務不履行に基づき、損害賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日(被告北九州市について平成15年6月16日、被告A医師について同月27日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支 上の債務不履行に基づき、損害賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日(被告北九州市について平成15年6月16日、被告A医師について同月27日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した前提となる事実証拠のページ番号等を〔〕内に示す)。 当事者( )ア原告関係原告は、昭和14年1月3日生まれの女性であり、主婦業の傍ら、声楽家としての活動を行っていた。B(以下単に「B」という)は、原告の。 夫である(争いのない事実、甲A30〔29、甲C5)。 〕イ被告関係被告北九州市は、同市a区bc丁目d番e号において地方公営事業の( )ア一環として北九州市立医療センター(以下「被告病院」という)を設。 置経営している(裁判所に顕著な事実、争いのない事実。 )被告A(以下「被告A医師」という)は、原告が被告病院で治療を()イ。 受けていた当時、被告北九州市の職員として被告病院に勤務する医師であった(争いのない事実。 ) 被告病院への入院に至る経緯( )原告は、平成13年はじめころから、時折、食後に胃右上部の痛みを自覚していたところ、平成13年3月14日、赤い尿が出たことに気づき、同月16日には薄い赤色の尿が出た。そこで、原告は、同年3月16日、被告病院泌尿器科及び消化器科を受診したところ(乙A1〔7ないし9、11、〕) 泌尿器科において同月26日に実施された腹部エコー検査により胆嚢結石が発見されたため、同年4月6日に再び被告病院消化器科を受診し、担当医師から、痛みは胆嚢結石が原因の可能性もあると説明された(乙A1〔1 。そのため、原告は、同月12日、被告病院外科を受診し、同月26日、〕)同科の被告A医師から、胆石症及び総胆 を受診し、担当医師から、痛みは胆嚢結石が原因の可能性もあると説明された(乙A1〔1 。そのため、原告は、同月12日、被告病院外科を受診し、同月26日、〕)同科の被告A医師から、胆石症及び総胆管結石の疑いがあるので、入院して内視鏡的逆行性胆道膵管造影()検査及び内視鏡的乳頭切開が必要でERCPあるとの説明をされ、同年5月28日、被告病院に入院して同検査を受けたところ、膵頭部癌の疑いがあり、精密検査をする必要があると診断された(乙A1〔12、13、乙A2〔1、9。 〕〕) 診療経過の概略( )別紙2「診療経過一覧表(下線部分を除く)及び別紙3「検査結果一覧」。 表」記載のとおりである(これらの診療経過一覧表及び検査結果一覧表は、平成16年12月1日の本件第9回弁論準備手続期日において両当事者が陳述したものを整形したものである。なお、各一覧表の日付はいずれも平成13年のそれである。 。) 争点 被告病院が、慢性膵炎を膵頭部腫瘍と誤診し、膵頭十二指腸・胃・肝動脈( )・胆管・神経叢・胆のう等を切除する手術(本件手術)を行った過失の有無 被告病院が本件手術を行うに当たって必要な検査の実施を怠った過失の有( )無 被告病院の診断を前提として、原告に対して手術を行ったこと又はその術( )式に誤りがあったか否か 手術の実施・手術方法に関する説明義務違反の有無( ) 同意のない右肝動脈合併切除・再建術(本件拡大手術)を行った過失の有( )無 胆管炎の発症についての過失の有無( ) 損害額( )争点についての当事者の主張 別紙1「主張要約書」記載のとおりである(この「主張要約書」は、平成17年7月14日の本件第15回弁論準備手続期日において両当事者が陳述した「争点整理案(追加主張記 争点についての当事者の主張 別紙1「主張要約書」記載のとおりである(この「主張要約書」は、平成17年7月14日の本件第15回弁論準備手続期日において両当事者が陳述した「争点整理案(追加主張記入版」に対し、その後の主張をふまえて加筆修正)を施したものである。 。)第3当裁判所の判断事実認定 前記第2の2記載の前提となる事実に加え、証拠等によれば、次の事実が認められる(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号を〔〕内に示す(鑑定の結果については、鑑定人調書及び同添付の意見の要旨についての通しページ数を示す。以下同じ。 。)。) 被告病院外科を受診するに至った経緯( )ア原告の職業等原告は、昭和14年1月3日生まれの女性であり、主婦業の傍ら、「C」という集まりを主宰して、北九州市内でコンサートを開くなど、声楽家としての活動を行っていた(前記第2の21 ア、甲C8、証人B〔1( ) 。原告は、平成13年3月当時、同年7月20日に北九州市内におい〕)て開かれるコンサートに出演する予定であった(甲P30〔8、資料1 。 〕)イ自覚症状と被告病院泌尿器科、消化器科の受診原告は、平成13年はじめころから、時折、食後に胃右上部の痛みを自覚していたところ、平成13年3月14日には赤い尿が出たことに気づき、同月16日には薄い赤色の尿が出たことから、同日、被告病院泌尿器科及び消化器科を受診した(乙A1〔7ないし9。 〕)泌尿器科においては、原告が尿の異常を訴えたことから、同科担当医師 は尿検査を実施したが、異常がなく(乙A1〔25、腹部エコー検査を〕)同月26日に実施することとした。他方、消化器科においては、原告が平成13年のはじめから右季肋部痛があるとして胃内視鏡検査を希望 尿検査を実施したが、異常がなく(乙A1〔25、腹部エコー検査を〕)同月26日に実施することとした。他方、消化器科においては、原告が平成13年のはじめから右季肋部痛があるとして胃内視鏡検査を希望したことから、同科担当医師は同月23日に同検査を施行することとした(乙。 A1〔11)〕ウ被告病院外科の受診同月23日の胃内視鏡検査においては異常なしとの所見が得られたが、同月26日に実施された腹部エコー検査においては胆嚢結石が発見された(乙A1〔12、22、24、A3、A11〔2)ことから、原告が4〕〕月6日に再び被告病院消化器科を受診したところ、担当医師は、原告に対し、痛みは胆石発作ではないが、胆嚢結石が原因の可能性もあると説明した。そこで、原告は、同月12日、被告病院外科を受診した(乙A1。 〔12)〕 -検査、検査目的の入院の決定等の経過( )DICCTERCPア検査予約、採血被告病院外科において原告を担当した被告A医師は、平成13年4月12日、原告に対し、心窩部痛が胆道の痛みによる可能性があり、尿の色が濃くなっているのはビリルビン尿になっているためである可能性があることや、胆嚢結石によって起こる症状についても説明し、同日に採血を実施し(その際、及び19-9の腫瘍マーカー検査も実施された、さらCEACA。)に同月26日に点滴静注胆道造影と検査の併用検査(-検査。 CTDICCT以下単に「-」という)施行することを予約した(甲A14、乙DICCT。 。 A1〔12、13、19、30)〕イ-の施行と入院の決定DICCT平成13年4月26日11時30分に原告に対して-が施行されDICCTた結果、原告に胆嚢結石が存在し、かつ、総胆管拡張がみられるものの、 )〕イ-の施行と入院の決定DICCT平成13年4月26日11時30分に原告に対して-が施行されDICCTた結果、原告に胆嚢結石が存在し、かつ、総胆管拡張がみられるものの、 明らかな総胆管結石はみられないとの所見が得られたほか、軽度の肝障害がみられた。そこで、被告A医師は、同日、原告に対し、これらの所見を説明した上、総胆管結石が排石後なのかどうかを確認するために同年5月28日に入院し、翌29日に内視鏡的逆行性胆道膵管造影(。以下ERCP単に「」という)及び内視鏡的乳頭切開(。以下単に「」ERCPESTEST。 。 、という)を、同年6月1日に腹腔鏡下胆嚢摘出手術をそれぞれ行うことの合併症等を説明した(乙A1〔13、23、31。 ERCP〕)同年5月10日には、原告について術前採血、心電図検査、肺機能検査及び胸部・腹部線検査が実施され、被告A医師は、原告に同行した夫XDICCTERCPESTに対し、原告に入院してもらって-を施行する旨、及びをし、腹腔鏡下胆嚢摘出術をする方針である旨を説明した(乙A1〔15、18、21。 〕)ウ腫瘍マーカー検査被告A医師は、平成13年5月10日の採血により、腫瘍マーカー検査CEACACEAng/ml(及び19-9)を実施したところ、については3.2(基準値は5.0以下。なお、以下においては、単位に関わる表記は原則として国際単位系記号による、19-9については28.5(基準。)CAu/ml値は37以下)であった(甲A7、A11、乙A1〔18。 〕)エ5月15日・初回のセカンドオピニオン他方、Bは、東京の医師に対してセカンドオピニオンを求めていた(証人B〔39、45。ただし、セカンドオピニオンの話題を原告にした 1、乙A1〔18。 〕)エ5月15日・初回のセカンドオピニオン他方、Bは、東京の医師に対してセカンドオピニオンを求めていた(証人B〔39、45。ただし、セカンドオピニオンの話題を原告にしたと〕)ころ、原告が医師に失礼だからやめてほしい旨を述べたため、原告には、上記及び後記5 エの各セカンドオピニオンをした事実を伝えていない(証( )人B〔31ないし33、45。 〕) 膵頭部癌の疑いと入院、諸検査の施行( )ア入院 原告は、平成13年5月28日、被告病院外科に入院した(乙A2。 )ERCPESTイ・ERCP()ア平成13年5月28日午後3時、被告A医師は、原告に対し、を施行し、次の所見を認めたため「膵頭部癌」と診断した(乙A2、。 〔76、A5、A11〔5)〕〕「乳頭は正常である」●「選択的胆管造影にて中下部胆管に不整な高度狭窄を認めたため、●造影剤の注入を少量にとどめた」。 「選択的膵管造影からバルーン膵管造影を行い、下部胆管の狭窄に●一致して、主膵管狭窄(+)(ダブルダクトサイン、同部の分枝の描)出不良であるが、不整は胆管の方が著明で膵内胆管原発の胆管癌かもしれない」。 これを受けて、被告A医師は、腹腔鏡下胆嚢摘出は延期して精密検査( )イをすることが必要であると判断し、同日午後6時、原告及びBに対し、本日ので悪性の膵頭部腫瘍が判明し、疼痛や肝障害の原因が判明ERCPしたこと、エコー検査や検査などで精査を進め、5月31日に内視CT鏡的逆行性胆管ドレナージ()により黄疸の改善(減黄)を図るERBD方針であることを説明した(乙A2〔9。 〕)ウ超音波検査平成13年5月30日、被告A医師は、原告に対して腹部エコー検査を施行し、次の所見を認めたため「膵頭部 疸の改善(減黄)を図るERBD方針であることを説明した(乙A2〔9。 〕)ウ超音波検査平成13年5月30日、被告A医師は、原告に対して腹部エコー検査を施行し、次の所見を認めたため「膵頭部癌、閉鎖性黄疸、胆嚢結石」と、診断した(乙A2〔10、73、74、A4、A11〔3)。 〕〕「膵頭部、膵鉤部側に31×31×25の低エコー腫瘤、辺縁●mm凹凸が見られ、癌です。主膵管の拡張はないが、総胆管は内側、腹側より腫瘤で圧排され、ほぼ閉塞。総胆管16と拡張し、肝内胆管もmmごく軽度拡張→外科的黄疸です。上腸間膜静脈から門脈は開存している 状態だが、脾静脈-門脈合流部から門脈本幹にかけて、圧排、狭窄が見られ、浸潤が強く疑われる。 肝臓:コメット・エコー(+)。腫瘤なし胆嚢に多発結石と胆砂。 壁肥厚軽度」。 エ検査CT平成13年5月31日、被告病院放射線科の医師は原告に対して検CT査を施行した結果、次の所見を認めたため「膵頭部癌」と診断した(乙、。 A2〔81、A7、A11〔9)〕〕「膵頭部に31×21大の、正常膵実質と比較して増強効果の●mm低い領域があります。膵癌に合致する所見です。 総胆管は上記腫瘤内にて狭窄し、総胆管、肝内胆管は拡張しています。 主膵管の軽度拡張もあります。 脾静脈門脈合流部は上記の腫瘤に取り囲まれ、脾静脈および上腸間膜静脈の遠位部、門脈の近位部に狭窄が認められます。 下大静脈は腫瘤の後方にありますが、両者の間に脂肪組織が介在し、浸潤は否定的です。 腹腔動脈本幹、総肝動脈、脾動脈、上腸間膜動脈は腫瘤と離れ、問題なしです。 なお、胆嚢内には結石があります。 脾臓、腎臓に明らかな異常を認めません。 描出範囲内に有意なリンパ節腫大を認めません。 腹水を認めません」。 ERCPEST 膜動脈は腫瘤と離れ、問題なしです。 なお、胆嚢内には結石があります。 脾臓、腎臓に明らかな異常を認めません。 描出範囲内に有意なリンパ節腫大を認めません。 腹水を認めません」。 ERCPESTERBDオ、及びまた、同日、被告A医師は、原告に対して再びを実施し(乙A6。 ERCPなお、この際にも膵頭部癌と診断した、同時に及び胆管ドレナー。)EST ジ術を施行して、7長のダブルピッグテイルステントを留置した。 cm(乙A2〔10、77)〕カ内視鏡検査平成13年6月4日、被告病院のD医師が原告に対して食道・胃・十二指腸内視鏡検査を施行したところ、全体に萎縮、腸上皮化生がやや目立つが、局在病変は認めなかった(乙A2〔10。 〕)キ血管造影検査平成13年6月5日、被告A医師からの依頼により、被告病院のE医( )ア師は、原告に対して、右大腿動脈の経皮的穿刺によりカテーテルを挿入して上腸間膜動脈、腹腔動脈及び総肝動脈について血管造影検査を施行し、次のbの所見に基づき、次のaのとおり診断した(乙A2〔8。 6、A8、A11〔10、11)〕〕a診断「1.後膵十二指腸動脈及び背膵動脈の壁不整2.門脈狭窄」b所見「1.上腸間膜動脈造影動脈相にて上腸間膜動脈本幹に著変を認めません。上腸間膜動脈より背膵動脈が分岐していますが、膵頸部領域の分枝が全体に少なく、また分枝に硬化性変化と壁の軽度不整が疑われます。 静脈相にて上腸間膜静脈から門脈本幹への移行部に狭窄を認めます。明らかな副側血行路は認めません。 2.腹腔動脈および総肝動脈造影後膵十二指腸動脈は屈曲蛇行した走行を呈しており、一部に壁の軽度不整を認めます。前膵十二指腸動脈や胃十二指腸動脈、総肝動脈などには著変を認めません。静脈相にて脾静脈から門 脈および総肝動脈造影後膵十二指腸動脈は屈曲蛇行した走行を呈しており、一部に壁の軽度不整を認めます。前膵十二指腸動脈や胃十二指腸動脈、総肝動脈などには著変を認めません。静脈相にて脾静脈から門 脈の本幹の移行部に狭窄を認めます」。 「以上、後膵十二指腸動脈と背膵動脈の分枝に壁の不整を、門脈本幹に狭窄を認め、膵頭部から頸部にかけての膵癌に合致すると思われます」。 これを受けて、被告A医師は、同日、原告には門脈合流部への浸潤を( )イ伴う膵頭部癌が存在するものと判断した(乙A2〔10。 〕) 膵頭部癌の診断と手術等に関する説明等( )ア原告及びBに対する説明上記3 の検査結果を基に、被告A医師は、平成13年6月9日、原告( )( )ア及びBに対し「癌」との言葉を用いずに、原告の膵頭部に悪性腫瘍が、あることを、門脈に浸潤があることは明言せずに、門脈の狭窄があるので切除する必要があることをそれぞれ説明した(乙A2〔11。 〕)、( )イその上で、被告A医師は、手術の方法について、紙に図示しながら膵頭十二指腸を切除し、その際に門脈を切除し、リンパ節を郭清し、さらに悪性細胞の遺残に対して治療をするために術中照射を実施すること、上記切除後は、胆管空腸吻合、膵胃吻合、胃空腸吻合及び門脈吻合を行うことを説明した(乙A2〔11、95。 〕)さらに、被告A医師は、手術による合併症について、おおむね次のと( )ウおり説明した(乙A2〔96。 〕)a術中や術後に出血があること、輸血すると輸血合併症を起こし得ることb感染があること、その原因として創感染や腹腔内膿瘍、腹膜炎があり、その場合は処置を行うことc組織の癒着により腸閉塞が起こり得ることd縫合不全(吻合部から消化液や腸内容が漏れること)が起こり得る 感染があること、その原因として創感染や腹腔内膿瘍、腹膜炎があり、その場合は処置を行うことc組織の癒着により腸閉塞が起こり得ることd縫合不全(吻合部から消化液や腸内容が漏れること)が起こり得ること、縫合不全のうち特に問題なのは膵臓吻合部であること、縫合不 全により腹腔内膿瘍や腹膜炎が起これば措置をするが、膵液瘻が起これば治療が難しいことe門脈合併切除後、吻合中に肝臓や胆嚢が出血したり術後に血栓が形成されたりして肝不全が起こりうること、肝不全が起こると致命的であることf心肺合併症として、不整脈や心不全、肺炎、無気肺、下肢の血栓による肺梗塞が起こり得ることg長期的には、食事量の低下により体重が低下することがあるが、この点は後に回復すること、便通異常として下痢や便秘が起こりうること、糖尿病も起こりうるが、これに対してはインシュリン治療を行うことイ同意以上の説明の後、原告は、膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清及び術中照射を行うことについて同意し「医療行為について、その、必要性と内容、また、状況に応じた内容の変更、起こりうる危険性、予後などについて説明をいたしました「私は、上記の説明を受け、納得し。」、。 、ましたので、実施に同意します」などと記載された「説明・同意書」に原告及び説明に同席したBがそれぞれ署名押印した(乙A2〔94。 〕) 説明以降、術前までの経過等( )ア原告の発熱とその処置等原告は、平成13年6月10日から38度以上の発熱があり、これに対して、被告A医師は抗生剤を投与したが、原告は戦慄を伴う程となり、熱も40度を超える状態となった。そこで、被告A医師は、6月11日午後8時30分から緊急を実施し、閉塞したダブルピッグテイルステンERCPトを抜挙した上、新たに7のダ 告は戦慄を伴う程となり、熱も40度を超える状態となった。そこで、被告A医師は、6月11日午後8時30分から緊急を実施し、閉塞したダブルピッグテイルステンERCPトを抜挙した上、新たに7のダブルピッグテイルステントを2本留置cmすると、清明な黄色の胆汁が流出した。そのため、被告A医師は、原告に 切迫性急性閉塞性胆管炎が生じているものと診断した(乙A2〔11、。 79)〕イ検査MRI被告A医師の依頼により、被告病院のE医師は、原告に対して検MRI査を実施し、次の診断及び所見を得た(乙A2〔12、85、A9、A〕11〔10。 〕)診断( )ア「膵頭部癌」所見( )イ「にて描出された膵頭部の腫瘤は1強調にて正常膵実質よりも軽度CTT低信号、2強調にて等信号を呈し、ガドリニウムにて造影増強されTています。 門脈の脾静脈合流部に浸潤し、その内腔は狭小化しています。 有意なリンパ節の腫大は認めません。 胆嚢内には数個の結石を認め、壁は全周性に肥厚しています。 核磁気強鳴()による膵胆管造影にては総胆管の末梢部と膵頭部MR領域の主膵管に高度の狭窄もしくは閉塞を認めます」。 ウ検査等と手術の延期、原告の状態の回復CT平成13年6月12日夕刻より、原告が再び、戦慄を伴う高熱状態となったことから、被告A医師は、緊急検査を行ったところ、既知の膵頭CT部癌に加えて急性胆管炎との診断が得られ、嵌頓結石も見られたため、緊急に経皮経肝的胆嚢ドレナージを施行した(乙A2〔12、82、A1〕0、A11〔13。 〕)ERその後、原告について血液検査を行った上で、被告A医師は、緊急時に総胆管内の汚染が著明でなかったことや、トランスアミナーゼのCP上昇が見られなかったことなどから、回顧的に見れば、胆管 〕)ERその後、原告について血液検査を行った上で、被告A医師は、緊急時に総胆管内の汚染が著明でなかったことや、トランスアミナーゼのCP上昇が見られなかったことなどから、回顧的に見れば、胆管炎というより は胆嚢炎の状態にあったものと考え、6月13日に予定されていた手術を同月20日に延期した上、胆嚢炎ないし胆管炎の感染状態の緩解後に手術をすることとした(乙A2〔13。 〕)原告の身体状態は、その後、6月15日以降、回復傾向にあった(乙A2〔13、14。 〕)エ被告A医師による再説明とBによるセカンドオピニオンの要求被告A医師は、平成13年6月18日午後8時にBと面談し、膵頭部( )ア癌の診断を改めて確認し、進行例であって門脈浸潤の可能性があることを説明した。これに対して、Bから、門脈合併切除の是非について東京のがんセンターの知己に対してセカンドオピニオンを求めたいとの意向が表明された。そこで、被告A医師は、翌19日、診断等のフィルム及び所見のコピーをBに交付した(乙A2〔14)。 〕Bが、A医師からもらった上記診断等のフィルム及び所見のコピーを( )イ基にセカンドオピニオンを求めたのに対して、東京の医師は、門脈には浸潤がなく、狭窄しているのみである可能性が強いから切除の必要がないし、仮に開腹してみて門脈に浸潤があっても、それに対する治療法は複数あるから門脈合併切除はすべきでない旨を述べた(証人B〔41、 。 〕)なお、原告は、主治医であるA医師の言うとおりにすべきであるとの意向を有していた(証人B〔45。 〕)オ腫瘍マーカー平成13年6月19日、被告A医師は原告に対して5種類の腫瘍マーカー検査を実施した。そのうち及び19-9については院内で検査さCEACAれ、それぞれ、の値が1.9 〕)オ腫瘍マーカー平成13年6月19日、被告A医師は原告に対して5種類の腫瘍マーカー検査を実施した。そのうち及び19-9については院内で検査さCEACAれ、それぞれ、の値が1.9(基準値は5.0以下、19-9CEAng/mlCA)の値が23.1(基準値は37以下)であるとの検査結果が同日報u/ml告された(乙A2〔40。 〕) 他方、エラスターゼ、-1及び-2の検査については外注さISPANDUPANれ、エラスターゼの値が247(基準値は100ないし400、Ing/dl)SPANu/mlDUPANu/ml-1の値が42(基準値は30未満、-2の値が54)(基準値は150未満)であるとの検査結果は本件手術後である同月21日に報告された(甲A12、乙A2〔68。 〕) 手術の施行( )ア平成13年6月20日、原告に対して、約13時間にわたって手術が実施された(乙A2〔15、126。 〕)手術においては、開腹の上、膵頭十二指腸切除術、リンパ節郭清、門脈合併切除、再建術が行われたほか、原告に右肝動脈が膵頭部後方へ回り込む奇形(走行異常)がみられたことから、右肝動脈合併切除再建及び術中照射が施行された(乙A2〔127。膵頭十二指腸切除術後の吻合につ〕)いては、胃空腸吻合、胆管空腸吻合及び膵胃吻合が行われた(乙A2〔1 。 〕)イ手術の際、術中腹腔洗浄細胞診が実施されたが、陰性との結果であった。 また、胆管と膵断端について術中病理検査が実施されたが、その結果も陰性(悪性所見なし)であった(乙A2〔89)。 〕ウA医師は、原告の腫瘤についてであるとの手術所見を得たstageIVa(乙A2〔127。 〕) 病理検査所見と説明等( )ア 陰性(悪性所見なし)であった(乙A2〔89)。 〕ウA医師は、原告の腫瘤についてであるとの手術所見を得たstageIVa(乙A2〔127。 〕) 病理検査所見と説明等( )ア被告病院の医師は、原告から摘出された腫瘤について病理組織検査を行い、次のような診断に至り、平成13年7月3日、これをA医師に報告した(乙A2〔21、88)。 〕「膵臓(膵頭十二指腸切除:慢性膵炎●)切片は、腺房細胞の脱落及び顕著な繊維化を伴い、膵頭部において中等度の慢性炎症性細胞浸潤の様相を呈している。悪性組織はな い」。 「胆嚢(手術:慢性急性胆嚢炎●)当該部分は、中等度の急性かつ慢性の炎症性細胞浸潤を伴う繊維性に肥厚した胆嚢壁である。悪性所見はない」。 「リンパ節(郭清:悪性所見なし」●)。 「ゲロッター筋膜に悪性細胞はない」●。 イ原告及びBへの説明上記報告を受けた被告A医師は、同日午後7時、原告及びBに対し、原告の腫瘤が良性の腫瘤形成性膵炎であったこと、術前の画像診断で鑑別困難であったため、膵癌を強く疑ったものの、結果として血管合併切除及び術中照射を伴う過大な侵襲を加えてしまったこと、原告には発熱が続いているが腹腔内合併症は考えにくく、創感染に対する炎症反応と思われることを説明した(乙A2〔21、証人B〔10。 〕〕) 退院( )原告は、平成13年8月9日、被告病院を退院した(乙A2〔3、25、 。 〕)医学的知見 証拠等によれば、次の医学的知見が認められる。 膵癌について( )ア予後膵癌は消化器癌の中で最も予後不良な癌とされており、膵癌全国登録調査報告による5年生存率は18.9%にすぎないとの指摘がある(甲P4〔429。平成14年の文献である。また、膵頭部癌切除例の 予後膵癌は消化器癌の中で最も予後不良な癌とされており、膵癌全国登録調査報告による5年生存率は18.9%にすぎないとの指摘がある(甲P4〔429。平成14年の文献である。また、膵頭部癌切除例の進行度〕。)別5年生存率は、で59.1%、同で45.5%、同で12. stageIIIIII6%、同で6.2%、同で3.6%であるとされており、膵癌IVaIVbといえども早期癌においては比較的高い5年生存率が得られているが、平 成8年度で膵癌の切除例に占める比率は6.9%で、また腫瘍径stageI 以下の例は13.1%を占めるにすぎず、これらの癌も最近10年cm間で若干の増加傾向を認めるものの、その発見率に進歩を認めていないに等しい状況にあるとの指摘がある(甲P5〔10。平成11年の論文で〕ある。 。)イ腫瘍マーカー膵癌に反応する腫瘍マーカーとしては、エラスターゼ、、19-9、ICEACA-2があるところ、膵癌患者血清における19-9や-2の陽DUPANCADUPAN性率は約80%であるとされている。ただし、良性疾患でも胆管又は膵管の閉塞を伴う場合に偽陽性を示すことがある(甲P4〔430。 〕)腫瘍マーカー検査は、結果が陽性であれば画像診断等によって得られた癌という診断に間違いはなかったと医師が認識するものであるが、特異性感度がそれほど高くないことから、検査結果が陰性であっても、それによって癌であるとの診断を否定し得るものではないのであって、補助診断の1つにすぎないものである(鑑定人3名〔19ないし22。 〕)ウ細胞診細胞診には、超音波映像ガイド下経皮的膵穿刺生検、内視鏡下による細胞診等がある。前者は、膵腫瘍の良悪鑑別が困難な場合や慢性膵炎と膵癌の鑑別が困難な場合に 人3名〔19ないし22。 〕)ウ細胞診細胞診には、超音波映像ガイド下経皮的膵穿刺生検、内視鏡下による細胞診等がある。前者は、膵腫瘍の良悪鑑別が困難な場合や慢性膵炎と膵癌の鑑別が困難な場合に適応があるが、画像診断で膵癌との診断が明らかであれば適応はなく、外科的切除が予定されている場合は癌の播種の危険があるため禁忌とすべきとの指摘がある(乙P45〔954、B46〔4〕 。後者について、相当高い診断率が報告されたこともあったが(甲〕)P11〔621。昭和57年の文献である、最近の文献においては、〕。)にて悪性疾患を疑う所見のある症例が適応であり、疾患の良悪鑑別ERCPに有用であるが、鉗子の挿入が困難で十分な組織片が得られない場合があるし、合併症としてにともなう膵炎などがあると指摘されているERCP (乙P45〔956。さらに、比較的新しい検査法として超音波内視鏡〕)ガイド下膵生検があるものの、手技に熟練を要するし、画像診断で確定診断が得られている場合には禁忌とされている(乙P45〔956。 〕)細胞診は、術前に胆汁が容易に得られるのであれば行われるが、ドレナージないしチューブにより体外に排出される胆汁を用いない場合、内視鏡を用いて膵液を採取する、ブラシでこする、又は胆汁を採る方法によることが必要であり、いずれも患者の負担が重く、膵炎、膵液瘻(術中細胞診の場合)等の合併症が起きる可能性が高まるところ、膵炎は場合によっては致死的である。したがって、癌が間違いない症例については、内視鏡的な細胞診は実施しない(鑑定人3名〔23、24、31)。 〕平成4年度の全国膵癌登録調査報告からすれば、術前に組織学的確定診断が得られたのは、細胞診、内視鏡下膵生検、エコー下膵生検を併せても16.3%にすぎないとの指摘があ 3名〔23、24、31)。 〕平成4年度の全国膵癌登録調査報告からすれば、術前に組織学的確定診断が得られたのは、細胞診、内視鏡下膵生検、エコー下膵生検を併せても16.3%にすぎないとの指摘があり、さらに、膵臓は解剖学的に管腔臓器であると同時に実質臓器でもあり、しかもその管腔は細く、また、位置的にも体腔の中心に存在するため、管腔からの生検や経皮的生検も他の臓器に比べて難しいとの指摘がある(乙P13〔325。 〕)エ術中迅速病理診断術中に注射針を用いて病巣の組織を採取して行う検査である。比較的古い文献には診断率が高いとの指摘もあるが(甲P11〔622、最近の〕)文献においては、その正診率は5割を上回る程度であるとの指摘もあり(乙P47〔269。平成15年の文献である、鑑定人らも、真に必〕。)要な組織を採取し得るか否かに疑問があるとして同旨の指摘をし、かつ、穿刺に伴う出血や癌細胞撒布の危険性を指摘して、その有用性には疑問があるとしている(鑑定人F〔53、同G〔29、同H〔31、65。 〕〕〕) 膵癌と慢性膵炎の鑑別診断( )ア膵癌と慢性膵炎は画像診断で類似した所見を示すことがある。超音波検 査や検査で膵臓の局所腫大と膵管拡張が、で膵管の閉塞又は狭CTERCP窄と尾側膵管の拡張が見られる場合には鑑別が必要になる(甲P1〔3。 15)〕イ閉塞性慢性膵炎の中でも限局性の膵腫大を示し、腫瘍病変との鑑別が困難な形態をとるものが臨床的に散見され、慣用的に「腫瘤形成性膵炎」という用語が使われているところ(肉眼的あるいは画像診断にて認識可能「な炎症性腫瘤の形成を伴う慢性膵炎の特殊型」と定義する文献もある(乙P10、これらは最新の画像診断法を駆使しても診断に難渋すること)。)が多いとの指摘がある(甲 あるいは画像診断にて認識可能「な炎症性腫瘤の形成を伴う慢性膵炎の特殊型」と定義する文献もある(乙P10、これらは最新の画像診断法を駆使しても診断に難渋すること)。)が多いとの指摘がある(甲P31〔57。また、悪性を否定できないた〕)めに切除手術を施行せざるを得ない症例も多いのが現状であると指摘する平成14年4月発行の文献もある(乙P23〔498。 〕)ウ膵癌と慢性膵炎の鑑別基準として、次のことが挙げられる。 超音波検査((甲P1〔314)( )アUS)〕膵癌低エコーの辺縁不明瞭な腫瘤、膵管途絶、膵管拡張慢性膵炎腫大部と他の部分とのエコーレベルに差がない、膵管が腫瘤内を貫通(、膵管拡張(被告Aductpenetratingsign)医師〔40)〕検査(甲P1〔314)( )イCT〕膵癌造影剤静注で染まらない(部分がある)慢性膵炎造影剤静注で染まる(甲P1〔314)( )ウERCP〕膵癌胆管の狭窄、頭側膵管は正常、膵管狭窄、尾側膵管拡張慢性膵炎総胆管末端部の滑らかな狭窄、膵管狭窄、頭側と尾側の膵管拡張なお、では、膵管の狭窄、閉塞を認めることが多く、狭窄部よERCPり尾側の膵管は拡張する。主膵管の口径不同、偏位などとともに粘液産 生膵癌では粘液の透亮像、嚢胞像などの所見を認める。 はコントERCPラストの良さ、微細な病変の描出能など優れた特性を持つ一方、膵炎、胆管炎、消化管穿孔などの合併症も認められることから、経験を積んだ指導者の下で慎重に行う必要があるとの指摘がある(甲P4〔43 。 〕)検査( )エMRIで、正常な膵臓であれば脂肪抑制1強調画像において高信号をMRIT示すが、膵癌は低信号を示すために造影剤なしでその存在を診断し得る。 しか (甲P4〔43 。 〕)検査( )エMRIで、正常な膵臓であれば脂肪抑制1強調画像において高信号をMRIT示すが、膵癌は低信号を示すために造影剤なしでその存在を診断し得る。 しかし、慢性膵炎により膵腺房細胞が減少すると、脂肪抑制1強調画T像で膵癌と同様の低信号を呈する(甲P4〔430)。 〕血管造影(甲P1〔314)( )オ〕膵癌不整な狭窄、無血管野、動脈の閉塞慢性膵炎無血管野はない、滑らかな狭窄、血管の屈曲蛇行エダブルダクトサイン()とは、2つのダクト(総胆管とdoubleductsign主膵管)が高度に狭窄している状態をいい、悪性腫瘍の存在を疑う所見であるが(被告A医師〔9、11、膵炎でも起こり得る(同〔36。 〕)〕) 膵癌と慢性膵炎の治療法( )ア疼痛を伴う腫瘤形成性膵炎では、徐痛目的で十二指腸温存膵頭切除術や全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を推奨する施設もあるが、膵切除術後の消化吸収能や内分泌機能の低下、術後の合併症等を考えると、むやみに手術適応とすべきではなく十分な経過観察が必要である(乙P27〔51 。 〕)これに対して、膵癌の進行は非常に早く1か月で大きさが倍増するともいわれ、早期にリンパ節郭清術と膵切除術を行うのが基本方針となっている(乙P27〔513。 〕)イ膵切除術は、多くの施設において、(局所的)までをstageIVastageIV 原則的に適応としており(甲P23〔171、及びに対す〕)stageIIIIVaる第一選択の治療は膵切除術であり、放射線治療や化学療法よりも勝った治療法である(鑑定人H〔39、40、同G〔40。 〕〕)膵頭部癌においては、閉塞性黄疸を契機として医師を訪れることが多いことから、術前に減 療は膵切除術であり、放射線治療や化学療法よりも勝った治療法である(鑑定人H〔39、40、同G〔40。 〕〕)膵頭部癌においては、閉塞性黄疸を契機として医師を訪れることが多いことから、術前に減黄処置が必要であり、平成13年では経皮経肝胆道ドレナージ()や内視鏡的経鼻胆管ドレナージ()などの方法PTCDENBDで同処置を行うとの指摘がある(甲P23〔171。 〕)ウなお、経過観察をする条件としては、[1]微細分枝膵管が描出された鮮明な膵管像で膵癌特有の異常所見がない、[2]狭窄部より上流膵管の膵液うっ滞が高度でない、[3]少量の飲酒や過食の負荷で、急性膵炎症状を来さない、[4]エコー検査で狭窄膵管周囲の膵実質に異常(低エコー域)を認めない、等が充たされる必要があると指摘する文献がある(甲P13〔188。 〕) 膵頭部癌に対する手術の術式に関する指摘等( )ア膵癌取扱い規約平成14年4月20日に第5版が発行された日本膵臓学会編「膵癌取扱い規約」の「.外科的治療」の欄には、次の旨の記載がある(甲P1IV4。 )手術の種類( )アa膵切除術b姑息手術バイパス手術(胆管空腸吻合、胃空腸吻合など)c単開腹膵臓切除術式の記載( )イa切除術式の種類膵頭切除(:)PHRpancreaticheadresection 膵頭十二指腸切除(:)PDpancreaticoduodenectomy幽門輪温存膵頭十二指腸切除(:)PPPDpylorus-preservingPDSSPPDsubtotalstomach-preser亜全胃温存膵頭十二指腸切除(:)vingPD十二指腸温存膵頭切除(:)DPPHRduodenum-preservingP SSPPDsubtotalstomach-preser亜全胃温存膵頭十二指腸切除(:)vingPD十二指腸温存膵頭切除(:)DPPHRduodenum-preservingPHR尾側膵切除(:)DPdistalpancreatectomy膵全摘(:)TPtotalpancreatectomy中央切除(:)MPmiddlepancreatectomy部分切除(:)PRpertialresectionb再建術式の種類、後の再建術式を、膵、胆管、胃のそれぞれと空腸とのPDPPPD吻合を、空腸口側からの順位によって分類する。 型胆管、膵、胃の順に吻合I型膵、胆管、胃の順に吻合II型. 胃、膵、胆管の順に吻合IIIa. 胃、胆管、膵の順に吻合b型その他の吻合IVイとに関する指摘PDPPPD平成9年1月10日発行の文献において、拡大郭清膵切除術では患者( )アQOLQOLのが損なわれることが難点であり、最近ではより良い術後のを求めて全胃を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が普及してきており、同術式は膵頭部癌にも適応が拡大され、長期予後を見てもこれまでの拡大手術を比べて大きな遜色がないとする報告も見られているが、リンパ節郭清の点で未だ議論があるところであるとの指摘がある(甲P20〔2、3。 〕)他方、とでは、成績に有意差はないもののむしろ長期生存( )イPDPPPD 率はの方がよりも良好であり、の向上が間接的ではあっPPPDPDQOLても長期生存率の向上に寄与している可能性があるとの指摘がある(甲P23〔181)が、他方で、で胃を残した方が術後の栄養状〕PPPD態の改善が見られるとはいわれてい っPPPDPDQOLても長期生存率の向上に寄与している可能性があるとの指摘がある(甲P23〔181)が、他方で、で胃を残した方が術後の栄養状〕PPPD態の改善が見られるとはいわれているものの平成13年の段階では膵癌に対してを積極的に行うとの気運はなく、をしなければなPPPDPPPDらないわけではないとの指摘もあるし(鑑定人H〔42、むしろ制限〕)されているのが一般的であったとの指摘もある(鑑定人G〔44。 〕)平成11年度の症例に関する膵癌全国登録調査報告によれば、膵切除( )ウの種類については、切除例574例中、が213例、が15PDPPPD8例である(乙P21〔64:126。 〕)ウ膵胃吻合について(乙P52ないし55)膵臓と消化管との再建方法について、膵臓と胃とを吻合する方法が、昭和21年、らにより報告され、我が国では昭和60年に報告がさWaughれ、最近では安全な吻合法として周知されつつある(乙P52〔70。 〕)平成13年の段階及び現段階において、我が国では約20パーセントの施設で膵胃吻合が行われており、不適切であるとか否定された吻合法ではないし(鑑定人H〔41、膵臓を胃に吻合した方が血流の状態がよく、〕)縫合不全の危険性が低くなるとの報告もあるが、それには差がないとの報告があるほか、胃に吻合すると残膵の機能に影響があるとの報告もあるが、エビデンスとしてどちらが優位であるかについて確証はない(鑑定人F〔44、同G〔45。 〕〕)争点1 (被告病院が、慢性膵炎を膵頭部腫瘍と誤診し、膵頭十二指腸・胃・ ( )肝動脈・胆管・神経叢・胆のう等を切除する手術(本件手術)を行った過失の有無)について 認定事実に対する評価( )ア前記13 イないしエ及びキ並びに5 誤診し、膵頭十二指腸・胃・ ( )肝動脈・胆管・神経叢・胆のう等を切除する手術(本件手術)を行った過失の有無)について 認定事実に対する評価( )ア前記13 イないしエ及びキ並びに5 イにおいて認定したとおり、原告に( )( ) ついては、平成13年5月28日から6月11日にかけて順次、超ERCP音波検査、検査、血管造影検査及び検査が施行され、いずれも膵CTMRI頭部癌の所見が得られている。これについて、前記22 において認定した( )鑑別基準に照らして検討すると、においては、胆管に不正な高度狭ERCP窄があり、主膵管の狭窄も認められており、いわゆるダブルダクトサインの所見が、超音波検査においては、辺縁が凸凹した低エコー部分があることが、検査においては、正常膵実質と比較して増強効果の低い領域、CT総胆管の狭窄及び主膵管の軽度拡張が、血管造影検査においては、後膵十二指腸動脈と背膵動脈の分枝の壁不整及び門脈本幹の狭窄がそれぞれ存在し、これらはいずれも膵癌を疑うべき所見である。 これらのことに加え、上記画像について、第一に考えるのは癌である旨の鑑定人の一致した意見があり(鑑定人F〔10、53、同G〔12、〕59、同H〔14、64、これに反する証拠はないから、上記各検査〕〕)について、被告A医師が膵頭部癌であると診断したことが誤診であるとは認められない。 イこの点に関し、F鑑定人は、、で腫瘤の造影効果がやや良い点CTMRIや、膵管造影で狭窄部主膵管の上流膵管について拡張の程度が通常の膵癌に比べて少ない点、原告の年齢が62歳である点、本件の1年前に顎下腺炎の既往症がある点を挙げ、原告については、自己免疫性膵炎の疑いが強いと述べる(鑑定人F〔4、5、53。 〕)しかしながら、F鑑定 比べて少ない点、原告の年齢が62歳である点、本件の1年前に顎下腺炎の既往症がある点を挙げ、原告については、自己免疫性膵炎の疑いが強いと述べる(鑑定人F〔4、5、53。 〕)しかしながら、F鑑定人は、平成13年の段階では自己免疫性膵炎という概念は普及していなかったとも述べ、同年の段階で自己免疫性膵炎と診断できなくとも不適切ではないと述べているところであるから(鑑定人F〔8ないし11、53、原告について、上記各画像から自己免疫性膵炎〕)を疑うべき注意義務はないというべきである。 もっとも、被告A医師は、平成13年当時においても自己免疫性膵炎の 概念を知っていたと述べているが、自己免疫性膵炎はびまん性の病変で腫瘤がはっきりしないものであるとの認識であった旨も述べており(鑑定人調書〔46、原告についての所見が、典型例たるびまん性の病変とは異〕)なり、限局性の病変であったこと(鑑定人F〔5、48)や、限局性の〕自己免疫性膵炎があるとの報告は、ようやく平成12年ころからされ始め、翌13年の論文で取り上げられたにとどまること(同〔48)からすれ〕ば、平成13年当時において一般の医師には限局性の自己免疫性膵炎の存在を認識することは困難であったといわざるを得ないから、原告について限局性の自己免疫性膵炎であると疑うべき注意義務があるということはできない。 なお、原告は、原告が女性であり、抗核抗体及びに異常がみられIgGなかったこと、胆石症がみられたことを根拠に原告が自己免疫性膵炎であるとするF鑑定人の意見はにわかに信用できないと主張する。しかし、仮に原告主張のように画像所見以外のデータから自己免疫性膵炎を否定し得るとすると、そのことと画像所見とを総合して導出し得る結論は、他の2鑑定人と同じく膵癌のみを疑うことに帰するのであるから しかし、仮に原告主張のように画像所見以外のデータから自己免疫性膵炎を否定し得るとすると、そのことと画像所見とを総合して導出し得る結論は、他の2鑑定人と同じく膵癌のみを疑うことに帰するのであるから、原告の上記主張は原告に有利な主張とはいい難い。また、自己免疫性膵炎は男性に好発するものの(鑑定人F〔53、女性に発症しないとはいえないし、抗核〕)抗体及びに異常がみられることが自己免疫性膵炎の診断基準であるIgGと認めるに足りる証拠はなく、胆石症については、後記のとおり原告に存在する胆石が慢性膵炎を発症させるものとはいえないのであるから、原告が主張する根拠はいずれも上記F鑑定人の意見の信用性を覆すものとはいえないのであって、いずれにしても原告の主張は採用できない。 腫瘍マーカーについて( )原告は、前記12 ウ及び5 オにおいて認定したとおり、原告に対する腫瘍( )( )マーカー検査の結果はいずれも基準値内で陰性であったと指摘する。 しかしながら、腫瘍マーカー検査は、前記21 イのとおり、補助診断の1( )つとして用いられるべきものであり、画像診断等によって癌という診断が得られた場合に、仮に腫瘍マーカー検査結果が陰性であっても上記診断を否定するものではない。そうすると、腫瘍マーカー検査が陰性であったことは、上記のとおり膵癌を疑ったことの適否の判断に影響するものではないというべきである。 また、前記15 オにおいて認定したとおり、術前に実施され術後に報告さ( )れた-1の検査結果は陽性となっており、客観的には腫瘍マーカーの値SPANからも癌を疑うべきであったと認められ、原告の主張はその前提を欠くこととなる。 画像の明るさ及び濃淡について( )原告は、検査、血管造影検査及び検査の画像がいずれも明るさ及 値SPANからも癌を疑うべきであったと認められ、原告の主張はその前提を欠くこととなる。 画像の明るさ及び濃淡について( )原告は、検査、血管造影検査及び検査の画像がいずれも明るさ及CTMRIび濃淡(コントラスト)の点で不適切であって診断の根拠とすべきものでないと主張するが、医師である鑑定人3名のうち、F鑑定人は、画像のMRIうち1つが不良で読影に耐えないが他のフィルムは診断上問題ないと述べており(鑑定人F〔1、2、52、他の鑑定人も診断に不適切な画像はない〕)と述べているところであるから(鑑定人H〔2、64、同G〔2、3、5〕 、上記各画像検査の画像が明るさ及び濃淡の点で不適切であるとはいい〕)難く、原告の主張は採用できない。 胆石の存在について( )アさらに、原告は、女性には胆石に原因する慢性膵炎が多いとの知見(甲P37)を理由に、原告に胆石が存在したことから、医師としては癌でないと疑うべきであると主張する。 イ確かに、前記13 エ及び同5 イにおいて認定したとおり、原告には胆石( )( )が複数存在していた。しかしながら、この点については、文献上、慢性膵炎の原因として女性については胆石が多いとされているにとどまるのであ って、直ちにその逆が成り立つということはできないし、胆石が原因となる膵炎は、比較的小さな3ないし5程度の胆石が胆嚢から落ち、総mm胆管の末端の乳頭部に嵌頓することによって引き起こされるものであるところ(被告A医師〔33、原告の胆石は小さなものではなく検査で〕)CT認識可能なほどに大きなものであり、そのような胆石が移動して膵臓に影響することはほとんどないと認められ(同〔34、これに反する証拠は〕)ない。したがって、原告の主張する機序は原告についてそも T認識可能なほどに大きなものであり、そのような胆石が移動して膵臓に影響することはほとんどないと認められ(同〔34、これに反する証拠は〕)ない。したがって、原告の主張する機序は原告についてそもそも成立しないのであって、原告の主張は前提を欠くというべきである。 小括( )以上によれば、原告に関する画像所見等はすべて膵頭部癌と診断すべき所見であり、しかも腫瘍マーカー検査等によって慢性膵炎を疑うべきとも認められないのであるから、被告A医師が上記各検査によって原告に膵頭部癌があると診断したことが誤診であり、過失となるとは認められない。 争点2 (被告病院が本件手術を行うに当たって必要な検査の実施を怠った過 ( )失の有無)について 認定事実に対する評価( )原告は、本件手術を行うに当たって必要な検査として、腫瘍マーカー検査、膵液細胞診・膵管生検、開腹下膵生検・細胞診の3つを挙げ、これらの検査を実施しなかったことを過失として主張するので、これらについて判断する。 ア腫瘍マーカー検査腫瘍マーカー検査は、前記32 において説示したとおり補助的な診断( )( )ア法であることからすれば、多数回実施したからといって画像診断の結果を覆すものであるとはいえない。したがって、腫瘍マーカー検査を更に実施すべき注意義務は認められない。 この点について、G鑑定人は、自らの病院ではルーチンワークとして術前に19-9、-1、-2、エラスターゼの腫瘍マーカーCASPANDUPANI 検査を実施していると述べているが、他方で、陰性だから癌を否定できるものではなく、腫瘍マーカー検査の値が高値であれば医師として強い自信を持って手術に臨めるという趣旨のものであるとも明言しているところであるし(鑑定人G〔21、H鑑定人も、これと同 ら癌を否定できるものではなく、腫瘍マーカー検査の値が高値であれば医師として強い自信を持って手術に臨めるという趣旨のものであるとも明言しているところであるし(鑑定人G〔21、H鑑定人も、これと同旨の考えを示〕)し、かつ、被告病院が腫瘍マーカー検査の値が上がらないことから、術後のフォローに供するために-1等の検査を追加したことも適切なSPAN措置であったとしているところ(鑑定人H〔22、これらの意見は腫〕)瘍マーカー検査が画像診断を前提とする補助的診断であり、画像診断を覆すことがないことを前提とするものと理解できるから、画像診断によって癌を強く疑うのが相当であった本件においては、腫瘍マーカー検査を更に実施すべき状況にはなかったと認められる。 これに対して、原告は、複数の腫瘍マーカー検査を実施することで偽( )イ陰性率が計算上低下することから、膵癌と慢性膵炎の鑑別のために腫瘍マーカー検査を複数実施すべきであると主張するが、上記において説示したとおり、腫瘍マーカー検査が補助的なものにすぎないとされているほか、医師としては癌を見逃すことの方が問題であるから補助的診断法に頼るのが危険であるとの意見もあり(鑑定人G〔21、一般に癌が〕)致死的な疾患であり、特に膵癌の予後が悪いことからすれば上記意見には合理性があると考えられることに照らせば、腫瘍マーカー検査を追加すべきであるということはできないのであって、原告の主張は採用できない。 イ膵液細胞診・膵管生検等前記21 ウにおいて認定したとおり、膵臓について細胞診を行うことは( )そもそも困難であるし、膵臓細胞診の合併症には膵炎や細胞播種があるところ、前者においてはそれが原因で死亡することもあることや、後者については癌細胞をまき散らす結果となり得ることに加え、そもそも癌との そもそも困難であるし、膵臓細胞診の合併症には膵炎や細胞播種があるところ、前者においてはそれが原因で死亡することもあることや、後者については癌細胞をまき散らす結果となり得ることに加え、そもそも癌との確 定診断を得るには膵臓を摘出して病理検査をするよりほかないし、細胞診が、癌であるか否か疑義があるとされる場合に有用とされる検査であるところ、本件においては画像所見において強く癌を疑うものであったことに鑑みると、本件手術前においては、すでに原告については検査の必要性がない状況にあったといわざるを得ない。 そして、開腹下の膵生検ないし細胞診についても、前記21 エのとおり( )それにより確定診断をすることはできないことに照らせば、同様に検査の必要性はないものというべきである。 また、この点について、H鑑定人は、自らは細胞診及び術中の組織診を全例において実施していると述べるが、平成13年当時は実施していなかったとも述べているところであり(鑑定人H〔30、31、F鑑定人が、〕)自己免疫性膵炎を疑診していなければ細胞診は特にしないと述べていることも考え合わせると(鑑定人F〔24。なお、平成13年当時において〕自己免疫性膵炎を疑う義務がないことは前述のとおりである、膵液細胞。)診及び膵管生検等を実施すべき注意義務はないというほかない。 小括( )以上からすれば、原告の主張する諸検査についてはいずれも実施すべき注意義務が認められないから、この点においても、被告A医師、ひいては被告北九州市に注意義務違反は認められない。 争点3 (被告病院の診断を前提として、原告に対して手術を行ったこと又は ( )その術式に誤りがあったか否か)について 手術適応について( )ア原告は、やの患者には手術適応がないと主張するところ、sta 断を前提として、原告に対して手術を行ったこと又は ( )その術式に誤りがあったか否か)について 手術適応について( )ア原告は、やの患者には手術適応がないと主張するところ、stageIIIIVa確かに、アメリカ癌学会()による、膵癌の処置は非常に難しく、1ACS年存命率や5年存命率が低いので治療の究極の目標が膵癌の積極的処置ではなくの向上を図って延命に努めることになるとの指摘や、. . .QOLJHP による、大部分の膵癌患者が手術の対象にならないとの指摘もある(甲P15の1ないし4、B16。 )イしかしながら、前記23 において認定したとおり、膵癌については早期( )stageIIIIVaにリンパ節郭清術と膵切除術を行うのが基本方針であり、やまでが原則として手術適応となるとされており、むしろやのstageIIIIVa癌に対する第一選択の治療は膵切除術であるし、しかも放射線治療や化学stag療法よりも勝った治療法なのであるから、少なくともわが国におけるeIIIIVastやの患者に対する標準的治療法は手術であるというほかなく、やの患者に対する手術適応がないとすることはできない。 ageIIIIVaウしたがって、前記16 ウにおいて認定したとおり原告について癌の進行( )度がと術中に診断された本件において、原告に手術適応がないstageIVaとすることはできないのであって、原告に対して膵切除術を実施した被告A医師、ひいては被告北九州市に手術適応を誤った過失はない。 術式について( )ア膵切除術の術式前記16 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して、膵( )( )ア切除術の術式としてを採用、実施したものであるが、この点につ ない。 術式について( )ア膵切除術の術式前記16 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して、膵( )( )ア切除術の術式としてを採用、実施したものであるが、この点についPD、ては、原告は、ではなくを採用実施すべきであったと主張しPDPPPDPPPDQOL確かに、前記24 イにおいて認定したとおり、の方が患者の( )がよく、長期生存率も向上していると指摘した医学文献もある。 しかしながら、まず、前記24 アにおいて認定したとおり、膵切除( )( )( )イイ術の術式について、膵癌取扱い規約には及びの双方が記載さPDPPPDれているところ、そもそも不適切な術式であれば取扱い規約に記載されないのが通常と考えられることに照らすと、膵切除術を行う際の選択肢の一つにはなり得るものと認められる。また、前記24 イにおいて認定( )したとおり、平成13年の段階で膵癌に対してを積極的に行うとPPPD の気運はないとの意見や、はむしろ制限されていたとの意見もあPPPDることからすれば、が否定された術式ではないということができるPD(鑑定人H〔41。 〕)そして、これらに加え、病気の進行度や診断にどれだけの自信があるかといった事情は術式の選択に影響しないこと(鑑定人H〔43)に〕鑑みれば、も、と並んで術式のひとつとして選択し得るものPDPPPDであり、かつ、原告の状態に照らしてを選択すべきことにもならPPPDないのであるから、医師として、原告に対してによる膵切除術をPPPD実施すべき注意義務は認められない。 イ膵臓と消化器との吻合術の術式前記16 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して、膵( )( )ア臓と消化器との吻合術式とし 除術をPPPD実施すべき注意義務は認められない。 イ膵臓と消化器との吻合術の術式前記16 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して、膵( )( )ア臓と消化器との吻合術式として膵胃吻合を採用、実施したものであるが、この点については、原告は、膵胃吻合ではなく膵腸吻合を採用実施すべきであったと主張している。 しかしながら、この点についても、前記24 ウにおいて認定したとお( )( )イり、膵胃吻合が安全な吻合法として周知されつつあるとの指摘があるほか平成13年の段階及び現段階において我が国において膵胃吻合が現実に行われており、しかもそれが不適切であるともいわれていないし、膵胃吻合と膵腸吻合とのどちらが優位であるともいわれていないことに照らすと、膵胃吻合及び膵腸吻合のうち、どちらを選択するかについては、H鑑定人が当該施設で一番安全にできる慣れた方式によるのが適切であるとの意見を述べているとおり(鑑定人H〔42、医師の合理的裁量〕)の範囲内にあるというべきであるから、医師として後者を選択しなければならない注意義務は認められない。 なお、原告は、被告A医師が執筆者の1人となっている論文中にも実際の手術例において、の方がよりも圧倒的に多く、それらのPPPDPD いずれについても再建方式は膵空腸吻合が行われており、膵胃吻合はほとんど行われていないとの指摘があるが、たとえ、そのような実情があるとしても、上記で説示したことに照らすと、被告A医師の術式の選択に誤りがあったとは認められない。 小括( )以上のとおり、被告A医師が原告に対して手術を実施し、その際、術式として及び膵胃吻合を行ったことについて、手術適応もあり、術式としてPD及び膵腸吻合を選択すべき義務もないのであるから、いずれの点につPP り、被告A医師が原告に対して手術を実施し、その際、術式として及び膵胃吻合を行ったことについて、手術適応もあり、術式としてPD及び膵腸吻合を選択すべき義務もないのであるから、いずれの点につPPPDいても、被告A医師、ひいては被告北九州市に注意義務違反はない。 争点4 (手術の実施・手術方法に関する説明義務違反の有無)について ( ) 認定事実に対する評価( )ERCPア前記13 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して( )をはじめとする諸検査を実施して、原告に膵頭部癌が存在すると診断したものであり、そのこと自体は前記3において認定説示したとおり適切である。しかしながら、画像診断は万全ではないこと(鑑定人H〔14)か〕らすれば、画像診断が確定診断と異なる可能性は否定できず、前記22 に( )おいて認定したとおり腫瘤形成性膵炎と膵癌との鑑別は容易ではないことからすれば、原告の疾患が膵炎である可能性も否定できない。しかも、前記23 アにおいて認定したとおり、膵炎であれば膵臓の切除が不要であり、( )このことは被告A医師も認めるところである(被告A医師〔91。 〕)とはいえ、上記のとおり、そもそも腫瘤形成性膵炎と膵癌とは鑑別が困難であり、しかも膵癌の予後は悪いものであるから(前記21 ア、経過( ))観察をすれば、仮に患者の疾患が膵癌であった場合に手遅れとなることがあり得るのであって、このことに照らせば、膵炎の可能性が否定できなくても、原告に対する治療としては手術をせざるを得なかったといわざるを得ない。 イところで、患者は、自己の行動について自ら決める権利、いわゆる自己決定権を有しているから、特定の治療を受けるに当たっても、当該治療の性質、それによる効果、自らの身体状態等に鑑み、自ら納得の上 イところで、患者は、自己の行動について自ら決める権利、いわゆる自己決定権を有しているから、特定の治療を受けるに当たっても、当該治療の性質、それによる効果、自らの身体状態等に鑑み、自ら納得の上で当該治療を選択するか否かを決定すべきものであるところ、当該治療により予測される結果や治療による不都合は、専門的知識がなければ正確には認識できず、医師から説明されない限り、患者が知り得ないのが通常である。 したがって、治療を行う医師としては、患者に対して、治療を受けるべきか否かを判断するのに十分な情報説明すべき義務があるというべきである。 ウ本件においては、上記アのとおり、手術を選択するのがやむを得ない状況である反面、客観的には手術が必要でないという可能性も常に存在していたのであり、しかも、その手術は、前記16 のとおり、13時間にも及( )ぶ大手術であって、胃や十二指腸など生命維持にとって極めて重要な臓器を摘出するという侵襲度の高いものであり、手術自体が成功してもその後の予後に重大な影響を及ぼすものであるから、そのような手術を実施する際には、患者に対し、その症状からして手術が避けられず、その手術自体も大規模であり予後にも影響を及ぼすものであるが、それが全く不要なものであると後に判明する可能性もある状況を十分に説明し、その納得を得ることが必要であったと考えられる。そして、上記の状況が患者である原告に伝えられれば、たとえ手術後に良性疾患であったことが判明したとしても、それを自らの選択の結果として受け入れることが可能であるのに対し、上記の状況が伝えられなかった場合には、このような選択の結果であると評価することができず、それが重大な精神的苦痛を生じさせる可能性もあることからすれば、上記の状況は、患者が治療を受けることを選択する際に必要不可欠 られなかった場合には、このような選択の結果であると評価することができず、それが重大な精神的苦痛を生じさせる可能性もあることからすれば、上記の状況は、患者が治療を受けることを選択する際に必要不可欠な情報であるということができる。 したがって、被告A医師は、原告に対して、上記のとおり、発見された 腫瘤は良性、すなわち腫瘤形成性膵炎の可能性もあり、その場合は同疾病の治療としては手術の必要はないが、鑑別が困難であることや膵癌であった場合の予後を考慮すると手術に踏み切るのが適切であることを説明し、予後に対する原告の納得を得、その上で原告の同意を得るべき注意義務があったというべきである。鑑定人3名が、いずれも、癌であるとの確定診断はできないが、医師としてはほぼ癌に間違いないから手術を勧める旨の説明をするとの趣旨の意見を述べているのは(鑑定人F〔34、同G〕〔35、同H〔37、38、上記の義務があることを前提とした意見〕〕)であると解するべきものである。 エしかしながら、被告A医師は、前記のとおり、原告が膵癌に罹患していることを前提として、腫瘤形成性膵炎等、良性疾患の可能性があることを説明することなく、手術が必要であることやその術式、合併症等の説明をしたのみであるから、同人には、上記の状況を説明しなかった点において、説明義務違反を免れない。 なお、原告は、説明義務違反の内容として、上記の点を明示的には主張せ( )ず、化学療法、放射線療法など各治療法の長所・短所を説明して基本的選択を患者の意思で行わせる義務や、術式についての説明義務、膵頭部癌であることの根拠について等の説明義務があったと主張するにとどまっているが、これらを善解すれば、手術の必要性についての説明義務を欠いているとの主張を含むものということができる。 争点5 (同意 部癌であることの根拠について等の説明義務があったと主張するにとどまっているが、これらを善解すれば、手術の必要性についての説明義務を欠いているとの主張を含むものということができる。 争点5 (同意のない右肝動脈合併切除・再建術(本件拡大手術)を行った過 ( )失の有無)について 原告の主張内容( )前記16 において認定したとおり、被告A医師は、原告に対して、膵頭十( )二指腸切除術を施行し、その際、原告の血管走行に奇形があり、右肝動脈が切除対象である膵頭部の後方を走行しており、しかも両者が癒着していたこ とから、これを剥離することができず、右肝動脈を切除し、腫瘤を切除した後に再建するとの手技を採ったものであるところ、原告は、この点についての事前の説明及び同意を欠いていたものと主張する。 同意の性質等( )しかしながら、まず、医師は、患者に対して侵襲を伴う治療をする際には、患者に対して説明をして同意を得る必要があるが、予期できない状況が生じ得ることや、行うことが予定されている治療内容についてもれなく詳細に説明することはそもそも患者が望まないことが通常であること、右肝動脈切除が本来すべき治療内容である膵頭十二指腸切除術を施行するための前提をなす付随的手技であったことに照らすと、このような付随的手技についてまで医師として患者に説明する必要性は乏しいというべきであり、さらに、このような付随的手技は本来すべき治療内容と一体をなすものと評価できることからすれば、本来すべき治療について同意が得られた場合には、付随的手技についてもまた同意があったと解すべきである。 小括( )したがって、本件については、膵頭十二指腸切除術について患者から同意が得られている(前記14 イ)以上、同切除術に付随する右肝動脈切除及び( ) た同意があったと解すべきである。 小括( )したがって、本件については、膵頭十二指腸切除術について患者から同意が得られている(前記14 イ)以上、同切除術に付随する右肝動脈切除及び( )同再建についても同意があったものというべきであって、原告の主張には理由がない。 争点6 (胆管炎の発症についての過失の有無)について ( ) 原告の主張は、切迫急性閉塞性胆管炎の発症を防止する観点から、開腹手( )術が決定しているのに手術前にステントを留置したことが不適切であること、ステントを留置するならば筋弛緩剤を使うのが一般的なのではすべきESTでないし、を用いるべきであること、対象部位に傷などがあるときはEMS傷口に熱傷が起こり得るから検査をステント留置直後に実施すべきでMRIないことの3点である。 しかしながら、まず、術前のステント留置は減黄が目的であるところ(前( )記13 イ、手術自体は減黄が目的であるわけではないから、目的が異な( )()イ)るのであって、開腹手術前にステント留置をしたことが不適切となることはない。 また、ステント留置の際に筋弛緩剤を使うのが一般的だとすべきこと(甲EMSP21の1・2、及び挿入時の負担、胆管への負担が少ないことから)を用いるべきである(甲P27)との原告の主張については、それぞれ文献中にこれに沿う記載があるが、前者については、の可否については何ESTも触れるところがなく、他にを否定すべきと認めるに足りる証拠はなESTいから、の施行をすべきでないとはいえないし、後者についても、切EST除不能と判定した場合にを用いるべきことが記載されているにとどまEMSることに照らすと、術前の減黄目的のステント留置の際にを用いるこESTとが誤りである えないし、後者についても、切EST除不能と判定した場合にを用いるべきことが記載されているにとどまEMSることに照らすと、術前の減黄目的のステント留置の際にを用いるこESTとが誤りであるとする趣旨ではないと認められる。 さらに、検査の時期については、甲28号証の1に検査の危険MRIMRI性として「ラジオ周波数パルスによる、眼球レンズのような脆弱組織への加熱効果」が挙げられているものの(甲P28の1、傷口と眼球レンズとを)同等に評価することはできず、その他に検査によって切迫急性閉塞性MRI胆管炎が発症することを予見すべきであるとうかがわせる証拠はないから、原告の主張は前提において理由がないというべきである。 したがって、原告が主張する注意義務はいずれも認められず、被告A医師( )及び被告北九州市に原告の主張する過失はない。 争点7 (損害額)について ( ) 因果関係について( )ア以上からすれば、原告が主張する過失のうち、手術の必要性についての説明が不十分であった過失(争点4 )のみが認められるところ、原告は、( )侵害利益の内容として、原告の後遺症等を主張し、これに基づく損害とし て、逸失利益等を主張している。そこで、損害額について判断するための前提として、上記過失行為(説明義務違反)と上記利益侵害の発生との間の因果関係の有無、すなわち、手術の必要性について適切な説明をされた場合に、原告が本件手術を受けないとの選択をし、原告に本件手術後の後遺症等が発生しなかった高度の蓋然性の有無について判断する。 イ前記11 において認定したとおり、原告は声楽家であって平成13年7( )月20日にコンサートに出演する予定であったところ、前記21 アにおい( )て認定したとおり膵癌の予後が悪く、手術を イ前記11 において認定したとおり、原告は声楽家であって平成13年7( )月20日にコンサートに出演する予定であったところ、前記21 アにおい( )て認定したとおり膵癌の予後が悪く、手術をするのであれば早期にする必要があることを併せ考えれば、原告としては、疾患を治療してコンサートに出演するためには手術が必要であったと認められる。 他方、前記12 エにおいて認定したとおり、原告は医者に失礼だからと( )の理由でセカンドオピニオンには否定的であり、しかも前記15 エにお( )( )イいて認定したとおり、原告は被告A医師の言うとおりにしたいとの意向を有していたことからすれば、原告としては被告A医師から説明があれば、その勧める治療法を受容したものと考えられるところ、同医師が自分ならやはり手術をした旨を述べていることからすれば(被告A医師〔26、〕)原告は、被告A医師の意向である手術を受けることを選択した可能性が極めて高いというべきであり、これらの事情に鑑みれば、仮に被告A医師が良性疾患の可能性等を指摘し、説明義務を果たしたとしても、原告としては手術を選択したものと推認するのが相当である。 ウしたがって、被告A医師が説明義務を果たしたとしても原告がなお手術を選択したものである以上、同義務を果たしたとしても、手術に続く治療等がなく原告に後遺症等が発生しなかった高度の蓋然性があるとは認められないから、被告A医師の説明義務違反行為と原告が主張する上記利益侵害の発生との間に因果関係があるとは認められない。 エ他方、被告A医師による説明義務違反行為によって、原告としては、適 切に情報を提供され、これに基づいて治療を受けるか否かを真摯に選択判断する権利、いわゆる自己決定権を侵害されたといえるから、同違反行為と自己決定権侵害との 務違反行為によって、原告としては、適 切に情報を提供され、これに基づいて治療を受けるか否かを真摯に選択判断する権利、いわゆる自己決定権を侵害されたといえるから、同違反行為と自己決定権侵害との間には因果関係があるものと認められる。 損害額( )以上を前提として、自己決定権侵害によって発生する損害について判断する。 ア慰謝料本件手術は、前記16 において認定したとおり、13時間にも及ぶ大手( )術であって、胃や十二指腸などの重要な臓器を摘出するものであり、術後にはそれらの臓器を喪失したことによる生活上の影響も生じているのであるから、それが全く必要のない手術によるものであることが術後に知らされた場合、通常人ならば相当重大な精神的苦痛を受けると考えられ、それを慰謝するには、本来、相当高額の金額を以てすべきものというべきである。 しかし、原告は、上記自己決定権侵害によって、通常人と同様に精神的苦痛を受けたものと推認することはできるものの、術後に被告A医師から病巣が良性のものであった旨の説明を受けた後も、特に落胆したり動揺した様子もなく、これを静かに受け止めており、術後の吐気等がなくなってからは、穏やかに過ごし、退院時にもにこやかな様子であったことが認められる(乙A2〔169、183ないし189。その上、原告は本件訴〕)訟において、本件治療全般による損害の程度等、特に精神的苦痛について、自ら陳述する機会を求めないばかりか、陳述書を提出することもなく、単に原告の夫であるBが陳述ないし供述をするにとどまることを総合考慮すれば、原告の精神的苦痛を慰謝するには、100万円を以てするのが相当である。 イ弁護士費用 本件提訴のために要した弁護士費用については、本件訴訟の経過に鑑み、10万円の限度で本件不法行為により通常生ずべき 神的苦痛を慰謝するには、100万円を以てするのが相当である。 イ弁護士費用 本件提訴のために要した弁護士費用については、本件訴訟の経過に鑑み、10万円の限度で本件不法行為により通常生ずべき損害と認める。 ウ合計以上によれば、原告の損害は110万円である。 結論 以上のとおり、原告の請求のうち不法行為に基づく請求について、主文第1項の限度において理由があるから、その限りで認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官藤山雅行裁判官大嶋洋志裁判官萩原孝基 (別紙1)主張要約書被告病院が、慢性膵炎を膵頭部腫瘍と誤診し、膵頭十二指腸・胃・肝動脈・胆 管・神経叢・胆のう等を切除する手術(本件手術)を行った過失の有無(争点 1 )について( )()原告の主張 被告病院による画像診断が適切に行われなかったこと( )ア画像診断の結果5月28日の検査( )アERCP5月28日、被告A医師によって(内視鏡的逆行性膵胆管造影)ERCPが実施された。被告A医師は、同画像(乙A5)から、ERCP下部胆管の狭窄に一致して、主膵管狭窄が認められる同部の分枝の描出不良であるが、不整は胆管の方が著明と判断し、膵内胆管原発の胆管癌かもしれないと考え、原告の病名を膵頭部癌と診断した。 なお、同日、被告A医師はBに対し、本日ので膵頭部腫瘍(悪性)が判明したERCPとの説明を行っている。 5月30日の超音波(腹部エコー)検査( )イ5月30日、腹部エコー検査が実施された。被告A医師は、本検査の 「依頼目的」欄に、5/28で膵頭部癌の診断ERCP外来時のUS(腹部エコー)において検査陰性→再検と記 検査( )イ5月30日、腹部エコー検査が実施された。被告A医師は、本検査の 「依頼目的」欄に、5/28で膵頭部癌の診断ERCP外来時のUS(腹部エコー)において検査陰性→再検と記載した。検査を担当したI医師は「所見」欄に、、膵頭部、膵鉤部側に31×31×25低エコー腫瘤、辺縁mm凹凸が見られ、癌です。 主膵管の狭窄はないが、総胆管は内側、腹側より腫瘤で圧排され、ほぼ閉塞。 上腸間膜静脈から門脈は開存しているが、脾静脈-門脈合流部から門脈本管にかけて、圧排、狭窄が見られ、浸潤が強く疑われる。 等と記載し「印象」欄に、、膵頭部癌と記した。 5月31日の検査( )ウCT5月31日、検査が実施された。検査を行ったJ医師及びK医師は、CT「所見」欄に、膵頭部に、31×21大の、正常膵実質と比較して増強効mm果の低い領域があります。膵癌と矛盾しない()所見でcompatibleす。 脾静脈門脈合流部は上記の腫瘤に取り囲まれ、脾静脈及び上腸間膜静脈の遠位部、門脈の近位部に狭窄が認められます。 腹腔動脈本管、総胆動脈、脾動脈、上腸間膜動脈は腫瘤と離れ問題はありません。 等の記載を行った上で「診断」欄に、、膵頭部癌と記載した。 6月5日の血管造影検査( )エ6月5日、血管造影検査が実施された。検査を行ったE医師は「所見」欄に、動脈相にて上腸間膜動脈本幹に著変を認めません。 静脈相にて上腸間脈静脈から門脈本幹への移行部に狭窄を認めます。明らかな副側血行路は認めません。 後膵十二指腸動脈は屈曲蛇行した走行を呈しており、一部に壁の軽度不整を認めます。 前膵十二指腸動脈や胃十二指腸動脈、総担動脈などには著変を認めません。静脈相にて脾静脈から門脈の本幹の移行部に狭窄を認めます。 と分析した上で、 走行を呈しており、一部に壁の軽度不整を認めます。 前膵十二指腸動脈や胃十二指腸動脈、総担動脈などには著変を認めません。静脈相にて脾静脈から門脈の本幹の移行部に狭窄を認めます。 と分析した上で、以上、後膵十二指腸動脈と背膵動脈の分枝に壁の不整を、門脈本co幹に狭窄を認め、膵頭部から頸部にかけての膵癌と矛盾しない()と思われます。 mpatibleと記している。 6月11日の検査( )オMRI6月11日、検査が実施された。検査を行ったE医師は「所見」MRI欄に、にて描出された膵頭部の腫瘤はT1強調にて正常膵実質よりCTも軽度低信号、T2強調にて等信号を呈し、カドリニウムにて造影増強されています。 とした上で、画像(乙A9の2)を、MRCP(核磁気共鳴による膵胆管造影)にては、総胆管の末梢部MRCPと膵頭部領域の主膵管に高度の狭窄もしくは閉塞を認めます。 と分析し、 膵頭部癌との診断結果を記載している。 イ上記結果は、膵頭部癌の所見を示していなかったこと(むしろ慢性膵炎の可能性を示すものであったこと)5月28日の検査( )アERCP被告A医師の作成した5月28日の所見には、ERCP選択的胆管造影にて中下部胆管に不整な高度狭窄を認めたため、造影剤の注入を少量にとどめた。選択的胆管造影からバルーン膵管造影を行い、下部胆管の狭窄に一致して、主膵管狭窄がある(いわゆるダブルダクトサイン。 )と記載され、この「ダブルダクトサイン(」が認められdoubleductsign)ることが膵頭部癌の有力な徴表であるかの如く主張している。 しかし、被告A医師が「膵頭部癌」と断定するに至った上記「ダブルダクトサイン(」は必ずしも典型的な膵頭部癌の所見ではdoubleductsign)ない。本件原 表であるかの如く主張している。 しかし、被告A医師が「膵頭部癌」と断定するに至った上記「ダブルダクトサイン(」は必ずしも典型的な膵頭部癌の所見ではdoubleductsign)ない。本件原告のような膵炎においては、膵頭部に腫瘤が発生した場合に総胆管と膵管の双方を腫瘤が圧排し、画像所見上「総胆管、膵管の双方、に拡張、狭窄を認める症例」は生じうる。 膵癌の場合には管壁も蚕食(さんしょく)され癒着が生じているため、画像における狭窄は「走行の変位」が見られるのに対して、膵炎はERCP管壁は単に「圧排」されているにすぎず、画像は「辺縁平滑な狭ERCP、窄」を呈するところ、乙A第5号証の画像を「不整な高度狭窄」とERCP見る所見は被告A医師の主観にすぎず、事実と異なる。同日撮影された別の胆管造影(乙A5左下)からも明らかなとおり、原告の膵管及び総胆管の狭窄は「滑らかな糸を引いたような」狭窄となっている。従って、乙A、第5号証の画像から、原告を膵頭部癌とした被告A医師の診断はERCP同画像の解析判断を誤ったものである。 ERCP 5月30日の超音波(腹部エコー)検査( )イ画像診断所見として、膵頭部、膵鉤部側に31×31×25低エコー腫瘤、辺縁凹mm凸が見られるとの記載があるが、膵管の拡張については記載が無く、逆に主膵管の狭窄はないと記載されている。被告病院側が提出する同画像(乙A4の1)には膵頭部、膵鉤部に加えて膵管が映し出されているわけではない。従って、膵管との比較において膵頭部、膵鉤部側に低エコー領域があるか否かの対照はできるはずもなく「膵頭部、膵鉤部」だけを見た、検査医師(I医師)の主観が記されているにすぎない。 5月31日の検査( )ウCT被告病院は「検査において、造影早期相 があるか否かの対照はできるはずもなく「膵頭部、膵鉤部」だけを見た、検査医師(I医師)の主観が記されているにすぎない。 5月31日の検査( )ウCT被告病院は「検査において、造影早期相で低濃度域として描出さ、CTれる明瞭な腫瘤像は、膵癌を強く示唆するものであり、腫瘤形成性膵炎の場合、及び造影において周囲の膵実質と同様の濃度を呈することCTCTが多い」と主張した上で、5月31日に実施された、検査において、CT膵頭部に、31×21大の、正常膵実質と比較して増強効果mmの低い領域があります。 との報告があることから、膵癌を示唆するものであったとの結論を導いている。 しかし、被告病院が引用する乙P第29号証の「膵癌への挑戦-とCT-膵癌診断の最近の進歩-」は『膵癌の診断方法』を述べるもので、MRI、『膵癌と膵炎(特に腫瘤形成性膵炎)の識別方法』を論じたものではない。 膵炎を起こしている膵細胞が『正常膵』でないことは論をまたない。本件 では『識別困難な膵癌と腫瘤形成性膵炎との識別』が検討されるべきところ、上記検査は『本件膵細胞は正常膵ではない』との報告を述べるCT、にすぎない。この報告を以て『正常膵ではないから膵癌である』との結、論を導くことに論理の飛躍があることは明らかである。 加えて、本件造影画像は、画像の明るさ及びコントラストにも問題CTがあり、当該画像診断から原告を膵頭部癌と診断することはできない。 6月5日の血管造影検査( )エ原告に対して、6月5日付で実施された血管造影検査の「所見」欄に、後膵十二指腸動脈は屈曲蛇行した走行を呈しているとの記載があるが「血管造影」画像において血管が『屈曲蛇行』するこ、とは「慢性膵炎」の特徴である。即ち、同画像所見は、原告が慢性膵炎、である に、後膵十二指腸動脈は屈曲蛇行した走行を呈しているとの記載があるが「血管造影」画像において血管が『屈曲蛇行』するこ、とは「慢性膵炎」の特徴である。即ち、同画像所見は、原告が慢性膵炎、であることを強く推認させる特徴を呈している。 また、本件血管造影画像は、造影剤注入後の撮影のタイミングや、画像の明るさ及びコントラストにも問題があり、当該画像診断から原告を膵頭部癌と診断することはできない。 6月11日の検査( )オMRI6月11日付検査の検査医師は上記の6月5日付血管造影検査MRI( )エと同じE医師であり、膵癌に対して否定的な観点からの検討など望みようもない。 また、本件画像は、画像の明るさ及びコントラストにも問題があMRIり、当該画像診断から原告を膵頭部癌と診断することはできない。 その他の検査データ等が、膵癌の可能性を示していなかったこと( )ア原告の腫瘍マーカー値とその意義(4月12日、5月10日、6月19日)診療録によれば、本件原告に対する腫瘍マーカーの検査は、以下の4回だけしか行われていない。すなわち、 ①4月12日、と19-9が院内検査として実施され、同日、ともCEACAに正常値であるとの報告がなされている。 ②5月10日、と19-9が院内検査として実施され、翌5月11CEACA日、ともに正常値であるとの報告がなされている。 、③6月19日、再びと19-9が院内検査として実施され、同日CEACAともに正常値であるとの報告がなされている。 ④上同日、Lに対し、エラスターゼ、-1、-2の検査が外ISPANDUPAN注され、同月21日付でほぼ問題のない数値結果が報告されている。なお、本件手術は6月20日に実施されているから、この④の報告は本件手術 スターゼ、-1、-2の検査が外ISPANDUPAN注され、同月21日付でほぼ問題のない数値結果が報告されている。なお、本件手術は6月20日に実施されているから、この④の報告は本件手術の翌日になされたもので、手術時には結果は明らかではなかった。 イ胆石症が見られたこと原告は、平成13年3月16日、尿が茶褐色であることに気付き、医療センターの消化器科及び泌尿器科において受診したところ、腹部エコーの結果、胆石症との指摘を受けた。 慢性膵炎と膵癌とが類似の症状を呈することは、医学的には公知の事実であるところ、女性の場合には胆石に原因する慢性膵炎が多いことが世界的に共通していることを考慮するなら、胆石症が見られた本件ケースにおいては、担当医師として、まず、慢性膵炎の可能性を十分に検討するべきであった。 この点、F鑑定人は、原告が自己免疫性膵炎であったとするが、原告は女性であり、かつ抗核抗体、ともに異常がみられなかったこと、上記のとIgGおり胆石症がみられたことからすれば、自己免疫性膵炎であったとは考えられず、同鑑定人の鑑定はにわかに信用しがたい。また、同鑑定人は、自己免疫性膵炎の概念自体、比較的新しいものであり、本件当時(平成13年)はまだ一般的に定着した概念ではないとするが、被告A医師自身は自己免疫性膵炎を知っていたと述べている。 結論 ( ) 以上からすれば、次のとおり、被告A医師の過失は明らかであって、その使用者である被告北九州市の過失もまた明らかである。 ア被告A医師が、画像診断以外の検査データ等が膵癌の可能性を示していないにもかかわらず誤診した過失本件においては、腫瘍マーカーの値をはじめとする画像診断以外の検査結果・臨床所見がいずれも膵癌の可能性を否定するものであったにもかかわらず、被告A医師は、画像診断 いないにもかかわらず誤診した過失本件においては、腫瘍マーカーの値をはじめとする画像診断以外の検査結果・臨床所見がいずれも膵癌の可能性を否定するものであったにもかかわらず、被告A医師は、画像診断のみから安易に原告を膵頭部癌と誤診した。 この点について、H鑑定人も「膵頭領域腫瘍における画像診断は絶対的、なものではない」と述べている。 被告A医師の診断は、医師として当然に要求される注意義務を著しく欠くものであって、同人は過失責任を免れない。 イ被告A医師が、本件画像所見からは慢性膵炎の可能性を疑うべきであるにもかかわらず誤診した過失仮に、本件診断に当たり、画像所見から判断すべきであったとしても、本件画像所見は、必ずしも典型的な膵頭部癌の所見を示していたものではなく、むしろ慢性膵炎の可能性を強く示すものであったから、これを膵頭部癌と誤診した被告A医師の過失は明らかである。 ウ被告A医師が、本件画像の撮影方法に問題があるために頭蓋画像により膵癌であると診断できないにもかかわらず誤診した過失仮に、上記画像所見の一部が膵頭部癌の可能性を示すものであったとしても、そもそも次の画像についてはその撮影方法に問題があり、これらによって膵癌の診断をすることはできない。 すなわち、平成13年5月31日に実施された検査については、画像CTの明るさ及びコントラストに問題がある。また、同年6月5日に実施された血管造影検査については、造影剤注入後の撮影のタイミングや画像の明るさ及びコントラストに問題がある。そして、同月11日に実施された検MRI 査についても、画像の明るさ及びコントラストに問題がある。 このように、撮影方法自体に問題がある画像をもとに、原告を膵頭部癌であると誤診した被告A医師の過失は明らかである。 ()被告らの主張 被告病院に も、画像の明るさ及びコントラストに問題がある。 このように、撮影方法自体に問題がある画像をもとに、原告を膵頭部癌であると誤診した被告A医師の過失は明らかである。 ()被告らの主張 被告病院による画像診断が適切に行われたこと( )ア画像診断の結果5月28日の検査( )アERCPの結果、いわゆる「ダブルダクトサイン」と呼ばれる膵頭部癌のERCP典型的な画像所見が得られていること及び膵管及び胆道の双方に悪性腫瘍に典型的な画像所見が得られたことから、被告A医師は、膵管由来の癌であるか膵内胆管由来の癌であるかを確定できないものの、膵頭部癌の可能性を強く疑った。 5月30日の超音波(腹部エコー)検査( )イ膵頭部癌閉塞性黄疸胆嚢結石5月31日の検査( )ウCT膵頭部癌と診断されている。 6月5日の血管造影検査( )エ後方の膵十二指腸アーケードに壁不整がある門脈合流部に狭窄がある門脈合流部に浸潤している膵頭部癌である6月11日の検査( )オMRI診断は「膵頭部癌」であった。 、イ画像診断の結果は、膵癌の所見を示していたこと 5月28日の検査( )アERCP選択的胆管造影にて中下部胆管に不整な高度狭窄を認めたため、造影剤の注入を少量にとどめた。選択的膵管造影からバルーン膵管造影を行い、下部胆管の狭窄に一致して、主膵管狭窄がある(いわゆるダブルダクトサイン。同部の分枝の描出不良であるが、不整は胆管の方が著明で、膵内)胆管原発の胆管癌かもしれない。 5月30日の超音波(腹部エコー)検査( )イ膵頭部。膵鉤部側に31×31×25低エコー腫瘤、辺縁凹凸がmm見られ、癌です。主膵管の拡張はないが、総胆管は内側、腹側より腫瘤で圧排され、ほぼ閉塞。総胆管16と拡張し、肝内胆管も ( )イ膵頭部。膵鉤部側に31×31×25低エコー腫瘤、辺縁凹凸がmm見られ、癌です。主膵管の拡張はないが、総胆管は内側、腹側より腫瘤で圧排され、ほぼ閉塞。総胆管16と拡張し、肝内胆管もごく軽度拡mm張→外科的黄疸です。上腸間膜静脈から門脈は開存しているが、脾静脈-門脈合流部から門脈本幹にかけて、圧排、狭窄が見られ、浸潤が強く疑われる。 肝臓。コメット・エコー+腫瘤なし。胆嚢に多発結石と胆砂。壁肥厚軽度5月31日の検査( )ウCT膵頭部に31×21大の、正常膵実質と比較して増強効果の低いmm領域があります。膵癌に合致する所見です。 総胆管は上記腫瘤内にて狭窄し、肝内胆管は拡張しています。主膵管の軽度拡張もあります。 脾静脈門脈合流部は上記の腫瘤に取り囲まれ、脾静脈及び上腸間膜静脈、門脈の近位部に狭窄が認められます。 下大静脈は腫瘤の後方にありますが、両者の間に脂肪組織が介在し、浸潤は否定的です。 腹腔動脈本幹、総肝動脈、脾動脈、上腸間膜動脈は腫瘤と離れ、問題はありません。 なお、胆嚢内には結石があります。 脾臓、腎臓に明らかな異常を認めません。 描出範囲内に有意なリンパ節腫大を認めません。 腹水を認めません。 6月5日の血管造影検査( )エ後膵十二指腸静脈及び背膵動脈に壁不整がある門脈狭窄がある6月11日の検査( )オMRIにて描出された膵頭部の腫瘤はT1強調にて正常膵実質よりも軽度CT低信号T2強調にて等信号を呈し、ガドリニウムにて造影増強されています門脈の脾静脈合流部に浸潤し、その内腔は狭小化しています有意なリンパ節の腫大は認めません胆嚢内には数個の結石を認め、壁は全周性に肥厚しています核磁気共鳴による膵胆管造影にては総胆管の末梢部と膵頭部領域の主膵管に高度の狭窄もしくは閉塞を 小化しています有意なリンパ節の腫大は認めません胆嚢内には数個の結石を認め、壁は全周性に肥厚しています核磁気共鳴による膵胆管造影にては総胆管の末梢部と膵頭部領域の主膵管に高度の狭窄もしくは閉塞を認めます その他の検査データ等によっても、膵癌との診断が適切であったこと( )ア腫瘍マーカー膵癌はその腫瘍としての性質に相違があり、例えば19-9や-2CADUPANなどの腫瘍マーカーは、80%の膵癌の患者において検査値の上昇を見るが、残りの20%の膵癌の患者においては、そもそもこれらの腫瘍マーカーの検査値の上昇は見られない。 したがって、腫瘍マーカーにて正常値が複数回出ていても、膵癌ではないとの確率が上昇するものではない。 いずれの腫瘍マーカーも、感度、特異度ともに低く、検査値が上昇している場合には悪性を示唆するが、正常値であるからといって膵癌を否定するこ とはできず、診断上のルーティン検査とすることはできない(乙P4。 )例えば、1999年度の膵癌全国登録調査によれば、19-9が正常値でCAあったにもかかわらず膵癌であった症例は21.7%、が正常値であCEAったにもかかわらず膵癌であった症例は52%にも及ぶ(乙P21。 )したがって、原告の腫瘍マーカーの検査値が正常値であったことをもって、画像診断において膵癌との診断がなされている原告の病態評価を覆すことはできない。 イ胆石症胆石が見られたからといって、画像所見に関わらず慢性膵炎の可能性を優先して考えることはできない。 本件治療においては、慢性膵炎と膵癌の鑑別を被告A医師が単独で診断したものではなく、甲P第1号証が述べる手順とまさに同じ手順によって慎重に診断を進め、4名の放射線科医の画像診断の結論を踏まえ、臨床所見と併せて総合的に判断して膵癌との診断をしたも 医師が単独で診断したものではなく、甲P第1号証が述べる手順とまさに同じ手順によって慎重に診断を進め、4名の放射線科医の画像診断の結論を踏まえ、臨床所見と併せて総合的に判断して膵癌との診断をしたものである。 ウ血中アミラーゼ値血中アミラーゼ値の改善があったこと自体は認めるが、その臨床的な評価については否認ないし争う。 原告の言う総胆管バイパス手術とは、内視鏡的に乳頭を切開して胆管ステントを留置した及びのことを意味しているが、5月28日ではESTERBDなく5月31日に行っており、6月1日の血中アミラーゼの642という値は、この及び施行の翌日の数値であって、十二指腸乳頭に対すESTERBDる内視鏡的処置に起因したものである。 の直後に一過性の高アミラーゼ血症を見ることはよくある現象であESTり、この時点の血中アミラーゼ値の変化は膵頭部腫瘤とは何ら関係がない。 結論 ( )膵癌との診断、腫瘤形成性膵炎と膵癌との鑑別においては、画像診断を総合 することが正診率が最も高く、画像診断により確定診断に至らない場合に、補助的な診断法として腫瘍マーカーや膵液細胞診、膵管生検を行って診断を進めるのが通常である。 被告A医師は、画像診断に関して経験豊富な複数の医師らの手により得られた画像診断を踏まえ、臨床症状と総合判断の上、原告の病態を膵頭部癌と診断したものであり、その診断過程に何ら注意義務違反はない。 被告病院が、本件手術を行うに当たって、必要な検査の実施を怠った過失の有 無(争点2 )について( )()原告の主張 腫瘍マーカーについて( )ア膵癌の診断において必要な腫瘍マーカー値の検査膵癌の診断に使用される腫瘍マーカーとして、19-9や、エラスタCACEAーゼ、-1、-2がある。 19-9や- ーカーについて( )ア膵癌の診断において必要な腫瘍マーカー値の検査膵癌の診断に使用される腫瘍マーカーとして、19-9や、エラスタCACEAーゼ、-1、-2がある。 19-9や-2の膵癌患者血清にISPANDUPANCADUPANおける陽性率は80%であるという報告がある。この他にも膵癌の診断に用いられる腫瘍マーカーとしては-439やなどが知られている。 STSLXイ被告病院は、上記の腫瘍マーカー値の検査を行うべきであったこと及びその根拠既述のとおり、原告に対して実施された4月12日、5月10日と6月19日の19-9及びの検査において、いずれもマーカー値は正常値CACEA(陰性)を示していた。複数のマーカーを調べることにより膵癌の識別可能性は格段に向上することになる。膵癌患者血清の19-9陽性率は約80%CA、であるが、も約60%の陽性率を示すことが報告されている。従ってCEA19-9とがともに陰性を示した本件事例では、CACEA(100-80)%×(100-60)%=8% と膵癌の偽陰性率は1割を切ることになる。この場合、膵癌でない可能性を考えるべきであり、直ぐに細胞診ないしは膵管生検を実施しないまでも、少なくとも-2や-439ないしといった19-9などとは特異性DUPANSTSLXCAの異なったマーカー値を検査すべきことは医師の責務と言える。 ちなみに、被告病院の術前要約(乙A2〔7)においても「ルーティン〕、検査結果表(」の中に、腫瘍マーカーの値をroutinelaboratoryexaminations)記入する欄が設けられており、術前のマーカー値の検査はまさに「ルーティン検査」とされている。 ウ被告病院が上記の検査を怠ったこと をroutinelaboratoryexaminations)記入する欄が設けられており、術前のマーカー値の検査はまさに「ルーティン検査」とされている。 ウ被告病院が上記の検査を怠ったこと既述のとおり被告A医師は本件手術前に19-9との検査を各3回CACEA実施しただけで、エラスターゼ、-1及び-2に至っては本件手ISPANDUPAN術に間に合わない時期(手術の前日)に外注に出し、結果を確認しないままに本件手術に及んでいる。 本件手術前における膵液細胞診・膵管生検について( )ア膵癌の診断における細胞診・生検の種類、方法及び必要性細胞診ないし膵管生検の方法としては、下、ガイド下、超音波ERCPCTガイド下の経皮的膵生検や細胞診、さらには経乳頭的膵管生検や細胞診、最近では超音波内視鏡下(-)の膵生検や細胞診も試みられている。細CEEUS胞診に関しても膵液採取による方法とブラシにより直接病巣から採取する方法があり、いずれもに引き続いて実施されるのが一般的である。また、ERCPIPEU門脈や膵頭神経叢への浸潤の有無については門脈血管内超音波検査()などの方法も行われている。 S細胞診、膵管生検は『疑わしい塊(』が発見された場合、)suspiciousmassに癌細胞そのものの有無を確認するのに最も有用であると広く認められた方法である。 細針生検()に関し「病巣の異なったところを反復して穿刺するFNAB、 ことによって偽陰性の危険を避けうる。実際、自験例において疑陽性の2例を含めると、術中診断率は100%であった」との報告もあるように、細胞診、膵管生検は、その実施方法により格段に診断の精度を引き上げることができるものである。 イ被告病院は上記の細胞診・生検を行うべ を含めると、術中診断率は100%であった」との報告もあるように、細胞診、膵管生検は、その実施方法により格段に診断の精度を引き上げることができるものである。 イ被告病院は上記の細胞診・生検を行うべきであったこと及びその根拠原告は、5月28日に医療センターに入院してから、6月20日に実施された本件手術までの間、ERCP5月28日、US5月30日、ERCPCT5月31日、、ERCP6月11日、CT6月12日、と6回、ないし検査を受けている。 CTUSERCP従って、上記、ないし実施時に並行して膵管生検ないし細CTUSERCP胞診を実施することは可能であるしかつ容易であった。 ウ被告病院が上記の細胞診・生検を怠ったこと本件手術に先立って、原告に対し膵癌の診断方法としての細胞診ないし膵管生検が一度も実施されていないことは被告病院も認めるところである。 本件手術時(開腹下)における膵生検ないし細胞診について( )ア開腹下における細胞診・生検の方法及び必要性開腹下に膵組織を採取して行う膵の生検ないし細胞診は最も古くから行われてきた方法である。 開腹下における細胞診・生検の方法としては、細針生検()などがFNAB一般的であるが、術中迅速に出すことにより15~30分程度で結果が得られ、その精度と必要性については上述のとおり「術中診断率は100%で、あった」との報告もあるとおり膵癌の誤診を避けるためには有効であるとと もに最後の機会でもある。 イ被告病院は上記の細胞診・生検を行うべきであったこと及びその根拠本件手術は、午前9時40分に始まり午後10時45分に終了した合計13時間に及ぶ手術であったが、被告病院によれば、患部を摘出した後、癌の取り残しがないかを確かめるために術中迅速によって膵 びその根拠本件手術は、午前9時40分に始まり午後10時45分に終了した合計13時間に及ぶ手術であったが、被告病院によれば、患部を摘出した後、癌の取り残しがないかを確かめるために術中迅速によって膵断端の生検が実施され、午後3時29分には診断結果が出ていることからすると、午後3時前後には患部の摘出は終了していたものと解される。従って、本件において、開腹後、患部の摘出前に術中迅速により膵の生検を行うことも十分に可能であった。 ウ被告病院が上記の細胞診・生検を怠ったこと本件手術中に、膵癌であることを確かめるための患部の細胞診・生検が行われていないことは被告病院も認めるところである。 結論(上記検査を行えば、原告が膵頭部腫瘍でないことが明らかになり、本( )件手術は必要なかったこと)本件は、鑑別が難しいとされる膵癌と腫瘤形成性膵炎が疑われる状況にあったケースであり、その識別判断は慎重になされるべきであった。仮に、被告A医師が上記画像診断のみに頼ることなく、マーカー値の検査や細胞診・生検を適切に実施していたなら、少なくとも膵頭部癌の可能性が低く、腫瘤形成性膵炎である可能性が高いことがわかったはずであり、そのうえで本件手術中に患部の生検を慎重に実施すれば、本件原告が膵頭部癌ではなく、単なる慢性膵炎であることが判明し、これに続く本件拡大郭清手術の実施を避けることが出来た。 ()被告らの主張 腫瘍マーカーについて( )ア膵癌の診断における、腫瘍マーカー値の検査の必要性 膵癌の診断において、画像診断を総合して診断することによる正診率は90%に及ぶ。 腫瘍マーカーによる検査は補助的診断法に過ぎない。 イ原告の主張する、腫瘍マーカーの検査は不要であったこと及びその根拠(正常値であったとしても膵癌を否定できないこと)膵癌はその腫 0%に及ぶ。 腫瘍マーカーによる検査は補助的診断法に過ぎない。 イ原告の主張する、腫瘍マーカーの検査は不要であったこと及びその根拠(正常値であったとしても膵癌を否定できないこと)膵癌はその腫瘍としての性質に相違があり、例えば19-9や-2CADUPANどの腫瘍マーカーは、80%の膵癌の患者において検査値の上昇を見るが、残りの20%の膵癌の患者においては、そもそもこれらの腫瘍マーカーの検査値の上昇は見られない。 したがって、腫瘍マーカーにて正常値が複数回出ていても、膵癌ではないとの確率が上昇するものではない。 いずれの腫瘍マーカーも、感度、特異度ともに低く、検査値が上昇している場合には悪性を示唆するが、正常値であるからといって膵癌を否定することはできず、診断上のルーティン検査とすることはできない。 例えば、1999年度の膵癌全国登録調査によれば、19-9が正常値でCAあったにもかかわらず膵癌であった症例は21.7%、が正常値であCEAったにもかかわらず膵癌であった症例は52%にも及ぶ。 したがって、原告の腫瘍マーカーの検査値が正常値であったことをもって、画像診断において膵癌との診断がなされている原告の病態評価を覆すことはできない。 膵液細胞診・膵管生検について( )ア膵癌の診断における、細胞診・生検の種類、方法及び必要性細胞診、膵管生検は、画像診断にて確定的な診断が得られない場合の補助的な診断法に過ぎない。 この点、原告の引用する医学文献にも、、、である程度鑑別が可能である。 、、で鑑USCTERCPUSCTERCP 別が困難な例には血管造影が有効である。その他に、膵液細胞EUS診、膵管生検も行われる。 との記載がなされている。 すなわち、主たる診断法として、、、の画像診断に加 SCTERCP 別が困難な例には血管造影が有効である。その他に、膵液細胞EUS診、膵管生検も行われる。 との記載がなされている。 すなわち、主たる診断法として、、、の画像診断に加えて血USCTERCP管造影の画像診断が極めて有効なものとされており、膵液細胞診や膵管生検は必須なものではなく、補助的な診断法に止まるものとされている。 イ原告の主張する、細胞診・生検は不要であったこと及びその根拠(陰性であったとしても膵癌を否定できないこと)そもそも細胞診は膵液の中に脱落してくる細胞を拾って染色し、その個々の細胞の悪性度を定性的に判断するものであって、仮に膵液細胞診で陰性の所見が得られたとしても直ちにそれによって全体の診断を覆すことは不可能である。 また、膵管生検についても、その腫瘤全体の中で、悪性腫瘍本体である部分と、腫瘍が浸潤することによって周囲の組織が破壊され膵液等の漏出によって反応性に腫瘤が形成されて炎症を生じているような部分とがある場合には、腫瘤全体が悪性腫瘍の細胞で満たされているということはなく、陰性の所見が得られたとしてもそれによって全体の診断を覆すことは到底できない。 さらに、膵管生検を行うときには、末梢の膵管にまで針を刺して生検をすることは困難であるため比較的径の太い主膵管から生検を行うことになるが、膵癌の特徴として末梢の膵管を発生場所とした癌が主膵管に伸展、浸潤して初めて主膵管に悪性の組織が認められると言われており、主膵管からの膵管生検によって陰性の所見が得られた場合に手術を思いとどまることは、むしろ医療過誤の疑いさえある。 逆に、経皮的穿刺による針生検では、陰性の結果によって膵癌を否定できないにもかかわらず、出血や膵液瘻などの合併症があり、穿刺により癌細胞を播種させる危険がある。 実際、1 過誤の疑いさえある。 逆に、経皮的穿刺による針生検では、陰性の結果によって膵癌を否定できないにもかかわらず、出血や膵液瘻などの合併症があり、穿刺により癌細胞を播種させる危険がある。 実際、1996年度の膵癌全国登録調査によれば、細胞診或いは生検で術前に組織学的に確定診断が得られた症例は、切除例596例中74例(12. 4%)であり、術中生検を行った48例を加えても122例(20.5%)に過ぎず、その診断的価値は低いものである。 術中迅速病理診断について( )ア術中迅速病理診断に関しては、偽陰性率が高く信頼度は低く、またそれによる診断は困難である。 経皮的膵生検と同様、陰性の結果によって癌を否定できないから、膵癌の典型的画像所見が得られている症例では、主病変の術中生検は施行されないことが多く、切除断端の癌陰性を確認することの方に術中迅速病理診断の重きが置かれる。 イ組織学的確診が得られないという理由で根治的切除手術が施行されなければ、多くの癌が手遅れになるまで放置されることになるのであり、そのため、膵生検は可能な限り行わないという方針の施設も多い。 膵癌全国登録調査報告(1999年度症例の要約)の「B.術前診断」の「表12最初に組織学的診断をつけた方法」にみられるように、膵癌切除例574例中、術前精査(細胞診、内視鏡下膵生検、USガイド下膵生検、)あるいは術中迅速病理診断で組織学的確診が得られた症例は112例(19. 5%)に過ぎず、大多数の症例が画像診断で膵癌と診断されて切除手術を受け、切除膵の病理組織で初めて膵癌の組織学的確定診断に至っているのである。 結論 ( )したがって、原告の腫瘍マーカーの検査値が正常値であったことをもって、画像診断において膵癌との診断がなされている原告の病態評価を覆すことはできない。 ま 断に至っているのである。 結論 ( )したがって、原告の腫瘍マーカーの検査値が正常値であったことをもって、画像診断において膵癌との診断がなされている原告の病態評価を覆すことはできない。 また、画像診断において膵癌との診断がなされている本件において、本件手 術前に細胞診、膵管生検を行わなかったことが何らかの注意義務違反となることはない。 被告病院の診断を前提として、原告に対して手術を行ったこと又はその術式に 誤りがあったか否か(争点3 )について( )(原告の主張) 原告に対して膵切除術を行うべきではなかったこと( )IV被告A医師は、本件手術時点においても原告の膵癌進行度を「ステージ」と判断していた。 a特に進行度の進んだ膵癌について『切除手術を指示するコンセンサスが得、られている』などという事実はない。全米最大のアメリカ癌学会(ACS)の2003年度報告によれば「30,700人の新患に対し30,000人の死亡を見ている「膵癌は非常に処置が難しいものであり、全てのステージの膵。」癌で一年存命率は21%であり、5年存命率はおよそ4%である。限局性の早期膵癌ですら17%である」従って、膵癌の「治療の究極の目標は、膵癌の。 積極的処置を試みるより、悲惨な症状を除き向上を図り、延命を努めるQOL点にある」と指摘されている。 また、. .も「膵癌と診断された時点で既に相当進行している場合が多JHP、。 。 い。それ故、大部分の膵癌患者は手術の対象にはならない」と報告しているすなわち、膵癌に対する治療の世界的潮流は、積極的処置(手術)よりむしろ患者の()の向上を図ることにあるとされている。 QOLqualityoflife仮に、初期段階の膵癌に対し、積極的処置が施されることについてある程度の 流は、積極的処置(手術)よりむしろ患者の()の向上を図ることにあるとされている。 QOLqualityoflife仮に、初期段階の膵癌に対し、積極的処置が施されることについてある程度のコンセンサスが得られつつあるとしても、ステージやといった進行IIIIV度の高い膵癌に対してまで『切除手術を指示するコンセンサスが得られている』などという事実は存在しない。 膵切除術が避けられなかったとしても、術式に誤りがあったこと( )ア被告A医師は原告に対する本件手術において、膵頭十二指腸、門脈、胃、肝動脈、胆管、神経叢、胆嚢を切除するという拡大郭清膵切除術を実施している。 しかし、このような拡大郭清膵切除術においては、術後早期からの頻回の下痢による腸液の喪失が多く、術後の体液バランスの調節に難渋することもまれではなく、また、腸動の異常亢進、膵内・外分泌機能障害や術後長期にわたり消化吸収障害が続き患者のが損なわれるなどの難点が指摘され、QOL最近ではより良い術後のを考え、十二指腸温存膵頭切除術や、全胃をQOL温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が普及している。 そもそも、本件では、膵癌取扱い規約に関する手術所見において「0」DUすなわち十二指腸に浸潤していないとされているから、十二指腸の切除自体の必要性がなかったといえる。 また、門脈については、血管造影の結果「狭小化」が見られるとされていること、切除標本マクロ写真に門脈が写っていないことからも、癒着がないから切除は必要なかったと言える。 さらに、上記手術所見において「0」すなわち神経組織に浸潤してい、Rpないとされており、神経叢に癌が浸潤していないことは明らかであるから、本件手術において切除は必要なかったと言える。 原告は上記拡大郭清膵切除術の結果、術後3 0」すなわち神経組織に浸潤してい、Rpないとされており、神経叢に癌が浸潤していないことは明らかであるから、本件手術において切除は必要なかったと言える。 原告は上記拡大郭清膵切除術の結果、術後3年を経過した現在も消化吸収障害を患い正常な日常生活が営めない状態が続いている。これは、被告A医師が本件において現在の標準的手術方法である十二指腸温存膵頭切除、あるいは仮に十二指腸の切除の必要性が認められたとしても、胃の幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行っていれば避けられた結果である。 イまた、仮に上記拡大郭清手術が避けられなかったとしても、吻合方式については、膵・胃吻合()ではなく、膵・空腸吻合()を取るべきであPGPJ った。 すなわち、本件においてを採用したことによって、吻合された胃からPG出る酸の影響で、残存した膵臓の外分泌機能が低下することとなり、原告のが損なわれた。本件でを採用していれば、このような結果は避けらQOLPJれたはずである。 実際、九州大学における20年間の胃十二指腸合併切除()実施例のPD中で、吻合方式としてを採用した例は皆無であるし、被告A医師自身がPG共著者とされている論文においても、の場合でもを採用した例は皆PDPG無であるとされているところである。 以上のとおり、被告A医師の認識を前提にしても、本件手術は予後の改善が( )期待できない不必要な手術であり、被告A医師には本件手術を実施したことにおいて重大な判断の誤りが存する。 (被告らの主張) 原告の膵癌の進行度からすると膵切除術が必要であったこと( )IIIIV術前の進行度予想としてステージとし、本件手術時点では、ステージと判断していた。 a膵癌の予後は極めて不良であるが、その治癒を望みうる唯一の治療方法は、 術が必要であったこと( )IIIIV術前の進行度予想としてステージとし、本件手術時点では、ステージと判断していた。 a膵癌の予後は極めて不良であるが、その治癒を望みうる唯一の治療方法は、腫瘍の外科的切除である。 かつては、癌の門脈浸潤があれば切除不可能と考えられていたが、現在は、門脈合併切除の合併症や術死率は非合併切除例と同等であり、剥離面の癌遺残をなくすために門脈や近接動脈の合併切除を含む拡大手術の安全性は確立されている。 欧米の多くの医師は、ステージ膵癌に相当する患者は手術せずに、放IVa射線化学療法などを選択しているが、この点については、外科的に切除を行うことが患者の予後、において有意な良好性が確認されている。 QOL 厚生労働省の研究班(班長:京都大学今村教授)が、無作為に割付けにより、IVaQOLステージ膵癌の患者を手術群と放射線化学療法群とに分け、予後、における有意差を確認したところ、手術群の有意な良好性が解析結果として得られ、またクオリティー・オブ・ライフに有意差はなく、入院期間と治療費において、手術群が優れていたことが判明した。 これによって、ステージ膵癌に対する治療選択として、外科的に切除すIVaることの優位性が確認され、そのため、逆に手術をせずに放射線化学療法をとることの倫理的な問題が生じうるため、研究が中止されるに至っている。 本件手術の術式が膵癌に対する標準術式であったこと( )ア本件手術施行時において、悪性度の高い膵頭部癌においては、根治性の劣る可能性のある幽門輪温存膵頭十二指腸切除()は標準術式ではなかPPPDった。 将来において、膵癌がより早期に診断されるようになり、根治度を下げないの手術手技が一般化すれば、膵癌でもより多くの症例にが施PPPDPPPD行 切除()は標準術式ではなかPPPDった。 将来において、膵癌がより早期に診断されるようになり、根治度を下げないの手術手技が一般化すれば、膵癌でもより多くの症例にが施PPPDPPPD行されるようになる可能性はあるものの、現時点で(本件手術施行時におい)、て、門脈合併切除が必要と考えられるステージの進行膵癌に対してはIVa従来型の膵頭十二指腸切除()が標準術式である。 conventionalPDPPPD本件では、原告の診断は悪性度の高い膵頭部癌であったことから、はその標準術式ではなかった。 イなお、膵癌にを施術する場合は、胆管癌や乳頭部癌に対する場合とPPPD異なり、広範なリンパ節および神経叢の郭清を行うので、胃を全て残すというだけで、原告が主張するような術後のに差が出ることは考え難い。 QOL手術の実施・手術方法に関する説明義務違反の有無(争点4 )について ( )()原告の主張 原告に対して選択しうる治療法について( )上記3(原告の主張)1 、2 のとおりである。 ( )( ) 被告病院が、本件拡大郭清膵切除術を行うに当たって、原告に説明すべき内( )容及び説明を行わなかったことア手術以外の治療法について被告病院の主張を前提にしても、ステージと診断された原告についてIVa切除手術による予後の改善がどの程度期待できるかなどにつき、原告は当時、主治医であった被告A医師から何らの説明も受けていない。 被告A医師が、真実、当時「切除手術は、放射線化学療法との比較で、有意な良好性が認められ、患者のクオリティー・オブ・ライフ()におQOLいて有意差がなく、しかも入院期間と治療費においては優れている」と信。 じていたとしても『患者のクオリティー・オブ・ライフにおいて有意差が 認められ、患者のクオリティー・オブ・ライフ()におQOLいて有意差がなく、しかも入院期間と治療費においては優れている」と信。 じていたとしても『患者のクオリティー・オブ・ライフにおいて有意差が、な』いのであるなら、切除手術を選ぶのか、放射線化学療法を選ぶのかはまさに患者の自己決定権の範囲内に属する基本的かつ重要な事柄であり、決して『医師の合理的な裁量の範囲内』において決せられるものなどではない。 患者であった原告は被告A医師から『入院期間と治療費』の違いや予後の改善見通しを具体的に摘示した上で十分な説明を受け、いずれの方法を選ぶかの選択権を有していた。この点については「インフォームド・コンセント、、、ガイダンス-がん治療編-」においても「手術の利益が明らかではなくほかの非観血的治療法の適応もある場合には、手術、化学療法、放射線療法など、各治療法の長所・短所を説明して基本的選択を患者の意思で行わせる」と明記されている。 イ術式選択について「インフォームド・コンセントガイダンス-がん治療編-(甲P2」2)には、医師に新規治療方法についての情報提供義務が広く認められるとしたうえで「手術方法に複数の選択の余地がある場合には、その優劣を説、 明する必要があるが、……、手術方法の決定には必ず患者の同意が必要」であることが明記されている。 原告及びBに対し、本件手術にあたって、被告A医師から上記手術方法の選択に関する説明は一切なされなかった。 ウ膵頭部癌であることの根拠について被告A医師は、原告が膵頭部癌であることを告知した際、その根拠、特に腫瘍マーカーに関しては、検査の実施の有無、検査結果等について何らの説明もしなかった。そればかりか、Bが被告A医師に対し、腫瘍マーカーの検査結果を尋ねた際、同人は「出ていない」と答えた の根拠、特に腫瘍マーカーに関しては、検査の実施の有無、検査結果等について何らの説明もしなかった。そればかりか、Bが被告A医師に対し、腫瘍マーカーの検査結果を尋ねた際、同人は「出ていない」と答えたのである。 また、腫瘍の位置についても、被告A医師は、原告が膵頭部癌であることを告知した際、膵内拡張総胆管を指して、これが腫瘍であると説明している。 仮に原告がこれらの点について正確な説明を受けていれば、原告の病名が癌ではないことが明らかとなり、原告は本件手術を承諾しなかったはずである。 結論 ( )これらの点においても被告病院及び被告A医師には原告に対する重大な説明義務違反が認められる。 ()被告らの主張 拡大郭清膵切除術が標準術式であったこと( )上記3(被告らの主張)1 、2 のとおりである。 ( )( ) 説明すべき内容はすべて説明を尽くしていること( )ア被告A医師は、原告及びBに対し、膵頭部腫瘍について「癌」という言葉は使わず「悪性腫瘍」とし、門脈の狭窄があるということについては「浸潤」とは明言せず、狭窄が認められるので切除が必要であるとして、膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、術中照射(悪性細胞の遺残に対しての治療)の 詳細及び合併症について、図を描きながら説明を行っている。 膵内拡張総胆管を指して、これが腫瘍である、というような説明はしていない。 膵頭部腫瘍(悪性、膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清、)術中照射につき、その必要性と具体的な内容、また、状況に応じた内容の変更、起こりうる危険性、合併症、予後などについて説明した上で、同施術に関し、原告及びBの同意を得ている。 イ治療方法に複数の選択肢がある場合に、他の採り得べき治療方法についての説明をすることが法的な義務とされることはあるが、そもそ などについて説明した上で、同施術に関し、原告及びBの同意を得ている。 イ治療方法に複数の選択肢がある場合に、他の採り得べき治療方法についての説明をすることが法的な義務とされることはあるが、そもそも治療方法としての適応がない場合には、その説明をすべき法的な義務はない。 被告A医師が原告及びBに対してについての説明をしていないのは、PPPDステージの膵癌に対する治療方法としての適応がなかったからであり、IVa何ら説明義務違反と評価されるものではない。 結論 ( )標準術式でないについての説明を行わないことが注意義務違反となるPPPDこともない。 被告A医師は、原告のステージングに対して適応のある拡大郭清膵切除術を施行し、その点についての十分な説明を尽くしている。 同意のない右肝動脈合併切除・再建術(本件拡大手術)を行った過失の有無 (争点5 )について( )()原告の主張 拡大手術について、原告及びBの同意がなかったこと( )本件手術に際しては、膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清及び術中照射に加え、右肝動脈の切除、再建が行われている。 上記右肝動脈の切除、再建は原告及びBの同意の範囲内に含まれるものではなく、本件拡大手術は有効な同意なしに行われたものである。なぜなら、右肝動脈は膵頭部と離れた位置にあり、到底「状況に応じた内容の変更」として同意の範囲内にあるとは考えられないからである。 本件手術中、Bは別室で待機していた。従って、術中に不測の事態が発生し、本件右肝動脈の切除、再建が必要とされたとしても、Bに説明した上で同意を得ることは容易であった。しかし、被告A医師がかかる必要かつ容易な行為を行った事実はない。 被告病院が、本件拡大手術を行う必要性はなかったこと及び拡大手術を行っ( )たこ に説明した上で同意を得ることは容易であった。しかし、被告A医師がかかる必要かつ容易な行為を行った事実はない。 被告病院が、本件拡大手術を行う必要性はなかったこと及び拡大手術を行っ( )たことが違法であること右肝動脈まで腫瘤との癒着を裏付ける客観的資料は何もない。それどころか、5月31日付で行われた検査の「所見」欄には、CT総胆動脈……は腫瘤と離れ、問題ありませんとの報告がなされている。 仮に、癒着があったとするならば、切除標本に癒着した右肝動脈が残っているはずであるが「切除標本マクロ」を見ても「癒着した」肝動脈は認められ、ない。ちなみに、肝動脈の癒着が認められるのであれば、より患部に近い門脈も当然に癒着が認められるはずであるが、同「切除標本」には癒着した門脈も認められない。 結論 ( )以上のとおり、本件手術に際してなされた右肝動脈の切除、再建に関しては、原告ないしBの有効な同意なしに行われたものであり、このことは医師として当然に要求される注意義務を著しく欠くものであって、被告A医師の過失責任の成立は免れない。従って、被告北九州市についても使用者ないし履行補助者の過失として過失責任が成立するものである。 ()被告らの主張 本件拡大手術は、原告の同意の範囲内であること( )本件手術において右肝動脈の切除、再建の必要性があり、またその侵襲の程度からしても、膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清及び術中照射と本質的な違いはなく、重大な危険の拡大があるものでもないことから、本件手術に際してなされた右肝動脈の切除、再建は、6月9日に原告及びBに対してなされた説明のうち「状況に応じた内容の変更」として、医師の合理的な、裁量により、原告の同意の範囲内の処置としてなされたものと言うべきである。 被告病院 除、再建は、6月9日に原告及びBに対してなされた説明のうち「状況に応じた内容の変更」として、医師の合理的な、裁量により、原告の同意の範囲内の処置としてなされたものと言うべきである。 被告病院が、本件拡大手術を行った理由及び本件拡大手術を行ったことが違( )法ではないことア必要性原告の右肝動脈にはヴァリアントがあった。 通常人は、総肝動脈が胃十二指腸動脈と固有動脈に分岐し、固有動脈が左右の肝動脈に分岐するが、原告は、総肝動脈から分岐した固有肝動脈がそのまま左肝動脈として肝内へ流入し、右肝動脈は胃十二指腸動脈から分岐して、左肝動脈とは別に肝臓内へ流入するというヴァリアントがあった。 そして、右肝動脈まで膵頭部後面との強固な炎症性の癒着があったため、剥離して根治的な郭清を行うことが困難であり、右肝動脈を切除し、腫瘤を剥離した後再建するという手技を採る必要があった。 イ相当性(危険の拡大がないこと)被告A医師が行ったのはヴァリアントとしての右肝動脈の切除、再建であり、総肝動脈の切除、再建ではない。 総肝動脈の切除、再建であれば、その侵襲の程度は大きく、原告及びBに対して明示的に説明されていた膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清及び術中照射に比較して、危険の拡大があると評価することもできなくはないが、本件手術においてなされたヴァリアントとしての右肝動脈の切除、 再建は、上記の術式に本質的な変更を加えるものでもなく、重大な危険の拡大があるものでもない。 また、一般的に肝臓への血流は門脈及び肝動脈によって保持されているが、門脈と肝動脈を比較した場合には門脈優位であることが多く、右肝動脈1本であれば、切除後再建をしなくても、門脈の血流によって肝臓の機能が維持されるという考え方もあるほどである。 以上より、右肝動脈の切除、再建は 脈を比較した場合には門脈優位であることが多く、右肝動脈1本であれば、切除後再建をしなくても、門脈の血流によって肝臓の機能が維持されるという考え方もあるほどである。 以上より、右肝動脈の切除、再建は、その侵襲の程度からして、原告及びBに対して明示的に説明されていた膵頭十二指腸切除、門脈合併切除、リンパ節郭清及び術中照射と本質的な違いはなく、重大な危険の拡大があるものでもない。 結論 ( )以上のとおり、本件手術においてなされた右肝動脈の切除、再建は、その必要性、相当性から、医師の合理的な裁量により原告の同意の範囲内の術式としてなしうるものである。 この点に関し、インフォームド・コンセントの問題は何ら生じえない。 胆管炎の発症についての過失の有無(争点6 )について ( )()原告の主張 原告に対するステントの留置措置が不必要であったこと( )被告A医師は、平成13年5月31日、原告に対し下において、ダブERCPル・ピッグ・テイル・ステント留置措置を講じている。 その後、原告は切迫急性閉塞性胆管炎を発症し、被告A医師は6月11日、再びダブル・ピッグ・テイル・ステント2本を留置する措置を講じている。その際、閉塞した旧ステントを抜去する時に乳頭開口部より胆泥、胆砂を混じた胆汁の流出が認められている。 そもそも、原告に関しては、開腹手術が決定しているにもかかわらず、何故、その直前にステントを留置する措置が採られたのかという根本的な疑問もある。 しかも、6月11日に再度ステントを2本も留置したにもかかわらず、原告の症状は改善せず、翌12日には体外ドレナージ(経皮経肝的胆嚢ドレナージ)に減黄処置方法を変更し、これを実施している。 ステント留置挿入の一般的な方法について(乳頭切除ないし切開法をとらな( )いこと)膵内胆 翌12日には体外ドレナージ(経皮経肝的胆嚢ドレナージ)に減黄処置方法を変更し、これを実施している。 ステント留置挿入の一般的な方法について(乳頭切除ないし切開法をとらな( )いこと)膵内胆管にステントを留置する措置をとるにあたっては、通常乳頭部切除は行わず、乳頭部に筋弛緩剤を注入して括約筋を弛緩させたうえでステントを挿入する方法が採られている。これは、乳頭部が腸内から胆管内へ消化液等が(胆汁を排出するため胆嚢が収縮するが、その後の胆嚢弾性復元による吸引作用で)逆流・浸入してくることを防ぐ逆止弁の役割を果たしているからである。 被告病院が原告に対し不適切なステントの留置措置を行ったこと( )本件において、被告A医師は、平成13年5月31日のステント留置に際して、ハピロトームにより乳頭部切除・切開術を実施している。このため、この乳頭部切除・切開によって胆管内に十二指腸内から消化液や内容物等が逆流したため原告が胆管炎を併発したものと考えられる。 ステントの選択を誤ったこと( )本件ステントの留置に関しては、開腹手術までの短期的な処置であることからすると、慢性膵炎の治療向きの耐久性に重点をおいたダブル・ピッグ・テイル・ステントではなく(伸縮性金属ステント)など胆管や挿入の際の負EMS荷が少ない、挿入し易いもので済ますべきであった。 本件臨床記録には「ステント閉塞により胆嚢胆管炎発症」と記載されているが、特に胆石、胆砂が流下する胆管に両端が渦巻状のステントを留置したため胆石、胆砂の流下が妨害(ステントに入らない)され、ステントの入り口付近に堆積し、閉塞という事態を招いたことも、原告が胆管炎を併発した原因と考 えられる。 ステント留置等の措置後にを行ったこと( )MRI本件切迫急性閉塞性胆管炎は、同日、被告A医 口付近に堆積し、閉塞という事態を招いたことも、原告が胆管炎を併発した原因と考 えられる。 ステント留置等の措置後にを行ったこと( )MRI本件切迫急性閉塞性胆管炎は、同日、被告A医師の指示でが行われたMRI直後に発症している。 検査は電磁波の一種()などをMRIradiofrequencypulse使用するため対象部位に傷などが存する場合には傷口が熱傷()heatingeffectsを起こす可能性があると指摘されている。 本件においては、上記ステントの留置措置のみならず、検査を実施すERCPるなど、胆管内に傷がついていた可能性が大きい。殊にステントの留置措置を行った場合、胆管を傷つける可能性があることから、腹部を圧迫することは極MRI力避けなければならないことは一般的に医師も支持するところであるが、検査においては必然的に腹部の緊迫を伴うことになる。そもそも検査はMRI診察の初期段階において実施される検査方法であるが、様々な検査や措置を行った後の段階で実施されたことから、上記検査や措置によって傷ついていた胆管内が熱傷()を起こした可能性が大きい。 heatingeffects従って、本件において6月11日(当初計画の手術前日)に検査が実MRI施されたことも、原告が切迫急性閉塞性胆管炎を発症した原因の一つと考えられる。 結論 ( )以上のとおり、被告A医師は、開腹手術が決まっている原告に対し、不必要なステントの留置措置を繰り返し実施し、その際、ステントの選択を誤り、かつ乳頭部を切除・切開するという方法を選択したばかりでなく、不適切な時期。 に検査を実施したため、原告に胆管炎を併発させるという事態を招いたMRI被告A医師の過失は明らかである。 ()被告らの主張 ステント留 るという方法を選択したばかりでなく、不適切な時期。 に検査を実施したため、原告に胆管炎を併発させるという事態を招いたMRI被告A医師の過失は明らかである。 ()被告らの主張 ステント留置について( ) 胆管ステントを留置するは、消化管や胆管という管腔臓器内での内ERBD視鏡的処置であり、腹腔を経由して臓器外から穿刺する穿刺吸引細胞診とは全く次元の異なる処置である。 仮に、癌細胞を擦って消化管内に細胞をばらまいたとしても播種することはない。また、胆管ステントが胆管壁を「圧迫」することはあっても、よほど未熟で粗暴な処置をしない限り「傷つける」こともない。 、したがって、穿刺によって癌細胞を播種させる危険を主張しているのに胆管壁を傷つけるステント留置を行った処置は矛盾しているとの原告の主張については、否認ないし争う。 ERBD閉塞性黄疸の減黄のため、下部胆管癌や膵頭部癌の術前処置としてを選択したことは、何ら非難されることのない標準的医療である。 施行及び弛緩薬について( )EST膵内胆管にステントを留置する際に、を施行せずに括約筋の弛緩薬をEST用いて行うべきであったとの主張については、否認ないし争う。 胆管ステントを留置するためにはを付加して乳頭開口部を広げる必要ESTがある。 出血のリスクが極めて高い症例(抗凝固剤内服中や肝硬変など)で、敢えてを行わずにステントを留置する場合もあるが、なしで外径7フレンESTESTチ以上のチューブを留置した場合には、膵管口を圧迫して膵炎を起こすリスクがあるとされており、本件のように、十分な胆汁流出を求めて2本のステントを留置するためにはは必須であった。 ESTなお、原告の引用する甲P第21号証の記述は、一般的な検査の前処ERCP置の解説であるが、内視鏡 、本件のように、十分な胆汁流出を求めて2本のステントを留置するためにはは必須であった。 ESTなお、原告の引用する甲P第21号証の記述は、一般的な検査の前処ERCP置の解説であるが、内視鏡検査の前に抗コリン剤(ブスコパン)やグルカゴンを使用するのは当然のことであり、本件でもブスコパンを使用して一連の内視鏡検査を行っている。 胆管炎・胆嚢炎の発症について( ) 原告は、胆管炎の発症の原因を乳頭部切除術を実施したことにあると主張するが、否認する。 は乳頭「切開」であって乳頭「切除」ではない。 EST胆管炎・胆嚢炎は、、の合併症であり、この点については施術ERCPERBDに際しての説明において、図を描いて説明している。 被告A医師は、起こり得る合併症について十分にインフォームド・コンセンERBDトを得て施術し、起こってしまった合併症に対しては、胆管炎に対するステント交換、胆嚢炎に対する経皮経肝的胆嚢ドレナージを施行し、適切にかつ迅速に対応したものである。 ステントの選択について( )手術を前提とした短期間の胆管ドレナージに金属ステント()を使用EMSすることはない。 は、切除不能症例に対する長期の維持を目的として留置されるものでEMSある。 ステント留置等の措置後のについて( )MRIERBDMRIheatinのチューブステントを留置した状態でを施行したことで、によって胆管炎を惹起するという原告の主張には、医学的根拠は全くgeffectない。 損害額(争点7 )について ( )()原告の主張 治療費158万5853円( )原告は本件手術後の平成13年6月20日から現在に至るまで、投薬等の治療を余儀なくされているところ、原告が負担した治療費の合計である金158万5 原告の主張 治療費158万5853円( )原告は本件手術後の平成13年6月20日から現在に至るまで、投薬等の治療を余儀なくされているところ、原告が負担した治療費の合計である金158万5853円については、本件手術から生じた損害として賠償されるべきであ る。 付添看護費35万1000円( )本件手術後の平成13年6月20日から医療センターを退院する同年8月9日まで(但し、Bが出張のため不在であった14日間を除くので37日間、))、検査のためM病院に入院をした同年12月10日から21日まで(12日間及び平成14年8月26日から同月30日まで(5日間)の間(合計54日間、Bが、生活用品の買い物、洗濯物の運搬、声楽関係の連絡等の補助をす)るなど、原告に付添い看護した。 Bの付添看護費としては1日当たり金6500円が妥当である。 したがって、付添看護費は6500円×54日=金35万1000円となる。 入院雑費30万6000円( )本件手術後の平成13年6月20日から医療センターを退院する同年8月9日まで(51日間、検査のためM病院に入院をした同年12月10日から2)1日まで(12日間、及び平成14年8月26日から同月30日まで(5日))。 間)の間(合計68日間、原告は1日当たり1500円の入院雑費を要したしたがって、入院雑費は1500円×68日=30万6000円となる(裁判所注;この計算は原告の主張のまま記載してある。 。) 通院交通費68万3580円( )原告は本件手術後、医療センター及びM病院に通院を余儀なくされたが、その際に要した交通費は、少なくとも合計68万3580円である。 原告は本件手術により幽門を切除されたため、食事中でも下痢が起こるといった「ダンピング症候群」に罹り、現在に至る 院を余儀なくされたが、その際に要した交通費は、少なくとも合計68万3580円である。 原告は本件手術により幽門を切除されたため、食事中でも下痢が起こるといった「ダンピング症候群」に罹り、現在に至るまでその症状は継続している。 そのため、公共交通機関を利用することができず、通院にはいつでもトイレに行かれるようにタクシーを利用せざるを得ない。 したがって、本件ではタクシー代の請求も認められるべきである。 自宅改装費822万3600円( ) 原告は本件手術により運動(歩行)機能が低下し、階段の昇降が非常に困難)。 になった(移動及び活動が制限されており随時介助を必要とする状態であるそのため、原告は自宅にホームエレベーターを設置する予定であるが、その費用は804万3000円(766万円×1.05)である。 また、上記の通り原告は階段の昇降が非常に困難になったため、現時点でとりあえず自宅の階段に手摺を設置したが、その費用は金18万0600円である。 休業損害105万1894円( )原告は声楽家としても活躍する傍ら、主婦として家事にも従事していたところ、本件手術により後遺障害が残存したことにより、平成13年6月20日から症状固定日である平成15年10月6日までの計109日間(裁判所注;この主張は原告の主張のまま記載してある、家事労働に従事できなかった。 。)賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者の全年齢平均の賃金額は1年間で352万2400円であるから、原告に生じた休業損害は352万2400円×109日÷365日=105万1894円である。 逸失利益1219万9902円( )原告は上記のとおり主婦として家事にも従事していたところ、本件手術により後遺障害が残存したことにより、家事労働に従事できな 日=105万1894円である。 逸失利益1219万9902円( )原告は上記のとおり主婦として家事にも従事していたところ、本件手術により後遺障害が残存したことにより、家事労働に従事できなくなった。 具体的には、上記4 記載のとおり外出もままならないため買い物を原告の妹( )や弟に手伝ってもらう、食事も作ることが困難で出前に頼らざるを得ない、大きな洗濯物は自分で洗濯ができないのでクリーニング店に依頼する、その他洗濯を原告の妹に依頼するなど、家事に支障が生じている状態である。 かかる原告の家事労働に関する労働能力喪失率は、80%とみるべきである。 また、労働能力喪失期間は5年間とみるべきである。 上記のとおり原告の症状固定日は平成15年10月6日であるが、同日から 5年間の原告の逸失利益は、352万2400円×労働能力喪失率80%×4.3294(5年間のライプニッツ係数)=1219万9902円である。 入通院慰謝料300万0000円( )原告は本件手術の日である平成13年6月20日から同年8月9日まで51日間にわたり医療センターに入院し、同日から症状固定日である平成15年10月6日まで423日間にわたり通院した。なお、平成13年12月10日から21日までの12日間、及び平成14年8月26日から同月30日までの5日間は検査のためM病院に入院した。 このように原告は本件手術により長期に渡り入通院を余儀なくされたものであり、その精神的苦痛を慰謝するに足る金員は金300万円を下らないものである。 後遺症慰謝料5000万0000円( )原告は本件手術により一時期耐糖能障害が出現し、経口血糖降下剤の内服が必要であったが、膵機能回復に伴い現在はほぼ良好な血糖コントロール状態にある。しかし、膵外分泌機能の低下による消化機 0円( )原告は本件手術により一時期耐糖能障害が出現し、経口血糖降下剤の内服が必要であったが、膵機能回復に伴い現在はほぼ良好な血糖コントロール状態にある。しかし、膵外分泌機能の低下による消化機能障害は残っており、それによると思われる下痢を認め、体重は手術前より10キログラムほど減少したままである。また、突然便意を催したり、時にふらつきを自覚するため、外出、音楽活動に自身が持てず、移動及び活動が制限されており随時介助を必要とする状態である。 さらに、本件手術が原因となり、将来的に起こりうる病態として、膵頭部切除に起因する膵機能低下によって起こる糖尿病、消化機能障害の増悪、胆道路変更に起因する胆道系感染症、及び術後癒着性腸閉塞が考えられると診断され ている。 特に、原告は声楽家として活躍し、北九州市民文化賞を受賞したり、世界的に活躍するソプラノ歌手であるN氏を指導したり「C」主宰として北九州市、の音楽文化の向上に貢献するなどしてきたが、上記の状態で音楽活動が制限されたことによる精神的苦痛は計り知れないものである。 また、原告は音楽活動の他に、海外の美術館を見たり、音楽会を鑑賞することが趣味であったが、上記の状態であり海外はもちろん、国内における移動も困難になり、老後の楽しみが奪われる形となった。 かかる原告の後遺障害により受けた精神的苦痛を慰謝するに足る金員は、金5000万円を下らない。 その他の慰謝料1億2259万8171円( ) 本件の誤診に基づく不必要な手術の実施の他、上記の通り原告の承諾なくして肝動脈の切除・再建が行われたこと、手術後高熱が異常に長く続き、不要な苦しみを与えられたこと、長期の投薬により歯が劣化したこと、等により原告が受けた精神的苦痛を慰謝するに足る金員は、金1億3000万円を下らない(本件ではその こと、手術後高熱が異常に長く続き、不要な苦しみを与えられたこと、長期の投薬により歯が劣化したこと、等により原告が受けた精神的苦痛を慰謝するに足る金員は、金1億3000万円を下らない(本件ではそのうち金1億2259万8171円を請求する。 )弁護士費用金2000万0000円( ) 原告は、被告らが任意に損害賠償金を支払わないため、原告訴訟代理人に本訴の提起遂行を委任し、その費用及び報酬として合計金2000万円を支払うことを約した。 ()被告らの主張争う。 以上

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