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令和6 年9 月26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5 年(ワ)第70407 号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6 年7 月9 日判決 原告 FutureTechnology 株式会社 同訴訟代理人弁護士高橋雄一郎同阿部実佑季同訴訟復代理人弁護士金森毅 同訴訟復代理人弁理士望月尚子 被告フィリップ・モリス・ジャパン合同会社 同訴訟代理人弁護士古城春実同堀籠佳典同平井佑希同補佐人弁理士須田洋之同岩上健 主文 1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする。事実 及び理由第1 請求 被告は、原告に対し、1000 万円及びこれに対する令和5 年7 月20 日から支払 済みまで年3%の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は、発明の名称を「電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジ」とする発明の特許(以下「本件特許」といい、本件特許に係る発明を「本件特許発明」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別 紙物件目録記載の各製品(以下、併せて「被告製品」という。)の充 下「本件特許」といい、本件特許に係る発明を「本件特許発明」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別 紙物件目録記載の各製品(以下、併せて「被告製品」という。)の充填物は本件特許発明の技術的範囲に属することから、被告による被告製品の輸入、販売等は本件特許権の侵害に当たると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、総額400億円の損害の一部請求として1000 万円の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和5 年7 月20 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は、当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により容易に認められる。なお、書証の番号は特に断らない限り枝番号を含む(以下同じ。 して、被告に対し、不法行為に基づき、総額400億円の損害の一部請求として1000 万円の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和5 年7 月20 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は、当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により容易に認められる。なお、書証の番号は特に断らない限り枝番号を含む(以下同じ。)。)(1) 当事者 ア原告は、雑貨商品(ノンニコチンスティック等)の企画、製造、販売に関する事業等を行う株式会社である。イ被告は、たばこの輸入及び販売、日本で販売されるたばこに関する連絡業務、市場開発、広告宣伝業及び広告物制作業務並びに販売促進業務等を行う合同会社である。(2) 本件特許権及び本件特許発明原告は、次の特許権(本件特許権)を有している(以下、本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書」という。)。特許番号特許第6815560 号発明の名称電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジ 出願日平成31 年3 月27 日 優先日平成30 年3 月27 日(以下「本件優先日」という。)登録日令和2 年12 月24 日特許請求の範囲(請求項1)「シート状部材を有して構成され、電子タバコの長手方向を第1 方向としたと 年3 月27 日(以下「本件優先日」という。)登録日令和2 年12 月24 日特許請求の範囲(請求項1)「シート状部材を有して構成され、電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材に前記 第1 方向に沿って切込みが形成され、前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されている電子タバコ用充填物。」(3) 本件特許発明の構成要件の分説A シート状部材を有して構成され、 B 電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材に前記第 1 方向に沿って切込みが形成され、C 前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されているD 電子タバコ用充填物。(4) 本件特許に係る訂正審判請求等ア原告は、令和6 年2 月26 日付け審判請求書(甲17)により、本件特許の特許請求の範囲の記載を訂正する旨の訂正審判を請求した(以下、同訂正審判請求において原告の求める訂正を「本件訂正」という。 状部材に前記第 1 方向に沿って切込みが形成され、C 前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されているD 電子タバコ用充填物。(4) 本件特許に係る訂正審判請求等ア原告は、令和6 年2 月26 日付け審判請求書(甲17)により、本件特許の特許請求の範囲の記載を訂正する旨の訂正審判を請求した(以下、同訂正審判請求において原告の求める訂正を「本件訂正」という。)。本件訂正後の発明(以下「本件訂正発明」という。)に係る特許請求の範囲 の請求項1 の記載は、次のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。「電子タバコの上流側の端部に配置された蓋に隣接する電子タバコ用充填物であって、シート状部材を有して構成され、前記電子タバコの長手方向を第 1 方向としたとき、前記シート状部材に前記第1 方向に沿って切込みが形成され、前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫 通しない深さで形成されている、電子タバコ用充填物。」 イ被告は、令和6 年4 月26 日付け審判請求書(乙27)により、本件特許について特許無効審判を請求し ート状部材を貫 通しない深さで形成されている、電子タバコ用充填物。」 イ被告は、令和6 年4 月26 日付け審判請求書(乙27)により、本件特許について特許無効審判を請求した。(5) 本件訂正発明の構成要件の分説A’ 電子タバコの上流側の端部に配置された蓋に隣接する電子タバコ用充填物であって、 A シート状部材を有して構成され、B’前記電子タバコの長手方向を第1方向としたとき、前記シート状部材に前記第1方向に沿って切込みが形成され、C+D 前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されている、電子タバコ用充填物。(6) 被告の行為等ア被告製品の輸入販売被告は、被告製品を輸入し、日本国内において販売している。被告製品は、フィリップモリス(たばこ製品等の製品開発、製造を担当するフィリップ・モリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム(スイス法人)及 びその関連会社(日本法人である被告を含む。)をいう。以下同じ。)の販売するスティック交換型タバコ加熱機「IQOSILUMA」に挿入して用いられる専用のタバコスティックである。(甲9、乙1、弁論の全趣旨)イ被告製品の構成被告製品の構成については、「蓋」(被告製品のプラグ要素)が電子タバコ リス(たばこ製品等の製品開発、製造を担当するフィリップ・モリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム(スイス法人)及 びその関連会社(日本法人である被告を含む。)をいう。以下同じ。)の販売するスティック交換型タバコ加熱機「IQOSILUMA」に挿入して用いられる専用のタバコスティックである。(甲9、乙1、弁論の全趣旨)イ被告製品の構成被告製品の構成については、「蓋」(被告製品のプラグ要素)が電子タバコ (IQOS)の「上流側の端部に配置」されているか否か、「切込み」の有無及び切込みがシート状エアロゾル形成タバコ基体を「貫通しない深さ」で形成されているか否かの点を除き、当事者間に争いがない。2 争点(1) 被告製品の本件特許発明の技術的範囲への属否(争点1) ア構成要件B の充足性(争点1-1) 「切込み」の有無イ構成要件C の充足性(争点1-2) (1) 被告製品の本件特許発明の技術的範囲への属否(争点1) ア構成要件B の充足性(争点1-1) 「切込み」の有無イ構成要件C の充足性(争点1-2)「切込み」の「シート状部材を貫通しない深さ」での形成の有無(2) 無効理由の有無(争点2)ア 「切込み」(構成要件B)につき被告の解釈を前提とする場合 (ア) 無効理由1乙5 発明に基づく進歩性欠如(争点2-1)(イ) 無効理由2乙7 発明に基づく進歩性欠如(争点2-2)イ 「切込み」につき原告の解釈を前提とする場合 (ア) 無効理由3乙5 発明に基づく新規性又は進歩性欠如(争点2-3)(イ) 無効理由4乙7 発明に基づく新規性又は進歩性欠如(争点2-4)(ウ) 無効理由5 本件公然実施品発明に基づく新規性欠如(争点2-5)(3) 訂正の再抗弁の成否(争点3)ア被告製品の本件訂正発明の技術的範囲への属否(争点3-1)イ訂正の適法性(ア) 新規事項の追加禁止要件の充足性(争点3-2) (イ) 独立特許要件の充足性(無効理由6、7。争点3-3)(4) 先使用権の成否(争点4)(5) 原告の損害(争点5) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(構成要件B の充足性) (原告の主張) ア被告製品の充填物であるタバコ基体は長さ11.85mm の長方形シートであり、別紙写真目録の写真1 及び2 は、これを拡大した写真である。写真1 及び2 の左右方向が電子タバコの長手方向であり、これを第1 方向としたとき、被告製品の長方形シートには、第1 方向に沿って約0.56mm の間隔で切込みが形成されている。 争点に関する当事者の主張(1) 争点1-1(構成要件B の充足性) (原告の主張) ア被告製品の充填物であるタバコ基体は長さ11.85mm の長方形シートであり、別紙写真目録の写真1 及び2 は、これを拡大した写真である。写真1 及び2 の左右方向が電子タバコの長手方向であり、これを第1 方向としたとき、被告製品の長方形シートには、第1 方向に沿って約0.56mm の間隔で切込みが形成されている。イ以下の理由から び2 の左右方向が電子タバコの長手方向であり、これを第1 方向としたとき、被告製品の長方形シートには、第1 方向に沿って約0.56mm の間隔で切込みが形成されている。イ以下の理由から、本件特許発明の「切込み」(構成要件B)は、物の一部として裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしているところ(状態)を意味し、カッター等の刃物をある深さまで入れ込むことにより形成されるものに限定されず、シートの変形に起因して、窪みや裂け目として形成されたものも排除されない。(ア) 「切込み」の辞書的な意味として、「物の一部分だけに深く切り目を入れること。」というものがある。「切り目」とは「裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしている所。続いて並んでいたり、連続したりしているものが途絶える所。」との意味を有する。したがって、「切込み」は、物の一部分だけに形成された、裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込ま れたりしているところ(状態)を意味するものであり、辞書に記載された意味を参酌しても、刃物で形成されたものに限られない。(イ) 本件特許発明は、「切込み」の長さ・間隔・形状・深さ・シートにおける位置や配置・深さ等について規定しておらず、「貫通しない深さ」であることしか規定されていない。「切込み」は、刃物でなければ制御できないと いうことはない。また、本件特許発明における「切込み」の効果は、「充填物の落下を防止することができ、…切込み部が気流方向を誘導する空気の均一な通路となり、吸い心地を安定させる。」というものであるところ、このような効果は、刃物で形成した「切込み」の形状でないと奏しないということもない。さらに、「切込み」と捲縮は、捲縮されたものであれば「切 込み」は存在しないというような排反の関 あるところ、このような効果は、刃物で形成した「切込み」の形状でないと奏しないということもない。 落下を防止することができ、…切込み部が気流方向を誘導する空気の均一な通路となり、吸い心地を安定させる。」というものであるところ、このような効果は、刃物で形成した「切込み」の形状でないと奏しないということもない。さらに、「切込み」と捲縮は、捲縮されたものであれば「切 込み」は存在しないというような排反の関 あるところ、このような効果は、刃物で形成した「切込み」の形状でないと奏しないということもない。さらに、「切込み」と捲縮は、捲縮されたものであれば「切 込み」は存在しないというような排反の関係ではない。(ウ) 原告は、令和2 年11 月11 日付け意見書(乙12。以下「本件意見書」という。)において、「切込み」につき、カッターによって形成されたものに限定する趣旨の主張は行っておらず、捲縮工程(クリンピング)において生じるシートの裂け目、開口、変形等とは異なるとの主張も行っていない。ウ被告主催の平成31 年1 月28 日付けIQOS 製品戦略説明会に関する記事(甲12。以下「本件説明会記事」という。)によれば、被告は、平成30 年月22 日発売の新製品において、タバコシートを貫通しない切り込みを積極的に入れたタバコシートを使用していたことが判明した。エ捲縮加工は、リッジ又はコルゲージョンを形成するが、別途、「切込み」も 形成し得る。被告製品のタバコシートに形成されている、長手方向に沿った複数の筋状のものは、捲縮工程において、対向する凹凸を持ったローラが当たることで形成されたものである。オ被告製品のうち「テリア」の製造方法につきフィリップモリスのウェブサイト上で公開されているドイツ語の記事(甲20。以下「本件テリア記事」と いう。)によれば、その製造工程においては、捲縮加工の代わりに、タバコシートに刻み目を入れることにより切り込みが形成されている。カ以上のとおり、被告製品の充填物であるタバコ基体(長方形シート)には、捲縮工程又はこれに代えて刻み目を入れる工程により形成された切り込みが存在し、この切り込みは本件特許発明の「切込み」(構成要件B)に該当す る。したがって あるタバコ基体(長方形シート)には、捲縮工程又はこれに代えて刻み目を入れる工程により形成された切り込みが存在し、この切り込みは本件特許発明の「切込み」(構成要件B)に該当す る。したがって、被告製品の充填物は構成要件B を充足する。 シート)には、捲縮工程又はこれに代えて刻み目を入れる工程により形成された切り込みが存在し、この切り込みは本件特許発明の「切込み」(構成要件B)に該当す る。したがって あるタバコ基体(長方形シート)には、捲縮工程又はこれに代えて刻み目を入れる工程により形成された切り込みが存在し、この切り込みは本件特許発明の「切込み」(構成要件B)に該当す る。したがって、被告製品の充填物は構成要件B を充足する。(被告の主張)ア以下の理由から、本件特許発明における「切込み」とは、カッター等の刃物をある深さまで入れ込むことにより形成される切れ目を意味し、成形ローラーを用いた捲縮加工(クリンピング)によるシートの変形に起因して生じ る窪みや裂け目などとは区別される。(ア) 辞書的な意味における「切込み」とは、刃物を用いて物の表面を切ることにより形成された部分を指す。(イ) 本件明細書には、「切込み」が、カッターやカミソリ等の刃物を用いて形成されることが記載されており、それ以外の方法によって「切込み」を形成することについては何ら開示がない。また、本件明細書には、一枚の シートに形成する個々の「切込み」の間隔や長さは選択できること、一枚のシートに入れる「切込み」の長さ、位置、間隔、深さ、配置パターン、表裏どちらの面に形成するか等々について、様々な選択が可能であることが示されている。このような「切込み」が、「しわ付け」や「ひだ付け」、又はシートを「実質的に平行な波型を有するように捲縮」したものから明 確に区別されることは、本件明細書中で「切込み」がシートの皺づけや捲縮とは別個に説明されていることからもうかがわれる。(ウ) 原告は、本件特許出願に対する令和2 年10 月5 日付け拒絶理由通知(以下「本件拒絶理由通知」という。)を受け、同年11 月11 日付け補正により、請求項1 に「前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記 シート状部材を貫通しない深さで形成 拒絶理由通知(以下「本件拒絶理由通知」という。)を受け、同年11 月11 日付け補正により、請求項1 に「前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記 シート状部材を貫通しない深さで形成されている」との限定を付加すると共に、本件意見書において、本件特許発明の「切込み」は「シートをカッター等により切断して形成され」、「シート状部材に含有される繊維なども切断される」もので、本件拒絶理由通知記載の引用文献1~3 に示された捲縮ローラによる「窪み、リッジ、コルゲーション等」とは異なると主張 、請求項1 に「前記切込みは、前記シート状部材の一の表面に前記 シート状部材を貫通しない深さで形成されている」との限定を付加すると共に、本件意見書において、本件特許発明の「切込み」は「シートをカッター等により切断して形成され」、「シート状部材に含有される繊維なども切断される」もので、本件拒絶理由通知記載の引用文献1~3 に示された捲縮ローラによる「窪み、リッジ、コルゲーション等」とは異なると主張 した。イ原告が「切込み」であると主張する、被告製品のタバコ基体の写真において観察される長手方向の3 本の線は、刃物で「切る」ことにより形成されたものではなく、タバコ基体となるキャストタバコ(タバコシート)を捲縮加工し、これを集束してタバコロッドに成形される過程で、リブ/窪みに沿っ て生じた「割れ目」ないし「裂け目」である。ウ本件説明会記事は、説明会に出席したライターが、新製品として紹介されたタバコスティック「HEETS」について理解した内容を執筆した記事であって、被告製品の製造方法について使用されている用語は技術的に正確なものではない。また、被告製品の製造工程における捲縮加工は、対向するローラーを通すことでシートの両面側から変形を加えて並列する多数のリッジ (畔)を形成する工程であるところ、同記事中の「切り込み加工後のたばこシート」と題する画像に写されたタバコシートは、このような捲縮加工により複数のリッジが形成された形状のものである。エ本件テリア記事では、捲縮加工されたタバコシートを表す説明が「Vorgekerbte」というドイツ語表現になっているに過ぎない。「Vorgekerbte」 は、 れた形状のものである。エ本件テリア記事では、捲縮加工されたタバコシートを表す説明が「Vorgekerbte」というドイツ語表現になっているに過ぎない。「Vorgekerbte」 は、漏斗に投入されるキャストリーフが、予め「折り線と同様のパターンが与えられ」ていること、すなわち、キャストリーフが捲縮加工されたものであることを指している。オ以上より、被告製品には本件特許発明の「切込み」は形成されていないから、被告製品は、本件特許発明の構成要件B を充足しない。(2) 争点1-2(構成要件C の充足性)(原告の主張)被告製品の充填物であるタバコ基体の写真(別紙写真目録の写真1 及び2)で観察される長手方向に延びる3 本の線は、裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしているところ(状態)であって、貫通していない部分を有す いる。オ以上より、被告製品には本件特許発明の「切込み」は形成されていないから、被告製品は、本件特許発明の構成要件B を充足しない。(2) 争点1-2(構成要件C の充足性)(原告の主張)被告製品の充填物であるタバコ基体の写真(別紙写真目録の写真1 及び2)で観察される長手方向に延びる3 本の線は、裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしているところ(状態)であって、貫通していない部分を有す る。したがって、被告製品の充填物は、「貫通しない深さ」からなる「切込み」を有し、本件特許発明の構成要件C を充足する。(被告の主張)被告製品のタバコ基体の裂け目は、本件拒絶理由通知の引用文献2 の裂け目及び開口31 と同様に、シートを貫通している。そうすると、被告製品のタバ コ基体の形状は、上記文献に示されたものと同じといえる。このため、本件特 許発明が上記文献と異なるものであるという本件意見書における原告の主張を前提とするなら、被告製品は本件特許発明の構成要件C を充足しない。(3) 争点2-1(乙5 発明に基づく進歩性欠如)(被告の主張)ア乙5 発明 特表2014-515274 号公報(乙5。以下「乙5 文献」という。)には、以下の発明(以下「乙5 発明」という。)が開示されているといえる。a1 均質化タバコ材 ア乙5 発明 特表2014-515274 号公報(乙5。以下「乙5 文献」という。)には、以下の発明(以下「乙5 発明」という。)が開示されているといえる。a1 均質化タバコ材料シートを有して構成され、b1 加熱式喫煙物品の長手方向を第1 方向としたとき、前記均質化タバコ材料シートに前記第1 方向に沿ってリッジ又はコルゲーションが形 成され、c1 前記リッジ又はコルゲーションは、前記均質化タバコ材料シート上に形成されているd1 加熱式喫煙物品用充填物。イ本件特許発明と乙5 発明の対比 (ア) 一致点シート状部材を有して構成され、電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の表面に前記第1 方向に沿って加工がされている電子タバコ用充填物である点。(イ) 相違点 シート状部材に施される加工に関し、本件特許発明においては、シート状部材を貫通しない深さで切込みが形成されているのに対し、乙5 発明においては、リッジ又はコルゲーションが形成されているが、「シート状部材を貫通しない深さで形成される切込み」についての記載が存在しない点。 方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の表面に前記第1 方向に沿って加工がされている電子タバコ用充填物である点。(イ) 相違点 シート状部材に施される加工に関し、本件特許発明においては、シート状部材を貫通しない深さで切込みが形成されているのに対し、乙5 発明においては、リッジ又はコルゲーションが形成されているが、「シート状部材を貫通しない深さで形成される切込み」についての記載が存在しない点。ウ相違点の容易想到性 乙5 文献には均質化タバコ材料シートに様々な加工をすること、加工の目 的は、けん縮ローラで均質化タバコ材料シートにタバコスティック(ロッド)の長手方向に沿って複数のリッジ又はコルゲーションをつけることで、その下流側の収束ファンネルにおいて、均質化タバコ材料シートをリッジ又はコルゲーションに沿って折り畳み、円筒形のロッドに形成することが容易になるという点にあることが記載されている。シート状の部材の折り畳みを容易にするために、カッターやハサミ等の刃物を用いてシートの厚みを 沿って折り畳み、円筒形のロッドに形成することが容易になるという点にあることが記載されている。シート状の部材の折り畳みを容易にするために、カッターやハサミ等の刃物を用いてシートの厚みを貫通しない程度の切込みを入れることは、一般常識ともいえる常とう手段である。したがって、乙5 発明にこのような一般常識を適用することは、当業者であれば格別の創作力を要することなく、容易になし得る。エ小括以上から、本件特許発明は、乙5 発明に基づいて当業者が容易に想到することのできたものである。したがって、本件特許は、特許法29 条2 項に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法123 条1 項2 号)、原告は、被告に対し、本件特許権を行使できない(同法104 条の3 第 1 項)。(原告の主張)アタバコシートの折り畳みを容易にするために、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成することが一般常識ともいえる 常とう手段であることの立証はない。イ本件特許発明において、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」は、吸い心地の改善の観点から形成されるものである。これに対し、乙5 発明においては、ギャザー付けされたタバコ材料シートの幅の調整で吸い心地の改善を実現しており、ここには「切込み」の技術思想は存在 ト状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成することが一般常識ともいえる 常とう手段であることの立証はない。イ本件特許発明において、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」は、吸い心地の改善の観点から形成されるものである。これに対し、乙5 発明においては、ギャザー付けされたタバコ材料シートの幅の調整で吸い心地の改善を実現しており、ここには「切込み」の技術思想は存在 しない。このため、乙5 発明において、「シート状部材を貫通しない深さで 形成されている」「切込み」を形成する動機付けがあるとはいえない。ウしたがって、当業者といえども、乙5 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(4) 争点2-2(乙7 発明に基づく進歩性欠如)(被告の主張) 動機付けがあるとはいえない。ウしたがって、当業者といえども、乙5 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(4) 争点2-2(乙7 発明に基づく進歩性欠如)(被告の主張) ア乙7 発明特表2017-524368 号公報(乙7。以下「乙7 文献」という。)には、以下の発明(以下「乙7 発明」という。)が開示されているといえる。a2 均質化したたばこ材料連続シートを有して構成され、b2 加熱式エアロゾル発生物品の長手方向を第1 方向としたとき、前記連 続シートに前記第1 方向に沿って虚弱線が形成され、c2 前記虚弱線は、前記連続シート上に形成されているd2 加熱式エアロゾル発生物品用充填物。イ本件特許発明と乙7 発明の対比(ア) 一致点 シート状部材を有して構成され、シート状部材が、加工を施されている電子タバコ用充填物である点。(イ) 相違点シート状部材に施される加工に関し、本件特許発明においては、電子タバコの長手方向に沿ってシート状部材の一の表面にシート状部材を貫通 しない深さで切込みが形成されているのに対し、乙7 発明においては、シート状部材上に長手方向に沿って虚弱線が形成されている点。ウ相違点の容易想到性乙7 文献には、先細の漏斗の箇所でのシートの折り畳みを促進するために、連続シートに溝付け、折り目付け、折り畳み、きめ、エンボス加工などを施 して、「集合を促進するための虚弱線」を形成することが開示されている。こ のような加工の目的は、シートをロッドに形成する際のシートの集合を容易にすることにある(集合は、シートが、巻き込まれ、折り畳まれ、又は他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮又は収縮されて 先細の漏斗の箇所でのシートの折り畳みを促進するために、連続シートに溝付け、折り目付け、折り畳み、きめ、エンボス加工などを施 して、「集合を促進するための虚弱線」を形成することが開示されている。こ のような加工の目的は、シートをロッドに形成する際のシートの集合を容易にすることにある(集合は、シートが、巻き込まれ、折り畳まれ、又は他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮又は収縮されて な加工の目的は、シートをロッドに形成する際のシートの集合を容易にすることにある(集合は、シートが、巻き込まれ、折り畳まれ、又は他の方法でロッドの円筒軸方向に対して実質的に横方向に圧縮又は収縮されていることを意味する。)。シート状部材を折り畳んで圧縮しロッドに形成することを容易にするた めに、カッターやハサミ等の刃物を用いて、シートの厚みを貫通しない程度の切込みを入れてシート状の部材の折り畳みを容易にすることは、一般常識ともいえる常とう手段である。乙7 発明の虚弱線を形成する方法の一態様として、このような一般常識を適用することは、当業者であれば格別の創作力を要することなく、容易になし得る。エ小括以上から、本件特許発明は、乙7 発明に基づいて当業者が容易に想到することのできたものである。したがって、本件特許は、特許法29 条2 項に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから、原告は、被告に対し、 本件特許権を行使できない。(原告の主張)アシート状部材を折り畳んで圧縮しロッドに形成することを容易にするために、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成することが一般常識ともいえる常とう手段であることの立証はない。イ本件特許発明において、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」は、吸い心地の改善の観点から形成されるものである。これに対し、乙7 発明においては、吸い心地に関係するチャネルのサイズは捲縮の深さ又は振幅で調整されるものであり、ここには「切込み」を形成するという技術思想は存在しない。このため、乙7 発明においては、「シート状部材 を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成するという動機付 整されるものであり、ここには「切込み」を形成するという技術思想は存在しない。このため、乙7 発明においては、「シート状部材 し、乙7 発明においては、吸い心地に関係するチャネルのサイズは捲縮の深さ又は振幅で調整されるものであり、ここには「切込み」を形成するという技術思想は存在しない。このため、乙7 発明においては、「シート状部材 を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成するという動機付 整されるものであり、ここには「切込み」を形成するという技術思想は存在しない。このため、乙7 発明においては、「シート状部材 を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成するという動機付け があるとはいえない。ウしたがって、当業者といえども、乙7 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(5) 争点2-3(乙5 発明に基づく新規性又は進歩性欠如)(被告の主張) 本件特許発明の「切込み」が刃物で切ることにより形成されるものに限定されず、捲縮加工(クリンピング)等に起因して、ロッドとなるように集合されたシート状部材の脆弱部分に発生する割れ目、裂け目、窪み等を含むものと解釈される場合、「切込み」の点は、本件特許発明と乙5 発明との相違点とはならない。このため、本件特許発明と乙5 発明の間には相違点がなく、本件特許 発明は新規性を欠く。仮に何らかの形式的な相違点があったとしても、本件特許発明は、少なくとも進歩性を欠く。したがって、本件特許は、特許法29 条1 項3 号又は同条2 項に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから、原告は、被告に対し、本件特許権を行使できない。(原告の主張)乙5 発明に係るタバコシートが割れ目、裂け目、窪み等を有することの裏付けはない。また、「シート状部材を貫通しない深さで形成される切込み」を形成することは、一般常識ともいえる常とう手段ではなく、さらに、乙5 発明にこのよう な構成を設ける動機付けもない。したがって、当業者といえども、乙5 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(6) 争点2-4(乙7 発明に基づく新規性又は進歩性欠如)(被告の主張) 付けもない。したがって、当業者といえども、乙5 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(6) 争点2-4(乙7 発明に基づく新規性又は進歩性欠如)(被告の主張) 本件特許発明の「切込み」が刃物で切ることにより形成されるものに限定さ れず、ロッドとなるように集合されたシート状部材に生じた割れ目、裂け目、窪み等を含むものと解釈される場合、「切込み」の点は相違点とはならない。 被告の主張) 付けもない。したがって、当業者といえども、乙5 発明に基づいて本件特許発明に想到することはできない。(6) 争点2-4(乙7 発明に基づく新規性又は進歩性欠如)(被告の主張) 本件特許発明の「切込み」が刃物で切ることにより形成されるものに限定さ れず、ロッドとなるように集合されたシート状部材に生じた割れ目、裂け目、窪み等を含むものと解釈される場合、「切込み」の点は相違点とはならない。このため、本件特許発明と乙7 発明の間には相違点がなく、本件特許発明は新規性を欠く。仮に何らかの形式的な相違点があったとしても、本件特許発明は、少なくとも進歩性を欠く。したがって、本件特許は、特許法29 条1 項3 号又は同条2 項に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから、原告は、被告に対し、本件特許権を行使できない。(原告の主張)乙7 発明に係るタバコシートが割れ目、裂け目、窪み等を有することの裏付 けはない。また、「シート状部材を貫通しない深さで形成されている」「切込み」を形成することは、一般常識ともいえる常とう手段ではなく、さらに、乙7 発明にこのような構成を設ける動機付けもない。したがって、当業者といえども、乙7 発明に基づいて本件特許発明に想 到することはできない。(7) 争点2-5(本件公然実施品発明に基づく新規性欠如)(被告の主張)ア公然実施の事実及び公然実施品発明の構成フィリップモリスは、本件優先日前である平成26 年に、日本を含む世界 各国でIQOS 用タバコスティック「Marlboro」(以下「本件公然実施品」という。)を販売した。本件公然実施品に係る発明(以下「本件公然実施品発 る平成26 年に、日本を含む世界 各国でIQOS 用タバコスティック「Marlboro」(以下「本件公然実施品」という。)を販売した。本件公然実施品に係る発明(以下「本件公然実施品発明」という。)は、以下の構成を備えているといえる。a5 シート状のタバコ基体を有して構成され、 b5 電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記連続シートに前記 第1 方向に沿って割れ目や裂け目が形成され、c5 前記割れ目や裂け目は、前記連続シート上に形成されているd5 IQOS 用タバコスティックの充填物。イ本件特許発明と本件公然実施品発明の対比本件公然実施品発明のシート状のタバコ基体はシート状の部材に当たる。 の構成を備えているといえる。a5 シート状のタバコ基体を有して構成され、 b5 電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記連続シートに前記 第1 方向に沿って割れ目や裂け目が形成され、c5 前記割れ目や裂け目は、前記連続シート上に形成されているd5 IQOS 用タバコスティックの充填物。イ本件特許発明と本件公然実施品発明の対比本件公然実施品発明のシート状のタバコ基体はシート状の部材に当たる。また、IQOS 用タバコスティックは電子タバコであり、これに使用される充填物は、電子タバコ用充填物に当たる。ここで、本件特許発明の「切込み」に、捲縮加工(クリンピング)等によって生ずるタバコシートの脆弱部分に発生する割れ目や裂け目が含まれるとすれば、本件公然実施品にも同様の割れ目や裂け目が生じていることから、 本件特許発明と本件公然実施品発明との間には、相違点がない。ウ小括以上から、本件特許発明は、本件公然実施品発明そのものであって、公然実施又は公然知られた発明であるから、新規性を欠く。したがって、本件特許は、特許法29 条1 項2 号に違反してされたもので あり、特許無効審判により無効にされるべきものであるから、原告は、被告に対し、本件特許権を行使できない。(原告の主張)本件公然実施品に係る分析対象品(以下「本件分析対象品」という。)は、製造日である平成28 年12 月29 日から7 年も経過したものであるところ、7 年 も経過すると (原告の主張)本件公然実施品に係る分析対象品(以下「本件分析対象品」という。)は、製造日である平成28 年12 月29 日から7 年も経過したものであるところ、7 年 も経過すると、タバコシートは酷く乾燥し、ロッド状からシート状に広げるときに割れ目や裂け目が生じる。このため、その分析結果は本件優先日前のタバコシートの状態を示すものではなく、公然実施の証拠になり得ない。また、本件分析対象品はテスト目的のための分析サンプルであって、フィリップモリス内に止め置かれ、外部に出ていく性質のものではないし、同サンプ ルが実際に市場で販売されたものと同じであるということはできない。したが って、本件分析対象品は公然実施品とはいえない。(8) 争点3-1(被告製品の本件訂正発明の技術的範囲への属否)(原告の主張)被告製品に係るたばこロッドの包装用部材を切り開いた図(写真)は、別紙写真目録の写真3 のとおりであり、被告製品の充填物は、「たばこロッドの上 に止め置かれ、外部に出ていく性質のものではないし、同サンプ ルが実際に市場で販売されたものと同じであるということはできない。したが って、本件分析対象品は公然実施品とはいえない。(8) 争点3-1(被告製品の本件訂正発明の技術的範囲への属否)(原告の主張)被告製品に係るたばこロッドの包装用部材を切り開いた図(写真)は、別紙写真目録の写真3 のとおりであり、被告製品の充填物は、「たばこロッドの上 流側の端部に配置された蓋部材に隣接するたばこロッド用充填物」といえる。これを本件訂正発明の構成要件A’と対比すると、被告製品の「たばこロッド」は、スティック交換型タバコ加熱機「IQOSILUMA」に挿入して用いるものであるから「電子タバコ」に該当する。また、被告製品の「蓋部材」は構成要件A’の「蓋」に該当する。したがって、被告製品の充填物は、本件訂正発明の構成要件A’を充足する。また、被告製品の充填物は、本件訂正発明のその余の構成要件をも充足する。したがって、被告製品は、本件訂正発明の技術的範囲に属する。(被告の主張)ア本件明細書の記載によれば、本件特許に係る「電子タバコ」は、「電子タバ コカートリッジ100」(ス する。したがって、被告製品は、本件訂正発明の技術的範囲に属する。(被告の主張)ア本件明細書の記載によれば、本件特許に係る「電子タバコ」は、「電子タバ コカートリッジ100」(スティック)と「電子タバコ本体200」(デバイス)からなるものである。本件訂正発明の構成要件A’を文字通り解釈すれば、本件訂正発明の「電子タバコ」に対応するのは、たばこスティックではなく、電子タバコ本体(IQOS デバイス)とカートリッジ(タバコスティック)が一体となったものである。そうすると、「蓋」(被告製品のプラグ要素)は、 上記一体となったものの上流側の端部に配置されていないから、構成要件A’を充足しない。イその余の構成要件については、訂正前の本件特許発明と同様の理由により非充足である。(9) 争点3-2(新規事項の追加禁止要件の充足性) (原告の主張) 本件訂正における訂正事項は、本件明細書の「また、実施例による電子タバコカートリッジ(100)において、エアロゾル形成基材(110)の上流側(10)に蓋を配置してもよい。これにより、電子タバコ用充填物の芳香の散逸を抑制することができるとともに、例えば電子タバコカートリッジ(100)を輸送する際、電子タバコ用充填物が電子タバコカートリッジ(100)から脱落するこ 加禁止要件の充足性) (原告の主張) 本件訂正における訂正事項は、本件明細書の「また、実施例による電子タバコカートリッジ(100)において、エアロゾル形成基材(110)の上流側(10)に蓋を配置してもよい。これにより、電子タバコ用充填物の芳香の散逸を抑制することができるとともに、例えば電子タバコカートリッジ(100)を輸送する際、電子タバコ用充填物が電子タバコカートリッジ(100)から脱落するこ とを防止可能である。」(【0132】)との記載及び【図8】(3)に基づくものである。したがって、本件訂正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものである。(被告の主張)原告が本件訂正の根拠として挙げる本件明細書の【0132】や【図8】(3)に は、(電子タバコ全体ではなく)電子タバコ「カートリッジ」の上流側の端部に蓋170 が配置される構 告の主張)原告が本件訂正の根拠として挙げる本件明細書の【0132】や【図8】(3)に は、(電子タバコ全体ではなく)電子タバコ「カートリッジ」の上流側の端部に蓋170 が配置される構成しか開示されておらず、「電子タバコ」の上流側の端部に蓋170 が配置されることは開示されていない。このため、本件訂正後のクレームを文字通り理解すれば、本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではなく、特許法 126 条5 項に違反する。(10) 争点3-3(独立特許要件の充足性)(原告の主張)ア本件訂正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。イ被告の主張について(ア) 乙23 発明を主引例とする無効理由(無効理由6)についてWO2017/153443(乙23 の1。以下「乙23 文献」という。)には、リッジ、コルゲーション、虚弱線が形成されることは記載がないことから、同文献記載の発明(以下「乙23 発明」という。)と本件訂正発明とは、以下 の点で相違する。「シート状部材に施される加工に関し、本件訂正発明においては、電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の第1 方向に沿ってシート状部材を貫通しない深さの切込みが形成されているのに対し、乙23 発明においては、「電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の第1 方向に沿っ」た「切込み」であって、 「乙23 発明」という。)と本件訂正発明とは、以下 の点で相違する。「シート状部材に施される加工に関し、本件訂正発明においては、電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の第1 方向に沿ってシート状部材を貫通しない深さの切込みが形成されているのに対し、乙23 発明においては、「電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の第1 方向に沿っ」た「切込み」であって、 「シート状部材を貫通しない深さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。」この相違点につき、タバコシートの捲縮により、タバコシートにリッジ、コルゲーション又は虚弱線を形成することは周知ではなく、捲縮した しない深さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。」この相違点につき、タバコシートの捲縮により、タバコシートにリッジ、コルゲーション又は虚弱線を形成することは周知ではなく、捲縮したタバコシートにリッジ又はコルゲーションを形成したら、必ず虚弱線が形成さ れるということはできない。また、タバコシートに「貫通しない深さ」の「切込み」を形成することは、当業者が容易に想到できない。以上より、乙23 発明と本件訂正発明との相違点は、本件訂正発明の進歩性を基礎付けるものであり、本件訂正発明には乙23 発明を主引例とする無効理由は存在しない。(イ) 乙5 発明を主引例とする無効理由及び乙7 発明を主引例とする無効理由(無効理由7)について乙5 発明及び乙7 発明には、乙23 文献のほか、WO2013/098410(乙 24 の1。以下「乙24 文献」という。)及びWO2013/098409(乙25 の1。以下「乙25 文献」という。)に記載のプラグを組み合わせることにつき阻 害理由がある。仮に、乙5 発明及び乙7 発明に乙23 文献~乙25 文献に各記載のプラグを組み合わせることができたとしても、「貫通しない深さ」の「切込み」がないという相違点を埋めることはできないため、当業者は本件訂正発明に容易に想到することはできない。したがって、本件訂正発明には、乙5 発明を主引例とする無効理由及び 乙7 発明を主引例とする無効理由は存在しない。(被告の主張)本件訂正発明の構成要件A’につき、タバコスティックの上流側の端部に蓋が配置されている構成を規定しているものと解した場合、本件訂正発明には、以下の無効理由があるから、本件訂正は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものと 本件訂正発明に容易に想到することはできない。したがって、本件訂正発明には、乙5 発明を主引例とする無効理由及び 乙7 発明を主引例とする無効理由は存在しない。(被告の主張)本件訂正発明の構成要件A’につき、タバコスティックの上流側の端部に蓋が配置されている構成を規定しているものと解した場合、本件訂正発明には、以下の無効理由があるから、本件訂正は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものと 、タバコスティックの上流側の端部に蓋が配置されている構成を規定しているものと解した場合、本件訂正発明には、以下の無効理由があるから、本件訂正は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものとはいえない。ア乙23 発明を主引例とする無効理由(無効理由6)(ア) 乙23 発明a6 エアロゾル発生物品の上流側の端部に配置されたプラグ要素に隣接する、エアロゾル発生物品用充填物であるエアロゾル形成基体であって、b6 均質化したたばこ材料の捲縮したシートで構成され、 c6 電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の表面に前記第1 方向に沿って捲縮によるリッジ又はコルゲーションあるいは虚弱線が形成されている、d6 エアロゾル発生物品用充填物。(イ) 本件訂正発明と乙23 発明の対比 a 一致点電子タバコカートリッジ[エアロゾル発生物品]の上流側の端部に配置された蓋[プラグ要素]に隣接する電子タバコ用充填物[エアロゾル形成基体]であって、シート状部材[捲縮したシート]を有して構成され、電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材の 表面に前記第1 方向に沿って加工がされている電子タバコ用充填物[エアロゾル形成基体]。b 相違点シート状部材に施される加工に関し、本件訂正発明においては、シート状部材を貫通しない深さの切込みが形成されているのに対し、乙23 発明においてはリッジ、コルゲーション又は虚弱線が形成されているが、 「シート状部材を貫通しない深さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。(ウ) 相違点について本件訂正発明と乙23 発明との相違点は、本件特許発明と乙5 発明及び乙7 発明との相違点と同 材を貫通しない深さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。(ウ) 相違点について本件訂正発明と乙23 発明との相違点は、本件特許発明と乙5 発明及び乙7 発明との相違点と同一であるから、これらと同様の理由から、本件訂 さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。(ウ) 相違点について本件訂正発明と乙23 発明との相違点は、本件特許発明と乙5 発明及び乙7 発明との相違点と同 材を貫通しない深さで形成される切込み」については記載が存在しないこと。(ウ) 相違点について本件訂正発明と乙23 発明との相違点は、本件特許発明と乙5 発明及び乙7 発明との相違点と同一であるから、これらと同様の理由から、本件訂 正発明は進歩性を欠き(本件特許発明及び本件訂正発明の「切込み」がシートの裂け目や割れ目とは異なるという解釈を前提とした場合)、又は、新規性若しくは進歩性を欠く(「切込み」がシートの裂け目や割れ目を含むという解釈を前提とした場合)。仮に、乙23 文献には、エアロゾル形成基体が均質化したたばこ材料の 捲縮したたばこシートの集合体であることは記載されていても、リッジ、コルゲーション又は虚弱線が形成されていることが明記されていないとして、この点を実質的な相違点と見たとしても、タバコシートの捲縮・集束によりタバコシートにリッジ、コルゲーション又は虚弱線を形成することは、乙5 文献及び乙7 文献等に記載された周知の事項であり、乙23 発 明にこの周知の事項を適用して本件訂正発明の構成とすることは容易である。さらに、仮に、乙23 に「切込み」の点が記載されていないことをもって相違点と見たとしても、タバコシートをロッド状に形成する際の折り畳みを容易にするためにシートに切込みを入れる程度のことは、常識の適用に過ぎないから、容易に想到し得る。(エ) 小括したがって、本件訂正発明と乙23 発明との相違点は実質的なものとはいえず(新規性欠如)、仮にそうでないとしても、少なくとも、本件訂正発明は、乙23 発明に基づいて当業者が容易に想到することのできたものであり、進歩性を欠く。イ乙5 発明を主引例とする無効理由及び乙7 発明を主引例とする無効理由 (合 発明は、乙23 発明に基づいて当業者が容易に想到することのできたものであり、進歩性を欠く。イ乙5 発明を主引例とする無効理由及び乙7 発明を主引例とする無効理由 (合わせて、無効理由7)本件訂正発明は、本件特許発明に「電子タバコの上流側の端部に配置された蓋に隣接する電子タバコ用充填物であって」との構成(構成要件A’)を付加するものである。しかし、乙24 文献及び乙25 文献には、構成要件A’に相当する構成(電気加熱式の喫煙物品におけるエアロゾル形成基材の遠位端 のであり、進歩性を欠く。イ乙5 発明を主引例とする無効理由及び乙7 発明を主引例とする無効理由 (合わせて、無効理由7)本件訂正発明は、本件特許発明に「電子タバコの上流側の端部に配置された蓋に隣接する電子タバコ用充填物であって」との構成(構成要件A’)を付加するものである。しかし、乙24 文献及び乙25 文献には、構成要件A’に相当する構成(電気加熱式の喫煙物品におけるエアロゾル形成基材の遠位端 (上流側の端部)にプラグを形成した構成)が開示されている。乙24 文献や乙25 文献に接した当業者にとって、乙5 発明や乙7 発明において、エアロゾル形成基体がむき出しとなっていることにより、「取り扱い中又は出荷中にロッドの遠位端からエアロゾル形成基材が放出する」おそれがあることは容易に認識できることであるから、乙5 発明や乙7 発明に乙 24 記載事項や乙25 記載事項を適用して、乙23 文献~乙25 文献の「プラグ」(本件訂正発明の「蓋」に相当するもの)に係る構成とすることは、当業者が極めて容易に想到することである。また、乙23 文献の記載によれば、乙5 発明や乙7 発明において、遠位端の保護又は審美美観上の観点等から、エアロゾル形成基基材の上流側に蓋 (カバー)を設けることは、乙23 文献記載の「プラグ」の構成又は周知技術又は設計的事項を適用することにより、当業者にとって容易に想到できたことである。以上より、本件訂正発明は進歩性を欠く。(11) 争点4(先使用権の成否) (被告の主張)被告は、本件優先日前から、本件公然実施品(IQOS 用タバコスティック「Marlboro」)の日 件訂正発明は進歩性を欠く。(11) 争点4(先使用権の成否) (被告の主張)被告は、本件優先日前から、本件公然実施品(IQOS 用タバコスティック「Marlboro」)の日本国内での販売及び販売の申出の事業を行っているところ、被告製品の構成は、本件公然実施品から実質的に変更されていない。仮に、本件特許発明の「切込み」につき原告の解釈による場合、本件公然実 施品発明は本件特許発明そのものであることになるから、被告は、本件優先日 前に現に日本国内において本件特許発明の実施である事業をしていたことになる。また、本件公然実施品は、本件特許発明の内容を知らないで、フィリップモリスにおいて独自に開発し、製造されたものである。 ころ、被告製品の構成は、本件公然実施品から実質的に変更されていない。仮に、本件特許発明の「切込み」につき原告の解釈による場合、本件公然実 施品発明は本件特許発明そのものであることになるから、被告は、本件優先日 前に現に日本国内において本件特許発明の実施である事業をしていたことになる。また、本件公然実施品は、本件特許発明の内容を知らないで、フィリップモリスにおいて独自に開発し、製造されたものである。そうすると、被告製品が本件特許発明の技術的範囲に含まれるのであれば、被告は、被告製品の販売等につき先使用権を有する。(原告の主張)たばこロッドを無理に広げることで得られた本件分析対象品の分析結果は、本件優先日前のタバコシートの状態を示すものではない。また、令和5 年9 月29 日に原告が購入した「Marlboro」(本件分析対象品と同じ種類のもの)と被告製品を比較したところ、前者のタバコシートは、被 告製品のタバコシートでは存在する「切込み」を有していない。この点を踏まえると、被告製品のタバコシートは、本件分析対象品のタバコシートから実質的に変更されたものである。さらに、本件分析対象品と同一の製品が実際に日本に輸入され、被告が日本国内において販売又は販売の申出を行ったことの立証はない。以上より、被告の先使用権は成立しない。(12) 争点5(原告の損害)(原告の主張)原告は、被告製品と市場において競合する 販売又は販売の申出を行ったことの立証はない。以上より、被告の先使用権は成立しない。(12) 争点5(原告の損害)(原告の主張)原告は、被告製品と市場において競合する製品である加熱式スティック「ザ・サード(TheThird)」(以下「原告製品」という。)を販売している。被告は、遅くとも令和3 年8 月18 日以降、被告製品を輸入販売することによって、少なくとも2000 億円を売り上げた。原告における原告製品の利益率は20%を下らないことから、400 億円が原告の受けた損害の額と推定される。(被告の主張)争う。第3 当裁判所の判断 1 争点1-1(構成要件B の充足性)について(1) 本件明細書の記載本件明細書(甲2)には、次のような記載がある。ア技術分野本発明は、電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジに関する。(【0001】)イ発明が解決しようとする課題本発明の目的は、充填物の脱落を防止することができ、使用する際の気流を均一にして安定した吸い心地を維持できる、高品質の電子タバコ用充填物及び電子タバコに好適な電子タバコカートリッジを提供することにある。 性)について(1) 本件明細書の記載本件明細書(甲2)には、次のような記載がある。ア技術分野本発明は、電子タバコ用充填物及び電子タバコカートリッジに関する。(【0001】)イ発明が解決しようとする課題本発明の目的は、充填物の脱落を防止することができ、使用する際の気流を均一にして安定した吸い心地を維持できる、高品質の電子タバコ用充填物及び電子タバコに好適な電子タバコカートリッジを提供することにある。(【0004】)ウ課題を解決するための手段かかる課題を解決するために、本発明は、シート状部材を有して構成され、電子タバコ長手方向を第1 方向、それに垂直な面内方向を第2 方向としたとき、前記シート状部材の前記第1 方向に沿って切込みが形成されている電子 タバコ用充填物が提供される。(【0005】)好ましい形態としては、前記切込みは、前記シート部材を貫通しない深さで形成されている。(【0006】)エ発明の効果本 る電子 タバコ用充填物が提供される。(【0005】)好ましい形態としては、前記切込みは、前記シート部材を貫通しない深さで形成されている。(【0006】)エ発明の効果本発明によれば、高品質の電子タバコ用充填物及び電子タバコに好適な充 填物及び電子タバコカートリッジを提供することができる。具体的には、充填物の脱落を防止することができ、電子タバコカートリッジを使用する際、切込み部が気流方向を誘導する空気の均一な通路となり、吸い心地を安定させる。(【0018】)オ発明を実施するための形態 本実施例に用いられるシート状の充填物は例えば、以下のようにして作成 される。エアロゾル形成材を形成する材料としては、エアロゾルフォーマを担持する担持体、エアロゾルフォーマ及び必要に応じ使用する風味添加剤が挙げられる。(【0021】)本実施例において使用する、切込みを有するシート状部材を充填物とするエアロゾル形成基材を作成する方法としては以下が挙げられる。(【0029】) 一つの方法の例として、所定の切込みを有するシートから、所望の形に加工し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物として図3、図4、図12 に示すように、包装部材(151)等に充填する方法が挙げられる。他の方法として、図2、図5 に示すように、作成したシートを所望の形に加工した後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物 する方法としては以下が挙げられる。(【0029】) 一つの方法の例として、所定の切込みを有するシートから、所望の形に加工し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物として図3、図4、図12 に示すように、包装部材(151)等に充填する方法が挙げられる。他の方法として、図2、図5 に示すように、作成したシートを所望の形に加工した後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物 として包装シート(150)等に充填する方法が挙げられる。更に可能な方法の例としては、作成したシートを所望の形に加工し充填する際の形状とした後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状の充填物として包装シート(150)等に充填する方法が挙げられる。(【00 可能な方法の例としては、作成したシートを所望の形に加工し充填する際の形状とした後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状の充填物として包装シート(150)等に充填する方法が挙げられる。(【0030】)また、シートは切込みを有するものの、切込みの無い部分により繋がって いるものである。(【0031】)好ましい作成方法としては、上記シートを作成する工程、切込みを形成する工程、シートを所望の形にする工程、シートを充填する工程が連続的に行われること、或いは2 以上の工程を同時に行うことも好ましい方法である。このような工程であると、生産の効率が良いからである。(【0032】) 切込みを形成するために使用される手段としては、カッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等を例示することができ、これらを並列に並べて必要な数の切込みを一挙に形成する方法は好ましい形態の一つである。(【0033】)また、切込みを形成する間隔W(図9、図13、図14 に示す)は、シート の厚みよりも大であることが好ましく、例えば、0.5mm 以上、10mm 以下 が好ましい。更に好ましくは、1mm 以上であると切込みで区分された領域がちぎれたりせずに安定であり、5mm 以下であると、切込みで区分された領域により、図1 に示す加熱要素の挿入時に充填物が挿入方向に移動することを防止でき、本発明の効果をより発揮することができる。【0034】シートに形成する切込みの長さに ついては、例えば図9 を用いて説明すると、Y 方向のシートの全長に対して、20%以上であると、図1 に示す加熱要素(211)の挿入に対して本発明の効果をより効果的に発揮する せずに安定であり、5mm 以下であると、切込みで区分された領域により、図1 に示す加熱要素の挿入時に充填物が挿入方向に移動することを防止でき、本発明の効果をより発揮することができる。【0034】シートに形成する切込みの長さに ついては、例えば図9 を用いて説明すると、Y 方向のシートの全長に対して、20%以上であると、図1 に示す加熱要素(211)の挿入に対して本発明の効果をより効果的に発揮する ことができ、50%以上であると更に効果的である。ま 、Y 方向のシートの全長に対して、20%以上であると、図1 に示す加熱要素(211)の挿入に対して本発明の効果をより効果的に発揮する ことができ、50%以上であると更に効果的である。また、90%以下であると、加熱要素(211)の挿入に対して充填物が挿入方向に対して移動してしまうことを防止することができる。90%以下であると、電子タバコカートリッジの使用後に電子タバコ本体より取り出す際においても、使用後の充填物の一部脱落防止に十分効果がある。(【0035】)シートに入れる切込みの間隔及び長さについて説明したが、個々の切込みの間隔W 及び長さについて、一枚のシートにおいて変化させた構成でもよい。(【0036】)図1 は、電子タバコカート リッジ(100)の使用形態を例示している。電子タバコカートリッジ(100)は、ユーザーの使用時に電子タバコ本体(200)に装着される。電子 タバコ本体(200)には、電子【図1】【図9】 タバコカートリッジ(100)を差し込むための差し込み部(210)が設けられている。(【0038】)差し込み部(210)内の底の中央部には、加熱要素(211)が設けられており、加熱要素(211)は、先端が尖っているピン状又はブレード状の部材を有し、エアロゾル形成基材(110)内に挿入され、エアロゾル形成基材(110) を加熱する。より具体的には、加熱要素(211)は、電子タバコカートリッジ(100)が電子タバコ本体(200)の差し込み部(210)に刺し込まれる際に、エアロゾル形成基材(110)の中央部に挿入される。(【0039】)加熱要素(211)は、電子タバコ本体(200)内に設けられているバッテリー…から供給される電力よって直接的 し込まれる際に、エアロゾル形成基材(110)の中央部に挿入される。(【0039】)加熱要素(211)は、電子タバコ本体(200)内に設けられているバッテリー…から供給される電力よって直接的又は間接的に発熱する。 し込まれる際に、エアロゾル形成基材(110)の中央部に挿入される。(【0039】)加熱要素(211)は、電子タバコ本体(200)内に設けられているバッテリー…から供給される電力よって直接的 し込まれる際に、エアロゾル形成基材(110)の中央部に挿入される。(【0039】)加熱要素(211)は、電子タバコ本体(200)内に設けられているバッテリー…から供給される電力よって直接的又は間接的に発熱する。この加熱要素 (211)の熱によってエアロゾル形成基材(110)が温められることにより、芳香成分を含むエアロゾルが発生する。そして、発生したエアロゾルは、以下で説明する支持要素(300)および移送部材(130)を経てマウスピース(140)へ移送され、ユーザーがマウスピース(140)側から吸い込むことで、芳香成分がユーザーの口内へ届くことになる。(【0040】) 図2 には、電子タバコカートリッジ(100)の構造の一例を示す。図1 に示す加熱要素(211)の挿入される側から、すなわち、上流側(10)から下流 側(20)に向かって、エアロゾル形成基材(110)、支持要素(300)、移送部材(130)、マウスピース(140)を含み、例えば棒状または円筒形状の外観を呈する。(【0042】)エアロゾル形成基材(110)は、電子タバコ用充填物を含み、例えば加熱 されることによって、電子タバコ用充填物の材料となった植物が有する芳香【図2】 成分等を含んだエアロゾルを発生する。(【0047】)ステップS103 について説明する。ステップS103 においては、ステップS102 で形成された非タバコ植物組成物を加工し、電子タバコ用充填物を得る。(【0089】)ステップS103 では、まず、ステップS102 で得られた非タバコ植物組成 物をシート状に成形する。(【0090】)一つの方法の例として、図3、図4、図10~図12 に示すように、包装部材(15 03 では、まず、ステップS102 で得られた非タバコ植物組成 物をシート状に成形する。(【0090】)一つの方法の例として、図3、図4、図10~図12 に示すように、包装部材(151)等に充填する方法が挙げられる。他の方法として、図2、図7 に示すように、所定の切込みを有するシートから、所望の形に加工し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物(111)として作成したシートを 装部材(15 03 では、まず、ステップS102 で得られた非タバコ植物組成 物をシート状に成形する。(【0090】)一つの方法の例として、図3、図4、図10~図12 に示すように、包装部材(151)等に充填する方法が挙げられる。他の方法として、図2、図7 に示すように、所定の切込みを有するシートから、所望の形に加工し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物(111)として作成したシートを 所望の形に加工した後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状部材としてから、充填物(111)として包装シート(150)等に充填する方法が挙げられる。更に可能な方法の例としては、作成したシートを所望の形に加工し充填する際の形状とした後に、切込みを形成し、切込みを有するシート状の充填物(111)として包装シート(150)等に充填する方法が挙げられる。… また、シートは切込みを有するものの、切込みの無い部分により繋がっているものである。(【0096】)続いて、シート状に成形された非タバコ植物組成物に切込みを入れる。切込みは、シートの厚さ方向に、シートを貫通しない深さ、例えばシートの厚さの半分ほどの深さまで形成する。切込みの形成は、例えばカッター等、一 例として回転刃方式のロータリーカッターを用いて行うことができる。(【0097】)図6A は、厚さ方向に切込みが形成された、非タバコ植物組成物のシートの一部を示す概略的な斜視図である。図6A に示す例においては、シートの厚さ方向はZ 軸方向に平行な方向であり、シートには、Z 軸正方向側の表面 から、厚さ方向の中央付近まで、複数の切込み(F)が形成されている。各 切込み(F)は、Y 軸方向に延在している。(【0099】)図6B に、厚さ方 軸正方向側の表面 から、厚さ方向の中央付近まで、複数の切込み(F)が形成されている。各 切込み(F)は、Y 軸方向に延在している。(【0099】)図6B に、厚さ方向に切込みが形成された、非タバコ植物組成物のシートの概略的な 平面図を示す。図6B に示す例においては、Y 軸方向に沿う長さ約12mm の複数の切込み(F)が、X 軸方向に沿って端部を相互に隣接させる態様 で、Z 軸正方向側の表面から形成されている。(【0100】)実施例による電子タバコ用充填物は、例えば図6B に示す点線及び一点鎖線に沿って、非タバコ植物組成物のシートを切断することで得られる。 方向に切込みが形成された、非タバコ植物組成物のシートの概略的な 平面図を示す。図6B に示す例においては、Y 軸方向に沿う長さ約12mm の複数の切込み(F)が、X 軸方向に沿って端部を相互に隣接させる態様 で、Z 軸正方向側の表面から形成されている。(【0100】)実施例による電子タバコ用充填物は、例えば図6B に示す点線及び一点鎖線に沿って、非タバコ植物組成物のシートを切断することで得られる。切断にはカッター等、一例として回転刃方式のロータリーカッターを使用する。(【0101】)図6C は、実施例による電子タバコ用充填物を示す概略的な平面図である。図6C に示す電子タバコ用充填物は、Z 軸方 向に沿う長さすなわち厚さが約0.3mm のシートであり、X軸方向に沿う長さが約75mm、Y 軸方向に沿う長さが約12mm の略矩形の平面形状を有する。実施例による電子タバコ用充填物は、Z 軸正方向側の表面から厚さ方向に、深さが約0.15mm である複数の切込み(F)を備える。各切込み(F)は、矩形状の電子タバコ用充填物の一方の長辺すなわちX 軸 方向に沿う辺から、短辺の延在方向すなわちY 軸方向に約6mm の長さに形成されている。複数の切込み(F)は、X 軸方向に一定の間隔を隔てて配置されている。(【0102】)図6-1~図6-4に示す実施例による電子タバコ用充填物はシート状であり、シートの厚さ方向に、シートを貫通しない深さまで切込み(F)が形成され ている。( 置されている。(【0102】)図6-1~図6-4に示す実施例による電子タバコ用充填物はシート状であり、シートの厚さ方向に、シートを貫通しない深さまで切込み(F)が形成され ている。(【0121】)実施例による電子タバコカートリッジ(100)のエアロゾル形成基材(110)は、実施例による電子タバコ用充填物を用いて形成される。実施例による電子タバコカートリッジ(100)においては、電子タバコカートリッジ(100)の長手方向すなわちエアロゾル形成基材(110)の長手方向と、電子タバコ 用充填物に形成された切込み(F)の延在方向は、例えば略平行である。(【0122】)また、実施例による電子タバコカートリッジ(100)においては、電子タバコ用充填物の切込み(F)が形成されている辺側が電子タバコカートリッジ(100)の上流側(10)、すなわち電子タバコカートリッジ(100)が電子 電子タバコカートリッジ(100)の長手方向すなわちエアロゾル形成基材(110)の長手方向と、電子タバコ 用充填物に形成された切込み(F)の延在方向は、例えば略平行である。(【0122】)また、実施例による電子タバコカートリッジ(100)においては、電子タバコ用充填物の切込み(F)が形成されている辺側が電子タバコカートリッジ(100)の上流側(10)、すなわち電子タバコカートリッジ(100)が電子 タバコ本体(200)に装着されて使用される際、加熱要素(211)が挿入される側に配置されるように、エアロゾル形成基材(110)が配設されている。(【0123】)このため、実施例による電子タバコカートリッジ(100)を電子タバコ本体(200)に装着する際、加熱要素(211)をエアロゾル形成基材(110)内 にスムーズに導入することができる。(【0124】)また、エアロゾル形成基材(110)で発生したエアロゾルがマウスピース(140)方向へ流れやすくなる。(【0125】)(実施例1)上記得られたシートを、縦12mm、横120mm に裁断をした。…図9 に示 すように、縦方向(Y 方向)の三分の二の場所(A)から切り絵用カッター で間隔W4mm おきに、三分の二に相当する縦方向長さ 12mm、横120mm に裁断をした。…図9 に示 すように、縦方向(Y 方向)の三分の二の場所(A)から切り絵用カッター で間隔W4mm おきに、三分の二に相当する縦方向長さ8mm の切込み(F)を入れた。これを横方向(X 方向)に繰り返し切込み(F)を入れていった。(【0171】)上記のように切込み(F)を入れた充填物(111)を巻くことにより巻物とし、前記包装部材(151)に充填物として充填し、エアロゾル形成基材(110) とした。このように形成されたエアロゾル形成基材(110)は、シートとシートの間隙が空気の通路となっており、前記空気の通路を電子タバコカートリッジの長手方向に形成することとなる。(【0175】)本実施例の場合、一端部に現れるシートの端部形状は、長辺4mm であり、短辺0.2mm の略長方形の面が変形し、やや湾曲した状態となっている。し かしながら、図10 にあるように各々の一端部からみたエアロゾル形成基材の中心部(B)から周辺部(C)に向かって観察される前記シートの端部形状の面積が、略等しいものとなっているという特徴がある。 バコカートリッジの長手方向に形成することとなる。(【0175】)本実施例の場合、一端部に現れるシートの端部形状は、長辺4mm であり、短辺0.2mm の略長方形の面が変形し、やや湾曲した状態となっている。し かしながら、図10 にあるように各々の一端部からみたエアロゾル形成基材の中心部(B)から周辺部(C)に向かって観察される前記シートの端部形状の面積が、略等しいものとなっているという特徴がある。(【0176】)このような特徴があると、…加熱により発生したエアロゾルについても、形成された空気の通路が均一であるため、吸い心地が安定したものとなって いる。また、使用後においての、充填物の一部の脱落はなく、充填物の脱落もなかった。(【0177】)以上説明したように本発明によれば以下の効果を奏する。電子タバコカートリッジに加熱要素(211)の挿入を安定に行うことがで きる。これに伴い、吸い心地が安定し、ひいては、電子タバコカートリッジの破損、ひいては、加熱要素(211)の破損を防止することができる。(【0199】) (211)の挿入を安定に行うことがで きる。これに伴い、吸い心地が安定し、ひいては、電子タバコカートリッジの破損、ひいては、加熱要素(211)の破損を防止することができる。(【0199】)また、電子タバコカートリッジの使用後において、エアロゾル形成基材の充填物の脱落をも防止することができる。(【0200】)(2) 被告製品について 証拠(甲7、11、乙3~7、15)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品のタバ コ基体について、次の事実が認められる。ア被告製品の製造工程には、タバコシート(キャストリーフ)に捲縮加工(クリンピング)を施し、これを集束してタバコロッドに成形するという工程がある。捲縮加工は、大要、対向する一対のローラーの間にシートを通して波型形状に成形する工程であり、捲縮加工後のタバコシートは、平行する多数 のリッジ(尾根、あぜ)と谷を有するものとなる。イ捲縮加工後の被告製品のタバコシート(タバコロッドに成形する前のもの)の表面には、その一部の上面を拡大した写真(別紙写真目録の写真4)のとおり、長手方向に沿って複数の裂け目ないし割れ目がある。ウ被告製品から取り出したタバコ基体である長方形シートの長手方向には、 別紙写真目録の写真1 及び2 のとおり、3 本の線状の断裂部が観察される。 は、平行する多数 のリッジ(尾根、あぜ)と谷を有するものとなる。イ捲縮加工後の被告製品のタバコシート(タバコロッドに成形する前のもの)の表面には、その一部の上面を拡大した写真(別紙写真目録の写真4)のとおり、長手方向に沿って複数の裂け目ないし割れ目がある。ウ被告製品から取り出したタバコ基体である長方形シートの長手方向には、 別紙写真目録の写真1 及び2 のとおり、3 本の線状の断裂部が観察される。これらは、タバコシートに捲縮加工を施し、これを集束してタバコロッドに成形される過程で、波型形状をなすタバコシートの平行するリッジや谷に沿ってその表面が裂けたり割れたりすることにより形成されたものである。(3) 「切込み」(構成要件B)の意義 ア特許請求の範囲の記載本件特許発明に係る特許請求の範囲の記載によれば、「切込み」(構成要件B)は、「電子タバコの長手方向を第1 ものである。(3) 「切込み」(構成要件B)の意義 ア特許請求の範囲の記載本件特許発明に係る特許請求の範囲の記載によれば、「切込み」(構成要件B)は、「電子タバコの長手方向を第1 方向としたとき、前記シート状部材に前記第1 方向に沿って」「形成され」るものであり(構成要件B)、「前記シート状部材の一の表面に前記シート状部材を貫通しない深さで形成されて いる」ものである(構成要件C)。しかし、特許請求の範囲の記載自体からは、「切込み」(構成要件B)の形成手段等は必ずしも明らかでない。イ辞書的意味「切込み」及びこれに関連する語句は、辞書(甲10、乙13 の1~13 の3) によれば、以下の語義を有する。(ア) 切込み刃物である深さまで切ること。また、その部分。切り込むこと。物の一部分だけに深く切り目を入れること。(イ) 切り込む 物の中に刃物を深く入れて切る。物の中まで深く切る。(ウ) 切り目切ったあと。切り口。刻み目。物の表面に切ってつけた傷。また、切り口。切ったところ。刻みをつけたあと。切り口。切断面。(エ) 切れ目切れてできたあと。切れた所。物の途中で切れている所。裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしている所。ウ本件明細書の記載本件明細書の記載によれば、「切込み」について、以下のような記載がある。すなわち、「切込み」の形成手段としては、「カッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等」が例示される(【0033】、【0097】、【0101】、【0171】)一方で、それ以外の手段で「切込み」が形成されることについての記載ない 。物の途中で切れている所。裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしている所。ウ本件明細書の記載本件明細書の記載によれば、「切込み」について、以下のような記載がある。すなわち、「切込み」の形成手段としては、「カッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等」が例示される(【0033】、【0097】、【0101】、【0171】)一方で、それ以外の手段で「切込み」が形成されることについての記載ない し示唆はない。また、本件明細書には、「切込み」が、形成原因のいかん 0033】、【0097】、【0101】、【0171】)一方で、それ以外の手段で「切込み」が形成されることについての記載ない し示唆はない。また、本件明細書には、「切込み」が、形成原因のいかんを問わず、シート状部材に何らかの外力が加えられることにより結果的に生じた裂け目や割れ目を含むと解すべき根拠となる記載も見当たらない。さらに、本件特許発明の効果は、「高品質の電子タバコ用充填物及び電子タバコに好適な充填物及び電子タバコカートリッジを提供することができ る。具体的には、充填物の脱落を防止することができ、電子タバコカートリ ッジを使用する際、切込み部が気流方向を誘導する空気の均一な通路となり、吸い心地を安定させる。」(【0018】、【0199】、【0200】)というものであるところ、このうち、「切込み」が奏する効果については、具体的には、例えば、その長さの割合が「90%以下であると、加熱要素(211)の挿入に対して充填物が挿入方向に対して移動してしまうことを防止することができる。90%以 下であると、電子タバコカートリッジの使用後に電子タバコ本体より取り出す際においても、使用後の充填物の一部脱落防止に十分効果がある。」(【0035】)、「切込み(F)を入れた充填物(111)を巻くことにより巻物とし、前記包装部材(151)に充填物として充填し、…このように形成されたエアロゾル形成基材(110)は、シートとシートの間隙が空気の通路となってお り、前記空気の通路を電子タバコカートリッジの長手方向に形成することとなる。」(【0175】)との記載がある。これらの記載その他の記載(【0036】、【0099】~【0102】等)からは、本件特許発明の技術的思想においては、「切込み」の構造ないし状態については、何ら なる。」(【0175】)との記載がある。 のように形成されたエアロゾル形成基材(110)は、シートとシートの間隙が空気の通路となってお り、前記空気の通路を電子タバコカートリッジの長手方向に形成することとなる。」(【0175】)との記載がある。これらの記載その他の記載(【0036】、【0099】~【0102】等)からは、本件特許発明の技術的思想においては、「切込み」の構造ないし状態については、何ら なる。」(【0175】)との記載がある。これらの記載その他の記載(【0036】、【0099】~【0102】等)からは、本件特許発明の技術的思想においては、「切込み」の構造ないし状態については、何らかの方法により人為的・能動的に制御することが発明の効果を奏する上では少なくとも好ましいものとされ ていることがうかがわれる。その点を措くとしても、刃物でシート状部材の表面を切ることにより形成された切れ目と、それ以外の方法によりシート状部材の表面が裂けたり割れたりして形成された裂け目ないし割れ目とでは、断裂部の形状や構造が異なる。すなわち、後者(裂け目ないし割れ目)の場合、前者(刃物による切れ目)の場合に比して、断裂部の形状や構造は不規 則なものとならざるを得ない。しかるに、本件明細書には、「切込み」に相当する断裂部の形状や構造が不規則なものであっても上記の本件特許発明の効果が得られるとする具体的な作用機序に関する明示的な記載はなく、また、これを示唆する記載も見当たらない。エ小括 前記のとおり、特許請求の範囲の記載自体によっては、「切込み」(構成要 件B)の形成手段等は必ずしも明らかではないものの、「切込み」及びこれを動詞化した「切り込む」という単語の辞書的意義によれば、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味するものと理解される。このような理解は、本件明細書の記載において、「切込み」の形成手段につき刃物が例示される一方で、その 他の形成手段に関する記載ないし示唆は見当たらないこと、本件特許発明の効果との関係でも、「切込み」の形成は人為的・能動的に制御されることが想定されているとみられることと整合する。以上によれば、「切込み」(構成要 する記載ないし示唆は見当たらないこと、本件特許発明の効果との関係でも、「切込み」の形成は人為的・能動的に制御されることが想定されているとみられることと整合する。 刃物が例示される一方で、その 他の形成手段に関する記載ないし示唆は見当たらないこと、本件特許発明の効果との関係でも、「切込み」の形成は人為的・能動的に制御されることが想定されているとみられることと整合する。以上によれば、「切込み」(構成要 する記載ないし示唆は見当たらないこと、本件特許発明の効果との関係でも、「切込み」の形成は人為的・能動的に制御されることが想定されているとみられることと整合する。以上によれば、「切込み」(構成要件B)とは、刃物でシート状部材の表面を切ることにより形成された、切れている部分をいうものと解するのが相当 である。(4) 本件特許発明の構成要件B の充足性について前記(2)の認定のとおり、被告製品のタバコ基材には、タバコシートに捲縮加工を施し、これを集束してタバコロッドに成形される過程で、波型形状をなすタバコシートの平行するリッジや谷に沿ってその表面が裂けたり割れたりす ることにより形成された裂け目ないし割れ目が存するものの、これらは刃物で切ることにより形成されたものではない。そうである以上、これらは、本件特許発明における「切込み」には当たらない。その他被告製品のタバコ基材をなすタバコシートに刃物で表面を切ることにより形成された切れ目の存在は認められない。したがって、被告製品は、本件特許発明の構成要件B を充足しない。(5) 原告の主張についてア原告は、「切込み」の辞書的な意味として「物の一部分だけに深く切り目を入れること。」というものがあり、「切り目」とは「裂けたり、ぎざぎざになったり、刻み込まれたりしている所。続いて並んでいたり、連続したりして いるものが途絶える所。」との意味を有することや、本件特許発明が「切込 み」について「貫通しない深さ」であることを規定するのみで、「切込み」の長さ・間隔・形状・深さ・シートにおける位置や配置等について規定していないから、刃物でなければ制御できないものではないこと、刃物で形成した「切込み」の形状でなければ本件特許発明の効果を奏しないわ の長さ・間隔・形状・深さ・シートにおける位置や配置等について規定していないから、刃物でなければ制御できないものではないこと、刃物で形成した「切込み」の形状でなければ本件特許発明の効果を奏しないわけではないことを指摘すると共に、本件説明会記事及び本件テリア記事の記載を指摘して、 から、刃物でなければ制御できないものではないこと、刃物で形成した「切込み」の形状でなければ本件特許発明の効果を奏しないわ の長さ・間隔・形状・深さ・シートにおける位置や配置等について規定していないから、刃物でなければ制御できないものではないこと、刃物で形成した「切込み」の形状でなければ本件特許発明の効果を奏しないわけではないことを指摘すると共に、本件説明会記事及び本件テリア記事の記載を指摘して、 「切込み」は刃物で形成されたものに限られない旨を主張する。イしかし、「切込み」、「切り込む」、「切り目」及び「切れ目」の辞書的意味は前記認定のとおりであり、原告が「切り目」の意味として指摘するものは「切れ目」のものである。「切込み」の辞書的意味は、いずれも「切る」という人為的ないし能動的な動作に結び付いたものであることからすると、この点に 関する原告の指摘は当たらない。また、本件特許発明に係る特許請求の範囲の記載においては、「切込み」について、「貫通しない深さ」であること以外に、その長さ・間隔・形状・深さ・シートにおける配置等について規定していないことは、原告の指摘するとおりである。もっとも、そのことから直ちに、本件特許発明における「切込み」 につき、刃物で切ること以外の外力により形成された裂け目ないし割れ目も含むものと解釈すべきことにつながるものではない。むしろ、本件明細書の記載を参酌すれば、「切込み」は刃物により形成されるものと理解すべきことは、前記のとおりである。本件説明会記事については、「切り込み加工後のたばこシート」と題する 画像によれば、タバコシートの長手方向に沿って略等間隔に筋が形成されていることは一応観察されるものの、その形状からは、これらが刃物で切ることその他いかなる方法により形成されたものであるかということまでは必ずしも判然としない。また、同記事において、これらの筋により形成されたものが「切り込み」と表現 その形状からは、これらが刃物で切ることその他いかなる方法により形成されたものであるかということまでは必ずしも判然としない。また、同記事において、これらの筋により形成されたものが「切り込み」と表現されていることを考慮しても、これをもって、本 件特許発明における「切込み」につき、刃物以外の手段により形成されたも のであっても「切込み」に含まれるものとする当業者の認識を示すものとは必ずしもいえない。 現 その形状からは、これらが刃物で切ることその他いかなる方法により形成されたものであるかということまでは必ずしも判然としない。また、同記事において、これらの筋により形成されたものが「切り込み」と表現されていることを考慮しても、これをもって、本 件特許発明における「切込み」につき、刃物以外の手段により形成されたも のであっても「切込み」に含まれるものとする当業者の認識を示すものとは必ずしもいえない。他方、本件テリア記事の原告指摘に係る記載は、第4 ステップの前段の説明部分で、「タバコフォイルは、スプールから広げられ、タバコ折り機に供給され、そこで、折り線と同様のパターンが与えられる。」という具体的な工程 に関する記述に続くものであり、タバコシート(タバコフォイル、キャストリーフ)に刻み目を入れる工程については全く言及されていないことからすると、「DievorgekerbteTabakfolie」とは、「折り線と同様のパターンが与えられ」たタバコシートを意味するものと解される。被告製品の製造工程において、タバコシートを集束させてタバコロッドを形成するのに先立ち、「タ バコ折り機に供給」して「折り線と同様のパターン」を与えるという工程は、捲縮加工にほかならない(前記(2))。そうすると、本件テリア記事において、捲縮工程の代わりにタバコフォイルに刻み目を入れる工程が示されているとは必ずしも理解できない。その他原告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する原告の主張 は採用できない。2 まとめ以上のとおり、被告製品は、本件特許発明の構成要件B を充足しないから、本件特許発明の技術的範囲に属さない。したがって、その余の点につき論ずるまでもなく、被告による被告製品の販売 等をもって本 のとおり、被告製品は、本件特許発明の構成要件B を充足しないから、本件特許発明の技術的範囲に属さない。したがって、その余の点につき論ずるまでもなく、被告による被告製品の販売 等をもって本件特許権の侵害ということはできず、原告は、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。第4 結論よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官杉浦正樹 裁判官細井直彰 裁判官志摩祐介 (別紙写真目録省略) (別紙)物件目録 テリアブラックトロピカルメンソールテリアサンパールテリアオアシスパールテリアリッチレギュラーテリアレギュラーテリアスムースレギュラーテリアバランスドレギュラーテリアボールドレギュラーテリアウォームレギュラーテリアルビーレギュラーテリアブラックメンソールテリアメンソールテリアミントテリアパープルメンソールテリアブラックパープルメンソールテリアフュージョンメンソールテリアブラックイエローメンソールテリアイエローメンソールテリアブライトメンソールテリアトロピカルメンソール リアリッチレギュラーテリアレギュラーテリアスムースレギュラーテリアバランスドレギュラーテリアボールドレギュラーテリアウォームレギュラーテリアルビーレギュラーテリアブラックメンソールテリアメンソールテリアミントテリアパープルメンソールテリアブラックパープルメンソールテリアフュージョンメンソールテリアブラックイエローメンソールテリアイエローメンソールテリアブライトメンソールテリアトロピカルメンソール センティアスムースゴールドセンティアディープブロンズ ローメンソールテリアイエローメンソールテリアブライトメンソールテリアトロピカルメンソール センティアスムースゴールドセンティアディープブロンズ センティアピュアティークセンティアバランスドイエローセンティアクリアシルバーセンティアアイシーブラックセンティアクールジェイドセンティアフロストグリーンセンティアフレッシュエメラルドセンティアアイシーパープルセンティアフレッシュパープルセンティアシトラスグリーンセンティアトロピカルイエロー以上
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