- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人財前昌和の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか,被告人に不利益な主張であり,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論は,詐欺と組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項の犯罪収益等隠匿とが刑法54条1項前段の観念的競合の関係に立つ場合,詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役であり,犯罪収益等隠匿罪のそれは5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科であるから,いわゆる重点的対照主義によれば,被告人に対する処断は重い刑を定める詐欺罪の法定刑によることになり,軽い罪である犯罪収益等隠匿罪の罰金刑を併科することはできないという。しかしながら,数罪が科刑上一罪の関係にある場合において,その最も重い罪の刑は懲役刑のみであるがその他の罪に罰金刑の任意的併科の定めがあるときには,刑法54条1項の規定の趣旨等にかんがみ,最も重い罪の懲役刑にその他の罪の罰金刑を併科することができるものと解するのが相当であり,この点に関する原判決の結論は正当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官涌井紀夫裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官才口千晴)
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