平成20(行ウ)212 損害賠償等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日・裁判所
平成22年10月14日 大阪地方裁判所
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判決文本文14,315 文字)

主文 1 被告は,A,B,C及びDに対し,連帯して7330円及びこれに対する平成20年11月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 原告の訴えのうち,以下の訴えをいずれも却下する。 ⑴ Eに対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平成19年8月20日に公用車を使用した職員に対する損害賠償請求権の行使を怠ることを理由とする部分⑵ F,G及びHに対して金員の支払を請求するよう求める訴え⑶ A及びDに対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平成17年及び平成18年に公用車を使用したことを理由とする部分 3 原告の請求のうち,第1項により認容した部分及び第2項により却下した訴えに係る部分を除いた部分の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを20分し,その19を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 平成20年(行ウ)第212号事件(1) 被告は,A,B,C及びDに対し,連帯して3万5890円及びこれに対する平成20年11月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 被告は,Eに対し,3万5890円及びこれに対する平成20年11月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 平成20年(行ウ)第249号事件(1) 被告は,F,G,I及びHに対し,連帯して9万5922円及び内金3万1974円に対する平成17年4月9日から,内金3万1974円に対する同年5月17日から,内金3万1974円に対する同年9月3日から,それ ぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 被告は,G,A,I, ら,内金3万1974円に対する同年5月17日から,内金3万1974円に対する同年9月3日から,それ ぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (2) 被告は,G,A,I,Dに対し,連帯して3万1974円及びこれに対する平成18年9月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 (3) 被告は,Eに対し,12万7896円及びこれに対する平成21年1月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要本件は,大阪府高槻市の住民である原告が,市の執行機関である被告に対し,同市職員が私的な会合に参加するために公用車を使用したことは違法であり,高槻市は公用車を使用した職員に対して不法行為を理由とする損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,被告は同請求権の行使を怠っているとして,公用車を使用した職員に対し,損害賠償の請求をするよう求めるとともに,市長個人に対し,同請求権の行使を怠ったことについて損害賠償の請求をするよう求めている事案である。 1 前提事実(争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,証拠番号は特記しない限り枝番を含む。)⑴ 当事者等ア原告は,高槻市の住民である(争いのない事実)。 イ被告は,高槻市の市長であり,市の執行機関である(争いのない事実)。 ウ F,G,A,B,I,C,H及びDは,いずれも高槻市の職員であり,それぞれ,別紙「役職一覧表」の「年月日」欄記載の年月日において,同別紙「役職」欄記載の地位にあった者である(争いのない事実,乙6)。 エ E(以下「E市長」という。)は,高槻市の市長の地位にある者である(争いのない事実)。 ⑵ 平成19年8月20日の会合ア平成19年8月20日,京 ある(争いのない事実,乙6)。 エ E(以下「E市長」という。)は,高槻市の市長の地位にある者である(争いのない事実)。 ⑵ 平成19年8月20日の会合ア平成19年8月20日,京都府乙訓郡a町所在の日本料理店で,高槻市の職員並びに同市職員労働組合及び同市交通労働組合の役員が参加する会 合(以下「平成19年会合」という。)が開催された。飲食費については公金からの支出はなく,参加者各自が負担した。(甲7,争いのない事実)イ A,B,C及びD(以下「平成19年会合参加者ら」という。)は,平成19年会合に参加し,その際,高槻市役所前から上記アの日本料理店まで,2台の公用車に分乗して移動した(争いのない事実)。 上記公用車の運転手2名に対しては,時間外勤務手当として,合計6916円が支払われた(甲2,弁論の全趣旨)。 ⑶ 監査請求及び住民訴訟の提起ア原告は,平成20年8月12日,平成19年会合において公用車が使用されたことは違法であるとして,平成19年会合参加者らに対して損害賠償請求をすることを求める監査請求をしたところ,高槻市監査委員は同請求を棄却し,平成20年10月9日付けの書面でこれを原告に対して通知した(甲7,14)。 イ原告は,平成20年11月4日,平成19年会合参加者らを相手方として損害賠償請求をすることを求める住民訴訟を提起した(平成20年(行ウ)第212号事件。以下「212号事件」という。)(顕著な事実)。 原告は,平成21年4月8日付け(同日裁判所受付)の準備書面において,E市長を相手方とする請求を追加した(顕著な事実)。 ウ原告は,平成20年11月17日,平成19年会合以前にも同種の会合が行われており,そこでも公用車が使用された事実が認めら 書面において,E市長を相手方とする請求を追加した(顕著な事実)。 ウ原告は,平成20年11月17日,平成19年会合以前にも同種の会合が行われており,そこでも公用車が使用された事実が認められるとして,公用車を使用したIを含む職員に対し損害賠償請求をすることを求める監査請求をしたところ,高槻市監査委員は,同監査請求は上記アの監査請求と同一の事実を対象としており,二重の監査請求に当たるとして,同請求を却下し,平成20年11月28日付けの書面でこれを原告に対して通知した(甲16,17)。 エ原告は,平成20年12月25日,平成19年会合以前にも同種の会合が行われており,そこでも公用車が使用されていたとして,公用車を使用 したI及びE市長個人を相手方として損害賠償請求することを求める住民訴訟を提起した(平成20年(行ウ)第249号事件。以下「249号事件」という。)(顕著な事実)。 原告は,平成21年10月26日付け(同日裁判所受付)の準備書面において,会合の開催日を平成17年4月8日,同年5月16日,同年9月2日及び平成18年9月5日と特定した上,F,G,A,H及びDを相手方とする請求を追加した(顕著な事実)。 2 争点⑴ 本案前の争点ア 249号事件に係る訴えは適法な監査請求を前置しているか。 イ 212号事件に係る訴えのうちE市長を相手方とする部分は,出訴期間内にされたものといえるか。 ウ 249号事件に係る訴えのうち,F,G,A,H及びDを相手方とする部分は,出訴期間内にされたものといえるか。 ⑵ 本案の争点ア原告主張の年月日に会合が開催された事実の有無(なお,平成19年会合が開催されたことについては争いがない。)イ高槻市職員が会合に出席するために公用車を使用 ⑵ 本案の争点ア原告主張の年月日に会合が開催された事実の有無(なお,平成19年会合が開催されたことについては争いがない。)イ高槻市職員が会合に出席するために公用車を使用したことが高槻市に対する不法行為を構成するか。構成するとした場合,損害の有無及び額。 ウ E市長の責任の有無 3 本案の争点に関する当事者の主張⑴ 本案の争点ア(原告主張の年月日に会合が開催された事実の有無)について(原告の主張)ア平成17年4月8日,同年5月16日及び同年9月2日の会合について平成17年4月8日,同年5月16日及び同年9月2日,平成19年会合が開催されたのと同じ日本料理店において,高槻市職員が参加する会合 が開催された。これらの会合には,F(助役),G(同),I(自動車運送事業管理者)及びH(教育委員会教育長)が出席した。 イ平成18年9月5日の会合について平成18年9月5日にも,平成19年会合が開催されたのと同じ日本料理店において高槻市職員が参加する会合が開催された。 この会合には,G(助役),A(同),I(自動車運送事業管理者)及びD(教育委員会教育長)が出席した。 (被告の主張)ア平成19年会合は,高槻市職員を組合員とする労働組合が,副市長らに意見交換会の開催を申し入れたことから行われたものであり,それ以前の会合も同様の趣旨で開催されている。そして,監査手続における人事課長の回答(甲3)によれば,会合の開催時期は,春闘及び夏季闘争の終了後で賃金確定闘争の前や,市の幹部職員に変更が生じた場合に行われていたと推認されるから,原告主張の平成17年4月8日及び5月16日に会合が行われたとするのは不自然である。また,なぜ平成17年度だけ3回 で賃金確定闘争の前や,市の幹部職員に変更が生じた場合に行われていたと推認されるから,原告主張の平成17年4月8日及び5月16日に会合が行われたとするのは不自然である。また,なぜ平成17年度だけ3回も開催されたかについて合理的な説明がない。 イ原告は,平成17年4月8日に会合が開催されたと主張する。しかし,同日付の時間外等実施簿(乙3)では,秘書課用件による時間外実施の終了時刻が午後5時35分とされているところ,高槻市役所から会合の開催場所である日本料理店までの行程に要する時間は約20分であるから,仮にこの日に会合が開催され,かつ公用車が使用されていたとすれば,公用車を使用した市の幹部職員は午後5時15分ころに会場に到着していたことになる。ところが,労働組合の組合員である高槻市職員の終業時刻は午後5時15分であるから,原告の主張を前提とすると,招待者側が遅れて会場に到着したことになり,不自然である。 ウ原告は,平成17年5月16日にも会合が開催されたと主張する。しかし,この日は労働組合の中央委員会が開催されており(乙4),このよう な日に労働組合との会合が開催されるとは考え難い。 エ仮に原告主張の年月日に会合が開催されていたとしても,必ずしも助役,自動車運送事業管理者及び教育長の職にあった者が出席していたとは限らない。 また,平成18年9月5日の時点では,Aは助役に就任していなかった(乙6)のであるから,同日の会合に出席した可能性は皆無である。 ⑵ 本案の争点イ(高槻市職員が会合に出席するために公用車を使用することが不法行為を構成するか。構成するとした場合,損害の有無及び額)について(原告の主張)ア不法行為該当性平成19年会合は,京都という遠方において行わ 用車を使用することが不法行為を構成するか。構成するとした場合,損害の有無及び額)について(原告の主張)ア不法行為該当性平成19年会合は,京都という遠方において行われたこと,酒類が提供されていること,女性コンパニオンが同席していたこと,意見交換等が行われた旨の公文書が存在しないこと等に照らすと,私的な宴会にすぎず,公務関連性は認められない。 そして,平成19年会合参加者らは,平成19年会合があたかも公務であるかのように装って公用車の使用承認を受けてこれを使用したものであるから,高槻市に対する共同不法行為を構成する。 平成19年会合以前の会合についても,同様に公務関連性は認められず,公用車を利用した職員は高槻市に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負う。 イ損害(ア) 平成19年会合についてa 時間外手当平成19年会合には,平成19年会合参加者ら4名が公用車2台を使用して参加している。そして,運転手2名に対して時間外手当合計6916円が支払われており,その全額が高槻市に生じた損害といえ る。 b ガソリン代平成19年8月20日の運転日誌によれば,平成19年会合のために公用車が走行した距離は1台当たり17キロメートルである(甲3)。そして,当日のガソリン価格がハイオク1リットル当たり146.16円であったこと(甲4),使用された公用車の燃費は1リットル当たり10から12キロメートルであったことからすると,17キロメートルの走行に使用したガソリン代は,公用車1台当たり207円(≒17/12×146.16)を下ることはなく,2台の使用により少なくとも414円の損害が生じている。 c 使用料相 キロメートルの走行に使用したガソリン代は,公用車1台当たり207円(≒17/12×146.16)を下ることはなく,2台の使用により少なくとも414円の損害が生じている。 c 使用料相当額平成19年会合当日に使用された公用車と同じ車種の車をレンタルした場合,1台当たり1万4280円,2台で2万8560円のレンタル料が必要となる(甲6)。平成19年会合参加者らは,公用車を使用することにより上記レンタル料分の不当利得を得ており,高槻市は同額の損失又は損害を被っている。 (イ) 過去の会合について以下のとおり,1回の会合の開催につき,高槻市の被る損害額は3万1974円を下らない。 a 時間外手当上記(ア)aのとおり,平成19年会合における運転手の時間外手当は合計6916円であるから,運転手に対する時間外手当は会合1回当たり3000円を下らない。 b ガソリン代上記(ア)bのとおり,平成19年会合に関して消費されたガソリン代は414円であるから,会合1回当たりのガソリン代は414円を下らない。 c 使用料相当額上記(ア)cのとおり,会合に使用された公用車と同車種の車をレンタルした場合,そのレンタル料は1台あたり1万4280円を下らない。そして,過去の会合においても2台の公用車が使用されたと推認されるから,使用料相当額は合計で2万8560円を下らない。 (被告の主張)ア不法行為該当性(ア) 平成19年会合は,労働組合の申入れにより,組合との幅広い意見交換や情報収集を目的として開催されたものであり,公務と密接に関連するものである。確かに,会合の開催に関する文書としては,公用車 (ア) 平成19年会合は,労働組合の申入れにより,組合との幅広い意見交換や情報収集を目的として開催されたものであり,公務と密接に関連するものである。確かに,会合の開催に関する文書としては,公用車使用に伴う運転日誌が存在するのみで,他の公文書は作成されていないが,このことから公用車使用が違法となるものでもない。 なお,原告は,会合にコンパニオンが同席していたと主張するが,そのような事実はない。 よって,平成19年会合は公務と密接に関連し,その参加のために公用車を使用することが不法行為を構成することはない。 (イ) 仮に平成19年会合が私的な一面を有するとしても,特別職の職務の特性に照らせば,会合に出席するために公用車を使用することが違法とまではいえない。 (ウ) 公用車の配車手続は,秘書課職員の判断により行われたもので,配車に関与していない相手方らに不法行為が成立する余地はない。 イ損害上記アで主張したとおり,公用車の使用は不法行為を構成しないから,高槻市に損失又は損害が生じる余地はない。 ⑶ 争点⑶(E市長の責任の有無)について(原告の主張)高槻市は,公用車を不正使用した相手方らに対して損害賠償請求権を有し ているのであるから,E市長は,同請求権を直ちに行使すべき責任を負っている。にもかかわらず,E市長は,これを行使しないのであるから,高槻市に対して損害賠償責任を負う。 (被告の主張)争う。 第3 争点に対する判断 1 本案前の争点ア(249号事件に係る訴えは適法な監査請求を経ているといえるか)原告は,平成20年11月17日に監査請求をしたところ,二重の監査請求に該当するとして却下されている(前記前提事実(第 の争点ア(249号事件に係る訴えは適法な監査請求を経ているといえるか)原告は,平成20年11月17日に監査請求をしたところ,二重の監査請求に該当するとして却下されている(前記前提事実(第2の1)⑶ウ)。 しかし,平成20年8月12日にされた監査請求が平成19年会合において公用車が使用された事実を対象としていた(前記前提事実⑶ア)のに対して,平成20年11月17日の監査請求は,それより前に開催された会合に公用車が使用された事実を対象としており,原告が,同一の事実について監査請求をしたとは認められないから,監査委員が原告の上記監査請求を却下したのは不当であるといわざるを得ない。 そして,監査委員が適法な住民監査請求を不適法であるとして却下した場合,当該請求をした住民は,適法な住民監査請求を経たものとして,直ちに住民訴訟を提起することができる(最高裁判所平成10年12月18日第三小法廷判決・民集52巻9号2039頁参照)から,249号事件に係る監査請求が却下されていることをもって,同事件に係る訴えを不適法とすることはできない。 2 本案前の争点イ(212号事件に係る訴えのうちE市長を相手方とする部分は出訴期間内にされたものといえるか。)について⑴ 前記前提事実⑶イのとおり,212号事件に係る原告の当初の請求は,平成19年会合参加者らを相手方として損害賠償を請求するよう求める内容のものであり,E市長を相手方として損害賠償を請求するよう求める内容は,平成21年4月8日付け(同日裁判所受付)の準備書面をもって追加された ものである。 ところで,訴えの追加的変更は,変更後の新請求に関する限り新たな訴えの提起にほかならないから,変更後の新請求に係る訴えに関する出訴期間が遵守されているか否かは,変更後の ものである。 ところで,訴えの追加的変更は,変更後の新請求に関する限り新たな訴えの提起にほかならないから,変更後の新請求に係る訴えに関する出訴期間が遵守されているか否かは,変更後の新請求と変更前の旧請求との間に訴訟物の同一性が認められる場合,又は両者の間に存する関係から,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守に欠けるところがないと解すべき特段の事情がある場合を除き,訴えの変更の時を基準としてこれを決する必要がある。 これを本件についてみると,変更前の請求と変更後の請求とは,請求の相手方を異にするものであって訴訟物が同一でないことはもとより,公用車を使用したことを理由とする損害賠償請求権と,同請求権の行使を怠ることを理由とする損害賠償請求権とでは,その成立要件は全く異なるものであるから,両者の関係からみて,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視すべき特段の事情はないというほかない。 ⑵ したがって,212号事件に係る訴えのうちE市長を相手方とする部分,具体的には,E市長に対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平成19年会合に関する損害賠償請求権の行使を怠ることを理由とする部分(請求1⑵)は,出訴期間を徒過した不適法なものといわざるを得ない。 3 本案前の争点ウ(249号事件に係る訴えのうち,F,G,A,H及びDを相手方とする部分は,出訴期間内にされたものといえるか)について⑴ 前記前提事実⑶エのとおり,249号事件に係る原告の当初の請求は,E市長及びIを相手方として損害賠償を請求するよう求める内容のものであり,F,G,A,H及びDを相手方として損害賠償の請求をするよう求める内容は,平成21年10月26日付け(同日裁 の当初の請求は,E市長及びIを相手方として損害賠償を請求するよう求める内容のものであり,F,G,A,H及びDを相手方として損害賠償の請求をするよう求める内容は,平成21年10月26日付け(同日裁判所受付)の準備書面をもって追加されたものである。 そこで,前記2と同様,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守に欠けるところがないと解すべ き特段の事情が認められるか否かについて検討するのに,変更前の請求と変更後の請求とは,請求の相手方を異にするものであって訴訟物が同一でないことはもとより,そもそも原告は,監査請求の段階では,氏名を具体的に特定していたわけではないにせよ,公用車を使用したすべての職員に対して損害賠償請求をするよう求めていた(前記前提事実⑶ウ)ところ,訴えを提起する段階では,そのうちIのみを相手方として選択したものといえる。原告は,その後,F,G,A,H及びDを相手方として追加しているが,原告がこのように参加者を特定したのは,1)平成19年会合において副市長2名,自動車運送事業管理者及び教育委員会教育長が出席していること,2)原告からの監査請求(前記前提事実⑶ア)を受けて平成20年9月16日に行われた関係職員の事情聴取に係る記録に,平成19年会合以前の会合にもこれらの役職の職員が参加していた旨の供述が録取されている(甲15)こと,3)上記Fらは,原告主張の年月日当時,助役(平成18年法律第53号による地方自治法改正後における副市長に相当)等の地位にあったこと(なお,別紙「役職一覧表」のとおり,平成18年9月5日時点では,Aは助役の地位になかったが,原告準備書面の記載からすると,原告は,同人が同時点において助役の地位にあるものと考えていたようである。)を根拠とするも 役職一覧表」のとおり,平成18年9月5日時点では,Aは助役の地位になかったが,原告準備書面の記載からすると,原告は,同人が同時点において助役の地位にあるものと考えていたようである。)を根拠とするものと思料されるところ,そうであるとすれば,原告が,当初の訴えを提起するに当たって,上記Fら5名を相手方として特定した上で訴えを提起することに支障はなかったはずであるから,変更後の新請求に係る訴えを当初の訴え提起の時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守に欠けるところがないと解すべき特段の事情があるとは認められない。 ⑵ したがって,249号事件に係る訴えのうち,F,G,A,H及びDを相手方とする部分,具体的には,1)F,G及びHに対して金員の支払を請求するよう求める訴え,2)A及びDに対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平成19年会合より前の会合において公用車を使用したことを理由とする部分はいずれも不適法といわざるを得ない。 4 本案の争点ア(原告主張の年月日に会合が開催された事実の有無)について⑴ 原告は,平成19年会合以外にも,平成17年4月8日,同年5月16日,同年9月2日及び平成18年9月5日に平成19年会合と同じ日本料理店で会合が開催されたと主張する。 しかし,原告の主張を前提とすると,平成17年については3回も会合が開催されていることになるが,その理由は明らかでないし,平成17年5月16日には労働組合の中央委員会が開催されていたのである(乙4)から,その日に会合が開催されたというのは不自然である。また,確かに平成17年4月8日の時間外等実施簿(乙3)の「勤務内容」欄には「秘書課用件」との記載があり,会合が開催されたことに争いのない平成19年8月20日の記載と同じである(甲2)が,このことは, ,確かに平成17年4月8日の時間外等実施簿(乙3)の「勤務内容」欄には「秘書課用件」との記載があり,会合が開催されたことに争いのない平成19年8月20日の記載と同じである(甲2)が,このことは,平成17年4月8日に秘書課から公用車使用の申込みがされたことを示しているにすぎないというべきであり,会合が開催されたことを直接証明する証拠にはならない。 原告は,実際に会合に参加した高槻市の職員から事情を聴取した旨供述するが(甲19),同職員の供述内容は明らかでない上,原告は,同職員の氏名等を明らかにしないのであるから,原告主張の年月日に会合が開催されたことを認めるに足りる証拠はないというほかない。 また,Iは,平成12年以降,年1回程度の頻度で,夏ころの時期に,平成19年会合と同種の会合が開催されており,同じ開催場所まで公用車を利用して移動したことがある旨供述・証言している(乙5,証人I)。したがって,原告主張の会合のうち,平成17年9月2日及び平成18年9月5日の開催分については,これに近接した時期に会合が開催されたこと自体は否定し難いところであるが,証人Iは実際に公用車を利用した時期・回数は明らかでないとも証言しており,結局,同人が原告主張の会合への移動に公用車を利用した事実を認めるまでの証拠はないといわざるを得ない。 ⑵ したがって,平成19年会合以外の会合に公用車が使用されたことを理由とする原告の請求は,その前提を欠き,棄却を免れない。 5 本案の争点イ(高槻市職員が会合に出席するために公用車を使用したことが高槻市に対する不法行為を構成するか。構成するとした場合,損害の有無及び額)について⑴ 違法性の判断基準普通地方公共団体は,その事務を処理するために必要な経費を支弁するものである(地方自治法23 る不法行為を構成するか。構成するとした場合,損害の有無及び額)について⑴ 違法性の判断基準普通地方公共団体は,その事務を処理するために必要な経費を支弁するものである(地方自治法232条1項)ところ,地方行政の円滑な運営に資するため,当該団体の長又はこれに類する地位にある者が,当該団体の職員等と意見交換を図ることは,事務処理上一定の有益性が認められるところであるから,意見交換の場に出席するために公用車を使用することが直ちに当該団体に対する不法行為を構成するわけではない。 このことは,当該意見交換が飲食を伴う場合であっても同様であるが,飲食を伴う懇談については,情報収集等意見交換の成果が明確にならないことも多いと考えられ,公務又はこれに関連するものとして行うにしても,おのずから限度があるというべきであり,公務関連性を有するか否かについては慎重な判断が必要である。 以上の点を踏まえれば,会合の目的,内容,場所,参加者の顔ぶれ等に照らし,一般の社会通念を基準として,当該会合が地方公共団体の職務遂行に伴うものと認められない場合は,当該会合に出席するために公用車を使用することは,当該団体に対する不法行為を構成すると解するのが相当である。 ⑵ 平成19年会合の公務関連性被告は,平成19年会合は労働組合との意見交換を目的として開催されたものであり,公務関連性を有すると主張する。 しかし,平成19年会合は,労働組合からの口頭での申出を受けて開催された(甲15)というのであるが,労働組合側から意見交換を求める内容,例えば,議題が記載された文書が提出されたわけではなく,高槻市においてもこの点を記載した文書は作成されていない上,意見交換の結果を記録・集約した文書が事後に作成された事実もない(証人I,弁論の全趣旨)の ば,議題が記載された文書が提出されたわけではなく,高槻市においてもこの点を記載した文書は作成されていない上,意見交換の結果を記録・集約した文書が事後に作成された事実もない(証人I,弁論の全趣旨)のであ るから,具体的にどのような内容について意見交換を行うことが予定され,実際にどのような意見交換がされたのか必ずしも明らかでない。証人Iは,人員削減に関する行政改革について意見交換がされたと証言するが,平成19年会合に先行して飲食を伴わない懇談会等が開催されたなどの事情は見受けられず,行政改革の必要性を示す資料等が組合側に交付されたなどの事情もうかがえない。また,会合の開始に当たっては,代表者からの挨拶があり,挨拶の間は料理が並べられていなかったものの,挨拶が終わると乾杯の発声があり,すぐに料理及び酒類が提供された(証人I)というのであるから,平成19年会合は当初から酒席の形で開催されたものと認められ,そのような席において,具体的な資料もないまま,人員削減も含めた行政改革について実質的な意見交換がされるかは疑わしいし,それが公務又は公務に関連するものというのであれば,酒類の提供を受けながら行うのは手段・方法として著しく不適切なものといわざるを得ない。 加えて,平成19年会合は,高槻市職員のみが参加した会合であったにもかかわらず,高槻市役所から車で20分程度,タクシーを利用すれば2600円程度の料金となる京都府乙訓郡所在の日本料理店にて開催されており(甲13,弁論の全趣旨),その会費も1人当たり1万円(証人I)と比較的高額であるところ,このような日本料理店で意見交換を行う必要性も明らかでない。 以上検討したところによれば,平成19年会合は,具体的な意見交換を目的としたものではなく,飲食及び出席者同士の歓談を目的とし ろ,このような日本料理店で意見交換を行う必要性も明らかでない。 以上検討したところによれば,平成19年会合は,具体的な意見交換を目的としたものではなく,飲食及び出席者同士の歓談を目的としたものであった疑いが強いといわざるを得ず,平成19年会合参加者らの役職・地位を考慮しても,一般の社会通念を基準として,当該会合が地方公共団体の職務遂行に伴うものと認めることはできない。 ⑶ 平成19年会合参加者らの責任上記⑵のとおり,平成19年会合が地方公共団体の職務遂行に伴うものと認めることはできないから,当該会合に出席するために公用車を使用するこ とは,高槻市に対する不法行為となる。 なお,平成19年会合参加者らは,2台の公用車に分乗して会合開催場所へ向かっているものの,証人Iの証言によれば,それぞれが公用車を利用することを知っていたものと認められるから,「数人が共同の不法行為によって他人に損害を与えた」ものとして共同不法行為(民法719条)の成立を認めるのが相当である。 ⑷ 損害ア時間外勤務手当平成19年会合における公用車の運転手2名に対して支払われた時間外勤務手当6916円は,公用車使用がなければ支出されることのなかったものであるから,平成19年会合参加者らによる公用車使用と相当因果関係のある損害ということができる。 イガソリン代平成19年会合における公用車の使用により消費されたガソリンもまた,公用車使用がなければ消費されなかったものであるから,消費された分のガソリン代は平成19年会合参加者らによる公用車使用と相当因果関係のある損害ということができる。 そして,証拠(甲5)によれば,使用された公用車はハイオクガソリンを使用燃料とし,その燃費は1リット 代は平成19年会合参加者らによる公用車使用と相当因果関係のある損害ということができる。 そして,証拠(甲5)によれば,使用された公用車はハイオクガソリンを使用燃料とし,その燃費は1リットル当たり約12キロメートルと認められるところ,平成19年会合のために公用車が走行した距離は1台当たり17キロメートルであり(甲3),会合当日である平成19年8月20日におけるハイオクガソリンの価格は,1リットル当たり146.16円を下らないものと認められる(甲4)から,公用車1台当たりのガソリン代は207円(≒17÷12×146.16)を下らないというべきである。 そうすると,公用車2台分のガソリン代は414円をもって損害と認めるのが相当である。 ウ使用料相当額原告は,平成19年会合に使用された公用車と同車種の車をレンタルした場合のレンタル料相当額も,平成19年会合参加者らが賠償すべき損害であると主張する。 しかし,平成19年会合に使用された公用車は,高槻市公用車管理運行規則(乙1)に基づいて管理されるものであり,行政財産に該当する(地方自治法238条4項)から,普通財産として賃貸することはできず,行政財産として賃貸することも想定されていない(同法238条の4第1項,2項)。 そうであるとすれば,平成19年会合参加者らによる使用行為がなかったとしても,高槻市がレンタル料相当額の収入を得ることはできなかったのであるから,原告主張のレンタル料をもって高槻市に生じた損害又は損失と認めることはできない。 6 本案の争点ウ(E市長の責任の有無)について原告は,E市長は平成19年会合参加者らに対する損害賠償請求権の行使を怠っており,これによって高槻市に損害を与えていると主張する。 し 。 6 本案の争点ウ(E市長の責任の有無)について原告は,E市長は平成19年会合参加者らに対する損害賠償請求権の行使を怠っており,これによって高槻市に損害を与えていると主張する。 しかし,E市長が上記請求権の行使を怠ることにより,同請求権が時効消滅したなどした事情は見受けられず,高槻市はいまだ同請求権を有しているのであるから,E市長が同請求権を行使していないとしても,同額の損害が高槻市に生じているということはできない。 したがって,E市長を相手方とする請求(前記2で不適法と判断された訴えに係る請求を除く。)は理由がなく,棄却を免れない。 7 結論以上の次第であり,原告の請求のうち,A,B,C及びDに対し,連帯して7330円及びこれに対する平成20年11月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うよう請求することを求める部分は理由があるからこれを認容し,1)Eに対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平 成19年8月20日に公用車を使用した職員に対する損害賠償請求権の行使を怠ることを理由とする部分,2)F,G及びHに対して金員の支払を請求するよう求める訴え,3)A及びDに対して金員の支払を請求するよう求める訴えのうち,平成17年及び平成18年に公用車を使用したことを理由とする部分は不適法であるからこれらを却下し,その余の請求は理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官吉田徹 裁判官小林康彦 裁判官金森陽介 (別紙)役職一覧表年月日 平成17年4月8日平成17年5月16日 小林康彦 裁判官金森陽介 (別紙)役職一覧表年月日 平成17年4月8日平成17年5月16日平成17年9月2日平成18年9月5日平成19年8月20日F助役助役助役--G助役助役助役助役-A----副市長B----副市長I自動車運送事業管理者自動車運送事業管理者自動車運送事業管理者自動車運送事業管理者-C----自動車運送事業管理者H教育委員会教育長教育委員会教育長教育委員会教育長--役 職 D---教育委員会教育長教育委員会教育長

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