主文 原判決を破棄し、本件を松山地方裁判所に差し戻す。理由 上告代理人木原鉄之助の上告理由第一、二、三点について、上告人の本訴請求は、原判決添付別紙目録記載の土地(本件土地)は上告人外五名の共有であつて、上告人は、本件土地につき一五分の二の共有持分権を有しているところ、本件土地につき被上告人らの経由している上告人主張の本件仮登記のうち、訴外Aの共有持分(一五分の二)を除くその余の上告人及び訴外B外三名の共有持分一五分の一三についての仮登記部分は実体関係を伴わない無効なものであるから、被上告人らに対し、右共有持分一五分の一三についての本件仮登記の一部抹消、すなわち、本件仮登記をAの有する持分一五分の二に対する所有権移転請求権保全の仮登記に更正登記手続を求めるというにあることは、記録上明らかである。ところで、原審は、本件土地は、もと訴外Cの所有であつたが、同人は昭和四一年一月八日死亡したので、同人の妻である訴外B(相続分は一五分の五)及び子である上告人、同A、同D、同E、同F(以上五名の相続分は各一五分の二)の六名が共同相続し、同人らは本件土地につき石相続分の割合にしたがつて共有持分権を取得したこと、ところが、本件土地については、その後松山地方法務局昭和四三年四月一〇日受付第一二三五九号をもつて昭和四一年一月八日相続を原因として右CからAに所有権移転登記がなされ、ついで同法務局昭和四三年六月二七日受付第二二四二七号をもつて同年六月二五日の売買を原因としてAから被上告人両名(持分は各二分の一)に所有権移転請求権保全の仮登記(本件仮登記)がなされているとの事実を確定した上(以上の事実についでは当事者間に争いがない)、その後上告人が昭和四一年二月一八日その共有持分権を放棄した旨の被上告人ら主張の 権移転請求権保全の仮登記(本件仮登記)がなされているとの事実を確定した上(以上の事実についでは当事者間に争いがない)、その後上告人が昭和四一年二月一八日その共有持分権を放棄した旨の被上告人ら主張の抗弁は証拠上認め難いから、結局上告人は本件土地につき現に一五分の二の共有持分権を有しているとして、本件仮登記中、右上告人の有する共有持分権一五分の二に相当する部分についての抹消(更正)登記手続を求める限度で上告人の本訴請求を認容したが、上告上及びAを除く他の共有者であるBら四名の共有持分計一五分の一一に相当する部分についての仮登記の抹消(更正)登記手続を求める上告人の請求部分については、更正登記手続を求める請求は、性質上不可分債権(原判決理由中、不可分債務とあるは不可分債権の誤りと解せられる)ではないから、不可分債権の類推適用によつて他の共有者の共有持分についての抹消を求めることはできず、また、本件仮登記中上告人以外の共有者の共有持分権についての仮登記の一部抹消(更正)登記手続を認める判決をしても、該判決の既判力、執行力は上告人以外の他の共有者には及ばないから、他の共有者にとつては実益がないし、さらに、他の共有者がその権利保護を求めたいのであれば、みずから権利を主張して訴訟を提起すれば足りるとし、結局上告人の右請求部分を、訴の利益を欠く不適法なものであるとして却下した。 とはできず、また、本件仮登記中上告人以外の共有者の共有持分権についての仮登記の一部抹消(更正)登記手続を認める判決をしても、該判決の既判力、執行力は上告人以外の他の共有者には及ばないから、他の共有者にとつては実益がないし、さらに、他の共有者がその権利保護を求めたいのであれば、みずから権利を主張して訴訟を提起すれば足りるとし、結局上告人の右請求部分を、訴の利益を欠く不適法なものであるとして却下した。<要旨>しかしながら、ある不動産の共有者の一人が、当該不動産につき登記簿上所有名義人になつている第三者に</要旨>対し、その登記全部の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならず、いわゆる保存行為として許されるのであつて、共有者の一人が右登記全部の抹消を求めることができるものと解すべきところ(最高判、昭和三一・五・一〇、民集一〇―五ー四八七、同昭和三三・七・二二、民集一二 いわゆる保存行為として許されるのであつて、共有者の一人が右登記全部の抹消を求めることができるものと解すべきところ(最高判、昭和三一・五・一〇、民集一〇―五ー四八七、同昭和三三・七・二二、民集一二―一二―一八〇五各参照)、これと同様に、相続により数名(三名以上)の者の共有となつた不動産につき、その共有者の一人が単独で不正に共有物全部の所有権取得登記を経由して他の共有者が共有物に対して有する権利を妨害している場合においては、右妨害を受けている共有者の一人は、相続回復請求権の行使として単独で右所有権取得登記の抹消を請求し、或は共有物の保存行為として右単独の登記名義人となつている共有者に対し、その者の共有持分を除くその余の共有持分に相当する登記部分の抹消(更正)登記手続を求めることも許されるものと解するのが相当である。けだし、一般に共有物の保存行為とは、共有者全体の立場からみて共有物の保存に役立つ行為を指称するのであるけれども、共有者の一人が単独で共有不動産全部の登記名義人となつているために、他の数名の共有者が共有物に対して有している権利を妨害されている場合において、右妨害を受けている共有者の一人が右妨害を受けている共有者全員の共有持分についての登記部分の抹消(更正)を求めて右妨害を排除することは、当該共有者らが共有物に対して有している共通の利益を保存することになるからである。そしてまた、右不正に登記をした共有者が、第三者に対し共有物全部の所有権移転登記或は仮登記をした場合にも、その第三者は右共有者の持分権以外の権利についでは無効な登記によりその他の共有者らの共有権を妨害していることになるから、その他の共有者らの中の一人は、共有物の保存行為として単独て第三者に対して右登記の更正を請求しうるものといわねばならない。 対して有している共通の利益を保存することになるからである。そしてまた、右不正に登記をした共有者が、第三者に対し共有物全部の所有権移転登記或は仮登記をした場合にも、その第三者は右共有者の持分権以外の権利についでは無効な登記によりその他の共有者らの共有権を妨害していることになるから、その他の共有者らの中の一人は、共有物の保存行為として単独て第三者に対して右登記の更正を請求しうるものといわねばならない。けだし、右の場合は、前に判示 共有者らの共有権を妨害していることになるから、その他の共有者らの中の一人は、共有物の保存行為として単独て第三者に対して右登記の更正を請求しうるものといわねばならない。けだし、右の場合は、前に判示した共有不動産につき不正に登記名義人となつている第三者に対する登記抹消の請求と同様に理解されるからである。原審第一三回口頭弁論調書によれば、上告人は「本件請求は、上告人の本件不動産に対する共有持分権に基づく請求である」旨釈明しているけれども、上告人提出の本件訴状並びに第一、二審の口頭弁論の全趣旨によれば、上告人が本訴において民法二五二条但書による保存行為としての妨害排除請求権を請求原因として主張していることが容易にうかがえるから、原審は釈明権の行使により右の点を明らかにした上、この点につき判断をなすべき筈のものであつた。しかるに、原審は本訴を上告人の持分権に基づく本件仮登記の更正登記手続請求に過ぎないものと即断し、上告人の本訴請求中、本件仮登記のうちで上告人及びA以外の他の共有者であるBら四名の共有持分一五分の一一に相当する部分についての登記部分の抹消(更正)登記手続を求める上告人の請求部分を、不可分債権の規定の適用がないこと等原判決説示のような理由により、不適法として却下した。したがつて、原判決には、釈明権の行使を怠り、その結果法律の解釈を誤つた違法があるといわざるを得ない。それ故にこの点に関する論旨は理由があるから、原判決中右の点に関する部分は破棄を免がれないところ、本件仮登記の更正登記手続を求める本訴請求の特質に鑑み、原判決全部を破棄することとし、なお、本件についてではさらに審理を尽す必要があるから、本件を原審に差戻すこととする。よつて、民訴法四〇七条一項に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官後藤勇裁 とし、なお、本件についてではさらに審理を尽す必要があるから、本件を原審に差戻すこととする。 決中右の点に関する部分は破棄を免がれないところ、本件仮登記の更正登記手続を求める本訴請求の特質に鑑み、原判決全部を破棄することとし、なお、本件についてではさらに審理を尽す必要があるから、本件を原審に差戻すこととする。よつて、民訴法四〇七条一項に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官後藤勇裁 とし、なお、本件についてではさらに審理を尽す必要があるから、本件を原審に差戻すこととする。よつて、民訴法四〇七条一項に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官後藤勇裁判官磯部有宏)
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