平成29(行ウ)388 義務付け等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年12月23日 東京地方裁判所
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判決文本文143,723 文字)

令和3年12月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(行ウ)第388号義務付け等請求事件口頭弁論終結日令和3年8月31日判決 主文 1 本件訴えのうち,Aに対して損害賠償請求をすることを求める部分を却下する。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,Aに対し,1209億4626万円及びこれに対する平成28年12月5日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払うよう請求せよ。 2 被告は,B及びCに対し,1209億4626万円及びこれに対する平成28年12月5日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払うよう請求せ よ。 3 被告は,三井不動産レジデンシャル株式会社,エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社,新日鉄興和不動産株式会社,住友商事株式会社,住友不動産株式会社,大和ハウス工業株式会社,東急不動産株式会社,東京建物株式会社,野村不動産株式会社,三井不動産株式会社及び三菱地所レジデンス株式会社に対し,1 209億4626万円及びこれに対する平成28年12月5日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払うよう請求せよ。 4 被告が三井不動産レジデンシャル株式会社,エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社,新日鉄興和不動産株式会社,住友商事株式会社,住友不動産株式会社,大和ハウス工業株式会社,東急不動産株式会社,東京建物株式会社,野村不動 産株式会社,三井不動産株式会社及び三菱地所レジデンス株式会社に対し,1 339億0626万円の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 第2 事案の概要 1 東京都(以下「都」ということがあ ,三井不動産株式会社及び三菱地所レジデンス株式会社に対し,1 339億0626万円の支払請求を怠ることが違法であることを確認する。 第2 事案の概要 1 東京都(以下「都」ということがある。)は,その保有する別紙2物件目録記載1から5までの土地(併せて以下「本件土地」という。)につき,令和2年に開催が予定されていた東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック 競技大会(東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。以下「本件大会」という。)の選手村として一時使用するとともに本件大会後に整備・活用することを目的として,本件土地等を施行地区とする第一種市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)を施行し,同事業において,本件土地を特定建築者である三井不動産レジデンシャル株式会社ら11社(請求の趣旨 第3項記載の11社。以下,これらを併せて「本件11社」といい,そのうち個々の会社を指すときは,その商号でもって表記する〔ただし,「株式会社」の記載は省略する。〕。)に譲渡した(以下「本件譲渡」といい,本件譲渡に係る契約を「本件譲渡契約」と,本件譲渡の価格を「本件譲渡価格」とそれぞれいう。)。 本件は,東京都の住民である原告ら32名が,前都知事であるA(以下「A知事」という。),現都知事であるB(以下「B知事」という。)及び本件譲渡契約当時の東京都都市整備局長であるC(以下「C局長」という。なお,以下では東京都の局又は局長については「東京都」又は「都」の記載を省略する。)による本件再開発事業の施行の認可申請(以下「本件事業認可申請」と いう。)から本件譲渡契約の締結に至るまでの本件再開発事業に係る一連の行為はいずれも財務会計法規上違法であり,本件土地が不当に廉価で譲渡されたことにより,東京都は本件 「本件事業認可申請」と いう。)から本件譲渡契約の締結に至るまでの本件再開発事業に係る一連の行為はいずれも財務会計法規上違法であり,本件土地が不当に廉価で譲渡されたことにより,東京都は本件譲渡価格(129億6000万円)と本件土地の適正な価格(1339億0626万円を下回らない。)との差額(少なくとも1209億4626万円)に相当する損害を被ったと主張して,被告を相手に, 地方自治法(以下「地自法」という。)242条の2第1項に基づき次の各請 求をする事案(住民訴訟)である。これに対し,被告は,本件訴えの一部は訴訟要件を欠く不適法な訴えであるとして却下を求めるほか,原告らの主張する行為は,本件譲渡価格に関しても,それ以外の点に関しても財務会計法規上違法ではないとして,棄却を求めている。 ⑴ 地自法242条の2第1項4号に基づき,A知事に対し,当該職員に対す るものとして,上記損害(これに対する本件譲渡契約締結の日である平成28年12月5日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金を含む。後記⑵及び⑶において同じ。)に係る損害賠償請求をすることを求める請求(請求の趣旨1項)⑵ 地自法242条の2第1項4号に基づき,B知事及びC局長に対し,当該 職員に対するものとして上記損害に係る損害賠償請求をすることを求める請求(請求の趣旨2項)⑶ 地自法242条の2第1項4号に基づき,本件11社に対し,当該行為又は怠る事実に係る相手方に対するものとして,上記損害に係る損害賠償請求をすることを求める請求(請求の趣旨3項) ⑷ 地自法242条の2第1項3号に基づき,被告が本件11社に対して本件土地の適正な価格に相当する1339億0626万円の支払請求権の行使を 償請求をすることを求める請求(請求の趣旨3項) ⑷ 地自法242条の2第1項3号に基づき,被告が本件11社に対して本件土地の適正な価格に相当する1339億0626万円の支払請求権の行使を怠ることが違法であることの確認を求める請求(請求の趣旨4項) 2 関係法令等の定め⑴ 本件に関係する地自法の定めは別紙3-1,地方自治法施行令の定めは別 紙3-2,東京都議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例(昭和39年東京都条例第14号。以下「付議決条例」という。)の定めは別紙3-3,東京都財産価格審議会条例(昭和28年東京都条例第26号。以下「審議会条例」という。乙21)の定めは別紙3-4,都市再開発法(平成28年法律第72号による改正前のもの。以下「再開発法」とい う。)の定めは別紙3-5のとおりである。 ⑵ 不動産の鑑定評価に関する基準等国土交通省は,不動産鑑定士又は不動産鑑定士補(併せて以下単に「不動産鑑定士」という。)が不動産の鑑定評価(不動産の経済価値を判定し,その結果を価額に表示することをいう〔不動産の鑑定評価に関する法律2条1項参照〕。以下同じ。)をするに当たってよるべき基準として,「不動産鑑 定評価基準」(ただし,平成26年5月1日改正後のもの。甲61。以下「鑑定評価基準」という。)を定めるとともに,鑑定評価基準の運用上の留意事項に関して「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項」(ただし,平成26年5月1日改正後のもの。乙28。以下「鑑定評価基準留意事項」という。)を定めている。 また,国土交通省は,不動産鑑定士が,その所属する不動産鑑定業者が業として価格等調査を行う場合に,当該価格等調査の目的と範囲等に関して依頼者との間で確定すべき事項及び成果報告書の記載 また,国土交通省は,不動産鑑定士が,その所属する不動産鑑定業者が業として価格等調査を行う場合に,当該価格等調査の目的と範囲等に関して依頼者との間で確定すべき事項及び成果報告書の記載事項等について,「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」(ただし,平成26年 5月1日改正後のもの。乙11。以下「ガイドライン」という。)を定めている。 ⑶ 鑑定評価基準の定めア鑑定評価によって求める価格の種類等鑑定評価基準は,不動産の鑑定評価によって求める価格の種類として, ①正常価格,②限定価格,③特定価格及び④特殊価格の4種類を掲げた上,これらのうち,基本的には正常価格を求めるが,鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定価格,特定価格又は特殊価格を求める場合があるので,依頼目的に対応した条件を踏まえて価格の種類を適切に判断し,明確にすべきであるとし,上記各種類の価格の意義について次の とおり定めている。 正常価格とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価格を表示する適正な価格をいう。この場合において,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは,市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し,参入,退出が自由であること等の条 件を満たす市場をいい,同市場における市場参加者は,自己の利益を最大化するため,対象不動産の最有効使用(その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用をいう。以下同じ。)を前提とした価値判断を行うこと等の要件を満たすものとする。 限定価格とは,市場性を有する不動産について,不動産と 用(その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用をいう。以下同じ。)を前提とした価値判断を行うこと等の要件を満たすものとする。 限定価格とは,市場性を有する不動産について,不動産と取得する 他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値とかい離することにより,市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。 特定価格とは,市場性を有する不動産について,法令等による社会 的要請を背景とする鑑定評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値とかい離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。特定価格を求める場合の例としては,①証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で,投資家に示すため の投資採算価値を表す価格を求める場合,②民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で,早期売却を前提とした価格を求める場合,③会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で,事業の継続を前提とした価格を求める場合がある。 特殊価格とは,文化財等の一般的に市場性を有しない不動産につい て,その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価 格をいう。 イ価格を求める鑑定評価の手法鑑定評価基準は,不動産の価格を求める鑑定評価の基本的な手法は原価法,取引事例比較法及び収益還元法に大別され,このほかこれら3手法の考え方を活用した開発法等の手法があるとし,これら4手法の意義 等について次のとおり定めている。 原価法は,価格時点における対象不動産の再調 法及び収益還元法に大別され,このほかこれら3手法の考え方を活用した開発法等の手法があるとし,これら4手法の意義 等について次のとおり定めている。 原価法は,価格時点における対象不動産の再調達原価を求め,この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法であり,この手法は,対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において,再調達原価の把握及び減価修正を適切に 行うことができるときに有効であり,対象不動産が土地のみである場合においても,再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。なお,再調達原価とは,対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいい,土地の再調達原価は,その素材となる土地の標準的な 取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。 取引事例比較法は,まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い,これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い,かつ,地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められ た価格を比較考量し,これによって対象不動産の試算価格(比準価格)を求める手法であり,近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。なお,同手法は,市場において発生した取引事例を価格判定の基礎とするもの であるので,多数の取引事例を収集することが必要であり,取引事例は, 原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとし,必要やむを得 の であるので,多数の取引事例を収集することが必要であり,取引事例は, 原則として近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとし,必要やむを得ない場合には近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るもののうちから,対象不動産の最有効使用が標準的使用と異なる場合等には,同一需給圏内の代替競争不動産に係るもののうちから選択するものとするほか,①取引事情が正常な ものと認められるものであること又は正常なものに補正することができるものであること,②時点修正をすることが可能なものであること,③地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであることの全部の要件を備えなければならない。 収益還元法は,対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純 収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法であり,賃貸用不動産又は賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効である。なお,収益価格を求める方法には,一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法(直接還元法)と,連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を, その発生時期に応じて現在価値に割り引き,それぞれを合計する方法(DiscountedCashFlow;DCF法)があり,このうち,直接還元法は,次式により表される。なお,次式中,Pは求める不動産の収益価格,aは一期間の純収益,Rは還元利回りである。 P=a/R 宅地(更地)の鑑定評価額は,更地並びに配分法が適用できる場合における建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法(後記⑷イ)による収益価格を関連付けて決定するものとし,再調達原価が把握できる場合には,積算価格をも関連付けて 法が適用できる場合における建物及びその敷地の取引事例に基づく比準価格並びに土地残余法(後記⑷イ)による収益価格を関連付けて決定するものとし,再調達原価が把握できる場合には,積算価格をも関連付けて決定すべきであるところ,当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大き い場合等においては,さらに次の①及び②に掲げる価格を比較考量して 決定するものとし,この手法を開発法という。 ① 一体利用をすることが合理的と認められるときは,価格時点において,当該更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し,販売総額から通常の建物建築費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用(以下,単に「付帯費用」という。)を控除して得た価格 ② 分割利用をすることが合理的と認められるときは,価格時点において,当該更地を区画割りして,標準的な宅地とすることを想定し,販売総額から通常の造成費相当額及び付帯費用を控除して得た価格⑷ 鑑定評価基準留意事項の定めア鑑定評価基準留意事項は,特定価格に関し,上記⑶アの「法令等」と は,法律,政令,内閣府令,省令,その他国の行政機関の規則,告示,訓令,通達等のほか,最高裁判所規則,条例,地方公共団体の規則,不動産鑑定士等の団体が定める指針(不動産の鑑定評価に関する法律48条の規定により国土交通大臣に届出をした社団又は財団が定める指針であって国土交通省との協議を経て当該団体において合意形成がされたものをいう。 以下同じ。),企業会計の基準,監査基準をいうものとしている。 イ鑑定評価基準留意事項は,収益還元法における直接還元法に関し,対象不動産が更地である場合において,当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定し,収益還元法以外の手法によって想定建物等の価格 イ鑑定評価基準留意事項は,収益還元法における直接還元法に関し,対象不動産が更地である場合において,当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定し,収益還元法以外の手法によって想定建物等の価格を求めることができるときは,当該想定建物及びその敷地に基づく純収益から想 定建物等に帰属する純収益を控除した残余の純収益を還元利回りで還元する手法(土地残余法)を適用することができ,この手法は,土地と建物等から構成される複合不動産が生み出す純収益を土地及び建物等に適正に配分することができる場合に有効であるとする。 ウ鑑定評価基準留意事項は,宅地(更地)に関し,開発法によって求める 価格は,建築を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総 額を価格時点に割り戻した額から建物の建築費及び付帯費用又は土地の造成費及び付帯費用を価格時点に割り戻した額をそれぞれ控除して求めるものと,開発法の基本式を示すと次のようになるとしている。 P=(S/(1+r)n1)-(B/(1+r)n2)-(M/(1+r)n3)ただし,Pは開発法による試算価格を,Sは販売総額を,Bは建物の 建築費又は土地の造成費を,Mは付帯費用を,rは投下資本収益率を,n1は価格時点から販売時点までの期間を,n2は価格時点から建築代金の支払時点までの期間を,n3は価格時点から付帯費用の支払時点までの期間をそれぞれ指す。 ⑸ ガイドラインの定め ア以下においては,ガイドラインの定義に沿って,不動産の価格又は賃料を「価格等」と,不動産の価格等を文書等に表示する調査を「価格等調査」と,不動産鑑定業者に価格等調査を求める他人を「依頼者」と,鑑定評価基準の全ての内容に従って行われる価格等調査を「鑑定評価基準に則った鑑定評価」と,鑑定 価格等を文書等に表示する調査を「価格等調査」と,不動産鑑定業者に価格等調査を求める他人を「依頼者」と,鑑定評価基準の全ての内容に従って行われる価格等調査を「鑑定評価基準に則った鑑定評価」と,鑑定評価基準に則った鑑定評価以外の価格等調査を 「鑑定評価基準に則らない価格等調査」と,価格等調査の成果をガイドラインに従い書面に示したものを「成果報告書」という。 ガイドラインは,鑑定評価基準に則った鑑定評価と鑑定評価基準に則らない価格等調査との関係について,鑑定評価基準は,不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的基準であり,不動産鑑定評価 制度の適切な運用に寄与し,もって不動産の適正な価格の形成に資することを目的とするものであることから,不動産鑑定士が不動産の価格等を調査にするに当たっては,鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを原則とするが,①調査価額等が依頼者の内部における使用にとどまる場合,②公表・開示・提出される場合でも利用者の判断に大きな影響を 与えないと判断される場合,③調査価額等が公表されない場合で全ての 開示・提出先の承諾が得られた場合,④鑑定評価基準に則ることができない場合,又は,⑤その他ガイドラインが定める依頼目的,利用者の範囲等を勘案して鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合には,鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができるとしている。 イまた,ガイドラインは,①鑑定評価基準に定める条件設定の要件を満たさない価格等調査の条件を設定した場合には,鑑定評価基準に則らないこととなるが,この場合には,依頼目的,利用者の範囲等に照らして当該価格等調査の条件を設定することが合理的である理由を検証し,これを成果報告書に明記すべきこと,②鑑定評価基準に則らない価格 則らないこととなるが,この場合には,依頼目的,利用者の範囲等に照らして当該価格等調査の条件を設定することが合理的である理由を検証し,これを成果報告書に明記すべきこと,②鑑定評価基準に則らない価格等調査を行う場 合はどのような方法で価格等を求めるのか,鑑定評価基準に則った鑑定評価を行う場合は,鑑定評価基準に規定する価格等の種類(正常価格,限定価格,特定価格,特殊価格等)をそれぞれ成果報告書に記載すべきこと,③価格等調査の条件,価格等を求める方法又は価格等の種類等の基本事項の全部又は一部が鑑定評価基準に則らない場合は,鑑定評価基準における 基本的事項との主な相違点及びその合理的な理由を成果報告書に記載すべきことなどを記載している。 3 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記証拠〔書証は特記しない限り枝番を含む。以下同じ。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等(弁論の全趣旨)ア原告らは,東京都の住民である。 イ被告は,東京都の執行機関である。 ウ A知事は,後記エのB知事の都知事就任に至るまでの間,都知事の職にあった者である。 エ B知事は,平成28年8月2日以降現在に至るまで,都知事の職にある 者である。 オ C局長は,平成28年12月5日の本件譲渡契約締結当時,都市整備局長の職にあった者である。 ⑵ 本件土地(甲27~31,33~52,弁論の全趣旨)ア本件土地は,東京都中央区(以下単に「中央区」という。)晴海5丁目 に所在する5筆の土地(総面積13万3906.26㎡)であるところ(なお,この筆数ないし筆は,本件再開発事業による権利変換後のものである。),これらは,本件再開発事業により設置される道路(以下「本件区画道路等」といい,本件区画道路 3906.26㎡)であるところ(なお,この筆数ないし筆は,本件再開発事業による権利変換後のものである。),これらは,本件再開発事業により設置される道路(以下「本件区画道路等」といい,本件区画道路等の敷地と本件土地とを併せた土地ないしその区域を以下「本件施行地区」という。)により,各筆に対応する 5つの街区(5-3街区〔別紙2物件目録記載1の土地〕,5-4街区〔同記載2の土地〕,5-5街区〔同記載3の土地〕,5-6街区〔同記載4の土地〕及び5-7街区〔同記載5土地〕の各街区)に区分されている(以下,同目録記載1から5までの各土地については上記街区の名称で表記する。)。 本件土地の所在する晴海5丁目西地区は,三方を公有水面に囲まれた埋立地で,都心部と臨海副都心とを接続する位置にあり,都営地下鉄大江戸線(以下「大江戸線」という。)勝どき駅を最寄り駅として都心方面と結ばれている。 イ東京都は,後記⑷アの本件再開発事業の施行の認可申請から本件譲渡契 約締結(平成28年12月5日)に至るまでの間,本件土地を含む本件施行地区の土地全てを単独で所有していた。 ⑶ 本件再開発事業に至る経緯等ア平成25年9月8日,2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市を東京とすること(すなわち本件大会の開催)が決定された。 イ東京都は,上記アの決定を受け,本件土地を本件大会の出場選手の宿泊 施設等(第32回オリンピック競技大会〔2020/東京〕東京2020パラリンピック競技大会選手村。以下「選手村」という。)の用地等として利用することとし,平成26年2月13日,選手村建設のため,本件土地を含む本件施行地区を施行地区とする第一種市街地再開発事業(本件再開発事業。なお,一般に,再開発法上の第一種市 う。)の用地等として利用することとし,平成26年2月13日,選手村建設のため,本件土地を含む本件施行地区を施行地区とする第一種市街地再開発事業(本件再開発事業。なお,一般に,再開発法上の第一種市街地再開発事業を以下 「再開発事業」という。)を,東京都を再開発法2条の2第1項の規定による施行者(以下「個人施行者」といい〔同法7条の15第2項参照〕,個人施行者としてする市街地再開発事業の施行を「個人施行」という。)として実施する方針を決定した(弁論の全趣旨)。 ウ東京都は,平成26年12月19日,大会後の選手村予定地(本件土 地)の活用等に関する基本的な考え方を,「選手村大会終了後における住宅棟のモデルプラン」(以下「モデルプラン」という。)として公表するとともに,本件土地における選手村の整備及びその後の住居等としての活用については,再開発事業における特定建築者制度を導入し,民間事業者の活力や開発ノウハウを活用して,建物の整備を進めていく予定である こと,本件大会後,選手村をより魅力あるまちとしていくために,民間事業者の高い技術力やまちづくりの豊富な経験を活かす取組が必要であり,同年度中に民間事業者を事業協力者として選定する予定であることを明らかにした。モデルプランによれば,本件土地上に,本件大会の期間開始まで(以下,同期間を「大会期間」,同期間の開始前を「大会前」,同期間 の終了後を「大会後」ということがある。)には少なくとも選手用宿泊施設等として22棟の板状の住宅棟(14~17階建。以下「板状棟」という。)が建設され,そのほか,1棟の商業施設(4階建。以下「商業棟」という。)及び2棟の高層タワーの住宅棟(いずれも50階建。以下「タワー棟」という。)が建設され,最終的には,5-3街区には板状棟5棟, 設され,そのほか,1棟の商業施設(4階建。以下「商業棟」という。)及び2棟の高層タワーの住宅棟(いずれも50階建。以下「タワー棟」という。)が建設され,最終的には,5-3街区には板状棟5棟, 5-4街区には板状棟5棟,5-5街区には板状棟6棟及びタワー棟1棟, 5-6街区には板状棟6棟及びタワー棟1棟,5-7街区には商業棟1棟の合計25棟の建築物が建設される予定であった(甲79の4)。大会期間中に選手用宿泊施設等として使用される板状棟については,大会後に住居に転用する予定とされていた(以下,これら板状棟,タワー棟及び商業棟を併せて「選手村住宅棟等」という。)。(甲3,79,乙1) エ東京都は,平成27年1月23日,事業協力者に係る応募及び選定の手順等を定めるものとして「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会選手村及びレガシー検討に係る事業協力者募集要領」(乙2。以下「事業協力者募集要領」という。)を発表した。事業協力者募集要領には,都において,選手村住宅棟等の整備を担う再開発法99条の2第2項 所定の特定建築者(以下単に「特定建築者」という。)の公募に先立ち,施行予定者である都と共に選手村の整備及び本件大会後のレガシーとしてのまちづくりについて検討してもらう事業協力者を募集することとしたこと等が記載されている。 オ本件11社,三井物産株式会社及び三菱地所株式会社の13社により構 成され,名称を「2020晴海SmartCityグループ」とするグループ(以下「本件事業協力者グループ」という。)は,平成27年3月6日,東京都に対し,事業協力者の募集に係る応募申込を行ったところ,東京都は,同月27日,本件事業協力者グループを事業協力者とする旨決定した(乙5,弁論の全趣旨)。 )は,平成27年3月6日,東京都に対し,事業協力者の募集に係る応募申込を行ったところ,東京都は,同月27日,本件事業協力者グループを事業協力者とする旨決定した(乙5,弁論の全趣旨)。 カ東京都は,平成27年12月17日,本件土地を再開発等促進区(都市計画法12条の5第3項)とする地区計画を決定した。なお,本件施行地区に係る都市計画においては,同法12条1項4号,2項に基づく再開発事業の定めはなく,本件施行地区は再開発事業の施行区域(都市計画において再開発事業が定められた区域をいう。以下同じ。)ではない。(弁論 の全趣旨) キ東京都は,平成27年12月28日,一般財団法人日本不動産研究所(以下「不動研」という。)との間で,本件土地の価格等調査を委託する旨の業務委託契約を締結した(以下「本件調査委託契約」といい,同契約に基づく本件土地の価格等調査を「本件価格等調査」という。)。 本件調査委託契約に係る契約書においては,その目的として,本件大会 の選手村住宅棟等は,再開発事業による整備が予定されているところ,同事業では,東京都は,施行者に代わって建物を整備する特定建築者を公募し,本件土地を特定建築者に譲渡処分することを予定していることから,本件土地の譲渡処分に当たり,予定価格を設定する際の参考とするために価格等調査を行うものであることなどが記載されている。 また,本件調査委託契約においては,委託に係る業務の内容(価格等調査の実施に係る条件)として,①価格等調査は,鑑定評価基準,鑑定評価基準留意事項,ガイドライン等の不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たって準拠すべきとされているものに基づき行うものとすること,②価格等調査の時点(以下「価格時点」ということもある。)を平 成28年4 ガイドライン等の不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たって準拠すべきとされているものに基づき行うものとすること,②価格等調査の時点(以下「価格時点」ということもある。)を平 成28年4月1日とすること,③道路等のインフラ整備が完了したものとして評価すること,④本件土地を一括して譲渡するものとし,街区ごとに評価すること,⑤特定建築者が後記⑷イの施設建築物(本件施設建築物)を建設,取得した上で,本件土地を譲り受けるものとして評価すること,⑥本件施設建築物の一部を大会期間中に選手用宿泊施設等とし て使用し,大会後に改修の上,分譲又は賃貸するものとして評価すること(これら③~⑥の条件の内容を以下「選手村要因」という。),⑦評価手法は,取引事例比較法,収益還元法及び開発法の全て又は一部を用いることとし,用いることが適切でないと判断する手法についてはその理由を示すことという条件が定められている。 (以上につき,甲79,145,乙34) ク不動研は,東京都に対し,本件調査委託契約に基づき,平成28年2月23日付けで,本件土地の価格等調査の結果を記載した調査報告書(乙34。以下「本件調査報告書」という。)を提出した。 本件価格等調査は,少なくとも上記キ②~⑥の条件を満たすものとして実施されたものであるところ(本件価格等調査が同①,⑦の条件を満た しているか否かは当事者間に争いがある。),本件調査報告書は,同調査に基づく本件土地の平成28年4月1日時点における更地としての価額(以下,不動産の価格等調査による価額を「調査価額」という。)を,合計129億6000万円(9万6800円/㎡。街区ごとの内訳は,5-3街区が14億7900万円〔5万6200円/㎡〕,5-4街区 が18億 の価格等調査による価額を「調査価額」という。)を,合計129億6000万円(9万6800円/㎡。街区ごとの内訳は,5-3街区が14億7900万円〔5万6200円/㎡〕,5-4街区 が18億7900万円〔7万9500円/㎡〕,5-5街区が49億9400万円〔13万3000円/㎡〕,5-6街区が35億4300万円〔10万1000円/㎡),5-7街区が10億6500万円〔9万3800円/㎡〕)とするものであった。(乙34)ケ東京都は,平成28年2月23日,本件大会の選手村整備に関する基本 方針を決定した(甲118)。 ⑷ 本件再開発事業に係る経緯等ア東京都は,平成28年4月1日,東京都知事に対し,再開発法7条の9第1項に基づき,事業の名称を「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」とし,本件施行地区を施行地区とする再開発事業(本件再開発事業) について,個人施行者として行おうとする者としてその施行の認可を申請した(本件事業認可申請。なお,同申請に際し,同項に基づき定められた事業計画〔甲1,130〕を以下「本件事業計画」という。)。(甲1,130,弁論の全趣旨)イ本件事業計画は,本件再開発事業の目的について,大会期間中に選手用 宿泊施設等として一時使用され,大会後に本整備の上分譲又は賃貸される 板状棟21棟及び商業棟1棟に加え,タワー棟2棟を大会後に整備することにより,多様な人々が交流し快適に暮らせるまちづくりを行うことを目的とするものとした上で,本件再開発事業により,本件土地上にこれを施設建築敷地(同法2条7号)として施設建築物を建築するものとし,予定建築工事期間を平成29年1月から平成36年3月までとしている。 本件事業計画において本件土地上に建築するものとされている施設建築物 地(同法2条7号)として施設建築物を建築するものとし,予定建築工事期間を平成29年1月から平成36年3月までとしている。 本件事業計画において本件土地上に建築するものとされている施設建築物(以下これらを「本件施設建築物」という。)は,5-3街区については板状棟4棟(3-A棟~3~D棟。住宅戸数約1490戸),5-4街区については板状棟5棟(4-A棟~4-E棟。住宅戸数約690戸),5-5街区については板状棟6棟(5-A棟~5-F棟)及びタ ワー棟1棟(5-T棟。地下1階付50階建て。板状棟と合わせた住宅戸数約1830戸〔甲79の11によればそのうちタワー棟に係るものが731戸〕),5-6街区については板状棟6棟(6-A棟~6-F棟)及びタワー棟1棟(6-T棟。地下1階付50階建て。板状棟と合わせた住宅戸数約1640戸〔甲79の11によればそのうちタワー棟 に係るものが720戸〕),5-7街区については商業棟1棟(7-S棟)の合計24棟(住宅戸数合計約5650戸)である。 本件事業計画においては,本件施設建築物の主な用途について,板状棟及びタワー棟については主として住宅とされているが,一部の棟については1階部分が店舗とされ,また,3-B棟については1階部分が保育 所とされ,3-D棟については1階から3階までの部分が老人ホームとされている。なお,板状棟及び商業棟については,大会前に建築され,選手村として使用するための特別な仕様(以下「選手村仕様」という。)が施されることから,大会後に同仕様の解体工事が必要となる一方,タワー棟については,大会後に建築されることからこのような解体 工事は不要とされた。また,5-3街区の板状棟(以下「賃貸棟」とい うことがある。)は大会後にその各区画が賃貸の用に供さ タワー棟については,大会後に建築されることからこのような解体 工事は不要とされた。また,5-3街区の板状棟(以下「賃貸棟」とい うことがある。)は大会後にその各区画が賃貸の用に供されるものとされ,その他の板状棟及びタワー棟(住宅戸数合計約4160戸。これらの棟を併せて「分譲棟」ということがある。)については大会後にその各区画が分譲されることとされていた。 また,本件事業計画に定められた資金計画においては,本件再開発事業 に係る財産収入が129億6000万円であり,うち12億9600万円が平成28年度中に,うち77億7600万円が平成33年度中に,うち38億8800万円が平成35年度中に支払われるものとされている。 (以上につき,甲1,79,130,乙6,34)ウ東京都知事は,平成28年4月22日,本件事業認可申請に基づき,本 件再開発事業の施行を認可するとともに(以下「本件事業認可」という。),再開発法7条の15第1項の規定に基づく公告及び中央区長に対する関係図書の送付をした(甲8,乙20,弁論の全趣旨)。 エ東京都は,再開発法7条の9第1項,7条の10に基づき本件再開発事業に係る規準(以下「本件規準」という。)を定めているところ,本件規 準は,本件再開発事業により施行者たる東京都が取得する建築施設の部分(以下「保留床等」という。)及び再開発法99条の2第3項に規定する特定施設建築物(以下単に「特定施設建築物」という。)の敷地又はその共有持分の譲渡に関し適正な運営を図るため,晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業保留床等処分運営委員会(以下「運営委員会」という。) を置くこと(8条),運営委員会は,保留床等に係る価格の確定に関する事項及び特定施設建築物の敷地又はその共有持分 区第一種市街地再開発事業保留床等処分運営委員会(以下「運営委員会」という。) を置くこと(8条),運営委員会は,保留床等に係る価格の確定に関する事項及び特定施設建築物の敷地又はその共有持分(以下「敷地等」という。)の譲渡価格の確定に関する事項等について審議すること(9条),特定施設建築物の敷地等の譲渡契約の締結等に関する事務を都市整備局長に委任すること(18条)等を定めている(乙13)。 本件規準に基づき東京都に置かれた運営員会は,平成28年4月22日, 本件再開発事業によって建築する建築物(本件施設建築物)の施設建築敷地(本件土地)の譲渡予定価格(以下「本件譲渡予定価格」という。)について,本件価格等調査の結果を踏まえて審議した上,これを129億6000万円とすることに決定した(甲7,乙12)。 オ東京都は,平成28年4月22日,本件土地の地権者として,本件再開 発事業の施行者たる東京都に対し,再開発法71条1項の規定に基づき,本件施行地区について同法87条の規定による権利変換を希望せず,金銭の給付を希望する旨を書面で申し出るとともに(以下「本件申出」という。),同法110条1項の規定に基づき,本件施行地区の価額を129億6000万円とする本件再開発事業に係る権利変換計画(以下「本件権 利変換計画」といい,これによる権利変換を「本件権利変換」という。甲10,乙16)に同意した(以下「本件同意」といい,本件申出と併せて「本件同意等」ということがある。)(甲10,15,32,乙16)。 カ東京都は,本件再開発事業の施行者として,平成28年4月25日,都知事に対し本件権利変換計画の認可申請(以下「本件計画認可申請」とい う。)をしたところ,都知事は,同月26日,本件権利変換計画を認可した 件再開発事業の施行者として,平成28年4月25日,都知事に対し本件権利変換計画の認可申請(以下「本件計画認可申請」とい う。)をしたところ,都知事は,同月26日,本件権利変換計画を認可した(以下「本件計画認可」という。)。東京都は,本件再開発事業の施行者として,同年5月12日,地権者たる東京都に対し,再開発法86条1項所定の通知をして本件権利変換計画に係る権利変換処分(以下「本件権利変換処分」という。)を行い(同条2項参照),これにより,権利変換 期日である同月25日(以下「本件権利変換期日」という。)に本件権利変換が行われた(本件権利変換による本件土地ないし本件施行地区に係る権利の変動を以下「本件権利変動」という。)。 なお,本件権利変換計画には,①本件権利変換計画は再開発法110条1項所定の施行地区内の土地又は物件に関し権利を有する者全て(以下 「全権利者」という。)の同意に基づく権利変換手続の特則型により定 めるものであること,②地権者たる東京都は,本件申出により,再開発法の規定によって権利変換期日において当該権利を失い,かつ,当該権利に対応して,施設建築敷地又はその共有持分等を与えられないこととなるところ,その失われる本件施行地区に係る権利の価額を129億6000万円とすること(本件権利変換計画に定められた本件施行地区に 係る同価額を以下「本件施行地区価額」という。),③本件申出をした東京都に対し,同法91条1項の規定によらず,別途施行者たる東京都が定める期日及び方法で本件施行地区に係る補償金等を支払うこと,④本件施行地区内の土地は,同法87条の規定に基づき,権利変換期日において,所定の施設建築敷地(本件土地)及び新たな公共施設(本件区 画道路等)の用に供する土地に権利変換され,この 払うこと,④本件施行地区内の土地は,同法87条の規定に基づき,権利変換期日において,所定の施設建築敷地(本件土地)及び新たな公共施設(本件区 画道路等)の用に供する土地に権利変換され,このうち,施設建築敷地である本件土地については,同法76条4項の規定により施行者たる東京都に所有権が与えられ,新たな公共施設の用に供する土地については,公共施設の管理者となる東京都及び中央区に帰属するものとすること,⑤本件施設建築物の全部は,同法99条の2第1項の規定により施行者 以外の者(特定建築者)に建築を行わせるものとし,同条2項の規定により,当該特定建築者に本件施設建築物の全部を取得させるものとすること,⑥本件施設建築物の敷地である本件土地の所有権は,同法99条の6の規定に基づき,施行者が本件施設建築物の建築を完了したと認めるときは,速やかに当該特定建築者に譲渡すること,⑦本件施設建築物 は,同法99条の2第3項の規定に基づき,特定建築者が原始取得すること,⑧特定建築者は,同法99条の3第1項の規定に基づき公募すること,⑨権利変換期日を本件計画認可の日から30日目とし,工事完了の予定時期を平成36年3月とすることなどが定められており(乙16),平成28年4月26日に本件計画認可がされたことにより,本件 権利変換に係る権利変換期日が同年5月25日となったものである。 (以上につき,甲10,16,27~31,33~53,133,乙16,弁論の全趣旨)キ東京都は,平成28年5月13日,本件再開発事業において本件施設建築物を建築する特定建築者を募集するための「特定建築者募集要領」(乙6。以下「本件募集要領」といい,これに基づく特定建築者の募集を「本 件募集」という。)を発表した。 ク本件募集に対して 建築物を建築する特定建築者を募集するための「特定建築者募集要領」(乙6。以下「本件募集要領」といい,これに基づく特定建築者の募集を「本 件募集」という。)を発表した。 ク本件募集に対しては,本件事業協力者グループを構成する13社のうち,三井不動産レジデンシャル,エヌ・ティ・ティ都市開発,新日鉄興和不動産,住友商事,住友不動産,大和ハウス工業,東急不動産,東京建物,野村不動産,三井不動産及び三菱地所レジデンスの11社(本件11社)に よって構成されるグループ(以下「本件特定建築者グループ」という。)のみが応募したが,その際,本件特定建築者グループは,本件土地の譲受希望価格を129億6000万円とした(争いがない)。 ケ東京都は,平成28年7月28日,本件特定建築者グループ(これに属する本件11社)を本件再開発事業に係る特定建築者予定者とすることを 決定し,同年9月28日,同グループを特定建築者として決定するとともに,本件土地の譲渡価格(本件譲渡価格)を129億6000万円と決定した(弁論の全趣旨)。 ⑸ 本件譲渡契約の締結等(甲12,弁論の全趣旨)ア東京都は,平成28年12月15日,本件11社のうち三井不動産を除 く10社との間で,本件土地のうち5-3~5-6街区(板状棟及びタワー棟敷地)を上記10社に譲渡する旨の譲渡契約(甲12の1~4)を締結するとともに,三井不動産との間で,本件土地のうち5-7街区(商業棟敷地)を同社に譲渡する旨の譲渡契約(甲12の5)を締結した(上記各譲渡契約を併せたものが本件譲渡契約である。)。なお,本件譲渡契約 の締結に当たっては,C局長が都の契約担当者として締結行為を行った。 イ本件譲渡契約に係る各契約書においては,①その譲渡金額を合計129億60 約である。)。なお,本件譲渡契約 の締結に当たっては,C局長が都の契約担当者として締結行為を行った。 イ本件譲渡契約に係る各契約書においては,①その譲渡金額を合計129億6000万円(5-3街区16億3000万円,5-4街区10億2500万円,5-5街区47億4500万円,5-6街区45億6000万円,5-7街区10億円)とするが(2条1項),本件11社が特定建築者応募時に提出した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかと なった場合等は,都と本件11社とは譲渡金額の変更に関する取扱いについて別途協議するものとし(同条2項),本件11社が特定建築者応募時に提出した資金計画書に記載のない新たな収入が生じる場合には,これに伴う事業内容の変更を踏まえて資金計画の修正を行い,敷地譲渡金額を変更するものとすること(同条3項),②本件11社は,譲渡対象の各土 地上に本件施設建築物を別途協議して定める日までに整備し,再開発法99条の6第1項に定める建築工事完了の届出をしなければならないこと(3条),③完了公告の日は,平成36年3月末日を超えてはならないこと(4条),④本件11社は,都に対し,本件譲渡契約締結時に,同契約に関する契約保証金として上記①の譲渡金額の1割を支払い,同契約 保証金は後記⑤の譲渡金額の納入において譲渡金額の一部に充当すること(5条),⑤本件11社は,上記①の譲渡金額から上記④の契約保証金を控除した残額を,上記③の完了公告を行うため別途協議して定める日までに納入しなければならないこと(6条1項。ただし,後記のとおり5-5街区及び5-6街区に係る場合を除く。),⑥本件11社から上記② の建築工事完了の届出があった場合において,都が本件施設建築物の建築の完了を確認し,本件11社が上 。ただし,後記のとおり5-5街区及び5-6街区に係る場合を除く。),⑥本件11社から上記② の建築工事完了の届出があった場合において,都が本件施設建築物の建築の完了を確認し,本件11社が上記⑤の譲渡金額の納入を完了したときは,同法99条の6第2項の規定に基づき,都から本件11社に本件土地の所有権が移転するものとし,都は,直ちに所有権移転登記を嘱託すること(8条,9条),⑦本件11社は,上記③の完了公告の日までの間,平 成32年1月から同年12月末までの期間を除き,本件土地を本件施設建 築物の建築のために使用できること(11条1項,2項),⑧本件11社は,上記⑦の期間内であっても,選手村仕様解体工事及び原状回復に関する工事(本件施設建築物の完成前に,その一部を本件大会の選手用宿泊施設等として一時的に使用した後に,本件事業計画で定める施設建築物とするために行う選手村仕様の解体工事及び原状回復に関する工事をい う。)が完了した場合は,敷地及び建物を使用できること(同条3項)等が定められている。 もっとも,本件譲渡契約においては,都と本件11社(ただし,三井不動産を除く。)は,上記③の定めにかかわらず,本件施設建築物のうち板状棟(大会期間中に選手用宿泊施設等として使用される。)について は,平成34年9月末日を目途に完了公告の日を設定するものとされている(4条2項)。 また,5-5街区及び5-6街区については,同土地上に建築される本件施設建築物に建築時期が異なる板状棟とタワー棟の双方が含まれることから,本件譲渡契約のうち,これらの街区に係るものにおいては,譲 渡金額の納入期限について,上記⑤と異なり,譲渡金額から上記④の契約保証金を控除した残額のうち,一部(5-5街区につき24億1378万150 契約のうち,これらの街区に係るものにおいては,譲 渡金額の納入期限について,上記⑤と異なり,譲渡金額から上記④の契約保証金を控除した残額のうち,一部(5-5街区につき24億1378万1500円,5-6街区につき22億1068万8000円)を中間金として板状棟の完了公告の日までに納入しなければならず,譲渡金額から上記④の契約保証金及び上記中間金を控除した残額については, 上記③の完了公告の日までに納入しなければならないものとされている(6条)。 ⑹ その後の経過等本件11社は,平成29年1月,本件施設建築物の建築工事に着手した。 また,本件再開発事業の施行者である東京都は,道路整備等基盤整備に約5 40億円(公共施設工事費約188億円,用地及び補償費約319億円,そ の他約33億円)を負担する計画である。(弁論の全趣旨)⑺ 住民監査請求ア原告らは,平成29年5月19日,都監査委員に対し,「東京都職員措置請求書(住民監査請求書)」(甲20)を提出し,本件譲渡契約に至る一連の行為,具体的には,①施行予定者たる東京都がした本件事業認可申 請,②認可庁たる東京都がした本件事業認可,③運営委員会による本件土地の譲渡価格を129億6000万円とする決定,④地権者たる東京都がした本件申出,⑤認可庁たる東京都が,地権者たる東京都が129億6000万円の転出補償金を得て転出する内容の本件権利変換計画を認可し(本件計画認可),これにより,本件権利変換計画が平成28年5月25 日に確定したこと,⑥施行者たる東京都が本件土地の価格129億6000万円を前提として本件募集を行い,平成28年7月28日に特定建築者を本件11社に決定したこと及び⑦本件譲渡契約の締結は,いずれも違法,不当な財務会計上の行為(以下「財 本件土地の価格129億6000万円を前提として本件募集を行い,平成28年7月28日に特定建築者を本件11社に決定したこと及び⑦本件譲渡契約の締結は,いずれも違法,不当な財務会計上の行為(以下「財務会計行為」という。)であるとして,本件土地の違法かつ不当な低廉価格による売却による損害を回避又は補填 するために必要な措置を講じることを都知事に勧告することを求める住民監査請求を行った(以下「本件監査請求」という。甲20)。 イ都監査委員は,平成29年7月18日頃,本件監査請求について,上記アの①から⑦までの一連の行為が違法,不当であるとする原告らの主張には理由がない旨判断し,同日,原告らに対しその旨の監査結果を通知した (甲21)。 ⑻ 本件訴えの提起原告らは,平成29年8月17日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 争点及び当事者の主張本件の争点は,①本件訴えの適法性(本案前の争点。争点①),②本件譲渡 契約に至る本件再開発事業に係る一連の行為が財務会計法規上違法であるか否 か(便宜上,この争点を本件土地の価格に関するもの以外のもの〔争点②-1〕と本件土地の価格に関するもの〔争点②-2〕に区分する。),③A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意又は過失の有無(争点③),④東京都に生じた損害の有無及び額(争点④)であり,これらについての当事者の主張の要旨は別紙4記載のとおりである。なお,同別紙で使用した略語は本文におい ても用いる。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,本件訴えのうち,A知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分(狭義の財務会計行為1に係る部分)は,適法な住民監査請求の前置を欠く不適法な訴えであるから却下すべきであり,原告らのその余の請求は,本件譲 渡契約の締結 て損害賠償請求をすることを求める部分(狭義の財務会計行為1に係る部分)は,適法な住民監査請求の前置を欠く不適法な訴えであるから却下すべきであり,原告らのその余の請求は,本件譲 渡契約の締結が財務会計法規上違法であるとは認められないから,いずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由の詳細は以下のとおりである。 1 本件訴えの適法性(本案前の争点)について(争点①)⑴ 検討の対象となる財務会計行為地自法242条の2第1項4号の請求に係る住民訴訟(以下「4号訴訟」 という。)は,同法242条に定める財務会計行為(公金の支出,財産の取得,管理若しくは処分,契約の締結若しくは履行又は債務その他の義務の負担)及び公金の賦課若しくは徴収又は財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」といい,財務会計行為と併せて「財務会計行為等」という。)を対象とし,財務会計行為等が財務会計法規に違反し違法である場合に,当該職員又 は当該財務会計行為等に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求(当該職員又は相手方が賠償命令対象者である場合には賠償命令)をすることを当該地方公共団体の執行機関等に求める訴訟であって,その審理判断に当たっては,対象となる財務会計行為等ごとに,不法行為若しくは不当利得又は同法243条の2の2第1項所定の賠償責任の成否(財務会計法規上の違法, 故意又は過失,損害又は損失,因果関係等)について検討することを要する ものであるから,4号訴訟においては,対象となる財務会計行為等を,他の事項から区別して特定認識できるように個別的,具体的に摘示することを要するものと解される。 原告らは,本件訴訟において対象とする財務会計行為として,広義の財務会計行為,狭義の財務会計行為1及び2の三つを摘示しているようで できるように個別的,具体的に摘示することを要するものと解される。 原告らは,本件訴訟において対象とする財務会計行為として,広義の財務会計行為,狭義の財務会計行為1及び2の三つを摘示しているようであるが, 他方において,広義の財務会計行為の中でも個別の財務会計行為ごとに当該行為の権限を有する者や規制の根拠たる財務会計法規が異なるとして,狭義の財務会計行為1及び2(本件各対象行為)を摘示するに至っているのであり(原告ら準備書面⑵・2頁以下参照),このことに鑑みると,原告らが上記三つを摘示しているのは,広義の財務会計行為とは別個のものとして本件 各対象行為を摘示するというよりも,広義の財務会計行為を具体化するものとして本件各対象行為を摘示する趣旨であると解するのが相当である。そうであれば,原告らがいう広義の財務会計行為とは,本件各対象行為(に該当する個々の行為)の総称であるにすぎないこととなるから,本件においては,広義の財務会計行為を構成する本件各対象行為(に該当する個々の行為)に ついて,これを対象とする訴えの適法性を検討すれば足りるというべきである。仮に,上記のような趣旨でないとすれば,原告らのいう広義の財務会計行為は,本件事業認可申請から本件譲渡契約の締結に至るまでの本件再開発事業に係る一連の行為をいうものとなり,個々の行為を特定して摘示するものではなく,審理判断の対象となる財務会計行為等を他の行為から区別し特 定して認識することが困難となるし,このような広義の財務会計行為に含まれる複数の行為について,当該行為等の性質,目的等に照らしこれらを一体とみてその違法性を判断するのが相当であるということもできないから,4号訴訟において求められる特定を欠くことになる。 ⑵ 狭義の財務会計行為1に係る訴えの適法性につい 質,目的等に照らしこれらを一体とみてその違法性を判断するのが相当であるということもできないから,4号訴訟において求められる特定を欠くことになる。 ⑵ 狭義の財務会計行為1に係る訴えの適法性について アそこで,まず,狭義の財務会計行為1に係る訴えの適法性について検討 するに,原告らは,狭義の財務会計行為1に該当する個々の行為として,①本件権利変換計画の作成,②本件申出,③本件同意,④本件計画認可及び⑤本件権利変換処分の五つの行為を摘示している。 イところで,適法に住民訴訟を提起するためには,当該訴訟において対象とする財務会計行為等につき,適法な住民監査請求を前置する必要がある ところ(地自法242条の2第1項柱書),財務会計行為に係る住民監査請求は,当該財務会計行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは,これをすることができないものとされている(同法242条2項本文)。 しかるところ,本件権利変換計画の作成は遅くとも平成28年4月22 日までにされており,本件申出及び本件同意は同日に,本件計画認可は同月26日に,本件権利変換処分は同年5月12日にそれぞれされているところ(前提事実⑷オ,カ),原告らが,これらの行為を対象として住民監査請求(本件監査請求)をしたのは,同日から1年を経過した後である平成29年5月19日である(前提事実⑺ア)。したがって,本 件監査請求のうち,上記アの①から⑤までの各行為を対象とする部分については,これら各行為の財務会計行為該当性を検討するまでもなく,監査請求期間を徒過してされたものとして不適法であって,狭義の財務会計行為1について適法な住民監査請求が前置されているということはできない。したがって,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為1をその 対象と を徒過してされたものとして不適法であって,狭義の財務会計行為1について適法な住民監査請求が前置されているということはできない。したがって,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為1をその 対象とする部分は不適法である。 そして,原告らの主張によれば,狭義の財務会計行為1の行為者はその時点における都知事であるA知事である一方,狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)時点における都知事はB知事である(前提事実⑴ウ,エ)から,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為1を対象とする ものは,原告らの請求のうちA知事に対して損害賠償請求をすることを 求める部分の全部である。したがって,本件訴えのうち,同請求に係る部分は,適法な住民監査請求の前置を欠き,不適法である。 ウ原告らの主張について原告らは,本件土地の権利変動(本件権利変動)が一連の手続により行われていることから,狭義の財務会計行為1についての監査請求期 間の制限についてはその全体について最終行為日から起算すべき旨を主張する。 しかしながら,上記アの①から⑤までの各行為は,本件再開発事業における一連の行為であるとしても,これらの行為に適用される実体上,手続上の法規の内容は同一ではないから,これらは互いに独立した行為 というべきものである。そうすると,上記各行為については,仮にこれらがいずれも財務会計行為に該当する余地があるとしても,住民監査請求においては,これらの行為のいずれを対象とするのかにより監査すべき内容が異なることになるから,それぞれの行為が独立して住民監査請求の対象となるものであり,地自法242条2項本文所定の監査請求期 間についても,それぞれの行為のあった日から各別に計算するのが相当である(最高裁平成11年(行ヒ)第131号同14年 民監査請求の対象となるものであり,地自法242条2項本文所定の監査請求期 間についても,それぞれの行為のあった日から各別に計算するのが相当である(最高裁平成11年(行ヒ)第131号同14年7月16日第三小法廷判決・民集56巻6号1339頁参照)。したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,本件権利変換計画は平成28年5月25日(本件権利変 換期日)に確定しているところ,同日から1年以内に本件監査請求をしているとして,狭義の財務会計行為1について適法な住民監査請求を経由している旨主張する。 しかしながら,再開発法に基づく権利変換は,行政処分である権利変換処分によって行われるところ,この権利変換処分は,再開発法86条 1項所定の通知によってするものとされ(同条2項),また,権利変換 期日は権利変換計画において定められるものとされている(同法73条1項17号)。すなわち,権利変換計画が認可され,上記通知による権利変換処分がされた場合には,権利変換計画に定められた権利変換期日に当然に同法及び当該権利変換計画に従った権利変動が生じるものと解されるのであって(同法87条以下,110条2項参照),同法上,上 記通知をもってする権利変換処分とは別に,当該権利変換計画を確定させ,あるいは当該権利変換計画に基づく権利変動を生じさせるための行為は予定されてない。したがって,原告らの上記主張が,平成28年5月25日の本件権利変換期日において住民訴訟の対象となる財務会計行為がされた旨をいうものであるとすれば,同日にそのような財務会計行 為が存するものとは認められない。 仮に,原告らの上記主張が,本件監査請求が対象とする財務会計行為が本件権利変換処分自体であることを前提としつつ,本件権利変換 ば,同日にそのような財務会計行 為が存するものとは認められない。 仮に,原告らの上記主張が,本件監査請求が対象とする財務会計行為が本件権利変換処分自体であることを前提としつつ,本件権利変換期日の到来によって初めて本件権利変換処分による損害が生じるから,本件権利変換処分に係る住民監査請求期間については本件権利変換期日から 起算すべき旨をいうものであるとしても,そもそも,再開発事業に係る権利変換処分は,施行地区内の宅地の財産的価値に着目して,その価値の維持,保全を図る財務的処理を直接の目的とするものではないから,住民訴訟の対象となる財務会計行為には当たらないと解するのが相当であり(最高裁昭和49年(行ツ)第90号同51年3月30日第三小法 廷判決・集民117号337頁参照),原告らの主張はその前提を欠くというべきである。 これらに照らせば,いずれにせよ,狭義の財務会計行為1に係る監査請求期間について,本件権利変換期日である平成28年5月25日を基準としてその遵守の有無を判断すべきものとはいえないから,この点に ついての原告らの主張は採用することができない。 ⑶ 狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)に係る訴えの適法性他方,狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)は,住民訴訟の対象となる「財産の処分」及び「契約の締結」に当たることは明らかであり(最高裁平成6年(行ツ)第239号同10年11月12日第一小法廷判決・民集52巻8号1705頁参照),住民監査請求の前置に欠けるところもない。 したがって,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)をその対象とする部分(本件訴えのうち,A知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分以外の部分)は,適法である。 ⑷ 小 したがって,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)をその対象とする部分(本件訴えのうち,A知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分以外の部分)は,適法である。 ⑷ 小括以上によれば,本件訴えのうち,狭義の財務会計行為1を対象とする部分 (A知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分)は不適法である一方,その余の部分(狭義の財務会計行為2に係る部分)は適法に提起されたものである。そこで,以下においては,本件譲渡契約の締結が財務会計法規に反し違法であるか否かについて検討する。 2 本件譲渡契約の締結に係る手続が財務会計法規に反し違法であるか否かにつ いて(争点②-1関係)⑴ 本件再開発事業自体の違法をいう原告らの主張についてア原告らは,①本件再開発事業は,地方公共団体である東京都が,本件土地の単一の所有者(地権者)であり,個人施行者であると同時に,監督官庁としての認可権者という三つの役割を同時に担っている点において極 めて異例であること,②地方公共団体が再開発事業を個人施行として行うことは許されないのに,都は本件再開発事業を個人施行として行っていること,③本件再開発事業の手続は,再開発法51条から57条までの規定に違反していること,④地方公共団体が再開発事業を施行する場合には都市計画事業として行わなければならないのに,都は本件再開発事業 を都市計画事業として行っていないことなどから本件再開発事業は違法で あり,都知事及びC局長は,このような違法な原因行為をそのままにして財務会計行為(本件譲渡契約の締結)をしてはならないという財務会計法規上の義務を負い,これに違反したものであるなどと主張する(なお,原告らは,本件譲渡契約締結の原因行為の違法事由として,狭義の財 て財務会計行為(本件譲渡契約の締結)をしてはならないという財務会計法規上の義務を負い,これに違反したものであるなどと主張する(なお,原告らは,本件譲渡契約締結の原因行為の違法事由として,狭義の財務会計行為1の違法も主張するが,この点は,後記⑶において再開発法108条 2項の適用の有無を判断する際に検討する。)。 イ上記ア①から③までの主張について 前記前提事実のとおり,本件再開発事業においては,東京都が施行者であるとともに施行地区の唯一の所有者(地権者)であり,また,都知事がその施行等の認可権者となっている(前提事実⑵イ,⑷ア,ウ, カ)。 再開発法2条の2第1項は,同項各号の区域内の宅地(公共施設の用に供されている国や地方公共団体等の所有する土地以外の土地をいう〔同法2条5号〕。以下同じ。)について所有権若しくは借地権(併せて以下「所有権等」という。)を有する者又はこれらの宅地について所 有権等を有する者の同意を得た者(以下「所有者等」という。)は1人で又は数人共同して再開発事業を施行することができると定めており,区域内の宅地の唯一の所有者が再開発事業の個人施行者となり得ることを前提としているものと解される。 一方,再開発法2条の2第4項は,地方公共団体は施行区域内の土地 について再開発事業を施行することができると定めるところ,かかる規定は,当該地方公共団体が施行区域内の土地について所有権等を有するか否かにかかわらず,再開発事業の施行者となり得ること(すなわち公共団体施行)を定めたものである。そして,地方公共団体が同条1項の区域内の宅地の所有者等である場合に,同項の規定の適用を除外する旨 の明文の規定はなく,また,同項の規定の適用を否定すべき理由も見当 たらないことに照らすと 地方公共団体が同条1項の区域内の宅地の所有者等である場合に,同項の規定の適用を除外する旨 の明文の規定はなく,また,同項の規定の適用を否定すべき理由も見当 たらないことに照らすと,同法は,地方公共団体が,同条4項に基づく公共団体施行者として再開発事業を施行することのほか,同条1項に基づく個人施行者として施行することも許容しているものと解するのが相当である。なお,このことは,再開発法51条1項が,同条以下の規定の適用を受ける施行者としての地方公共団体を,同法2条の2第4項の 規定により再開発事業を施行する場合(公共団体施行の場合)に限るものとしており,地方公共団体による再開発事業の施行には公共団体施行によらない場合があることを前提とした規定振りとなっていることからも裏付けられているということができる。 以上によれば,再開発法は,地方公共団体が区域の宅地の唯一の所有 者である場合に個人施行者として当該区域を施行地区とする再開発事業を施行することも許容しているものと解されるところ,同法7条の9第1項は,個人施行の場合には当該再開発事業の施行について都道府県知事の認可を受けなければならない旨を定めているのであるから,区域の宅地の唯一の所有者であり個人施行者である地方公共団体が東京都であ る場合には,その認可権者は都知事となる。このように,個人施行者たる東京都の代表者と再開発事業の認可権者がいずれも都知事であることは,再開発法の定めによるものであって,以上のように区域の宅地の唯一の所有者である東京都が個人施行者となることが同法上許容されている以上,都知事が両者の地位を兼ねることをもって直ちに違法となると 解することはできないものというべきである。 この点につき,原告らは,地方公共団体が個人施行者と ることが同法上許容されている以上,都知事が両者の地位を兼ねることをもって直ちに違法となると 解することはできないものというべきである。 この点につき,原告らは,地方公共団体が個人施行者として再開発事業を施行し得るものと解するとすれば,公共団体施行に係る再開発法51条から57条までの手続規定が適用されない場合が生じることとなってしまい,相当でない旨を主張する。 しかしながら,再開発法51条以下に定める手続規定(事業計画にお いて定めた設計の概要につき,都道府県にあっては国土交通大臣による認可を受けること〔同条1項〕,施行規程を条例で定めること〔52条1項〕,事業計画の縦覧〔53条1項〕,市街地再開発審査会の設置〔57条〕等)が定められているのは,公共団体施行による再開発事業においては,施行地区内の不動産の権利者の同意を経ることなく事業を 施行し得るため,これら関係権利者の権利に重大な影響を及ぼすことから,関係権利者の権利保護を図る趣旨に出たものと解される。一方,個人施行者が行う再開発事業は,当該事業の施行については区域内の宅地の所有権等を有する者の,事業計画及び権利変換計画についてはこれらの者に加えて施行地区内の建築物について権利を有する者の同意を得て 行う必要があり(再開発法2条の2第1項,7条の13,72条2項),このような同意を通じて関係権利者の権利の保護が図られることとなるから,同法51条以下に定めるような手続規定を置く必要がないとされたものと解される。そして,地方公共団体が個人施行者として再開発事業を施行する場合であっても,関係権利者の権利の保護については後者 の場合と異なるものではないから,関係権利者の権利を保護するために同法51条から57条までの規定を適用する必要はないとい 発事業を施行する場合であっても,関係権利者の権利の保護については後者 の場合と異なるものではないから,関係権利者の権利を保護するために同法51条から57条までの規定を適用する必要はないというべきである。したがって,原告らの上記主張は,上記の判断を左右するものではない(また,地方公共団体が個人施行者としての施行を行えないことを前提として本件再開発事業の上記規定違反をいう原告らの上記ア③の 主張も,以上に説示したところに照らし,採用することができない。)。 原告らは,地方公共団体の個人施行が可能であると解釈し得る明文規定のある土地区画整理法と異なり,再開発法にそのような明文規定は置かれていない旨主張する。 しかしながら,再開発法2条の2各項の規定と同法51条1項の規定 とを対比すれば,同法が地方公共団体が個人施行者となることを許容し ていると合理的に解することができることは上記に説示したとおりである。また,原告らが指摘する土地区画整理法施行令67条の2第1号の規定は,地方公共団体が土地区画整理事業の個人施行者となり得ることを当然の前提として,施行地区内の宅地について所有権等を有する者の同意を得て施行する場合における個人施行者の範囲を,当該事業を施 行するため必要な資力等を有するか否かといった観点から限定するための規定であって,同規定によって初めて地方公共団体が個人施行者となり得ることとなるものではないから,再開発法に上記規定に相当する規定を置いていないことが,同法において地方公共団体による個人施行が許されないとする原告らの主張を根拠付けるものとはいえない。 ウ上記ア④の主張について再開発法6条は,再開発事業の施行区域内においては,再開発事業は都市計画事業として施行すべきものとして されないとする原告らの主張を根拠付けるものとはいえない。 ウ上記ア④の主張について再開発法6条は,再開発事業の施行区域内においては,再開発事業は都市計画事業として施行すべきものとしている。これは,都市計画で再開発事業が定められた区域(すなわち再開発事業の施行区域)について行われる再開発事業が,都市環境を大きく変動させ,事業周辺地域の交通, 生活環境,地区経済等に大きな影響を与えるのみならず,公共施設の整備をも伴うのが通常であるためであると解される。そして,地方公共団体が公共団体施行として行う再開発事業は,再開発事業の施行区域内の土地についてのみ行うことができる(同法2条の2第4項)ため,同法6条により,常に都市計画事業として施行すべきものとされているのに 対し,個人施行者による再開発事業は,再開発事業の施行区域内でなくても,高度利用地区など同法2条の2第1項各号に掲げる区域内の宅地について行うことができるため,当該事業の施行地区が再開発事業の施行区域外である場合には都市計画事業として施行すべきものとはされていないのである。 しかるところ,本件再開発事業は東京都の個人施行として施行されたも のであって,かつ,本件施行地区に係る都市計画においては再開発事業の定めがなく,本件施行地区は再開発事業の施行区域ではないのである(前提事実⑶カ)から,再開発法6条による都市計画事業としての施行が義務付けられる場合には当たらないというべきである。 したがって,本件再開発事業が都市計画事業として施行されなかったこ とが再開発法6条に違反するということはできず,この点についての原告らの主張は採用することができない。 エ以上によれば,本件再開発事業の施行が違法であることに基づく原告らの主張は,いずれも とが再開発法6条に違反するということはできず,この点についての原告らの主張は採用することができない。 エ以上によれば,本件再開発事業の施行が違法であることに基づく原告らの主張は,いずれもその前提を欠くものであって,採用することができない。 ⑵ 特定建築者の決定について国土交通大臣の承認を経ていないとの主張について原告らは,再開発法99条の3第3項の規定により,特定建築者を決定する場合にはあらかじめ国土交通大臣の承認を受けなければならないが,本件における特定建築者の決定についてはその承認を受けていないので,このよ うな特定建築者との間でした本件譲渡契約の締結は違法である旨を主張する。 しかしながら,再開発法99条の3第3項は,特定建築者の決定についてあらかじめ国土交通大臣又は都道府県知事の承認を受けなければならない施行者の範囲から都道府県及び市町村を除外しているから,東京都を施行者とする本件再開発事業に同項の規定の適用はなく,特定建築者の決定について あらかじめ国土交通大臣又は都知事の承認を受ける必要がないことは明らかである。したがって,この点についての原告らの主張は採用することができない。 ⑶ 本件譲渡契約の締結に係る手続における再開発法108条2項の適用の有無について ア原告らは,本件譲渡契約を締結するためには,地自法237条2項,9 6条1項8号,地自法施行令121条の2第1項,付議決条例3条により議会の議決を要するほか,審議会条例2条により財産価格審議会の評定が必要となるのに,本件譲渡契約に当たってはこれらの手続を経ておらずその締結は違法であると主張するのに対し,被告は,再開発法108条2項により本件譲渡契約の締結には原告らが指摘する上記各規定は適用されな いとし 本件譲渡契約に当たってはこれらの手続を経ておらずその締結は違法であると主張するのに対し,被告は,再開発法108条2項により本件譲渡契約の締結には原告らが指摘する上記各規定は適用されな いとして,これを争っている。 イそこで,本件譲渡契約の締結における再開発法108条2項の適用の有無について検討するに,同項は,施行者が地方公共団体であるときは,施行者が再開発事業により取得した施設建築敷地等(保留床)の管理処分については当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定は適用し ない旨を規定している。 しかるところ,本件再開発事業の施行者は,地方公共団体である東京都であり,また,以下に述べるとおり,本件土地は,本件再開発事業の施行者たる東京都が本件再開発事業により取得した施設建築敷地であるということができる。すなわち,東京都は本件施行地区の土地の唯一の所 有者であったところ(前提事実⑵イ),平成28年4月22日,施行者たる東京都に対し,再開発法71条1項の規定に基づき本件施行地区について同法87条の規定による権利変換を希望せず,金銭の給付を希望する旨の申出をするとともに,同法110条1項の規定に基づき,本件施行地区の価額を129億6000万円とする本件権利変換に同意した (本件同意等。同⑷オ)。そして,本件権利変換計画において,東京都は本件申出により権利変換期日において本件施行地区に係る権利を失うものとされる一方,本件施行地区は権利変換期日において施設建築敷地(本件土地)及び新たな公共施設(本件区画道路等)の用に供する土地に権利変換され,このうち,施設建築敷地である本件土地については, 施行者たる東京都に所有権が与えられるものとされたところ(前提事実 ⑷カ),同年5月12日に本件権利変換処分 る土地に権利変換され,このうち,施設建築敷地である本件土地については, 施行者たる東京都に所有権が与えられるものとされたところ(前提事実 ⑷カ),同年5月12日に本件権利変換処分がされたことにより,権利変換期日である同月25日,同法110条2項に基づき,本件権利変換計画に定めるところにより本件施行地区内の土地に関する権利の得喪及び変更が生じたものである。 以上によれば,本件再開発事業の施行者たる東京都が同事業により取得 した施設建築敷地である本件土地を処分するものである本件譲渡契約の締結については,再開発法108条2項の規定が適用されるため,地自法その他の都の財産の管理処分に関する法令の規定は適用されない。したがって,本件譲渡契約の締結につき,原告らが指摘する議会の議決等の手続を経ないことが,これらの手続を定める地自法等の規定に違反す るものということはできず,この点に関する原告らの主張は採用することができない。 ウ再開発法108条2項の適用の有無に関する原告らの主張について原告らは,再開発法108条2項が,地方公共団体が施行者である場合に財産の管理処分に関する規定の適用を除外しているのは,この場 合には同法51条以下において,再開発手続そのものにつき住民の代表たる議会や国土交通大臣により中立的,民主的なチェックを受けることが予定されているためであり,同法108条2項における「施行者が地方公共団体であるとき」とは,地方公共団体が公共団体施行として施行する場合に限られ,上記のような民主的チェックが予定されていない個 人施行の場合には,これに含まれないから,本件譲渡契約の締結には同項は適用されない旨を主張する。 しかしながら,再開発法は,地方公共団体が公共団体施行者として施行する場合 定されていない個 人施行の場合には,これに含まれないから,本件譲渡契約の締結には同項は適用されない旨を主張する。 しかしながら,再開発法は,地方公共団体が公共団体施行者として施行する場合に限って適用すべき規定を明示的に列挙している(同法51条1項)ところ,同項には,同法108条2項は上記列挙されたうちに 掲げられておらず,そのほか,同項の適用を地方公共団体が公共団体施 行者である場合に限定する旨を定めた法令の規定は存しない。これらに照らせば,同法108条2項にいう「施行者が地方公共団体であるとき」とは,地方公共団体が公共団体施行者である場合のみならず,個人施行者である場合をも含むものと解するのが素直な解釈というべきである。 また,再開発法108条2項が,施行者が地方公共団体である場合に,再開発事業により取得した保留床の管理処分について当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定の適用を除外しているのは,権利変換計画においてあらかじめその管理処分の方法が定められている保留床(同法73条1項15号参照)について,上記のような財産の管理処 分に関する法令の規定による制限を受けることとなれば,権利変換計画に定められたとおりの管理処分が困難となるおそれがあるためであると解されるところ,この趣旨は,施行者である地方公共団体が公共団体施行者であるか個人施行者であるかを問わず妥当するというべきである。 以上によれば,再開発法108条2項の「施行者が地方公共団体であ るとき」には地方公共団体が個人施行者として再開発事業を施行する場合も含まれると解すべきであり,これに反する原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,東京都は,本件再開発事業の施行前から本件土地を所有しているから,本件土 て再開発事業を施行する場合も含まれると解すべきであり,これに反する原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,東京都は,本件再開発事業の施行前から本件土地を所有しているから,本件土地は「施行者が第一種再開発事業により取得し た」ものではなく,その処分について再開発法108条2項の規定の適用はない旨を主張する。 しかしながら,前記⑴イにおいて説示したとおり,再開発法は,同一の法主体が再開発事業の施行者と当該事業に係る施行地区内の宅地の所有者等を兼ねる場合があることも想定しているところ,そのような場合 に,施行者としての資格ないし地位と所有者等としての資格ないし地位 とが混同し,あるいは融合するものと解することはできず,再開発法の適用上は,それぞれの資格ないし地位が別個独立のものとして存在し,その資格等に応じた権利義務や手続に係る同法の規定が適用されるものと解すべきである。そうすると,本件再開発事業については東京都が施行者と本件土地の所有者とを兼ねているが,再開発法の適用上は,施行 者たる東京都と地権者たる東京都とが別個独立のものとして存在し,同法110条2項に基づき,本件権利変換計画の定めるところにより,本件権利変換期日において,地権者たる東京都が本件土地の所有権を失うとともに,施行者たる東京都が新たにその所有権を取得したものであるから,同法108条2項の適用においても,施行者たる東京都は本件再 開発事業により本件土地を取得したものとして同項の適用を受けるというべきである。 エ原告らのその余の主張について原告らは,東京都が本件権利変換によって本件土地を取得したと解し得るのであれば,狭義の財務会計行為1(本件同意等や本件権利変換 処分等)は,本件土地に係る東京都の権利を消 余の主張について原告らは,東京都が本件権利変換によって本件土地を取得したと解し得るのであれば,狭義の財務会計行為1(本件同意等や本件権利変換 処分等)は,本件土地に係る東京都の権利を消滅させ,施行者たる東京都にこれを原始取得させようとする行為として「財産の処分」(地自法242条1項)に当たることになるから,同法237条2項等の各規定が適用されなければならないが,本件においては,狭義の財務会計行為1は,議会の議決等を経ていないため違法無効であって,「施行者が第 一種再開発事業により取得した」とはいえない旨を主張する。 地自法96条1項6号及び237条2項が適正な対価によらない財産の譲渡について議会の議決を経るべきものとしているのは,適正な対価によらずに地方公共団体の財産の譲渡等を行うことを無制限に許すとすると,当該地方公共団体に多大の損失が生ずるおそれがあるのみならず, 特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられるおそれもあるため, 条例による場合のほかは,適正な対価によらずに財産の譲渡等を行う必要性と妥当性を議会において審議させ,当該譲渡等を行うかどうかを議会の判断に委ねることとしたものであると解され(最高裁平成15年(行ヒ)第231号同17年11月17日第一小法廷判決・集民218号459頁参照),審議会条例2条が,財産価格審議会において知事の 諮問に応じて不動産等の価格を評定して答申すべきものとしている趣旨も,上記のような対価の適正を確保することにあるものと解される。また,地自法96条1項8号が条例で定める財産の処分等を議会の議決事項としている趣旨は,普通地方公共団体が重要な財産を処分する場合には,たとえその対価が適正であったとしてもなお当該普通地方公共団体 の財務に大きな影響を与 例で定める財産の処分等を議会の議決事項としている趣旨は,普通地方公共団体が重要な財産を処分する場合には,たとえその対価が適正であったとしてもなお当該普通地方公共団体 の財務に大きな影響を与え得ることから,その必要性及び妥当性について議会において審議判断させることにあるものと解される。 しかるところ,本件においては,上記のとおり,本件再開発事業によって地権者たる東京都は本件土地の所有権を失うが,これは,再開発法が,同一の法主体が再開発事業の施行者と地権者を兼ねる場合があるこ とを前提に,権利変換処分に係る法技術上の要請から,それぞれの資格ないし地位が別個独立に存在するものとして扱っているためであって,かかる行為を経済実体的な側面から捉えてみれば,本件土地の所有権を失うのも,これを新たに取得するのも,いずれも東京都であり,その前後を通じて本件土地に係る所有権の帰属主体に変動が生じるものではな い。そうであれば,本件権利変換による本件土地に係る権利変動(本件権利変動)は,東京都からその財産を逸出させるものではないから,本件権利変換自体により,東京都に多大の損失が生じ,あるいは特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられることとなる事態は想定されない。 以上によれば,本件権利変動を生じさせる各行為(本件同意等や本件 本件権利変換処分等)は,いずれも,地自法96条1項6号,8号が規定する「譲渡」又は「処分」に当たらないと解すべきである。したがって,これらについて地自法237条2項等の規定が適用されることに基づく原告らの主張は,その前提を欠くものであって採用することができない。 原告らは,再開発法91条1項が定める補償金は権利変換期日までに支払うことが義務付けられており,本件権利変換計画が,本 く原告らの主張は,その前提を欠くものであって採用することができない。 原告らは,再開発法91条1項が定める補償金は権利変換期日までに支払うことが義務付けられており,本件権利変換計画が,本件施行地区に係る補償金の支払について同項の規定によらないこととしていること自体が違法である上,施行者たる東京都が本件権利変換期日までに本件権利変換計画に定める本件施行地区価額(前提事実⑷カ)を支払わな い限り,地権者たる東京都の権利は消滅せず,同支払がされていない本件では,施行者たる東京都は本件土地を取得したとはいえない旨を主張する。 しかしながら,そもそも,本件権利変換処分は,本件権利変換計画について本件施行地区内の全権利者の同意を得てするものであり,再開発 法110条1項の適用を受けるものであるところ(前提事実⑷オ,カ),同項の規定により本件権利変換計画には同法80条の規定が適用されないため,同条の適用を前提とする同法91条の規定も適用されないこととなるから,本件権利変換計画において,本件施行地区に係る補償金の支払について同条1項の規定とは異なる内容を定めること自体が違法で あるということはできない。また,再開発法は,同法91条1項所定の補償金が権利変換期日までに支払われることを権利変換処分に基づく権利変換の効力の発生要件とし,あるいは権利変換期日までの不払により権利変換処分が失効するなどとする定め(土地収用法100条,91条1項参照)を置いていない。 これらに照らせば,権利変換処分に基づく権利変換は,再開発法91 条1項に規定する補償金が権利変換期日までに支払われたか否かにかかわらず,その効力を生じるものと解すべきである。 したがって,本件権利変換処分に基づく本件権利変換(本件権利変動)につ 条1項に規定する補償金が権利変換期日までに支払われたか否かにかかわらず,その効力を生じるものと解すべきである。 したがって,本件権利変換処分に基づく本件権利変換(本件権利変動)については,本件権利変換期日までに本件施行地区価額による補償金の支払がされたものとして扱われているか否かにかかわらず,同日に その効力を生じ,これにより,東京都は,施行者としての資格ないし地位において本件土地に係る権利を取得したものである。 オ以上によれば,本件譲渡契約の締結における再開発法108条2項の適用の有無に関する原告らの主張は,いずれも採用することができない。 ⑷ 本件談合行為の有無について ア原告らは,都市整備局長及び担当者は,平成27年3月17日から平成28年5月13日までの間に,本件事業協力者グループを構成する13社の担当者との間で行われた協議において特定建築者の事前の選定,業務の受注配分及び本件土地の譲渡価格について談合を行ったものであり,本件譲渡契約の締結は官製談合防止法及び地自法234条1項の趣旨を潜脱す る脱法行為である旨主張する。 そこで,検討すると,前記前提事実に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件における特定建築者の決定に至る経緯について,次の事実が認められる。 東京都が本件大会の招致に当たり平成24年度に提出した立候補フ ァイル(以下「立候補ファイル」という。甲2)においては,選手村の整備に関し,本件施行地区に当たる中央区晴海4丁目,5丁目の土地を計画予定地とし,その基盤整備は都が行うが,各種施設整備のうち恒久住宅部分(選手村住宅棟等)については,都の監督の下で民間事業者が資金調達及び建設を行うこと,大会期間中は,組織委員会(令和三年東 京オリンピック競技大 備は都が行うが,各種施設整備のうち恒久住宅部分(選手村住宅棟等)については,都の監督の下で民間事業者が資金調達及び建設を行うこと,大会期間中は,組織委員会(令和三年東 京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法8条 1項に規定する組織委員会をいう。以下同じ。)が恒久住宅部分を適正な賃料で借り上げること,大会後は,恒久住宅部分は民間事業者に返却され,民間事業者は,住宅を改装し,分譲又は賃貸することで開発資金を回収すること等が記載されていた。 東京都は,本件大会の開催都市の決定に先立ち,開催都市の決定後速 やかに開発の手続を行うため,選手村利用後の検討及び基礎調査,民間事業者の活用に向けた事業性検討等を行い,開発の基本計画を作成することとし,パシフィックコンサルタンツ株式会社(以下「パシフィックコンサルタンツ」という。)に対し,立候補ファイルその他の上位計画等を踏まえた選手村の開発方針や施設計画に関わる開発事業者の公募上 の提示条件の整理等を委託した。(甲93,弁論の全趣旨)パシフィックコンサルタンツは,上記の委託に基づき,平成25年9月,都に対し選手村開発方針検討支援業務報告書(甲93。以下「支援業務報告書」という。)を提出した。 支援業務報告書は,主として,①事業採算性確保のための条件整理, ②インフラ整備計画に関する基礎検討及び調査,③施設計画及びまちづくりに関する基礎検討の三つの部分から成るところ,このうち,上記①については,次のとおりである。 すなわち,支援業務報告書は,事業手法につき,①「土地譲渡方式」,②「一時貸付後土地譲渡方式」,③「第1種市街地再開発事業(都によ る個人施行)を活用した土地譲渡方式」その他の方式を掲げた上で,民間事業者の視点及び東京都 業手法につき,①「土地譲渡方式」,②「一時貸付後土地譲渡方式」,③「第1種市街地再開発事業(都によ る個人施行)を活用した土地譲渡方式」その他の方式を掲げた上で,民間事業者の視点及び東京都の視点の双方から検討し,これらのうち再開発事業は,民間事業者への土地の譲渡時期を最も遅らせることが可能で,民間事業者の土地保有リスクを軽減できるメリットがあり,都にとっても,施行者として事業への関与度が高まり基盤整備を含めた一体的なコ ントロールを行いやすいメリットがあることから,選手村整備事業にお いて都及び民間事業者にとって定性的な面から最も適切な事業手法は上記③の手法であるとしている。また,事業採算性に係るシミュレーションにおいて,全体容積率を350%,駐車場付置割合を30%などとしたベース案により土地譲渡方式により整備した場合における土地負担力(土地譲渡価格)は110億円(8万8000円/㎡)であり,再開発 事業により整備した場合の土地譲渡価格は156億円(12万6000円/㎡)であるとしている。さらに,事業発注の単位については,全街区を一体とした事業化により,事業者選定及び契約手続に関する事務が一括化されるほか,事業実施段階では民間事業者側の窓口が一本化されるため,建設期間中等において事業全体のコントロールが行いやすく, 土地提案価格についても,最も高い土地譲渡価格の提案を受ける可能性が高い一方,複数事業に分割した事業化では,事業発注段階において街区ごとに人気・不人気が生じる可能性があり,万が一,事業者提案のない街区が生じた場合は,選手村整備に著しい影響を及ぼすことになるなどとして,全街区を一体とした事業化が適当であるとした上,全街区を 一体として事業を実施する場合,これにより整備する恒久住宅部分 い街区が生じた場合は,選手村整備に著しい影響を及ぼすことになるなどとして,全街区を一体とした事業化が適当であるとした上,全街区を 一体として事業を実施する場合,これにより整備する恒久住宅部分は通常の分譲マンションと比較して事業規模が大きく,その事業リスクを1社単独に負わせるのは事業実施上かなりの懸念があるとして,事業者選定段階において,一定の参加資格を満たす複数の民間事業者によるコンソーシアムを組成して参画することを認め,当該グループを構成する複 数の民間事業者に事業リスクを分散する事業スキームとすることが望ましいなどとしている。 東京都は,平成26年2月13日,本件施行地区をその施行地区とし,都を個人施行者とする再開発事業により本件土地に選手村を整備することを決定し,同年12月19日,大会後の本件土地の活用の在り方 についてモデルプランとして公表するとともに,同年度中に民間事業者 を事業協力者として選定する予定であることを明らかにした。なお,モデルプランに定められた本件土地の活用の在り方は,本件再開発事業に係る本件事業計画及び本件権利変換計画において定められたものと,5-3街区に建築される板状棟の棟数など細部における差異はあるものの,大要において同様の内容である。(前提事実⑶イ,ウ,甲79) 東京都は,平成27年1月23日,事業協力者募集要領を発表したが,同要領には次のような定めが置かれている(前提事実⑶エ,乙2)。 a 事業協力者は,都と共同して,選手村の整備及び大会レガシーとしてのまちづくりを検討するものとし,主として,①地域特性を踏まえた魅力あるまちづくりに関すること,②多様な住まいの実現に関する こと,③建築計画等に関すること,④環境・エネルギーに関すること,⑤その他の事業 検討するものとし,主として,①地域特性を踏まえた魅力あるまちづくりに関すること,②多様な住まいの実現に関する こと,③建築計画等に関すること,④環境・エネルギーに関すること,⑤その他の事業協力に関することの五つの事項について検討,提案,対応等の協力及び支援を行うものとする。なお,上記③には選手村利用後の住戸改修計画(コスト提案を含む。)が,上記⑤には再開発事業の事業計画,権利変換計画等が含まれるものとされている。 b 協力期間は特定建築者の公募開始までを予定する。 c 事業協力者による事業推進への貢献については,将来予定する特定建築者の選考において,評価の対象とする。 d 事業協力者の応募資格を有するのは,①将来において特定建築者に応募する意向があること,②特定建築者となり得る資力及び信用を有 すること,③日本国内における一定の新築集合住宅の供給実績があること等の要件を全て満たす法人とし,応募は,単独又はグループのいずれかで申し込むものとする。 e 事業協力者への応募を希望する者は,応募希望表明を行った上で応募申込みをする必要があり,応募希望表明は,応募希望表明書及び資 力・信用等に関する書類を提出してするものとし,応募希望表明期間 は平成27年1月26日から同年2月2日までとする。 f 東京都は,応募希望表明のあった者に対し,追加資料を配付するとともに,平成27年2月9日までの間質問を受け付け,同月19日にこれに回答する。 g 事業協力者への応募申込みをする場合には,平成27年3月2日か ら同月6日までの間に,応募申込書のほか,所定の計画検討提案書,開発事業実績報告書等を提出する。 h 事業協力者の選考は,東京都が設置する事業協力者選考委員会(以下「本件選考委員会1」という。)が行 同月6日までの間に,応募申込書のほか,所定の計画検討提案書,開発事業実績報告書等を提出する。 h 事業協力者の選考は,東京都が設置する事業協力者選考委員会(以下「本件選考委員会1」という。)が行い,資力・信用調査,応募者から提出された計画検討提案書及び開発事業実績報告書の内容並びに プレゼンテーション及びヒアリング等の結果に基づき,資格,計画立案・実現能力を総合的に審査して選定する。 上記に係る事業協力者の応募に対しては,13社で構成される本件事業協力者グループのみが応募申込みを行ったところ,平成27年3月17日に開催された本件選考委員会1において,本件事業協力者グル ープの信用及び資力・財務状況が審査されるとともに,その計画立案・実現能力についても,計画検討提案書,プレゼンテーション・ヒアリング及び開発事業実績報告書の記載に基づき審査され,同日,同グループが事業協力者に選考された。東京都は,これに基づき,同月27日,同グループを事業協力者に決定した(前提事実⑶オ,乙5)。 東京都は,本件土地の所管が港湾局から都市整備局に替わることに伴い,費用の予算計上用の参考価格を算出し,本件再開発事業の事業計画を検討する上での参考とするため,平成27年9月25日,不動研との間で本件土地の価格等調査を委託する旨の契約(以下「初回調査委託契約」という。)を特命随意契約として締結した。なお,初回調査委託 契約は,同年12月28日の本件調査委託契約(前提事実⑶キ)と基本 的に同様の条件が付されているが,価格時点を平成27年11月1日とする点で異なるほか,モデルプランを前提としているため,選手村に係る計画の細部や具体性においても異なっている。(甲55,弁論の全趣旨)不動研は,初回調査委託契約に基づき, 成27年11月1日とする点で異なるほか,モデルプランを前提としているため,選手村に係る計画の細部や具体性においても異なっている。(甲55,弁論の全趣旨)不動研は,初回調査委託契約に基づき,東京都に対し,平成27年 11月30日付けで,調査報告書(甲148,乙61。以下「初回調査報告書」という。)を提出した。初回調査報告書においては,5-7街区における商業施設を大会後に施行する場合の本件土地の平成27年11月1日時点における更地としての調査価額を,合計110億1800万円(8万2300円/㎡。街区ごとの内訳は,5-3街区が10億3 400万円〔3万9300円/㎡〕,5-4街区が17億8500万円〔7万5600円/㎡〕,5-5街区が32億8400万円〔8万7800円/㎡〕,5-6街区が35億6500万円〔10万1000円/㎡),5-7街区が13億5000万円〔11万8000円/㎡〕である。〕としている。(甲148,乙61) 東京都は,本件再開発事業に係る特定建築者の公募(本件募集)について必要な事項を定めるものとして,平成28年3月30日付けで「(仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者公募要綱」(乙8。以下「本件公募要綱」という。)を定めたところ,本件公募要綱は,①本件募集に係る応募者の選考等に関して公平かつ適正な運 営を図るため,「(仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者選考委員会」(以下「本件選考委員会2」という。)を置くこと(2条),②本件選考委員会2は,特定建築者募集要領,総合評価方式の選考基準,特定建築者予定者の選考等の事項について審議すること(3条),③特定建築者の募集は公募を原則とし,特定建築者を公募に より定めるに当たっては,同選考委員会において 領,総合評価方式の選考基準,特定建築者予定者の選考等の事項について審議すること(3条),③特定建築者の募集は公募を原則とし,特定建築者を公募に より定めるに当たっては,同選考委員会において定めた選考基準に基づ き総合評価方式により選考することとし(9条1項,10条),都市整備局長は,同選考委員会において選定された者を特定建築者予定者として定めた上,都知事の承認を経て,特定建築者として決定すること(17条),④本件募集に当たり,募集に必要な事項をまとめた特定建築者募集要領(本件募集要領)を作成すること(11条),⑤総合評価方式 に当たっては,㋐敷地価額,建築計画等,環境に対する配慮,設計・施工体制等及びその他都が必要とする事項の各評価項目について,同選考委員会において定める選考基準により総合的に評価を行い特定建築者を選考すること(13条),⑥総合評価方式に当たっては,運営委員会において譲渡予定価格を定めること(14条)等を定めている。 東京都は,本件公募要綱の上記④に基づき,本件募集要領を定め,これを平成28年5月13日に発表して本件募集を行ったが,本件募集要領には,次のような定めが置かれている(前提事実⑷キ,乙6)。 a 本件募集においては,本件土地(全街区)の特定施設建築物(本件施設建築物)を一括して建築する特定建築者を募集するものであり, 特定建築者は,本件事業計画及び本件権利変換計画に基づいて本件施設建築物の建築を自らの負担で行い,本件施設建築物の建築工事の完了及び敷地譲渡金額の納付後,敷地の所有権を都から特定建築者に移転登記する。 b 特定建築者の応募資格を有するのは,①本件施設建築物を建築する のに必要な資力及び信用を有すること,②敷地の譲渡に伴う対価の支払能力があるこ の所有権を都から特定建築者に移転登記する。 b 特定建築者の応募資格を有するのは,①本件施設建築物を建築する のに必要な資力及び信用を有すること,②敷地の譲渡に伴う対価の支払能力があること,③日本国内における一定の新築集合住宅の供給実績があること等の要件を全て満たす者とし,応募は,単独又はグループのいずれかで申し込むものとする。 c 特定建築者への応募を希望する者は,応募希望表明を行った上で応 募申込みする必要があり,応募希望表明は,所定の事項を記載した応 募希望表明書及び資力・信用等に関連する書類を提出してするものとし,応募表明期間は平成28年5月13日から同月24日までとする。 d 東京都は,応募希望表明のあった者に対し,追加資料を貸与するとともに,平成28年6月2日までの間,質問を受け付け,同月13日にこれに回答する。 e 特定建築者への応募申込みをする場合には,平成28年6月14日から同年7月4日までの間に,特定建築者申込書のほか,建築計画書,管理処分に関する計画,敷地の譲受希望価額及び資金計画書等の必要書類を提出する。なお,「敷地の譲受希望価額及び資金計画書」には特定建築者が取得する敷地の譲受希望価額の額(街区全体の総額)及 び1㎡当たりの単価を記載する必要があるが,特定建築者の敷地の譲受希望価額は,本件土地の譲渡予定価格(129億6000万円。本件譲渡予定価格)以上とし,同予定価格を下回った場合は失格となる。 f 特定建築者の決定に当たっては,応募希望表明者又は応募者から提出された資力及び信用等の関係書類等を参考にして資力・企業体力等 を審査し,同審査に適合した応募者を対象に本件選考委員会2において応募図書等の内容を総合的に評価し,その結果,最高得点を獲得した者を特定建築 び信用等の関係書類等を参考にして資力・企業体力等 を審査し,同審査に適合した応募者を対象に本件選考委員会2において応募図書等の内容を総合的に評価し,その結果,最高得点を獲得した者を特定建築者予定者として選定する。特定建築者予定者は,都が必要に応じて事業計画及び権利変換計画の変更を行った後,本件再開発事業の認可権者たる東京都知事の承認を得て,特定建築者として決 定する。 g 本件選考委員会2における上記fの選考に当たっては,評価項目を計画・企画提案に関するものと,敷地価格に関するものに区分し,前者については,①建築計画等に24点,②環境への配慮に12点,③設計・施工体制等に12点,④その他に12点をそれぞれ上限として 採点し,後者の敷地価格については40点を上限として採点し,これ らの合計点で総合評価を行うものとし,上記④の「その他」の評価項目には,本件大会の選手村整備対応のほか,事業協力者の貢献を含むものとする。 h 敷地譲渡契約における譲渡金額は,特定建築者として決定した者が応募時に提案した譲受希望価格とする。 本件募集に対しては,本件11社(いずれも本件事業協力者グループの構成員であった。)により構成される本件特定建築者グループのみが,本件土地の譲受希望価格を本件譲渡予定価格と同額である129億6000万円として応募した(前提事実⑷ク)。 平成28年7月26日,本件選考委員会2が全委員の出席の下開催 され,本件特定建築者グループによるプレゼンテーション及び委員との間の質疑応答が行われた。同選考委員会は,その結果を踏まえ,同日,同グループにつき,計画・企画提案の観点による評価については,①建築計画等を17.09点/24点,②環境への配慮を7.85点/12点,③設計・施工体制等を 。同選考委員会は,その結果を踏まえ,同日,同グループにつき,計画・企画提案の観点による評価については,①建築計画等を17.09点/24点,②環境への配慮を7.85点/12点,③設計・施工体制等を7.06点/12点,④その他を11.20 点/12点とそれぞれ評価し,敷地価格の観点による評価については,応募が1名のみであるため40点/40点と評価し,総合評価点を83. 2点/100点とした上で,同グループを特定建築者予定者として選定した。なお,本件選考委員会2は,学識経験者4名(大学教授等3名及び不動研の常務理事1名),関係地方公共団体(中央区)職員1名,都 職員8名の合計13名により構成されている。(乙7)東京都は,上記の本件選考委員会2による選定結果を踏まえ,平成28年7月28日,本件特定建築者グループ(これに属する本件11社)を特定建築者予定者とすることを決定した上,本件再開発事業の認可権者たる東京都知事の承認を経て,平成28年9月28日,本件11 社を特定建築者として決定した(前提事実⑷ケ)。 イ検討上記認定事実によれば,本件再開発事業の施行者たる東京都は,同事業に係る特定建築者を決定するに当たり,本件公募要綱に基づき本件募集要領を定めて公募したところ(本件募集),本件11社により構成される本件特定建築者グループのみがこれに対する申込みをし,同グループ は本件募集要領に定める応募資格を満たしていたことから,外部の学識経験者等を含む委員らにより構成される本件選考委員会2において,同グループを対象としてその定める選考基準に従い審査を行った結果,総合評価点が83.2点(100点満点中)であったことを踏まえて特定建築者予定者に選定することとし,これに基づき東京都において同グル ープ 対象としてその定める選考基準に従い審査を行った結果,総合評価点が83.2点(100点満点中)であったことを踏まえて特定建築者予定者に選定することとし,これに基づき東京都において同グル ープを特定建築者予定者に決定した上,本件再開発事業の認可権者たる都知事の承認を経て特定建築者に決定したものである。そして,このような特定建築者の決定過程又はそれに先立つ手続において,本件事業協力者グループ(又はこれに属する特定の民間事業者)と都市整備局長ほか都の担当者(以下「都市整備局長等」という。)との間で,特定建築 者の事前選定や業務の受注配分に係る協議が行われたことをうかがわせるような事情は本件全証拠によっても認めることができず,本件土地の譲渡に係る競争を実質的に制限するような不当な取引制限の存在を認めることはできない。 また,本件譲渡価格の決定についても,本件調査委託契約に基づき不動 研が行った本件価格等調査の結果を踏まえ,運営委員会において本件譲渡予定価格を本件調査報告書に記載された本件土地の平成28年4月1日時点における調査価額と同額の129億6000万円と決定し(前提事実⑶ク,⑷エ,認定事実),これに基づき,本件再開発事業の施行者たる東京都において,本件譲渡予定価格が129億6000万円であ り,特定建築者となった者が応募時に譲受希望価格として提案した価格 (本件譲渡予定価格を下回ることはできない。)を本件土地の譲渡金額(本件譲渡価格)とすること等を定めた本件募集要領を作成してこれを公表したところ(認定事実e,h),上記のとおり特定建築者となった本件特定建築者グループが応募時に提案した譲受希望価額は公表された本件譲渡予定価格と同額であったことから,上記譲受希望価額が本件 譲渡価格とされたもの e,h),上記のとおり特定建築者となった本件特定建築者グループが応募時に提案した譲受希望価額は公表された本件譲渡予定価格と同額であったことから,上記譲受希望価額が本件 譲渡価格とされたものである。そして,東京都における本件譲渡予定価格の決定過程において本件事業協力者グループ(又はこれを構成する特定の民間事業者)が関与したことをうかがわせるような事情は本件全証拠によっても認めることができず,同グループ及び都市整備局長等が,本件募集に先立ち,共同して本件譲渡に係る対価を決定したものと認め ることはできない。 以上によれば,本件事業協力者グループと都市整備局長等との間で原告らの主張する本件談合行為があったと認めることはできない。 ウ原告らの主張について原告らは,本件談合行為の存在を裏付けるものとして,次のからま でのとおり主張するが,以下に検討するとおり,いずれも本件談合行為の存在を裏付けるものとはいえず,原告らの主張するところは,結局,本件談合行為が存在したとしても矛盾しない事情を挙げて本件談合行為の抽象的な可能性を指摘するにすぎないものであって,上記イの判断を左右するものではない。 原告らは,本件11社を含む13社は,本件再開発事業に係る計画の早い段階から本件事業協力者グループを結成し,事業協力者という法的根拠のない制度を利用して同事業に入り込んだものであって,特定建築者の公募手続は極めて形式的,おざなりにされたにすぎない旨を主張する。 しかしながら,特定建築者の募集(本件募集)に先立ち事業協力者 の募集が行われたのは,事業協力者募集要領の定め(認定事実)や従前の経緯(同~)に照らせば,選手村については大会後に民間事業者が住宅等として分譲又は賃貸することが大会招 事業協力者 の募集が行われたのは,事業協力者募集要領の定め(認定事実)や従前の経緯(同~)に照らせば,選手村については大会後に民間事業者が住宅等として分譲又は賃貸することが大会招致の段階から既に予定されていたことから,本件再開発事業の施行者たる東京都が同事業に係る事業計画や権利変換計画を定めるに当たり,民間事業者及び東京都の 双方の視点から事業計画等の内容を検討することが必要とされ,特に,民間事業者である特定建築者が建築することとなる施設建築物の詳細等を検討するに当たって,こうした特定建築者となり得る立場にある建設業者等の意見を参考にすることが相当であるとされたためであると解される。 ところで,本件選考委員会2における特定建築者の選定に当たっては,本件募集要項上,評価項目として計画・企画提案に関するものを上限合計60点,敷地価格に関するものを上限40点として評価するものとされているところ,前者のうち上限12点を占める「その他」の項目の一つとして,事業協力者としての貢献についても掲げられている(認定事 実g)が,上記のとおり,事業協力者の協力内容が,後の再開発事業において特定建築者が建築することとなる施設建築物の詳細等を含めた事業内容等に関する検討であって,特定建築者としての業務と密接にかかわるものであることからすれば,事業協力者として十分な貢献があった者については特定建築者としての業務についてもその適正な遂行を期 待できるものとして,これを上記点数の範囲内で特定建築者の選定において考慮することは合理性を有するものといえる。そして,このように限定的であるとはいえ事業協力者としての貢献が特定建築者の選定に影響を及ぼす面があることから,東京都において,事業協力者募集要領を公表し,事業協力者 は合理性を有するものといえる。そして,このように限定的であるとはいえ事業協力者としての貢献が特定建築者の選定に影響を及ぼす面があることから,東京都において,事業協力者募集要領を公表し,事業協力者の応募資格について特定建築者のそれと同様の内容 を定めるとともに,本件選考委員会1による資力・信用,計画立案・実 現能力等の審査を経て事業協力者を選定するものとしているのであって(認定事実),事業協力者の選定が公正に行われるための仕組みが設けられているといえる。 また,本件募集に当たっては,応募表明期間自体は平成28年5月13日から同月24日までとされていたものの,平成26年12月19日 に公表されたモデルプランにおいて本件事業計画における建築計画と大要において異ならない本件土地における施設建築物の建築予定が明らかにされていたこと(前提事実⑶ウ,認定事実)や,本件募集要領上,東京都は応募希望表明をした者からの質問を受け付けるとともに追加資料を貸与するものとされていたこと(認定事実d)に照らせば,事業 協力者以外の者による特定建築者への応募が困難であったとはいえず,本件募集が,特定建築者の選定対象を事業協力者に限定し,他の民間事業者の参入を事実上排除するものであったということはできない。なお,本件募集の手続においては,本件選考委員会2が全委員の出席の下開催され,応募者である本件特定建築者グループによるプレゼンテーション 及び委員との質疑応答を経て,選考基準に従った採点評価がされており,その手続に不適切な点があったことはうかがわれない。 以上のとおり,①本件において東京都が特定建築者の募集(本件募集)に先立ち事業協力者の募集を行ったことは,本件再開発事業における事業計画等の策定上の必要性に基づくものであ たことはうかがわれない。 以上のとおり,①本件において東京都が特定建築者の募集(本件募集)に先立ち事業協力者の募集を行ったことは,本件再開発事業における事業計画等の策定上の必要性に基づくものであって,特定建築者の選 定において事業協力者としての貢献を一定の範囲内で考慮することには合理性がある上,事業協力者の選定についても公正に行われるための仕組みが設けられており,また,②本件募集が事業協力者以外の民間事業者の参入を事実上排除するものであったとはいえず,本件募集における選考手続に不適切な点があったともうかがわれない。そうすると,事業 協力者の募集が本件募集の手続を形骸化するものであるとはいえず,東 京都が事業協力者の募集の手続を通じて特定の民間事業者が特定建築者の選定において有利となるように恣意的な取扱いをしたということもできないから,原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,事業協力者についてはその募集の段階から1グループになるように誘導されており,実際に13社もの企業が1グループ(本件 事業協力者グループ)として事業協力者に決定されているところ,13社もの企業により構成される共同事業体による大型工事の受注は異常であり,実質的には巨大な共同企業体の隠れ蓑を被った受注配分が行われたものである旨を主張する。 しかしながら,そもそも,特定建築者が複数の法人から成るグループ である場合に,当該特定建築者が施設建築物の建築等を実施するに当たり,当該グループ内において具体的な業務に係る役割や範囲を分担するなどしても,これをもって本件土地の譲渡に係る競争を実質的に制限することとなる事業活動の相互拘束に当たるということはできない。 また,本件においては,パシフィックコンサルタンツが東京都からの るなどしても,これをもって本件土地の譲渡に係る競争を実質的に制限することとなる事業活動の相互拘束に当たるということはできない。 また,本件においては,パシフィックコンサルタンツが東京都からの 委託に基づき行った選手村利用後の開発に係る民間事業者の活用に向けた事業性の検討において,全街区を一体化した事業化が適当であるとされ,その場合には,事業規模の大きさに鑑み,事業リスクを1社単独に負わせることには事業実施上かなりの懸念があることから,事業者選定段階において,一定の参加資格を満たす複数の民間事業者によるコンソ ーシアムを組成して参画することを認め,当該グループを構成する複数の民間事業者に事業リスクを分散する事業スキームとすることが望ましいとされていたものである(認定事実,)。そして,東京都は,上記の分析検討に従い,事業協力者の募集及び本件募集において,応募は単独又はグループで申し込むものとしているところ(認定事実d, b),実際の応募において単独又はグループのいずれで申し込むのか, また,グループとした場合にどの企業が参加するのかは企業側の判断によるものであり,東京都がこれらの企業側で行うべき判断に何らかの形で関与したことをうかがわせるような事情は本件全証拠によっても認めることができない。また,本件再開発事業の規模等に照らせば,本件事業協力者グループの構成企業数が13社となったことも不自然であると はいい難い。 以上のとおりであるから,本件事業協力者グループの構成企業数が13社となったことをもって本件談合行為の根拠とする原告らの上記主張は採用することができない。なお,原告らは,都職員の退職者が本件事業協力者グループの構成企業に多数天下りしている旨指摘するが,指摘 のような事情は,本件 件談合行為の根拠とする原告らの上記主張は採用することができない。なお,原告らは,都職員の退職者が本件事業協力者グループの構成企業に多数天下りしている旨指摘するが,指摘 のような事情は,本件談合行為の存在を推認するに足りるものではなく,この点においても原告らの主張は採用することができない。 原告らは,不動研が東京都との間の初回調査委託契約に基づき作成した初回調査報告書に記載された本件土地の調査価額(5-7街区における商業施設を大会後に施工する場合の価額。110億1800万円 〔8万2300円/㎡〕。認定事実)が,パシフィックコンサルタンツが支援業務報告書においてベース案により整備した場合の土地譲渡価格として示した価格(110億円〔8万8000円/㎡〕。認定事実)と限りなく近いとして,初回調査委託契約は「110億円」という結論ありきの契約であり,東京都は,支援業務報告書のシナリオに沿っ て初回調査報告書における110億1800万円という最低譲渡価格を提示し,それを受けて事業協力者が提示した本件土地の譲渡価格が129億6000万円であり,東京都は,その価格の根拠となる資料を作成するため,改めて,不動研に対し,本件土地の価格等調査について,基準日を初回調査委託契約における基準日の4か月後として再度委託した ことが推測される旨を主張する。 しかしながら,不動研の担当者として初回調査委託契約及び本件調査委託契約の締結に関与するとともに本件価格等調査にも携わったDは,本件訴訟に至るまで支援業務報告書を見たことはない旨証言しているところ(証人D28頁),初回調査報告書に記載された本件土地の調査価額が支援業務報告書に記載された土地譲渡価格と近接していることから 直ちに初回調査委託契約の締結が本件土地の ない旨証言しているところ(証人D28頁),初回調査報告書に記載された本件土地の調査価額が支援業務報告書に記載された土地譲渡価格と近接していることから 直ちに初回調査委託契約の締結が本件土地の調査価額を支援業務報告書に記載された土地譲渡価格と同一額とすることを目的としていたとするのは論理の飛躍があるといわざるを得ず,このような事実を的確に裏付ける証拠はない。また,本件事業協力者グループないしその構成企業が東京都に本件土地の譲受希望価格として129億6000万円を提示し たため,東京都が同価格の根拠となる資料を作成するために改めて不動研との間で本件調査委託契約を締結したとの原告ら主張の事実をうかがわせるような事情は,本件全証拠によっても認めることができない。 ⑸ 小括以上によれば,本件譲渡契約の締結に係る手続が財務会計法規上違法であ るということはできず,これに反する原告らの主張はいずれも採用することができない。 3 本件譲渡契約における価格の設定が財務会計法規に反し違法であるか否かについて(争点②-2関係)⑴ 判断の枠組み ア再開発法は,施行者による特定建築者に対する特定施設建築物の敷地等の譲渡(以下,単に「敷地等の譲渡」ということがある。)について,価格を含めてその詳細についての規定を置いておらず,その譲渡契約の内容については,事業計画や権利変換計画等の当該再開発事業に係る基本的な枠組みの範囲内において,同事業の目的や内容・規模,特定建築者に特定 施設建築物を建築させることとした目的など諸般の事情を踏まえた施行者 の合理的な裁量に委ねているものと解される。 イもっとも,個人施行者は,再開発事業について事業計画を定めて都道府県知事の認可を受けなければならないところ(再開発法7条 を踏まえた施行者 の合理的な裁量に委ねているものと解される。 イもっとも,個人施行者は,再開発事業について事業計画を定めて都道府県知事の認可を受けなければならないところ(再開発法7条の9第1項),事業計画には資金計画を定める必要があり,資金計画のうち収入予算については,収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなけれ ばならないから(同法7条の11第1項,都市再開発法施行規則8条1号),再開発事業において,特定施設建築物の建築を特定建築者に行わせる場合には,事業計画に敷地等の譲渡に係る価格の下限が定められ,これについて都道府県知事による審査を受けることになるのであり,同法は,このような仕組みを通じて,敷地等の譲渡価格の適正の確保を図っている ものと解される。また,本件のように地方公共団体が個人施行として再開発事業を施行する場合には,特定建築者への敷地等の譲渡は,当該地方公共団体の財産を特定建築者へ譲渡することにほかならないから,前記2⑶イのとおり再開発法108条2項の規定が適用されることにより当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定は適用されないとしても, 少なくとも地自法2条14項及び地方財政法2条1項の趣旨は及ぶものということができ,上記のような再開発法上確保すべきものとされている敷地等の譲渡価格の適正を欠き,施行者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものと評価される場合には,これら地自法2条14項等の財務会計法規にも違反することとなると解するのが相当である。 ウところで,再開発法99条の6第2項に基づき特定施設建築物の敷地等が特定建築者に譲渡される場合には,これに先立ち,特定建築者において,事業計画及び権利変換計画に適合するよう定めた建築計画に従い,自 ところで,再開発法99条の6第2項に基づき特定施設建築物の敷地等が特定建築者に譲渡される場合には,これに先立ち,特定建築者において,事業計画及び権利変換計画に適合するよう定めた建築計画に従い,自らその費用を負担して特定施設建築物を建築しなければならないものとされている(再開発法99条の3第2項,99条の4,99条の5第2項,11 9条)。すなわち,再開発法99条の6第2項に基づく敷地等の譲渡は, 当該再開発事業に係る一定の目的のために行われるものであって,当該敷地等の譲受人(特定建築者)は,そのような目的を達成するために事業計画等において定める所定の負担を負うこととなり,当該敷地等を自由に使用収益・処分することができないものであるから,譲受人が上記のような負担を負わず譲渡対象の不動産を自由に使用収益・処分することができる ことを前提とする自由な市場において成立する取引とは,その性格を大きく異にするものといわざるを得ない。そうすると,特定施設建築物の敷地等の特定建築者への譲渡価格が再開発法の求める適正な価格であるか否かについても,当該譲渡価格を,自由な取引が行われたとした場合にその取引において通常成立する当該敷地等の価格,すなわち,客観的な交換価値 と比較して判断すべきものではなく,あくまで,譲受人が,特定建築者として当該再開発事業に係る負担を負い,当該敷地等の使用収益・処分が制限されていることを前提として,そのような当該敷地等の経済価値を評価して判断するのが相当というべきである。 そして,本件再開発事業については,本件事業計画及び本件権利変換計 画において,①本件土地を敷地として,本件土地の譲受人である特定建築者が自らの費用負担をもって本件施設建築物を建築することとされるとともに,②本件施設建築 は,本件事業計画及び本件権利変換計 画において,①本件土地を敷地として,本件土地の譲受人である特定建築者が自らの費用負担をもって本件施設建築物を建築することとされるとともに,②本件施設建築物の一部(板状棟及び商業棟)については大会期間中に選手用宿泊施設等として使用の上,同大会後に本整備の上分譲又は賃貸するものとし,本件施設建築物のうちタワー棟については同 大会後に建築するものとされ,③建築工事期間は平成36年3月までとされていること(前提事実⑷イ,カ)に照らせば,本件譲渡価格が再開発法上適正といえるか否かについては,本件土地の譲受人である本件11社が本件再開発事業に係る上記①から③までの負担や制約を負うこと(すなわち選手村要因が存在すること)を前提として,その価格が適正 といえるか否かについて検討すべきであり,かつ,それで足りるものと いうべきである。 エ原告らの主張についてこの点に関し,原告らは,地自法237条2項にいう「適正な対価」とは鑑定評価基準における正常価格をいうことを前提に,本件譲渡価格が適正であるかの判断に当たっても選手村要因を考慮しない正常価 格と比較すべきである旨を主張する。しかしながら,前記2⑶イにおいて説示したとおり,本件譲渡契約には再開発法108条2項の規定が適用されることにより,地自法237条2項の規定は適用されないから,同項にいう「適正な対価」の意義について検討するまでもなく,原告らの上記主張はその前提を欠き,採用することができない。 原告らは,本件土地を廉価売却することの正当性を担保するためには,本件土地の本来の価格(正常価格)を算出し,実際の譲渡価格との差額を求めることで,実際の都民の負担を明らかにしなければならない旨主張する。しかしながら,上記 売却することの正当性を担保するためには,本件土地の本来の価格(正常価格)を算出し,実際の譲渡価格との差額を求めることで,実際の都民の負担を明らかにしなければならない旨主張する。しかしながら,上記ウに説示したとおり,特定建築者に対する敷地等の譲渡価格については,再開発法上は,譲受人である特定建築者 が当該再開発事業に係る負担や制約を負うことを前提とし,その範囲内において,その価格が適正といえるか否かを検討すれば足りるというべきである。そして,上記のとおり,本件においては,地自法237条2項等の都の財産の管理処分に関する法令の規定も適用されない以上,上記の範囲を超えて,本件土地の正常価格と実際の譲渡価格とを比較す べき法的根拠は見出し難いから,原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,本件土地のうち,選手用宿泊施設として使用しないタワー棟及び商業棟を建設する土地については他の土地と一体のものとして譲渡する必要はない旨を主張する。しかしながら,本件譲渡契約の締結 が財務会計法規に違反するか否かについては,本件事業計画に定められ たところに従って再開発事業が施行されることを前提としてその価格が適正かどうかを判断すれば足りるところ,原告らの上記主張は,本件事業計画の内容と異なる形での譲渡を行い得ることを前提とするものであって,その前提において失当であるから採用することができない。 オそこで,以下では,本件価格等調査の結果を踏まえて本件譲渡予定価格 が上記の調査価額と同額に決定され,本件募集に唯一応募した本件特定建築者グループにおいても,譲受希望価格をこれと同額としたことにより,本件譲渡価格が本件価格等調査の結果と同額となったという経緯(前記2⑷イ参照)に鑑み,まず,本件価格等調査の概要に 募した本件特定建築者グループにおいても,譲受希望価格をこれと同額としたことにより,本件譲渡価格が本件価格等調査の結果と同額となったという経緯(前記2⑷イ参照)に鑑み,まず,本件価格等調査の概要について見た上で(後記⑵),上記ウの観点を踏まえてその合理性について検討し(後記⑶),そ の上で本件譲渡価格が適正な価格からかい離していると認められるか否かについて検討することとする(後記⑷以下)。 ⑵ 本件価格等調査の概要本件価格等調査は,東京都から提示を受けた資料等を基に,不動研において本件調査委託契約に基づき本件土地の価格等調査を行ったものであるとこ ろ,その成果報告書である本件調査報告書(乙34)に記載された本件価格等調査の概要は次のとおりである(なお,後記アからテまでの各見出しに付記した頁数及び別表の番号は,いずれも本件調査報告書の頁数及び別表の番号である。)。 ア本件価格等調査に係る基本事項(4頁以下) 本件価格等調査における調査項目は,①特定建築者が本件施設建築物を建築,取得することを前提に,本件価格等調査の時点(価格時点)において,本件土地の全体を一括して譲渡する場合の土地価格とその内訳としての街区ごとの土地価格の調査及び②選手村の整備を契機として本件土地の調査価額に影響を及ぼす要因(選手村要因)と当該要因の調 査価額への影響の調査の2項目とする。 本件価格等調査については,委託者である東京都により,価格時点を平成28年4月1日とし,①本件土地の現況は構築物等の敷地であるが,当該構築物等がなく,かつ使用収益を制約する権利が付着していないものとしての土地のみの価格等調査とすること,②都が提示する開発計画に基づき本件土地の造成工事が完了し,道路等の公共インフラ設備 当該構築物等がなく,かつ使用収益を制約する権利が付着していないものとしての土地のみの価格等調査とすること,②都が提示する開発計画に基づき本件土地の造成工事が完了し,道路等の公共インフラ設備 は整備されているものとして調査すること,③特定建築者が都の提示する計画建築物(本件施設建築物)を建設,取得することを前提として調査すること,④大会期間までの開発スケジュールについては都が提示する資料を前提として調査すること,⑤本件施設建築物のうち,5-3街区及び5-7街区は賃貸運用,5-4街区,5-5街区及び5-6街区 は分譲販売を前提として調査すること,⑥5-5街区~5~7街区について,大会期間に選手村として組織委員会に賃貸する際の賃料収入は,立候補ファイル記載の上限額である38億円とし,当該賃料収入は特定建築者の収入となることを前提として調査すること等の条件が付されている。 鑑定評価基準との相違等に関し,本件価格等調査においては,対象確定条件,付加条件及び調査範囲等条件についていずれも鑑定評価基準に定める条件設定の要件を満たさない価格等調査の条件を設定していることから,鑑定評価基準に則らない価格等調査である。鑑定評価基準との相違の合理的な理由は,本件再開発事業を前提に対象不動産(本件土 地)の譲渡予定価格を設定する際の内部検討用資料として用いるための価格等調査であり,同事業を前提とする限り基本的事項及び価格等調査の手順が鑑定評価基準に則ることができないことについて依頼者が了解していることである。 イ査定方針(46頁以下) 本件では,5-3街区から5-7街区までを合わせた本件土地に係 る調査価額を求めると同時に各街区の調査価額を求める必要があり,また,価格等調査の条件に基づき,選手村 6頁以下) 本件では,5-3街区から5-7街区までを合わせた本件土地に係 る調査価額を求めると同時に各街区の調査価額を求める必要があり,また,価格等調査の条件に基づき,選手村要因を勘案した査定を行う必要があるところ,これらの前提を適切に反映させることができるのは開発法及び収益還元法であることから,次のの査定手順に従って調査価額を求めることとする。なお,本件と同様に計画建築物や開発スケジュー ル等が定められることを前提とした取引事例を収集し適切に要因比較をすることが困難であったため,取引事例比較法は適用しない。 査定手順まず,①選手村要因が調査価額へ及ぼす影響の有無を検討し,②①の各要因のうち調査価額に影響を与える要因についてその内容を検討し て適用する手法の各種諸元(分譲単価,工事費等)を査定し(後記エからシまで),③②で査定した各種諸元等に基づき,各街区の土地価格(大会期間中の賃料収入は考慮しない。)を開発法を適用して求め(後記スからチまで),④③で査定した各街区の土地価格に大会期間中の賃料収入の現在価値を加算して各街区の調査価額を求め(後記ツ,テ), ⑤④で査定した各街区の調査価額を合計して対象不動産の調査価額を求める(後記テ)こととする。 街区ごとの査定方針本件土地は合計5街区から構成されており,街区ごとに計画建築物の用途・運用方法,市場参加者の属性及び市場区分が異なるから,これら 建物の用途及び運用方法に基づき次の2グループに区分して査定する。 なお,本件と同様に計画建築物や開発スケジュール等が定められることを前提とした取引事例を収集し適切に要因比較をすることが困難であったため,どちらのグループの査定においても取引事例比較法は適用しない。 a 5-3街 物や開発スケジュール等が定められることを前提とした取引事例を収集し適切に要因比較をすることが困難であったため,どちらのグループの査定においても取引事例比較法は適用しない。 a 5-3街区(賃貸棟用地)及び5-7街区(商業棟用地)の査定方 針投資用不動産に区分され,①計画建築物を前提とした土地・建物一体の複合不動産としての価格を収益還元法を適用して査定し,②当該価格をもとに開発法を適用して土地価格(大会期間中の賃料収入は考慮しない。)を査定する。 b その余の街区(分譲棟用地)の査定方針販売用不動産に区分される更地としての価格等調査であり,開発法を適用して土地価格(大会期間中の賃料収入は考慮しない。)を査定する。 ウ選手村要因の調査価額への影響について(50頁以下) 選手村要因については,次の12項目に分類し,項目ごとに調査価額への影響の有無及び程度を検討し,その検討結果を踏まえて開発法(及び収益還元法)を適用するための後記エからシまでの各種諸元を査定する。 ①建物計画が定められていること,②建物用途(分譲棟と賃貸棟,賃貸棟の特殊用途)が定められていること,③保育所の設置が必要であるこ と,④開発スケジュールが定められていること,⑤工事費の支払時期及び支払金額割合,⑥一斉大量供給の影響,⑦大会期間中に選手村として一時利用されること(⑦-1:大会期間中に賃料収入が発生すること,⑦-2:大会期間中に選手村として一時利用されること,⑦-3:通常の建物建築工事費以外の費用発生の可能性),⑧事業完了引渡しまで土 地に係る公租公課が発生しないこと,⑨開発協力金が増加すること,⑩水素関連施設設置の影響,⑪新輸送システム(BusRapidTransit;BRT。甲97参照)の導入,⑫水 引渡しまで土 地に係る公租公課が発生しないこと,⑨開発協力金が増加すること,⑩水素関連施設設置の影響,⑪新輸送システム(BusRapidTransit;BRT。甲97参照)の導入,⑫水上交通手段の設置エ開発スケジュール(54頁以下)選手村要因を勘案し適用する各手法において想定した各街区の開発スケ ジュールは,①大会期間終了(平成32年12月)までは,選手村とし ての利用期間等が確定しており,開発スケジュールを想定する必要がないことから,都が提示する資料の開発スケジュールを採用し,②大会期間終了後(平成33年1月以降)については,大会期間終了までのような必須の開発スケジュールはなく,特定建築者が想定する分譲マンションの販売戦略等に基づき,分譲仕様への改修スケジュールが計画される と思料されることから,大会期間以降の開発スケジュールについては,環境影響評価書記載の開発スケジュールや建設会社及び設計会社等へのヒアリングに基づき,次のとおり査定した。 5-4街区及び5-6街区の板状棟の改修工事期間を平成33年1月から平成35年3月までとする。 5-5街区の板状棟の改修工事期間を平成33年1月から平成34年3月までとする。 5-5街区及び5-6街区のタワー棟の建築期間を平成33年1月から平成36年3月までとする。 5-3街区の板状棟の改修工事期間を平成33年1月から平成34 年11月までとする。 5-7街区の商業棟の改修工事期間を平成33年1月から平成34年3月までとする。 オ分譲単価(5-4~5-6街区)(56頁以下)本件における計画建築物は複数棟が計画されており,またタワー 棟・板状棟が混在しており,分譲単価の査定に当たってはこれら棟別のバランスに留意す 分譲単価(5-4~5-6街区)(56頁以下)本件における計画建築物は複数棟が計画されており,またタワー 棟・板状棟が混在しており,分譲単価の査定に当たってはこれら棟別のバランスに留意する必要があることから,本件では,まず選手村要因が本件土地の価格に及ぼす影響を考慮しない場合の各専有部分の価格の差を示す効用比によって各棟及び各街区の分譲単価比を査定し,その上でタワー棟及び板状棟の分譲単価を査定する。 効用比とは,土地・建物から成る複合不動産を一体として捉えた場 合の専有部分に係る効用(床価値)の比をいう。本件については,建物の配置(最寄り駅に近い棟は交通利便性の観点から効用が大きい。),建物の形状(タワー棟は板状棟よりエンドユーザーから選好される傾向がある。),建物の仕様(エレベーター1台当たりの住戸数が少ない建物は居住の快適性の観点から効用が大きい。),階層別効用比(上層階 は居住の快適性の観点から効用が大きい。),住戸別効用比(開口方位によって日照時間等が異なり,南向きの住戸は居住の快適性の観点から効用が大きい。),開口面数(これが多い住戸は,居住の快適性の観点から効用が大きい。),眺望(バルコニーからの眺望が良好な住戸は,居住の快適性の観点から効用が大きい。)及び専有面積(専有面積の大 きな住戸は,総額の観点から購入可能なエンドユーザーが減少し単価が低くなる傾向がある。)の各要因を考慮の上,類似不動産の分譲事例の価格差等を参考にし,「5-5街区・E棟・10階・南向き・中間住戸」の効用を100とし,選手村要因が価格に及ぼす影響を考慮しない場合における各街区の平均効用比を,5-4街区104,5-5街区1 00(板状棟)及び119(タワー棟),5-6街区100(板状棟)及び118(タ し,選手村要因が価格に及ぼす影響を考慮しない場合における各街区の平均効用比を,5-4街区104,5-5街区1 00(板状棟)及び119(タワー棟),5-6街区100(板状棟)及び118(タワー棟)と査定した。 その上で,タワー棟の分譲単価に関し,本件土地周辺地域における直近の新築分譲マンションの分譲実績及びその分析を踏まえ,①本件土地は商業施設を含めた大規模開発の一部であること,②タワー棟は大会 後に着工されることから選手村要因による影響の程度が板状棟に比して小さいこと等を勘案し,タワー棟の分譲単価(専有面積70㎡程度)を,5-5街区につき91万6000円/㎡,5-6街区につき90万9000円/㎡と査定した。 他方,板状棟については,本件土地周辺地域で供給される分譲マン ションは大規模タワー型マンションが主流であり,大規模板状型分譲マ ンションの供給は過去に豊洲エリア等で見られたものを除き最近ではほとんど見られないため,①エンドユーザーは板状棟よりもタワー棟を選好する傾向があること,②タワー棟は板状棟と比較して効用の大きな住戸を多く供給できることにより平均分譲単価が高位になるのに対し,板状棟の平均分譲単価は低位になること,といった要因を勘案して査定し たタワー棟と板状棟の平均効用比の開差を参考に,選手村要因による価格への影響を考慮しない場合の板状棟の分譲単価を77万円/㎡と査定した。 その上で,選手村要因として,大会期間中に選手用宿泊施設として一時使用されることが分譲単価に与える影響を検討すると,分譲される専 有部分のうち各棟2~14階部分が大会期間中に選手用宿泊施設として使用されるものの,大会終了後に選手村仕様から分譲仕様への改修工事が実施され,これにより専有部分の大部分の設備・仕 譲される専 有部分のうち各棟2~14階部分が大会期間中に選手用宿泊施設として使用されるものの,大会終了後に選手村仕様から分譲仕様への改修工事が実施され,これにより専有部分の大部分の設備・仕上げはリニューアルされることとなるところ,①大会期間中の資材の継続使用を検討している部分としては,下地材,サッシ,玄関扉,給排水管等が挙げられる が,㋐一時使用期間が短いこと,入居者が目にする部分は全てリニューアルされること,汚れ等はクリーニングされることから,当該要因による減価は特段発生しないと判断し,②ディベロッパーによっては完成在庫であっても特段の値下げを行わないことや,完成後棟内モデルルーム住戸についても著しく大きな値下げは見られないことから,上記選 手村要因による減価は実質的にあっても小さいと考え,③他方,大会期間中及び分譲仕様変更工事期間に建物の物理的減価は発生することから,当該物理的減価相当は分譲価格に反映する必要があると考え,これらの検討を踏まえ,上記選手村要因が分譲単価に与える影響は概ね4%と判断した。 このような選手村要因による分譲価格への影響を踏まえ,各街区の平 均効用比(上記)も勘案し,選手村要因を考慮した板状棟の分譲単価を,5-4街区77万円/㎡,5-5街区74万円/㎡,5-6街区74万/㎡と査定した。 カ 5-3街区(賃貸棟)の賃料単価(64頁以下)3-A棟~3-C棟(賃貸住宅)について,本件土地周辺の賃貸マ ンションの賃貸条件及び地元不動産会社へのヒアリング,最寄り駅からの距離と賃料の関係,賃貸面積と賃料の関係等を踏まえ,計画建築物を新規に賃貸する場合の賃貸面積別の新規賃料水準(共益費を含む。以下同じ。)を査定した上,この賃貸面積別新規賃料水準をもとに,棟ごと の距離と賃料の関係,賃貸面積と賃料の関係等を踏まえ,計画建築物を新規に賃貸する場合の賃貸面積別の新規賃料水準(共益費を含む。以下同じ。)を査定した上,この賃貸面積別新規賃料水準をもとに,棟ごとに各住戸の賃貸面積別に加重平均した棟別新規賃料単価を次のとおり査 定し,当該棟別新規賃料単価を各棟の賃料単価として採用した。 3-A~3-C棟いずれも月額3660円/㎡なお,5-3街区の各棟2~14階部分が大会期間中は選手用宿泊施設として使用されるものの,一時使用の期間等を勘案すると,一時使用の有無による賃料の相違は発生せず,選手村要因による賃料単価への影 響はないと判断した。 3-D棟中層階から高層階に整備されるSOHO(小規模オフィスや住宅と兼ねるオフィスのこと。以下同じ。)及びサービスアパートメントにつき,都から提示された資料等による運用方法を前提すると,SOHO部分については一般賃貸住宅と大きな相違はないと判断し,サー ビスアパートメント部分についても家具付き賃貸住宅のような一般賃貸住宅に近い運用となる可能性が高いと判断し,そのため,これらのいずれについても一般賃貸住宅と収益構造等に大きな相違はないと判断して,通常の賃貸住宅と同様に扱うこととして,これらの新規賃料単価を上記と同様の方法により月額3600円/㎡と査定した。 3-D棟中層階に整備されるシェアハウスについては,都からの提 示資料を踏まえ,当該部分を一括で施設運営会社に建物賃貸することを想定し,サブリース賃料の査定に当たっては,専用部分については賃貸住宅と同程度の賃料収入が見込めるものとし,一括サブリースによる影響(施設運営会社が空室リスクを負担すること,共用部分の管理を行うこと等)を勘案し,シェアハウスの新規賃料水準(専 部分については賃貸住宅と同程度の賃料収入が見込めるものとし,一括サブリースによる影響(施設運営会社が空室リスクを負担すること,共用部分の管理を行うこと等)を勘案し,シェアハウスの新規賃料水準(専用面積当たり単 価)を月額2889円/㎡と査定した(一般的な賃料水準の75%相当をサブリース賃料と査定)。なお,シェアハウスについては,賃貸住宅と比較して専用部分の賃料単価に大きな相違はないが,有効率が低い(共用スペースが多い)こと等から相対的な収益性は劣る。 3-D棟に整備される高齢者向け施設については,都から提示され た資料を踏まえると,このような資産は特殊な運用能力が必要とされており,土地・建物所有者は建物建築後,運営会社にサブリース契約を締結して建物を賃貸し,運営会社が施設を運営する場合がほとんどであることから,本件においても高齢者向け施設部分を一括で施設運営会社に建物賃貸することを想定し,当該運営会社の負担可能賃料をもとに新規 賃料水準(専用面積当たり単価)を月額2844円/㎡と査定した。なお,上記高齢者向け施設は,自立型のシニアレジデンス(サービス付高齢者向け住宅)と介護型のケアレジデンスから成るところ,シニアレジデンスとケアレジデンスとでは介護報酬の発生の有無など収益構造に相違があることから,別々に負担可能賃料を求め(一般賃貸住宅の派生系 といえるシニアレジデンス部分については一般的な賃料水準の76%相当をサブリース賃料と想定し,事業収益性が重視されるケアレジデンス部分については収入合計の25%相当を負担可能賃料と査定した。),これらを合計して高齢者向け施設の賃料単価を査定した。 キ 5-7街区(商業棟)の賃料単価(69頁以下) 本件土地及びその周辺の開発計画等における居住人口(計画)と商業 賃料と査定した。),これらを合計して高齢者向け施設の賃料単価を査定した。 キ 5-7街区(商業棟)の賃料単価(69頁以下) 本件土地及びその周辺の開発計画等における居住人口(計画)と商業施 設の商圏,商業施設の想定店舗構成等の検討,商業施設の想定年間売上高及びこれを踏まえた商業施設の負担可能賃料並びに類似の商業施設の賃料水準の把握を踏まえ,安定稼働時に計画建築物を新規に賃貸する場合の新規賃料水準(一括貸し)を月額1200円/㎡と査定した。なお,5-7街区が大会前施工により,組織委員会が大会施設として利用する 場合であっても,一時使用の期間等を勘案すると,一時使用の有無により賃料の相違は発生せず,選手村要因による賃料単価への影響はないと判断した。 ク還元利回り(5-3街区及び5-7街区)(73頁以下)還元利回りを求める方法には,①類似の不動産の取引事例との比較 から求める方法や,②金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求めた割引率をもとに本件土地の純収益の変動率を考慮して求める方法等があるところ,本件においては,不動研が行った不動産投資家調査の分析及び法人投資家等への個別のヒアリング結果に基づいて設定した各地区の基準となる利回りに,本件土地の立地条件,建物条件及びその他条 件(竣工から安定稼働までの期間等)に起因するスプレッドを加減するとともに,J-REIT(日本における不動産投資信託)の公表事例に基づく取引利回り,その他類似不動産に係る取引利回り等を勘案して,還元利回りを,5-3街区(賃貸棟)につき4.9%,5-7街区(商業棟)につき5.2%と査定した。なお,還元利回りの査定上,特に留 意した各街区の個別性は,次の,のとおりである。 5-3街区(賃貸棟)については,①立 )につき4.9%,5-7街区(商業棟)につき5.2%と査定した。なお,還元利回りの査定上,特に留 意した各街区の個別性は,次の,のとおりである。 5-3街区(賃貸棟)については,①立地条件として,計画建築物の竣工時点では,隣接地に商業施設が開業し,また,周辺の住環境も良好になると考えられるが,最寄り駅まで距離があるため,当該要因は還元利回りを高めることとなること,②建物条件として,計画建築物の用 途が還元利回りに特段の影響を及ぼすことはないと判断するが,計画建 築物は,総賃貸住戸数が約1500戸の大規模賃貸用不動産であり,このうち約1250戸が一般賃貸住宅であって,この規模の賃貸マンションは周辺地域に存する賃貸マンションと比較すると投資用不動産として総額が嵩むことになり市場参加者が限定されるため,当該要因は還元利回りを高めることとなること,③その他条件として,建物竣工時から安 定稼働(稼働率95%)まで相応の期間を要すると考えられ,当該要因は還元利回りを高めることとなり,また,計画建築物が複合用途の賃貸用不動産であることから,査定に当たってはこれらの用途ごとの還元利回りを勘案するが,一般賃貸住宅の賃貸可能面積及び収益が同街区の賃貸可能面積及び収益の大部分を占めることになり,これに次いで賃貸可 能面積及び収益が大きい高齢者向け施設の還元利回りは,一般賃貸住宅の還元利回りとほぼ同水準であり,その他の用途は同街区全体の収益に占める割合が小さく還元利回りに与える影響は僅少である。 5-7街区(商業棟)については,①立地条件として,最寄り駅からの距離(徒歩約15分)がやや遠い上,埋立地であり周辺地域との連 続性にやや欠け,商圏が限定的となることは,還元利回りを高める要因となる一方,晴海5丁目 いては,①立地条件として,最寄り駅からの距離(徒歩約15分)がやや遠い上,埋立地であり周辺地域との連 続性にやや欠け,商圏が限定的となることは,還元利回りを高める要因となる一方,晴海5丁目地区において類似の商業施設は存せず開発用地も限定的であるため,競合店舗が出現する可能性が低く安定的な店舗経営を見込むことができることは還元利回りを低下させることとなり,②建物条件については,スケルトン貸しを想定しており,設備・内装等に ついて商業施設の運営事業者が独自の仕様を備えることが可能であること等から,還元利回りに特段の影響を及ぼすことはないと判断し,③その他条件として,新規賃料の査定の基礎となった計画人口について予測の不確実性があることや,晴海5丁目地区の居住人口が増加して安定稼働に至るまでの期間における収益の減少は,還元利回りを高める要因と なる。 ケ建築工事費(75頁以下)選手村要因が建築工事費に与える影響建築工事費に影響を与える選手村要因及びその影響の内容としては,①建築工事が一定の時期に集中することにより,㋐作業員の手配・資材の調達が困難となる,大量発注による資材の単価が下落するといった 影響があり,これらにより全体として工事費単価は上昇し,②選手村仕様のため共用廊下幅が広く有効率が低下することにより,㋐工事費単価の低い部分が増える一方,延床面積が増加するといった影響があり,これらにより工事費単価は下落するが工事費総額は増加し,③選手村仕様のためエレベーター等の共用設備が多く,比較的高スペックな設備が 設置されていることにより,工事費単価が上昇するとともに,工事費総額も増加し,④地下に大規模駐車場が設置されていることにより,㋐延床面積が増加する上,工事費単価の高い部分が増 ックな設備が 設置されていることにより,工事費単価が上昇するとともに,工事費総額も増加し,④地下に大規模駐車場が設置されていることにより,㋐延床面積が増加する上,工事費単価の高い部分が増えるという影響があり,これにより工事費単価が上昇するとともに工事費総額も増加することとなる。これらの結果,延床面積の増加と工事費単価の上昇により, 一般的な分譲マンションと比較して工事費総額が大きくなる。 板状棟の建築工事費板状棟は全棟が大会前施工であり,工事費の査定に当たり選手村要因を勘案する必要があることから,本件においては,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等を勘案し,通常の工事費単価(31万8000 円~34万8000円/㎡程度)に上記で検討した選手村要因を踏まえ,板状棟の工事費単価を,5-3街区32万5000円/㎡,5-4街区35万5000円/㎡,5-5街区35万円/㎡,5-6街区36万円/㎡と査定した。 なお,5-3街区の単価は,賃貸タイプで分譲タイプの仕様と相違す ること,特殊用途(水回りが少ないシェアハウス・高齢者向け施設)が 含まれること等を勘案して査定した結果,分譲タイプである他の街区と比較して低位となっており,また,5-5街区の単価は,5-4街区及び5-6街区と比較して,延床面積に算入される共用部分(共用廊下)の割合が大きいことから,相対的に低位となっている。 タワー棟の建築工事費 タワー棟は,大会後施工であり,工事費の査定に当たり選手村要因を勘案する必要はないこと,また,建築開始時点が大会後(平成32年度)となるが,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等を勘案すると,タワー棟建築開始時点では建築需要も比較的落ち着き,工事費単価も本件価格等調査の価格時点(42万4 築開始時点が大会後(平成32年度)となるが,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等を勘案すると,タワー棟建築開始時点では建築需要も比較的落ち着き,工事費単価も本件価格等調査の価格時点(42万4000円~45万4000円/ ㎡程度)と比較して低下している可能性が高いことから,本件では,タワー棟の工事費単価を,5-5街区及び5-6街区のいずれについても40万2000円/㎡と査定した。 商業棟の建築工事費本件では,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等を勘案し,ス ケルトン状態で商業施設賃借人に賃貸する前提の商業棟(5-7街区)の工事費単価を13万6000円/㎡と査定した。 コ販売費及び一般管理費(販管費)等(80頁)開発法における販管費等は,一般に,①販売委託料(人件費等),②広告宣伝費,③開発期間中の土地公租公課及び④その他(登記関連費用, 近隣対策費用,予備費等)の項目から構成されており,販管費等の分譲総額に対する割合は,一般的な開発案件の場合10%程度に収れんする傾向が見られる。 本件においては,選手村要因を勘案すると,一般の開発案件と比較した販管費等の変動要素として,①開発規模が大きいことは販管費等を低下 させ,②開発期間(特に分譲期間)が長期になることは販管費等を上昇 させ,③開発中の土地公租公課が発生しないことは販管費等を低下させると考えられるため,これらの選手村要因を踏まえ,棟別の販管費等の割合(対分譲総額)を,5-3街区2.2%,5-4~5-6街区8. 0%,5-7街区2.0%と査定した。なお,5-3街区及び5-7街区は,販売委託料や宣伝広告費が不要となることから他の街区と比較し て低い割合を採用している。 サ開発協力金(81頁)中央区では,10戸以上の世 と査定した。なお,5-3街区及び5-7街区は,販売委託料や宣伝広告費が不要となることから他の街区と比較し て低い割合を採用している。 サ開発協力金(81頁)中央区では,10戸以上の世帯用住宅(40㎡以上)を含むマンションを建築する場合,中央区指導要綱に基づき開発協力金を負担する必要があり,負担する開発協力金の算定式は次のとおりである。 開発協力金の額=(計画世帯用住宅戸数-9戸)×100万円開発協力金は開発事業ごとに算定するが,本件の場合,本件土地は全街区で一つの開発事業となることから,負担する開発協力金の総額は次のとおりとなる。 (5101戸-9戸)×100万円=50億9200万円 なお,40㎡以上の住戸が対象となるため,上記戸数は計画建築物の住戸総数とは異なる。 シ建築工事費の支払時期(81頁以下)建設会社やマンション分譲会社へのヒアリングによると,工事費の支払時期及び支払金額割合に統一的なものはないものの,着工時・中間 時・竣工時に分割され,その割合は竣工時が大部分を占めるとのことであり,また,建築期間が比較的長期になる場合においても工事費の支払時期は必ずしも早くならないとのことであったことから,このヒアリング結果等を踏まえ,一般的な工事費の支払時期及び支払金額の目安を次のとおり把握した。 着工時:中間時:竣工時=1:1:8 その上で,本件における開発スケジュールを前提とした場合,一般的な開発期間に大会期間及び分譲仕様への改修工事期間が追加されることにより,建物竣工までの期間が長期となる上,組織委員会が利用を開始する段階(平成31年末頃)で建物の大部分が完成していることになる。このような選手村要因を勘案した場合,上記の一般的な支払時 ることにより,建物竣工までの期間が長期となる上,組織委員会が利用を開始する段階(平成31年末頃)で建物の大部分が完成していることになる。このような選手村要因を勘案した場合,上記の一般的な支払時期 及び支払金額で工事費を支払うことは,施工業者(ゼネコン)の資金調達等を勘案すると妥当ではないと考え,一方,支払金額割合を大きく前倒しした場合,特定建築者の資金調達等に支障が出ることも勘案する必要があり,そのため,本件では,上記選手村要因を勘案した工事費の支払時期及び支払金額割合を次のとおり査定した。 大会前着工建物着工時:中間時(仮使用許可取得時):竣工時=1:2.5:6.5大会後着工建物着工時:中間時:竣工時=1:1:8ス 5-3街区の土地価格(大会期間中の賃料収入は考慮しない価格。後記チまで同様)の査定について(83頁以下,別表①,②) 収益還元法による計画建築物を前提とした複合不動産の価格同街区に都が提示する計画建築物を建築して賃貸する場合を想定し,この場合の複合不動産の価格を次のとおり442億円と査定した。 すなわち,収益還元法(直接還元法)においては,純収益を還元利回りで除して収益価格を査定するところ(関係法令等⑶イ),純収益に ついては,①潜在総収益を,上記カで査定した賃料単価(ただし,保育所の賃料単価は月額1513円/㎡,店舗の賃料単価は4538円/㎡。)に賃貸面積及び12月を乗じるなどして査定した貸室賃料収入合計29億6412万円に,別途査定した駐車場収入1億0656万円(新規賃料水準をもとに月額3万円/台と査定),礼金収入4996万 9000円(住宅部分について1か月分と査定)及び更新料収入749 5万4000円(住宅部分について平均 656万円(新規賃料水準をもとに月額3万円/台と査定),礼金収入4996万 9000円(住宅部分について1か月分と査定)及び更新料収入749 5万4000円(住宅部分について平均的な契約期間等を考慮して査定)を加算して31億9560万3000円と査定した上で,②この潜在総収益から,空室等損失として1億6627万6000円(住宅部分及び店舗部分につき空室率を5%,駐車場部分につき空車率を30%として査定)を控除して運営収益を30億2932万7000円と査定し, ③この運営収益からさらに運営費用として8億0868万6000円(維持管理費,修繕費,公租公課及び損害保険料の合計額)を控除して運営純収益を22億2064万1000円と査定し,④この運営純収益に,一時金の運用益1128万2000円(査定敷金に稼働率を乗じて得た額に運用利回り2.0%を乗じて査定)を加算するとともに,資本 的支出として6768万円(今後見込まれる支出を毎期平均的に積み立てることを想定し,類似建物における資本的支出の水準等をもとに査定)を控除することにより,純収益を21億6424万3000円と査定したものである。そして,これを前記クにおいて査定した還元利回り(4.9%)で除すると,複合不動産の価格は442億円となる。 5-3街区の土地価格査定における開発法の考え方計画建築物を前提とした複合不動産の価格と投下資本(工事費,販管費等)を投下資本収益率で価格時点に割り戻して,次のとおり土地価格を求める。 すなわち,Xを土地価格,Yを計画建築物を前提とした複合不動産の 価格,Aを工事費,Bを販管費等,Cを開発協力金,rを投下資本収益率,n1を価格時点から販売時点までの期間,n2を価格時点から工事費の支出時点まで 格,Yを計画建築物を前提とした複合不動産の 価格,Aを工事費,Bを販管費等,Cを開発協力金,rを投下資本収益率,n1を価格時点から販売時点までの期間,n2を価格時点から工事費の支出時点までの期間,n3を価格時点から販管費等の支出時点までの期間,n4を価格時点から開発協力金の支出時点までの期間とすると,X(1+r)n1+A(1+r)n1-n2+B(1+r)n1-n3+C(1+r)n1-n4 =Y となるから,この式より,X=Y/(1+r)n1-A/(1+r)n2-B/(1+r)n3-C/(1+r)n4となる。 5-3街区の土地価格開発法は,開発事業者の投資採算性に着目したものであり,開発事業 者の借入金利率,開発利潤率,危険負担率を考量して投下資本収益率(上記のr)を年6.5%と査定した。 その上で,上記の複合不動産の価格のほか,前記ケ,コ,サの各検討を踏まえた工事費,販管費等,開発協力金の額を上記の式に代入し,さらに,前記エ,シの検討を踏まえ,上記のn1,n3及びn4をいず れも80月とし,n2については工事費のうち10%につき10月,25%につき45月,65%につき80月として計算すると,上記のXが7億0968万7968円となることから,5-3街区の土地価格を7億1000万円(2万7000円/㎡)と査定した。 セ 5-4街区の土地価格の査定について(85頁,別表③) 5-4街区における開発法の考え方販売総額と投下資本(工事費,販管費等)を投下資本収益率で価格時点に割り戻して,次のとおり土地価格を求める。 すなわち,Xを土地価格,Yを販売総額,Aを工事費,Bを販管費等,Cを開発協力金,rを投下資本収益率,n1を価格時点から販売時 を投下資本収益率で価格時点に割り戻して,次のとおり土地価格を求める。 すなわち,Xを土地価格,Yを販売総額,Aを工事費,Bを販管費等,Cを開発協力金,rを投下資本収益率,n1を価格時点から販売時点ま での期間,n2を価格時点から工事費の支出時点までの期間,n3を価格時点から販管費等の支出時点までの期間,n4を価格時点から開発協力金の支出時点までの期間とすると,X(1+r)n1+A(1+r)n1-n2+B(1+r)n1-n3+C(1+r)n1-n4=Y となるから,この式より, X=Y/(1+r)n1-A/(1+r)n2-B/(1+r)n3-C/(1+r)n4となる。 5-4街区の土地価格販売価格については,前記オの査定を踏まえ,総額517億5338万6300円と査定し,投下資本収益率(上記のr)は,開発事業者 の借入利率,開発利潤率,危険負担率を考量して年10%と査定した。 その上で,これらのほか,前記ケ,コ,サの各検討を踏まえた工事費,販管費等,開発協力金の額を上記の式に代入し,さらに,前記エ,シの検討を踏まえ,上記のn1については,販売総額のうち9%を66月,81%を84月,10%を90月とし,n2については,工事費の うち10%を10月,25%を45月,65%を84月とし,n3を72月,n4を84月として計算すると,上記のXが11億6868万9164円となることから,5-4街区の土地価格を11億7000万円(4万9500円/㎡)と査定した。 ソ 5-5街区の土地価格の査定について(86頁,別表④) 同街区における開発法の考え方は5-4街区と同じであり,投下資本収益率も同街区と同様に査定した。また,販売総額,工事費,販管費等及び開発協力金の額は,前記オ,ケ, ついて(86頁,別表④) 同街区における開発法の考え方は5-4街区と同じであり,投下資本収益率も同街区と同様に査定した。また,販売総額,工事費,販管費等及び開発協力金の額は,前記オ,ケ,コ,サの各検討を踏まえて査定し,さらに,前記エ,シの検討を踏まえ,上記セのn1については,板状棟に係る販売総額の9%を55月,81%を72月,10%を78月とし, タワー棟に係る販売総額の9%を80月,81%を96月,10%を102月とし,n2については,板状棟に係る工事費の10%を10月,25%を45月,65%を72月とし,タワー棟に係る工事費の10%を58月,10%を77月,80%を96月とし,n3については72月とし,n4については開発協力金の60%を72月とし,40%を96月と して計算すると,上記セのXが40億5626万3209円となるこ とから,5-5街区の土地価格を40億6000万円(10万8000円/㎡)と査定した。 タ 5-6街区の土地価格の査定について(86頁以下,別表⑤)5-5街区と同様の手法を用い,投下資本収益率等についても同様の査定結果を用いて計算すると(ただし,上記セのn1については,タワー 棟については5-5街区と同じであるが,板状棟については販売総額の9%を66月,81%を84月,10%を90月と査定し,n2についても,タワー棟については5-5街区と同じであるが,板状棟については,工事費のうち10%を10月,25%を45月,65%を84月と査定し,n3については78月と査定し,n4については開発協力金の56% を84月,44%を96月と査定した。),上記セのXが27億1616万0928円となることから,5-6街区の土地価格を27億2000万円(7万7300円/㎡) については開発協力金の56% を84月,44%を96月と査定した。),上記セのXが27億1616万0928円となることから,5-6街区の土地価格を27億2000万円(7万7300円/㎡)と査定した。 チ 5-7街区の土地価格の査定について(87頁以下,別表⑥,⑦)収益還元法による計画建築物を前提とした複合不動産の価格 5-7街区に都が提示する計画建築物を建築して賃貸する場合を想定し,この場合の複合不動産の価格を次のとおり58億6000万円と査定した。 すなわち,同不動産の純収益については,①潜在総収益を,前記キで査定した賃料単価に賃貸面積及び12月を乗じるなどした賃料収入4億 2480万円と査定した上で,②一括貸しを想定するため空室等損失を計上せず潜在総収益をそのまま運営収益とし,③この運営収益から運営費用として1億1263万4000円(維持管理費,修繕費,公租公課〔1億0534万2000円〕及び損害保険料の合計額)を控除して運営純収益を3億1216万6000円と査定し,④この運営純収益に, 一時金の運用益849万6000円(査定敷金に稼働率を乗じて得た額 に運用利回り2.0%を乗じて査定)を加算するとともに,資本的支出として1604万8000円(今後見込まれる支出を毎期平均的に積み立てることを想定し,類似建物における資本的支出の水準等をもとに査定)を控除することにより,純収益を3億0461万4000円と査定したものである。そして,これを前記クにおいて査定した還元利回り (5.2%)で除すると,複合不動産の価格は58億6000万円となる。 5-7街区の土地価格5-7街区における開発法の考え方は5-3街区と同じであり,投下資本収益率については,開発事業者の借入金利率,開発利潤 ると,複合不動産の価格は58億6000万円となる。 5-7街区の土地価格5-7街区における開発法の考え方は5-3街区と同じであり,投下資本収益率については,開発事業者の借入金利率,開発利潤率,危険負 担率を考量して年7.2%と査定した。 その上で,上記の複合不動産の価格のほか,前記ケ,コの検討を踏まえた工事費,販管費等の額を前記スの式に代入し,さらに,前記エ,シの検討を踏まえ,n1及びn3を72月とし,n2については,工事費の10%を27月,25%を45月,65%を72月として計算すると, 前記スのXが9億4973万3760円となることから,5-7街区の価格を9億5000万円(8万3700円/㎡)と査定した。 ツ大会期間中の賃料収入(88頁以下)大会期間中の賃料収入(都から提示された38億円)に価格時点から支払時点までの複利現価率0.881946(開発事業者の借入金利 率,賃料収入の不確実性,計画建築物の開発・建築に関するリスク等を考慮して査定した割引率〔3.0%〕と割引期間〔51か月〕から査定)を乗じ,上記賃料収入の現在価値を33億5000万円と査定した。 大会期間中に組織委員会が選手用宿泊施設として主に利用する住戸部分(板状棟各棟の2~14階部分)及び商業棟の専有部分を大会期間 中の賃貸面積と把握し,上記の賃料収入の現在価値をその面積割合で 各街区に按分し配賦すると,各街区への配賦額は次のとおりとなる。 a 5-3街区 7億6900万円b 5-4街区 7億0900万円c 5-5街区 9億3400万円d 5-6街区 8億2300万円 e 5-7街区 1億1500万円テ調査価額(90頁以下)前記スからチまでの各街区の土地価格に上記ツの大会期間中 5-5街区 9億3400万円d 5-6街区 8億2300万円 e 5-7街区 1億1500万円テ調査価額(90頁以下)前記スからチまでの各街区の土地価格に上記ツの大会期間中の賃料収入の現在価値の配賦額を合計し,各街区の調査価額を5-3街区が14億7900万円(5万6200円/㎡),5-4街区が18億790 0万円(7万9500円/㎡),5-5街区が49億9400万円(13万3000円/㎡),5-6街区が35億4300万円(10万1000円/㎡),5-7街区が10億6500万円(9万3800円/㎡)と決定した。 また,上記で求めた各街区の調査価額を合計し,この価格に後記 のとおりの一括売却に伴う市場性の検討を加え,一体地(5-3~5-7街区の合計)の調査価額を129億6000万円(9万6800円/㎡)と決定した。 なお,一体地は規模が大きい画地であり,また,計画建築物の用途も混在していることから各街区の調査価額を合計するに当たり市場性修 正の要否を検討したが,①一体地の典型的な市場参加者はこれら各用途に係る不動産投資が可能であり,各街区を個別に捉えた場合の市場参加者と一体地の市場参加者に大きな相違はないと考えられること,②各街区の土地価格の査定に当たって採用した諸元(スケジュール,分譲単価,工事費等)は一体地での開発を前提とした諸元を採用していることから, 一括売却に当たり市場性の減退はないと判断し,市場性修正率を10 0%と査定した。 ⑶ 検討ア不動研が鑑定評価基準に則らない価格等調査を行ったことの相当性について前記⑵アのとおり,不動研は本件価格等調査を行うに当たり鑑定評価 基準に則らない価格等調査を行っていることから,まず,その適否について検討 に則らない価格等調査を行ったことの相当性について前記⑵アのとおり,不動研は本件価格等調査を行うに当たり鑑定評価 基準に則らない価格等調査を行っていることから,まず,その適否について検討する。 国土交通省は,不動産鑑定評価制度の適切な運用に寄与し,もって不動産の適正な価格の形成に資することを目的として,不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的基準として鑑定評価基準を 定めるとともに,その所属する不動産鑑定業者が業として価格等調査を行う場合に当該価格等調査の目的と範囲等に関して依頼者との間で確定すべき事項及び成果報告書の記載事項等に関してガイドラインを定めている(関係法令等⑵,⑸ア)。ガイドラインは,不動産鑑定士が不動産の価格等の調査をするに当たっては,鑑定評価基準に則った鑑定評価を 行うことを原則とするが,鑑定評価基準に則ることができない場合や,ガイドラインが定める依頼目的,利用者の範囲等を勘案して鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合については,鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができるとしている(関係法令等⑸ア)。そのため,本件価格等調査が,ガイドラインが例外的に認めてい る鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる場合に当たるか否かが問題となる。 ところで,前記のとおり,本件価格等調査においては,委託者である東京都から,①都が提示する開発計画に基づき本件土地の造成工事が完了し,道路等の公共インフラ設備が整備されていること,②特定建築 者が本件施設建築物を建設,取得すること,③所定の開発スケジュール に従って開発が行われること,④本件施設建築物が所定の用途に用いられること,⑤特定建築者が大会期間中所定の賃料収入を取得すること等を前提と を建設,取得すること,③所定の開発スケジュール に従って開発が行われること,④本件施設建築物が所定の用途に用いられること,⑤特定建築者が大会期間中所定の賃料収入を取得すること等を前提として価格等調査を行う旨の条件が付されていたものである(前記⑵ア)。 しかるところ,前記⑴において説示したとおり,本件譲渡価格が再 開発法上確保すべきとされている敷地等の譲渡価格の適正を欠くものであるか否かについては,選手村要因が存在することを前提とし,同要因の価格への影響を考慮して判断すべきであるところ,上記の条件は,まさに,選手村要因を考慮した本件土地の経済価値を評価するために付されたものということができる。そうすると,本件価格等調査において 上記の条件が付されていることは,本件再開発事業において施行者たる東京都が特定建築者に本件土地を譲渡するに当たって予定価格を決定する際の参考にするという本件調査委託契約の目的に沿うものといえ,本件価格等調査は,上記の観点から本件土地の価格を査定するための合理的な条件が付されているものといえる。 したがって,本件価格等調査が,ガイドライン上例外的に鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる場合に当たるか否かを検討するに当たっても,上記の条件が付されていることを前提として検討すべきである。 そこで検討すると,鑑定評価基準は,不動産の鑑定評価によって求 める価格の種類として,①正常価格,②限定価格,③特定価格及び④特殊価格の4種類を定めているが(関係法令等⑶ア),上記の条件の下において成立する本件土地の価格(本件価格等調査において求めるべき価格)が限定価格又は特殊価格のいずれにも当たらないことは,その意義に照らして明らかである。 そこで,次に,本 の条件の下において成立する本件土地の価格(本件価格等調査において求めるべき価格)が限定価格又は特殊価格のいずれにも当たらないことは,その意義に照らして明らかである。 そこで,次に,本件価格等調査において求めるべき価格が正常価格で あるかについて検討すると,正常価格とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価格を表示する適正な価格をいうが,この場合において,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは,市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し,参入,退 出が自由であること等の条件を満たす市場であり,同市場における市場参加者が,自己の利益を最大化するため,対象不動産の最有効使用,すなわち,その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提とした価値判断を行うこと等の要件を満たすことが必要である(関係法令等⑶ア)。したがって,正常価格は,対象不動産を取得し た市場参加者が,これを自由に使用収益・処分することができ,そのため,これを最有効使用することができることを前提とする価格であるということができる。しかるところ,上記のとおり,本件価格等調査は,上記の条件(選手村要因)を前提とした本件土地の価格を査定すべきものであって,市場参加者が本件土地を自由に使用収益・処分し,これ を最有効使用することは想定されていないから,本件価格等調査において求めるべき価格が正常価格であるということはできない。 また,鑑定評価基準に定める4種類の価格のうち,特定価格とは,市場性を有する不動産について,法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさないことによ ,鑑定評価基準に定める4種類の価格のうち,特定価格とは,市場性を有する不動産について,法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさないことによ り正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値とかい離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいうところ(関係法令等⑶ア),鑑定評価基準留意事項によれば,ここでいう「法令等」とは,法律,政令,内閣府令,省令,その他国の行政機関の規則,告示,訓令,通達等のほか,最高裁判所規則, 条例,地方公共団体の規則,不動産鑑定士等の団体が定める指針,企業 会計の基準,監査基準をいうとされている(関係法令等⑷ア)。しかるところ,上記の本件土地の使用収益・処分に係る各種の制約は,東京都が本件再開発事業の施行者として本件事業計画及び本件権利変換計画等により定めたものであって,上記法令等に基づく制約とはいえず,上記の条件下での本件土地の価格等調査が,上記法令等による要請を背 景とする鑑定評価目的によるものであるとは即断し難く,本件価格等調査は,これに付された条件に照らして,特定価格を求めるものではないというべきである。 以上によれば,本件価格等調査は,これに付された条件の下においては,鑑定評価基準に定める4種類の価格のいずれにも当たらない価格を 求めるべきものであるから,鑑定評価基準に則ることができず,また,依頼目的に照らして鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由があるものとして,ガイドライン上例外的に鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる場合に当たるというべきである。 また,上記の点をおくとしても,鑑定評価基準は,更地の鑑定評価 額は,取引事例に基づく比準価格 上例外的に鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる場合に当たるというべきである。 また,上記の点をおくとしても,鑑定評価基準は,更地の鑑定評価 額は,取引事例に基づく比準価格及び土地残余法による収益価格を関連付けて決定するものとし,再調達原価が把握できる場合には,積算価格をも関連付けて決定すべきであり,当該更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等においてはさらに開発法による査定価格を比較考量して決定するものとしており(関係法令等⑶イ),少 なくとも取引事例比較法及び収益還元法を用いて価格を査定することを要するものとしているところ,後記イbのとおり,上記の各条件を前提とする本件価格等調査においては,取引事例比較法及び収益還元法を適用することができない。 したがって,本件価格等調査は,この点においても,鑑定評価基準に 則った調査(すなわち,鑑定評価基準の全ての内容に従って行われる価 格等調査〔関係法令等⑸ア参照〕)として行うことができないことが明らかであり,ガイドライン上例外的に鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる場合に当たる。 イ開発法のみを用いたことの相当性についてもっとも,上記の例外的な場合として鑑定評価基準に則らない価格等調 査を行うときであっても,当該価格等調査における依頼の目的等に応じた合理的な方法で対象不動産の価格を求めるべきであり(関係法令等⑸イ参照),鑑定評価基準に定める価格評価の手法である取引事例比較法又は収益還元法のいずれかを用いることができない場合であっても,同基準に定めるその余の手法を用いることができるのであれば,可能な限りそれらを 用いて対象不動産の価格を求めるべきである。 本件価格等調査においては,開 を用いることができない場合であっても,同基準に定めるその余の手法を用いることができるのであれば,可能な限りそれらを 用いて対象不動産の価格を求めるべきである。 本件価格等調査においては,開発法のみを用いて本件土地の価格を査定している(前記⑵イ。ただし,5-3街区及び5-7街区については,開発法を適用するに際して必要となるこれら各土地及び同土地上の建物から成る複合不動産の販売価格を査定する際に収益還元法を用いている。)こ とから,このような価格評価の手法の選択が合理的なものであったといえるかが問題となる。 開発法は,鑑定評価基準において,更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等における価格評価の手法として定められているものであり,一体利用をすることが合理的と認められるとき は,価格時点において当該更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し,販売総額から通常の建物建築費相当額及び付帯費用を控除して対象不動産の価格を求めるものとされており(関係法令等⑶イ),このような評価の手法は,それ自体,合理的な手法であるといえる。 本件土地は,その総面積が13万㎡余りにも及ぶ広大な土地であり, 街区別にみても最も面積の小さい5-7街区ですらその面積が1万13 55㎡にも及んでいるものである(前提事実⑵ア,別紙2)から,鑑定評価基準上も,開発法の適用が想定される規模のものであるということができる。また,前記ア,のとおり,本件価格等調査においては,本件土地上に本件施設建築物を建築すること等の条件を前提として評価する必要があるところ,このような条件下における評価を最も的確に行 うことができる手法は,開発期間を含め,土地上に建築される建築物に係る諸事情についても考慮することができる開 件を前提として評価する必要があるところ,このような条件下における評価を最も的確に行 うことができる手法は,開発期間を含め,土地上に建築される建築物に係る諸事情についても考慮することができる開発法であるということができる。 以上に鑑みると,本件価格等調査において,選手村要因を考慮した本件土地の価格を査定するに当たり,開発法を採用したことが不合理であ るということはできず,同価格等調査における開発法の具体的な適用方法が,選手村要因を反映したものであること(本件土地上に建築することを想定する建物やその用途が最有効使用を前提とするものではなく,開発スケジュール等もあらかじめ定められていること等)を除き,鑑定評価基準及び鑑定評価基準留意事項の定める手法(関係法令等⑶イ, ⑷ウ)と異なるものであるとも認められない(なお,後記エ参照)。 また,後記bのとおり,本件価格等調査において,取引事例比較法,収益還元法又は原価法を採用することができたとも認められない以上,本件価格等調査において開発法以外の手法を採用しなかったことが不合理であるということはできない。 原告らの主張についてa この点に関し,原告らは,開発法は,複利計算が使われることで,前提となる数値がわずかに変わると評価価格が大きく変動するなどの欠陥がある,鑑定評価基準においては,原価法,取引事例比較法及び収益還元法の3手法が原則的な評価手法であって,開発法はあ くまで補助的な方法にすぎないなどと主張する。 しかしながら,鑑定評価基準の内容(関係法令等⑶イ)に照らせば,鑑定評価基準は,不動産の価格に関する諸原則ないし価格の形成メカニズムを踏まえ,不動産の鑑定評価に当たって着目すべき基本的な要素に応じて原価法,取引事例比較法及び収益還 関係法令等⑶イ)に照らせば,鑑定評価基準は,不動産の価格に関する諸原則ないし価格の形成メカニズムを踏まえ,不動産の鑑定評価に当たって着目すべき基本的な要素に応じて原価法,取引事例比較法及び収益還元法の三つを不動産鑑定評価の基本的な手法として位置付けた上で,開発法を, これらの考え方を組み合わせた応用的手法として位置付けているものと解される。そして,鑑定評価基準は,開発法を適用すべき場合を当該土地(更地)の面積が広大である場合等に限定する一方,これを適用すべき場合には,他の手法による試算価格との比較考量に当たって,他の手法による試算価格よりも劣位に扱うべきものとは していない。開発法について原告らが指摘する問題点(複利計算を伴うことにより,算定の基礎となる値の差異が算定の結果に大きく反映されること)は,開発法に限らず,鑑定評価基準における基本的な手法の一つである収益還元法(DCF法)においても同様であり,算定の基礎とされた具体的な数値に問題がある場合は別として, 上記のような開発法が一般的に有する性質それ自体をもって直ちに開発法の適用の合理性を否定する根拠とすることはできないというべきである。 b 原告らは,鑑定評価基準において鑑定評価の手法は複数行うべきものであることが明示されているところ,本件においては取引事例 比較法,収益還元法及び原価法を適用することも可能であるとして,これらの複数の手法を用いるべきである旨を主張する。 しかしながら,取引事例比較法については,鑑定評価基準において,近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代 替競争不動産の取引が行われている場合に有効であるとされている ところ(関係法令等⑶イ 圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代 替競争不動産の取引が行われている場合に有効であるとされている ところ(関係法令等⑶イ),本件土地の近隣地域又は同一需給圏内の類似地域において,本件譲渡契約と同様の不動産の取引,すなわち,前記アのような条件が付された取引がされていると認めるに足りる証拠はない。原告らは,東京都内における広大地の取引事例の収集は可能である旨主張するが,前記アのとおり,同の条 件(すなわち選手村要因を考慮すること)は本件価格等調査において本件土地の価格を査定するための合理的な条件であるところ,選手村要因は極めて特殊かつ個別性の強いものであるから,これに類する要因が存在する取引事例を収集することが困難であることはもちろん,原告らが主張するような他の広大地(選手村要因ないしこ れに類する要因が存しないもの)の取引事例との比較から選手村要因を考慮した本件土地の価格を査定するための的確な事情補正を行うことも困難である。 また,収益還元法については,一般に,対象不動産が更地である場合については土地残余法を適用することが可能であるが,この手 法は,当該更地に賃貸用建物等が建築されることを想定し,対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めるものである(関係法令等⑶イ,⑷イ)のに対し,本件土地については,選手村要因を考慮した場合,5-3街区及び5-7街区以外の街区に建築される本件施設建築物は分譲するものとされ ており,土地残余法を適用する前提を欠くこととなる。そして,本件土地を一括して譲渡することを前提とする選手村要因(前提事実⑶キ)を考慮した本件土地の価格を査定するに当たり,本件土地の一部の ており,土地残余法を適用する前提を欠くこととなる。そして,本件土地を一括して譲渡することを前提とする選手村要因(前提事実⑶キ)を考慮した本件土地の価格を査定するに当たり,本件土地の一部のみについて開発法に加えて収益還元法を用いることが相当であったともいえないから,本件価格等調査において開発法とは別に 収益還元法を用いなかったことが不合理であるとはいえない。 さらに,原価法は,価格時点における対象不動産の再調達原価を求め,この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法であるところ(関係法令等⑶イ),本件土地について再調達原価を適切に求めることができると認めるに足りる証拠はない(原告Eは,本件土地について原価法を適用す ることができる旨供述するが〔原告E19頁〕,同原告の供述においても,本件土地の素地の値段は分からないというのである〔原告E同頁〕し,また,本件各E鑑定のいずれについても原価法を採用しておらず,再調達原価の把握を適切に行い得る根拠が示されていない。)。 以上のとおり,選手村要因を考慮した本件土地の価格を求めるに当たり,取引事例比較法,収益還元法又は原価法のいずれかを適用することができたとは認められないから,本件価格等調査がこれらの手法のいずれかを適用することなく,開発法のみを用いて本件土地の価格を査定したことが不合理であるということはできず,この 点についての原告らの主張は採用することができない。 ウ販売価格(5-4~5-6街区の分譲単価)の相当性について本件価格等調査においては,開発法を適用するための本件施設建築物(5-3街区及び5-7街区のものを除く。)の分譲価格を査定するに当たり,まず,①建物の配置・形状・仕様,階層別効用 相当性について本件価格等調査においては,開発法を適用するための本件施設建築物(5-3街区及び5-7街区のものを除く。)の分譲価格を査定するに当たり,まず,①建物の配置・形状・仕様,階層別効用比,住戸別効 用比,開口面数,眺望及び専有面積の各要因を考慮した街区ごとの平均効用比を査定し,その上で,②タワー棟の分譲単価については,本件土地周辺地域における直近の新築分譲マンションの分譲実績及びその分析を踏まえ,さらに,本件土地は商業施設を含めた大規模開発の一部であることや,タワー棟は大会後に着工されることから選手村要因による影 響の程度が板状棟に比して小さいこと等を勘案して,その分譲単価を9 0万9000円~91万6000円/㎡と査定し,③板状棟については,本件土地周辺地域で供給される分譲マンションの実情やタワー棟と板状棟との差異(供給の主流はタワー型であり,エンドユーザーもタワー型を選好する傾向があること等)を考慮して査定したタワー棟と板状棟との平均効用比の開差を参考に,選手村要因(大会期間中に選手用宿泊施 設として使用されること)による価格への影響も考慮して,各街区の平均効用比を勘案しその分譲単価を74万円~77万円/㎡と査定したものであって(前記⑵オ),こうした分譲単価の査定の手法及びその判断過程に不合理な点はうかがわれない。 原告らの主張について a 原告らは,本件価格等調査における本件施設建築物の分譲単価は著しく低額であると主張し,E鑑定2(甲92。これは,選手村要因を考慮し開発法を適用して本件土地の価格を求めたものとして提出されている。)においては,分譲単価を95~100万円/㎡(板状棟)及び120万円/㎡(タワー棟)と査定している。 しかしながら,E鑑定2が参照している3 件土地の価格を求めたものとして提出されている。)においては,分譲単価を95~100万円/㎡(板状棟)及び120万円/㎡(タワー棟)と査定している。 しかしながら,E鑑定2が参照している3件の取引事例(分譲単価105万3000円~109万2000円/㎡。いずれもタワー型マンション)は,最寄り駅である大江戸線勝どき駅まで徒歩6~9分,東京メトロ有楽町線月島駅まで徒歩12分の距離にあるのに対し,本件土地のうちタワー棟が建築されることとなる5-5街区及び5-6 街区の最寄り駅(大江戸線勝どき駅)までの距離は徒歩17~21分(5-5街区),徒歩19~21分(5-6街区)であり,タワー棟の設置位置が当該街区内では駅寄りであることを考慮しても徒歩20分近くを要することとなる(甲92,乙40)。このように,本件施設建築物のタワー棟は上記取引事例に比べて立地条件(駅への近接 性)が劣るにもかかわらず,E鑑定2は,タワー棟の分譲単価を上記 取引事例の分譲単価よりも高額な120万円/㎡と査定しているものであり,この点について合理的な説明がされていない(なお,不動研作成の意見書〔乙40〕においては,都心部におけるマンションの価格形成要因のうち,最寄り駅への接近性は特に重要な要因であり,徒歩10分を超えると価格水準は下落する傾向が認められると指摘され ており,不動研作成の他の意見書〔乙52〕でも,首都圏では最寄り駅までの距離が徒歩7分以遠となると徐々に坪単価の開きが大きくなるとの分析・調査結果が紹介されているところ,これらの指摘等が不合理であることもうかがわれない。)。さらに,前記のとおり,本件土地周辺地域で供給される分譲マンションの実情やタワー棟と板状 棟との差異を考慮するとタワー棟と板状棟とでは平均効用比に 等が不合理であることもうかがわれない。)。さらに,前記のとおり,本件土地周辺地域で供給される分譲マンションの実情やタワー棟と板状 棟との差異を考慮するとタワー棟と板状棟とでは平均効用比に開差があるとする本件価格等調査における査定内容は合理的であって,板状型のマンションは一般にタワー型マンションよりも分譲単価が低くなる傾向があると考えられる(E鑑定2もこのこと自体は前提としているものと解される。)。そうすると,本件施設建築物の板状棟は,上 記のとおりE鑑定2が参照する取引事例と比べて立地条件が劣るタワー棟よりもさらにその条件が劣ることになるが,E鑑定2では,板状棟の分譲単価が上記取引事例とほぼ同等の価格水準であることとなり,この点においても合理性を欠くというべきである。 この点,原告らは,本件施設建築物には大規模な駐車場が整備され, 入居者の多くは日常的に自動車での移動が前提とされるものと考えられるし,新輸送システムであるBRTも整備され,平日ピーク時においては1時間当たり2000人もの輸送が可能となることから,鉄道の駅までの距離は本件施設計画物において重要度は極めて低い旨を主張する。しかしながら,東京23区内の移動においては,目的地に駐 車場設備がないか,あっても不十分な場合が多いことから,鉄道での 移動が圧倒的に利便性が高く,本件施設建築物内に駐車場(分譲棟合計約1920台分〔甲79の11・12〕。分譲棟の住戸総数〔約4160戸。前提事実⑷イ〕に対する割合は約46%)が整備されることを前提としても,本件施設建築物の居住者にとっては依然として鉄道が主たる交通手段になると考えられる。また,BRTについては, そもそも,本件価格等調査の価格時点(平成28年4月1日)において,輸送量等を含む ,本件施設建築物の居住者にとっては依然として鉄道が主たる交通手段になると考えられる。また,BRTについては, そもそも,本件価格等調査の価格時点(平成28年4月1日)において,輸送量等を含むその詳細な事業内容は明らかとなっていなかった(甲97,乙34)上,原告らの主張する輸送能力を前提としても,本件施設建築物の住宅戸数が総計約5650戸であること(前提事実⑷イ)に照らせば,通勤や通学のために想定される利用人数に比して 十分な輸送能力を有するものとはいい難い。したがって,原告らが主張する本件施設建築物における駐車場の整備や代替交通手段としてのBRTの整備等の事情を考慮したとしても,本件施設建築物の立地条件面での劣位によってその分譲価格に及ぼされる影響が解消されるとは認め難いから,本件価格等調査における分譲単価の査定の合理性は 左右されないものというべきである。 したがって,E鑑定2における価格との比較を理由に本件価格等調査における分譲単価の査定が不合理であるとする原告らの上記主張は,採用することができない。 b 原告らは,5-4街区及び5-6街区に建築された板状棟について は,その後,実際に90万円/㎡以上の価格で分譲されている旨指摘する。 しかしながら,原告らが主張する上記板状棟の価格表が発表されたのは令和元年7月であるところ(甲92),その分譲価格は,本件価格等調査の価格時点(平成28年4月1日)以降の市況の変動等,同 価格時点においては存在していなかった価格要因を反映している可能 性がある。これに加え,E鑑定2によれば,現在販売されている5-4街区及び5-6街区上の板状棟は,本件施設建築物のうちこれら街区に建設される板状棟の一部にとどまる上,上 反映している可能 性がある。これに加え,E鑑定2によれば,現在販売されている5-4街区及び5-6街区上の板状棟は,本件施設建築物のうちこれら街区に建設される板状棟の一部にとどまる上,上記分譲価格が今後も維持されるかは明らかでないことなども考慮すると,上記の各街区上の建物の分譲価格から,直ちに価格時点において市場参加者が想定し得 た本件土地上に建築される板状棟の分譲単価を推認することは困難というべきである。 したがって,板状棟の実際の分譲価格を理由に本件価格等調査における板状棟の分譲単価の査定の不合理をいう原告らの主張は,採用することができない。 以上によると,本件価格等調査における5-4街区から5-6街区までの分譲単価の査定の合理性に係る原告らの主張はいずれも採用することができず,同査定は合理性を有するものというべきである。 エ 5-3街区及び5-7街区に係る収益価格について本件価格等調査は,賃貸棟が建築される5-3街区(板状棟)及び 5-7街区(商業棟)について,これらの土地及び同土地上に建築される建物から成る複合不動産の価格を収益還元法を用いて査定し,これを用いて開発法を適用している(前記⑵カ~ク,ス,チ)。これに対し,原告らは,本来開発法は販売価格(分譲価格)を基に計算するものであり,鑑定評価基準は,収益価格を基に開発法を適用することは認めてお らず,また,収益物件であるにもかかわらず開発法において販管費を控除している点でも本件価格等調査は不当である旨主張するので,まずこの点について検討する。 鑑定評価基準は,開発法について,土地上に建物が建築されることを想定してその販売総額から通常の建物建築費用相当額等を控除して対象 不動産の価格を求めるものであることを定 点について検討する。 鑑定評価基準は,開発法について,土地上に建物が建築されることを想定してその販売総額から通常の建物建築費用相当額等を控除して対象 不動産の価格を求めるものであることを定めるのみで,上記販売総額の 査定の具体的な手法まで定めているものではない(関係法令等⑶イ)。 しかるところ,本件価格等調査においては,5-3街区及び5-7街区に建築される賃貸棟及びその敷地から成る複合不動産が投資用不動産として一括して譲渡されることを想定して,かかる複合不動産の価格を算定し,その算定手法として収益還元法を用いているにすぎない(前記 ⑵ス,チ参照)から,これが鑑定評価基準に定める開発法の手法と異なるものであるということはできない。また,このように複合不動産を譲渡することが想定されている以上,本件価格等調査が,これらの街区に開発法を適用するに当たり,販売総額から控除すべき付帯費用として販管費を控除していることが不合理であるということもできない。 そこで,以下においては,本件価格等調査が5-3街区及び5-7街区に開発法を適用するに当たり,その複合不動産の価格の算定のため収益還元法を用いていること,複合不動産の販売総額から販管費を控除していることに合理性が認められることを前提として,本件価格等調査における収益価格の算定の適否について検討する。 本件価格等調査は,5-3街区及び5-7街区に建築される建物の用途(賃貸)を踏まえ,5-3街区(板状棟)においては本件土地周辺の賃貸マンションの賃貸条件及び地元不動産会社へのヒアリング,最寄り駅からの距離と賃料の関係,賃貸面積と賃料の関係等を,5-7街区(商業棟)については本件土地及びその周辺の開発計画等における居住 人口(計画)と商業施設の商圏,商業 会社へのヒアリング,最寄り駅からの距離と賃料の関係,賃貸面積と賃料の関係等を,5-7街区(商業棟)については本件土地及びその周辺の開発計画等における居住 人口(計画)と商業施設の商圏,商業施設の想定店舗構成等の検討並びに類似の商業施設の賃料水準等を考慮して,これらの街区に建築される建物の賃料を査定し(前記⑵カ,キ),これを前提として査定した当該土地及び同土地上の建物から得られる純収益を,別途査定した還元利回りで除してその収益価格を査定しているものであり(前記⑵ク,ス, チ),その手法並びに想定賃料を含む純収益の算定及び還元利回りの 査定内容に不合理な点はうかがわれない。 原告らの主張についてa 原告らは,本件価格等調査における5-7街区上の建物(商業棟)の賃料単価(月額1200円/㎡)は固定資産税すら回収できない水準で低すぎる旨主張し,E鑑定2は,商業棟の賃料単価を月額300 0円/㎡と査定している。 しかしながら,本件価格等調査は5-7街区の商業棟の賃料単価を上記のとおり査定し,同建物の賃料総額を年額4億2480万円と査定する一方,同土地及び建物に係る公租公課を年額1億0534万2000円と査定しているものであり(前記⑵チ),その公租公課に 係る査定額が不合理であることもうかがわれないから,上記賃料単価(月額1200円/㎡)を前提としても,公租公課を賄うことができなくなるものではない。 また,E鑑定2がその賃料単価(月額3000円/㎡)を査定するに当たり参照した資料(日本ショッピングセンター協会によるショッ ピングセンターの規模別立地別の物販テナントの平均賃料)は,ショッピングセンター内の細区分された店舗区画で,共用部分を含まない売場面積当たりの平均賃料を示したものであり( ー協会によるショッ ピングセンターの規模別立地別の物販テナントの平均賃料)は,ショッピングセンター内の細区分された店舗区画で,共用部分を含まない売場面積当たりの平均賃料を示したものであり(乙40,52),これに対して本件価格等調査においては,共用部分やバックヤード等を含めた1棟の建物を一括して貸し付けることを想定した賃料を査定し ているのであるから,E鑑定2は本件価格等調査とは異なる条件を前提に査定した賃料単価をもって比較の対象としているものにほかならない。 したがって,E鑑定2の指摘をもっても,本件価格等調査における5-7街区の商業棟の賃料単価の査定が不合理であるとは認められず, これを前提とする同街区の複合不動産の収益価格も不合理であるとは いえない。 b 原告らは,本件価格等調査における5-3街区の複合不動産の収益価格について,これに開発法を適用して求められる価格(大会期間中の賃料収入を考慮しない価格)は2万7000円/㎡となるが,これでは固定資産評価額(約8万2000円/㎡)の方が高額となって不 合理である旨を主張する。 しかしながら,固定資産税の課税標準となる「価格」(地方税法349条1項)とは適正な時価をいい(同法341条5号),この適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうところ,これは,鑑定評価基準でいえば 正常価格に相当するものであって,具体的には,同法388条に基づき総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき算定されるものである(最高裁平成10年(行ヒ)第41号同15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。しかるところ,前記アにおいて説示したとおり,本件価格等調査は,本件土地の正常価格を求める (最高裁平成10年(行ヒ)第41号同15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。しかるところ,前記アにおいて説示したとおり,本件価格等調査は,本件土地の正常価格を求める ものではなく,前記アの条件の下における価格を求めるものであるから,全国一律の統一的な評価基準である固定資産評価基準に基づく算定とは異なる結果となることも想定されるのであって,そうであれば,本件価格等調査による調査価額が固定資産評価額よりも低額となったとしても,そのことをもって直ちに本件価格等調査が不合理であ るということはできない。 したがって,固定資産評価額との比較を理由に本件価格等調査の5-3街区に係る査定の不合理をいう原告らの主張は,採用することができない。 c 原告らは,本件調査報告書が,選手村要因が本件土地の価格に与 える影響を検討している部分において,5-3街区上の建物の一部 の用途が高齢者向け施設やシェアハウスとされている点につきこれらの用途は一般賃貸住宅と比較して賃貸可能面積が小さく収益性が劣ると指摘している点を論難するが,前記のとおり,本件価格等調査は,同街区上の建物の構造や具体的に想定される事業内容を想定してその賃料単価を査定しているものであり(前記⑵カ,), これが不合理であるということはできない。 以上によると,本件価格等調査における5-3街区及び5-7街区上の建物の賃料単価の査定額並びにこれを前提とする複合不動産の収益価格の査定の合理性に係る原告らの主張はいずれも採用することができず,同査定の合理性が認められる。 オ建築工事費の設定について本件価格等調査においては,本件施設建築物に係る工事費について,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等の結果を勘案し,① ず,同査定の合理性が認められる。 オ建築工事費の設定について本件価格等調査においては,本件施設建築物に係る工事費について,ゼネコンや不動産開発業者へのヒアリング等の結果を勘案し,①大会前に建築される板状棟及び商業棟については,建築工事が一定の時期に集中すること,大会期間中に選手用宿泊施設として使用される板状棟につ いては,選手村仕様のため共用廊下幅が広く有効率が低下するほか,エレベーター等の共用設備が多く設置されること,地下に大規模駐車場が設置されること等の選手村要因を考慮し,これらの結果,総じて工事費単価が上昇し,延床面積が増加するという工事費増加要因があるとした上で,街区ごとの建物の構造や用途を考慮して工事費を査定しており, ②タワー棟については,大会後に建築されることから選手村要因による工事費への影響を勘案する必要がなく,建築需要が比較的落ち着いた状態下で工事費単価が価格時点よりも低下していると見込まれることなどを考慮して査定しているものであり(前記⑵ケ),その査定の手法や判断過程に不合理な点はうかがわれない。 原告らの主張について a 原告らは,建築工事費は,容積率に算入する部分(個別の室内など)と容積率に算入しない部分(共用廊下,階段,エレベーターホール等)とでは大きく異なり,後者の方が圧倒的に安くなるから,容積率に算入する床面積と算入しない床面積とに区別して考えるべきところ,本件施設建築物は容積率不算入の面積の割合が大きいか ら工事費単価は相当低額に抑えられるはずであるにもかかわらず,本件価格等調査においては通常(板状棟で30万円/㎡程度)よりも高額な工事費が設定されており不当である旨主張し,E鑑定2も,延床面積当たりの工事費単価について,板状棟につき26万5 にもかかわらず,本件価格等調査においては通常(板状棟で30万円/㎡程度)よりも高額な工事費が設定されており不当である旨主張し,E鑑定2も,延床面積当たりの工事費単価について,板状棟につき26万5107円~28万8441円/㎡,タワー棟につき33万1667円/ ㎡~33万5102円/㎡,商業棟につき12万1010円/㎡と査定している。 しかしながら,本件価格等調査は,本件施設建築物については,原告らが指摘する選手村仕様であることにより工事費単価の低い部分が増えることや大量発注による資材単価の下落等の工事費減少要 因についても考慮しつつ,他方において,建築工事が一定の時期に集中することにより作業員の手配や資材の調達が困難となること,選手村仕様のためにエレベーター等の共用設備が多く,比較的高スペックな設備が設置されること,大規模な地下駐車場が設置されること(駐車場に関する原告らの主張に対しては,後記bにおいて検 討する。)など,工事費単価を増加させる要因があることをも総合的に考慮して工事費単価を査定しているものであって,本件価格等調査がこのような総合考慮の下に容積率算入部分と不算入部分に区分せずに査定していることが不合理であるとはいえない。殊に,本件施設建築物における大規模場な地下駐車場の整備(甲79の11, 乙41)に関しては,地下駐車場は他の方式による駐車場に比べて 最も工事費が高額となるものといえるから(乙37),本件施設建築物については,選手村仕様のために工事費単価の低い共用部分等の割合が大きいことを考慮しても,本件価格等調査においてその工事費単価を通常の単価に比べて高額に査定していることが不合理であるということはできない。むしろ,E鑑定2については,工事費 単価を査定するに当たり, とを考慮しても,本件価格等調査においてその工事費単価を通常の単価に比べて高額に査定していることが不合理であるということはできない。むしろ,E鑑定2については,工事費 単価を査定するに当たり,大規模な地下駐車場が整備されることが適切に考慮されているものとは認められず,その工事費単価に係る査定額をもって本件価格等調査における査定を不合理とする根拠とすることはできないというべきである。 b 原告らは,本件価格等調査が大規模な地下駐車場を整備すること をもって工事費単価を押し上げる要因としていることに関し,本件再開発事業においては現在のグラウンドレベルに盛土をすることが予定されており,事業完成時に地下駐車場となる土地面は当初の地上と同じ高さであるから,盛土工事を行った上で掘削を行うといった作業は存在せず,通常の地下駐車場のように工事費が高額になる ものではない旨を主張する。 そこで検討すると,本件再開発事業においては,高潮時における安全を確保するため,東京湾干潮面の高さ(以下「A.P.」という。)に6.5mを加えた高さ(以下「A.P.+6.5m」という。)まで盛土をすべきものとされ(乙55),施設建築物の敷地の 整備につき責任を負う施行者たる東京都(再開発法99条の5第1項,119条参照)が,本件11社との間で,平成28年9月2日付け「晴海五丁目西地区特定施設建築物敷地に関する協定書」(乙56。 以下「本件協定書」といい,これに基づく協定を「本件協定」という。)を取り交わして盛土工事を行わせたこと(乙57)が認められ る。 ただし,甲79の11によれば,本件土地に整備される地下駐車場は,その下に設置されるピット部分を含めると,盛土により嵩上げされた地盤面の高さ(A.P.+6.5m)よりも相当 る。 ただし,甲79の11によれば,本件土地に整備される地下駐車場は,その下に設置されるピット部分を含めると,盛土により嵩上げされた地盤面の高さ(A.P.+6.5m)よりも相当低くなるものとされており,その高さはA.P.を下回るものと認められる。他方,本件土地は,本件再開発事業の施行前においては公有水面(東京湾) に3方を囲まれた更地であったと認められ(乙57の1,弁論の全趣旨),その地盤面は,A.P.よりも高かったものと推認される。そうすると,本件施設建築物に係る地下駐車場を建築するためには,盛土の有無にかかわらずなお掘削工事を行う必要があったものということができ,また,本件施設建築物が建築される部分自体には盛土がさ れないとしても,その周辺部分には盛土がされることとなり,本件施設建築物に係る地下駐車場を建築するためには,盛土の流入を防止するための山留工事等,同土地を掘削した場合と同様の工事が必要となるものと考えられるから,本件施設建築物に係る地下駐車場に係る工事費用が通常の地下駐車場の工事費用よりも低く抑えられるとは認め 難い。 したがって,本件施設建築物に係る地下駐車場の建築に高額の工事費用を要することは否定し難いというべきであるから,原告らが指摘する点を踏まえても,本件施設建築物に係る工事費を査定するに当たり大規模な地下駐車場を整備することが工事費単価の増加要因になる とした本件価格等調査の内容が不合理であるということはできず,この点についての原告らの主張は採用することができない。 以上によると,本件価格等調査における建築工事費の査定の合理性に係る原告らの主張はいずれも採用することができず,同査定の合理性が認められる。 カ事業期間(開発スケジュール)の設定について 以上によると,本件価格等調査における建築工事費の査定の合理性に係る原告らの主張はいずれも採用することができず,同査定の合理性が認められる。 カ事業期間(開発スケジュール)の設定について 本件価格等調査は,本件再開発事業に係る事業期間につき,①大会期間終了までについては選手村としての利用期間等が確定していることから都が提示する資料の開発スケジュールを採用し,②大会後(平成33年1月以降)については,環境影響評価書記載の開発スケジュールや建設会社及び設計会社等へのヒアリングに基づき,選手村要因を考慮し てその開発スケジュールを査定しているところ(前記⑵エ),その査定の手法及びその判断過程に不合理な点はうかがわれない。 原告らの主張について原告らは,本件価格等調査が想定する建築工期は不当に長期であり,タワー棟や商業棟については,選手村としての利用は予定されておらず, 一体として分譲する必要もない旨主張する。 しかしながら,本件再開発事業においては,本件土地は一体的に開発されるものとされているのであり,本件施設建築物の施工及び用途についても,本件再開発事業に係る事業計画等に定められたところに従えば,タワー棟については大会後に建築・分譲され,板状棟及び商業棟につい ては大会後の改修工事を経て分譲又は賃貸されることとなる(前提事実⑷イ)のであるから,本件価格等調査においてもこれを前提に開発スケジュールの査定をすべきことは当然である。 そして,2棟のタワー棟はいずれも住宅戸数が700戸を超える地下1階付50階建ての大規模建物であり,板状棟の改修工事も専有部分に つき選手村仕様の室内造作・設備の撤去を行い,分譲マンション仕様等の室内造作・設備への入れ替えを行うもので,分譲棟(タワー棟を除 付50階建ての大規模建物であり,板状棟の改修工事も専有部分に つき選手村仕様の室内造作・設備の撤去を行い,分譲マンション仕様等の室内造作・設備への入れ替えを行うもので,分譲棟(タワー棟を除く。)及び賃貸棟を併せて約4200戸もの改修が必要となるから,作業員の手配や資材の調達の関係においても,その施工には相応の期間を要するものといわざるを得ない。加えて,タワー棟を含む分譲棟の住宅 戸数は約4160戸にも及ぶことから,これらを短期間で分譲すると, 東京湾岸エリアにおける新築分譲マンションの市場に混乱を招くおそれがあることは否定できず,このようなリスクを避けるためには,相応の期間をかけて分譲することが必要である。 これらを考慮すると,本件価格等調査が想定する事業期間が不当に長期であるということはできない。 以上によると,本件価格等調査における事業期間の査定の不合理をいう原告らの主張は採用することができず,同査定の合理性が認められる。 キ開発協力金について本件価格等調査は,本件土地に開発法を適用するに当たり控除の対 象となる開発協力金について,中央区指導要綱に基づきその総額を査定しており(前記⑵サ),その査定手法及び内容に不合理な点はうかがわれない。 原告らの主張について原告らは,中央区指導要綱上,開発協力金に係る区長の裁量は大きい ため,開発協力金として全額の負担を強制されることは考え難く,実際にも,開発協力金の負担は基準どおり計算した場合の3分の1程度であるなどと主張する。 そこで検討すると,中央区指導要領23条は,開発協力金に関し,「区長は,開発事業(世帯用住宅の戸数〔当該事業区域内における従前 居住者が居住する世帯用住宅の戸数を除く。〕が10戸以上の共同住宅の で検討すると,中央区指導要領23条は,開発協力金に関し,「区長は,開発事業(世帯用住宅の戸数〔当該事業区域内における従前 居住者が居住する世帯用住宅の戸数を除く。〕が10戸以上の共同住宅の建築等を計画する開発事業に限る。)を行う開発事業者に対し,(中略)開発協力金(中略)として,100万円に世帯用住宅の戸数から9を減じた数を乗じて得た額の負担を求めることができる。ただし,急激な社会情勢の変化による工事費の高騰等により,本文に規定する額の開 発協力金の負担が困難であると認められる場合は,開発協力業者と協議 の上,開発協力金の額を定めることができる。」と規定している(乙52)。このような規定に照らせば,中央区との交渉により同条ただし書に基づく開発協力金の減額が認められる余地はあるとしても,そのためには,急激な社会情勢の変化による工事費の高騰等により規定額の開発協力金の負担が困難であるといった特別の事情があることを要するもの であるところ,本件において,このような特別の事情を認めるに足りる証拠はない。 そうすると,価格時点後における中央区との交渉等の結果,実際の開発協力金の負担額が中央区指導要綱23条本文が定めるところに従って計算した金額より小さくなったとの事情(甲129参照)があったとし ても,その事情が価格時点における不動産の価格に影響を及ぼすものとはいえず,本件価格等調査が,中央区指導要綱23条本文に従って計算した開発協力金の額を前提として価格時点における本件土地の価格を評価したことが不合理であるということはできない。 以上のとおりであるから,この点についての原告らの主張は採用する ことができない。 ク本件価格等調査の合理性に係る原告らのその余の主張について原告らは,開発法は,最 ことはできない。 以上のとおりであるから,この点についての原告らの主張は採用する ことができない。 ク本件価格等調査の合理性に係る原告らのその余の主張について原告らは,開発法は,最終的な完成物(複合不動産)の売却代金を調査時点に割り戻し,そこから,支出時期を基に投下資本収益率で割り戻して現在価値に引き直した経費を差し引くことで土地価格を求めるも のであり,その数式に照らし,土地代金については価格時点において全額を支出することが前提とされているが,本件譲渡契約においては,土地代金のうち90%は後払いとするという特別な条項が付され,その支払が猶予されているから,これを本件土地の価格に反映させるべきであると主張する。 しかしながら,不動産の鑑定評価は,価格時点における不動産の経済 価値を判定し,その結果を価額,すなわち金銭的価値でもって表示するものであり(関係法令等⑵参照),必ずしも当該不動産が譲渡されることを前提とするものではないから,支払時期を含むその支払条件によって,価格時点における当該不動産の経済価値が変動することは想定し難い。 開発法は,土地(更地)上に建物が建築されることを想定してこの複合不動産を販売する場合の販売総額から建物建築費相当額及び付帯費用を控除するものである(関係法令等⑶イ)が,土地所有者(本件では本件再開発事業の施行者たる東京都から本件土地の譲渡を受ける特定建築者)において,いかなる条件の下で当該土地の所有権を取得したかを 問題とするものではなく(本件のように譲渡を受けるばかりでなく,既に当該土地を所有している場合もあり得る。),東京都と本件11社との間で締結された本件譲渡契約における本件土地代金の支払条件が開発法の適用において考慮されないことは当然で 渡を受けるばかりでなく,既に当該土地を所有している場合もあり得る。),東京都と本件11社との間で締結された本件譲渡契約における本件土地代金の支払条件が開発法の適用において考慮されないことは当然であって,これが不合理といえないことは明らかである。なお,原告らは,前記⑵ス,セの式は 土地代金が価格時点に支払われることを前提とするものであると主張するが,これらの式は,価格時点における土地の価格(経済的価値)と販売総額その他の諸元との関係を表しているものにすぎず,当該土地を開発者が購入することを前提とするものではなく,まして,開発者の土地購入に係る代金が価格時点において支払われることを前提としているも のではない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない(本件価格等調査における価格時点と本件譲渡契約における代金の支払時期が異なる点についての原告らの主張に関しては,後記⑷アにおいて検討する。)。 原告らは,本件価格等調査は,建物の減価要因と考えられるものを 土地の価格から差し引いている点で誤りである旨主張し,原告Eもその旨供述する(原告E33頁)。 しかしながら,原告らが指摘する建物の減価要因と考えらえるものとは具体的には何かが明らかではない上,そもそも,開発法は,土地上に建物が建築され,同建物がその敷地等とともに販売されることを想定し て,当該販売総額(価格時点に割り戻した額)から建物の工事費等の費用(価格時点に割り戻した額)を控除して当該土地の経済価値を算定しようとする手法であることからすれば,建物の減価要因と土地の減価要因を区別する合理的理由は見出し難いというべきであり,原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,本件価格等調査が採用する開発法の計算式 からすれば,建物の減価要因と土地の減価要因を区別する合理的理由は見出し難いというべきであり,原告らの上記主張は採用することができない。 原告らは,本件価格等調査が採用する開発法の計算式においてはディベロッパーの利益が計算できない点で問題がある旨主張し,原告Eも,開発法を適用する際に販売総額や工事費等を価格時点に割り戻す際に用いる値(関係法令等⑷ウの式におけるrを指す。)について,金利と投下資本収益率とを区別して用いるべきである供述する(原告E40頁)。 しかしながら,鑑定評価基準及び鑑定評価基準留意事項上,販売総額や工事費等を価格時点に割り戻す際には投下資本収益率を用いるべきものとされ,複数の値を使い分けるべきものとはされておらず(関係法令等⑶イ,⑷ウ),原告Eが供述するような手法が一般的に用いられていることを裏付ける証拠もないから,原告らの上記主張は採用するこ とができない。 ケ本件価格等調査の合理性についての小括以上によれば,本件価格等調査の内容は合理性を有するものということができ,その結果は,価格時点(平成28年4月1日)における選手村要因を考慮した本件土地の価格を的確に示しているものと認められる。 ⑷ 本件譲渡価格に関する原告らのその余の主張について ア本件譲渡契約においては,本件11社は譲渡代金のうち1割を同契約締結時に契約保証金として東京都に支払い,残額を,本件施設建築物の建築が完了した後,完了公告(平成36年3月末日まで。ただし,板状棟については平成34年9月末日を目途とする日。)までに支払うものとされており(前提事実⑸イ③~⑤),本件価格等調査における価格時点と本件譲 渡契約における代金支払時期とが異なっているところ,原告らは,このように本件譲渡契 を目途とする日。)までに支払うものとされており(前提事実⑸イ③~⑤),本件価格等調査における価格時点と本件譲 渡契約における代金支払時期とが異なっているところ,原告らは,このように本件譲渡契約においては長期間にわたり代金の支払が猶予されることを,代金額の決定において考慮すべきであったと主張する。 しかしながら,本件11社は,本件譲渡価格のうち,その9割に相当する部分についてはその支払を本件施設建築物の完成時まで猶予されるもの であるが,他方,本件土地の所有権は上記代金の支払後に取得することとなり(前提事実⑸イ⑥),この間,特定建築者としての拘束を受け,契約時以降における地価の低下や工事費の高騰,さらには分譲価格や賃料相場の低下等,不動産市況の変動を含む事業の継続遂行に伴う種々のリスクをも負担することとなるものであり(本件譲渡契約においては,本件11社 の収益が同契約締結時に想定されていたものよりも増加する場合には,本件譲渡価格の変更について別途協議する旨の定めがある一方,収益が減少する場合については,このような定めは置かれていない〔前提事実⑸イ①〕。),このようなリスクが,本件譲渡契約に基づく代金の一部の支払が猶予されることにより本件11社が受けることとなる経済的利益に見合 わないほど小さなものであるとも認め難い。そうであれば,本件価格等調査における結果と同額である本件譲渡価格が,その支払時期が本件価格等調査における価格時点との隔たりがあることをもって,直ちに再開発法上確保すべきものとされている敷地等の譲渡価格の適正を欠くこととなるものではないというべきである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,本件譲渡契約における譲渡金額の変更についての条 適正を欠くこととなるものではないというべきである。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 イ原告らは,本件譲渡契約における譲渡金額の変更についての条項(前提事実⑸イ①。以下「本件譲渡契約2条2項」という。)は,本件譲渡価格があまりにも低廉であるとの批判が高まった場合に対する防御策として定められたものであり,価格が低廉であることを被告が認めた規定といえ,東京都が,その後,特定建築者との間で,特定建築者が全ての住戸の引渡 しが完了して収益が確定した時点で分譲予定収入について1%を超える増収があった場合に譲渡金額の変更につき協議すること等を内容とする確認書を取り交わしたことも,本件譲渡価格が著しく低いことを被告が認めたものである旨主張する。 しかしながら,本件譲渡契約2条2項は,本件譲渡契約がその締結から 履行の完了まで長期間を要することから,この間における事情の変更に対応するために定められたものと解される。上記説示のとおり,合理性を有する本件価格等調査の結果に基づいて定められた本件譲渡価格は適正なものであって,本件譲渡契約2条2項の規定が置かれていることをもって,本件譲渡価格が低廉であることを被告が自認するもの,あるいは,本件譲 渡価格に関する批判への防御策として定められたものとする原告らの主張は失当である。また,東京都は,本件11社との間で,本件譲渡契約2条2項に基づく敷地譲渡金額の変更を行う場合の取扱いに関し,令和元年5月8日付け「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(5-4街区・5-5街区・5-6街区)の敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に関する確 認書」(甲121)を取り交わしているところ,これは,譲渡金額の変更について概括的に定めた本件譲渡契約2条2 5-4街区・5-5街区・5-6街区)の敷地譲渡金額の変更に係る算定基準に関する確 認書」(甲121)を取り交わしているところ,これは,譲渡金額の変更について概括的に定めた本件譲渡契約2条2項に基づき,その内容を具体化して細目を定めることを目的として取り交わされたものと解される。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 ⑸ 本件各E鑑定について ア原告らは,E鑑定1によれば,本件土地の適正な価格は総額1611億 1800万円である旨主張する。 しかしながら,E鑑定1は,本件土地につき,選手村要因を前提としない正常価格を求めるものであるから,前記⑴において説示したところに照らし,本件譲渡価格の適否を判断する基礎とすることはできないというべきである。 イ原告らは,E鑑定2によれば,選手村要因を考慮し,本件価格等調査と同様の開発法を適用して本件土地を評価すると,その価格は総額1653億2100万円となり,本件譲渡価格は不当に廉価である旨主張する。 しかしながら,前記⑶において認定説示したとおり,E鑑定2は,開発法の適用の前提となる分譲単価,賃料単価,工事費の各査定額が合理的で あるとはいえず,また,本件譲渡契約における代金の支払時期を考慮している点でも相当ではないから,その結果を採用することはできず,これに基づき本件譲渡価格の適否を判断することはできないというべきである。 ⑹ 小括以上説示したところによれば,本件価格等調査の内容は合理性を有し,そ の結果は,選手村要因を考慮した価格時点(平成28年4月1日)における本件土地の価格を的確に示しているものというべきところ,本件価格等調査の結果に基づきこれと同額に決定された本件譲渡価格は,再開発法上確保す ,選手村要因を考慮した価格時点(平成28年4月1日)における本件土地の価格を的確に示しているものというべきところ,本件価格等調査の結果に基づきこれと同額に決定された本件譲渡価格は,再開発法上確保すべきものとされている敷地等の譲渡価格の適正を欠くものとはいえず,同金額を本件土地の譲渡価格とする本件譲渡契約を締結することが施行者に与え られた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとは認められない。そして,これに反する原告らの主張は,上記の説示に照らし,いずれも採用することができない。 したがって,本件譲渡契約の締結は,その価格の面において財務会計法規上違法であるとは認められない。 4 結論 以上によれば,本件訴えのうち,A知事に対して損害賠償請求をすることを求める部分(狭義の財務会計行為1に係る部分)は,適法な住民監査請求の前置を欠く不適法な訴えであるから却下すべきであり,原告らのその余の請求は,本件譲渡契約の締結が財務会計法規上違法であるとは認められないから,いずれも理由がなく,棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官 清水知恵子 裁判官 釜村健太 裁判官 溝渕章展 (別紙1)当事者目録は記載を省略 (別紙2)物件目録は記載を省略(別紙3-1) ○ 地方自治法 〔地方公共団 章展 (別紙1)当事者目録は記載を省略 (別紙2)物件目録は記載を省略(別紙3-1) ○ 地方自治法 〔地方公共団体の法人格及び事務〕 第二条 地方公共団体は、法人とする。地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。 〔議決事件〕 第九十六条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。 一~四 五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。 六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。 七 不動産を信託すること。 八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準 不動産を信託すること。 主文 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。 理由 (省略) (省略) (財産の管理及び処分) 第二百三十七条 この法律において「財産」とは、公有財産、物品及び債権並びに基金をいう。 第二百三十八条の四第一項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。 普通地方公共団体の財産は、第二百三十八条の五第二項の規定の適用がある場合で議会の議決によるとき又は同条第三項の規定の適用がある場合でなければ、これを信託してはならない。 (公有財産の範囲及び分類) 第二百三十八条 この法律において「公有財産」とは、 を信託してはならない。 (公有財産の範囲及び分類) 第二百三十八条 この法律において「公有財産」とは、普通地方公共団体の所有に属する財産のうち次に掲げるもの(基金に属するものを除く。)をいう。 一 不動産 二~八 (省略) 以下 (省略) (住民監査請求) 第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若 あると認めるときは、これらを証 する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。 ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。 以下 (省略) (住民訴訟) 第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に 員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。 一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求 二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求 三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求 四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。 ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠 に係る相手方が第二百四十三条の二の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求 以下 (省略) (別紙3-2) ○ 地方自治法施行令 〔地方自治法第九十六条第一項第五号及び第八号に規定する基準〕 第百二十一条の二 地方自治法第九十六条第一項第五号に規定する政令で定める基準は、契約の種類については、別表第三上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。 地方自治法第九十六条第一項第八号に規定する政令で定める基準は、財産の取得又は処分の種類については、別表第四上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。 別表第四(第百二十一条の二関係) 不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い(土地については、その面 四(第百二十一条の二関係) 不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い(土地については、その面積が都道府県にあつては一件二万平方メートル以上、指定都市にあつては一件一万平方メートル以上、市町村にあつては一件五千平方メートル以上のものに係るものに限る。)又は不動産の信託の受益権の買入れ若しくは売払い 町村 七、〇〇〇 市 二〇、〇〇〇 指定都市 四〇、〇〇〇 千円 都道府県 七〇、〇〇〇 (別紙3-3) ○ 東京都議会の議決に付すべき契約及び財産の取得,又は処分に関する条例(昭和三十九年東京都条例第十四号) (議会の議決に付すべき財産の取得又は処分) 第三条 地方自治法第九十六条第一項第八号の規定により議会の議決に付さなければならない財産の取得又は処分は,予定価格二億円以上の不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い(土地については,一件二万平方メートル以上のものに係るものに限る。 若しくは動産の買入れ若しくは売払い(土地については、一件二万平方メートル以上のものに係るものに限る。)又は不動産の信託の受益権の買入れ若しくは売払いとする。 (別紙3-4) ○ 東京都財産価格審議会条例(昭和二十八年東京都条例第二十六号) (設置) 第一条 東京都の公有財産の管理及び処分並びに財産の取得及び借入れに関し、適正な価格及び料金(以下「価格等」という。)を評定するため、知事の附属機関として東京都財産価格審議会(以下「審議会」という。)をおく。 (所掌事項) 第二条 審議会は、知事の諮問に応じ、次に掲げるものに関する価格を評定して答申する。 一 不動産 二以下 (省略) (別紙3-5) ○ 都市再開発法(平成二十八年法律第七十二号による改正前のもの) (目的) 第一条 この法律は、市街地の計画的な再開発に 二十八年法律第七十二号による改正前のもの) (目的) 第一条 この法律は、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 市街地再開発事業 市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)及びこの法律(第七章を除く。)で定めるところに従つて行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいい、第三章の規定により行われる第一種市街地再開発事業と第四章の規定により行われる第二種市街地再開発事業とに区分する。 二 施行者 市街地再開発事業を施行する者をいう。 三 施 われる第二種市街地再開発事業とに区分する。 施行者 市街地再開発事業を施行する者をいう。 施行地区 市街地再開発事業を施行する土地の区域をいう。 公共施設 道路、公園、広場その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。 宅地 公共施設の用に供されている国、地方公共団体その他政令で定める者の所有する土地以外の土地をいう。 施設建築物 市街地再開発事業によって建築される建築物をいう。 施設建築敷地 市街地再開発事業によって造成される建築敷地をいう。 八~十三 (省略) (市街地再開発事業の施行) 第二条の二 次に掲げる区域内の宅地について所有権若しくは借地権を有する者又はこれらの宅地について所有権若しくは借地権を有する者の同意を得た者は、一人で、又は数人共同して、当該権利の目的である宅地について、又はその宅地及び一定の区域内の宅地以外の土地について第一種市街地再開発 権利の目的である宅地について、又はその宅地及び一定の区域内の宅地以外の土地について第一種市街地再開発事業を施行することができる。 一~四 (省略) 市街地再開発組合は、第一種市街地再開発事業の施行区域内の土地について第一種市街地再開発事業を施行することができる。 次に掲げる要件のすべてに該当する株式会社は、市街地再開発事業の施行区域内の土地について市街地再開発事業を施行することができる。 一~四 (省略) 地方公共団体は、市街地再開発事業の施行区域内の土地について市街地再開発事業を施行することができる。 独立行政法人都市再生機構は、国土交通大臣が次に掲げる事業を施行する必要があると認めるときは、市街地再開発事業の施行区域内の土地について当該事業を施行することができる。 一,二 (省略) 地方住宅供給公社は、国土交通大臣(市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては、都道府 (省略) 地方住宅供給公社は、国土交通大臣(市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては、都道府県知事)が地方住宅供給公社の行う住宅の建設と併せてこれと関連する市街地の再開発を行うための市街地再開発事業を施行する必要があると認めるときは、市街地再開発事業の施行区域内の土地について当該市街地再開発事業を施行することができる。 (都市計画事業として施行する市街地再開発事業) 第六条 市街地再開発事業の施行区域内においては、市街地再開発事業は、都市計画事業として施行する。 ~ (省略) (施行の認可) 第七条の九 第二条の二第一項の規定により第一種市街地再開発事業を施行しようとする者は、一人で施行しようとする者にあつては規準及び事業計画を定め、数人共同して施行しようとする者にあつては規約及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、その第一種市街地再開発事業の施行につ つては規約及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、その第一種市街地再開発事業の施行について都道府県知事の認可を受けなければならない。 主文 (省略) 理由 (規準又は規約) 第七条の十 前条第一項の規準又は規約には、次の各号(規準にあつては、第五号から第七号までを除く。)に掲げる事項を記載しなければならない。 一 第一種市街地再開発事業の名称 二 施行地区(施行地区を工区に分けるときは、施行地区及び工区)に含まれる地域の名称 三 第一種市街地再開発事業の範囲 四 事務所の所在地 五 費用の分担に関する事項 六 業務を代表して行う者を定めるときは、その職名、定数、任期、職務の分担及び選任の方法に関する事項 七 会議に関する事項 八 事業年度 九 公告の方法 十 その他国土交通省令で定める事項 (事業計画) 第七条の十一 事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、施行 定める事項 (事業計画) 第七条の十一 事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、施行地区(施行地区を工区に分けるときは、施行地区及び工区)、設計の概要、事業施行期間及び資金計画を定めなければならない。 , (省略) (事業計画に関する関係権利者の同意) 第七条の十三 第七条の九第一項の規定による認可を申請しようとする者は、その者以外に施行地区となるべき区域内の宅地又は建築物について権利を有する者があるときは、事業計画についてこれらの者の同意を得なければならない。 ただし、その権利をもつて認可を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。 前項の場合において、宅地又は建築物について権利を有する者のうち、宅地について所有権又は借地権を有する者及び権原に基づいて存する建築物について所有権又は借家権を有する者以外の者について同意を得られないとき、 び権原に基づいて存する建築物について所有権又は借家権を有する者以外の者について同意を得られないとき、又はその者を確知することができないときは、その同意を得られない理由又は確知することができない理由を記載した書面を添えて、第七条の九第一項の規定による認可を申請することができる。 (施行の認可の基準) 第七条の十四 都道府県知事は、第七条の九第一項の規定による認可の申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その認可をしなければならない。 一 申請手続が法令に違反していること。 二 規準若しくは規約又は事業計画の決定手続又は内容が法令に違反していること。 三以下 (省略) (施行の認可の公告等) 第七条の十五 都道府県知事は、第七条の九第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の氏名又は名称、事業施行期間、施行地 をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の氏名又は名称、事業施行期間、施行地区(施行地区を工区に分けるときは、施行地区及び工区。 以下この項において同じ。 )その他国土交通省令で定める事項を公告し、かつ、第一種市街地再開発事業の施行区域内において施行する第一種市街地再開発事業については国土交通大臣及び関係市町村長に、その他の第一種市街地再開発事業については関係市町村長に施行地区及び設計の概要を表示する図書を送付しなければならない。 第二条の二第一項の規定による施行者(以下「個人施行者」という。 )は、前項の公告があるまでは、施行者として、又は規準若しくは規約若しくは事業計画をもつて第三者に対抗することができない。 市町村長は、第百条又は第百二十四条の二第三項の公告の日まで、政令で定めるところにより、第一項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければな 日まで、政令で定めるところにより、第一項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。 (施行規程及び事業計画の決定等) 第五十一条 地方公共団体(第二条の二第四項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。 以下この節、第六十条第二項第四号、第六十九条第一項(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。 )、第百六条第三項及び第四項(これらの規定を第百十八条の二十四第二項において準用する場合を含む。 )並びに第四章において同じ。 )は、市街地再開発事業を施行しようとするときは、施行規程及び事業計画を定めなければならない。 この場合において、事業計画において定めた設計の概要については、国土交通省令で定めるところにより、都道府県にあつては国土交通大臣の、市町村にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。 地方公共団体が施行する市街地再開発事業について事業計画 道府県知事の認可を受けなければならない。 地方公共団体が施行する市街地再開発事業について事業計画が定められたときは、前項の規定による認可をもって都市計画法第五十九条第一項又は第二項の規定による認可とみなす。第七条の九第四項ただし書の規定は、この場合について準用する。 (施行規程) 第五十二条 施行規程は、当該地方公共団体の条例で定める。 施行規程には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一~六 (省略) 七 市街地再開発事業の施行により施行者が取得する施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等若しくは建築施設の部分の管理処分の方法に関する事項 八以下 (省略) (省略) (事業計画) 第五十三条 地方公共団体は、事業計画を定めようとするときは、当該事業計画を二週間公衆の縦覧に供しなければならない。 ~ (省略) (事業計画の公告) 第五十四条 画を二週間公衆の縦覧に供しなければならない。 ~ (省略) (事業計画の公告) 第五十四条 地方公共団体は、事業計画を定めたときは、遅滞なく、国土交通 省令で定めるところにより、市街地再開発事業の種類及び名称、事業施行期間、施行地区(施行地区を工区に分けるときは、施行地区及び工区)その他国土交通省令で定める事項を公告しなければならない。 地方公共団体は、前項の公告があるまでは、事業計画をもつて第三者に対抗することができない。 (施行地区及び設計の概要を表示する図書の送付及び縦覧) 第五十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第五十一条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、国土交通大臣にあつては関係都道府県知事及び関係市町村長に、都道府県知事にあつては国土交通大臣及び関係市町村長に第五十三条第三項の図書の写しを送付しなければならない。 市町村長は、前条第一項の び関係市町村長に第五十三条第三項の図書の写しを送付しなければならない。 市町村長は、前条第一項の公告の日から第百条の公告の日まで、政令で定めるところにより、前項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。 (事業計画の変更) 第五十六条 第五十一条第一項後段及び前三条の規定は、事業計画の変更(第五十三条第一項から第三項までの規定に係る場合は、政令で定める軽微な変更を除く。 )について準用する。 この場合において、第五十三条第四項後段中「定め」とあるのは、「変更し」と読み替えるものとする。 (市街地再開発審査会) 第五十七条 地方公共団体が施行する市街地再開発事業ごとに、この法律及び施行規程で定める権限を行なわせるため、その地方公共団体に、市街地再開発審査会を置く。 施行地区を工区に分けたときは、市街地再開発審査会は、工区ごとに置くことができる。 市街 く。 施行地区を工区に分けたときは、市街地再開発審査会は、工区ごとに置くことができる。 市街地再開発審査会は、五人から二十人までの範囲内において、施行規程で定める数の委員をもつて組織する。 市街地再開発審査会の委員は、次の各号に掲げる者のうちから、地方公共団体の長が任命する。 一 土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者 二 施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者 前項第一号に掲げる者のうちから任命される委員の数は、三人以上でなければならない。 (権利変換を希望しない旨の申出等) 第七十一条 個人施行者若しくは再開発会社の施行の認可の公告、第十九条第一項の公告又は事業計画の決定若しくは認可の公告があつたときは、施行地区内の宅地の所有者、その宅地について借地権を有する者又は施行地区内の土地に権原に基づき建築 は、施行地区内の宅地の所有者、その宅地について借地権を有する者又は施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者は、その公告があつた日から起算して三十日以内に、施行者に対し、第八十七条又は第八十八条第一項及び第二項の規定による権利の変換を希望せず、自己の有する宅地、借地権若しくは建築物に代えて金銭の給付を希望し、又は自己の有する建築物を他に移転すべき旨を申し出ることができる。 ~ (省略) 第一項、第三項又は前二項の申出又は申出の撤回は、国土交通省令で定めるところにより、書面でしなければならない。 (権利変換計画の決定及び認可) 第七十二条 施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞な く、施行地区ごとに権利変換計画を定めなければならない。 この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県(第二条の二第四項の規定により市街地再開発事業を施行する場 国土交通省令で定めるところにより、都道府県(第二条の二第四項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の、個人施行者、組合、再開発会社、市町村(同項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。第百九条を除き、以下同じ。)又は市のみが設立した地方住宅供給公社(第二条の二第六項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。 第七条の十三の規定は、個人施行者が権利変換計画について認可を申請しようとする場合について準用する。この場合において、同条第一項中「施行地区となるべき区域」とあるのは、「施行地区」と読み替えるものとする。 ~ (省略) (権利変換計画の内容) 第七十三条 権利変換計画においては、国土交通省令で定める 第七十三条 権利変換計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めなければならない。 一 配置設計 二 施行地区内に宅地、借地権又は権原に基づき建築物を有する者で、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所 三 前号に掲げる者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物及びその価額 四 第二号に掲げる者に前号に掲げる宅地、借地権又は建築物に対応して与えられることとなる施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等の明細及びその価額の概算額 五 第三号に掲げる宅地、借地権又は建築物について先取特権、質権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記(以下「担保権等の登記」と総称する。) 約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記(以下「担保権等の登記」と総称する。)に係る権利を有する者の氏名又は名称及び住所並びにその権利 六 前号に掲げる者が施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等に関する権利の上に有することとなる権利 七 施行地区内の建築物について借家権を有する者(その者がさらに借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)で、当該権利に対応して、施設建築物の一部について借家権を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所 八 前号に掲げる者に借家権が与えられることとなる施設建築物の一部 九 施設建築敷地の地代の概算額及び地代以外の借地条件の概要 十 施行者が施設建築物の一部を賃貸しする場合における標準家賃の概算額及び家賃以外の借家条件の概要 十一 第七十九条第三項の規定が適用されることとなる者の氏名又は名称及び住所並びにこ の借家条件の概要 第七十九条第三項の規定が適用されることとなる者の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物及びその価額 施行地区内の宅地若しくは建築物又はこれらに関する権利を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の一部等又は施設建築物の一部についての借家権を与えられないものの氏名又は名称及び住所、失われる宅地若しくは建築物又は権利並びにその価額 (省略) 第四号及び前二号に掲げるもののほか、施設建築敷地又はその共有持分及び施設建築物の一部等の明細、その帰属並びにその管理処分の方法 新たな公共施設の用に供する土地の帰属に関する事項 権利変換期日、土地明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期 その他国土交 帰属に関する事項 十七 権利変換期日、土地明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期 十八 その他国土交通省令で定める事項 ~ (省略) 第七十六条 権利変換計画においては、施行地区内に宅地を有する者に対しては、施設建築敷地の所有権が与えられるように定めなければならない。 二以上の施設建築敷地がある場合において、各宅地の所有者に与えられる施設建築敷地は、当該第一種市街地再開発事業のうち建築敷地及び公共施設の整備に関する事業を土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業として施行したならば、当該宅地につき換地と定められるべき土地の属すべき施設建築敷地とする。 一の施設建築敷地について二人以上の宅地の所有者が所有権を与えられるときは、当該施設建築敷地は、各宅地の価額に応ずる割合によりこれらの者の共有に属するものとする。 第七十一条第一項の申出をした宅地の所有 額に応ずる割合によりこれらの者の共有に属するものとする。 第七十一条第一項の申出をした宅地の所有者の有する宅地については、施行者をその宅地の所有者とみなして前三項の規定を適用する。 (宅地等の価額の算定基準) 第八十条 第七十三条第一項第三号、第十一号又は第十二号の価額は、第七十一条第一項又は第五項(同条第六項において読み替えて適用する場合を含む。 )の規定による三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地若しくは近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額とする。 第七十六条第三項の割合の基準となる宅地の価額は、当該宅地に関する所有権以外の権利が存しないものとして、前項の規定を適用して算定した相当の価額とする。 (権利変換の処分) 第八十六条 施行者は、権利変換計画若しくはその変更の認可を受けたとき、又は権利変換 権利変換の処分) 第八十六条 施行者は、権利変換計画若しくはその変更の認可を受けたとき、又は権利変換計画について第七十二条第四項の政令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、及び関係権利者に関係事項を書面で通知しなければならない。 権利変換に関する処分は、前項の通知をすることによつて行なう。 権利変換に関する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。 (権利変換期日における権利の変換) 第八十七条 施行地区内の土地は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する。 この場合において、従前の土地を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。 権利変換期日において、施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者の ものを除き、消滅する。 権利変換期日において、施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者の当該建築物は、施行者に帰属し、当該建築物を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。 ただし、第六十六条第七項の承認を受けないで新築された建築物及び他に移転すべき旨の第七十一条第一項の申出があつた建築物については、この限りでない。 (補償金等) 第九十一条 施行者は、施行地区内の宅地若しくは建築物又はこれらに関する権利を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の一部等又は施設建築物の一部についての借家権を与えられないものに対し、その補償として、権利変換期日までに、第八十条第一項の規定により算定した相当の価額に同項に規定する三十日の期間を経過した日から 期日までに、第八十条第一項の規定により算定した相当の価額に同項に規定する三十日の期間を経過した日から権利変換計画の認可の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該権利変換計画の認可の公告の日から補償金を支払う日までの期間につき年六パーセントの割合により算定した利息相当額を付してこれを支払わなければならない。 この場合において、その修正率は、政令で定める方法によつて算定するものとする。 , (省略) (施行者以外の者による施設建築物の建築) 第九十九条の二 施行者は、施設建築物(権利変換計画において第七十三条第一項第二号に掲げる者(施行者を除く。 )がその全部を取得するように定められたものを除く。 )の建築を他の者に行わせることができる。 前項の規定により施設建築物の建築を施行者以外の者に行わせるときは、権利変換計画においてその旨及び施行者が取得する施設建築物の全部又は を施行者以外の者に行わせるときは、権利変換計画においてその旨及び施行者が取得する施設建築物の全部又は一部のうちその建築を行う者(以下「特定建築者」という。 )に取得させるものを定めなければならない。 第一項の規定により施行者以外の者が建築を行う施設建築物(以下「特定施設建築物」という。 )の全部又は一部は、権利変換計画において定めるところにより第八十八条第二項(第百十一条において読み替えて適用する場合を含む。 )及び第百十条第二項の規定にかかわらず、特定建築者が取得する。 (特定建築者の公募) 第九十九条の三 施行者は、国、地方公共団体、地方住宅供給公社、日本勤労者住宅協会その他政令で定める者を特定建築者とする場合を除き、国土交通省令で定めるところにより、特定建築者を公募しなければならない。 施行者は、特定建築者を公募したときは、次の各号に掲げる条件を備えた者で、その者が次条の規定に 。 施行者は、特定建築者を公募したときは、次の各号に掲げる条件を備えた者で、その者が次条の規定により提出した特定施設建築物の建築の工期、工事概要等に関する計画(以下「建築計画」という。 )及び管理処分に関する計画が事業計画及び権利変換計画に適合し、かつ、当該第一種市街地再開発事業の目的を達成する上で最も適切な計画であるものを特定建築者としなければならない。 一 特定施設建築物を建築するのに必要な資力及び信用を有する者であること。 二 第九十九条の六第二項の規定による譲渡の対価の支払能力がある者であること。 施行者(都道府県及び市町村を除く。 )は、前項の規定により特定建築者を決定するときは、あらかじめ、機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。 )にあつては国土交通大臣の、個人施行者、組合、再開発会社又は市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては都道府県知事の承認を受けなければなら 、組合、再開発会社又は市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては都道府県知事の承認を受けなければならない。 (建築計画等の提出) 第九十九条の四 特定建築者となろうとする者は、国土交通省令で定めるところにより、施行者に建築計画及び当該特定施設建築物の管理処分に関する計画を提出しなければならない。 (特定施設建築物の建築等) 第九十九条の五 施行者は、特定施設建築物の敷地の整備を完了したときは、速やかに、その旨を特定建築者に通知しなければならない。 特定建築者は、前項の通知を受けたときは、建築計画に従つて特定施設建築物を建築しなければならない。 前項の場合においては、特定建築者は、当該特定施設建築物の敷地を使用することができる。 (特定施設建築物の敷地等の譲渡) 第九十九条の六 特定建築者は、特定施設建築物の建築工事を完了したときは、速やかに、その旨を施行者に届け出なけれ の六 特定建築者は、特定施設建築物の建築工事を完了したときは、速やかに、その旨を施行者に届け出なければならない。 施行者は、前項の届出があつた場合において、特定建築者が建築計画に従い特定施設建築物の建築を完了したと認めるときは、速やかに、第九十九条の二第三項の規定により当該特定建築者が取得することとなる特定施設建築物の全部又は一部の所有を目的とする地上権又はその共有持分を譲渡しなければならない。 (施行者が取得した施設建築物の一部等の管理処分) 第百八条 第一種市街地再開発事業により施行者が取得した施設建築物の一部等は、次に掲げる場合を除き、公募により賃貸し、又は譲渡しなければならない。 この場合において、施行者は、賃貸又は譲渡後の施設建築物の一部等が当該第一種市街地再開発事業の目的に適合して利用されるよう十分に配慮しなければならない。 一~五(省略) 施行者が地方公共団体であると 合して利用されるよう十分に配慮しなければならない。 一~五(省略) 施行者が地方公共団体であるときは、施行者が第一種市街地再開発事業により取得した施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の所有を目的とする地上権又は施設建築物の一部等の管理処分については、当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定は、適用しない。 第百十条 施行者は、権利変換期日に生ずべき権利の変動その他権利変換の内容につき、施行地区内の土地又は物件に関し権利を有する者及び参加組合員又は特定事業参加者のすべての同意を得たときは、第七十三条第二項から第四項まで、第七十五条から第七十八条まで、第八十条、第八十一条、前条第二項後段及び第百十八条の三十二第一項の規定によらないで、権利変換計画を定めることができる。 この場合においては、第八十三条、第百二条、第百三条及び第百八条第一項の規定は、適用しない。 前項の規 場合においては、第八十三条、第百二条、第百三条及び第百八条第一項の規定は、適用しない。 前項の規定により権利変換計画を定めた場合においては、第八十七条から第八十九条までの規定にかかわらず、権利変換計画の定めるところにより、権利変換期日において土地及び土地に存する物件に関する権利の得喪及び変更を生じ、当該第一種市街地再開発事業により建築される施設建築物に関する権利は、権利変換計画の定めるところにより、これを取得すべき者が取得する。 , (省略) (費用の負担) 第百十九条 市街地再開発事業に要する費用は、施行者の負担とする。 ただし、第九十九条の二第一項又は第百十八条の二十八第一項の規定により施行者以外の者が施設建築物の建築を行う場合の建築に要する費用は当該施行者以外の者の、第九十九条の十(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。 )の規定により公共施設の管理者又は管理者となるべ の十(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。 )の規定により公共施設の管理者又は管理者となるべき者に公共施設の工事を行わせる場合の工事に要する費用は当該管理者又は管理者となるべき者の負担とする。 (別紙4) 争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点①(本件訴えの適法性〔本案前の争点〕)について(原告らの主張の要旨)⑴ 本件訴訟の対象となる財務会計行為の特定ア広義の財務会計行為 原告らが本件訴訟において対象とする財務会計行為は,東京都による本件再開発事業に係る施行認可申請(本件事業認可申請)から,本件譲渡契約の締結に至るまでの一連の行為(以下「広義の財務会計行為」という。)であり,これら広義の財務会計行為の行為者は東京都知事(時期に応じてA知事又はB知事)である。また,広義の財務会計行為は,「財産 の処分」に該当する。 争点②において述べるとおり,本件は,東京都が,法令の適用を免れる違法な目的を達成するために,公共団体施行の再開発事業ではなく,個人施行の再開発制度を濫用したという他に類例のない特殊な事案であるから,上記違法な目的とそのための手段は,不可分密接な一体としての財務会計 行為に当たり,上記のような一連の行為を住民訴訟の対象となる財務会計行為としたとしても,その特定に欠けるものではない。 イ狭義の財務会計行為もっとも,上記のとおり,広義の財務会計行為についても,格別の財務会計行為ごとにその権限を有する者や規制されるべき財務会計法規が異な るから,財務会計行為 。 イ狭義の財務会計行為もっとも,上記のとおり,広義の財務会計行為についても,格別の財務会計行為ごとにその権限を有する者や規制されるべき財務会計法規が異な るから,財務会計行為を特定する必要があるところ,原告らが,広義の財務会計行為のうち,狭義の財務会計行為として主張するものは次の二つである。 狭義の財務会行為1本件訴訟において原告らが対象とする狭義の財務会計行為のうちの一つ は,本件権利変換に係る手続を構成する一連の手続で,一体の財務会計行 為を成す,東京都による①本件権利変換計画の作成,②本件申出,③本件同意,④本件計画認可及び⑤本件権利変換処分である(これらを以下「狭義の財務会計行為1」という。)。 狭義の財務会計行為1は,東京都の地権者としての立場に着目すれば,権利変換を希望せず,金銭の給付に代えて権利を消滅させ,施行者たる 東京都に本件土地を原始取得させようとした行為であるということができるから,「財産の処分」(地自法242条1項)に当たる。また,狭義の財務会計行為1の行為者は,A知事である。 狭義の財務会計行為2本件訴訟において対象とするもう一つの狭義の財務会計行為は,本件施 設建築物に係る施設建築敷地(本件土地)を本件11社に不当な廉価で譲渡する契約(本件譲渡契約)を締結した行為である(以下「狭義の財務会計行為2」ともいい,狭義の財務会計行為1と併せて「本件各対象行為」ともいう。)。 ⑵ 財務会計行為該当性について 広義の財務会計行為の中に含まれる本件事業認可は,個別に判断した場合には財務会計行為に当たらないことは否定しないが,本件再開発事業は,本来的には非財務会計行為であるはずの「事業認可」という行為を「敷地の直接譲渡行為」の隠れ蓑 れる本件事業認可は,個別に判断した場合には財務会計行為に当たらないことは否定しないが,本件再開発事業は,本来的には非財務会計行為であるはずの「事業認可」という行為を「敷地の直接譲渡行為」の隠れ蓑として,専ら財務的処理を直接の目的として行われたという特殊性に鑑み,本件事業認可申請や本件事業認可も含め,本件譲渡契約の締結ま での一連の行為を財務会計行為として評価すべきである。 ⑶ 監査請求期間の遵守について被告は,狭義の財務会計行為1のうち一部の行為は,地自法242条2項本文所定の監査請求期間を徒過している旨主張する。 しかし,東京都は,莫大な土地の権利を,補償金を受け取ることなく消滅さ せる権利変換計画を定めた上で同意し(本件同意),金銭給付の申出(本件申 出)をして,実際にも本件権利変換期日までに補償金を支払わないまま,本件権利変換計画を同日(平成28年5月25日)に確定させたことによって,地権者たる東京都の権利は対価なく消滅したものである。このように,本件土地の権利変動が一連の手続により行われていることからすれば,本件権利変換計画の確定から1年以内にされた本件監査請求は,狭義の財務会計行為1の全部 について,監査請求期間を遵守している。 ⑷ 以上のとおりであるから,広義の財務会計行為,狭義の財務会計行為1及び狭義の財務会計行為2を対象とする本件訴えは,その全部が適法である。 (被告の主張の要旨)⑴ 広義の財務会計行為について 住民訴訟においては,一般に,原告において,その対象となる財務会計行為を他の行為等と区別し,特定して認識できるように個別的・具体的に摘示して行うべきところ,原告らが広義の財務会計行為とするものは,複数の行為を「一連の行為」として一括りにしており,個別的・具体 計行為を他の行為等と区別し,特定して認識できるように個別的・具体的に摘示して行うべきところ,原告らが広義の財務会計行為とするものは,複数の行為を「一連の行為」として一括りにしており,個別的・具体的に摘示するものではないことは明らかである。したがって,広義の財務会計行為については,審理 対象たる財務会計行為の特定がされていない。また,原告らが広義の財務会計行為として主張する行為の中には財務会計行為に該当しないものも含まれている。したがって,広義の財務会計行為は本件訴訟の審理対象から除外されるべきである。 ⑵ 狭義の財務会計行為1について ア原告らは,狭義の財務会計行為1として,複数の行為を「一連の行為」として一括りにしており,個別・具体的に摘示していないから,上記⑴において述べたところに照らし,審理対象たる財務会計行為の特定がされていない。 したがって,狭義の財務会計行為1は,本件訴訟の審理対象から除外されるべきである。 イまた,狭義の財務会計行為1を構成するという個別具体的な行為は,本件 監査請求から1年以上前に行われ,終了しているから,これらに係る本件監査請求は地自法242条2項所定の監査請求期間を徒過してされたものであり,この点からも狭義の財務会計行為1は本件訴訟の審理対象から除外されるべきである。 2 争点②-1(本件譲渡契約に至る本件再開発事業に係る一連の行為が財務会計 法規上違法であるか否か〔本件土地の価格に関するものを除く。〕)について(原告らの主張の要旨)⑴ 広義の財務会計行為が都市計画法に違反し違法であることア本件再開発事業は,地方公共団体である東京都が,更地(本件土地)の単一の所有者(地権者)であり,個人施行者であると同時に,監督官庁として の認可権 行為が都市計画法に違反し違法であることア本件再開発事業は,地方公共団体である東京都が,更地(本件土地)の単一の所有者(地権者)であり,個人施行者であると同時に,監督官庁として の認可権者という三つの役割を同時に担っている点において極めて異例なものであり,再開発法が予定する再開発事業とは大きく異なる。このような異例な再開発事業の手法がとられたのは,地自法,再開発法等の規定を脱法して都有地を不当に廉価に特定建築者に譲渡するため,制度を濫用したものであり,次に述べるとおり,このような本件再開発事業の施行は違法であるか ら,これに関する広義の財務会計行為は違法である。 イまず,都市計画法の理念やそれを具体化する個別法としての再開発法の仕組みからすれば,同法2条の2第4項(以下,同項による再開発事業の施行を「公共団体施行」といい,この場合における地方公共団体を「公共団体施行者」という。)は,地方公共団体が再開発事業を行う場合については,都 市計画で定めた施行区域内の土地で都市計画事業として施行することを義務付けているものと解すべきである。しかるに,本件再開発事業は,非都市計画事業として実施されたものであり,違法である。 ウまた,東京都は,本件再開発事業を個人施行しているが,地方公共団体が個人施行者として再開発事業を施行することは許されず,本件再開発事業は 違法である。 すなわち,再開発法上の個人施行制度の立法趣旨からは,地方公共団体が個人施行者となることは予定されていないことは明らかである。また,地方公共団体の個人施行が可能であると解釈し得る明文規定のある土地区画整理法と異なり,再開発法にそのような明文規定は置かれていない。これは,再開発事業が土地区画整理事業に比べて保留床の処分や開発利益 方公共団体の個人施行が可能であると解釈し得る明文規定のある土地区画整理法と異なり,再開発法にそのような明文規定は置かれていない。これは,再開発事業が土地区画整理事業に比べて保留床の処分や開発利益の吸収・分配 につき複雑な問題が生じるものであることによるものである。さらに,地方公共団体は国と並ぶ行政主体として,再開発法上いわば特権的存在とされており,その反面,条例や議会による統制という,私人に対する統制とは異なる形で,公共団体施行による事業に係る統制がされる仕組みとなっている。 これらに加え,再開発法2条の2第4項の文言にも照らすと,再開発法上, 地方公共団体が個人施行者となることはできないというべきである。この点,地方公共団体が再開発事業の個人施行者となった例は,本件を除き4例しか確認できないが,これらはいずれも複数名での施行であり,単独施行は本件をおいて他に例はない。そして,本件再開発事業は,巨大な規模である上,国家的プロジェクトにかかわるものとして極めて公共性が高く,都有地の処 分が問題となっているものであるから,民主的統制も強く求められるものであり,こうした事業において,地方公共団体が個人施行者として施行主体となることは制度創設の趣旨に反する。さらに,本件再開発事業の対象地(本件施行地区)は全て更地である上,地権者が1名のみであり,本来再開発事業による手法を適用する理由はなく,制度を濫用するものである。 エさらに,地方公共団体(都道府県)が再開発事業の施行者となる場合には,再開発法51条により,国土交通大臣が認可権者とされ,この場合においては,同法52条から57条までの規定に従う必要があるが,本件再開発事業は,これら同法51条から57条までの規定に違反しており,違法である。 ⑵ 狭義の財務会計行為 認可権者とされ,この場合においては,同法52条から57条までの規定に従う必要があるが,本件再開発事業は,これら同法51条から57条までの規定に違反しており,違法である。 ⑵ 狭義の財務会計行為1が違法であること ア争点①において述べたとおり,狭義の財務会計行為1は「財産の処分」 に当たり,本件土地の対価が適正ではない場合には,地自法237条2項により条例又は議会の議決が必要となるほか,審議会条例2条により東京都財産価格審議会(以下「財産価格審議会」という。)における価格の評定が必要となる。しかるに,争点②-2において述べるとおり,本件土地の対価(本件譲渡価格)は適正ではない。 また,本件権利変換計画に記載された本件権利変換により地権者たる東京都が権利を失うこととなる従前の土地(本件施行地区。17.8㏊)の価額(本件施行地区価額)は,本件土地(13.39㏊)の譲渡価格(本件譲渡価格)と同額とされている。これは,本件土地についての本件価格等調査の結果を流用したものであって,本件調査報告書の明らかな目的外 使用であり,地権者たる東京都が,自ら特定建築者への譲渡価格から「逆算」して本件権利変換前の東京都の所有地の権利消滅・手放し価格を決めたものにほかならず,本件事業認可から本件譲渡契約までの財務会計行為が「一体の財務会計行為」であることを示している。そして,本件権利変換計画において定める本件施行地区の価額の決定については,再開発法1 10条1項の規定により同法80条1項によらないことができるとしても,担当者が何の根拠もなく自由に従前価格を決めることができるはずはなく,当然に地自法237条2項,審議会条例2条1号が適用される。 しかるに,狭義の財務会計行為1については,条例も議会の議決も存せ 担当者が何の根拠もなく自由に従前価格を決めることができるはずはなく,当然に地自法237条2項,審議会条例2条1号が適用される。 しかるに,狭義の財務会計行為1については,条例も議会の議決も存せず,財産価格審議会の評定も存しないから違法である。 イまた,地自法96条1項8号,地自法施行令121条の2第2項,付議決条例3条によれば,予定価格2億円以上かつ2万㎡以上の土地の取得又は処分については議会による議決を要するところ,本件における処分行為はこれに該当しているにもかかわらず議会の議決を経ていない点においても違法である。 ウ上記ア,イに関し,被告は,狭義の財務会計行為1の性格について,再開 発法108条2項との関係においては,施行者たる東京都に土地の権利を原始取得させる行為であると主張する一方,狭義の財務会計行為1における上記各規定の適用の有無との関係においては,「内部の所管換え」として,その財産処分性をごまかすような矛盾した主張を展開している。すなわち,被告は,東京都が,地権者,施行者,かつ認可権者であるという恣意的なシス テムを隠れ蓑に,狭義の財務会計行為1を「内部行為」とごまかしているものであるが,これが地権者たる東京都の所有権を再開発法91条所定の補償金の給付に代える財産処分行為であることは明らかである。 エ再開発法91条1項が定める補償金は,権利変換を望まず,金銭給付を申し出た地権者の権利の消滅に対する補償金であるから,権利変換期日までに 支払うことが義務付けられている。本件でも,施行者たる東京都は,本件権利変換期日(平成28年5月25日)までに本件権利変換計画に定める本件施行地区価額を支払う義務があり,同義務が履行されない限り,地権者たる東京都の権利は消滅せず,施行者たる東 者たる東京都は,本件権利変換期日(平成28年5月25日)までに本件権利変換計画に定める本件施行地区価額を支払う義務があり,同義務が履行されない限り,地権者たる東京都の権利は消滅せず,施行者たる東京都は本件土地を原始取得したとはいえない。しかるに,本件権利変換計画においては,同項に規定する補償金 については地権者たる東京都に対し同項の規定によらず,別途東京都が定める期日及び方法で支払う旨を定めており,その支払を同項によらないこととしたこと自体が違法である上,上記「別途東京都が定める」文書も作成されておらず,狭義の財務会計行為1による地権者たる東京都の権利消滅及び施行者たる東京都の権利の原始取得は全て違法無効である。 この点,被告は,「内部の所管換え」として,狭義の財務会計行為1の財産処分性をごまかすような主張をしているが,上記ウのとおり,狭義の財務会計行為1は,地権者の立場からみれば土地を金銭に換える行為であるから,地自法の財産処分に関する法律の適用を受けるのはもとより,再開発法91条に基づく補償金も現実に「権利変換期日までに支払われること」が必要で あり,この支払がされていない本件では,施行者たる東京都が本件土地の所 有権を原始取得する法的要件を欠いている。 ⑶ 狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)が違法であることア前記⑴,⑵のとおり,本件譲渡契約の締結の原因行為である本件再開発事業自体ないし狭義の財務会計行為1は財務会計法規上違法であるところ,当該原因行為は,本件譲渡契約の締結権限を有する東京都知事によりされたも のであるから,東京都知事であれ,実際の個別契約担当者であれ,「違法な原因行為をそのままにして財務会計行為をしてはならない」という財務会計法規上の義務を負っているのは 東京都知事によりされたも のであるから,東京都知事であれ,実際の個別契約担当者であれ,「違法な原因行為をそのままにして財務会計行為をしてはならない」という財務会計法規上の義務を負っているのは当然であり,本件譲渡契約の締結は,当該義務に違反するものとして違法である。 イまた,再開発法99条の3第3項によれば,同条2項の規定により特定建 築者を決定するときは,あらかじめ国土交通大臣の承認を受けなければならないが,本件において東京都はその承認を受けていないので,同条3項に違反する。 ウさらに,上記⑵アのとおり,本件譲渡契約を締結するためには条例の制定又は議会の議決及び財産価格審議会の評定を経る必要があるが,本件におい てはこれらの手続がされていないから,本件譲渡契約の締結は,地自法,審議会条例及び付議決条例の各規定に違反し,違法である。 この点,被告は,再開発法108条2項により本件に地自法等の上記各規定は適用されない旨を主張する。しかし,東京都が本件土地を取得したのは,臨海副都心開発によるものであり,本件再開発事業の施行前から本件土地を 所有しているから,「施行者が第一種市街地再開発事業により取得した」(同項)場合には当たらない。地権者たる東京都から施行者たる東京都への本件権利変換によって再開発事業による本件土地の取得行為があったと解するならば,上記⑵アのとおり,まさにその本件権利変動にこそ地自法等の上記各規定が適用されなければならない。しかるに,上記⑵アのとおり,狭義 の財務会計行為1はこれら地自法等の規定に違反し違法無効であるから, 「施行者が第一種再開発事業により取得した」ものとはいえない。また,そもそも,同項が,施行者が地方公共団体の場合に財産の管理処分に関する法令の規定の適 規定に違反し違法無効であるから, 「施行者が第一種再開発事業により取得した」ものとはいえない。また,そもそも,同項が,施行者が地方公共団体の場合に財産の管理処分に関する法令の規定の適用を除外しているのは,公共団体施行の場合には,同法51条以下で,再開発手続そのものについて,住民の代表たる議会や国土交通大臣による中立的,民主的チェックを受けることが予定されているためであるか ら,同項にいう「施行者が地方公共団体であるときは」とは,同法51条以下に規定する公共団体施行の再開発事業である場合を意味し,個人施行による場合には適用されないから,本件譲渡契約の締結には上記地自法及び審議会条例の規定が適用されることとなる。 ⑷ 本件譲渡契約の締結が官製談合によるものであること ア本件再開発事業に係る特定建築者の選定過程には,次のとおり実質的な官製談合が行われており,談合行為に基づく本件譲渡契約の締結は違法である。 すなわち,東京都が本件募集要領において定めた特定建築者への本件土地の譲受価格の最低額と,実際の応募額が同一であり,応募者は一つの企業グループ(本件11社)のみであった。この特定建築者の選定に当たっては, 東京都はあらかじめ事業協力者(13社により構成される本件事業協力者グループ)を決定していたが,そのうち11社を一つの共同事業体とし,その中で受注の配分を行ったものである。また,事業協力者の貢献度は,特定建築者の選定に当たり考慮されるし,13社もの大企業が事業協力者になっていることから,これら以外の者が特定建築者に選定されることは不可能であ る。都市整備局長F及びその後任者であるC局長並びに担当者は,平成27年3月17日から平成28年5月13日までの間に,本件事業協力者グループを構成する13社の 者に選定されることは不可能であ る。都市整備局長F及びその後任者であるC局長並びに担当者は,平成27年3月17日から平成28年5月13日までの間に,本件事業協力者グループを構成する13社の担当者との間で行われた協議において,特定建築者の事前の選定,仕事の受注配分及び本件土地の譲渡価格について決定して,談合を行ったものである(これを以下「本件談合行為」という。)。東京都が この協議内容に係る文書を開示しないのは,隠ぺい行為であり,談合行為の 存在を裏付けている。この背景には,東京都職員の多数が事業協力者の企業に天下りして構造的な癒着が生じていることがあり,本件談合行為には,東京都の元職員が関与している可能性が高い。 イ上記のとおり,本件再開発事業において特定建築者に選定された本件11社は,当該再開発計画の早い段階からその母体となる企業グループである本 件事業協力者グループを結成し,本件再開発事業の内容に深く関与していた。 そして,同グループは,事業協力者という法的根拠のない制度を利用して本件再開発事業に深く入り込み,その内容や事業見とおし,129億6000万円という本件譲渡価格の決定にまで関与している疑いがある。本件において,東京都は,事業協力者との協議を受け,平成27年9月3日に不動研と の間で本件土地の価格等調査に係る委託契約の締結を決定しているが,不動研による調査報告書作成作業が到底正当な不動産鑑定評価といえないばかりか,東京都と事業協力者との協議による価格設定を前提にした恣意的な価格が,不動研の権威の下で,あたかも第三者による客観的な価格等調査であるかのように権威付けられている。この点,本件再開発事業においては,形式 的には事業協力者も特定建築者も「公募」がされているかのような外観を呈 の下で,あたかも第三者による客観的な価格等調査であるかのように権威付けられている。この点,本件再開発事業においては,形式 的には事業協力者も特定建築者も「公募」がされているかのような外観を呈しているが,その手続は極めて形式的,おざなりにされており,その実態は,当初から仕組まれた完全な出来レースと評価せざるを得ないものである。事業協力者募集要領においても,この事業協力者募集の手続が,将来の本件再開発事業における特定建築者の事前選定及び特定建築者募集で示される最低 価格(敷地譲渡価格)の官民協力による決定作業を目的とするものであることが明記され,また,事業協力者は,特定建築者に応募することを前提に,その貢献度は特定建築者の公募手続で評価するものとされている。このように,本件再開発事業は,特定建築者制度を悪用して,実質的には東京都と大手ディベロッパーや不動産業者とが共謀し,都民の貴重な公有財産である本 件土地を不当な廉価で投げ売りして上記企業グループに不当な巨額の利益を 得させるための談合であるといわざるを得ず,こうした特定建築者制度の悪用は,地自法234条1項や「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」(以下「官製談合防止法」という。)の趣旨を潜脱した脱法行為といわざるを得ず,到底許されるものではない。 (被告の主張)本件再開発事業に係る手続に瑕疵はなく,本件譲渡契約に至る一連の行為は財務会計法規上適法である。 ⑴ 東京都が本件再開発事業を個人施行したことは適法であること原告らは,地方公共団体が再開発事業を個人施行することが許されないこと を前提として,本件再開発事業を非都市計画事業として実施することは許されず,再開発法51条 行したことは適法であること原告らは,地方公共団体が再開発事業を個人施行することが許されないこと を前提として,本件再開発事業を非都市計画事業として実施することは許されず,再開発法51条から57条までにも違反している旨主張する。 しかし,再開発法51条1項は,同条以下の適用を受ける地方公共団体を「第2条の2第4項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。」としており,同法51条から57条までの規定は,同法2条の2第4項の規定 による公共団体施行者にのみ適用され,本件のように個人施行者として施行する場合の地方公共団体には適用されない。そして,再開発法2条の2第1項は,個人施行者について,その法的性質等によっては何ら制限を設けていないところ,再開発法51条1項における上記「地方公共団体」の定義と,同法108条2項を対比すれば,同項が規定する「地方公共団体」が,同法2条の2第4 項の規定により再開発事業を施行する場合ではない,いわば広義の「地方公共団体」を指しており,地方公共団体が再開発事業を個人施行することができることは明らかである。そもそも,公共団体施行が,関係権利者全員の同意を要件とせず,すなわち,公権力の行使として一部地権者の意思に反してでも施行手続を進行できるからこそ,厳格な手続規制を敷いているが,本件では,東京 都が唯一の地権者であり,その地権地を民間に売却する取引を予定していたか ら,本件再開発事業に地権者の意思に反して施行手続を進行するなどという東京都の公権力の行使の要素は存在しないのであって,施行者に公権力の行使が想定されるために手続規制が要請される公共団体施行の規定を個人施行の規定に優先して本件に適用すべき理由はない。 また,原告らは,土地区画整理法の規定をその主張の のであって,施行者に公権力の行使が想定されるために手続規制が要請される公共団体施行の規定を個人施行の規定に優先して本件に適用すべき理由はない。 また,原告らは,土地区画整理法の規定をその主張の根拠として挙げるが, 同法に関する原告らの理解は誤っている。 以上のとおりであるから,地方公共団体が再開発事業を個人施行することができないことを前提とする原告らの主張は失当である。 ⑵ 狭義の財務会計行為1が適法であること原告らは,狭義の財務会計行為1として,本件同意等による地権者たる東京 都から施行者たる東京都への本件権利変動(本件土地の原始取得)の場面を捉えてこれを違法である旨主張するが,次のとおり,いずれの主張も失当である。 ア原告らは,本件権利変動につき議会の議決を経ていないから,地自法237条2項に違反し違法である旨を主張する。しかし,本件においては,同項にいう「適正な対価なくして」という要件に該当しない。また,同項は,適 正な対価によらずに普通地方公共団体の財産の譲渡等を行うことを無制限に許容すると,当該普通地方公共団体に多大の損害が生ずるおそれがある上,特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられるおそれがあることから設けられたものである。しかるに,本件においては,狭義の財務会計行為1ないしこれによる本件権利変動による現実的な財産の外部への流出はなく,い かなる意味においても東京都の財産の価値を毀損する可能性がなかったものであり,東京都に「多大な損害が生ずるおそれ」も「特定の者の利益のために財政の運営がゆがめられるおそれ」もなかったといえ,同項の上記趣旨に照らし,本件権利変動に同項の適用はなく,本件土地を対象とする権利変換手続について議会への付議は不要であったことは明らかである。そもそも, がゆがめられるおそれ」もなかったといえ,同項の上記趣旨に照らし,本件権利変動に同項の適用はなく,本件土地を対象とする権利変換手続について議会への付議は不要であったことは明らかである。そもそも, 地権者たる東京都から施行者たる東京都への本件権利変動は,同項の定める 交換,出資の目的とすること,支払手段として使用すること,譲渡又は貸付けのいずれにも当たらない。 イ原告らは,狭義の財務会計行為1が審議会条例2条に違反する旨主張する。 しかし,本件土地の価格が不適正であるという前提において誤っている上,単なる組織法である審議会条例2条は,原告らが主張する財産価格審議会の 評定が必要という主張の根拠とはならない。また,地権者たる東京都が本件施行地区価額で転出を申し出,施行者たる東京都が本件権利変換により本件土地を取得した行為は,都市整備局所管の行政財産のままでの現実的な財産上の変動がない内部処理事務であるところ,東京都公有財産規則に係る依命通達において,「内部処理に係る価格又は料金については,付議を要しな い」と規定しているから,財産価格審議会への付議を行わなかったとしても,審議会条例2条1号に違反しない。 ウ原告らは,狭義の財務会計行為1は,地自法96条1項8号,地自法施行令121条の2第2項及び付議決条例3条により議会の議決を要するところ,これを経ておらず違法である旨主張する。しかし,上記各規定が議決事項と して定めている「財産の取得又は処分」とは,「不動産若しくは動産の買入れ若しくは売払い又は不動産の信託の受益権の買入れ若しくは売払い」に限られているところ(地自法施行令121条の2第2項,別表第4,付議決条例3条),地権者たる東京都から施行者たる東京都への本件土地の権利変動(本件権利変動)のような 受益権の買入れ若しくは売払い」に限られているところ(地自法施行令121条の2第2項,別表第4,付議決条例3条),地権者たる東京都から施行者たる東京都への本件土地の権利変動(本件権利変動)のような再開発法に基づく権利変換は,上記のいずれにも 該当しないから,地自法96条1項8号違反等の問題はそもそも生じ得ない。 エ原告らは,再開発法91条に定める補償金の支払に関し,当該義務が履行されない限り地権者たる東京都の権利は消滅せず,施行者たる東京都は本件土地を原始取得したとはいえない旨を主張するが,再開発法上,補償金の支払は権利変換の効果発生の要件とはされておらず,原告らの主張は失当であ る。また,本件権利変換については,再開発法110条1項の適用により同 法80条の適用が排除されるが,同法91条は同法80条の適用が前提となるから,そもそも本件に同法91条の適用はなく,この点でも原告らの主張はその前提を誤っている。 ⑶ 狭義の財務会計行為2(本件譲渡契約の締結)が適法であることア原告らは,本件譲渡契約の締結は,地自法,審議会条例及び付議決条例に 違反する旨を主張する。しかし,本件においては,再開発法71条1項に基づく本件申出により,地権者たる東京都が所有していた施設建築敷地である本件土地は,同法76条4項の規定に基づき本件権利変換計画において施行者たる東京都にその所有権が与えられるように定められ,かかる権利変換計画に基づく権利変換の効力が生じたことにより,地権者たる東京都が保有し ていた本件土地は施行者たる東京都が「第一種再開発事業により取得した」ものであるから,施行者たる東京都による本件土地の処分には同法108条2項が適用され,地方公共団体の財産管理に関する法令の規定は適用されないこととなるから 東京都が「第一種再開発事業により取得した」ものであるから,施行者たる東京都による本件土地の処分には同法108条2項が適用され,地方公共団体の財産管理に関する法令の規定は適用されないこととなるから,原告らが主張する各種法規に違反する余地はない。 イ原告らは,本件土地はもともと東京都が所有していたため,「施行者が第 一種市街地再開発事業により取得した施設建築敷地」(再開発法108条2項)には当たらず,同項の適用はないなどと主張する。 しかし,再開発法は,同法2条の2第1項の文言からも明らかなように,地権者と施行者が同一となり得ることを当然に予定しているところ,このような地権者兼施行者が権利変換を希望しない旨の申出(同法71条)をする こと自体にも同法上特に制限はなく,この場合,「施行地区内の土地」全てが保留床となること,保留床の所有権の帰属は施行者となること(同法77条4項),施行者による保留床の取得は原始取得となること(同法87条1項)も,同法の予定するところである。すなわち,同法は,「第一種再開発事業によ」る(同法108条)施行者の自己所有地の権利変換による原始取 得を予定しているのであり,東京都が本件土地所有権を本件権利変換以前に 取得していたことは,同条2項の適用を除外する理由とはならない。 ウまた,原告らは,再開発法108条2項は,公共団体施行の場合に限り適用され,個人施行の場合には適用されない旨を主張する。しかし,前記⑴のとおり,地方公共団体は,再開発事業を個人施行することもできるところ,同法51条1項の規定と対比すれば,同法108条2項の「地方公共団体」 が公共団体施行者ではない,いわば広義の「地方公共団体」を指しており,同項の規定が個人施行者である地方公共団体に対する適用が予定 51条1項の規定と対比すれば,同法108条2項の「地方公共団体」 が公共団体施行者ではない,いわば広義の「地方公共団体」を指しており,同項の規定が個人施行者である地方公共団体に対する適用が予定されたものであることは明らかである。 ⑷ 官製談合に関する原告らの主張が失当であることア本件談合行為に係る原告らの主張は否認する。本件において,特定建築者 予定者の選定過程が根拠法令に基づき適切かつ公正に実施され,かかる手続に法令違反がなかったことは明らかであって,地自法及び官製談合防止法の脱法はない。 イ原告らは,事業協力者の選定は特定建築者の事前選定制度であり,選定対象を限定し,実質的な受注の配分を協議し,他の事業者の参入を排除する手 続である旨主張する。しかし,本件募集要領によれば,特定建築者予定者の選定に当たり,事業協力者の貢献は評価項目の一部として挙げられているにすぎず,事業協力者であるからといって当然のごとく特定建築者に選定されるような枠組みにはなっていない。また,本件募集要領に記載された本件土地の予定価格は,不動研が本件土地の価格等を算定し,その妥当性を運営委 員会が審理するという手続を経て決定されたものであり,本件事業計画や本件権利変換計画等に関して,事業協力者が一定の協力をしていたとしても,事業協力者が上記予定価格の決定に関与できるものではない。 3 争点②-2(本件譲渡契約に至る本件再開発事業に係る一連の行為が財務会計法規上違法であるか否か〔本件譲渡価格関係〕)について (原告らの主張の要旨) ⑴ 本件土地の正常価格を算出すべきこと地自法237条2項は,条例又は議会の議決がなければ「適正な対価」(すなわち正常価格)なくして公有財産を処分することは許されないとして ) ⑴ 本件土地の正常価格を算出すべきこと地自法237条2項は,条例又は議会の議決がなければ「適正な対価」(すなわち正常価格)なくして公有財産を処分することは許されないとしているところ,これは,究極的には住民の財産である公有財産を不当に廉価で処分することにより,住民に財産的損害を与えることを防ぐため,議会での審議と承認 を要求したものであるから,その前提として,当該処分価格と「適正な対価」との差額がいくらであるのか,その差額を設けることが妥当なのか否かを判断することが当然に求められ,このことは,公有財産処分の根拠法令が地自法でない場合も同様である。本件譲渡についても,その実態は単に東京都が特定建築者に対して本件土地を対価129億6000万円で譲渡したことと何ら変わ りはなく,この対価が,本件土地の造成等のコスト(約403億円)をも大きく下回り,周辺土地価格と比較して著しく廉価であることは火を見るより明らかであって,このような廉価売却をすることの正当性を担保するためには,選手村要因を取り除いた本件土地の本来の価格を算出し,実際の譲渡価格との差額を求めることで,実際の東京都民の負担を明らかにしなければならない。 東京都は,本件において,東京都民がその判断をする前提の情報である本件土地の正常価格すら算定しなかったものであり,東京都の実態としての負担を隠ぺいする意図があったとしか考えられない。本件のように土地のみの価格では1000億円を超えるような規模の土地であれば,その価格等調査は一層厳格性が求められ,複数の独立した団体又は個人に価格等調査を実施させた上で 価格を判断すべきところ,本件では不動研1社のみにしか価格等調査を依頼しておらず,極めて不自然である。 ⑵ 本件価格等調査が不当である 数の独立した団体又は個人に価格等調査を実施させた上で 価格を判断すべきところ,本件では不動研1社のみにしか価格等調査を依頼しておらず,極めて不自然である。 ⑵ 本件価格等調査が不当であること東京都は,不動研が本件調査委託契約に基づき行った本件価格等調査の結果に基づき本件譲渡価格を決定しているところ,本件価格等調査は,後記アのと おり,鑑定評価基準に則らずに開発法のみを適用している点において不当であ るのみならず,後記イ以下のとおり,開発法の適用方法自体においても不当である。 ア鑑定評価基準に則って正常価格を算出すべきであること鑑定評価基準は,不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行う際に準拠しなければならない基本的な基準であり,不動産鑑定士が不動産の価格等を調 査するに当たっては,鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを原則とするものとされており,鑑定評価基準に基づいて求める価格が,正常価格,すなわち,「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価格を表示する適正な価格」である。 そして,鑑定評価基準は,原価性,市場性,収益性という価格の3面性 を基礎として,原価法,取引事例比較法及び収益還元法の3手法を鑑定評価の原則的手法とするとともに,鑑定評価の手法は複数行うべきものであることを明示している。 他方,本件価格等調査において採用された開発法は,上記3手法に含まれず,鑑定評価基準において他の鑑定手法により導かれる価格と比較衡量 する一要素となる補助的な手法として位置付けられているにすぎない。開発法は,複利的計算が行われることで,前提となる数値がわずかに変わった場合でも評価価格が大きく変動するなどの問題がある。本件では,取引事例比 となる補助的な手法として位置付けられているにすぎない。開発法は,複利的計算が行われることで,前提となる数値がわずかに変わった場合でも評価価格が大きく変動するなどの問題がある。本件では,取引事例比較法及び原価法を用いることもできたにもかかわらず開発法のみ用いたものであり,このような本件価格等調査が著しく不合理であることは 明らかである。 被告は,選手村要因や広大地であることを理由として,ガイドラインに定める「鑑定評価基準に則ることができない場合」に該当すると主張する。 しかし,そもそも,正常価格は,実際の用途とは関係なく最有効使用を前提として算出する客観的な価格であるから,東京都が本件土地を最有効 使用とはならない選手村として利用することを予定していたことは,正常 価格を算出できない根拠とはならない。本件土地を選手村として使用することは,東京都の判断で決めたことであり,その旨の都市計画決定もされていない以上,本件土地に法律上の制約はないのである。なお,仮に,地自法237条2項にいう「適正な対価」につき,本件土地については選手村要因を考慮することが要求されており,それを前提とした対価が「適正 な対価」であるとするならば,選手村要因を考慮した価格がまさに法令によって要求された価格であるといえるから,鑑定評価基準が定める特定価格を算出することができることとなる。 また,広大地である点についても,東京都においては湾岸部に広大な土地の取引は多数あり取引事例の収集は可能であるから,本件土地の価格等 調査につき鑑定評価基準に則ることができない場合に当たらない。 イ土地代金支払時期を考慮しないことの不当性開発法は,最終的な完成物(複合不動産)の売却代金を調査時点に割り戻し,そこから,支出時期 き鑑定評価基準に則ることができない場合に当たらない。 イ土地代金支払時期を考慮しないことの不当性開発法は,最終的な完成物(複合不動産)の売却代金を調査時点に割り戻し,そこから,支出時期を基に投下資本収益率で割り戻して現在価値に引き直した経費を差し引くことで土地価格を求めるものであり,その数式に照ら し,土地代金については価格等調査時点で全額を支出することが前提とされていることが明らかである。 しかし,本件譲渡契約においては,土地代金のうち90%は後払いとするという特別な条項が付され,その支払が猶予されているから,これを本件土地の価格に反映させるべきであるが,本件価格等調査においてはこれが一切 反映されていない。 ウ収益価格を基に開発法を適用することが不当であること本来,開発法は販売価格(分譲価格)を基に計算すべきであって,鑑定評価基準は,振れ幅の大きい収益価格をベースとする開発法は認めていないが,本件価格等調査においては,5-3街区(賃貸マンション用地)及び5-7 街区(商業施設用地)について収益価格を基に開発法を用いている。また, 本件価格等調査においては,収益還元法を用いるに当たり,5-7街区の月額賃料を1200円/㎡として計算されているが,固定資産税すら回収できない水準で安すぎるし,収益物件であるにもかかわらず,分譲に際して生じる費用である販売費及び一般管理費(併せて以下「販管費」という。)を控除しており,不当である。 また,本件価格等調査においては,5-3街区の開発法による価格が2万7000円/㎡と計算されたが,課税標準額(固定資産評価額)は約8万2000円/㎡であり,固定資産評価額が調査価額よりも高額となるという不合理が生じている。 エ販売価格が著し よる価格が2万7000円/㎡と計算されたが,課税標準額(固定資産評価額)は約8万2000円/㎡であり,固定資産評価額が調査価額よりも高額となるという不合理が生じている。 エ販売価格が著しく低額であること 本件価格等調査では,板状棟の販売価格を74~77万円/㎡と評価しているが,実際の販売価格は約90~92万円/㎡であり,本件価格等調査における予想販売価格は,実際の販売価格よりも2割程度安く算定している。 これだけ販売価格が著しく低額であると,調査価額を押し下げることになる。 また,タワー棟は未だ販売されていないが,同調査における販売価格(91 万6000円/㎡)は低すぎる。 被告は,本件土地が最寄り駅までの近接性に劣る旨主張するが,販売単価は様々な事情を考慮して査定されるものであり,最寄り駅までの距離のみで判断されるものではなく,本件施設建築物には大規模な駐車場が整備され入居者の多くは日常的に自動車での移動が前提とされるものと考えられるし, 新輸送システムも整備され,平日ピーク時においては1時間当たり2000人もの輸送が可能となることから,鉄道の駅までの距離は本件施設建築物において重要度は極めて低い。 オ建築費が高額にすぎること建築工事費(以下,単に「工事費」ということがある。)は,容積率に 算入する部分(個別の室内など)と容積率に算入しない部分(共用廊下, 階段,エレベーターホール等)とでは大きく異なり,後者の方が圧倒的に安くなるから,容積率に算入する床面積と算入しない床面積に区別して考えるべきところ,選手村住宅棟等については,一般的な建築物に比べ,廊下,階段,エレベーターホール,地下駐車場といった共用部分(容積率不算入部分)の面積が大きいため,工事費が安く済む範囲が多 別して考えるべきところ,選手村住宅棟等については,一般的な建築物に比べ,廊下,階段,エレベーターホール,地下駐車場といった共用部分(容積率不算入部分)の面積が大きいため,工事費が安く済む範囲が多くなり工事費 単価が相当低額に抑えられるはずであるが,本件価格等調査においては,結果的に,通常(30万円/㎡程度)よりも高額な工事費が設定されており,不当である。 また,本件価格等調査においては,地下駐車場を整備することにより建築費用が増大するとしているが,本件においては,現在のグランドレベル に盛土をすることが予定されており,事業完成時に地下駐車場となる土地面は,当初の地上と同じ高さであるから,根切りや山留め工事等の費用を要する作業過程は不要であり,実際,盛土工事を行った上で掘削を行うといった作業は存在しない。したがって,大規模な地下駐車場を設置することから工事費が高額になるという前提は明らかに誤りである。 カ事業期間の設定が不当であること本件価格等調査においては,大会後の建物完成までに72~108か月を要するものとして建築工期が設定されているが,異常に長期である。統計資料や類似する大規模な建物の建築工期からすれば適正な建築工期は43~64か月であり,上記のような異常に長期の工期を土地価格算定の基礎として いる本件価格等調査は明らかに不当である。 また,本件価格等調査が前提とする大会後の選手村住宅棟等の改修工事期間(1年2か月から2年2か月)はあまりに不自然に長期であるし,大会後の住宅棟への入居を街区単位としているのも,同じ街区であっても工期の異なるブロックであれば入居することに何ら支障はないことからして不合理で あり,不動研は,不当に建築工期を長期に設定したものというほかない。被 としているのも,同じ街区であっても工期の異なるブロックであれば入居することに何ら支障はないことからして不合理で あり,不動研は,不当に建築工期を長期に設定したものというほかない。被 告が指摘する選手村として利用すること,一般の仕様とは異なる特殊の建築物であること,改修を要する戸数が多いことなどは,いずれも長期の工期を要する根拠とはならない。 さらに,そもそも,タワー棟や商業棟については,選手村としての利用は予定されておらず,一体として分譲する必要性は皆無である。それにもかか わらず,タワー棟については建築期間が平成33年からとされるなど建物建築が先延ばしにされており,これにより,価格等調査時点から事業終了までの期間が長期にわたることになって投下資本収益率による割り戻しによる影響が大きくなり,土地価格が不当に安く評価されている。 キ開発協力金についての誤り 本件価格等調査は,開発協力金について,一体開発であることによって,街区開発・単棟開発の場合と比較して減じることができる戸数が少ないことから,開発負担金が増加すると評価しているが,中央区市街地開発事業指導要綱(以下「中央区指導要綱」という。)の趣旨及び文言からは,区長の裁量は広いものと解され,本件ほどの大規模な開発に当たっては区役所と協議 することは当然あり得るところであるし,特に本件では,選手村として活用するという公的要素の強い事業であることから,必ずしも開発協力金として全額の負担を強制されることは考え難い。実際にも,本件施設建築物のうち,板状棟については開発協力金の請求対象とされないこととなり,開発協力金の負担は基準どおり計算した場合の3分の1で済んでいる。したがって,一 体開発であることが直ちに開発協力金の負担増加につなが 板状棟については開発協力金の請求対象とされないこととなり,開発協力金の負担は基準どおり計算した場合の3分の1で済んでいる。したがって,一 体開発であることが直ちに開発協力金の負担増加につながるとはいえず,むしろ大部分の開発協力金の支払を特定建築者が免れたのであれば,その分土地価格に反映すべきである。 ク減価方法の誤り本件価格等調査においては,建物の減価要因と考えられるものを土地の価 格から差し引いているが,誤りであり,建物価格を減価するほかない。 ケさらに,本件価格等調査が採用する計算式は,ディベロッパーの利益が計算できない点で問題がある。 コなお,本件譲渡契約においては,本件11社が特定建築者応募時に提出した資金計画書に記載のない新たな収入が生じる場合における譲渡金額の変更についての規定が定められているところ,これは,本件譲渡価格があまりに も低廉であるとの都民による批判が高まった場合に対する防御策として定められたものであり,価格が低廉であることを被告が認めた規定というべきである。また,東京都は,令和元年5月8日,特定建築者との間で,特定建築者が全ての住戸の引渡しが完了して収益が確定した時点で分譲予定収入について1%を超える増収があった場合には譲渡金額の変更につき協議すること 等を内容とする確認書を取り交わしているところ,同確認書は,まさに本件訴訟などにより本件譲渡価格が時価,鑑定価格から見て著しく低いことが問題となり,被告がそのことを認めたことを示すものといえる。 ⑶ 本件価格等調査の結果と本件譲渡価格を同一のものとしていることについて仮に,本件価格等調査に係る土地価格に代金支払時期が反映されていないの であれば,譲渡価格を定めるに当たり,当然反映されてしかるべき 査の結果と本件譲渡価格を同一のものとしていることについて仮に,本件価格等調査に係る土地価格に代金支払時期が反映されていないの であれば,譲渡価格を定めるに当たり,当然反映されてしかるべきである。上記⑵イのとおり,本件価格等調査における開発法は,当初に売買代金を支払うことを前提としたものであるが,これと異なる条件で譲渡するのであれば,その点を考慮した価格としなければならない。本件では,本件譲渡価格のうち9割の支払時期が8年後であり,長期間にわたりその支払が猶予されることによ り,この間の利息の支払等を免れることとなるところ,本件価格等調査ではこの点は全く考慮されていないのであるから,東京都が8年もの長期間にわたりその代金の支払を猶予するという条件を付した上で本件土地を処分するに当たっては,当該支払期限の猶予を考慮した価格を再度算定する必要がある。 ⑷ 本件土地の価格について ア本件土地の正常価格 上記⑴のとおり,本件土地を処分するに当たっては,本件土地の正常価格を算出すべきところ,不動産鑑定士である原告Eが行った本件土地の鑑定評価(甲68。以下「E鑑定1」という。)の結果によれば,本件土地の正常価格は,総額1611億1800万円(内訳は,5-3街区が307億7100万円〔117万円/㎡〕,5-4街区が236億3300万 円〔100万円/㎡〕,5-5街区が471億7600万円〔126万円/㎡〕,5-6街区が443億2100万円〔126万円/㎡〕,5-7街区が152億1700万円〔134万円/㎡〕である。)。 原告Eは,これまで大規模宅地の鑑定を経験し,公的な鑑定評価の経験も豊富である上,G在籍中は開発法の試算と開発物件を取り扱ってきたも のであり,本件土地のような広大地や開発予 である。)。 原告Eは,これまで大規模宅地の鑑定を経験し,公的な鑑定評価の経験も豊富である上,G在籍中は開発法の試算と開発物件を取り扱ってきたも のであり,本件土地のような広大地や開発予定地の鑑定評価の経験は申し分ないところ,E鑑定1は,鑑定評価基準に則り,本件権利変換期日を基準時として,取引事例比較法及び収益還元法に基づき評価し,その上で類似する地価公示価格,基準地価格を規準又は比準した価格との比較も行ったものであり,適正な手法により行われたものであって,上記の価格は 正当な評価であるといえる。 被告は,E鑑定1につきるる論難するが,いずれも本質的な部分からは程遠い些末な指摘にすぎない。なお,不動研は,その意見書(乙60)において,価格時点における市場参加者が知り得る事例資料を基に価格形成要因を把握・分析することが原則であるなどと述べるが,一切根拠となる 証拠を示していない。原告Eは,事後的に価格時点における土地価格の評価を行ったのであり,価格時点の取引価格を算定するために,その前後の取引事例を参照することは当然である。 イ選手村要因を考慮した価格評価前記のとおり,本件価格等調査における評価方法は明らかに誤っているが, 仮に,これと同じく選手村要因を考慮して開発法を適用して評価したとして も,本件土地の価格が129億6000万円との評価は不可能である。 すなわち,原告Eにおいて,上記⑵において指摘した本件価格等調査における明らかな誤り(①土地代金の支払時期,②5-3街区及び5-7街区の土地建物収益価格を算定するに当たり用いる賃料水準,③工事費並びに④販売価格)を修正した上で,その余の点は本件価格等調査と同じ値・計算方法 を用いて開発法を適用して本件土地の価格を算出する 区の土地建物収益価格を算定するに当たり用いる賃料水準,③工事費並びに④販売価格)を修正した上で,その余の点は本件価格等調査と同じ値・計算方法 を用いて開発法を適用して本件土地の価格を算出すると,その評価額は総額1653億2100万円となり(甲92。以下,同号証を「E鑑定2」といい,E鑑定1と併せて「本件各E鑑定」という。),選手村要因を考慮したとしても,本件譲渡価格のような低廉な価格とはならない。 ⑸ 本件譲渡契約の締結が違法であること 以上のとおり,不動研による本件調査報告書には不備があり,これに基づき算定された本件譲渡価格は,到底「適正な価格」ではありえない。 上記⑷のとおり,本件土地の正常価格は1611億1800万円であるところ,東京都は,これを1481億5800万円(約92%)も値引きした129億6000万円で売却したものであり,かかる減額を正当化する根拠はない。 被告は減額要素として本件土地が選手村として使用されることを挙げるが,①選手村は,賃貸借契約に基づく賃料が支払われ,②選手村として利用する際のエアコン等の施設に係る費用の数百億円は東京都が負担し,③本件土地所有権が移転する時期,すなわち本件施設建築物の建築の完了(最終期限平成36年3月末日)までは,特定建築者は固定資産税の支払義務を負わず,④本件土地 の譲渡価格の9割は本件施設建築物の建築完了後に支払うことになるなど,特定建築者にはさまざまな優遇措置が与えられており,本件土地の価格を減額すべき根拠とはならない。 したがって,本件譲渡契約の締結は,都民の財産を不当に廉価に処分するものとして違法である。 (被告の主張の要旨) 本件譲渡価格は,不動研が行った本件価格等調査の結果を参考にし,運営委員会による審議 締結は,都民の財産を不当に廉価に処分するものとして違法である。 (被告の主張の要旨) 本件譲渡価格は,不動研が行った本件価格等調査の結果を参考にし,運営委員会による審議及び裁決を経て決定されたものであるところ,後記⑴から⑺までのとおり,本件土地の価格は本件価格等調査により適正に評価されている。したがって,本件譲渡価格は適正であり,本件譲渡契約の締結は適法である。 ⑴ 不動研は本件土地の価格等調査を担当する者として適任であること 本件土地の価格等調査については,その評価対象地が中央区晴海に所在する都有地で,全街区の合計面積が13.4㏊にも上る大規模画地である上,民間事業者が所定の期間内に本件大会の選手村に対応した建物を整備し,選手村としての一時使用後,改修工事を経て大量に分譲又は賃貸するなど,契約締結から事業完成まで長期間を要するなど,一般的な開発計画とは異なる非常に特殊 な条件が付されている。しかるに,不動研は,その規模及び実績に照らして国内最大の不動産鑑定業者であり,大規模かつ特殊な条件下での評価業務についても豊富な実績を有している。さらに,不動研は,新国立競技場整備予定地に所在する都有地の価格等調査業務に係る受託実績があり,都の本件大会関連施策の全体像を把握しているなど,大会関連事情も熟知しており,不動研が本件 土地の価格等調査に最も適している。したがって,東京都が不動研のみに価格等調査を依頼すると判断しても何ら不自然なところはない。 ⑵ 本件土地の価格等調査は「不動産鑑定評価基準に則らない価格等調査」を適用すべき場合であることアガイドラインは,鑑定評価基準に則った鑑定評価と,鑑定評価基準に則ら ない価格等調査との峻別について規定しているところ,本件価格等調査について い価格等調査」を適用すべき場合であることアガイドラインは,鑑定評価基準に則った鑑定評価と,鑑定評価基準に則ら ない価格等調査との峻別について規定しているところ,本件価格等調査については,鑑定評価基準に則らない価格等調査を適用すべきものである。 すなわち,ガイドラインは,不動産鑑定士による不動産の価格等調査については,鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを原則とするが,①調査価額等が依頼者の内部における使用にとどまる場合,②公表・開示・提出さ れる場合でも利用者の判断に大きな影響を与えないと判断される場合,③調 査価額等が公表されない場合で全ての開示・提出先の承諾が得られた場合,④鑑定評価基準に則ることができない場合,及び,⑤その他依頼目的,利用者の範囲等を勘案して鑑定評価基準に則らないことに合理的な理由がある場合には,鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができるとしている。 そして,鑑定評価基準に則った鑑定評価とは,「最有効使用の原則」の下で 行うこととされ,この最有効使用とは「その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用」をいうとされているところ,本件土地の価格等調査については,対象不動産の利用方法や大会前後の準備等を含む期間までの開発スケジュールを所与とするなどの条件を前提とし,同計画の内容は,本件土地の最有効使用とはいえないため,価格等調査の基本的事項及び手順 について鑑定評価基準に則ることができないものであって,上記④に該当する。また,本件価格等調査は,東京都が施行者に代わって建物を整備する特定建築者を公募し,本件土地を処分するに当たり,予定価格を設定する際の参考とすることを目的とするものであり,これ以外の目的での使用は想定されておらず,依頼者である東京都の内部 わって建物を整備する特定建築者を公募し,本件土地を処分するに当たり,予定価格を設定する際の参考とすることを目的とするものであり,これ以外の目的での使用は想定されておらず,依頼者である東京都の内部における使用にとどまり調査価額又 は調査報告書の公表・開示・提出は想定されていないから,上記①に当たる。 したがって,本件土地の価格等調査が鑑定評価基準に則らない価格等調査として行われるべきものであったことは明らかである。そして,不動産鑑定士は,鑑定評価基準に則らない価格等調査を行う場合においても,不動産の鑑定評価に関する法律及びガイドラインに従って業務を行わなければならず, 適正を欠いた恣意的な業務の遂行が許容されるものではない。 イ原告らは,鑑定評価基準に則って正常価格を算出すべき旨を主張する。しかし,正常価格は,対象不動産について使用方法や使用可能時期等について特段の制限がないことを前提とした価格であるところ,本件土地の譲渡については,特定建築者が同土地上に自らの費用負担により選手村住宅棟等を建 築し,大会後も当該建物をレガシーとして再利用するという特殊な条件が前 提とされているから,正常価格算定の前提となる市場参加者が対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うという要件を欠いており,正常価格を算出することはできない。原告らの主張は,上記の特殊な条件を殊更に無視して,選手村要因を考慮しなければ正常価格を算出できるなどと強弁するものにすぎない。 また,原告らは,本件土地について,鑑定評価基準に定める特定価格を算出することはできる旨を主張する。しかし,特定価格とは,「正常性を有する不動産について,法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさないこと 特定価格を算出することはできる旨を主張する。しかし,特定価格とは,「正常性を有する不動産について,法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で,正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価格とかい離することとなる 場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格」をいうところ,特定建築者に対する本件土地の譲渡処分に当たりその鑑定評価を行うべきことについて定めた法令等も,またその評価結果を投資家や利害関係者等に開示すべきことについて定めた法令等も存在しないから,特定価格を算出する前提を欠いている。 ⑶ 本件価格等調査における評価方法が正当であることア鑑定評価基準は,取引事例比較法,原価法,収益還元法及び開発法の4種類の価格算定手法を定めており,鑑定評価基準に則らない価格等調査における価格算定においても,これらの手法のいずれか又はその組み合わせにより当該不動産の価格が算出される。 しかるところ,本件土地は,13.4㏊という広大な土地である上,選手村として整備利用しなければならないという極めて特殊な利用制限が課された土地であり,このような特殊な利用制限が課された土地の取引事例は他に例がなく,また当該利用制限の課されていない土地の取引事例から,定性的に要因比較を行うこともおよそ不可能であるため,取引事例比較法を適用す る要件を満たす取引事例は存在せず,本件価格等調査において取引事例比較 法を用いることはできない。 また,本件土地は,買主の負担で一体として本件大会の選手用宿泊施設として整備することが求められ,大会後は建築された建物をレガシーとして活かしながら一体として利用し,5-3街区は賃貸棟,5-4~5-6街区 ,本件土地は,買主の負担で一体として本件大会の選手用宿泊施設として整備することが求められ,大会後は建築された建物をレガシーとして活かしながら一体として利用し,5-3街区は賃貸棟,5-4~5-6街区は分譲棟,5-7街区は商業棟として整備することが求められているから,賃 貸用不動産になじまない建築計画が前提となっており,収益還元法を適用するために必要となる純収益を想定することが困難であるため,本件価格等調査に際して収益還元法を直接適用することはできない(なお,賃貸棟や商業棟の整備が条件とされた5-3街区及び5-7街区については,収益還元法を適用した。)。さらに,本件土地は公有水面の埋立地で,かつ既に周辺は 一部既成市街地化しており,再調達原価を把握することが困難,かつ熟成度修正の程度を測ることが困難であるため,原価法も適用することができない。 他方,開発法は,分譲を想定したマンション等又は細区分を想定した宅地の販売総額を価格時点に割り戻した額から建物の建築費及び付帯費用又は土地の造成費及び付帯費用を価格時点に割り戻した額をそれぞれ控除して価格 を求める手法である。そして,本件土地については選手村としての利用制限を前提としており,選手村住宅棟等としての建築物は,本件価格等調査の時点においては存在しないものである上,特定建築者の負担で建築することを前提とする当該建築物は,東京都が指定した選手村仕様の特殊なものであるし,選手用宿泊施設として使用するための特殊な使用制限や,大規模かつ長 期間の開発期間が前提条件とされている。このような特殊かつ大規模で長期の開発計画を勘案した上で,不動産の経済的価値を算定する方法としては,本件大会の開催スケジュールを所与の条件とし,開発期間という時間的観点から価格を算定する開発法による のような特殊かつ大規模で長期の開発計画を勘案した上で,不動産の経済的価値を算定する方法としては,本件大会の開催スケジュールを所与の条件とし,開発期間という時間的観点から価格を算定する開発法によることが最適である。そこで,本件価格等調査においては,選手村の利用制限を的確に反映できる開発法を用いることが 最も説得力に富むとして適用したものであって,本件価格等調査における評 価方法は正当である。 イ原告らは,鑑定評価基準において,開発法は検証のための手段として位置付けられているに過ぎないと主張する。しかし,開発法は,原価法,取引事例比較法及び収益還元法という3手法の考え方を活用した手法で,それ自体が鑑定評価基準上認められた鑑定評価の手法である。また,開発法は,通常 の不動産鑑定評価における実務上も,本件土地のように最有効使用が分譲マンション用地としての使用である土地の評価に当たっては必ず適用される手法であり,取引事例比較法と同等の手法として扱われており,十分に説得力の高い手法である。 ⑷ 土地の支払時期を考慮すべきではないこと 原告らは,本件価格等調査において,土地代金が後払いとされていることが考慮されていない旨指摘するが,土地の経済的価値は,価格等調査の時点における土地の使用収益を前提とした価格であり,その売買代金の支払条件が当該土地の使用収益に基づく将来発生する収入及び費用に影響を及ぼすことはあり得ないから,売買代金の支払条件は,当該土地の価格形成要因ではない。 また,原告らは,譲渡代金の一部の支払が猶予されることにより買主に資金調達上の優位性を生じるから,これを考慮に入れて本件土地の譲渡価格を本件価格等調査における評価額から増額修正すべき旨を主張しているものと解されるが,買主に資金 の支払が猶予されることにより買主に資金調達上の優位性を生じるから,これを考慮に入れて本件土地の譲渡価格を本件価格等調査における評価額から増額修正すべき旨を主張しているものと解されるが,買主に資金調達上の優位性が生じるからといって当然にこれを土地の譲渡価格に反映させるべき法令上の義務があるわけではなく,反映させることが 必要であるとする合理的理由も存在しない。東京都における本件以外の特定建築者制度を利用した再開発事業においても,原告らがいうところの後払いが選択されているが,このことを理由に譲渡処分予定価格を本来の土地価格よりも高額に設定するなどという前例はない。 ⑸ 事業期間は適切に設定されていること 原告らは,本件価格等調査において前提とされている事業期間が異常に長期 であるなどと主張するが,本件土地上に,オリンピック・パラリンピックという世界規模の祭典のために選手用宿泊施設として一時使用することを条件とする建築物(22棟で合計約69万㎡)を建築するためには,膨大な人的投資・資本投下を行った上で相当の建築期間が必要であり,本件大会に間に合わせるための3年という建築期間は相当である。また,大会後の改修工事期間につい ても,本件土地上に建築される選手用宿泊施設としての建築物は,一般の仕様とは異なる特殊な建築物であり,分譲マンションとして改修するには通常よりも多くの工事が必要となる。その上,改修が必要となる戸数が膨大であるし,改修工事を行うために必要な人工の確保にも限界がある。さらに,賃貸棟を除く約4160戸程度の分譲マンションを一度に供給すれば市場が混乱するリス クが高く,販売時期を分割して売れ残らないような販売期間等を考慮して改修工事を実施決定していくことを想定するのは事業の実態に即しており, 度の分譲マンションを一度に供給すれば市場が混乱するリス クが高く,販売時期を分割して売れ残らないような販売期間等を考慮して改修工事を実施決定していくことを想定するのは事業の実態に即しており,本件価格等調査が設定する事業期間は適切である。 ⑹ 分譲価格は適切に設定されていることア原告らは,本件価格等調査においては本件施設建築物の販売価格として異 常に低額な販売価格が設定されている旨を主張するが,本件土地は,原告らが指摘する分譲事例に比べ,最寄り駅への接近性において立地条件が明らかに劣っている。 また,原告らは,本件価格等調査における価格時点より後の取引事例を指摘するが,鑑定評価基準留意事項では,価格時点以後の取引事例の採用自体 想定されていない。そして,不動産の鑑定評価業務又は価格等調査業務は,不動産鑑定士が,市場参加者の観点に立ち,価格時点における不動産の経済的価値を価格時点の市場参加者に成り代わって判定するものであるところ,価格時点において存在しない事例等の資料は,市場参加者が把握することができないのであるから用いることを控えるべきであり,原則として価格時点 の市場参加者が収集可能な価格時点以前の資料を採用すべきである。 イまた,本件価格等調査においては,5-3街区及び5-7街区について,これらが賃貸棟及び商業棟の敷地であることから開発法の販売価格を収益還元法を適用して求めているところ,ディベロッパーが賃貸マンション用地と商業施設用地に賃貸用建物を建設し,不動産投資家に完成後の土地建物を販売用不動産として一体で販売することは現実の社会経済情勢の下で行われて いる通常の取引であり,この場合の完成後の土地建物価格は収益還元法に基づく収益価格をベースに把握しているものであるから,本件 売用不動産として一体で販売することは現実の社会経済情勢の下で行われて いる通常の取引であり,この場合の完成後の土地建物価格は収益還元法に基づく収益価格をベースに把握しているものであるから,本件価格等調査における上記手法は適切である。原告らは,開発法を適用する際の販売価格として収益価格を用いることはできない旨主張するが,何ら根拠もなく誤っている。 そして,本件価格等調査においては,上記収益還元法を用いるに当たり,賃貸棟が高齢者向け施設やシェアハウス,保育所として用いられるなどの選手村要因が適切に考慮されている。 ⑺ 建築工事費等が適切に設定されていること本件価格等調査においては,ゼネコンや不動産開発業者への一般的な工事費 に係るヒアリング等を勘案し,板状棟の通常の建築工事単価を1㎡当たり31万8000円~34万8000円と査定し,これに選手村要因(①選手村仕様のため共用廊下幅が広く,一般的な分譲マンションと比較して有効率が低下すること,②エレベーター等の供用設備が過剰に設置されている棟があること,③東京都が盛土した土地を掘削することにより地下に大規模駐車場を建築する こと,④建築工事が一定の時期に集中すること)を考慮し,街区ごとの建物計画の個別性を検討の上,各街区の建築工事単価を査定しており,同査定による工事費は合理的である。また,開発協力金についても,選手村要因を踏まえて適切に査定している。 なお,原告らは,上記③に関し,本件では東京都による盛土は行われておら ず,特定建築者が掘削する必要はない旨主張するが,東京都は,特定建築者と 協定を締結し,協定工事によって東京都自らの費用負担により盛土工事を行っている。 ⑻ 本件各E鑑定についてア原告らは,E鑑定1に基づき本件土地の正常価 が,東京都は,特定建築者と 協定を締結し,協定工事によって東京都自らの費用負担により盛土工事を行っている。 ⑻ 本件各E鑑定についてア原告らは,E鑑定1に基づき本件土地の正常価格は総額1611億1800万円であると主張するが,そもそも,E鑑定1における鑑定評価は,本件 土地が選手村用地として利用される点が無視されているなど,本件価格等調査が前提としている依頼目的や条件とは全く異なる依頼目的や条件の下に行われているものであるから,本件に関しておよそ無意味である。また,この点をおいても,E鑑定1には多数の瑕疵があり,原告Eが算出した鑑定評価額の信頼性が低いことは明らかである。 イまた,原告らは,E鑑定2に基づき本件譲渡価格が異常な安価であると主張しているが,同鑑定評価は,①賃料や価格を査定する際に採用する取引事例は,原則として価格時点において市場参加者が把握可能な価格時点以前の資料を用いるべきところ,価格時点より後の事例を何らの時点修正を行うこともないまま採用している,②計画建物と異なる仕様を前提に工事費を査定 している,③比較対象とした分譲事例の選択が恣意的である,④本件施設建築物の販売価格の査定が不適切である,⑤5-7街区の査定賃料が不当に高額であるなどの問題がある上,その算定結果自体も,原告らが主張する正常価格を超えるものであることや,E鑑定2自体が設定する開発業者の各利益率の目安を遵守していないなどの問題がある。したがって,E鑑定2は,そ の算出過程にも算出結果にも重大な瑕疵があり,本件価格等調査の信用性を揺るがすものではない。 4 争点③(A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意又は過失の有無)について(原告らの主張の要旨) ⑴ A知事は,本件再開発事業について, 等調査の信用性を揺るがすものではない。 4 争点③(A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意又は過失の有無)について(原告らの主張の要旨) ⑴ A知事は,本件再開発事業について,地権者の代表であると同時に認可権者 であり,その損害発生の可能性や再開発制度の濫用による脱法目的についても十分に承知しており,広義の財務会計行為及び狭義の財務会計行為1の違法及び損害の発生について故意がある。仮に故意がなくても,地自法の運用に関し,再開発法108条2項の適用を誤った点について重大な過失がある。 ⑵ B知事は,東京都と特定建築者との間の本件譲渡契約締結時において東京都 知事であった者であり,本件譲渡契約における本件土地の価格が周辺時価に比して著しく不当に廉価であることは明白で,その手続の違法性を十分知り得る立場にあった。さらに,自ら本件大会関連予算の見直しについて調査する必要を認識していたのであるから,広義の財務会計行為及び狭義の財務会計行為2の違法性及び損害の発生について故意又は重大な過失がある。 ⑶ C局長は,本件譲渡契約に署名した契約担当者であり,本件譲渡契約の締結の違法及び損害の発生について,担当責任者として全てを承知していたものであり,故意又は重大な過失がある。 ⑷ 本件11社は,平成26年頃から同一系列の2社を加えた13社で本件事業協力者グループを結成し,事業協力者として本件土地に係る譲渡価格の決定過 程に参加してきた。したがって,本件譲渡価格が,周辺事例に比して10分の1以下という以上な廉価であることは十分に承知し,東京都が適正価格との差額について甚大な損害を被ることについて故意又は重大な過失がある。 (被告の主張の要旨)A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意過失は否認する であることは十分に承知し,東京都が適正価格との差額について甚大な損害を被ることについて故意又は重大な過失がある。 (被告の主張の要旨)A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意過失は否認する。争点②におい て主張したとおり,本件再開発事業は適用される法令の規定に基づいて,適法かつ適正に実施されており,本件譲渡契約も適法に締結されているため,A知事,B知事,C局長及び本件11社の故意又は過失は観念し得ない。 5 争点⑤(東京都に生じた損害の有無及び額)について(原告らの主張の要旨) 東京都は,本件における一連の財務会計行為により貴重な資産を適正価格より 異常に低廉な価格で売却し,もって適正価格との差額相当額の損害を被った。そして,争点②-2において主張したとおり,本件土地の適正価格(正常価格)は総額1611億1800万円であるから,東京都が被った損害は,1209億4626万円を下らない。 (被告の主張の要旨) 損害の発生は否認し,主張は争う。 争点②-2において主張したとおり,本件譲渡価格は適正であるから,東京都に損害は発生していない。 また,狭義の財務会計行為1については,地権者たる東京都から施行者たる東京都への本件土地の権利変動を問題とするものであるが,このような同一法人内 の同一財産の権利変動につき,当該法人に損害が発生することなど観念し得ない。 さらに,仮に,本件再開発事業及び本件譲渡契約の締結に係る手続に原告らが主張するような違法があったとした場合,当該違法は東京都という法人の意思決定過程に関する瑕疵であるから,東京都は自らの意思によらずに本件11社と本件譲渡契約を締結したこととなり,同契約は違法無効となるはずであるが,その 場合には,東京都に当該契約に基づく の意思決定過程に関する瑕疵であるから,東京都は自らの意思によらずに本件11社と本件譲渡契約を締結したこととなり,同契約は違法無効となるはずであるが,その 場合には,東京都に当該契約に基づく義務が発生しないため,損害も発生しないこととなる。 以上

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