昭和38(あ)1238 公職選挙法違反

裁判年月日・裁判所
昭和38年10月15日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人後藤信夫、同遠藤光男の上告趣意一の第一の(イ)及び二について。  論旨は、公職選挙法二五二条は特定の選挙犯罪につい

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判決文本文2,598 文字)

主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人後藤信夫、同遠藤光男の上告趣意一の第一の(イ)及び二について。  論旨は、公職選挙法二五二条は特定の選挙犯罪について選挙権、被選挙権の停止 を規定しているが、選挙権、被選挙権の停止は選挙犯罪中でも買収、選挙妨害等い わゆる実質犯に限らるべきであり、また仮に適用除外例を定めるとしたらその規定 は合理的であるべきにかかわらず、同条は形式犯についても停止を規定しているし、 また同条により停止される形式犯と停止されない形式犯には区別の合理的理由がな いから、同条は法の下の平等を保障する憲法一四条に反し無効であると主張する。  しかし公職選挙法二五二条所定の選挙犯罪は、いずれも選挙の公正を害する犯罪 であつて、かかる犯罪の処刑者に現に選挙の公正を害したものとして選挙に関与せ しめるに不適当なものとみとめるべきであるから、これを一定の期間公職の選挙に 関与することから排除するのは相当であつて、右規定が合憲であることは、当裁判 所の判例(昭和二九年(あ)第四三九号同三〇年二月九日大法廷判決、集九巻二号 二一七頁)とするところであり、選挙犯罪中選挙権、被選挙権を停止すべき犯罪を いかに規定するかは、単なる立法政策ないし立法技術の当否、巧拙の問題であつて、 憲法適否の問題ではないこと右判例の趣旨に照らして明らかである。所論はかかる 立法機関の裁量に委ねられた範囲内における立法政策ないし立法技術の当否を論ず るにすぎず理由がない。  同一の第一の(ロ)及び二について。  論旨は、公職選挙法二五二条については、選挙権、被選挙権の停止、不停止及び その停止期間の短縮につき、各地の裁判所で顕著な地域差を生じているが、かよう な不公平な裁判を招来する右規定は憲法一四条に反し無効であると主張する。 - 1 -  しかし 権、被選挙権の停止、不停止及び その停止期間の短縮につき、各地の裁判所で顕著な地域差を生じているが、かよう な不公平な裁判を招来する右規定は憲法一四条に反し無効であると主張する。 - 1 -  しかし、犯情の一部において他の犯人に類似する点があつても、結局犯情の重い 犯人が他の犯人より重く処罰されることは憲法一四条に違反するものでないことは 当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日大法廷判決、集二巻 一一号一二七五頁)とするところである。公職選挙法二五二条四項の適用に関し地 域差があつても、その一事により憲法一四条の違反があるとなしえないことも右判 例の趣旨に照らし明らかであり、論旨は理由がない。  同一の第二及び二について。  論旨は、特定少数者に対する配布にすぎない被告人の本件所為をもつて公職選挙 法一四二条の頒布に該当するとした第一審判決及びこれを看過した原判決は、特定 少数者に対する配布は、その者を通じて不特定または多数人に配布されるべき情況 の下になされた場合にかぎり頒布となるとした判例(最高裁判所昭和三六年三月三 日第二小法廷判決、集一五巻三号四七七頁)に反するとともに、頒布に当らない行 為を頒布として処罰した点で罪刑法定主義を定めた憲法三一条に違反すると主張す る。  しかしながらまず、論旨中判例違反をいう点について判断するに、原判決の認容 した第一審判決が適法に確定した事実は、被告人はAに対しB候補の氏名、写真を 掲載した選挙用ポスターで選挙管理委員会の検印のないものを、検印のあるものと 一括して各傷い軍人の家庭に配布することを指示し、この指示に基き吉岡は右無検 印ポスターを、前後五回にわたりC外四名に対し二枚ないし一五枚合計三〇枚を配 布したというのであり、右事情の下においては配布先のC外四名の者からさらに不 特定または多数人に配布される情 基き吉岡は右無検 印ポスターを、前後五回にわたりC外四名に対し二枚ないし一五枚合計三〇枚を配 布したというのであり、右事情の下においては配布先のC外四名の者からさらに不 特定または多数人に配布される情況の存したことは極めて明らかであるから、原判 決はなんら所論引用の判例に反するものではない。つぎに論旨中違憲をいう点は、 その実質は単なる法令の解釈適用の誤の主張であつて、適法な上告理由とならない。  同一の第三及び二について。 - 2 -  論旨は、数人に対する被告人の頒布行為をもつて刑法四五条前段の併合罪として 処断した第一審判決及びこれを看過した原判決は、かかる事案につき包括一罪に該 当すると判断した判例(東京高等裁判所昭和二六年一〇月二二日判決、集四巻一六 二二頁、福岡高等裁判所宮崎支部昭和二八年五月二二日判決、特報二六号一一〇頁、 東京高等裁判所昭和三五年三月三日判決、集一三巻二号二一一頁)に反すると主張 する。  しかしこの点は、原審において主張せず、従つて原判決の判断もなかつた事項に 関する主張であつて、適法な上告理由とならない。(なお原判決の認容した第一審 判決は、被告人の本件所為につき、公職選挙法二四三条所定の法定刑から罰金刑を 選択し、しかもその最下限に近い罰金五、〇〇〇円を宣告しているから、所論の点 につき法令の適用の誤があるとしても、これを破棄しなければ著しく正義に反する とは認められない。)  同三について。所論は単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らな い。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。  よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。   昭和三八年一〇月一五日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   田   正   俊              より裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。   昭和三八年一〇月一五日      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   田   正   俊             裁判官    河   村   又   介             裁判官    垂   水   克   己             裁判官    石   坂   修   一 - 3 -

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