昭和30(う)2594 強盗傷人被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和31年1月21日 福岡高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      当審未決勾留日数のうち四〇日を本刑に算入する。      当審における訴訟費用は被告人の負担とする。          理    由  本件控訴

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判決文本文2,503 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 当審未決勾留日数のうち四〇日を本刑に算入する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 本件控訴の趣意は、被告人並びに弁護人江頭鉄大郎提出の各控訴趣意書記載のとおりである。 右に対する判断。 (一) 事実誤認、法令適用の誤(被告人の控訴趣意書(イ)(ロ)の点)について。 所論によれば、被告人は、判示手提金庫を窃取し、これを抱えて逃走する途中、一息入れようと電柱にもたれかかつたところ、たまたま同所に一人の男が酒に酔いうずくまつていて、「何をするか」といつてとがめかかり、ここに双方喧嘩をはじめ、たがいに掴み合つているうち、「泥棒、泥棒」と連呼する声が近ずき、被告人は、手拳をもつて喧嘩の相手を殴打し、相手がはなしたはずみに逃走し、判示材木置場に逃げ込みかくれていたところを発見されたものであり、右は、窃盗および傷害の罪として論ぜらるべきものである、というのである。 しかし、原判決の挙示する証拠によれば、原判決摘示の事実を認定するに十分であつて、原判決に所論のような事実誤認の違法があるものとは認められない。殊に、証人A、同B、同Cの原審公判における各証言、右三名の検察官の面前における各供述、司法警察員の作成にかかる実況見分調書に徴すれば、判示D市場内野菜小売商Aが、昭和三〇年七月三日午前三時過頃、例になく小犬がクンクン鳴くのに目をさまし、寝床から上半身を起して見ると、覆面をした一人の男(被告人)が、店舗内に置いてある手提金庫の横に立つているので、「泥棒」と叫ぶと、被告人は、判示金品在中の判示手提金庫を取り上げて左脇に抱え込むや否や素早く外部に逃走し、Aにおいて、ただちにその後を追い素足のまま走り出て「泥棒、泥棒」と叫びながら、同D市場のはず 棒」と叫ぶと、被告人は、判示金品在中の判示手提金庫を取り上げて左脇に抱え込むや否や素早く外部に逃走し、Aにおいて、ただちにその後を追い素足のまま走り出て「泥棒、泥棒」と叫びながら、同D市場のはずれ附近まで追跡した際には、被告人はすでに同所四つ角を右折し、ab丁目道路を上手の方へ逃走していて、Aは、遂に被告人の姿を見失つたこと、ところが、右道路上には、前記四つ角から上手の方へ約八、三〇米(A方店舗から約八〇米)の地点にたまたま判示C、Bの両名が居合わせ、(共に飲酒帰宅の途中Bは酒酔のため一時路上にうずくまり、Cはその背中を撫でて介抱していた。)Cは、「泥棒、泥棒」と連呼する女の声を聞き、手提金庫を左脇に抱えてカチャカチャ音をさせながら同道路を上手の方へ走つて行く被告人の姿を目撃したので、窃盗犯人であることを察知し協力して逮捕すべく被告人の後方約一〇米をへだてて追跡し、c通りテニスコートの角を左折し、d通りの十字路の手前約五米の地点で追いつき、手を伸ばして被告人の右肩を後方より捕えたが、被告人は手提金庫を同所路上に投げすて、Cをふりはなして更に逃走して判示材木置場に逃げ込み、同所において逮捕を免かれるため、手拳をもつてCの顔面を殴打し、因つて判示のような傷害を加えたものであることが明白である。したがつて、暴行の経緯、場所等に関し、原判決に事実誤認の違法ありとする論旨は採用することができない。 <要旨>そして、以上のやうに、窃盗犯人が、金品窃取の現場を発見追呼されて逃走し、その追呼の声に応じて引き</要旨>続き追跡する者に対し、逮捕を免かれるために暴行を加えた場合は、刑法第二三八条所定の準強盗の罪を構成するものと解すべきであり、右と同一の見解を採り、被告人の判示所為を刑法第二四〇条前段の罪に問擬した原判決は相当であつて、原判決に所論のよ めに暴行を加えた場合は、刑法第二三八条所定の準強盗の罪を構成するものと解すべきであり、右と同一の見解を採り、被告人の判示所為を刑法第二四〇条前段の罪に問擬した原判決は相当であつて、原判決に所論のような法令適用の誤はない。この点の論旨も理由かない。 (二) 訴訟手続の法令違背(被告人の控訴趣意書(ハ)の点)について。 所論によれば、被告人は日本語に通ぜず、警察署において朝鮮語の通訳を求めたが容れられず、調書の内容を理解することがてきないまま署名指印を強いられ、検察庁においても、もし通訳の立会が許されていたのであれば、原判決のような事実誤認の結果は避けえられた筈である、というのであるが被告人の身上調書中、「学校には行つていませんが日本語は判ります。」との旨の記載、司法警察員並びに検察官の面前における被告人の供述内容原審公判における被告人の供述等に徴すれば、被告人は、司法警察員並びに検察官の面前において弁明し、犯行直前の足取り、飲酒の事実その他につき詳細に述べているのであつて、訴訟上被告人としての弁護権を行使する上に支障を来すほどに、日本語の理解力を欠くものとは認め難い。司法警察員並びに検察官の面前における被告人の供述が任意になされたものでないことを疑うべき事由を記録に発見することはできず、右の供述が通訳によらなかつたことをもつて、手続法令の違背にあたるものと認められない。この点に関する論旨も採用し難い。 (三) 量刑不当の点(弁護人の控訴趣意)について。 記録並びに証拠に現われている諸般の犯情に照らし、原判決の刑の量定は相当であると認められ、特にこれを不相当とすべき事由なく、所論の諸点を参酌考量しても、なお原判決の刑の量定が相当でないものとは断じ難い。論旨は採用の限りでない。 その他原判決を破棄すべき事由がないのて、刑訴第三九六条に 特にこれを不相当とすべき事由なく、所論の諸点を参酌考量しても、なお原判決の刑の量定が相当でないものとは断じ難い。論旨は採用の限りでない。 その他原判決を破棄すべき事由がないのて、刑訴第三九六条により本件控訴を棄却し、未決勾留日数の本刑算入につき刑法第二一条、訴訟費用の負担につき刑訴第一八一条第一項を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官筒井義彦裁判官柳原幸雄裁判官岡林次郎)

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