平成30年10月12日判決言渡平成28年(行ウ)第369号行政処分義務付等請求事件 主文 1 足立区足立福祉事務所長が,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成28年法律第65号による改正前のもの)に基づいて原 告に対してした別紙1処分目録記載の各介護給付費支給決定及び利用者負担額減額・免除等決定のうち,それぞれ重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分を取り消す。 2 足立区足立福祉事務所長は,前項の法律に基づいて原告がした別紙2申請目録記載の各申請に対し,それぞれ重度訪問介護の支給量を1か月568時間2 0分を下回らない時間とする介護給付費支給決定をせよ。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを9分し,その5を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文第1項と同旨 2 足立区足立福祉事務所長は,主文第1項の法律に基づいて原告がした別紙2申請目録記載の各申請に対し,それぞれ重度訪問介護の支給量を1か月620時間とする介護給付費支給決定をせよ。 第2 事案の概要 1 本件は,障害者である原告が,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成28年法律第65号による改正前のもの。以下「障害者総合支援法」という。)に基づいて,足立区足立福祉事務所長に対し,介護給付費の支給等に係る別紙2申請目録記載の各申請をしたところ,同福 祉事務所長から,重度訪問介護の支給量をいずれも1か月527時間とする 介護給付費の支給等に係る別紙1処分目録記載の各決定(以下「本件各決定」という。)を受けたことから,原告の事情を適切に考慮すれば1か月6 度訪問介護の支給量をいずれも1か月527時間とする 介護給付費の支給等に係る別紙1処分目録記載の各決定(以下「本件各決定」という。)を受けたことから,原告の事情を適切に考慮すれば1か月620時間の支給量が必要であるとして,①本件各決定のうち,それぞれ重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分の取消しを求めるとともに,②上記各申請に対し,それぞれ重度訪問介護の支給量 を1か月620時間とする介護給付費支給決定をすることの義務付けを求める事案である。 2 関係法令の定め(1) 障害者総合支援法は,障害者基本法の基本的な理念にのっとり,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律, 児童福祉法その他障害者及び障害児(以下「障害者等」という。)の福祉に関する法律と相まって,障害者等が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付,地域生活支援事業その他の支援を総合的に行い,もって障害者等の福祉の増進を図るとともに,障害の有無にかかわらず国民 が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする法律である(1条)。 ⑵ 介護給付費ア 「介護給付費」とは,障害者総合支援法に定める自立支援給付の一つで,居宅介護,重度訪問介護等の障害福祉サービスを利用した障害者又は障害 児の保護者に対し,支給されるものである(6条,28条1項,29条)。 イ 「重度訪問介護」とは,重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき,居宅における入浴,排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時 訪問介護」とは,重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき,居宅における入浴,排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与することをいう(5条3項)。 ウ 「厚生労働省令で定める便宜」とは,入浴,排せつ及び食事等の介護, 調理,洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助をいう(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(以下「総合支援規則」という。)1条の3)。 ⑶ 支給決定 ア介護給付費の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,その居住地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)に申請をし,支給決定を受けなければならない(2条1項柱書き,19条1項,2項,20条1項)。 イ市町村は,申請があったときは,市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害支援区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害支援区 分の認定を行う(21条1項)。 障害支援区分は,必要とされる支援の度合により,区分1から区分6までの各区分に分かれており,区分6が必要とされる支援の度合が最も高い区分となる(4条4項,障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令1条)。 ウ市町村は,当該申請に係る障害者又は障害児の保護者に対し,指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案の提出を求める(22条4項,総合支援規則12条の2)。 身近な地域に指定特定相談支援事業者がいない場合や当該申請に係る障害者又は障害児の保護者が希望する場合には,指定特定相談支援事業者以 外の者が作成するサービス等利用計画案を提出することがで 身近な地域に指定特定相談支援事業者がいない場合や当該申請に係る障害者又は障害児の保護者が希望する場合には,指定特定相談支援事業者以 外の者が作成するサービス等利用計画案を提出することができる(22条5項,総合支援規則12条の4,12条の5)。 市町村は,これらのサービス等利用計画案の提出があった場合には,後記エの事項に加え,当該サービス等利用計画案を勘案して支給要否決定を行う(22条6項)。 エ市町村は,以下の事項を勘案して,支給要否決定を行う(22条1項, 総合支援規則12条1~9号)。 (ア) 当該申請に係る障害者等の障害支援区分又は障害の種類及び程度その他の心身の状況(1号)(イ) 当該申請に係る障害者等の介護を行う者の状況(2号)(ウ) 当該申請に係る障害者等に関する介護給付費等の受給の状況(3 号)(エ) 当該申請に係る障害児が現に児童福祉法に規定する障害児通所支援又は指定入所支援を利用している場合には,その利用の状況(4号)(オ) 当該申請に係る障害者が現に介護保険法の規定による保険給付に係る居宅サービスを利用している場合には,その利用の状況(5号) (カ) 当該申請に係る障害者等に関するその他の保健医療サービス又は福祉サービス等の利用の状況(6号)(キ) 当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向の具体的内容(7号)(ク) 当該申請に係る障害者等の置かれている環境(8号) (ケ) 当該申請に係る障害福祉サービスの提供体制の整備の状況(9号)オ市町村は,支給決定を行う場合には,障害福祉サービスの種類ごとに1か月間に介護給付費を支給する障害福祉サービスの量(支給量)を定めなければならない(22条7項,総合支援規則1 備の状況(9号)オ市町村は,支給決定を行う場合には,障害福祉サービスの種類ごとに1か月間に介護給付費を支給する障害福祉サービスの量(支給量)を定めなければならない(22条7項,総合支援規則13条)。 カ市町村は,申請又は職権により,上記エの事項を勘案し,必要があると 認めるときは,支給決定の変更の決定を行うことができる(24条2項)。 3 前提事実(証拠等を付した以外の事実は争いがない。)⑴ア原告は,平成8年▲月▲日生まれの男性であり,平成24年▲月▲日深夜の交通事故において脳挫傷を負った結果,右上肢機能障害,体幹機能障害,視野障害,高次脳機能障害を有しており,身体障害者等級1級 の認定を受けている(なお,原告の左上肢の状態には争いがあるが,本 件で問題となる移動,着替え,食事及び歯磨きに全介助を必要とすることに争いはない。)。 イ原告は,足立区内のアパートに単身で居住している。原告の母であるBは,自らも身体障害者等級1級の障害により重度訪問介護サービスを利用しており,同一アパート内の別の部屋(省略)で生活している。 原告は,本件各決定により支給決定されている時間数以外の時間帯を含め,原告の祖父が代表者を務めるCのヘルパーを依頼し,重度訪問介護サービスを受けている。 (以上につき,甲3,甲20の2,弁論の全趣旨)⑵ 別紙1処分目録記載1の決定に至る経緯等 ア原告は,平成27年6月10日,介護給付費の支給等に係る申請をし,足立区足立福祉事務所長は,同年7月29日,支給決定の有効期間を同年8月1日から平成28年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月341時間とする介護給付費の支給等に係る決定をした。 原告が東京都知事に対し審査請求をしたところ,足立区足立福祉事務 同年8月1日から平成28年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月341時間とする介護給付費の支給等に係る決定をした。 原告が東京都知事に対し審査請求をしたところ,足立区足立福祉事務所 長は,審理の過程で,上記の決定は,障害支援区分の認定をせずにした処分であったとして,平成27年12月25日,同決定を取り消した。 そのため,審査請求は却下された(甲5)。 イ原告は,平成27年12月24日,改めて介護給付費の支給等に係る別紙2申請目録記載1の申請をした。 被告の担当者は,平成28年1月5日,障害支援区分認定調査及びサービス内容のモニタリングを行うため,原告及び原告の母の自宅を訪問して調査を行い,足立区認定調査票(甲3)を作成した。被告の担当者は,同年3月8日,ケース基準会議を実施し,原告の母から提出された個別支援計画書(乙3)及び原告の生活スケジュール(乙4)を踏まえ,重度訪問 介護の支給量を1か月495時間とする支給決定案を作成し,同月15日 開催の足立区障害者自立支援給付審査会(以下「区審査会」という。)に諮った。区審査会において,原告の障害支援区分は区分6と判定されたものの,足立区認定調査票(甲3)の調査結果と支給決定案のサービス内容に矛盾や不明な点があるなどとして,支給決定案が妥当とは認められない旨の意見が付された(乙5)。 被告の担当者は,平成28年3月18日,ケース基準会議を実施し,区審査会の意見を踏まえ,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とする支給決定案を作成した(甲8)。また,同月29日にも,ケース基準会議を実施し,「診断書および意見書」(甲1)を作成した医師に対する照会の回答(甲2の1・2)を踏まえ,上記決定案による支給決定を行う ことと 成した(甲8)。また,同月29日にも,ケース基準会議を実施し,「診断書および意見書」(甲1)を作成した医師に対する照会の回答(甲2の1・2)を踏まえ,上記決定案による支給決定を行う こととした(甲16,乙6の1・2)。 足立区長は,平成28年3月31日,認定日を同月15日とし,認定の有効期間を同年4月1日から平成30年7月31日までとして,原告の障害支援区分を区分6と認定した(甲6の2)。 ウ足立区足立福祉事務所長は,平成28年3月31日,支給決定の有効期 間を平成27年8月1日から平成28年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とする介護給付費の支給等に係る決定をした(甲16)。しかし,平成28年4月13日に原告の母を通じて原告に交付した決定通知書(甲6の1・3)では,誤って,重度訪問介護の支給量を1か月341時間と記載していたため,足立区足立福祉事務所長 は,同年5月,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間と正しく記載した決定通知書(甲7の1・3)を再送付した(甲16)。 エ原告は,上記ウの決定を不服として,平成28年6月27日,東京都知事に対し審査請求をし(甲16),その裁決を待たずに,同年8月10日,同決定の一部取消し及び支給決定の義務付けを求める本件訴えを提起した (裁判所に顕著な事実)。 オ東京都知事は,平成28年12月26日付け審理員意見書(甲14)を踏まえ,平成29年3月31日,上記ウの決定は,区審査会の意見の考慮や原告の身体の状態等が適切に勘案されておらず,支給量の積算についても疑義があり,全体として瑕疵ある行政処分であるとして,同決定を取り消す裁決をした(甲16)。 被告の担当者は,上記裁決の前提となった審理員意見書を受け,平成 おらず,支給量の積算についても疑義があり,全体として瑕疵ある行政処分であるとして,同決定を取り消す裁決をした(甲16)。 被告の担当者は,上記裁決の前提となった審理員意見書を受け,平成29年3月21日,原告のモニタリング調査を実施し,同年4月25日,ケース基準会議を開催し,重度訪問介護の支給量を1か月527時間とする支給決定案(乙7)を決定した(甲20の2)。 カ足立区足立福祉事務所長は,平成29年7月7日,支給決定の有効期間 を平成27年8月1日から平成28年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月527時間とする別紙1処分目録記載1の決定をした(甲17の1)。 キ原告は,平成29年7月17日,訴えの交換的変更の方法により,上記ウの決定の一部取消しを求める訴えを取り下げ,別紙1処分目録記載1の 決定の一部取消しを求める訴えを提起した(裁判所に顕著な事実)(なお,当該取消しの訴えは,原則として審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起できないが(障害者総合支援法105条),本件では,裁決を経ないことにつき正当な理由がある(行政事件訴訟法8条2項3号)と認められる。)。 ⑶ 別紙1処分目録記載2の決定に至る経緯等ア原告は,平成28年5月9日,介護給付費の支給等に係る別紙2申請目録記載2の申請をした。 被告の担当者は,平成28年7月29日,モニタリング調査を実施し(甲9の5),同月8月30日,ケース基準会議を開催し,重度訪問介護 の支給量を1か月346.5時間とする支給決定案を作成した(甲9の2 ~4)。 イ足立区足立福祉事務所長は,平成28年8月31日,支給決定の有効期間を同月1日から平成29年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とす した(甲9の2 ~4)。 イ足立区足立福祉事務所長は,平成28年8月31日,支給決定の有効期間を同月1日から平成29年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とする介護給付費の支給等に係る決定をした(甲10の1)。 ウ原告は,上記イの決定を不服として,平成28年11月23日,東京都知事に対し審査請求をし(甲22),その裁決を待たずに,同年12月12日,訴えの追加的変更の方法により,同決定の一部取消し及び支給決定の義務付けを求める訴えを提起した(裁判所に顕著な事実)。 エ足立区足立福祉事務所長は,平成29年7月7日,上記イの決定につき, 重度訪問介護の支給量を1か月527時間に変更する決定(この決定による変更後の上記イの決定が別紙1処分目録記載2の決定である。)をした(甲18の1)。 上記ウの審査請求は,平成29年9月29日に却下された(甲22)。 オ原告は,平成29年9月7日,上記ウの訴えにおいて一部取消しを求め る決定を別紙2処分目録記載2の決定に訂正した(裁判所に顕著な事実)。 ⑷ 別紙1処分目録記載3の決定に至る経緯等ア原告は,平成29年5月26日,介護給付費の支給等に係る別紙2申請目録記載3の申請をした。 被告の担当者は,平成29年7月25日,ケース基準会議を開催し,重 度訪問介護の支給量を1か月527時間とする支給決定案を作成した(甲21の9,甲21の11)。 イ足立区足立福祉事務所長は,平成29年7月31日,支給決定の有効期間を同年8月1日から平成30年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月527時間とする別紙1処分目録記載3の決定をした(甲1 9の1)。 ウ原告は,平成29年8月13日,訴えの追加的変更の方法 成30年7月31日までとし,重度訪問介護の支給量を1か月527時間とする別紙1処分目録記載3の決定をした(甲1 9の1)。 ウ原告は,平成29年8月13日,訴えの追加的変更の方法により,別紙1処分目録記載3の決定の一部取消し及び支給決定の義務付けを求める訴えを提起した(裁判所に顕著な事実)(当該取消しの訴えについても,審査請求に対する裁決を経ないことにつき正当な理由があると認められる。)。 4 争点本件の争点は,本件各決定が重度訪問介護の支給量を1か月527時間としたことにつき,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が認められるかである。 5 争点に関する当事者の主張(原告の主張) ⑴ 本件各決定は,原告に係る重度訪問介護の支給量を1か月527時間(1日当たり17時間)としているが,1か月620時間(1日当たり20時間)の支給量を算定すべきである。具体的には,①本件各決定の前提となった支給決定案別紙(乙7。以下「被告スケジュール案」という。)で合計180分,うち外出それ自体に120分とされている外出時間につ き,外出それ自体を180分とした上で,帰宅後介助として20分を加算した合計260分(被告スケジュール案+80分)が認められるべきであり,②入浴の際の着替えとして10分×1名×2回しか認められていないが,少なくとも更に20分の加算(被告スケジュール案+20分)が認められるべきであり,③「ボランティア対応」とされ算定時間が認められていな い昼食時間帯につき,昼食70分及びその後の歯磨き10分(被告スケジュール案+80分)が認められるべきである。 ⑵ 外出時間についてア外出それ自体の時間について原告は,外出それ自体のみで,120分を優に超える時間を必要とし, ど 分(被告スケジュール案+80分)が認められるべきである。 ⑵ 外出時間についてア外出それ自体の時間について原告は,外出それ自体のみで,120分を優に超える時間を必要とし, どんなに短くとも,外出それ自体の時間が180分認められなければ,原 告が外出し,第三者と触れ合い,社会参加活動に従事することができなくなってしまう。 イ帰宅後介助の時間について原告は,外出に当たって部屋着などから外出用の服に着替える必要があるし,外出から戻った際には,同様に外出用の服から部屋着などに着替え る必要があり,被告スケジュール案でも認められている外出準備20分に対応するものとして,帰宅後介助20分が認められるべきである。 ⑶ 着替え時間について原告は,自分が思ったような服を,介助者に適切に伝えることができない結果,着替えを準備するのに大変な時間を要する。 また,原告が思った服を介助者に適切に伝えることができたとしても,実際に着てみると,原告が本当に着ようと思っていた服ではなかったことに気付いて,再度服を取り直してもらうということもよくある。 さらに,被告スケジュール案では1人の介助しか認められていないが,原告の着替えに当たっては,介助者の1名が腰を支えて浮かせたまま保持 し,他の1名がズボンを差し込み,足を通したり足を抜いたりする必要があり,また,服を着せたり脱がせたりするのに併せて褥瘡や皮膚疾患の有無も確認しなければならず,1人で着替え介助を行うことは到底不可能である。 したがって,入浴の際の着替えの時間は,少なくとも被告スケジュール 案に加えて更に20分が認められるべきである。 ⑷ 昼食時間についてア食事時間について原告は,事故の治療の際に器官を切開し ,入浴の際の着替えの時間は,少なくとも被告スケジュール 案に加えて更に20分が認められるべきである。 ⑷ 昼食時間についてア食事時間について原告は,事故の治療の際に器官を切開した後遺症で,固体を口に含み,飲み込む際にむせ込みが生じる。 また,原告は,右の視野を欠損しているため,距離感がつかめず,独力 でうまく食べ物をはしでつかんだり,スプーンですくったりすることができない。 さらに,脳挫傷の影響で,自身で食べ物が熱いのか冷たいのかを判断することができず,原告が1人で食事を取ると,熱いものを口に含んでやけどしてしまうおそれがある。 このため,原告が1人で食事を取ることは極めて難しく,介助者が刻み食を作り,スプーンなどを用いて原告に食べさせている。 被告スケジュール案は,昼食の時間帯について,ボランティア対応を行う時間中になされるものとして,時間数を算定していない。 しかし, 食事介助は,原告が生命を維持するために必要不可欠な行動 であるし,食事の時間を充実させることは,生活の質を担保するために極めて重要なことである。 また,食事の介助は,極めてプライベートな要素の強いものであるから,原告ときちんとコミュニケーションが取れる介助者しか行うことができない。具体的には,原告は,高次脳機能障害の影響から,原告が思ったこと と,原告が口にする言葉がずれることがあり,自らが思ったことをそのまま口に出すことができないときは独特の感情表現やジェスチャーをするが,その独特の感情表現は,長年原告と接している介助者しか読み取ることができない。このように,原告の食事介助は極めてデリケートな作業なので,ボランティアの時間帯でこのような人員を確保することは極めて困難を伴 表現は,長年原告と接している介助者しか読み取ることができない。このように,原告の食事介助は極めてデリケートな作業なので,ボランティアの時間帯でこのような人員を確保することは極めて困難を伴 う。 生命維持の観点からも,原告の特性からも,食事介助を行う時間帯については公費における支給が必要不可欠であり,少なくとも朝食・夕食と同じ70分が認められるべきである。 イ歯磨き時間について 原告は,口腔清掃を自力でできるような状態ではなく,介助者による介 助が必須である。 原告の歯を磨く作業は10分では到底終わらないので,原告として歯磨きに割り振られた時間が10分であることに満足・納得しているわけではないが,少なくとも朝食・夕食後の歯磨きと同じ10分が認められるべきである。 ⑸ 以上のとおり,原告の事情を適切に考慮すれば,原告の重度訪問介護の支給量は,少なくとも1日20時間(1200分),1か月620時間が認められるべきであるから,本件各決定のうち,重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分は,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があるものとして違法であり,取り消されるべきである。 ⑹ 本件各決定が取り消されるべきことは上記のとおりであり,足立区足立福祉事務所長は,重度訪問介護の支給量を1か月620時間とする支給決定をするべきであって,そのような支給決定をしないことは裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用となるものであるから,本件各決定に係る申請につき,重度訪問介護の支給量を1か月620時間とする支給決定の義務付け を求める。 (被告の主張)⑴ 障害者総合支援法は,どのような種類の障害福祉サービスをどれほどの支給量をもって支給するかという判断については,勘案事項 20時間とする支給決定の義務付け を求める。 (被告の主張)⑴ 障害者総合支援法は,どのような種類の障害福祉サービスをどれほどの支給量をもって支給するかという判断については,勘案事項に係る調査結果を踏まえた市町村の合理的裁量に委ねており,市町村が行う支給要否決 定並びに支給をする場合における障害福祉サービスの種類及び支給量の決定は,その判断の基礎となる事実に看過し難い誤りがあり,その判断内容が社会通念に照らして明らかに合理性を欠くこと等により処分行政庁に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用にわたるものと認められるような場合に限って違法になるというべきである。 本件各決定においては,重度訪問介護の支給量を1か月527時間と算 定するに当たり,勘案事項を踏まえ,被告スケジュール案(乙7)に従って,各支援項目ごとに1日当たりの支給量を検討し,積算した。 ⑵ 外出時間について外出時間については,外出準備20分,車椅子移乗5分×2名×2回,外出120分,トイレ介助10分×1名×2回の合計180分を算定した。 ア外出それ自体の時間について外出120分との算定については,被告の支給量算定基準において,1か月の移動加算として認められる最大の支給量は62時間であることから,これを31日で割った120分で算定している。 一般的な近隣外出については2時間の範囲内で収まり,遠方外出があっ たとしても,通常,1か月の中で外出しない日や外出時間が2時間に満たない日もあるため,1か月62時間の範囲で利用時間数を調整することが可能である。 イ帰宅後介助の時間について帰宅後介助については,車椅子移乗5分×2名=10分を算定している。 外出後の着替えについては,平成29 間の範囲で利用時間数を調整することが可能である。 イ帰宅後介助の時間について帰宅後介助については,車椅子移乗5分×2名=10分を算定している。 外出後の着替えについては,平成29年3月21日のモニタリング調査時,帰宅後に原告が着替えをしている場面や着替えにこだわる様子を見ていないため,不要と判断した。 ⑶ 着替え時間について入浴の際の着替えについては,10分×1名×2回で算定した。 麻痺がある障害者の更衣介助については,介助者1名で行うことが可能であり,所要時間も1回10分程度である。 ⑷ 昼食時間について原告が提出した生活スケジュール(乙4)によれば,午前10時から午後2時までの4時間は自助努力時間とされており,本件各決定においては, そのような原告の意向を踏まえて,同時間帯における重度訪問介護の必要 はないものと判断した。 ア食事時間について原告の食事介助については,平成29年3月21日のモニタリング調査時には朝食の食事介助は行われておらず,昼食の食事介助も,1㎝以下に食べ物を刻むようないわゆる刻み食ではなく,外出中にフードコートで提 供されたハンバーグを一口大に分ける程度であり,右視野欠損があるにもかかわらず右側から介助していたが,それにより特段の支障もみられなかったことから,さほど困難な介助であるとはいえない。 加えて,原告の生活は昼夜逆転しており,実際は,午前10時から午後2時の時間帯,原告は就寝しているものと思われ,この時間帯に重度訪問 介護を認めなくても,特段の支障はないものと思われる。 イ歯磨き時間について平成29年3月21日のモニタリング調査においては,午後2時頃から翌日午前11時頃までの約21時間,外出先のみならず,自 認めなくても,特段の支障はないものと思われる。 イ歯磨き時間について平成29年3月21日のモニタリング調査においては,午後2時頃から翌日午前11時頃までの約21時間,外出先のみならず,自宅においても一切歯磨き支援は行われなかった。 しかし,歯磨き支援は口腔衛生のため本来的には行われるべきものであるため,朝食後と夕食後に10分ずつ認めている。 ⑸ 本件各決定は,障害者総合支援法22条1項,総合支援規則12条各号に定める勘案事項を踏まえ,障害者総合支援法の定める過程を経てなされたものであり,同法の趣旨に合致するものであって,社会通念に照らして 明らかに合理性を欠くこと等により処分行政庁に与えられた裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用するものでないことは明らかである。 ⑹ 重度訪問介護の支給量を1か月620時間とする支給決定の義務付けを求める訴えは,本件各決定が取り消されるべきものであるとの訴訟要件(行政事件訴訟法37条の3第1項2号)を欠くものであって不適法であ る。 第3 当裁判所の判断 1 本件各決定が重度訪問介護の支給量を1か月527時間としたのは,被告スケジュール案(乙7)において必要とされたサービス内容に対応する算定時間(2名によるサービスが必要な時間については2名分を積算)を1日当たり17時間(1020分。1か月当たり17時間×31日=527時間)と算定し たことに基づくものである。 被告スケジュール案は,原告が毎日このスケジュールのとおりの生活を送ることを前提としたものではなく,日々の生活に応じて必要なサービスや時間に相違が生じれば1か月を通して調整されるべきものであると解されるが,このスケジュール案におけるサービス内容及び算定時間の積算が事実の基礎を欠き, なく,日々の生活に応じて必要なサービスや時間に相違が生じれば1か月を通して調整されるべきものであると解されるが,このスケジュール案におけるサービス内容及び算定時間の積算が事実の基礎を欠き, 又は社会通念上不合理なものであれば,これに基づいて重度訪問介護の支給量を1か月527時間とした本件各決定も,事実の基礎を欠き,又は社会通念上不合理なものであって,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものというべきである。 そこで,以下,原告の主張に沿って,被告スケジュール案におけるサービス 内容及び算定時間の積算に,事実の基礎を欠き,又は社会通念上不合理な点があるか検討する。 2 外出時間について⑴ア被告スケジュール案は,外出関連の時間として,外出準備20分,外出時の車椅子移乗10分(5分×2名),外出120分,トイレ介助20 分(10分×1名×2回),帰宅後の車椅子移乗10分(5分×2名)の合計180分を積算している。 イ原告は,外出それ自体の時間について最低でも180分(被告スケジュール案+60分),帰宅後介助について車椅子移乗と独立して20分(被告スケジュール案+20分)が必要であり,外出時間として合計 260分が必要であると主張する。 ⑵ 外出それ自体の時間についてア平成29年3月21日のモニタリング調査の際,原告は,午後3時半頃起床し,午後7時前から外出し,最寄りのD駅から電車で移動し,E駅の商業施設のフードコートで食事をし,その後,午前0時頃まで映画館で映画を鑑賞し,2軒のコンビニエンスストアに立ち寄り雑誌を見る などし,午前1時頃から午前5時前までファミリーレストランで過ごして始発電車を待ち,午前6時頃に帰宅した(乙11)。 すなわち,モニタリング調査の際の外 エンスストアに立ち寄り雑誌を見る などし,午前1時頃から午前5時前までファミリーレストランで過ごして始発電車を待ち,午前6時頃に帰宅した(乙11)。 すなわち,モニタリング調査の際の外出時間は約11時間に及ぶが,これは,被告の主張によれば,外出する時刻が遅くなったことから始発電車を待つ必要があったためであり,原告の主張によれば,原告が,午 後2時から長時間にわたって継続されたモニタリング調査に嫌気がさし,被告の担当者がついてくるのであれば家に帰らないと言い帰宅を拒否したため,原告の母及びヘルパーがファミリーレストランにおいて帰宅を説得していたためであり,いずれにせよ,このモニタリング調査の際の外出時間をそのまま必要な外出時間とみることはできない(原告もその ような主張はしていない。原告の主張する必要な外出時間は,前記のとおり180分である。)。 イまた,このモニタリング調査の際,原告宅からE駅まで移動するだけで40分を超える時間を要したが,これは,当日は雨が降っていた上,原告と原告のヘルパーがD駅でホームを間違えたりしたためであり(乙 11),原告宅からE駅への移動に毎回40分を超える時間を要するわけではない。また,最寄り駅であるD駅周辺にも複合商業施設やレストランがあるのであるから(弁論の全趣旨),普段の外出であれば,必ずしも電車を利用する必要はないと考えられる。 ウ平成28年1月5日の調査に係る足立区認定調査票によれば,原告の 外出の頻度は1か月に25回程度で,「外出は専ら近所のFにヘルパー と共に行くことが多い。天候や本人の体調にもよるが,祖父のとび職の現場で草取りをしたりすることもある。」とある(甲3・3頁)。 平成28年7月29日のモニタリング調査の結果によれば と共に行くことが多い。天候や本人の体調にもよるが,祖父のとび職の現場で草取りをしたりすることもある。」とある(甲3・3頁)。 平成28年7月29日のモニタリング調査の結果によれば,原告は,横浜などの遠隔地に公共交通機関を利用しボランティアの会合に参加したりしていた(甲9の5)。 平成28年8月30日のケース基準会議の際の資料となった足立区認定調査票によれば,原告の外出の頻度は1か月に25回程度で,「外出は専ら近所のFにヘルパーと共に行くことが多い。」とある(甲9の6)。 平成29年4月25日のケース基準会議の際の資料となった足立区認 定調査票によれば,原告の外出の頻度は1か月に25回程度で,「外出は専ら近所のFやEにあるGにヘルパーと共に行くことが多い。」とある(甲20の2・9頁)。同年7月25日のケース基準会議の際の資料となった足立区認定調査票も同様である(甲21の7)。 エ原告は,H病院に3か月に1回程度,同病院顎歯科又はI病院に2か 月に1回程度通院しているほか,J病院にも定期的に通院している(甲21の13・9頁)。 オ裁決による取消前の,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とする支給決定が前提としていたスケジュール案(甲9の3,甲9の4)では,月・火・木・金・土・日曜日に外出準備・トイレ介助・買い 物介助として2時間(120分),水曜日に外出準備・トイレ介助・外出・通院等介助として7時間15分(435分)の外出関係時間を認めていたところ,これを1日平均に直すと165分(2時間45分)となる。被告スケジュール案(乙7)は,外出準備等を含めると,この時よりも長い外出時間(合計180分)を認めている。 カ外出それ自体の時間が1日120分というの 165分(2時間45分)となる。被告スケジュール案(乙7)は,外出準備等を含めると,この時よりも長い外出時間(合計180分)を認めている。 カ外出それ自体の時間が1日120分というのは平均であるから,例え ば,①1日置きに60分と180分の外出介助を利用するとか,②週6日は60分,週1日は480分の外出介助を利用するとかといったことも可能である。 キ被告の支給量算定基準においては,1か月の移動加算として認められる最大の支給量が62時間(1日当たり2時間)であるところ(弁論の 全趣旨),被告スケジュール案はその最大の支給量を認めるものであるから,他の申請者との比較において原告が殊更に不利な状況にあるとはいえない。 クこれらの事情を踏まえると,原告の障害支援区分が区分6(必要とされる支援の度合が最も高い区分)であり,外出時は常時介護が必要であ るという原告の心身の状況その他の状況を勘案しても,外出それ自体の時間を120分とした被告スケジュール案の算定時間が事実の基礎を欠くとか社会通念上不合理であるとかいうことはできない。 ⑶ 帰宅後介助の時間についてア原告は,外出に当たって部屋着などから外出用の服に着替える必要があ り,外出から戻った際には同様に外出用の服から部屋着などに着替える必要があるから,外出準備20分に対応するものとして,帰宅後介助20分(被告スケジュール案+20分)が認められるべきであると主張する。 イ被告スケジュール案(乙7)においては,外出後夕食を取り,その後入浴する想定であるから,夕食を外出着で過ごせば,車椅子移乗以外の帰宅 後介助の必要はない。 ウ一般に,外出着から部屋着への着替えは必ずしも必要でない(上着を脱がす程度であれば,車椅子のままでも可能であ あるから,夕食を外出着で過ごせば,車椅子移乗以外の帰宅 後介助の必要はない。 ウ一般に,外出着から部屋着への着替えは必ずしも必要でない(上着を脱がす程度であれば,車椅子のままでも可能であり,特に時間数を算定するほどでもない。)のであり,原告がその障害特性上,特に外出着から部屋着への着替えを必要とするのであれば,そのことをモニタリング調査で確 認する必要があると考えることには合理性が認められる。 平成29年3月21日のモニタリング調査の際には,原告は,帰宅後すぐに就寝しており,モニタリング調査終了後に目を覚まして着替えをした(原告の主張)としても,外出着から部屋着,部屋着から寝間着という2段階の着替えを必要とすることはなかった(乙11)。 モニタリング調査では車椅子移乗以外の帰宅後介助の必要性を確認でき なかったのであるから,被告スケジュール案においてその必要性を認めなかったとしても不合理とはいえない。 エ原告のスケジュール案(乙4)においても,外出前には外出準備30分,着替え30分,車椅子移乗30分×2名分を算定しているが,外出後は夕食準備に移行し,独立に帰宅後の着替えの時間を算定していない。 オ以上によれば,原告の心身の状況その他の事情を勘案しても,帰宅後介助に車椅子移乗以外の算定時間を認めていない被告スケジュール案が事実の基礎を欠くとか社会通念上不合理であるとかいうことはできない。 3 着替え時間について⑴ア被告スケジュール案は,入浴前後の着替え時間として,それぞれ10 分×1名を算定している(乙7)。 イ原告は,入浴の際の着替えの時間は少なくとも被告スケジュール案に加えて更に20分が認められるべきであると主張する。 ⑵ 一般に,全介助を要する障害者の着替え介 ×1名を算定している(乙7)。 イ原告は,入浴の際の着替えの時間は少なくとも被告スケジュール案に加えて更に20分が認められるべきであると主張する。 ⑵ 一般に,全介助を要する障害者の着替え介助であっても1人で可能であり(乙8~乙10の3),時間も10分程度で可能とされているところ (乙11,証人K),原告がその障害特性上,特に2名によるより長時間の着替え介助を必要とするのであれば,そのことをモニタリング調査で確認する必要があると考えることには合理性が認められる。 平成29年3月21日のモニタリング調査においては,原告の要望により保健師や看護師等の専門職は同行せず,被告の担当者であるKほか2名 の職員がモニタリングを行ったものであり,その際には,ヘルパー2名が 介助を行い,脱衣,着衣にそれぞれ30分をかけていたが,その現に実施されている介助状況を見聞したKは,ヘルパーの着替え介助に不手際があるとして,上記の一般的な人数及び時間を超える介助の必要性を認めなかったのであるから(乙11,証人K),被告スケジュール案においてその必要性を認めなかったとしても不合理とはいえない。 ⑶ Cが作成した平成28年2月24日付け個別支援計画書の「入浴」の欄には,「⑤前述の通り便が出てしまった場合は。その間本人が寝室で1人になる為,1.本人と居るものが入浴後の着替えや就寝の準備 2.もう一人が浴室の清掃,片付けをする」(下線は裁判所が改めて引き直した。)とあり(甲20の2・17頁,乙3・3頁),原告の着替え自体は 1人で行うことを前提としているように見受けられる。 Cの担当者が作成したと推認される「本人の身体・生活および家族状況等 ASMシート」(記入日平成29年6月30日)をみても,「入浴」の介助人数は「 行うことを前提としているように見受けられる。 Cの担当者が作成したと推認される「本人の身体・生活および家族状況等 ASMシート」(記入日平成29年6月30日)をみても,「入浴」の介助人数は「2人」となっているが,「着替え」の介助人数は「1人(パニックや嘔吐の恐れがあるとき2人)」(甲21の14・1~2頁) とある。 ⑷ なお,平成29年4月25日のケース基準会議記録には,「なお,着替え・トイレ・移乗・入浴(※浴槽に浸かっている際の見守りは1名介助とする。)については,主の体型や,下肢がほぼ廃用に近い状態であることを考慮し,支援時の安全確保の観点から2名介助が妥当であると判断す る。」(それぞれ下線は裁判所が改めて引き直した。)との記載があるが(甲20の2・2頁),同月20日作成の基本プランシートの「3 希望するサービスプランについての考え」の「(3)その他(障がい福祉サービスを利用するうえでの留意事項)」には「着替え」に2名介助が妥当であるとの記載はなく(甲20の2・10頁),同ケース会議で決定された 支給決定案でも入浴前後の着替えを1名分として算定していること(甲2 0の2・14頁)からすると,同会議記録中の「着替え」に係る記載は誤記であると解される。 ⑸ 以上によれば,原告の心身の状況その他の事情を勘案しても,入浴前後の着替え時間をそれぞれ10分×1名と積算した被告スケジュール案が事実の基礎を欠くとか社会通念上不合理であるとかいうことはできない。 4 昼食時間について⑴ア被告スケジュール案では,昼食の時間を含む午前10時から午後2時までの時間帯は「ボランティア対応」とされ,昼食介助や歯磨き介助を必要なサービス内容として認定しておらず,そのため算定時間も積算していない(乙7)。 は,昼食の時間を含む午前10時から午後2時までの時間帯は「ボランティア対応」とされ,昼食介助や歯磨き介助を必要なサービス内容として認定しておらず,そのため算定時間も積算していない(乙7)。 イ原告は,昼食70分及びその後の歯磨き10分(被告スケジュール案+80分)が認められるべきであると主張する。 ⑵ 障害者総合支援法及び総合支援規則は,市町村は,申請に係る障害者の障害福祉サービスの利用に関する意向の具体的内容を勘案して支給要否決定を行う旨規定している(障害者総合支援法22条1項,総合支援規則1 2条7号)ところ,原告のスケジュール案では,「網掛け部分は自助努力時間を指す」とあり,午前10時から午後2時までの240分(4時間)が自助努力分とされ,その自助努力分を引いた時間につき介護給付費の支給を求める案となっている(甲9の9,甲20の2・21頁,甲21の12・3頁,乙4,弁論の全趣旨)ことから,被告は,昼食時の食事介助及 び歯磨き介助を算定しなかった点について,原告の意向を踏まえたものであるかのように主張する。 しかしながら,原告が上記スケジュール案において求めている重度訪問介護の1日当たりの支給量は,1日24時間の常時介助を前提として,2人介助を含む総合計1650分(27時間30分)から自助努力分の24 0分を引いた1410分(23時間30分)であり,本件訴訟においても 1か月620時間(1日20時間)の重度訪問介護の支給量を求めているのであって,支給決定における支給量が原告の求める時間に満たない場合にまで,午前10時から午後2時までの4時間分全部の支給量を不要とする意向であるとは解し難い。そして,遅くとも平成29年5月22日付け原告第8準備書面が被告に送付された同日時点で,被告は, ない場合にまで,午前10時から午後2時までの4時間分全部の支給量を不要とする意向であるとは解し難い。そして,遅くとも平成29年5月22日付け原告第8準備書面が被告に送付された同日時点で,被告は,原告が本件各 決定と同旨の支給決定案に不服であり,昼食時間として70分及び昼食後の歯磨き時間として10分の算定を希望していることを把握していたのであるから,その後に決定又は変更決定がされた本件各決定において昼食介助とその後の歯磨き介助を必要なサービス内容として認定しなくてよくなるものではない。 被告が,支給量にかかわらず午前10時から午後2時までの時間帯全部について支給量の算定を不要とするのが原告の意向であるとの前提で本件各決定を行ったのであれば,本件各決定は,その基礎とした重要な事実に誤認があったものといわざるを得ない。 ⑶ また,市町村は,指定特定相談支援事業者以外の者が作成したサービス 等利用計画案(セルフプラン)が提出されたときは,当該サービス等利用計画案を勘案して支給要否決定を行うこととされている(障害者総合支援法22条6項)が,市町村は,当該サービス等利用計画案の内容が妥当でないと判断したときには必ずしもそれに拘束されるものではなく,独自に支給量を算定できるものと解される。 現に,被告も,当初は,原告の上記スケジュール案を踏まえつつ,「セルフプランに記載された内容の事実が容易に確認できず,実態の把握が困難である」として,独自に適正な支給量を算定することとし,昼食の介護時間を,昼食準備,食事介助,服薬,トイレ介助を包括して60分(1時間)と積算した上で,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とす る支給決定をしていた(甲9の2~4)。 本件各決定に係る被告スケジュール ,トイレ介助を包括して60分(1時間)と積算した上で,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とす る支給決定をしていた(甲9の2~4)。 本件各決定に係る被告スケジュール案(乙7)が,原告の上記スケジュール案を出発点とせずに,独自にスケジュールを設定して支給量を算定しているのも,同様の趣旨に基づいたものと解される。 そうであれば,重度訪問介護の支給量を1か月346.5時間とした当初の支給決定においてそうしていたように,本件各決定においても,被告 の想定したスケジュールにおいて介助が必要なサービス内容はサービス内容として認定し,それに対応する算定時間を積算するのが相当であるというべきである。 ⑷ なお,平成29年3月21日のモニタリング調査の際,原告は午後3時半頃起床し,翌22日午前6時頃に就寝しており(乙11),交通事故後 はおおむねこのような昼夜逆転した生活をしている(証人B11,12頁)。したがって,実際には,午前10時から午後2時は,原告が就寝している時間帯に当たる。また,上記モニタリング調査の際には,食事は1日1回,E駅周辺の商業施設のフードコートで外食し,食べ始めから食べ終わりまでの時間は約40~50分であり,歯磨き介助は行われなかった (乙11)。 しかし,被告スケジュール案(乙7)は,原告が午前7時に起床し,深夜0時から翌日午前1時までの間に就寝する前提でのスケジュール案なのであるから,実際には原告が就寝している時間帯であるからといって,当然に当該時間帯の昼食等を必要なサービス内容として認定しなくてよくな るものではない。上記のような前提でのスケジュールにおいては,昼食等に介助が必要か否かを検討し,介助が必要であれば,昼食の食事介助や食後の歯磨き介助等を必要 ビス内容として認定しなくてよくな るものではない。上記のような前提でのスケジュールにおいては,昼食等に介助が必要か否かを検討し,介助が必要であれば,昼食の食事介助や食後の歯磨き介助等を必要なサービス内容として認定し,対応する算定時間を積算しなければならないものというべきである。 ⑸ 原告は,1人で食事を取ることはできず,介助が必要である(甲3)。 被告も,被告スケジュール案において,朝食及び夕食について各70分の 食事介助(準備,配下膳,片付けを含む。)と各10分の歯磨き介助を算定している(乙7)。 原告が午前7時に起床し,深夜0時から翌日午前1時までの間に就寝する前提のスケジュールにおいては,原告は正午頃には昼食を取る必要があるから,そのために朝食及び夕食と同じ70分の食事介助(準備,配下膳, 片付けを含む。)と10分の歯磨き介助を昼食についても算定すべきである。 5 以上によれば,原告に必要な重度訪問介護の支給量は,1日当たり1100分(被告スケジュール案+80分),1か月当たり568時間20分を下回らないものと認められる。 本件各決定は,原告の意向を誤認し,考慮すべきでない事項(原告の生活スケジュールにおける自助努力時間)を過剰に考慮し,考慮すべき事項(昼食及び歯磨き介助の必要性)を考慮しなかった結果,重度訪問介護の支給量をこれより過少な1か月527時間とした点において足立区足立福祉事務所長に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものというべきであ るから,本件各決定のうち,重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分は取消しを免れない。 6⑴ 本件各決定のうち重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分が取り消されるべ ,重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分は取消しを免れない。 6⑴ 本件各決定のうち重度訪問介護の支給量を1か月527時間を超えて算定しないとした部分が取り消されるべきことは上記のとおりであるから,本件訴えのうち,原告がした別紙2申請目録記載の各申請に対し,それぞれ 重度訪問介護の支給量を1か月620時間とする介護給付費支給決定をすることの義務付けを求める請求に係る部分は,行政事件訴訟法37条の3第1項2号所定の訴訟要件を満たし,適法である。 ⑵ そして,上記各申請に対し,重度訪問介護の支給量を1か月568時間20分を下回らない時間とする介護給付費支給決定をしないことは処分行政 庁の裁量権の範囲を超え又はその濫用となるものと認められるから,原告 の上記義務付けの請求のうち,当該決定の義務付けを求める部分は,行政事件訴訟法37条の3第5項所定の本案要件を満たしており,認容するのが相当である。 ⑶ 他方,上記義務付けの請求のうち,重度訪問介護の支給量を1か月568時間20分を超えて1か月620時間とする介護給付費支給決定の義務付 けを求める部分は,処分行政庁が当該決定をしないことが裁量権の範囲を超え又はその濫用となるとは認められず,上記本案要件を満たさないから,棄却するのが相当である。 7 よって,原告の請求は,主文第1項及び第2項掲記の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決す る。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官古田孝夫 裁判官西村康夫 裁判官味 元 厚二郎(別紙1省略)(別紙2省略) 裁判長 裁判官 古田孝夫 裁判官 西村康夫 裁判官 味元厚二郎(別紙1省略)(別紙2省略)
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