- 1 - 主文 1 被告大阪府は,原告Aに対し,1581万3606円及びうち1297万0977円に対する平成17年11月25日から,うち4万9479円に対する平成19年7月20日から,うち139万3150円に対する同年10月4日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告大阪府は,原告B及び原告Cに対し,各790万6803円及びうち各648万5489円に対する平成17年11月25日から,うち各2万4739円に対する平成19年7月20日から,うち各69万6575円に対する同年10月4日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告らの被告大阪府に対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 原告らの被告Eに対する請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,原告らに生じた費用の10分の7と,被告大阪府に生じた費用の5分の2と,被告Eに生じた費用を原告らの負担とし,その余を被告大阪府の負担とする。 6 この判決の第1項及び第2項は,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 被告らは,原告Aに対し,連帯して2565万3586円及びうち2332万1442円に対する平成17年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは,原告Bに対し,連帯して1337万6793円及びうち1216万0721円に対する平成17年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告らは,原告Cに対し,連帯して1337万6793円及びうち1216万0721円に対する平成17年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -第2 事案の概要 1 本件は,亡Dが運転する普通自動二輪車(以下「原告車」という。)と 万0721円に対する平成17年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 - 2 -第2 事案の概要 1 本件は,亡Dが運転する普通自動二輪車(以下「原告車」という。)と,大阪府警察の警察官として職務執行中であった被告Eが運転する普通自動二輪車(以下「被告車」という。)が正面衝突した交通事故について,亡Dの相続人である原告らが各相続割合に従い,被告Eに対しては民法709条に基づき,被告大阪府に対しては国家賠償法1条1項に基づき,連帯して合計5240万7172円及びうち4764万2884円(弁護士費用を除く損害額)に対する不法行為後の日である平成17年11月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求めた事案である。 2 前提事実(1) 本件事故の発生(甲1,弁論の全趣旨)ア日時平成17年11月24日午後9時42分ころイ場所大阪府a市b・c丁目d番e号ウ関係車両(ア) 亡Dが運転する普通自動二輪車(原告車)(イ) 被告Eが運転する普通自動二輪車(交通取締用ではなく,警ら用単車,ホンダスーパーカブ,90cc,被告車)エ態様及び経緯被告車がセンターラインを越えて反対車線を走行し,原告車と正面衝突した。被告Eは,ひったくりの緊急警戒に従事しており,手配されていた車両に似た2人乗りの原動機付自転車(以下「被疑車両」という。)を発見したため,これを追尾しながら上記走行を行い,原告車に気付くのが遅れて衝突した。 (2) 当事者ア被告Eは,本件事故当時,大阪府N警察署地域課に所属する警部補であったが,本件事故に関する刑事裁判において,業務上過失傷害罪により禁- 3 -固1年2月,執行猶予4年の判決が平成19年9月20日に確定したため,地方公務員法28条4 地域課に所属する警部補であったが,本件事故に関する刑事裁判において,業務上過失傷害罪により禁- 3 -固1年2月,執行猶予4年の判決が平成19年9月20日に確定したため,地方公務員法28条4項により失職した。 (甲25(枝番を含む。以下,枝番を特記しない限り同じ),弁論の全趣旨)イ亡D(昭和21年2月24日生,死亡時61歳)は,平成19年8月8日,K病院において,死亡した。 原告Aは亡Dの妻,原告B及び原告Cは亡Dの子であり,亡Dには他に相続人がいない。亡Dの権利義務は,相続により,原告Aが2分の1,原告B及び原告Cが各4分の1ずつ,それぞれ承継した。 (争いなし)(3) 被告大阪府の責任等被告Eがセンターラインを越えて反対車線を走行した一方,亡Dに落ち度はなく,本件事故は,被告Eの一方的過失により生じたものである。 被告Eは,本件事故当時,職務の執行中であったため,被告大阪府は,本件事故により亡Dに生じた損害について,国家賠償法1条1項に基づく賠償責任を負う。 (争いなし)(4) 亡Dの入院経過及び死亡亡Dは,本件事故により,脳挫傷,急性硬膜下血腫,左大腿骨骨折,左脛骨骨折,頭部外傷後水頭症等の傷害を負い,以下のとおり各病院に入院したが(入院日数合計623日),平成19年8月8日に死亡した。 ア平成17年11月24日から同年12月22日までF病院イ同日から平成18年2月1日までG病院ウ同日から同年5月12日までH病院エ同日から同年11月13日までI病院オ同日から平成19年6月13日までJ病院- 4 -カ同日から同年7月24日までK病院キ同日から同年8月8日までL病院(原告らと被告大阪府との間で争いなし。甲2,28~33,弁論の全趣旨)(5) 既払金原告らは 院- 4 -カ同日から同年7月24日までK病院キ同日から同年8月8日までL病院(原告らと被告大阪府との間で争いなし。甲2,28~33,弁論の全趣旨)(5) 既払金原告らは,本件事故に関し,治療費を除き以下の合計4092万7784円を受領した。 ア自動車損害賠償責任保険からの支払金(以下「自賠責保険金」という。) 合計3120万円(ア) 平成19年7月19日 120万円(イ) 同年10月3日 3000万円イ労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)からの支払金合計509万2134円(ア) 休業補償給付 436万8654円(イ) 葬祭給付一時金 72万3480円ウ被告大阪府からの支払金合計463万5650円(ア) 通院交通費(J病院分)として202万2200円(イ) 差額ベッド代(J病院及びK病院分)として261万3450円(原告らと被告大阪府との間で争いなし,弁論の全趣旨) 3 争点(1) 被告Eが原告らに対して法的責任を負うか否か(争点1)(原告らの主張)ア最高裁判所の判例では,国家賠償法1条1項により国又は地方公共団体が損害賠償責任を負う場合には,公務員個人はその責任を負わないとされているが,この判例は変更されるべきである。 イ ①国家賠償法1条1項は「国又は公共団体が,これを賠償する責に任ず- 5 -る」と規定しているが,これは公務員個人が責任を負うことを否定するものではないし,同条2項は「公務員に故意又は重大な過失があったときは,国又は公共団体は,その公務員に対して求償権を有する」旨規定しているが,これは国又は公共団体と公務員の内部関係を規定したものにすぎず,被害者に対する公務員の個人責任を否定するものではない。②公務員の個人責任を肯定したとし 務員に対して求償権を有する」旨規定しているが,これは国又は公共団体と公務員の内部関係を規定したものにすぎず,被害者に対する公務員の個人責任を否定するものではない。②公務員の個人責任を肯定したとしても,各公務員が通常の注意を払って適正に職務を執行していれば責任を負うことはないから,公務員の職務執行を萎縮させることはない。③民間企業の会社員の場合は,会社が民法715条による使用者責任を負うからといって会社員個人の責任が免除されるわけではないから,上記判例は,公務員のみをあまりに優遇するもので,不公平である。④特に,本件のように,加害者である公務員が十分な謝罪をしないばかりか,被害者の遺族らの感情を逆撫でしている場合にまで,単に公務員であるというだけで責任が一切免除されるのは,不合理である。 ウ上記のとおり,公務員の個人責任を全面的に肯定する見解が採用されるべきであるが,これが採用されない場合でも,公務員の個人責任を制限的に肯定する見解が採用されるべきである。すなわち,公務員個人に軽過失がある場合には個人責任が否定されるとしても,故意又は重過失がある場合には,個人責任が肯定されるべきである。 犯罪捜査といえども,警察官は,犯罪に無関係な市民の生命身体に十分な配慮をしつつ行わなければならない。しかし,被告Eは,被疑車両を追跡することに夢中になって,下記のような極めて危険な走行をしたものであり,本件事故は,被告Eの故意に近い重過失により生じたものである。 (ア) 約2.9kmにわたる被疑車両の追跡の中で,20か所以上の交差点で一度も停止せず,赤信号を無視して走行した。特に,f交差点では,赤信号を無視し,かつ,右折専用車線から直進した。 (イ) 上記追跡の中で,約100mにわたり,一方通行道路を逆走した。 - 6 -(ウ) 上記追跡 信号を無視して走行した。特に,f交差点では,赤信号を無視し,かつ,右折専用車線から直進した。 (イ) 上記追跡の中で,約100mにわたり,一方通行道路を逆走した。 - 6 -(ウ) 上記追跡の間に,警察署に応援要請すべきであったが,これをせずに単独で無理な追跡をしたものであり,このような「スタンドプレー」は決して正当化されるものではない。 (エ) 本件事故当時,被告車は,センターラインを越えて西行車線を東方向に走行していた。道路の痕跡から,衝突場所は,西行車線のほぼ中央か,むしろ南寄りであり,センターラインを大幅に越えていたと推測される。 (被告Eの主張)ア公務員が過失により被害者に損害を与えた場合,賠償責任は,国家賠償法1条1項に基づき大阪府が負うものであって,被告E個人に対する賠償請求は,失当である。 被告Eは,本件事故に関し,執行猶予付き禁固刑の刑事罰を受けたほか,30年間精勤した警察官の職を失い,退職金の全額は受給できないなどの公務員固有の制裁を受けているのであって,民間企業の会社員と比較しても,公務員が優遇されているとはいえない。また,被告Eは,亡Dの見舞いや原告らに対する謝罪をしてきたものである。 イ被告Eに重過失があった旨の原告らの主張は,争う。 (ア) 一方通行路の逆走については,道幅が広く,通行車両がなく,歩行者も閑散であった状況から,交通事故の回避が可能と判断し,職務を優先させたものである。 (イ) 赤信号無視については,f交差点の赤信号無視は認めるが,それ以外は否認する。 (ウ) 当時,警ら用単車で不審車を追跡中であり,応援要請のために,片手運転をして携帯無線機を使用することや,停止してこれを使用することはできなかった。また,不審車の追跡は,個々の警察官に課された当然の職責である。 - で不審車を追跡中であり,応援要請のために,片手運転をして携帯無線機を使用することや,停止してこれを使用することはできなかった。また,不審車の追跡は,個々の警察官に課された当然の職責である。 - 7 -(2) 亡Dの損害(争点2)(原告らの主張)ア治療関係費(ア) 差額ベッド代(G病院分) 4万円(イ) 介護タクシー代(I病院分) 1万0240円(ウ) 入院雑費 93万4500円入院雑費は,入院日数623日につき日額1500円として93万4500円が相当である。 (エ) 文書料 4万6820円原告らは,診断書の取得費用として4万6820円を要した。 イ近親者の付添看護費 845万円亡Dの入院付添看護のため,原告Aは525日間,原告Bは159日間,原告Bの妻は31日間,原告Cは130日間,入院先の病院に通った。日額1万円として,原告Aにつき525万円,原告Bにつき159万円,原告Bの妻につき31万円,原告Cにつき130万円の付添看護費が認められるべきである。 ウ職業介護人の付添看護費 61万3961円亡DがK病院に入院していた間,職業付添人により,1日12時間の付添看護がされ,これに合計61万3961円を要した。これについては,被告大阪府も必要性を認め,原告らが立て替えた分を後日支払う旨述べていたが,結局現在まで支払われていない。 エ近親者の付添看護に要した交通費 320万8398円(ア) 原告らは,上記イの付添看護のため,合計320万8398円の交通費を要した。 (イ) 中でも,原告AがJ病院に付添看護に行く際に要した交通費202万2200円については,被告大阪府がその必要性を認め,支払済みと- 8 -なっている。 オ葬儀費用 174万9630円カ死亡による逸失利益 に付添看護に行く際に要した交通費202万2200円については,被告大阪府がその必要性を認め,支払済みと- 8 -なっている。 オ葬儀費用 174万9630円カ死亡による逸失利益 2451万0161円亡Dは,本件事故当時,株式会社M大阪支店においてコンテナ車の運転手として働いており,当時の年収は421万5366円であった。生活費控除率を30%,就労可能年数11年(平成19年簡易生命表による平均余命の2分の1,ライプニッツ係数8.3064)とすれば,死亡逸失利益は,2451万0161円となる。 キ傷害慰謝料 500万円亡Dは,本件事故により重篤な傷害を負い,死亡まで623日間にわたり苦痛に苛まれた。その苦痛に対する慰謝料は500万円が相当である。 ク死亡慰謝料 3000万円本件事故が,市民を守るべき立場にあるはずの警察官による一方的な過失によるものであること,本件事故後の被告らの不誠実な態度,亡Dが1年9か月にわたり極めて重篤な状態にあった後に死亡したこと,亡Dが家族とともに幸せな余生を送る機会を奪われたことなどを考慮すれば,死亡慰謝料は3000万円が相当である。 ケ物損 10万円原告車は,本件事故により全損状態となったところ,その損害は,時価相当の10万円である。 コ既払金の控除上記アないしケの合計は,7468万5410円となるところ(訴状添付の損害一覧表による。前記ア(ウ)の入院雑費を正しくは93万4500円とすべきところを95万7000円とし,前記エ(ア)の付添看護交通費のうち,原告AのH病院分を正しくは23万9800円とすべきところを23万9000円として計算していることにより,実際の合計額とは異な- 9 -るものである。),前提事実(5)の既払金合計4092万7784円を控除する 正しくは23万9800円とすべきところを23万9000円として計算していることにより,実際の合計額とは異な- 9 -るものである。),前提事実(5)の既払金合計4092万7784円を控除すると,残額は3375万7626円となる。 サ自賠責保険金相当額に対する確定遅延損害金 288万5259円平成19年7月19日に受領した自賠責保険金120万円については,同額に対する同日までの遅延損害金9万8958円が,同年10月3日に受領した自賠責保険金3000万円については,同額に対する同日までの遅延損害金278万6301円が,それぞれ発生しており,その合計は,288万5259円である。なお,前記自賠責保険金は,いずれも上記確定遅延損害金に先に充当し,残額を損害元本に充当することとする。 シ上記コの残額とサの合計は3664万2885円であるところ,前提事実(2)イの相続割合により,請求額は,原告Aが1832万1442円,原告B及び原告Cが各916万0721円となる。 (被告大阪府の主張)ア治療関係費について差額ベッド代(G病院分)及び文書料は,認める。 介護タクシー代(I病院分)は,否認する。 入院雑費は,93万4500円(入院623日間,日額1500円)の範囲で認める。 イ近親者の付添看護費は,371万4000円(付添いがされた619日間につき日額6000円)の範囲で認める。 ウ職業介護人の付添看護費は,否認する。 エ近親者の付添看護に要した交通費は,上記イの付添看護費に含まれるため,否認する。 オ葬儀費用は,150万円の範囲で認める。 カ死亡による逸失利益は,1952万9874円(原告ら主張の基礎収入を認めるが,生活費控除割合は40%,就労可能年数は10年とすべきで- 10 -ある。)の範囲で認める 万円の範囲で認める。 カ死亡による逸失利益は,1952万9874円(原告ら主張の基礎収入を認めるが,生活費控除割合は40%,就労可能年数は10年とすべきで- 10 -ある。)の範囲で認める。 キ傷害慰謝料は,403万円(入院21か月)の範囲で認める。 ク死亡慰謝料は,2800万円の範囲で認める。 ケ物損は,6万円(本件事故当時の原告車(ヤマハグランドアクシス平成10年式)の時価額)の範囲で認める。 コ自賠責保険金相当額に対する確定遅延損害金についての原告らの主張は,争う。 (被告Eの主張)不知ないし争う。 (3) 近親者固有の損害(争点3)(原告らの主張)ア原告A 500万円警察官の一方的な過失により突然重篤な症状に陥った夫である亡Dを1年9か月にわたり介護し続け,その後,亡Dを亡くした原告Aの精神的苦痛に対する慰謝料は,500万円を下らない。 イ原告B及び原告C 各300万円突然の交通事故によって父である亡Dが重篤な症状に陥り,1年9か月にわたる介護や亡Dの受入先の医療機関が容易に見つからなかったことによる不安により生活が一変し,その後,亡Dを亡くした原告B及び原告Cの精神的苦痛に対する慰謝料は,それぞれ300万円を下らない。 (被告大阪府の主張)争う。被告大阪府が認める亡Dの死亡慰謝料2800万円は,近親者の慰謝料を含む額である。 (4) 請求額のまとめ(原告らの主張)ア前記(2),(3)によれば,原告ら各自の請求額は,下記のとおりとなる。 - 11 -(ア) 原告A 2332万1442円(イ) 原告B及び原告C 各1216万0721円イ弁護士費用上記額を請求するため,原告らは弁護士に委任せざるを得なかったから,その10%に相当する金額,すなわち原告Aにつき 万1442円(イ) 原告B及び原告C 各1216万0721円イ弁護士費用上記額を請求するため,原告らは弁護士に委任せざるを得なかったから,その10%に相当する金額,すなわち原告Aにつき233万2144円,原告B及び原告Cにつき各121万6072円が,弁護士費用として認められるべきである。 ウ請求額よって,請求額は,原告Aが2565万3586円,原告B及び原告Cが各1337万6793円となる。なお,遅延損害金は,弁護士費用を除いた上記アの額を元本として計算する。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告Eが原告らに対して法的責任を負うか否か)について(1) 公権力の行使に当たる国の公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を与えた場合には,国がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであって,公務員個人はその責を負わないものと解すべきである(最高裁判所昭和53年10月20日第2小法廷判決・民集32巻7号1367頁参照)。このことは,地方公共団体の公務員についても同様に解される。 よって,本件事故により亡D及び原告らに生じた損害については,被告大阪府が賠償責任を負い,被告Eは賠償責任を負わないものと解される。 (2) 原告らは,①国家賠償法1条1項及び2項の規定は,公務員が個人責任を負うことを否定するものではないこと,②公務員の個人責任を肯定しても,公務員の職務執行を萎縮させることにはならないこと,③公務員の個人責任を否定した場合,民間企業の会社員との間に不公平が生じること,④特に,公務員が十分な謝罪をせず,被害者の感情を逆撫でしている場合に,公務員- 12 -の個人責任を否定するのは不合理であることなどから,公務員の個人責任は,全面的に認めるべきであり,仮に全面的には認められなくても 謝罪をせず,被害者の感情を逆撫でしている場合に,公務員- 12 -の個人責任を否定するのは不合理であることなどから,公務員の個人責任は,全面的に認めるべきであり,仮に全面的には認められなくても,公務員に故意又は重過失がある場合には認めるべきである旨主張する。 しかしながら,国家賠償法1条1項は「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは,国又は公共団体が,これを賠償する責に任ずる」,同条2項は「前項の場合において,公務員に故意又は重大な過失があったときは,国又は公共団体は,その公務員に対して求償権を有する」と規定している。これらの文言からは,上記規定に定める場合には,国又は公共団体が賠償責任を負い,公務員個人は被害者に直接には賠償責任を負わないこととした上,当該公務員は,故意又は重大な過失があったときには,国又は公共団体から求償を受けることとするという制度が採用されたものと解することができる。 資力のある国又は公共団体から賠償を受けられれば,公務員から直接賠償を受けなくても,被害者は,被った利益は填補され,被害者の救済に欠けることはなく,加害者たる公務員も求償を受けることがあるから,公務員が特に個人責任を免除され不公平に優遇されているとはいえない。 また,我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることにより,被害者が被った不利益を補填して,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり,加害者に対する制裁や,将来における同様の行為の抑止,すなわち一般予防を目的とするものではない(最高裁判所平成9年7月11日判決・民集第51巻6号2573頁参照)。国家賠償法に基づく損 ものであり,加害者に対する制裁や,将来における同様の行為の抑止,すなわち一般予防を目的とするものではない(最高裁判所平成9年7月11日判決・民集第51巻6号2573頁参照)。国家賠償法に基づく損害賠償制度についても,加害者に対する制裁ないし被害者の報復感情の満足を目的とするものでないことは,民法上の不法行為に基づく損害賠償制度と同様であるといえる。 - 13 -よって,本件事故当時,被告Eが警察官としての職務の執行中であったことは,前提事実のとおりであるが,被告Eの過失の程度や被疑車両の運転者の責任の有無や程度について検討するまでもなく,原告らの前記主張は,採用することができない。 2 争点2(亡Dの損害)について(1) 治療関係費ア差額ベッド代(G病院分) 4万円証拠(甲16の3)及び弁論の全趣旨によれば,差額ベッド代(G病院分)4万円は,本件事故による損害と認められる。 イ差額ベッド代(J病院及びK病院分)261万3450円原告らは,上記差額ベッド代を明示には損害に計上していないが,同金額を被告大阪府からの既払額として損害から控除していることなどから,これも損害として請求しているものと解される。 証拠(甲66,68)及び弁論の全趣旨によれば,亡Dについては,医師により,家族又は付添人の付添いが許可されたが,付添いをする場合は個室に入室すべきこととされたこと,その場合に病院に支払うべき差額ベッド代は,J病院(入院期間212日間)では日額1万0500円,K病院(入院期間41日)では日額9450円であり,被告大阪府は,上記差額ベッド代の必要性を認め,上記合計261万3450円を既に支払ったことが認められる。これらの事情に照らし,上記差額ベッド代を本件事故による損害と認める。 ウ介護タクシー代(I病院分 は,上記差額ベッド代の必要性を認め,上記合計261万3450円を既に支払ったことが認められる。これらの事情に照らし,上記差額ベッド代を本件事故による損害と認める。 ウ介護タクシー代(I病院分) 1万0240円証拠(甲4,49。枝番を含む。以下,枝番を特記しない限り同じ)及び弁論の全趣旨によれば,亡Dは,I病院に入院中であった平成18年8月30日,MRI検査のため外部医療機関に往復する際に,タクシー代及- 14 -びストレッチャーのレンタル料として合計1万0240円を要したことが認められ,これは本件事故による損害と認められる。 エ入院雑費 93万4500円入院雑費は,入院日数623日につき日額1500円として93万4500円と認める。 オ文書料 4万6820円証拠(甲15ないし19)及び被告大阪府が認めていることに照らし,文書料4万6820円を本件事故による損害と認める。 (2) 近親者の付添看護費 371万4000円ア証拠(甲47,48)及び弁論の全趣旨によれば,亡Dの入院期間623日のうち,619日については,亡Dの近親者(原告ら及び原告Bの妻)のうちの1人又は複数名が,入院先の病院に行って付添いをしたことが認められる。 イ亡Dは,脳幹部に損傷を受け,当初,意識障害,四肢麻痺の状態であり,自発運動がみられない状態であったが(甲29,33,36),G病院入院中には,笑顔が見られ,両上肢の動きが活発になり,口の動きで「寒い」と読みとれるなどの状態になり,誤嚥防止のため胃ろう造設術が行われ(甲35の15頁,27頁),I病院入院中には,リハビリ治療が中心に行われたこと(甲37)が認められる。 しかし,亡Dが入院していた各病院において,痰の吸引や,褥瘡の防止のための体位変換をはじめとする看護は,必要な頻度 頁),I病院入院中には,リハビリ治療が中心に行われたこと(甲37)が認められる。 しかし,亡Dが入院していた各病院において,痰の吸引や,褥瘡の防止のための体位変換をはじめとする看護は,必要な頻度で看護師が行う体制がとられていたものと認められ(甲35,37,39,40),医学的観点から近親者による付添看護が必要不可欠であったことを示す明確な証拠はない(K病院医師作成の甲66も,「家族又は介護人の付き添いを希望されたので,これを許可する。なお,家族又は介護人が付き添う場合は,個室対応となる」との文言から,医師が積極的に近親者等の付添いを指示- 15 -したものというよりは,個室であれば付添いを行ってもよいという趣旨のものであると解される)。 もっとも,家族がマッサージを行うことにより,関節の拘縮防止等の効果があったこと,家族が呼びかけを行ったり,車椅子に乗せて散歩をしたり,ひげを剃ったり,身体を拭いたり,手足をお湯で丹念に洗ったりすることなどにより,精神面にもよい影響があったこと,急に痰の吸引が必要になったとみられるときに家族が看護師を呼ぶという役割を果たしていたことなどの原告らの主張は,理解することができる。したがって,これらのための近親者の付添看護は,必要かつ相当な範囲内で認めることとし,上記の付添看護の内容に照らして,必要性,相当性の認められる付添看護費用としては,実際に付添看護をした近親者の人数を問わず,また原則として交通費を含め,前記619日間につき日額6000円として,合計371万4000円と認める。 原告らは,付添看護をした者ごとに日額1万円とし,かつ,交通費も別途認めるべきである旨主張するが,近親者による付添看護費用及びそのための交通費として相当因果関係のある損害は,上記限度で認められる。亡Dにとって病室内の した者ごとに日額1万円とし,かつ,交通費も別途認めるべきである旨主張するが,近親者による付添看護費用及びそのための交通費として相当因果関係のある損害は,上記限度で認められる。亡Dにとって病室内のみが生活の場であり,家族と過ごす大切な時間となるから,家族としてできるだけ亡Dの側にいてあげたいと感じるのが自然であるとの点は,原告らの指摘するとおりであるが,このような事情については,付添看護費の実費としてではなく,慰謝料の算定の際に考慮されているものである。 (3) 職業介護人の付添看護費 0円原告らは,K病院においては,夜間(12時間)の看護師による看護が相当手薄なものであり,特に,急に痰の吸引が必要となったときにこれに気付いてもらえないおそれが強かったから,職業介護人を雇う必要性があった旨主張し,職業介護人が行った介護内容を記録したノート(甲53)を提出す- 16 -るが,上記証拠によっても,K病院における夜間の看護が手薄であり,これが患者の容態に関わるまでの状態であったことまでは推認することができず,他に,医学的観点から職業介護人による付添介護が必要であったことを認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張を採用することはできない。 原告らは,被告大阪府が上記費用の必要性を認め,原告らが立て替えた分を後日支払う旨述べていたと主張するが,被告大阪府はこれを否定しており,原告らの上記主張を認めるに足りる証拠はない。 職業介護人の付添看護があれば,それだけきめ細かい看護ができたことは認めることができるが,それをもって相当因果関係のある損害と評価するには足りない。 (4) 近親者の付添看護に要した交通費 202万2200円ア近親者の付添看護に要した交通費は,原則として近親者の付添看護費の算定の際に考慮済みであることは,前 害と評価するには足りない。 (4) 近親者の付添看護に要した交通費 202万2200円ア近親者の付添看護に要した交通費は,原則として近親者の付添看護費の算定の際に考慮済みであることは,前記イのとおりである。 イもっとも,被告大阪府からの既払金202万2200円は,原告AのJ病院への付添看護のための交通費として支払われたもので,被告大阪府が特に認めて,本件訴訟前に支払ったものと認められるから(甲54),本件事故による損害と認めることとする。 (5) 休業損害 436万8654円原告らは,明示には,上記休業損害を損害に計上していないが,労災保険からの既払金として損害から控除していることなどから,これも損害として請求しているものと解される。休業損害の額は,上記既払金と同額の436万8654円であると認められる。 (6) 葬儀費用 150万円亡Dの葬儀関係費として要した費用(甲20)に照らして,150万円を本件事故による損害として認めるのが相当である。 (7) 死亡による逸失利益 1952万9874円- 17 -証拠(甲12,甲35)及び弁論の全趣旨によれば,亡D(死亡時61歳)は,本件事故当時,株式会社M大阪支店においてコンテナ車の運転手として働き,当時の年収は421万5366円であったこと,本件事故当時,原告Aと暮らしており,子らは既に独立していたことが認められる。 これらの事情に照らし,基礎収入は年額421万5366円,生活費控除率は40%,就労可能年数は10年(平成19年簡易生命表による平均余命21.72年の概ね2分の1相当,ライプニッツ係数7.7217)とする。 よって,死亡による逸失利益は,1952万9874円となる。 (計算式) 4,215,366×(1-0.4)×7.7217≒19,529,874 2分の1相当,ライプニッツ係数7.7217)とする。 よって,死亡による逸失利益は,1952万9874円となる。 (計算式) 4,215,366×(1-0.4)×7.7217≒19,529,874(8) 傷害慰謝料 403万円亡Dの入院期間(平成17年11月24日から平成19年8月8日まで),傷害の程度(重篤な症状であった)その他本件記録に顕れた事情に照らせば,傷害慰謝料は,403万円が相当である。 (9) 死亡慰謝料 2400万円ア 61歳で妻及び子らを残して人生を終えざるを得なかった無念さを考慮するほか,本件事故は,警ら用単車で被疑車両を追跡中,センターラインを越えて反対車線を走行したという被告Eの一方的過失により生じたものであり,亡Dとしては,通常どおり走行車線内を走行していたところに突然正面から現れた上記警ら用単車と衝突したもので落ち度はないこと,後記のとおり妻及び子らである原告らにそれぞれ固有の慰謝料を認めることなどを考慮し,亡Dの死亡慰謝料を2400万円とする。 イ原告らは,本件事故後に被告Eが亡Dや原告らに誠意ある対応を取らず,むしろ原告らの感情を逆撫でしており,死亡慰謝料を増額すべきである旨の主張をしているものと解される。 原告らは,被告Eが,口先だけの謝罪しかせず,誠意が全く感じられないこと,亡Dの入院先の玄関で喫煙をしていたこと,刑事裁判において自- 18 -分の正当化をするばかりであったこと,刑事裁判の第1審が終わってからは音沙汰がなくなったこと,亡Dにつき長期の入院を受け入れてくれる病院がなく原告らが困っていたときも,何ら行動を起こすことなく素知らぬふりであったこと,亡Dの葬式に出席せず,その後も線香をあげに来ないこと,常にふてぶてしい態度であることなどを主張するところ,これらの主張からは が困っていたときも,何ら行動を起こすことなく素知らぬふりであったこと,亡Dの葬式に出席せず,その後も線香をあげに来ないこと,常にふてぶてしい態度であることなどを主張するところ,これらの主張からは,本件事故後の被告Eによる謝罪及び対応は,原告らが受け入れるに足りる程度のものには至っていなかったことが認められる。しかし,被告Eが原告らに対し,亡Dの入院先の病院を訪れたり手紙を送付したりして謝罪をしたこと自体は原告らも認めていることや(甲70,原告B本人,原告C本人),被告Eの反論(大阪府警察から被告E個人としては被害者と交渉しないように指示されていたこと,原告らの被告Eに対する感情の強さから葬儀には出席しない方がよいと判断したことなど)にも照らせば,上記主張に係る事情をもって,不法行為に基づく慰謝料を増額すべき程度にまで著しく悪質なものであったとは評価できない。 よって,原告らの前記主張は,採用することができない。 ウさらに,原告らは,本件事故後の被告大阪府の対応が不適切であったことにより,死亡慰謝料を増額すべきである旨の主張をしているものと解される。 しかしながら,証拠(甲53ないし57,乙1,原告B本人,弁論の全趣旨)によれば,本件事故後,①I病院からの転院先として適当な病院が見つけられないので探して欲しいとの原告らの求めに対し,被告大阪府側の担当者がJ病院を提案したこと,②J病院からの転院先を探して欲しいとの原告らの求めに対し,被告大阪府側の担当者が複数の病院を提案したが,原告らにおいて,衛生面への配慮の程度が低い,急な病態悪化への対応できない,リハビリができない,脳外科がない,原告Aらの自宅から遠いなどの理由から,上記提案を受け入れず,更に自力で探すこととしたこ- 19 -と,③被告大阪府は,原告Aの通院交通費(J病 対応できない,リハビリができない,脳外科がない,原告Aらの自宅から遠いなどの理由から,上記提案を受け入れず,更に自力で探すこととしたこ- 19 -と,③被告大阪府は,原告Aの通院交通費(J病院分)や亡Dの差額ベッド代(J病院とK病院分)について,原告ら側の状況に配慮してその必要を認め,本件訴訟以前に支払ったほか,原告AのI病院への通院付添について警察車両による送迎を行ったこと,④症状固定後の介護料についても,平成19年4月3日の時点で8300万円以上を支払う旨の暫定的な提示を行っていたこと,⑤責任者の謝罪文を原告らから求められたのに対し,N警察署長が口頭で謝罪したことなどの対応をとったことが認められる。 これらによれば,被告大阪府としては,本件事故につき,原告らに対し,一定程度の対応はとっていたものというべきであり,これらについて,原告らが十分なものと評価する程度には至っていなかったことが認められるものの,不法行為に基づく慰謝料を増額すべき程度にまで著しく悪質なものであったとは評価できない。 よって,原告らの前記主張は,採用することができない。 (10) 物損 6万円弁論の全趣旨によれば,本件事故により原告車は全損状態になったことが認められる。本件事故当時の原告車の時価額については,原告らは10万円である旨主張するが,これを認めるに足りる証拠がなく,被告大阪府が認める6万円の限度で認めることとする。 (11) 自賠責保険金相当額に対する確定遅延損害金 288万5259円ア平成19年7月19日に受領した自賠責保険金120万円については,同額相当に対する同日までの遅延損害金9万8958円が,同年10月3日に受領した自賠責保険金3000万円については,同額相当に対する同日までの遅延損害金278万6301円が,それぞれ発生し いては,同額相当に対する同日までの遅延損害金9万8958円が,同年10月3日に受領した自賠責保険金3000万円については,同額相当に対する同日までの遅延損害金278万6301円が,それぞれ発生しており,その合計は288万5259円である。 イなお,原告らは,自賠責保険金につき,受領日の時点で,同保険金相当額に対応する確定遅延損害金(以下,単に「確定遅延損害金」という。)- 20 -に先に充当し,残額を損害元本に充当することを選択している。 上記充当方法によれば,自賠責保険金の受領日の時点で,損害元本を①自賠責保険金相当額以外の額と②自賠責保険金相当額に分けた上で,自賠責保険金に対応する確定遅延損害金に先に充当し,残額を元本に充当することになり,元本は,上記①と③確定遅延損害金と同額の残元本の合計額となる。そうすると,上記①については,事故日からの遅延損害金を請求することができるが,上記③については,既に事故日から自賠責保険金の受領日までの遅延損害金は受領済みであるから,重ねて事故日からの遅延損害金を請求することはできず,自賠責保険金の受領日の翌日からの遅延損害金を請求できるにとどまる。したがって,遅延損害金の起算点は,上記①自賠責保険金相当額以外の額については事故日となり,上記③確定遅延損害金相当額については自賠責保険金の受領日の翌日となる。 (12) 既払金の控除前記(1)ないし(10)の合計額は,6286万9738円となる。 ア労災保険からの支払金合計509万2134円及び被告大阪府からの支払金合計463万5650円が元本に充当されることは,当事者間に争いがなく,充当後の残元金は,5314万1954円となる。なお,労災保険の休業補償給付は休業損害及び死亡逸失利益のみから控除され,労災保険の葬祭給付一時金は葬儀費 本に充当されることは,当事者間に争いがなく,充当後の残元金は,5314万1954円となる。なお,労災保険の休業補償給付は休業損害及び死亡逸失利益のみから控除され,労災保険の葬祭給付一時金は葬儀費用のみから控除されるが,本件では,計算上,全体から控除するのと同じ結果となる。 イ平成19年7月19日受領の自賠責保険金120万円について上記120万円は,確定遅延損害金9万8958円に先に充当され,残り110万1042円が元本に充当される。 充当後の元本は,5204万0912円(遅延損害金の起算日は,9万8958円につき平成19年7月20日,5194万1954円につき平成17年11月24日)となる。 - 21 -ウ平成19年10月3日受領の自賠責保険金3000万円について上記3000万円は,確定遅延損害金278万6301円に先に充当され,残り2721万3699円が元本に充当される。 充当後の元本は,2482万7213円(遅延損害金の起算日は,9万8958円につき平成19年7月20日,278万6301円につき平成19年10月4日,2194万1954円につき平成17年11月24日)となる。 3 争点3(近親者固有の損害)について(1) 原告Aについて原告Aは,亡Dの妻として同人とともに生活していたところ,本件事故により同人を61歳で亡くし,今後の生活が一変したものであって(甲69,原告A本人),その精神的苦痛は著しいといえること,その他本件に顕れた一切の事情を考慮すれば,原告Aの精神的苦痛に対する慰謝料は,200万円とするのが相当である。 (2) 原告B及び原告Cについて原告B及び原告Cは,亡Dの子らであり,本件事故により父親を失ったものであって,その精神的苦痛は著しいといえること(甲70,77,原告B本人,原告 相当である。 (2) 原告B及び原告Cについて原告B及び原告Cは,亡Dの子らであり,本件事故により父親を失ったものであって,その精神的苦痛は著しいといえること(甲70,77,原告B本人,原告C本人),その他本件に顕れた一切の事情を考慮し,原告B及び原告Cの精神的苦痛に対する慰謝料は,各100万円とするのが相当である。 (3) 上記(1),(2)の慰謝料の遅延損害金の起算日は,本件事故の日である。 4 認容額のまとめ(1) 原告Aについてア原告Aは,亡Dの前記損害賠償債権2482万7213円の2分の1相当である1241万3606円を相続により承継したところ,前記固有の慰謝料200万円を加えると,1441万3606円(遅延損害金の起算日は,4万9479円につき平成19年7月20日,139万3150円- 22 -につき平成19年10月4日,1297万0977円につき平成17年11月24日)となる。 イ弁護士費用 140万円上記認定に係る損害額,本件事案の内容その他諸般の事情を考慮し,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用として,140万円の限度で被告大阪府に負担させることを相当と認める。なお,原告Aは,弁護士費用に対する遅延損害金は請求していない。 ウ上記ア,イによれば,原告Aは,被告大阪府に対し,1581万3606円を請求することができる(2) 原告B及び原告Cについてア原告B及び原告Cは,亡Dの前記損害賠償債権2482万7213円の4分の1相当である620万6803円をそれぞれ相続により承継したところ,前記固有の慰謝料各100万円を加えると,各720万6803円(遅延損害金の起算日は,2万4739円につき平成19年7月20日,69万6575円につき平成19年10月4日,648万5489円につき平成 固有の慰謝料各100万円を加えると,各720万6803円(遅延損害金の起算日は,2万4739円につき平成19年7月20日,69万6575円につき平成19年10月4日,648万5489円につき平成17年11月24日)となる。 イ弁護士費用各70万円上記認定に係る損害額,本件事案の内容その他諸般の事情を考慮し,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用として,各70万円の限度で被告大阪府に負担させることを相当と認める。なお,原告B及び原告Cは,弁護士費用に対する遅延損害金は請求していない。 ウ上記ア,イによれば,原告B及び原告Cは,被告大阪府に対し,790万6803円を請求することができる。 5 結論(1) 以上によれば,原告らの請求は,被告大阪府に対し,以下の金員の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求は理由がなく,被告Eに対する請求は- 23 -理由がない。 ア原告Aにつき,国家賠償法1条1項に基づく1581万3606円及びうち1297万0977円に対する平成17年11月25日(原告A請求に係る本件事故の日の翌日)から,うち4万9479円に対する平成19年7月20日(自賠責保険金120万円の支払日の翌日)から,うち139万3150円に対する同年10月4日(自賠責保険金3000万円の支払日の翌日)から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求イ原告B及び原告Cにつき,国家賠償法1条1項に基づく各790万6803円及びうち648万5489円に対する平成17年11月25日(原告B及び原告C請求に係る本件事故の日の翌日)から,うち2万4739円につき平成19年7月20日(自賠責保険金120万円の支払日の翌日)から,うち69万6575円に対する同年10月4日(自賠責保険金3000万円の支払日の 本件事故の日の翌日)から,うち2万4739円につき平成19年7月20日(自賠責保険金120万円の支払日の翌日)から,うち69万6575円に対する同年10月4日(自賠責保険金3000万円の支払日の翌日)から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求(2) よって,原告らの被告大阪府に対する請求は,上記(1)の限度で認容するが,その余の部分は棄却し,被告Eに対する請求は棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第15民事部 裁判長裁判官稻葉重子 裁判官宮 﨑 朋紀 - 24 -裁判官川崎志織
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