主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A及び同Bの弁護人武田貴志の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,量刑不当の主張であり,被告人Cの弁護人舟木友比古の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であり,被告人Dの弁護人鈴木宏一ほか及び被告人Eの弁護人角山正の各上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ職権で判断すると,本件は,衆議院議員総選挙に際し,宮城県第1区又は同県第2区における民主党公認候補の支援組織となった労働組合の幹部らが,共謀の上,(1) 民主党において小選挙区選出議員選挙の候補者かつ比例代表選出議員選挙の衆議院名簿登載者として届出をする予定の者に当選を得させる目的をもって,電話により有権者に投票依頼を行ういわゆる電話戦術を実施するため,電話による通信販売業務の企画,実施,労働者派遣事業等を営む会社の東北支店の支店長や同支店営業部門担当の従業員に対し,上記届出予定の者及び民主党への投票を電話により依頼する要員を確保して上記労働組合の施設に派遣することを依頼し,その報酬として,上記労働組合から上記支店に金員を支払う旨の意思を表示し,あるいは,(2) 民主党において小選挙区選出議員選挙の候補者かつ比例代表選出議員選挙の衆議院名簿登載者として届け出た者に当選を得させる目的をもって,いわゆる電話戦術を実施するため,上記支店長や上記支店営業部門担当の従業員に対し,上記届け出た者及び民主党への投票を電話により依頼することを依頼し,その報酬として,上記労働組合から上記支店に金員を支払う旨の意思を表示したという事案である。【要旨1 店営業部門担当の従業員に対し,上記届け出た者及び民主党への投票を電話により依頼することを依頼し,その報酬として,上記労働組合から上記支店に金員を支払う旨の意思を表示したという事案である。【要旨1】(1)の投票を電話により依頼する要員を確保して- 1 -派遣する行為及び(2)の投票を電話により依頼する行為は,いずれも選挙運動であり,当該行為にそれぞれ従事する上記支店長らは選挙運動者に該当する。そして,【要旨2】上記労働組合の幹部である被告人らにおいて,そのような選挙運動者である上記支店長らに対し,選挙運動の報酬として,上記労働組合から上記支店長らの勤務する上記支店に金員を支払う旨の意思を表示したことは,被告人らにおいて,上記労働組合と上記支店との間の金員支払関係という特殊の直接利害関係を利用して選挙運動者に対し誘導をしたものということができる。したがって,本件の上記(1)及び(2)の各行為につき,公職選挙法221条1項2号の罪の成立を認めた原判断は相当である。 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官藤田宙靖裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三)- 2 -
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