平成14(ネ)63 約束手形金請求控訴事件 手形引渡請求反訴

裁判年月日・裁判所
平成14年5月28日 名古屋高等裁判所
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判決文本文3,480 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 反訴被告は反訴原告に対し,原判決別紙手形目録記載の手形を引き渡せ。 3 当審における訴訟費用は,反訴に関するものを含め,控訴人の負担とする。 4 この判決の主文第2項は仮に執行することができる。 事実及び理由 (以下,「控訴人兼反訴被告恵那都市開発株式会社」を「控訴人」,「被控訴人株式会社イナックス」を「被控訴人イナックス」,「被控訴人兼反訴原告浅野段ボール株式会社」を「被控訴人浅野段ボール」という。)第1 当事者の求めた裁判(本件控訴事件) 1 控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)控訴人と被控訴人らとの間の,名古屋地方裁判所平成13年(手ワ)第75号約束手形金請求事件について,名古屋地方裁判所が平成13年9月28日言い渡した手形判決を取り消す。 (3)被控訴人らは控訴人に対し,各自金300万円及びこれに対する平成13年7月13日まで年6分の割合による金員を支払え。 (4)訴訟費用は,手形訴訟を含め,第1,2審を通じ,被控訴人らの負担とする。 (5)仮執行宣言 2 被控訴人ら(1)主文第1項と同旨(2)控訴費用は控訴人の負担とする。 (本件反訴事件) 1 被控訴人浅野段ボール(1)主文第2項と同旨(2)反訴費用は控訴人の負担とする。 (3)仮執行宣言 2 控訴人(1)(本案前の答弁)被控訴人浅野段ボールの反訴請求にかかる訴えを却下する。 (2)(本案の答弁)被控訴人浅野段ボールの反訴請求を棄却する。 (3)反訴費用は被控訴人浅野段ボールの負担とする。 案前の答弁)被控訴人浅野段ボールの反訴請求にかかる訴えを却下する。 (2)(本案の答弁)被控訴人浅野段ボールの反訴請求を棄却する。 (3)反訴費用は被控訴人浅野段ボールの負担とする。 第2 当事者の主張(本件控訴事件)当事者の主張は,原判決の「事実」欄の「第2 当事者の主張」に摘示のとおりであるから,これを引用する。 (本件反訴事件) 1 請求原因(1)被控訴人イナックスは,平成13年3月12日,被控訴人浅野段ボールに対し,本件手形を振出交付し,被控訴人浅野段ボールは本件手形を受け取った。 (2)本件手形は,平成13年3月25日午後4時40分頃から翌26日午前6時30分頃までの間に,被控訴人浅野段ボールの2階事務所の金庫から多数の有価証券と一緒に盗取された。 (3)本件手形の適法な所持人すなわち所有者は被控訴人浅野段ボールであり,本件手形の裏書が連続していないので控訴人は適法な所持人ではないことが明らかである。 なお,控訴人が本件手形の適法な所持人ではないことは,本件控訴事件で被控訴人らが主張のとおりである。 (4)よって,被控訴人浅野段ボールは控訴人に対し,本件手形の所有権に基づき本件手形の引渡を求める。 2 本案前の主張控訴人は,被控訴人浅野段ボールの反訴の提起につき,民事訴訟法300条1項の同意をしない。 よって,控訴審における本件反訴の提起は許されない。 3 本案前の主張に対する反論本件控訴事件と本件反訴事件は,争点がいずれも控訴人が被控訴人浅野段ボールとの関係で,本件手形の適法な所持人といえるか否かということに尽きており,いずれも請求の基礎が全く同一であるといえる。したがって,事実審理の範囲に異同がなく,相手方の審級の利益を失わせるおそれがな との関係で,本件手形の適法な所持人といえるか否かということに尽きており,いずれも請求の基礎が全く同一であるといえる。したがって,事実審理の範囲に異同がなく,相手方の審級の利益を失わせるおそれがない本件では,民事訴訟法300条1項の規定の適用はなく,同意がなくとも反訴の提起はできるというべきである。 4 請求原因に対する認否(1)請求原因(1)の事実は認める。 (2)請求原因(2)の事実は知らない。 (3)請求原因(3)の事実は否認する。 本件手形の裏書は連続しており,控訴人が適法な所持人であることは,本件控訴事件における控訴人の主張のとおりである。 5 抗弁控訴人より前に本件手形に裏書をしたAやBは,控訴人に対して,裏書人としての担保責任を負担しており,仮に,本件手形に裏書の連続がないとしても,控訴人はAやBに対しては問題なく遡及することができ,その手形上の権利を行使するには,本件手形を所持していなくてはならず,控訴人は本件手形を所持する正当な利益を有するので,被控訴人浅野段ボールからの本件手形の引渡請求は失当である。 6 抗弁に対する認否抗弁の主張は争う。 裏書の連続を欠く手形を所持する者も,裏書の断続部分について実質的権利を証明すれば手形上の権利が行使できるが,本件においては,被控訴人浅野段ボールからAへの実質的権利の承継を控訴人において主張立証する必要があるところ,この点に関する主張立証はないので,善意取得の認められない控訴人は手形上権利を所持する権利を有せず,本件手形の返還義務を負うことになる。 第3 当裁判所の判断 1 本件控訴事件について(1)当裁判所も,本件第一裏書の効力を否定すべきものと判断するが,その理由は,以下のとおり,付加訂正するほか,原判決の「理由」欄に説示のとおりであるから,これを引用する。 1 本件控訴事件について(1)当裁判所も,本件第一裏書の効力を否定すべきものと判断するが,その理由は,以下のとおり,付加訂正するほか,原判決の「理由」欄に説示のとおりであるから,これを引用する。 ① 原判決7頁1行目から2行目にかけての「会社印を押捺する慣行があること」を「会社印を押捺し,代表者の捺印は代表者の記名の末尾付近に押捺される慣行があること」と改める。 ② 同7頁2行目から4行目の「に加え,本件角印が被告浅野段ボールが手形行為に関し一般的に使用する代表者印ではないこと(乙第2号証)」を削除する。 (2)以上のとおり,控訴人の被控訴人らに対する本件手形金及び利息の支払いを求める本件請求を棄却した原判決は正当であり,本件控訴は理由がない。 2 本件反訴事件について(1)本案前の主張について控訴人は,本件反訴の提起について民事訴訟法300条1項の同意をしないので,控訴審における本件反訴の提起は許されないとして訴えの却下を求める旨主張するので,以下この点について判断する。 基本事件となる本件控訴事件は,本件手形を所持する控訴人が振出人である被控訴人イナックスと裏書人欄に名前が記載された被控訴人浅野段ボールに対して手形金を請求する事件であるところ,本件第一裏書が被控訴人浅野段ボールの裏書として効力があるか否か,本件手形は被控訴人浅野段ボールから盗取されたことから控訴人が手形上の権利を取得しているかなどが争点となっているものであり,他方,本件反訴事件は,被控訴人浅野段ボールが本件手形を盗取されたが,自分に本件手形の所有権があると主張して本件手形の所持人である控訴人に本件手形の引渡を求めるものであるから,両事件の請求の基礎は同一であると認められる。すると,本件反訴の提起については,民事訴訟法300条1項が規定 有権があると主張して本件手形の所持人である控訴人に本件手形の引渡を求めるものであるから,両事件の請求の基礎は同一であると認められる。すると,本件反訴の提起については,民事訴訟法300条1項が規定する相手方の同意を要することなく,訴えを提起することができるというべきであり,控訴人の上記主張は採用できない。 (2)本件反訴の請求について請求原因(1)の事実は当事者間に争いがなく,同(2)の事実は,乙第1号証,丙第1号証,第2号証によって認めることができ,同(3)の事実は,本件控訴事件における判断で明らかなように,これを認めることができる。 抗弁について検討するに,控訴人が所持する本件手形は,裏書が連続しておらず,正当な権利者である被控訴人浅野段ボールからの返還請求を拒むことはできないのであって,控訴人がAやBに対する手形上の権利を有していても,同様に拒むことはできず,上記抗弁の主張を採用することはできない。 すると,本件反訴請求は理由がある。 3 結論以上の次第で,本件控訴は,理由がないから,これを棄却し,本件反訴請求は理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第4部裁判長裁判官小川克介裁判官黒岩巳敏裁判官鬼頭清貴

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