2,852 文字
主文 本件上告は之を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 一、 上告代理人は原判決を破棄した上更に相当の判決あらんことを求め、被上告代理人は上告棄却の判決を求めた。而して、上告代理人の上告理由は別紙の通りである。二、 当裁判所の判断は左の通りである、(1) 上告理由第一点について上告人は原判決は上告人の先代が本件公有水面埋立のため海中に投入した土砂は民法第二百四十二条の附合の原理によつて当然国の所有となると判示したが本件の場合には附合すべき主たる不動産は存在しないと主張する。然しながら、原判決の確定した事実によれば本件土地は元公有水面であつたところ上告人先代が明治三十四、五年頃自己資金を投じて右水面の埋立工事に着手し明治四十一年頃右工事を完成して現況の土地を作つたというのである。而して、公有水面(その地盤を含む)は国有地であるから海中に土砂を投入して公有水面に従として附合せしめたときは土砂は当然国有に帰するものと解せられる。従つて、上告人主張の如く本件の場合附合すべき不動産なしとなすことが出来ないから上告人の論旨は採用することが出来ない。(2) 上告理由第二点について。上告人は原判決は一方において公有水面埋立のために上告人の先代が投入した土砂は附合の原理により当然国の所有に属すると判断しておきながら更に公有水面埋立法第三十五条を援用するのは矛盾であると主張する。<要旨>成程公有水面埋立法第三十五条第二項は公有水面埋立免許が失効したときの原状回復義務が免除された場合に</要旨>関し(無免許埋立の場合は同法第三十六条により右第三十五条第二項が準用せられ本件の場合は無免許埋立の場合なることは原判決の認定するところである。)「前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於 場合に</要旨>関し(無免許埋立の場合は同法第三十六条により右第三十五条第二項が準用せられ本件の場合は無免許埋立の場合なることは原判決の認定するところである。 免許が失効したときの原状回復義務が免除された場合に</要旨>関し(無免許埋立の場合は同法第三十六条により右第三十五条第二項が準用せられ本件の場合は無免許埋立の場合なることは原判決の認定するところである。)「前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於 場合に</要旨>関し(無免許埋立の場合は同法第三十六条により右第三十五条第二項が準用せられ本件の場合は無免許埋立の場合なることは原判決の認定するところである。)「前項但書ノ義務ヲ免除シタル場合ニ於テハ地方長官(都道府県知事)ハ埋立ニ関スル工事ノ施行区域内ニ於ケル公有水面ニ存スル土砂其ノ他ノ物件ヲ無償ニテ国ノ所有ニ属セシムルコトヲ得」と規定しあたかも地方長官(都道府県知事)が右の如き処分をなさざる限り土砂其の他の物件の所有権は当然埋立工事施行者に属するかの如く解せられる。然しながら、右規定は固より附合に関する民法第二百四十二条を排除する趣旨ではなく同条の趣旨はむしろ同条所定の場合においては右物件を「無償ニテ」国の所有に帰せしめるところに意味があるものと解すべきである。即ち、同条は埋立の免許の効力消滅したる場合における埋立免許を受けた者及無免許にて埋立をなしたる者については同人等の申請等の事由により公有水面に存する土砂其の他の物件を撤去して原状に復せしめると共に(撤去した土砂其の他の物件の所有権は国か放棄したものと解する。)同条所定の右原状回復義務を免除した場合には事情により右土砂其の他の物件を無償にて国有となし補償をなさざることを得る旨を定めたものと解すべきである。換言すれば同法第三十五条第二項の処分がなされざる限り国は同条第一項の場合においても埋立者に対し民法の規定に従い右土砂其の他の物件につき正当な償金を支払うべき義務があることとなるのである。従つて、原判決には上告人主張の如き矛盾があるということが出来ないから上告人の右論旨は採用出来ない。(3) 上告論点第三点について。上告人は公有水面埋立法第三十六条は無免許にて埋立をなした者に対し地方長官(都道府県知事)が公有水面に存する土砂其の他の物件を無償にて国の所有に帰属せしめる処 (3) 上告論点第三点について。上告人は公有水面埋立法第三十六条は無免許にて埋立をなした者に対し地方長官(都道府県知事)が公有水面に存する土砂其の他の物件を無償にて国の所有に帰属せしめる処分をなさない限り地方長官(都道府県知事)に対し埋立に関する追認請求権を認めたものであると主張する。 埋立をなした者に対し地方長官(都道府県知事)が公有水面に存する土砂其の他の物件を無償にて国の所有に帰属せしめる処 (3) 上告論点第三点について。上告人は公有水面埋立法第三十六条は無免許にて埋立をなした者に対し地方長官(都道府県知事)が公有水面に存する土砂其の他の物件を無償にて国の所有に帰属せしめる処分をなさない限り地方長官(都道府県知事)に対し埋立に関する追認請求権を認めたものであると主張する。然しながら、同条は右の如き追認請求権を認めたものとなすことが出来ない。けだし、公有水面埋立を免許すると否とは原判決も認める如く公益、私益に関すること甚大であり、例令原状回復の必要がなくなつた場合でも前記の如く無免許埋立者の土地其の他の物件を無償にて国有に帰せしめ得るのであるから追認をなすと否とは地方長官(都道府県知事)において右事情を考慮して追認すると否とを決すべきものだからである。而して、本件の場合本件土地が被上告人の前々主保証責任小樟漁業協同組合に払下げられたこと(上告理由は被上告人に払下げというも右の誤解と解する。)は原状回復の必要がなくなつたことを認め得る資料となし得たとしても当然に無免許埋立を追認すべきこととなるものではない。 即ち無免許埋立を追認すれば竣工認可を得て当然埋立地は埋立者の所有に帰することとなるから場合によつては免許しないこともあり得るからである。のみならず本件の場合においては未だ公有水面埋立法第三十五条第二項の処分のなされていることは原判決の認めないところであるから現在の状態においては上告人は国に対し公有水面埋立のための土砂其の他の物件につき民法第二百四十八条の償金を請求をなし得べきものというべきであるから国が本件土地を第三者に売渡したことを以て憲法第二十九条違反の処分となすことが出来ない。されば、上告人の右論旨も採用することが出来ない。三、 以上の理由により本件上告は理由がないから之を棄却し、民事訴訟法第四百九条の 渡したことを以て憲法第二十九条違反の処分となすことが出来ない。されば、上告人の右論旨も採用することが出来ない。三、 以上の理由により本件上告は理由がないから之を棄却し、民事訴訟法第四百九条の三、第三百八十四条第八十九条、第九十五条を適用し主文の如く判決する。(裁判長裁判官県宏裁判官越川純吉裁判官奥村義雄)
▼ クリックして全文を表示