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主文 原判決を破棄する。本件を大阪高等裁判所に差し戻す。理由 上告代理人毛利与一、同島田信治、同増井俊雄の上告理由第一点について。被用者のなした取引行為が、その行為の外形からみて、使用者の事業の範囲内に属するものと認められる場合においても、その行為が被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでなく、かつ、その行為の相手方が右の事情を知りながら、または、少なくとも重大な過失により右の事情を知らないで、当該取引をしたと認められるときは、その行為にもとづく損害は民法七一五条にいわゆる「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」とはいえず、したがつてその取引の相手方である被害者は使用者に対してその損害の賠償を請求することができないものと解するのが相当である。ところで、原判決の確定したところによれば、昭和三〇年一二月二二日、当時上告銀行のD支店長であつたEと被上告人との間で行なわれた本件の取引は、上告銀行がみずから被上告人に対し資金の貸付ないし手形の割引をするというのではなくして、右Eが、被上告人の依頼により、第三者たるある会社が同じく第三者たるその取引銀行に対してもつている手形割引の枠を利用して、被上告人振出の本件手形を割引いてもらうことの斡旋を引き受け、そのために右手形を預かつたというのであり、しかも右Eは、上告銀行の内規、慣行に反して右取引をなし、これにつき支店長代理にも相談せず、本店にも報告しなかつたというのであるから、右取引におけるEの行為は、上告銀行のD支店長としての職務権限内において適法に行なわれたものとは到底いえないのみならず、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条、九条にも違反する疑いのある行為であるといわなければならない。- 1 -ま 務権限内において適法に行なわれたものとは到底いえないのみならず、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条、九条にも違反する疑いのある行為であるといわなければならない。 、上告銀行のD支店長としての職務権限内において適法に行なわれたものとは到底いえないのみならず、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条、九条にも違反する疑いのある行為であるといわなければならない。- 1 -ま 務権限内において適法に行なわれたものとは到底いえないのみならず、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律三条、九条にも違反する疑いのある行為であるといわなければならない。- 1 -また、原判決は、被上告人は右Eから、上告銀行がみずから手形割引をするのではなくして、第三者による手形割引の斡旋をするにすぎないことを告げられながら、これを承諾して被上告人振出の本件手形を交付したものであること、右手形はいずれも融通手形にすぎなかつたところ、被上告会社およびその子会社であるF物産株式会社の関係者と右Eとが通謀して、右F物産株式会社に裏書をさせ商業手形としての体裁をそなえさせたこと、被上告人は本件の取引より以前には上告銀行D支店とは全く取引関係がなく、かつ、右手形はその額面合計額が金三、〇〇〇万円にも達する高額のものであつたにかかわらず、被上告人は、右取引につき、右Eから約定書の差し入れ、担保物の提供等は全然要求されなかつたこと、さらに右取引については、被上告会社の常務取締役(経理部長)であつたGことH、その経理課長であつたIが直接右Eと折衝していること、をそれぞれ認定している。これらの事実を総合して考察し、ことにその職務上金融取引につき相当の知識と経験とを有するものと推認される被上告会社の常務取締役(経理部長)および経理課長が直接右取引に関与していることを考えると、本件の取引に当たつては、その相手方たる被上告人の側においても、右取引におけるEの行為が上告銀行のD支店長としての職務権限を逸脱して行なわれたものであることを知つていたか、または、重大な過失によりこれを知らなかつたものと認めるべきではないか、との疑問が生ずるのを禁じえない。そして、もし右の点を肯定的に認定することができるとするならば、かりに本件の取引行為が外形上上告銀 重大な過失によりこれを知らなかつたものと認めるべきではないか、との疑問が生ずるのを禁じえない。そして、もし右の点を肯定的に認定することができるとするならば、かりに本件の取引行為が外形上上告銀行の事業の範囲内の行為に属するものと認められるとしても、なお被上告人は、右Eの使用者たる上告人に対して、本件取引行為にもとづく損害の賠償を請求することができないものといわざるをえない。 の取引行為が外形上上告銀 重大な過失によりこれを知らなかつたものと認めるべきではないか、との疑問が生ずるのを禁じえない。そして、もし右の点を肯定的に認定することができるとするならば、かりに本件の取引行為が外形上上告銀行の事業の範囲内の行為に属するものと認められるとしても、なお被上告人は、右Eの使用者たる上告人に対して、本件取引行為にもとづく損害の賠償を請求することができないものといわざるをえない。しかるに、原判決は、右の点について確認することなく、たやすく被上告人につき上告人に対する前記損害賠償請求権の存在を認め、これにもとづいて被上告人の- 2 -本訴請求を認容したものであるから、原判決は民法七一五条の解釈適用を誤り、ひいては審理を尽くさない違法をおかしたものといわなければならない。したがつて、原判決のこの点に関する違法を主張する論旨は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。そして、被上告人の右損害賠償請求権の存否を確定するためには、なお事実審理を必要とするから、本件を原審たる大阪高等裁判所に差し戻すのが相当である。よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官大隅健一郎裁判官入江俊郎裁判官長部謹吾裁判官松田二郎裁判官岩田誠- 3 - 田誠
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