令和6(わ)280 傷害被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年3月25日 水戸地方裁判所
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判決文本文2,035 文字)

- 1 -令和7年3月25日宣告令和6年(わ)第280号 主文 被告人を懲役1年2月に処する。 未決勾留日数中140日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、甲と共謀の上、令和6年5月29日頃、水戸市ab丁目c番d-e号fの当時の被告人方において、甲の実子である乙(当時7歳)に対し、甲がエアソ フトガンでBB弾を複数回発射して乙の左手及び右膝に命中させ、さらに、被告人が乙の顔面や腹部を拳で殴るなどの暴行を加え、よって、乙に全治まで約2週間を要する顔面皮下血腫、左手、右下腿皮下血腫、左腸骨付近の皮下血腫の傷害を負わせた。 (証拠の標目)記載省略 (事実認定の補足説明) 1 被告人は当公判廷で、被害者の顔を拳で殴ってはいない旨弁解し、弁護人も被告人の弁解に沿って、被告人は被害者の顔面を拳で殴る暴行を加えていない旨主張するので、当裁判所が被告人の暴行を判示のとおり認定した理由を補足して説明する。 2 被害者は、被害の2日後に司法面接的手法を用いて行われた検察官による聴取の際に、どうして眉間が赤くなっているのか尋ねられて、被告人に殴られた旨を述べ、殴られた部位として眉間、口唇部、腹部、脇腹を指示している。また、被害者は当公判廷で、被告人に殴られたのはグーだったかパーだったかと尋ねられて、グーである旨を述べ、殴られた部位を尋ねられて、目の間の鼻の 部分と右脇腹を指し示し、腹と口も殴られた旨を述べている。 - 2 -こうした被害者の供述は、被害2日後の医師による診察で、左目頭から鼻根にかけての皮下血腫や上唇小帯周囲の歯肉の発赤が認められたこととよく整合している。また、被害翌朝に担任教 る。 - 2 -こうした被害者の供述は、被害2日後の医師による診察で、左目頭から鼻根にかけての皮下血腫や上唇小帯周囲の歯肉の発赤が認められたこととよく整合している。また、被害翌朝に担任教諭に話して以降、内容がほぼ一貫しており、教諭や検察官が聴取するまでの過程等で不当な影響があった形跡も全くうかがわれない。したがって、被害者の供述には高い信用性が認められる。これによ れば、被告人が被害者に対して顔面を拳で殴る暴行を加えたことが認定できる。 弁護人は、①被害者は年少で表現能力が未成熟であり、殴られた回数も一貫していない、②検察官による聴取の際に被害者が人形を用いて再現したような動きを被告人が行うことは困難であった、などと指摘して、被害者の供述に全面的に依拠すべきではないと主張する。しかし、①については、年齢や言葉使 い等を踏まえても、被害者は顔を拳で殴られた旨を明瞭に述べているし、腹部等を含めての殴られた回数に多少の違いがあるからといって、顔を殴られたという供述が信用できなくなるわけではない。②については、被告人が公判で述べるところによっても、被告人は被害者の脇腹を殴り、腹部辺りを膝で押し上げ、被害者の肩をつかんで引き倒したというのであるから、被害者が再現した ような行動がおよそできなかったとはみられない。また、仮に被害者が再現したほどには連続していなかったとしても、先に検討したような負傷状況との整合性等に鑑みれば、顔を殴られたとする点に疑問は生じない。 3 以上に対し、被告人は当公判廷で、被害者の顔を拳で殴ってはおらず、被害者の顔の傷は、床に四つん這いになった被害者を踏んだ時に床にぶつけてでき たのではないかと思うなどと供述するが、高い信用性が認められる被害者の供述に反する上に、被害者の顔面の負傷状 らず、被害者の顔の傷は、床に四つん這いになった被害者を踏んだ時に床にぶつけてでき たのではないかと思うなどと供述するが、高い信用性が認められる被害者の供述に反する上に、被害者の顔面の負傷状況とも整合しないから、そのような被告人の供述は信用できない。 4 以上の次第で、判示のとおり認定した。 (法令の適用)記載省略 (量刑の理由)- 3 -被告人は、内妻と共謀の上、エアソフトガンを用いるなどもして当時7歳の被害者に順次暴行を加えており、態様は悪質である。被害者の傷害の程度は重篤とはいえないが、その肉体的、精神的苦痛は大きく、今後の成育への悪影響も懸念される。 被告人は、被害者が約束を守らなかったのに謝らなかったので犯行に及んだなどというのであるが、もとより暴力が正当化される理由とはならない。こうした事情の ほか、被告人が被害者の顔を拳で殴ったことは否認するものの、その余の事実を認めて反省の言葉を述べていること、被告人には前科前歴がないことなどの事情も考慮し、被告人に対しては、主文の刑を科した上、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑懲役1年2月) 令和7年3月25日水戸地方裁判所刑事第1部 裁判官有賀貞博

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