【DRY-RUN】主 文 一 原告らの請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一 請求 被告は、原告ら各自に対し、それぞれ別紙請求目録請求金額欄記載の金員及び右
主文 一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求被告は、原告ら各自に対し、それぞれ別紙請求目録請求金額欄記載の金員及び右各金員に対する平成四年一月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、被告の従業員である原告らが、銀行の完全週休二日制実施にともなって被告が変更した就業規則の内容は、土曜日を休日にする代わりに、週の初めと月末の平日の所定労働時間を延長するなど労働者にとって不利益なものであり、しかもその変更に合理性がないから、これに同意していない原告らには、新就業規則の効力は及ばないとして、旧就業規則に基づき計算した平成元年二月一六日から平成三年三月一五日までの時間外勤務手当から現実に支払われた時間外勤務手当を差し引いた残額の支払を求めた事案である。 一争いのない事実 1 当事者(一) 原告らは被告の従業員で、いずれも羽後銀行従業員組合(以下「従組」という)の組合員である。従組の現在の組合員数は約三〇名であり、全国地方銀行従業員組合連合会(以下「地銀連」という)に加盟している。 (二) 被告は秋田市に本店を置き、主に秋田県内に支店を有する地方銀行で、平成元年五月時点での従業員数は九八七名である。 なお、被告には従組の他羽後銀行労働組合(以下「労組」という)があり、その組合員数は約七三〇名である。 2 時間外勤務手当の定め被告における給料の支払は毎月一五日締めで翌月二一日払いである。 一か月間(前月一六日から当月一五日まで)の時間外勤務手当額は、各人の一時間当たりの賃金単価に一か月間の時間外勤務時間を乗じた額によるが、賃金単価は、各人の基準賃金に各種手当を加えた額を、当該年度の所定内労働時間を一二で除した時間数である 時間外勤務手当額は、各人の一時間当たりの賃金単価に一か月間の時間外勤務時間を乗じた額によるが、賃金単価は、各人の基準賃金に各種手当を加えた額を、当該年度の所定内労働時間を一二で除した時間数である一か月間の平均所定内労働時間で除したものである。 3 就業規則の変更と右変更された就業規則を原告らに適用するまでの経緯(一) 被告、従組間には昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協約が存在し、右労働協約では、平日の所定労働時間は午前八時五〇分から午後四時五〇分(その間休憩六〇分)で、土曜日のそれは午前八時五〇分から午後二時(休憩六〇分)と定められ、また、土曜日については、月一回の交替制指定休日の制度が採用されていた。 (二) 昭和五八年八月から、政令により毎月の第二土曜日が銀行の休日とされたのにともない、被告は、毎月第二土曜日を休日とし、交替制指定休日は廃止する、土曜日の実働時間が八時間を超えない場合の休憩時間を四五分に短縮する、新たに年間三日の土曜特別休暇を付与することを内容とする就業規則の改定を労組と従組に提案し、労組との間では右就業規則について労働協約が成立したが、従組との間では妥結に至らなかったため、被告は右就業規則を従組には適用しなかった。 次に、昭和六一年八月から、政令により毎月の第三土曜日も銀行の休日とされたのにともない、被告は従組及び労組に対し、平日の終業時刻を一〇分間遅らせ午後五時までとする、第三土曜日を休日とする、年間三日の土曜指定休日を年間二日とし、六か月に一日とするという内容の就業規則の改定案を提出し労組とは妥結したが、従組とは妥結に至らなかったため、右改定就業規則は従組組合員以外の従業員のみに適用し、従組組合員についてはこれを適用しなかった。 このため、被告における平日の勤務時間は、従組組合員については午前八時五〇 は妥結に至らなかったため、右改定就業規則は従組組合員以外の従業員のみに適用し、従組組合員についてはこれを適用しなかった。 このため、被告における平日の勤務時間は、従組組合員については午前八時五〇分から午後四時五〇分まで、それ以外の従業員については午前八時五〇分から午後五時までとなった。 また、従組組合員以外の従業員は、前記就業規則、労働協約の変更により、毎週第二、第三土曜日が休日となったが、従組組合員については、引き続き昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協定(昭和五九年一月に一部変更)が適用された結果、第二土曜日は特別休日、第三土曜日は自宅研修との扱いがなされた。 (三) 被告は、昭和六三年一〇月一四日、従組に対し、前記昭和五〇年七月二八日付労働協約の解約を通告したため、右通告から九〇日を経過した平成元年一月一七日右協約は失効した。その結果、原告らの勤務時間は右労働協約の対象になっていた就業規則により規律されることになった(以下、この就業規則を「改定前就業規則」という。)。 (四) 政令により平成元年二月から銀行の完全週休二日制が実施されるのを控え、被告は、昭和六三年一二月二八日、従組及び労組に対し、毎週の週初営業日及び毎月二五日以降月末までの営業日については終業時刻を午後五時五〇分とする、第二、第三土曜日のほかに全土曜日を従業員の休日とする、土曜指定休日年間二日を廃止することを内容とする就業規則等の改定案を提出した。その後、被告は右勤務時間を延長する日から年末、年始の営業日を除外する一部修正提案を両組合に行い(以下、終業時刻が午後五時五〇分までとなる日を「特定日」という。)、平成元年一月三一日、右修正案で労組とは妥結し、修正案を内容とする就業規則改定の手続きがとられ(以下、この改定後の就業規則を「改定就業規則」という。また、改 〇分までとなる日を「特定日」という。)、平成元年一月三一日、右修正案で労組とは妥結し、修正案を内容とする就業規則改定の手続きがとられ(以下、この改定後の就業規則を「改定就業規則」という。また、改定前就業規則から改定就業規則に変更されたことを「本件就業規則の変更」という。)、従組組合員を除き平成元年二月一日より、改定就業規則が適用された。 一方、被告と従組とは何回か団体交渉を重ねたが、妥結するには至らず、被告は、平成元年三月一日より、従組の同意及び原告ら各人の同意なくして、改定就業規則を、原告らにも適用した。 改定就業規則が原告らにも適用されると、原告らの平日の所定労働時間は、従来午前八時五〇分から午後四時五〇分であったものが、特定日以外の平日が午前八時五〇分から午後五時、特定日は午前八時五〇分から午後五時五〇分と延長され、一方、土曜日がすべて休日となる。 二争点と双方の主張の要旨 1 本件就業規則の変更は不利益変更といえるか。 (原告らの主張)改定就業規則によれば、従組組合員については、特定日につき所定労働時間が六〇分、それ以外の平日については一〇分延長され、更に、所定労働時間の延長により、延長された時間については時間外勤務手当が支給されなくなる。 完全週休二日制の実施により仮に年間所定労働時間が減少するとしても、完全週休二日制による休日の増加は、銀行法及び同法施行令により、当然に労働者に与えられたもので、一日の所定労働時間の延長それ自体で不利益性を判断しなければならない。 仮に、休日増も併せて不利益性を判断するとしても、年間所定労働時間が減少するということだけで、不利益性がないということはできない。一日の所定労働時間が延長されれば、労働者の従来の生活リズムが崩されてしまい、休日増では補いきれない苦痛を労働者に与えることになる 間が減少するということだけで、不利益性がないということはできない。一日の所定労働時間が延長されれば、労働者の従来の生活リズムが崩されてしまい、休日増では補いきれない苦痛を労働者に与えることになる。特に家庭をもつ女性労働者に与える影響は大きい。 (被告の主張)本件就業規則の変更により、完全週休二日制が実現され、休日が増加し、年間所定労働時間も原告らとの関係では従来の一八九一時間三〇分が、一八四九時間二〇分と四二時間一〇分減少しているのであるから、不利益変更ということはできない。不利益変更であるか否かは、改定就業規則全体と改定前就業規則全体を比較すべきである。 特定日につき所定労働時間を延長するという措置をとったとしても、特定日は年間九五日程度あるだけであるし、しかも、労働基準法に定める一日八時間、一週四〇時間の枠内のことであり、生活のリズムを崩すなどというものでない。 賃金面でも、被告は休日の増加による月例賃金の引下げをしておらず、原告らの賃金単価はかえって上昇することになる。 2 本件就業規則の変更に合理性が認められるか。 (被告の主張)(一) 本件就業規則の変更により、完全週休二日制が実施され休日が増加したうえ、原告らの年間所定労働時間も従来の一八九一時間三〇分が、一八四九時間二〇分と四二時間一〇分短縮しており、また、賃金の減収を伴っていないものであるから賃金面でも有利になっている。一八四九時間二〇分というのは、東北地方の地銀一〇行中三番目、全国の地銀六四行中七番目に位置するものであり、特定日以外の一日七時間一〇分の所定労働時間は全国の地銀の中でも最も短いものである。 (二) 被告の場合、従来から連休明けの週初営業日及び毎月二五日以降月末までの業務が極端に繁忙であり、土曜日の休業により更にこれらの日の業務量の増加が予想され、事 の地銀の中でも最も短いものである。 (二) 被告の場合、従来から連休明けの週初営業日及び毎月二五日以降月末までの業務が極端に繁忙であり、土曜日の休業により更にこれらの日の業務量の増加が予想され、事務量調査をしたところ、第二土曜日、第三土曜日の連休明けの月曜日、二五日以降月末までの営業日は事務量が多いことが判明し、効率的な企業運営をはかるべく繁忙実態に即した勤務時間体制に調整する必要があった。 (三) 完全週休二日制の実施により、CD(現金自動支払機)・ATM(現金自動預払機)の休日稼働を従業員の出勤なしに保守管理するシステムに変えるための膨大な設備役資とその後のランニングコストの増加もあるので、完全週休二日制に伴う大幅な所定労働時間の短縮は、諸手当の基準となる賃金単価の大幅な上昇を招くことになるから、特定日の所定労働時間を延長するなどして、年間所定労働時間の過度な減少を避け、人件費コストの大幅な上昇を防止する経営上の必要性があった。 (四) 第二土休実施の際に全国地銀のうち所定労働時間を延長した銀行が三〇行あった。また、第二、第三土休の実施の際にも大多数の銀行において、一日あたりの所定労働時間延長の措置をとっている。完全週休二日制実施の際にも、全国地銀六四行中被告を含めた六二行が一日あたりの所定労働時間を延長し、そのうちの六〇行が週初、月末等の業務繁忙日の終業時刻を延長している。 (五) 被告は、昭和五八年八月からの第二土休実施に際し、同年七月六日、経営上の必要性、他銀行の取り扱い等を考慮して、毎月第二土曜日を休日とし、従来の月一回の交替制指定休日は廃止する、土曜日の実労働時間が八時間を超えない場合の休憩時間を四五分に短縮する、新たに年間三日の土曜日特別休暇を付与する旨の就業規則の改定案を労組及び従組に提案した。労組とは同月二五日までに全 日は廃止する、土曜日の実労働時間が八時間を超えない場合の休憩時間を四五分に短縮する、新たに年間三日の土曜日特別休暇を付与する旨の就業規則の改定案を労組及び従組に提案した。労組とは同月二五日までに全ての件につき妥結したが、従組は政令による第二土休は法律上当然に従業員の休日となる、交替制指定休日の廃止は既得権の侵害であるとの主張を繰り返し、提案内容に関する協議に入ろうとしなかった。 そのため従組組合員とそれ以外の従業員との間で同年八月以降休日の扱いに差異が生ずることになり、人事管理上重大な支障をきたすことが懸念されたため、指定休日に代わるものとして特別休日を付与するという特別の配慮をしながら誠意交渉を重ねたが、従組は従来の主張を変えずまた予定外の問題を持ち出すなどしたため妥結するに至らず、結局、被告としても統一的な勤務体制を実現する必要に迫られ、昭和五九年一月より、毎月第二土曜日を休日とし、従来の月一回の交替制休日を廃止するとの部分のみ従組組合員にも適用することにした。 昭和六一年八月からの第二、第三土休実施の際には、他銀行の動向等を勘案しながら、毎月第三土曜日を休日とする、平日の終業時刻を一〇分間延長する、土曜指定休日を年二日とする就業規則の改定案を労組及び従組に提案した。労組とは妥結したが、従組は従来の主張を繰り返し、被告提案の中身についてなかなか交渉に入ることはできず、結局妥結することはできなかった。 こうした状況の中で完全週休二日制の実施を迎えたが、被告としては、従組組合員とその他の従業員とで休日や勤務時間に差があることが人事管理上の支障となる一方、従組側に週休二日制に関する勤務体制の問題を前向きに解決する意思がないことが明らかになったので、昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協定の解約手続きを行ったうえ、平成元年二月からの 障となる一方、従組側に週休二日制に関する勤務体制の問題を前向きに解決する意思がないことが明らかになったので、昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協定の解約手続きを行ったうえ、平成元年二月からの完全週休二日制に対応した改定就業規則を従組に提案した。 労組は右提案を受け入れたが、従組は具体的な提案内容についての協議に入ろうとせず、銀行の休日は法律上当然の従業員の休日であるとの立場に固執し、解決の見通しがまったく立たなかったため、被告は他の従業員と異なった勤務条件を長期間続けることは人事管理上重大な事態が惹起されることを懸念し、平成元年三月から原告らに対しても改定就業規則を適用したものである。 (原告らの主張)(一) 銀行の営業休日は、銀行の公的性格から法的規制を受けてきたが、銀行法の休日は当然に銀行労働者の休日であると労使ともに認識していた。昭和五六年五月の銀行法の改正、その後の銀行法施行令の改正による第二土休、第二・第三土休、完全週休二日制は、銀行労働者による週休二日制の実現に向けての運動、日本人の働き過ぎに対する強い国際的批判、週休二日制を求める国内世論の高まりを背景としてなされたもので、その主眼は週休二日制の実現による労働時間の短縮にあったのであるから、週休二日制の実施と引き換えに平日の勤務時間を延長するのは銀行法及び同法施行令改正の趣旨に反し許されない。 (二) 改定就業規則を適用すると被告の従業員の年間所定労働時間は平成元年度(平成元年四月から平成二年三月まで)の暦では一八四九時間二〇分になるところ、本件就業規則の変更前、被告は従組組合員については第三土曜日を自宅研修扱いとし、なんらの労働義務も課していなかったのであるから、実質は休日となっていたものであり、これを休日として従組組合員の従前の年間所定内労働時間を計算すると、 組合員については第三土曜日を自宅研修扱いとし、なんらの労働義務も課していなかったのであるから、実質は休日となっていたものであり、これを休日として従組組合員の従前の年間所定内労働時間を計算すると、原告らの従前の年間所定労働時間は一八四一時間三〇分となる。従って、本件就業規則の変更により、原告らの年間所定労働時間は延長されることになる。 (三) 本件就業規則の変更が労働者に与える不利益は、以下のとおり、極めて大きいものである。 (1) 労働者は一日単位で生理的、精神的生活を送っており、寝だめ、休みだめはできないのであるから、一日のうち一時間の労働時間の延長が労働者に与える生理的、精神的影響は大きい。 (2) 一時間の労働時間の延長は特に女性労働者に与える影響が大きい。多くの女性労働者は家事や育児の負担を負っているが、終業時刻が一時間遅れると子供を保育園に迎えに行くのが間に合わなくなったり、家事に深刻な影響が出る。 (3) 銀行においては時間外勤務が常態になっているが、特定日の所定労働時間が一時間延長されると、従来なら時間外勤務手当を得られたのが得られない結果となる。その額は月額にして約二万円になるから、本件就業規則の変更により、原告らは月額約二万円の収入減になる。 (4) 銀行では長時間過密労働が行なわれてきたが、特定日の労働時間の延長はそれを固定化することになる。 (四) 重要な労働条件に関する就業規則の不利益変更には高度の必要性を要するが、本件では平日の所定内労働時間を延長しなければならない高度の必要性は存しない。 被告は人件費コストの大幅な上昇を防止する必要があると主張するが、具体的にどれだけのコスト高になるのかはその主張からは明らかではなく、そもそも、一日の所定内労働時間を延長しなければ、被告が損害を受けるという事情も存在しない。す を防止する必要があると主張するが、具体的にどれだけのコスト高になるのかはその主張からは明らかではなく、そもそも、一日の所定内労働時間を延長しなければ、被告が損害を受けるという事情も存在しない。すなわち、銀行は、営業しなくとも利息はそのまま維持されるから休日の増加により生産性が減少することがない特殊な産業であり、ランニングコスト等の経費がかからない分利益率はあがり、一方一日の所定労働時間の延長により時間外勤務手当を削減することができるのである。また、CD・ATM稼働の設備は完全週休二日制実施のために行われたものではなく、以前から進められていた合理化の一環として行われたに過ぎない。結局、被告は、一方で労働者に対し前記のような不利益を課しながら、他方で人件費等削減の巨額の利益を得ていることになる。仮に若干のコスト増があっても、完全週休二日制によるコスト上昇は企業の負担とすることを前提に実現されていったものであって、平日の所定労働時間の延長等によりコスト上昇分を労働者に転嫁することは許されない。 また、被告は、業務の繁忙を主張するが、これを理由として就業規則の不利益変更が許されるとすると、いかなる企業も簡単に不利益変更ができることになってしまい、一日の所定労働時間を労働協約、就業規則で定める意味がなくなってしまう。したがって、業務の繁忙は、一日の所定労働時間延長の必要性を裏付けるものではない。 他銀行のすべてが本件と同様の措置をとっているにしても、このことから直ちに合理性が認められるとすれば、労働者の正当な権利が多数の侵害例の故に救済されないという不合理な結果を招来することになるから、右のような事情は合理性を基礎づけるものではない。また、他の従業員との均衝という点も、これを理由に必要性が肯定されると少数組合は正当な権利主張さえできないとい う不合理な結果を招来することになるから、右のような事情は合理性を基礎づけるものではない。また、他の従業員との均衝という点も、これを理由に必要性が肯定されると少数組合は正当な権利主張さえできないという不合理な結果となるから、これも合理性を基礎付けるものではない。 (五) 被告、従組間の昭和五三年三月二三日付労働協約五条には、「銀行は就業規則その他労働条件に関する規則を制定改廃する場合、予め銀行組合協議の上決定する」との定めがあり、少なくとも、被告は就業規則の変更につき充分な協議を尽くす義務があるが、被告の週休二日制に関する交渉態度は、充分な協議を尽くさない不誠実なものであった。 第二土休実施の際、被告は実施の直前である昭和五八年七月六日になって、突然就業規則の改正案を提出し、同月一二日と同月二一日の二回の交渉をしただけで、同月三〇日、一方的に交替制土休協定の破棄通告を行い、これに関する団体交渉の際、同年八月以降の第二土曜日は自宅研修扱いする旨通告してきた。また、従組としては有給休暇の促進、時間外勤務の削減を週休二日制とともに総合的に検討する必要があるので、他銀行分も含めた残業時間の実態、指定休日、有給休暇等の消化状況についての資料提供を求めたが、被告はこれに応じようとせず、労組との妥結後は被告の提案の受諾を求めるのみで、何ら誠意ある交渉をしなかった。 昭和六一年八月からの第二、第三土休実施に伴い、被告は平日の所定労働時間を一〇分間延長する就業規則の改定提案を行ったが、数回しか団体交渉が行われなかった。 完全週休二日制実施を前にして被告は、一日の所定内労働時間の延長を一方的に実施するために、昭和六三年一〇月一四日、昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協約を一方的に解約する旨通告してきた。従組は、この解約通告に対し組合を無視した不当な の所定内労働時間の延長を一方的に実施するために、昭和六三年一〇月一四日、昭和五〇年七月二八日付就業規則に関する協約を一方的に解約する旨通告してきた。従組は、この解約通告に対し組合を無視した不当なものであるとして被告に厳重に抗議するとともに、労働時間延長なしの完全週休二日制の実施を強く要請した。 しかるに、被告は年末も押し迫った昭和六三年一二月二八日に就業規則の改正提案を行い、これまでの提案即説明団体交渉の労使慣行に反し、翌年一月六日になってはじめて説明団体交渉が開かれた。この問題で何回か団体交渉が行われたが、被告は従組の主張を頭から否定し、交渉により問題解決をしていこうという態度はとらず、従組の平成元年二月以降の土曜日は、暫定的措置として従組との協議決定による合意休日にするとの提案も拒否した。そして、従組との一切の事前協議もなく、被告は、平成元年二月の土曜日につき従組組合員については自宅研修扱いとし、同月二二日の団体交渉の席で、一方的に同年三月一日より改定就業規則の一斉適用を行うと発言し、同日より従組組合員についても改定就業規則を適用した。なお、東北の地銀中、青森銀行、岩手銀行の地銀連加盟の二単組と各銀行では、同年三月以降も労働時間延長問題で労使協議が行われ、それぞれ労使合意に基づき労働時間の延長が行われている。 第三争点に対する判断一争点1(不利益変更か否か)について就業規則は労働者の労働条件を規律するものであるが、これは、使用者が、労働関係法規及び労働協約に反し得ないという制約を受けながらも、一方的に作成・変更するものであるから、作成・変更が労働者の既得の権利を奪うなど労働者の労働条件を不利益に変更するものである場合には、原則として、これに同意しない労働者に効力を及ぼすことはできず、作成・変更の内容が合理的なものであって 、作成・変更が労働者の既得の権利を奪うなど労働者の労働条件を不利益に変更するものである場合には、原則として、これに同意しない労働者に効力を及ぼすことはできず、作成・変更の内容が合理的なものであってはじめて、これに同意しない労働者にも就業規則を適用することができると解される。 そこで、本件就業規則の変更が、原告ら従組組合員にとって不利益な変更であるか否か検討する。 前記争いのない事実によれば、改定就業規則は、土曜日をすべて従業員の休日とする一方で、平日のうち週初の営業日及び毎月二五日から月末までの営業日(特定日)の終業時刻を従来の午後四時五〇分から午後五時五〇分に変更するものであり、これにより特定日の所定労働時間は六〇分延長され、しかも、特定日は平成元年度の暦でも年間九五日あるというのであって、たとえ、被告が主張するように年間の所定総労働時間が短縮されたとしても、本件就業規則の変更は、労働者が有する、平日には午後四時五〇分には勤務から解放されるという既得の利益を侵害するという面も併せ持つのであるから、労働条件の不利益変更というべきである。 休日の増加、年間所定総労働時間の変化は合理性判断の要素として考慮すべきことがらというべきである。 二争点2(合理性の有無)について本件就業規則の変更の合理性の有無は、従前の労働条件と改定就業規則に定められた労働条件との相違、原告ら従組組合員が被る不利益の程度、被告の経営上の必要性、銀行の完全週休二日制実現の経緯、銀行業界における労働時間制の一般的状況、労働時間短縮の動向等を総合考慮して判定しなければならない。 以下、このような見地に立って検討する。 1 所定労働時間の変更の内容、程度前記争いのない事実のとおり、本件就業規則変更前の原告ら従組組合員の勤務時間は、平日が午前八時五〇分から午後四時 ない。 以下、このような見地に立って検討する。 1 所定労働時間の変更の内容、程度前記争いのない事実のとおり、本件就業規則変更前の原告ら従組組合員の勤務時間は、平日が午前八時五〇分から午後四時五〇分まで(休憩六〇分)、土曜日が午前八時五〇分から午後二時まで(休憩六〇分)で、第二土曜日は特別休日、第三土曜日は自宅研修扱いというものであり、これに対し、改定就業規則は、全土曜日を従業員の休日とするが、平日の終業時刻を一〇分間延長し午後五時とするほか、毎週の週初営業日及び毎月の二五日以降月末までの営業日(年末年始は除く。特定日と呼称され、年間九五日位になる。)は終業時刻を六〇分延長して午後五時五〇分とするというものである。 平成元年度(平成元年四月から平成二年三月まで)の暦を前提にすると、改定就業規則による年間所定労働時間は一八四九時間二〇分になり(争いがない)、被告はこれにより原告らの従前の年間所定労働時間一八九一時間三〇分が四二時間一〇分短縮されたと主張し、一方、原告らは、従前の年間所定労働時間は一八四一時間三〇分であったのであるから年間所定労働時間は七時間五〇分延長されたと主張する。 これは、被告が第三土休実施後、従組組合員らについて自宅研修扱いをしていた第三土曜日を休日として計算するか否かによる差である。 即ち、原告らは第三土曜日も銀行の営業が休みとなっているのであるから自宅研修の名目を付しても従業員の休日として扱うべきであるとして年間所定労働時間を計算し、一方、被告は、従組組合員については第三土曜日を従業員の休日とする労働協約も締結されていないし、就業規則の適用もないから、休日とは扱えないという立場から年間所定労働時間を計算しているのである。 そこで、被告における労働時間制、従組との労働時間に関する交渉の経緯を検討する。 されていないし、就業規則の適用もないから、休日とは扱えないという立場から年間所定労働時間を計算しているのである。 そこで、被告における労働時間制、従組との労働時間に関する交渉の経緯を検討する。 前記当事者間に争いのない事実、甲第四、第八、第九、第一四、第一五、第一七、第一九、第二〇、第二三、第二四、第二五、第二六、第二七、第二八、第二九、第三〇、第三一、第五九、第六一、第一七五、第一七一、第一九七、第二二七、第三五三、第三五九、乙第一一、第二一、第二二、第二三、第三三、第三四、第三六の一、二、第三七の二、第四〇、第四一の二、第四四、第四六、第四七、第四八、第四九、第五七、証人aの証言及び原告b本人尋問の結果によれば、以下の事実が認められる。 (一) 昭和四六年一一月一五日より実施された就業規則には、所定内労働時間、休日につき左記のような定めがあった。 平日午前九時から午後五時(休憩六〇分)土曜日午前九時から午後二時(休憩六〇分)但し、営業時間後で業務が終了した場合、所属長の許可あれば、退行できる。 休日日曜日国民の祝日その他同業者の申し合わせによる臨時休業日(二) 昭和三九年から、月一回の営業土曜日に交替で休日をとる交替制指定休日の制度が全国的に普及し、被告においても昭和四七年九月より、この制度を実施することになった。被告は、この制度を導入するにあたり、平日及び土曜日の始業時刻を午前八時五〇分に、終業時刻も一〇分繰り上げて午後四時五〇分とした(従組組合員については妥結が遅れ、交替制指定休日が実施されたのは昭和四九年一二月)。 (三) 昭和五〇年七月二八日、被告と従組の間で就業規則に関する協定が締結された。この就業規則には、所定内労働時間及び休日につき左記のような定めがあった。 平日午前八時五〇分から午後四時 月)。 (三) 昭和五〇年七月二八日、被告と従組の間で就業規則に関する協定が締結された。この就業規則には、所定内労働時間及び休日につき左記のような定めがあった。 平日午前八時五〇分から午後四時五〇分(休憩六〇分)土曜日午前八時五〇分から午後二時(休憩六〇分)休日日曜日国民の祝日国民の祝日が日曜日にあたるときにその翌日その他同業者の申し合わせによる臨時休業日月一回の土曜日の指定休日(四) 昭和五八年七月六日、同年八月より月一回週休二日制(第二土休)が実施されることに関連し、被告は、従組及び労組に対し、就業規則等の一部改正と指定休日に関する規程の廃止についての提案を行った。提案の趣旨は左記のとおりである。 ① 現行の指定休日は、第二土曜日休業による月一回週休二日制に吸収する。 ② 年三回(四か月に一回)の土曜日の特別休暇を付与する。 ③ 土曜日の実働八時間を超えない場合の休憩時間は四五分間とする。 右提案につき、労組とは同月二五日までにすべて妥結し、従組組合員を除く被告従業員については、右改正就業規則が同年八月より適用され、第二土休が実施されることになった。 一方、従組は、政令休日は当然従業員の休日であり、指定休日を第二土休に吸収することは既得権の侵害であると反発し、結局妥結に至らず、被告は、同年一二月三一日、従組に対し、昭和五九年一月一日より第二土曜日の休日と指定休日の廃止に関する部分のみ改正就業規則を従組組合員にも適用する旨通告した。 (五) 昭和六一年八月より第二、第三土休が実施されることになったが、被告は、同年七月九日、従組及び労組に対し、第三土休実施に伴う就業規則等の一部改正等の提案を行った。この提案による所定労働時間、休日については左記のとおりであるが、これは、平日の所定労働時間を一〇分間延長する、第三 九日、従組及び労組に対し、第三土休実施に伴う就業規則等の一部改正等の提案を行った。この提案による所定労働時間、休日については左記のとおりであるが、これは、平日の所定労働時間を一〇分間延長する、第三土曜日を休日とする、これまでの年三回の土曜日指定休を年二回とするものであった。 平日午前八時五〇分から午後五時(休憩六〇分)土曜日午前八時五〇分から午後二時(休憩六〇分)休日日曜日国民の祝日国民の祝日が日曜日にあたるときにその翌日一月二日及び三日毎月の第二土曜日及び第三土曜日特に銀行が定めた日四月一日より三月三一日までの間六か月に一回の土曜日の指定休日被告と労組は、右就業規則の一部改正につき、同年七月二三日妥結した。 しかし、従組は、政令休日は即銀行労働者の休日との考え方を変える必要はないし、今変える段階にも至っていない。労働時間の一〇分間延長については合理性・納得性に欠け賛成できないと主張し、団体交渉はほとんど歩み寄りのないまま終了した。このような状況の中で、初の第三土休である同年八月一六日が迫り、被告は、従組組合員には改定前就業規則が適用される結果、第三土曜日は依然出勤日であるが、銀行の営業が休みになるのに従組組合員のみの出勤を求めるわけにはいかないとして、同月一四日、従組に対し、同月一六日は自宅研修扱いとする旨文書で通告し、各従組組合員には管理者からその旨口頭で通告させた。その後も団体交渉や事務折衝が重ねられたが、歩み寄りはなく、平成元年の完全週休二日制を迎えるに至った。 右認定のとおり、被告は、第三土休実施に伴い、平日の所定労働時間を一〇分延長する、第三土曜日を休日とするなどの就業規則の改定提案を行ったが、平日の所定労働時間を一〇分延長するという点については従組の同意が得られず、結局、被告提案すべ に伴い、平日の所定労働時間を一〇分延長する、第三土曜日を休日とするなどの就業規則の改定提案を行ったが、平日の所定労働時間を一〇分延長するという点については従組の同意が得られず、結局、被告提案すべてにつき従組と妥結することはできなかったため、従組組合員に対する関係では第三土曜日を休日とすることはできず、一方、従組組合員以外の従業員の関係では第三土曜日が休日となり、銀行の営業も休みとなるため、従組組合員だけ出勤させても無意味であるとして、従組組合員については第三土曜日を自宅研修扱いとしてきたのである。 右によれば、従組組合員については、第三土曜日を従業員の休日とする就業規則も労働協約も存在せず、法律上第三土曜日についての就労義務は免除されていないことになるから、従組組合員らが第三土曜日は自宅研修扱いということで現実には出勤していなかったとしても、本件就業規則の変更の不利益性の程度を検討するにあたっては、従組組合員の従前の年間所定労働時間を第三土曜日は休日でないとして算出すべきである。 原告らは、従来より銀行業界では、銀行の休日は銀行従業員の休日であるとの認識があり、また、第三土休も労働時間の短縮を目指したものであるから、政令による第三土曜日の銀行の休日は当然銀行従業員の休日になると主張する。 旧銀行法一八条は、銀行営業日の休日につき「銀行の休日は祭日、祝日、日曜日その他銀行の営業所在地に行はるる一般の休日に限る」と定めていたが、甲第三三三及び証人cの証言によれば、法定休日は例外なく銀行労働者の休日となってきたこと、後記認定のとおり、金融機関の週休二日制の実現のために旧銀行法等が改正され、第二土休、第二、第三土休、完全週休二日制実施を目的として銀行法施行令が順次改正されてきた事実が認められるが、このことから直ちに、改正銀行法が直接銀行 週休二日制の実現のために旧銀行法等が改正され、第二土休、第二、第三土休、完全週休二日制実施を目的として銀行法施行令が順次改正されてきた事実が認められるが、このことから直ちに、改正銀行法が直接銀行労働者の労働条件を規律する趣旨を含んでいるもの、あるいは、銀行に施行令の改正により増加した銀行営業日の休日を従業員の休日とする法律上の義務があるということはできない。銀行法は、目的を定めた同法一条からも明らかなように事業規制法であり、銀行とその従業員との間の法律関係を規律するものではなく、銀行法施行令の改正により増加した銀行営業日休日が従業員の休日となるには、労働協約、就業規則等によりその旨定める必要があるというべきである。 従って、原告らの右主張も採用できず、従組組合員の従前の年間所定労働時間は、被告が主張するとおり、平成元年度の暦では一八九一時間三〇分であり、本件就業規則の変更により原告らの年間所定労働時間は四二時間一〇分の短縮になるというべきである。 2 銀行完全週休二日制実現の経緯甲第三七、第四一、第五一、第五九、第六三、第七〇、第一七九、第一八〇、第一八一、第二六五、第三〇一、第三三三、第三六七、乙第一、第三、第一八の二、第三六の一、第四四、証人cの証言及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (一) 昭和三五年度の労働者一人当たりの平均年間総実労働時間は約二四二六時間であり、これが昭和四五年度には約二二三九時間と減少したものの、依然欧米諸国とは大きな隔たりがあった。 ところで、わが国の企業の国際競争力が強くなるにつれ、欧米を中心にわが国における長時間労働に対する批判が高まり、政府としてもこれを無視できなくなり、当面、週休二日制が実現し易く、かつ、他産業に対する波及効果が大きい、銀行及び公務員の週休二日制の実現を目指し 心にわが国における長時間労働に対する批判が高まり、政府としてもこれを無視できなくなり、当面、週休二日制が実現し易く、かつ、他産業に対する波及効果が大きい、銀行及び公務員の週休二日制の実現を目指して動き始め、労働省は、昭和四七年一月、銀行労使に対し「銀行の土曜日休日をテコにして、日本の社会に週休二日制を普及させたいので検討してほしい。」旨の申し入れをし、同じ年、自治省や大蔵省に対しても週休二日制の検討を要請した。 (二) 労働者側は、地銀連が、昭和四六年の定期大会で初めて運動方針の最重点課題の一つに完全週休二日制の実現を掲げ、その後、地銀連外金融関係及び商業事務関係の約二〇単産で完全週休二日制推進会議を結成し、昭和四九年一一月、右完全週休二日制推進会議、全逓労組、自治労の三団体で共闘を発足させ、更に、昭和五〇年三月、右各団体に、公務員関係の単産が加わり、銀行法一八条を改正して銀行の週休二日制を実現し、これを全金融機関・官公庁に広げていくことを目的とした金融・官公庁週休二日制・土曜休日促進共闘会議が設立され、週休二日制実現のため、銀行法一八条の改正を求める運動を展開していった。 一方、全国銀行協会連合会(以下「全銀協」という。)も同年二月、完全週休二日制を実現する方針を決定した。 (三) その後、昭和五〇年に始まったいわゆるオイルショックのため、週休二日制実施の気運は弱まり、昭和三五年をピークに減少していた年間総実労働時間も増加傾向を示すようになったが、昭和五三年四月、衆議院大蔵委員会、参議院大蔵委員会において、全銀協等に対し、金融機関週休二日制についての利用者の理解を得るためのPR活動の強化及び週休二日制が円滑に実施されるための具体的諸問題の検討を指示することを求める旨の決議が相次いでなされた。 同年五月二五日、労働省は、労働事務次官 についての利用者の理解を得るためのPR活動の強化及び週休二日制が円滑に実施されるための具体的諸問題の検討を指示することを求める旨の決議が相次いでなされた。 同年五月二五日、労働省は、労働事務次官通達(基発五六号)で、労働時間短縮に向けての労使の自主的努力を助長、促進することを指示し、その中で具体的に、過長な所定外労働時間の削減、年次有給休暇の消化の促進、週休二日制の推進の三点を当面の対策の重点としてあげた。また、労働省は、同年六月二三日、すでに何らかの形の週休二日制を実施している企業にあっては、できるだけ早期に完全週休二日制を図るよう指導することを指示する労働基準局長通達(基発三五五号)を出した。 (四) 昭和五四年六月二〇日、大蔵大臣の諮問機関である金融制度調査会は、オイルショック後収益の悪化した銀行の経営刷新のための提言を行い、そのためには銀行法の改正が必要であるとの答申を行ったが、この答申の中で、銀行営業日の規定は週休二日制の実施に対応できるよう規定の内容を弾力的なものとし、政令への委任を可能とすることが適当であるとの提言がなされた。この答申を受け、銀行法改正法案等が国会に提出され、昭和五六年五月二五日可決成立し、昭和五七年四月一日より施行されることになった。これにより、銀行の休日に関する定めも改正され、従来、「銀行の休日は祭日、祝日、日曜日其の他銀行の営業所在地に行はるる一般の休日に限る。」との規定が、「銀行の休日は、日曜日その他政令で定める日に限る。」と改正された。なお、右法改正に際し、衆議院大蔵委員会及び参議院大蔵委員会は、金融機関の週休二日制の早期実施のため、諸条件の整備を目指して積極的に努力するなどの附帯決議をなした。 (五) 何らかの形で週休二日制を採用する企業は昭和四五年の四パーセントから昭和五四年には四六パーセ 機関の週休二日制の早期実施のため、諸条件の整備を目指して積極的に努力するなどの附帯決議をなした。 (五) 何らかの形で週休二日制を採用する企業は昭和四五年の四パーセントから昭和五四年には四六パーセントと増加したものの、同年度の年間総実労働時間は約二一一四時間と二〇〇〇時間を超える状態であった。このような中、労働省は、わが国の労働時間の短縮の問題が、労働者生活の充実、高齢化社会への対応、そしてこれからの貿易摩擦との関連できわめて重要だという認識にたち、わが国の労働時間を昭和六〇年度までに欧米諸国の水準(年間二〇〇〇時間を割る)に近付けるべく、週休二日制の普及など労働時間短縮に積極的に取り組むとして、昭和五五年一二月「週休二日制等労働時間対策推進計画」を策定した。この計画の中では、労働時間の短縮は、労使の自主的努力を基本とするが、行政としても、週休二日制の普及促進、夏季一斉休暇をはじめとする長期休暇制度の促進等による年次有給休暇の完全消化の慣行の形成、三六協定の適正化指導を中心とする時間外、休日労働対策の強化を中心に行政指導を展開することが強調された。 (六) 昭和五七年一月一一日、労働基準監督局長から全銀協会長に対して、銀行業界において完全週休二日制が実現することは、銀行従業員の労働条件の向上に寄与するのみならず、他産業における週休二日制の普及に与える影響が大であるとして、昭和五九年までに完全週休二日制が実現できるよう要請し、これを受けて全銀協理事会は、昭和五七年四月六日、郵便局や農協と同時スタートを前提に、月一回の土曜休日を実施する方針を打ち出し、昭和五八年二月八日、同年八月から第二土曜日休日を実施することに決定し、これを全銀協以下金融一一団体が確認し、公表した。 同年五月一三日、銀行法施行令が改正され、同年八月から毎月第二土曜日の休 し、昭和五八年二月八日、同年八月から第二土曜日休日を実施することに決定し、これを全銀協以下金融一一団体が確認し、公表した。 同年五月一三日、銀行法施行令が改正され、同年八月から毎月第二土曜日の休日が実現することになった。 (七) このように、金融機関の第二土休が実施されたが、年間総実労働時間はほとんど変化がなく、昭和六〇年六月一九日、衆議院大蔵委員会は「労働時間の短縮は、世界の趨勢であるばかりでなく、貿易摩擦の軽減にも資するものであり、現在、実施の気運が出てきている金融機関の週休二日制の、当面一日の増加について、円滑かつ速やかに実施できるよう、政府は最善の努力を行うべきである。」との決議を行った。 同年八月二六日、全銀協は週休二日制特別委員会において、昭和六一年八月からこれまでの第二土曜日に加え第三土曜日も休業する、土曜休業日はCD・ATMを稼働させて預金の支払と残高照会に応じる、昭和六一年二月までに細目を検討することを決定し、その後、再度銀行法施行令が改正され、同年八月から、毎月の第二土曜日及び第三土曜日を休日とする月二回週休二日制が実施された。 (八) 昭和六〇年代に入るとわが国の対外経済摩擦の解消策として、内需拡大を図るための週休二日制実施・拡大が重要視され、昭和六一年四月に出された「国際協調のための経済構造調整研究会」の報告(通称dレポート)は、「労働時間については公務・金融等の部門における速やかな実施を図りつつ、欧米先進国並みの年間総労働時間の実現と週休二日制の早期実現を図るべき」と提言、昭和六二年四月に出された「経済審議会経済構造特別部会」の建議(通称新dレポート)では、「政府目標として二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間総実労働時間を一八〇〇時間程度にするように目指すことが必要で、それには週休二日制の普及促進、年次 造特別部会」の建議(通称新dレポート)では、「政府目標として二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に年間総実労働時間を一八〇〇時間程度にするように目指すことが必要で、それには週休二日制の普及促進、年次有給休暇日数の引き上げ及び消化促進、連続休暇の普及等による休日増を中心に進めていくことが必要」との提言を行った。 (九) 昭和六二年一一月一〇日、全銀協理事会は、完全週休二日制の実施に向けて、具体的な方法を検討するため、特別委員会の活動を開始することを正式に決定し、昭和六三年三月一五日には郵政省が「昭和六四年二月の実施を目処に土曜日の窓口閉庁を拡大する方向で具体的な検討を進める。」との意向を発表し、全銀協も郵政省と同時スタートを目処に完全週休二日制を実施することとし、同年八月ころまでに実施細目を決める旨の発表を行い、同年一〇月二一日、全土曜日を銀行等金融機関の休日とする旨の銀行法施行令の一部を改正する政令が公布され、翌年二月一日より、銀行の週休二日制が実施されることになった。 右に認定した銀行の完全週休二日制実現の経緯からすると、銀行法施行令の改正による銀行完全週休二日制は労働時間短縮を主眼としてなされたものであるから、銀行としてはその従業員との関係においても、週休二日制により労働時間の短縮を図るべきであって、休日となった土曜日の勤務時間をそっくり平日に振り当てることはもとより、完全週休二日制実現の趣旨に反するような勤務時間制の変更は許されないというべきである。 しかしながら、右認定のとおり、銀行の完全週休二日制は、わが国の個別の銀行の経営の実情、労働者の意識の向上、それらを反映した労使交渉の積み重ねにより実現したというよりも、諸外国からの賃金コスト引き上げの圧力によるところがはるかに大きいのであるから、個々の銀行がその規模、経営の実情などか 働者の意識の向上、それらを反映した労使交渉の積み重ねにより実現したというよりも、諸外国からの賃金コスト引き上げの圧力によるところがはるかに大きいのであるから、個々の銀行がその規模、経営の実情などから、完全週休二日制による急激な労働時間の短縮を緩和するため、労働時間短縮の趣旨に反しない限りにおいて、何らかの措置を取ることは認めざるを得ない。 原告らは、完全週休二日制の目的は労働時間の短縮であるから、完全週休二日制実施に際し、平日の勤務時間を延長することは一切許されないと主張するが、右のような理由から右主張は採用できない。 3 被告の経営上の必要性及び他銀行との比較乙第六、第七、第一〇、第一二、第四四、乙第二八及び証人aの証言によれば、以下の事実が認められる。 (一) 被告の預金量は、全国の地方銀行六四行中五八位で東北地方に本店のある地方銀行一〇行中でも八位である。 (二) 完全週休二日制を実施する場合、従前、第二土休、第三土休の際に行っていた従業員の交替制出勤によるCD・ATM機の稼働、保守管理体制を続けることは事実上困難で、必然的に集中監理システムによる無人化対策を取らざるを得なくなったが、そのための設備投資は一億数千万円にのぼり、また、無人化によるランニングコストの増加は年間六五〇万円くらいになる。 (三) 被告が、完全週休二日制実施に先き立って一か月間の日にち及び曜日ごとの取扱事務量を調査、分析したところ、一か月間の平均取扱件数を一〇〇とした場合、第二、第三土休の連休明けは一〇〇を大きく上回り、二五日以降月末までは曜日にかかわらずすべて一五〇程度の高い指数になっており、全土曜日休日となれば、より顕著にその繁忙格差が拡がることが予想された。 (四) 時間外勤務手当、休日勤務手当の単価は、基準給与に住宅手当等諸手当を加えた額を一か月の 五〇程度の高い指数になっており、全土曜日休日となれば、より顕著にその繁忙格差が拡がることが予想された。 (四) 時間外勤務手当、休日勤務手当の単価は、基準給与に住宅手当等諸手当を加えた額を一か月の平均所定勤務時間数で除して算出されるものであるから、所定労働時間の減少は、時間外勤務手当の支出額の上昇につながる。完全週休二日制を実施し、しかも、平日の所定労働時間を延長しない場合には、時間外勤務手当の支給額が五・一二パーセント上昇すると試算されたが、被告における年間の時間外手当の総額は約四億円であるから、予想された年間時間外手当の増加額は約二〇〇〇万円ということになる。 (五) 第二土休実施にあたり、他の地方銀行(六二行)のとった措置は別表「月一回(第二土曜日)週休二日制実施に関する地銀各行の対応」のとおりであるが、交代制土曜休日ないし土曜休暇を実施していた銀行のうち一行を除きすべての銀行でこれを廃止し、その代わり一行を除き平日又は土曜日の特別休日又は特別休暇を新設(二日ないし一二日、六日というのが最も多い)もしくは増加(六日ないし一三日)させるという措置がとられており、平日ないし休日ではない土曜日の所定内労働時間を何らかの形で延長するという措置をとった銀行は被告も含め三一行あった。 第二、第三土休実施にあたり、他の地方銀行(六三行)のとった措置は別表「月二回(第二土曜日、第三土曜日)週休二日制実施に関する地銀各行の対応」のとおりであるが、特別休日又は特別休暇を実施していた銀行のうち、七行を除き、第二土休実施の際設置ないし増加した特別休日又は特別休暇を減じるという措置がとられており、所定労働時間を何らかの形で延長するという措置をとった銀行は四四行あった。 他の地方銀行(六三行)が完全週休二日制実施に伴いとった措置は別表「完全週休二日制実 暇を減じるという措置がとられており、所定労働時間を何らかの形で延長するという措置をとった銀行は四四行あった。 他の地方銀行(六三行)が完全週休二日制実施に伴いとった措置は別表「完全週休二日制実施に関する地銀各行の対応」のとおりであるが、二行を除きすべての銀行で一日の所定労働時間を延長するという措置がとられている。また、他の地方銀行と被告の完全週休二日制実施前の年間所定労働時間、完全週休二日制実施後の年間所定労働時間(ただし、被告を除いて推定)及び完全週休二日制実施による年間所定労働時間の短縮幅は、別紙「地方銀行の労働時間比較」のとおりであるが、被告の完全週休二日制実施後の年間所定労働時間は一八四九時間二〇分であり、これは短い方から数えて東北地銀中(一〇行)では三番目、全国地銀中では七番目となっている。被告における完全週休二日制実施による年間所定労働時間の短縮幅は三一時間一五分(ただし、従組組合員以外の従業員に対する関係。従組組合員に対する関係では四二時間一〇分)で、短縮幅の大きい方から数えて東北地銀中では四番目、全国地銀中では三三番目となっている。 4 総括本件就業規則の変更は、わが国における長時間労働を抜本的に是正すべく順次改正された銀行法及び同法施行令による銀行完全週休二日制の実施を契機として行なわれたものであるが、その内容は、土曜日をすべて休日とする代わりに年間約九五日にのぼる特定日を設定し、その日には所定労働時間を六〇分間延長したほかその他の平日についても一〇分間所定労働時間を延長するというもので、銀行完全週休二日制実施の目的からすると不徹底とのそしりを免れないものである。 しかしながら、前記のとおり、銀行完全週休二日制は、わが国の個別の銀行の経営の実情、労働者の意識の向上、それを反映した労使交渉の積み重ねにより実現し らすると不徹底とのそしりを免れないものである。 しかしながら、前記のとおり、銀行完全週休二日制は、わが国の個別の銀行の経営の実情、労働者の意識の向上、それを反映した労使交渉の積み重ねにより実現したというよりも諸外国からの圧力によるところが大きいのであるから、個々の銀行がその規模、経営の実情に応じ、過渡的に労働時間の短縮幅を抑制することは是認せざるを得ないというべきところ、被告は前記認定の預金量の順位からすると相対的に競争力の低い銀行といわざるを得ず、人件費コスト増の圧縮を図ることも一応許容されてしかるべきである。 しかも、本件就業規則の変更により、原告らは土曜日がすべて休日となるほか、年間所定労働時間は四二時間一〇分短縮されるのであるから、原告らの被る不利益の程度も必ずしも大きいとはいえず、被告における経営上の必要性や被告における本件就業規則変更後の年間所定労働時間が全国の地方銀行の中でも最も短い方に属することなどの事情も考慮すると、本件就業規則変更による平日及び特定日の所定労働時間の延長は原告らにおいても受忍するのが相当な合理性のあるものといわざるを得ない。 原告らは、特定日の所定労働時間が一時間延長されることにより従前の一日の生活リズムが崩される等労働者が受ける不利益は休日の増加では補いきれないものがあると主張する。 しかしながら、土曜日がすべて休日となることによりもたらされる余暇、自由時間の増大、通勤からの開放、十分な休養の確保等の利益、年間所定労働時間の減少による一般的利益は、年間約九五日の特定日の一時間の時間延長の不利益を十分補い得るものと考えられる。 次に、原告らは子を持つ婦人労働者について深刻な影響が出ると主張するが、これは一般的な労働時間制の間題ではなく、子を持つ婦人労働者に対し、被告が特別な施策を取るか否かと い得るものと考えられる。 次に、原告らは子を持つ婦人労働者について深刻な影響が出ると主張するが、これは一般的な労働時間制の間題ではなく、子を持つ婦人労働者に対し、被告が特別な施策を取るか否かという付随的手当の問題と理解されるから、一般的労働時間制の合理性判断においては大きな比重を置くことはできない。 更に、原告らは、本件就業規則の変更により、従前時間外勤務手当の支給のあった時間が所定労働時間に組み込まれ、時間外手当が支給されなくなり、一人平均月額二万円の減収になると主張する。 確かに、一月二万円の収入減は、原告らにとり大きな痛手となるのは十分理解できる。 しかしながら、労働者には時間外勤務を求める権利はなく、その意味で従来支給されていた時間外勤務手当は既得の権利という性格が弱いものであるから、本件就業規則の変更により結果的に従来得ていた時間外勤務手当が減少し、収入減という事態が生じても、前記のような休日の増加、年間所定労働時間の短縮を考慮すると、それをもって本件就業規則の変更には合理性がないということはできない。 収入減の問題は、本件改定就業規則の効力の問題の中で解決すべき問題というよりも、今後の基準賃金をめぐる労使交渉に解決を委ねるべき問題である。 以上のとおり、合理性に関する原告らの右各主張は、いずれも前記合理性に関する判断を左右するものでなく、他に、右判断を左右するに足りる事実は認められない。 三以上のとおり、本件就業規則の変更には合理性が認められるから、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないことになる。 (裁判官山本博岩木宰川本清巌)請求目録<03383-001><03383-002><03383-003>月1回(第2土曜日)週休二日制実施に関する地銀各行の対応<03383 になる。 (裁判官山本博岩木宰川本清巌)請求目録<03383-001><03383-002><03383-003>月1回(第2土曜日)週休二日制実施に関する地銀各行の対応<03383-004><03383-005><03383-006><03383-007><03383-008><03383-009>月2回(第2土曜日・第3土曜日)週休二日制実施に関する地銀各行の対応<03383-010><03383-011><03383-012><03383-013><03383-014><03383-015>完全週休二日制実施に関する地銀各行の対応<03383-016><03383-017><03383-018><03383-019><03383-020><03383-021><03383-022>(完全週休二日制実施後)地方銀行の労働時間比較<03383-023><03383-024><03383-025><03383-026>
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