令和6年12月19日判決言渡 令和6年(行ケ)第10034号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年10月31日判決 原告 アサヒビール株式会社 同訴訟代理人弁護士 大野聖二 多田宏文 亀山和輝 同訴訟代理人弁理士 土生真之 被告 特許庁長官 同指定代理人 清野貴雄 畑さおり 同渡邉久美 同阿曾裕樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 特許庁が不服2023-11292号事件について令和6年2月28日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、令和4年1月5日、意匠に係る物品を「容器入り飲料」として、意匠登録出願をした(意願2022-000060、甲17。以下その出願を「本願」といい、出願に係る意匠登録を受けようとするものにつき、意匠法に定める意匠に該当するか否かを取りあえず措いて、「本願意匠」という。)。 ⑵ 原告は、令和4年9月29日付け拒絶理由通知書(甲18)を受領した。拒絶理由通知書には、「この意匠登録出願は、意匠に係る物品を『容器入り飲料』とし、物品の部分について意匠登録を受けようとするものですが、この意匠登録を受けようとする部分は願書及 甲18)を受領した。 拒絶理由通知書には、「この意匠登録出願は、意匠に係る物品を『容器入り飲料』とし、物品の部分について意匠登録を受けようとするものですが、この意匠登録を受けようとする部分は願書及び添付の図面から判断すると開口縁を含む容器の内側及びその内容物の、意匠の説明の欄の記載でいうところの 『発泡性飲料』であると見受けられます。しかしながら、当該『容器入り飲料』は、液体であって、包装用缶に包装されることから初めてその内部に留まるものであり、そのもの固有の形状等を有するものということはできず、意匠法第2条第1項に規定する意匠を構成するものとは認められません。」と記載されていた。 原告は、同年10月28日付け意見書(甲19)を提出したが、令和5年4月13日付けの拒絶査定(甲20。以下「本件拒絶査定」という。)を受けたことから、同年7月5日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2023-11292号、甲21)。 ⑶ 特許庁は、令和6年2月28日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と する審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年3月15日に原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和6年4月12日、本件審決の取消しを求めて、本件訴えを提起した。 2 本件審決の理由の要旨 本件審決の理由は、別紙審決書(写し)のとおりであり、要するに、意匠法 が保護の対象とする意匠のうち、物品の形状等に係る意匠は、市場で流通する有体物である動産の定形性を有する形状等であって、人が視覚を通じてその形状等を認識することができ、その結果、人に美感を起こさせる、という全ての要件を満たすものでなければならないところ、本願意匠(別紙審決書(写し)の別紙「本願意匠(意願2022-000060)」のとおり。)に係る物品「容 でき、その結果、人に美感を起こさせる、という全ての要件を満たすものでなければならないところ、本願意匠(別紙審決書(写し)の別紙「本願意匠(意願2022-000060)」のとおり。)に係る物品「容 器入り飲料」の、開蓋時に容器内方に現れる濃褐色の液体及びその上方を順次覆うように出現する乳白色の気泡の形状等を主要な構成要素とする開蓋時における本願部分の形状等は、意匠法上の意匠を構成するものとはいえないから、本願において意匠登録を受けようとするもの(本願意匠)は、意匠法2条1項に規定する意匠を構成するものとは認められない、というものである。 3 原告主張の取消事由本願意匠の意匠該当性についての判断の誤り第3 当事者の主張取消事由(本願意匠の意匠該当性についての判断の誤り)についての両当事者の主張は以下のとおりである。 〔原告の主張〕 1 本件審決の「定形性」に関する解釈の誤り意匠法上、「意匠」とは、「物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下『形状等』という。)・・・であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」をいう(意匠法2条1項)ところ、 本件審決は、「物品の形状等に係る意匠は、市場で流通する有体物である動産の定形性を有する形状等であって、人が視覚を通じてその形状等を認識することができ、その結果、人に美感を起こさせる」(本件審決9頁14行目ないし17行目)として、「定形性」の要件を課している。 本願意匠は、「意匠に係る物品の形状、模様若しくは色彩・・・がその物品・・・ の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその 物品の形状等・・・について意匠登録を受けようとするとき」(意匠法6条4項)に該当する、いわゆ の物品・・・ の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその 物品の形状等・・・について意匠登録を受けようとするとき」(意匠法6条4項)に該当する、いわゆる動的意匠である。変化を予定しない通常の意匠においては、本件審決がいう、容易に変形しないといった意味での「定形性」を課すこともありうるが、動的意匠の制度は、法文自体、変化を当然に予定しているものであるから、変化を予定しない通常の意匠と同じ「定形性」の要件を課すこ とは誤りであり、「定形性」の内容は自ずから異なる。 この点、通説的な学説も、びっくり箱、傘のように物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する「動的意匠」は保護されるとし(甲23ないし25)、動的意匠の場合は、物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化するものであれば、定形性を有するとする。動的意匠は、「物品の機能に基づい て、一定の規則性をもって変化する」形態であれば、「定形性」を有することになると解される。 これに対し本件審決は、「定形性」の要件に「具体的な形状等が、意匠に係る物品が取引される場面において、意図せず又は容易に変形等してしまうことがない程度の定形性を有するものであることを求める趣旨である」(本件審決9 頁10行目ないし12行目)との趣旨を読み込むが、これは、「動的意匠」の特殊性を看過し過剰な要件を課すものである。 本願意匠のような動的意匠の場合、形状等の変形がそもそも予定されており、このように変形することが必然であるから、「意図せず又は容易に変形等してしまうことがない程度の定形性」なる要件を課すことは、一連の変化の態様を 一つの意匠として保護しようとする動的意匠の趣旨と矛盾するものであり、誤りである。 2 本願意匠の要旨認定の問 等してしまうことがない程度の定形性」なる要件を課すことは、一連の変化の態様を 一つの意匠として保護しようとする動的意匠の趣旨と矛盾するものであり、誤りである。 2 本願意匠の要旨認定の問題点本件審決は、本願意匠として認識できる対象のうち「一旦乳白色の気泡が生じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所」に着眼し、この箇所を出発点と して、「写真中の各図に表された乳白色の気泡は、個々には、生成後すぐに消滅 するという性格を有したものであること」(本件審決11頁24行目ないし26行目)を推認し、推認が成立しない場合の仮定的な判断として、「一旦生成した気泡が容易には消滅しない場合を想定したとしても、生成した個々の気泡を起点に見れば、その集合体としては、特定の形状等を有さない粉状物や粒状物の場合と本質的に変わることはな」いとして、本願の要旨認定をした(本件審 決11頁32行目ないし34行目)。 しかし、そもそも、本件審決が着眼している箇所は、需要者の注意を引かない部分であり、美感に影響を与えるような要素ではなく、要旨認定の出発点となり得ないものである。この点を措いても、本件審決の要旨認定は、推認及び推認が成立しない場合の仮定的な判断に基づくものであり、意匠の要旨認定の 手法として誤りである。本願意匠の要旨は、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等であると認定されるべきである。 裁判例(東京高裁平成4年(行ケ)227号同5年7月15日判決、知財高裁平成22年(行ケ)10079号同年7月7日判決)によれば、「意匠の要旨」 は、「願書の添附図面(この図面に代わる写真、ひな形又は見本)と、『意匠に係る物品』 同5年7月15日判決、知財高裁平成22年(行ケ)10079号同年7月7日判決)によれば、「意匠の要旨」 は、「願書の添附図面(この図面に代わる写真、ひな形又は見本)と、『意匠に係る物品』、並びにこの記載のみでは意匠に係る物品又は意匠の内容を理解することが困難なために願書に記載する『意匠に係る物品の説明』及び『意匠の説明』に基づいて定められるべき」であり、ここから認識できる事項以外の事項を考慮して意匠を認定することは相当ではない。 3 本願意匠の要旨本願意匠の願書に添付された図面に代わる写真(以下、単に「添付写真」という。)、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」によれば、本願意匠は、開蓋後より缶周縁部液面上に乳白色の泡沫が生じ始め(発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1)、泡沫の総体が略円環状の輪郭を形成し(発泡状態の変化を 示す開蓋後の平面図2)、当該略円環形状の径が漸次的に狭まっていく(発泡状 態の変化を示す開蓋後の平面図3ないし7)ことにより、容器内略中央において円環形状が閉じて円形の泡沫面となり(発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図8)、更にその後、泡沫面が缶口部へ向けて盛り上がっていき、缶口面上部に円錐台状の立体形状を形成する(発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図9、10、発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図)という、乳白色の泡沫の 総体が液面及び空間との境界により呈する形状等の変化として知覚される。 本願意匠は、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等であり、ビールの「気泡」及び「泡沫」の生成、消滅等の個々の泡の状態は、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基 総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等であり、ビールの「気泡」及び「泡沫」の生成、消滅等の個々の泡の状態は、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基 づいて認識できない以上、本願意匠の要旨ではないことが明らかである。 そもそも、本願意匠は、物品が有する機能により形状等が変化する動的意匠であり、変化の前後にわたる複数の状態における形状等をまとめて一つの意匠の創作として捉えるべきであるところ、願書の添付写真を見た者には、泡の総体としての泡(乳白色部分全体)としての形状等の変化自体が意匠として認識 され、個々の泡の状態は、認識されない。本願意匠において美感を喚起するのは、泡の総体の形状であり、個々の、一つ一つの泡の状態ではない。 このことは、平面図ではなく、実際の物品を見た者ですら、泡の総体としての泡を美感の対象として認識していることからも裏付けられる。すなわち、本願意匠に係る物品である容器入り飲料(生ジョッキ缶)の実物を用いたインタ ビューを受けた者に、「泡が盛り上がってくるのが驚き!」、「泡が出るのが、・・・楽しさがある。」、「泡がすごい!」、「缶でこんな泡があるなんて」、「常に泡がある状態で飲める」、「缶なのに泡がある」、「クリーミーな泡が再現できるのは素晴らしい・・・見た目でも楽しめる」等、泡に着目した感想を述べる者が多数いる(甲28の12頁、甲29)ことから明らかである。これらは、個々の、 一つ一つの泡について観察して感想を述べているのではなく、盛り上がってく る、あるいは出てくる泡の総体に関する感想である。 さらに、甲30、31でも、泡の総体としての泡に着目して生ジョッキ缶が取り上げられているように、本願意匠が起こさせる美感は、個々の泡の消滅と る、あるいは出てくる泡の総体に関する感想である。 さらに、甲30、31でも、泡の総体としての泡に着目して生ジョッキ缶が取り上げられているように、本願意匠が起こさせる美感は、個々の泡の消滅という点に存在するのではなく、泡の総体としての泡が濃褐色の液体の上方に増加していき、液体の上面を覆って盛り上がっていく変化に美感が起こるのであ る。 このように、願書の添付写真より詳細に観察が可能な実物に関してさえ、個々の泡の状態ではなく、泡の総体が認識され、泡の総体が美感を喚起しているものであり、それを撮影した添付写真を見ても、個々の泡の状態ではなく、泡の総体としての泡の形状等こそが認識されることは明らかである。 そして、添付写真以外の、「意匠に係る物品」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」を見ても、開蓋後の、個々の泡の状態に係る記載はないし、個々の泡に着目すべき旨の記載もない。 以上のとおり、本願願書の記載に基づいて、泡の総体としての泡の形状等の変化が認識されるものであり、個々の泡の状態は、本願願書の添付写真から認 識できる事項でもなく、「意匠に係る物品」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいても認定されるものではない。 4 本件審決の本願意匠の要旨認定の誤りこれに対して、本件審決は、①「写真中の各図に表された乳白色の気泡は、個々には、生成後すぐに消滅するという性格を有したものであることが推認さ れる」、②「仮に、一旦生成した気泡が容易には消滅しない場合を想定したとしても、生成した個々の気泡を起点に見れば、その集合体としては、特定の形状等を有さない粉状物や粒状物の場合と本質的に変わることはな」いと本願意匠の要旨認定を行っている(本件審決11頁25行目ないし27行目、32行目ないし34行目 に見れば、その集合体としては、特定の形状等を有さない粉状物や粒状物の場合と本質的に変わることはな」いと本願意匠の要旨認定を行っている(本件審決11頁25行目ないし27行目、32行目ないし34行目)。 しかし、上記①の認定は単なる推認に基づくもので、上記②の認定は推認が 成立しない場合の仮定的な認定であり、いずれも、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいて認識するものではなく、本件審決による意匠の要旨認定の手法自体誤りである。 本件審決が判断しているとおり、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいて認識できるのは、せいぜい「一旦乳白色の気泡が生 じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所」(ただし、本件審決の着目する当該部分の乳白色の気泡は、液中に生じた小気泡の光の乱反射による液体の濁りである(甲32)。)だけであるが、この箇所は、需要者が全く着目しない部分であり、本願意匠の要旨認定に影響を与えないものである。 すなわち、本願意匠は、フルオープンかつ自然発泡する缶を用いた世界初の 意匠であり、開蓋後に容器内周より泡の総体としての泡が濃褐色の液体の上方に増加していき、液体の上面を覆うように盛り上がっていくという変化の態様は、従前に存在しない極めて斬新な意匠であり、このような変化の態様の全体こそが需要者の注意を強く引く特徴であり、本願意匠の創作の本質である。 他方、本件審決が着目する「一旦乳白色の気泡が生じた後に、再度、濃褐色 の液体が現れる箇所」は、需要者の注意を全く引かず、本願意匠が奏する美感に与える影響は全くない。 したがって、泡の総体としての泡の形状の変化の態様の全体が本願意匠の要旨であり、既に述べたとおり、実際の物品を見た者が、盛り上がってくる、 全く引かず、本願意匠が奏する美感に与える影響は全くない。 したがって、泡の総体としての泡の形状の変化の態様の全体が本願意匠の要旨であり、既に述べたとおり、実際の物品を見た者が、盛り上がってくる、あるいは出てくる泡の総体についての感想を述べており、「一旦乳白色の気泡が 生じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所」については、全く言及していないことからも明らかである(甲28、29)。 しかも、以下のとおり、本件審決の推認の内容自体、技術的に誤ったものであり、本件審決の要旨認定が失当なのは明らかである。 すなわち、添付写真に撮影されている「泡」 は、大別すると、「気泡(bubble)」 と「泡沫(foam)」の2種類がある。「気泡」は液体や固体中にある気体の粒子の ことであり、「泡沫」は多数の気泡が液体上面に浮上し塊を形成したものである。 「気泡」は一層の界面活性剤層で覆われているのに対し、「泡沫」は二重の界面活性剤層で形成されたものであり、両者は構造的にも異なるものである。「気泡」の合併や成長と「泡沫」の安定性は区別すべきものとされる(甲32)。 本件審決が添付写真から「一旦乳白色の気泡が生じた後に、再度、濃褐色の 液体が現れる箇所があることから、写真中の各図に表された乳白色の気泡は、個々には、生成後すぐに消滅するという性格を有したものであることが推認される」(本件審決11頁下から16行目ないし下から13行目)とするが、これは技術的理解としては、完全に誤りである。 本件審決が着眼している「乳白色の気泡」は、「泡沫」とは区別される「気泡」 のことであり、液体中の気体の粒子のことである。これが添付写真1ないし3へ行くにしたがい、液体中の気体の粒子が液面に浮上し、生ジョッキ缶の缶周縁部で「泡沫」に成長してい は区別される「気泡」 のことであり、液体中の気体の粒子のことである。これが添付写真1ないし3へ行くにしたがい、液体中の気体の粒子が液面に浮上し、生ジョッキ缶の缶周縁部で「泡沫」に成長しているのであり、消滅しているものではない。「一旦乳白色の気泡が生じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所」は、液体中の「気泡」が液面に浮上し、生ジョッキ缶の缶周縁部で「泡沫」に成長しているため に、缶中央部で濃褐色の液面が現れるのであり(甲32)、本件審決の推認が技術的な知見に反することは明らかである。 このように、本件審決の本願意匠の要旨認定は、既に述べたとおり、単なる推認、及び推認が成立しない場合の仮定的判断に基づくものであり、意匠の要旨認定の手法として誤った方法に基づくものであり、推認の根拠となる箇所も、 需要者の注意を引かず、本願意匠が奏する美感に与える影響は全くないものである。そして、推認の前提となる技術的知見も完全に誤ったものであり、かかる要旨認定が成立する余地は存在しない。 なお、本件審決は、上記②(本件審決11頁32行目ないし34行目)の認定において、「例えば、意匠に係る物品である『容器入り飲料』を傾けた状態で 開栓した場合には、発生した気泡は、容器内にとどまるのではなく、液体とと もに缶の外に流れ出ることで、願書及び願書に添付した写真に表された形状等が生成されず、結果として、意匠保護の源泉ともいうべき物品の形状等による視覚を通じた美感が生起されないという事態を招くことが容易に想像できる。」(本件審決11頁下から4行目ないし12頁2行目)として認定内容を敷衍する。しかし、本願意匠に係る物品である「容器入り飲料」は、開栓後に飲料を 飲むために傾けて用いるものであり、傾けた状態で開栓することは物品の用 から4行目ないし12頁2行目)として認定内容を敷衍する。しかし、本願意匠に係る物品である「容器入り飲料」は、開栓後に飲料を 飲むために傾けて用いるものであり、傾けた状態で開栓することは物品の用途・機能を発揮させる通常の使用方法ではない。本願意匠は、開栓後に飲料を口に入れるまで静置するという使用場面において生じる美感に係る創作であるが、本件審決は、本願意匠に係る物品が通常想定している使用方法とは異なる、「傾けた状態で開栓した場合」なる使用方法、すなわち、物品の使用のため ではない形態を仮定しているものであり、このことからも上記②の認定が仮定的な認定であり、本願意匠の要旨を正しく捉えていないことは明らかである。 さらに、このような認定は、「願書の添附図面(この図面に代わる写真、ひな形又は見本)と、『意匠に係る物品』、並びにこの記載のみでは意匠に係る物品又は意匠の内容を理解することが困難なために願書に記載する『意匠に係る物 品の説明』及び『意匠の説明』」に基づ」くものでもないから、この観点からしても、誤っていることは明白である。 以上述べたとおり、本願意匠の要旨は、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等である。本件審決が推認し、推認が 成立しない場合の仮定的な判断に示された泡の生成、消滅等の個々の泡の状態は、需要者の注意を全く引かない箇所からの単なる推認及び推認が成立しない場合の仮定的な判断に基づくものであり、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいて認識できない以上、本願意匠の要旨ではないことが明らかである。 したがって、本件審決は、その判断の基礎となる要旨認定について重大な誤 「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいて認識できない以上、本願意匠の要旨ではないことが明らかである。 したがって、本件審決は、その判断の基礎となる要旨認定について重大な誤 りを犯したものである。 5 本願意匠の「意匠」該当性判断の誤り本願意匠の要旨は、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等である。以下に論じるとおり、本願意匠の要旨は、生ジ ョッキ缶という物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化するものであり、正しい「意匠」該当性に係る要件によれば、意匠法上の「意匠」の該当性に何らの問題も生じないものである。 前記のとおり、本願意匠は、当然に変化を予定した動的意匠であり、「物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する」のであれば、定形性の要件 を満たすことになる。 本願意匠は、容器内側に微細なクレーター状の凹凸構造を塗装により設けることによって、開蓋後に容器内周面から中心に向けて、泡が次第に広がっていくように設計した泡の総体及び缶の一部を対象としたものである。 より具体的には、本願意匠の実施品である生ジョッキ缶の開発過程において は、内面塗装に使用する塗料に配合する素材を複数検討し(甲28、6頁表3)、当該素材の添加量による泡立ち状況の検討を行い(甲28、7頁図3)、さらに、泡立ちに対する最適膜厚を検討している(甲33、8頁表2)。 また、甲34明細書の段落【0031】ないし【0038】のとおり、科学的な試験を行って泡立ちを定量的に評価することによって、定量的な最適条件 も検討の上、生ジョッキ缶を開発している。 このように、本願意匠では、容器内面の塗装に使用する 0038】のとおり、科学的な試験を行って泡立ちを定量的に評価することによって、定量的な最適条件 も検討の上、生ジョッキ缶を開発している。 このように、本願意匠では、容器内面の塗装に使用する塗料の添加物の種類や、塗布後の最適な膜厚等の諸条件を詳細に検討し、泡立ちのコントロールポイントを探し、発泡態様の最適化を行っている。 その結果、泡の総体は、創作者が意図したとおり、一定の規則性をもって変 化するものである。既に述べたとおり、本願意匠は、開蓋後より缶周縁部液面 上に乳白色の泡沫が生じ始め、泡沫の総体が略円環状の輪郭を形成し、当該略円環形状の径が漸次的に狭まっていくことにより、容器内略中央において円環形状が閉じて円形の泡沫面となり、更にその後、泡沫面が缶口部へ向けて盛り上がっていき、缶口面上部に円錐台状の立体形状を形成するという、一定の規則性をもった泡沫の総体の形状等の変化を呈するのであり、決して泡沫が無作 為・偶発的に形成されて液面を覆うものではない。したがって、本願意匠は「物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する」という「定形性」の要件を充足する。 このように、本願意匠の要旨は、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆う ように盛り上がって変化する形状等であるところ、これが一定の規則性をもって変化するものであることは、特許第7161596号(甲34)が登録されていることからも裏付けられる。すなわち、特許法2条1項では、発明の定義として「自然法則を利用した」ものであることが定められており、同要件から派生的に導出される要件として、反復可能性の要件が存在する(甲35)。つま り、特許登録がされているということは、反復可能性 して「自然法則を利用した」ものであることが定められており、同要件から派生的に導出される要件として、反復可能性の要件が存在する(甲35)。つま り、特許登録がされているということは、反復可能性の要件を満たしている、発明の作用効果等を繰り返し実現することが可能であることになる。 ここで、当該特許は、「発泡性を更に向上させることのできる、発泡性飲料用缶及びその製造方法を提供する」ことを課題とし(甲34、【0005】)、その解決手段として、「缶の内面に所定の構造を形成することによって、上記課題が 解決できることを見出し、本発明に至った」(同【0006】)ものである。そして、請求項1はその間の内面の構造を詳細に規定しているが、特に、その請求項5及び6の記載は次のとおりである。 「【請求項5】前記上面が、フルオープン形式で開栓するように構成された缶蓋により形成 されている、 請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡性飲料用缶。 【請求項6】請求項5に記載された発泡性飲料用缶と、前記発泡性飲料用缶に充填された飲用可能液とを有し、開栓することにより、前記発泡性飲料用缶の上端部が隠れるように前記飲用 可能液が発泡する、発泡性飲料。」ここでは、発泡性飲料用缶をフルオープン形式で開栓することにより、缶の上端部が隠れるように発泡することが規定されている。この発明が特許登録されているということは、開栓することにより、発泡性飲料用缶の上端部が隠れるように飲用可能液が発泡するということが、上記のような缶の内部構造を設 計することにより、技術的に反復継続して起こると特許庁が認めたということである。 そして、本願意匠に係る容器入りの発泡性飲料の容器と飲料は、当該特許の実施品であり(甲36)、本願意匠に係る容器 計することにより、技術的に反復継続して起こると特許庁が認めたということである。 そして、本願意匠に係る容器入りの発泡性飲料の容器と飲料は、当該特許の実施品であり(甲36)、本願意匠に係る容器入り発泡性飲料は、開栓することにより、乳白色の泡の総体が、容器の上端部が隠れるように発泡するというこ とが、反復継続して起こるものである。 このように、本願意匠の泡の総体の動きは、技術的に反復継続して起きるものであり、その意味で、設計された動きをするものであって、したがって、本願意匠が一定の規則性をもって変化するものであることが裏付けられる。 したがって、本願意匠は、「物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変 化する」という「定形性」の要件を満たし、「意匠」に該当するものである。 本願意匠の要旨である開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等は、既に述べたとおり、詳細な条件の設定と、特許技術に裏打ちされたものであり、一定の規則性をもって変化するものであるから、 本願意匠の意匠法上の「意匠」の該当性には、何らの疑義も生じる余地がなく、 本件審決は取り消されるべきである。 6 被告の主張に対する反論⑴ 被告は、本願意匠の要旨には、「規則性」を見出すことはできないと主張する。しかし、本願意匠は、閉蓋時における物品の形状等(六面図、【斜視図】)から開蓋した直後の物品の形状等(【開蓋後の平面図】、【開蓋後の斜視図】)、 それから、更に【発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図】1ないし10、【発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図】へと物品の形状等(発泡状態)の経時的な変化の態様を含めた一つの意匠と捉えるべきである。 れから、更に【発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図】1ないし10、【発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図】へと物品の形状等(発泡状態)の経時的な変化の態様を含めた一つの意匠と捉えるべきである。 それゆえ、【開蓋後の平面図】から【発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図10】までの各図に表された物品の形状等を構成する個別の泡の微細な変化 に拘泥して定形性を論じるべきではなく、その変化態様の全てを含めた全体について、機能に基づく一定の規則性のある変化であれば、一つの美感として認識することができるから(甲38の10頁下から4行目ないし11頁3行目参照)、このことからしても、被告の反論は失当である。 これに加えて、刻々と変化する細部の泡の形状は、これに需要者が着目す ることはないから、一見して同一に見える程度の泡沫の総体の変化の規則性を需要者が認識することに影響を与える箇所でもない。 本願意匠の要旨である、開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等は、詳細な条件の設定と、特許技術に裏打ち されたものであり、缶に施された気泡をつくる機能に基づいて、一定の規則性をもって変化するものであるから、本願意匠の意匠法上の「意匠」の該当性には、何らの疑義も生じる余地がない。 ⑵ 本願意匠における意匠法6条4項にいう「意匠に係る物品」とは、願書の【意匠に係る物品】の欄の記載のとおり「容器入り飲料」である。 そして、「容器入り飲料」とは、容器と内容物が一体化して構成された一つ の物品であるから、容器も内容物とともに「意匠に係る物品」を構成するものであり、内容物たる飲料の形状において、容器内側に設けられた微細なクレーター状の凹 内容物が一体化して構成された一つ の物品であるから、容器も内容物とともに「意匠に係る物品」を構成するものであり、内容物たる飲料の形状において、容器内側に設けられた微細なクレーター状の凹凸構造による気泡を作る機能に基づき、濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化することは、意匠法6条4項の「意 匠に係る物品の形状・・・がその物品・・・の有する機能に基づいて変化する・・・」の要件に文言上明らかに当てはまるものである。 念のために付言するに、願書の【意匠の説明】において、「ピンク色で着色された部分以外の部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としているが、願書に添付されたいずれの写真においても、容器の内面は、ピンク色 で着色されていない。すなわち、気泡を作る機能を有する容器内面は、意匠登録を受けようとする部分から除外されていないのであり、仮に意匠法6条4項の「意匠に係る物品」を「意匠登録を受けようとする物品の部分」のように狭く解したとしても、容器の内面は、「意匠に係る物品」に該当する。なお、ピンク色に着色したのは容器外装部分であり、本願意匠は、容器外装の デザインを対象から除いたものであることは明らかである。 以上のように、本願意匠の缶の内面は、意匠法6条4項の「意匠に係る物品」に該当し、本願意匠は、「その物品・・・の有する機能」により、一定の規則性をもって変化するものである。 ⑶ 被告の主張するように、「動的意匠」に関して、その変化の状態の一つ一つ にも「定形性」が求められ、「意匠」の該当性の審査にあたって、変化の状態の一つ一つの複数の形態の「定形性」に関して審査されると解釈すると、出願図面各通に審査の対象であるそ 化の状態の一つ一つ にも「定形性」が求められ、「意匠」の該当性の審査にあたって、変化の状態の一つ一つの複数の形態の「定形性」に関して審査されると解釈すると、出願図面各通に審査の対象であるそれぞれ異なった形態が表されていることになり、一形態(単一性)の要件を満たさないことになるから、一意匠一出願の原則に反することは明らかである。それ故、「動的意匠」に関しては、全体 を一つの形態として捉えて、この点(単一の形態)を対象に審査されて「定 形性」が認められれば、「意匠」の該当性が認められると解釈されるのは明らかである。 「びっくり箱」に関しては、「びっくり箱は複数のものが同時にとれる。複数意匠ではないか。」という問題点の指摘に対して、改正法(現行法)においては、意匠法6条4項という出願規定を置くことにより、一意匠一出願の原 則の例外ではなく、保護されることになったのであり、「びっくり箱」を一つの意匠として、この点(単一の形態)を審査し、全体として「意匠」に該当すれば、「意匠」の該当性が認められて保護されることになったのである。したがって、立法過程においては、被告の理解とは正反対に、現行意匠法は、動的意匠については、まさに中間状態において「意匠」に該当するかどうか に関して審査せずに、全体として一つの意匠として、一意匠一出願の原則の適用の下で保護する趣旨を明確にしたものであり、被告の立法過程に関する理解は誤りである.〔被告の主張〕 1 意匠法3条1項柱書の規定について 意匠法3条は、意匠登録の要件について規定したものであり、同条1項柱書は、意匠登録出願されたものが工業上利用することができる意匠であることを求めている。そして、工業上利用することができる意匠に該当するには、それが意匠法上の意匠の定 て規定したものであり、同条1項柱書は、意匠登録出願されたものが工業上利用することができる意匠であることを求めている。そして、工業上利用することができる意匠に該当するには、それが意匠法上の意匠の定義に該当するものであることが前提となる。 意匠法2条1項にいう「物品」は、市場で流通する有体物である動産を指す ものと解されている(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説」〔第20版〕、乙1)。また、有体物であっても、気体、液体等の流体物及び粉状物の集合体は、一定の形状を有しないことから「物品の形状、模様、色彩」を構成せず、意匠法上の物品とは認められていない(甲2、56頁22行目ないし57頁11行目)。 なお、本件審決は、本願の内容について言及するときに、意匠法上の「意匠」 に該当しないとする立場から、これを敢えて「本願において意匠登録を受けようとするもの」としたものであり、被告の主張もこれにならう。 2 原告の主張に対し⑴ 定形性の解釈についてア原告の主張 原告は、本願意匠はいわゆる動的意匠(意匠法6条4項)であり、動的意匠の場合は、「物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する形態」であれば「定形性」を有することとなると解釈され、それ以上の要件は不要である旨、主張する。 しかしながら、意匠法が「意匠の保護及び利用を図ることにより、意匠 の創作を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする」(意匠法1条)ことを踏まえれば、具体的な形を維持するものであることが、同法上の「意匠」たるものに当然に備わる性質であることは明白であり、いわゆる「動的意匠」であるからといって例外ではない。以下、詳述する。 イ意匠法6条4項は「動的意匠」なる特別の保護対象を規定するものでは な ものに当然に備わる性質であることは明白であり、いわゆる「動的意匠」であるからといって例外ではない。以下、詳述する。 イ意匠法6条4項は「動的意匠」なる特別の保護対象を規定するものでは ないこと意匠法6条4項の規定の記載事項に沿って出願した意匠をいわゆる「動的意匠」と称することがあるが、意匠法上「動的意匠」なる特別の保護対象が規定されているものではなく、これも、意匠法2条1項に規定する「意匠」の定義に該当するものにほかならない。 意匠法6条4項は、意匠登録出願の願書に記載すべき事項を規定したもので、意匠に係る物品の形状、模様、色彩がその物品の機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたる形状等について意匠登録を受けようとするときに、規定の事項を願書に記載することにより、形状が異なる状態ごとに別個の出願をせずとも、一出願で完全な権利を取得でき ることとしたものである(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条 解説」〔第20版〕、乙2)。 したがって、意匠登録を受けようとする物品の形状等が、当該物品の機能に基づいて変化するものである場合において、その変化の前後にわたる形状等について意匠登録を受けようとするときは、その変化の前後、いずれの状態における形状等についても、意匠法上の「意匠」に該当するもの でなければならないと解され、すなわち、変化の状態の一つ一つにも「定形性」が求められるものである(乙3ないし5)。 ウ意匠法上の「意匠」が備えるべき「定形性」について意匠法2条1項の「物品」は、前記のとおり、市場で流通する有体物である動産を指すものと解されている(乙1)。この「物品」と認められるも のに関し、特許庁の意匠審査基準においても、「有体物のうち、市場で流通する動産をい 、前記のとおり、市場で流通する有体物である動産を指すものと解されている(乙1)。この「物品」と認められるも のに関し、特許庁の意匠審査基準においても、「有体物のうち、市場で流通する動産をいう」と定められ、また、「物品」とは認められないものの例として、「固体以外のもの」の見出しの下、電気、光、熱などの無体物、及び、有体物であっても、気体、液体などの、そのものの固有の形状等を有していないものが挙げられ、さらに、「粉状物及び粒状物の集合しているもの」 の見出しの下、これらは、構成する個々のものは固体であってもその集合体としては特定の形状等を有さないものであることから、物品とは認められないと定められている(特許庁「意匠審査基準」令和2年12月16日一部修正版、乙6)。これらの判断指針は、意匠法が、願書及び添付図面等の内容に基づいて登録意匠の範囲を定め(意匠法24条)、登録意匠及びこ れに類似する意匠について独占的権利を発生させる(意匠法23条)ものであることを踏まえれば、「意匠保護の実効性及び法的安定性を確保するため・・・、その物品自体が、視覚を通じた美感の創出の源泉となる固有の形状等を具備しており、その具体的な形状等が、意匠に係る物品が取引される場面において、意図せず又は容易に変形等してしまうことがない程 度の定形性を有するものであることを求める趣旨である」と解される(本 件審決9頁6行~12行)。 そして、前記のとおり、「動的意匠」の場合には、その変化の前後のいずれの状態における形状等についても、意匠法上の「意匠」に該当するものでなければならないのであって、すなわち、変化の状態の一つ一つにも「定形性」が求められるものである。 「動的意匠」は、変化の前後の各状態(変化の状態が多段階にある場合は 意匠」に該当するものでなければならないのであって、すなわち、変化の状態の一つ一つにも「定形性」が求められるものである。 「動的意匠」は、変化の前後の各状態(変化の状態が多段階にある場合はその中間段階も含む各状態)における形状等が、創作されたとおりの形状等を維持し、すなわち「定形性」を有し、ある状態から別の状態へと形状等が移り変わるという形状等の変化があるものであって、この移り変わりによる変化を含めて一つの「意匠」と認定されることから、形状等が移り 変わることをもって定形性が否定されるものではない。 したがって、いわゆる「動的意匠」であるか否かにかかわらず、意匠法上の「意匠」が備えるべき「定形性」は同じものである。よって、「動的意匠」に課される「定形性」は、変化を予定しない通常の意匠に課されるものとは異なるとする原告の主張は、失当である。 エ原告が解釈する「定形性」について原告は、いわゆる「動的意匠」の場合は、「物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する」形状等であれば、「定形性」を有することになり、それ以上の要件は不要である旨主張する。 しかしながら、原告が示す「一定の規則性をもって変化する」との要件 は、いかなる属性についての規則性か、また、どの程度の規則性を指すものかが曖昧であって、妥当なものではない。 原告は、「本願において意匠登録を受けようとするもの」が、原告の解釈による「一定の規則性をもって変化する」ものであり「定形性」を有する旨述べるものである。さすれば、本願の添付写真に現れる形状等の変化に は、原告が考えるところの規則性ないし定形性が具現化しているはずであ る。しかしながら、本願の添付写真の内容に照らしても、そこに「規則性」、「定形性」のいずれも見いだすこと 変化に は、原告が考えるところの規則性ないし定形性が具現化しているはずであ る。しかしながら、本願の添付写真の内容に照らしても、そこに「規則性」、「定形性」のいずれも見いだすことはできない。すなわち、本願の添付写真の「発泡状態の変化を示す」各写真に現れた気泡の総体の形状及びその変化からは、以下の(ア)ないし(エ)に示すとおり、定まった形状ないし規則性を見いだすことはできず、開栓の都度、添付写真と同じ形状等が再現され るものとも想定し難いものである(甲17)。さらに、「本願において意匠登録を受けようとするもの」を実施した商品であると原告が認める「生ジョッキ缶」についての公開情報を見れば、それらに示された気泡の総体の形状及びその変化においても、以下の(オ)ないし(コ)に示すとおり、開栓毎に泡立ちの状態は全く異なり、そこから定まった形状ないし規則性を見いだ すことはできない(甲1、31、乙7ないし10)。 これらに示されるような、規則性及び定形性に欠けるといっても過言ではない変化の状態を指して、「一定の規則性をもって変化する」ものであるというならば、原告のいう「一定の規則性をもって変化する」ことそのものが、「定形性」の要件としては不十分なものであることを示しており、「本 願において意匠登録を受けようとするもの」が「定形性」を有するものであるということは、到底できない。 (ア) 本願の添付写真「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1」について、原告は「開蓋後より缶周縁部液面上に乳白色の泡沫が生じ始め」とするが、缶周縁に沿ってまんべんなく気泡が生じているものではなく、気泡 の量が少なく細い帯状となっている箇所(図内右斜め上部分、下部分)と、気泡の量が多く太い帯状となっている箇所(上部分、右下部分)の 缶周縁に沿ってまんべんなく気泡が生じているものではなく、気泡 の量が少なく細い帯状となっている箇所(図内右斜め上部分、下部分)と、気泡の量が多く太い帯状となっている箇所(上部分、右下部分)の差が大きく生じている(甲17)。 (イ) 本願の添付写真「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図2」について、原告は「泡沫の総体が略円環状の輪郭を形成し」とするが、前記(ア)と同 様に、缶周縁に帯状となった気泡の幅は一定ではなく、その輪郭形状は いびつな円形である。しかも、前段階である(ア)と比べて、気泡による帯の幅が増した箇所(右上部分)がある一方、減少した箇所(右下部分)がある。また、中央部には気泡の小さな集合が不規則に散在する(甲17)。 (ウ) 本願の添付写真「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図3」ないし「同 平面図7」について、原告は「当該円環形状の径が漸次的に狭まっていく」とするが、輪郭形状の径が狭まる進行の度合いはところにより一定ではなく、全体として缶の中心より上方向へそれて行き、形状も円からはかけ離れたいびつな形状である(甲17)。 (エ) 本願の添付写真「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図9」、「同平面 図10」及び「発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図」について、原告は「泡沫面が缶口部へ向けて盛り上がっていき、缶口面上部に円錐台状の立体形状を形成する」とするが、発泡の状態は一様ではなく、大きな単独の気泡が見え隠れする部分(左部分)がある上、気泡が盛り上がった立体形状も円錐台状と単純に言い表すことはできない態様であ る(甲17)。 (オ) 「生ジョッキ缶開発ストーリー」のウェブサイトにおいて「06 自分好みの飲み方で楽しめる、それが『生ジョッキ缶』。」の見出しの下、「この商品は冷や できない態様であ る(甲17)。 (オ) 「生ジョッキ缶開発ストーリー」のウェブサイトにおいて「06 自分好みの飲み方で楽しめる、それが『生ジョッキ缶』。」の見出しの下、「この商品は冷やす温度と冷やし方によって、泡の出方がまったく変わるんですね。」の記載がある(甲1、8頁)。 (カ) 「ビール女子」のウェブサイトにおいて「『生ジョッキ缶』はこんな技術で作られた」の見出しの下掲載された写真に現れた、開栓後の「生ジョッキ缶」の発泡状態は、缶の周縁部に大きな泡が複数視認できるもので、本願の添付写真におけるいずれの発泡状態とも異なる(甲31、15頁)。 (キ) 「アサヒビール」のウェブサイトにおいて「生ジョッキ缶のきれいな泡 の楽しみ方」の見出しの下「温度によって泡立ちがかわります。温度が低いと泡が少なめ、高いと泡が多めになります。飲み頃温度は4℃~8℃です。冷蔵室で冷やしてお飲みください。生ジョッキ缶(340ml)は12度以上、大生(485ml)は10 度以上でふきこぼれる可能性がございます。」等の記載がある。また、同記事には他にも、「うまく泡が出ない場 合」、「泡が吹きこぼれる場合」の見出しの下、冷却温度、冷やし方や温め方、振動等の諸条件によって、泡の出方が極端に異なる旨の記載がある(乙7)。 (ク) 「YouTube」のウェブサイトに掲載された動画、「アサヒスーパードライ WEBCM『生ジョッキ缶楽しみ方動画』トータルテンボス篇」 の映像中に現れた「生ジョッキ缶」の発泡状態は、まだらに湧いた気泡が増加するもので、円環形状の輪郭が形成される状態は全くなく、円環形状から漸次狭まるような変化は見られない(乙8)。 (ケ) 「YouTube」のウェブサイトに掲載された動画、「【検証】アサヒス が増加するもので、円環形状の輪郭が形成される状態は全くなく、円環形状から漸次狭まるような変化は見られない(乙8)。 (ケ) 「YouTube」のウェブサイトに掲載された動画、「【検証】アサヒスーパードライの『生ジョッキ缶』って実際どうなの?(ビール)」の映 像中に現れた「生ジョッキ缶」の発泡状態について、泡の総体が盛り上がった形状は、球面の一部を切り取ったようなドーム形状であり、円錐台形状とはいえない(乙9)。 (コ) 「カジュアルウイスキー&ビール」のウェブサイトにおいて「【スーパードライ生ジョッキ缶】レビュー評価」の見出しの下掲載された、開栓 後の「生ジョッキ缶」の写真に現れた発泡状態は、缶内部の液面の周縁部にかろうじてわずかな泡の集合が見られる程度で、ほとんど発泡していない(乙10、4頁)。 オ小括したがって、原告が主張する、動的意匠の場合は「物品の機能に基づい て、一定の規則性をもって変化する」形態であれば「定形性」を有すると の解釈は、原告独自のものに過ぎず、意匠法上の「意匠」が備えるべき「定形性」を誤って解するものである。 ⑵ 本願意匠の要旨認定の誤りについてア原告は、本件審決が、本願の「写真中の各図に表された乳白色の気泡は、個々には、生成後すぐに消滅するという性格を有したものである」(本件審 決11頁25行目ないし26行目)と推認したことに対して、ビールの「気泡」及び「泡沫」の生成、消滅等の個々の泡の状態は、「添付写真」、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」に基づいて認識できない以上、本願意匠の要旨ではないことが明らかである旨、主張する。 しかしながら、本件審決における本願意匠の要旨(本願において意匠登 録を受けようとするものの認定)は本件審決6頁1行目ない きない以上、本願意匠の要旨ではないことが明らかである旨、主張する。 しかしながら、本件審決における本願意匠の要旨(本願において意匠登 録を受けようとするものの認定)は本件審決6頁1行目ないし7頁11行目に記載のとおりであって、「濃褐色の液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の気泡の形状等」については、添付写真に基づいて、気泡の集合体として認定したものであり、決して個々の泡の形状等を認定したものではないことが明らかである。 そして、当該乳白色の気泡の集合体は、定形的な形を保持する性質のものかどうかについて疑問を抱かせるものであったために、本件審決では、それが、液体若しくは粉状物、粒状物の集合体のように、特定の形状を有さないものであるか、それとも、角砂糖のように、粉状物、粒状物の集合体であるものの集合体として固定した形状を有するものであるかを判断 するため、願書の記載及び添付写真に基づいて認識することができる範囲で、泡の個々の性質に言及したに過ぎない(本件審決11頁24行目ないし12頁2行目)ものである。 このように、本件審決は、「本願において意匠登録を受けようとするもの(原告のいう「本願意匠の要旨」)」を、願書の記載及び添付写真に基づい て認定したものである。そして、その認定方法は、原告が指摘する裁判例 で示されたとおりのものであって(甲26、27)、本件審決に誤りはない。 イまた、原告は、本件審決が、本願の添付写真の需要者が全く着目しない部分であり本願意匠の要旨認定に影響を与えない箇所に着眼して推認をし、また、その推認が成立しない場合の仮定的な認定を行ったものであるとして、その意匠の要旨認定の手法を誤ったものである旨、主張する。 しかしながら、既に述べたとおり、本件審決では、本願に 認をし、また、その推認が成立しない場合の仮定的な認定を行ったものであるとして、その意匠の要旨認定の手法を誤ったものである旨、主張する。 しかしながら、既に述べたとおり、本件審決では、本願において意匠登録を受けようとするものの形状等の変化後の状態に表れる「濃褐色の液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の気泡の形状等」が、意匠法上の意匠を構成するものであるか判断する必要が生じたため、願書の記載及び添付写真に基づいて認識することができる範囲で、個々の泡の性質に言及 したものであるから、「本願において意匠登録を受けようとするもの」の認定の手法に誤りはない。 また、本件審決の認定中、「一旦乳白色の気泡が生じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所」(本件審決11頁24行目ないし25行目)は、具体的には、添付写真の「開蓋後の平面図」から「発泡状態の変化を示す開 蓋後の平面図1」にわたる状態の変化において、濃褐色の液体を全体的に覆う乳白色の気泡が生じ、次いで、「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図2」にわたる状態の変化において、主に中央部の気泡が消失し、再度、濃褐色の液体が現れる箇所をいうものであるところ、これらの写真を見ればわかるように、上記の箇所における変化の態様は、液面全体あるいは中央 部という目に付きやすい部分において生じた、明確に視認できる変化態様である。また、これらの写真が本願に添付されたことを踏まえれば、出願人の意思表示としても、当該変化の前後にわたる形状等について意匠登録を受けようとしたものと位置付けられるから、そこに現れた発泡状態の変化態様は軽視されるべきものではない。 したがって、当該気泡の変化の態様について、需要者が全く着目しない 部分であるとか、本願意匠の要旨認定に影響を与えな そこに現れた発泡状態の変化態様は軽視されるべきものではない。 したがって、当該気泡の変化の態様について、需要者が全く着目しない 部分であるとか、本願意匠の要旨認定に影響を与えないものであるとして認定要素から除外すべきという原告の主張は当を得たものではない。そして、願書及び添付写真に基づいて「本願において意匠登録を受けようとするもの」を認定した本件審決の判断手法に誤りはない。 ウ原告は、本件審決が、本願の添付写真について「一旦乳白色の気泡が生 じた後に、再度、濃褐色の液体が現れる箇所があることから、写真中の各図に表された乳白色の気泡は、個々には、生成後すぐに消滅するという性格を有したものであることが推認される」(本件審決11頁24行目ないし26行目)としたことについて、技術的理解として誤りである旨、主張する。 原告の主張は、本願の願書等に記載されなかった技術的知見を持ち出し、本件審決が当該知見に反したものであるとする。しかしながら、高度の技術的創作を保護する特許法における登録要件の判断の場合とは異なり、視覚を通じて美感を起こさせる物品等の形状等を保護する意匠法における登録要件の判断の場合は、願書の記載及び添付図面(図面代用写真)に基 づいて、具体的な形状等を認定すれば足りるのであって、必ずしも願書の記載等に示されない技術的知見を前提とした認定が求められるものではない。 したがって、本件審決の認定に原告主張の技術的知見との齟齬があるとしても、本件審決は、願書の記載及び添付写真の内容に基づいて、「本願に おいて意匠登録を受けようとするもの」を認定したものであって、その認定の手法に誤りはないし、気泡の集合体に「定形性」がない点では変わらない。 エ原告は、本件審決が、本願意匠に係る物品 に おいて意匠登録を受けようとするもの」を認定したものであって、その認定の手法に誤りはないし、気泡の集合体に「定形性」がない点では変わらない。 エ原告は、本件審決が、本願意匠に係る物品である「容器入り飲料」を傾けた状態で開栓した場合に敷衍して本願意匠を認定したことについて、本 願意匠に係る物品が通常想定している使用方法とは異なる状態における形 状等を仮定しているものであり、本願意匠の要旨を正しく捉えたものではない旨、主張する。 しかしながら、この種の飲料缶を開栓する方法として、例えば、片方の手に缶を持ち、もう片方の手でプルタブを引き起こし、蓋を取り外すことは通常の使用態様として十分想定される。その際に、缶を持つ手に多少の 角度がついたり、また、缶蓋を引き剥がした際の反動を受けたりすることで、開栓したときに缶が傾いた状態となることは十分起こり得ることであって、本願の添付写真から認識できる気泡の集合体の性質を踏まえれば、その一部が容器内にとどまらず、外に流れ出てしまい、添付写真に表された形状等が生成されないであろうことは想像に難くない。本件審決は、こ のような一般的にあり得る使用方法による一態様について言及したまでに過ぎず、本件審決に誤りはない。 なお、原告は、「本願意匠は、開栓後に飲料を口に入れるまで静置するという使用場面において生じる美感に係る創作である」と主張するが、本願願書のどこにもそのような使用場面の特定に係る記載はなかったもので あり、必ずしも原告主張のとおりに使用場面を特定する必要はない。 ⑶ 本願意匠の「意匠」該当性判断の誤りについて原告は、本願意匠の泡の総体の動きが一定の規則性をもって変化するものであることは、特許登録された技術によって裏付けられているものであり、した い。 ⑶ 本願意匠の「意匠」該当性判断の誤りについて原告は、本願意匠の泡の総体の動きが一定の規則性をもって変化するものであることは、特許登録された技術によって裏付けられているものであり、したがって、本願意匠は「定形性」の要件を満たし、「意匠」に該当するもの である旨、主張する。 しかしながら、原告が主張する「一定の規則性をもって変化する」という「定形性」とは、結局、特許法における、自然法則を利用しての技術的効果の反復可能性のごときものであって、ビールの泡の発泡現象が反復して起こるという程度の規則性はあるかもしれないが、工業上の利用を想定した具体 的な形状等を保護する意匠法における「定形性」の要件としては甚だ不十分 なものである。 そして、既に検討したとおり、本願における「濃褐色の液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の気泡の形状等」は、「定形性」を見いだすことができないものであり、これを主要な構成要素とする「本願において意匠登録を受けようとするもの」は意匠法上の「意匠」を構成するとはいえないもの であって、本件審決の判断に誤りはない。 3 原告の反論に対する再反論⑴ 意匠法6条4項は「意匠に係る物品の形状、模様若しくは色彩・・・がその物品・・・の有する機能に基づいて変化する場合」、すなわち、機能そのものを直接に保護対象とする趣旨ではなく、あくまでも意匠法2条1項に定め る「意匠」の要素たる形状等(形状、模様若しくは色彩)が変化する場合についていう規定であることが明らかである(これに反し、例えば、変化の過程における「形状、模様若しくは色彩」に限っては、同一の語でありながら意匠の要素たる「形状、模様若しくは色彩」とは無関係であるなどとする解釈は、不自然であって成り立ち得ないことが明らかである 化の過程における「形状、模様若しくは色彩」に限っては、同一の語でありながら意匠の要素たる「形状、模様若しくは色彩」とは無関係であるなどとする解釈は、不自然であって成り立ち得ないことが明らかである。)。 このように、いわゆる動的意匠は、出願に係る意匠が意匠法2条1項の「意匠」である状態を保ちながらその要素である形状等を変化させる場合、その変化の過程を含めて全体として一つの動的な形状等として把握し、これを一つの意匠として保護しようとするものである。この点は、学説上の見解、例えば甲40にみられる見解と異なるものではない。 ⑵ 立法過程において動的意匠に関する規定が検討されるにあたっては、「びっくり箱」のように、当時の意匠法の下でも「意匠」に該当すると解し得る形状等を備える各中間状態の集合を、一意匠一出願(意匠法7条)の例外たる意匠として認めるかどうか、その規定方法が議論・検討されたのであり、他方、中間状態において「意匠」に該当しないと解されるものを特別な制度 の下で保護するか否かという観点は、議論において想定されていなかった。 換言すれば、あくまでも「びっくり箱」のように、中間状態も含めて全体として一つの形状等として把握できるものにつき、これを一意匠と捉えるか否かが検討されていたにすぎないのであって、現行意匠法が、中間状態において「意匠」に該当しないと解されるものを特別な制度の下で保護することを立法化したものでないことは明らかである。 意匠法6条4項(平成10年法律第51号による改正前の意匠法6条5項)の制定に係る経緯からすれば、立法者は、動的意匠においても、その各中間状態において予測し得る一定の形状が具備されていること、つまりは、変化の過程における各中間状態が意匠法2条1項所定の「意匠」に該当す 制定に係る経緯からすれば、立法者は、動的意匠においても、その各中間状態において予測し得る一定の形状が具備されていること、つまりは、変化の過程における各中間状態が意匠法2条1項所定の「意匠」に該当するものであることを前提としているのであり、動的意匠について、これと異なる例 外的な扱いとすることは想定していない。 ⑶ 原告の主張は、本願の添付写真に表れる泡沫の総体の形状等について、従来、「生ジョッキ缶という物品の機能に基づいて」変化するとしていたものを、「容器入り飲料」の機能に基づくものであるとしたもので、その主張は一定しない。また、そのように主張を変えたとしても、変化する泡沫の総体の形 状等の特定について何ら寄与するものでない。 原告が述べる「容器内側に設けられた微細なクレーター状の凹凸構造」については、本願の願書に何ら記載が見られないものである。また、「容器の内面は、ピンク色で着色されていない」、「意匠登録を受けようとする部分から除外されていない」とも述べるが、添付写真においてピンク色に着色されて いない容器内面は、「開蓋後の斜視図」等のごく一部分に現れているにすぎず、これらの写真から、原告が述べる「クレーター状の凹凸構造」は視認できない。したがって、原告が述べる「構造」ないし「機能」は、本願願書の記載及び添付写真に基づいて、意匠法6条4項に規定する「物品の有する機能」として認識できるものではない。 第4 当裁判所の判断 1 本願意匠について⑴ 本願の願書(甲17)の記載及び願書に添附された写真は、別紙審決書(写し)の別紙「本願意匠(意願2022-000060)」のとおりである。 ⑵ 本願意匠は、【意匠に係る物品】を「容器入り飲料」とするところ、意匠法6条1項3号、同法施行規則2条第 真は、別紙審決書(写し)の別紙「本願意匠(意願2022-000060)」のとおりである。 ⑵ 本願意匠は、【意匠に係る物品】を「容器入り飲料」とするところ、意匠法6条1項3号、同法施行規則2条第1項及び同規則様式第2備考8及び同3 9(「『【意匠に係る物品】』の欄の記載のみでは物品、建築物又は画像の使用の目的、使用の状態等が明らかでないときは、『【意匠に係る物品の説明】』の欄にその物品、建築物又は画像の使用の目的、使用の状態等、物品、建築物又は画像の理解を助けることができるような説明を記載する。」)の規定に基づき、容器及び容器内の発泡性飲料を合わせた物体を「容器入り飲料」と称 し、「飲料」を主体、「容器」を付随物とするものである。 また、意匠法2条1項、6条1項、同法施行規則3条及び同規則様式第6備考12(「物品、建築物又は画像の部分について意匠登録を受けようとする場合であって、8から11までに規定される図において、意匠登録を受けようとする部分とその他の部分のいずれをも含むときは、意匠登録を受けよう とする部分を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により意匠登録を受けようとする部分を特定する。図面の記載のみでは意匠登録を受けようとする部分を特定することができない場合は、当該部分を特定する方法を願書の『【意匠の説明】』の欄に記載する。意匠法第8条において規定する組物の意匠及び同法第8条の2において規定する内装の意匠の部分について意匠登録 を受けようとする場合についても同様とする。」)の規定に基づき、その「容器入り飲料」のピンク色で着色された部分以外の部分の形状等について、意匠登録を受けようとするものである。 さらに、本願意匠は、意匠法6条4項、同法施行規則2条1項及び同規則様式第2備考42(「意匠法第6条第 」のピンク色で着色された部分以外の部分の形状等について、意匠登録を受けようとするものである。 さらに、本願意匠は、意匠法6条4項、同法施行規則2条1項及び同規則様式第2備考42(「意匠法第6条第3項、第4項及び第7項に規定する場合 は、『【意匠の説明】』の欄にそれぞれの規定により記載すべき事項をそれぞれ 記載する。)、並びに、同法6条1項、同法施行規則3条及び同規則様式第6備考22(「動くもの、開くもの等の意匠であって、その動き、開き等の意匠の変化の前後の状態の図面を描かなければその意匠を十分表現することができないものについては、その動き、開き等の意匠の変化の前後の状態が分かるような図面を作成する。」)の規定に基づき、閉蓋時における容器の形状等 から、開蓋時における容器及び容器内の発泡性飲料の起泡の形状等まで、その変化の前後にわたる「容器入り飲料」の形状等について、意匠登録を受けようとするものであり、いわゆる動的意匠として登録を受けようとするものである。 なお、上記の変化後の形状等(開蓋時における容器及び容器内の発泡性飲 料の起泡の形状等)は、意匠法施行規則3条様式第6備考19(「ふたと本体、さらとわんのように分離することができる物品であって、その組み合わされたままではその意匠を十分表現することができないものについては、組み合わせた状態における図のほかに、その物品のそれぞれの構成部分について8から10までの図面及び15の図を加える。」)により、分離可能な蓋を容器 本体から外した際の構成部分を表したものである。 本件審決のこれらの判断(本件審決6頁19行目ないし37行目)を原告は認めており(原告第1準備書面2頁8行目)、当事者間に争いがない。 以上のとおり、本願は動的意匠であり、かつ部分意匠としての 。 本件審決のこれらの判断(本件審決6頁19行目ないし37行目)を原告は認めており(原告第1準備書面2頁8行目)、当事者間に争いがない。 以上のとおり、本願は動的意匠であり、かつ部分意匠としての出願である。 2 動的意匠について定める意匠法6条4項の解釈について ⑴ 動的意匠につき定める意匠法6条4項は、「意匠に係る物品の形状、模様若しくは色彩、建築物の形状、模様若しくは色彩又は画像がその物品、建築物又は画像の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状等、建築物の形状等又は画像について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品、建築物又は画像の当該機能の説明 を願書に記載しなければならない。」と規定している。 一方、二以上の物品等で構成される物品等の意匠につき、これらを一意匠として出願をして意匠登録を受けることができる場合について、組物の意匠(意匠法8条)は組物全体として一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる旨が明確に規定されており、これと同旨の規定は、内装の意匠(意匠法8条の2)についても置かれている。これらは、一意匠一出願(意 匠法7条)の原則の例外として、それぞれ別途規定が置かれたものであるところ、動的意匠についてはこれらとは異なり、特段の規定が置かれていないから、通常の意匠と同様に、上記一意匠一出願の要件(意匠法7条)を含め、意匠法2条、3条等に定められた意匠一般の要件を満たすことが必要である。 意匠法2条1項は、「この法律で『意匠』とは、物品(物品の部分を含む。 以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下『形状等』という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるも 物品の部分を含む。 以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下『形状等』という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条 第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と規定しており、意匠は、「物品の形状」等であることが必要である。 これに加えて、動的意匠においては、「意匠に係る物品の形状・・・がその物品・・・の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後 にわたるその物品の形状・・・について意匠登録を受けようとする」(意匠法6条4項)と規定されているから、この点も満たすものであることが必要であり、願書の記載に当たっても、上記1⑵の意匠法施行規則2条1項及び同規則様式第2備考42等の要請に加え、同規則3条及び同規則様式第6備考22(動くもの、開くもの等の意匠であつて、その動き、開き等の意匠の変 化の前後の状態の図面を描かなければその意匠を十分表現することができな いものについては、その動き、開き等の意匠の変化の前後の状態が分かるような図面を作成する。)に係る要請が働くものである。 ⑵ 上記のとおり、動的意匠も意匠一般の要件を満たすことが必要であるところ、意匠について必要とされる上記「物品の形状」(2条1項)の要件について、文献には以下の記載がある。 ア 「意匠成立の前提要件である『物品』は、先ず第1に有体的存在の物質をいうもので、物理的性状においていえば、空間上に線や面によって構成される独自の境 について、文献には以下の記載がある。 ア 「意匠成立の前提要件である『物品』は、先ず第1に有体的存在の物質をいうもので、物理的性状においていえば、空間上に線や面によって構成される独自の境界を画して存在する有体物をいうものである。・・・また、液体など一定の形状を有しないものも物品性の要件を欠くものとされるが、他の構成要素と一体となって定形的な形状を呈する場合は必ずしも物品性 を否定されていない」(斎藤瞭二著「意匠法概説[補訂版]56ないし57頁。平成8年(1996年)9月20日補訂版第2刷発行。株式会社有斐閣。甲2)イ 「物品は、一定の期間、一定の形状のある定形的な形を有する定形性を必要とするので、流動体、半流動体、液体、気体、粒状物、粉状物等は定 形性がなく物品ではないと解されている。もっとも、びっくり箱、傘のように物品の機能に基づいて一定の規則性をもって変化する『動的意匠』は保護される(第6条4項)。」(辰巳直彦著「体系化する知的財産法(上)」291頁。平成25年(2013年)12月3日初版第1刷発行。株式会社青林書院。甲23) ウ 「定形性」の項の記載として「物品の形状は、多く静的、固定的にとらえられる。しかし物品の形状はこれに限定されるものではない。たとえば、物品を構成する素材の特性により変化するものや、あるいはまた、物品の有する機能に基づいて変化するものがある。このような場合、その変化の態様に規則性があり、あるいは変化する形状が定常的なものであれば、通 常、それらを含んで物品のかたち、ありさまととらえるものであるから、 こうした物品にあってはこれらの態様を含んで『物品の形状』が観念されることとなる。ただし、紛ママ状物や粒状物が集合したもののように、一定の量的存在はあるが ととらえるものであるから、 こうした物品にあってはこれらの態様を含んで『物品の形状』が観念されることとなる。ただし、紛ママ状物や粒状物が集合したもののように、一定の量的存在はあるが形状認識の資料である線、面による境界が定形的にとらえられないもの、すなわち、一定の形状がないものは、この法律における形状概念を外れるものとなる。」(満田重昭、松尾和子編「注解意匠法」1 14頁。平成22年(2010年)10月22日初版第1刷発行。株式会社青林書院。甲24)エ 「物品自体の形状」の項の記載として、「意匠法が対象とする形状は『物品の形状』であるから、物品自体の形状であることが必要である。すなわち、その物品の属性として具わる形状であって、その物品によって二次的 につくり出される形状は、ここにいう『物品の形状』には入らない。」(上記ウ満田重昭、松尾和子編「注解意匠法」114頁。平成22年(2010年)10月22日初版第1刷発行。株式会社青林書院。甲24))オ 「『物品の形状』とは立体的たると平面的たるとを問わず物品の空間的な自ら仕切る輪郭であると解されている。・・・これら物品の形状・模様・色 彩等は一定性を有しなければならない。しかし、これらが変化するように仕組まれたいわゆる動的意匠(例えばびっくり箱の意匠)は、物品の機能に基づいて一定規則的に変化するものであって、右の一定性を欠くものでなく、動的意匠は意匠であるとされる。」(紋谷暢男著「意匠法25講」26ないし27頁。昭和55年6月25日初版第1刷発行。株式会社有斐閣。 甲25)⑶ 上記⑵の文献の記載も参酌すると、意匠のうち物品の形状であるものについて、そこにいう物品の形状とは、その物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識の資料であ 甲25)⑶ 上記⑵の文献の記載も参酌すると、意匠のうち物品の形状であるものについて、そこにいう物品の形状とは、その物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識の資料である境界を捉えることのできる定形性が必要であるところ、その形状が変化する場合においては、その変化の態様 に一定の規則性があるか変化する形状が定常的なものであることが必要であ ると解される。 ⑷ 加えて、動的意匠について定める現行意匠法6条4項(平成10年法律第51号による改正前の意匠法6条5項)は、昭和34年法律第125号による改正により導入されたものであるところ、その立法の経緯については、以下のとおり認められる。 ア上記昭和34年意匠法改正に係る概況については、以下の文献に記載されているとおりである。 「昭和25年から昭和32年までの工業所有権制度改正審議会で最初にまとめられた問題点(『意匠法の改正に関して問題となるべき事項』)にも動的意匠が挙げられている。すなわち、『意匠の対象について』の項目 の中に、『動的意匠(例えばビックリ箱)を意匠に包含させることの可否、又はこれを実用新案として保護すべきか』という問題である(・・・)それ以前の、昭和3年の『工業所有権法規改正二關スル會議』においては、『『(二)意匠ハ固定的ノモノナルコトヲ要スルヤ否ヤハ問題ナルモ之ヲ要スト為スヲ通説トス』したがって、ビックリ箱、首振り人形、動的公告塔 等の保護については問題があるとしている。』(・・・)。これらの議論を経て、昭和34年法に動的意匠の保護が盛り込まれたものである。」(満田重昭、松尾和子編「注解意匠法」221頁。平成22年(2010年)10月22日初版第1刷発行。株式会社青林書院。甲39)イ昭和29ないし3 年法に動的意匠の保護が盛り込まれたものである。」(満田重昭、松尾和子編「注解意匠法」221頁。平成22年(2010年)10月22日初版第1刷発行。株式会社青林書院。甲39)イ昭和29ないし30年時点における上記法改正に係る議論について、資 料には、以下の記載等がある。 ① 「意匠法改正に関して問題となるべき事項に対する意見」として、「一、意匠の対象」に関し、「(ホ)動的意匠(例えばビックリ箱)を意匠権の対象とすることの可否」との論点について、「(意見)」として、「現行の取扱い(とび出した最後の形でとる)でよいから改正する要なし」との意見 が示されている(昭和28年「意匠法改正特別委員会報告書」5頁、齋 藤委員意見。乙12)。 ② そして、改正についての特別委員会報告書においては、「問題とその趣旨」として、「動的意匠(例えばビックリ箱)を意匠に包含させることの可否又はこれを実用新案として保護すべきか。」との論点について、「審議会における意見」として、「取扱としてはビックリ箱から出てしまった 延びきったものを保護しているが(二つの図面を提出させている)これは意匠で保護すべきではないとの意見があった又意匠として保護する場合も最初の形状と変化後の形状と二ヶの形状があるからこれを一出願ではなく二出願として提出さすべきであるとの意見があった。」との記載があり、「今後の処理方法」として「実用新案法、意匠法を夫々残置するな らば本問については現在の取扱のままで行くことに決定することとし本問削除すること。」との記載がある(昭和28年「意匠法改正特別委員会報告書」26頁。乙12)。 ③ 「動的意匠について」として、「可撓鉄線の玩具の場合等どうなるか。」との質問に対して、「その場合一定の形がないから意匠の対 ある(昭和28年「意匠法改正特別委員会報告書」26頁。乙12)。 ③ 「動的意匠について」として、「可撓鉄線の玩具の場合等どうなるか。」との質問に対して、「その場合一定の形がないから意匠の対象にならない と思う。」との発言により「原案を採用する。」として結論が出されている(昭和30年3月24日付け「第121回特許部会議事要録」8頁。 徳丸委員の質問に対する高田委員の発言。乙13)。 ④ そして、意匠法改正要綱案には、「意匠法の対象となるものの範囲を拡げること。」に関しては、「現行意匠法で保護されている客体につき保護 手段を強化する問題を考えたが、この問題は現行意匠法で保護されていないもの(例えば・・・動的意匠等)について意匠権を認めるかどうかという問題である。しかし、現行意匠法を超えて、是非とも保護しなければならないものは少いと思はれる。」との記載がある(昭和29年8月11日付審議室作成「意匠法改正要綱案」7頁。乙14)。 ⑤ その上で、同要綱案では、「動的意匠について。(三一〇、報告書一の (ホ)参照」、上記各特別委員会報告書の記載のとおり、「現行法どおりとする。」との記載がされている(昭和29年8月11日付け審議室作成「意匠法改正要綱案」8頁。乙14)。 ウまた、昭和33年時点における意匠法改正関係の資料からは、以下の事実が認められる。 ① 意匠法6条5項(平成10年法律第51号による改正前。以下同条5項とするものにつき同じ。現同条4項)の当初案には、動的意匠について、意匠登録出願についての規定である6条に記載はなかった(「意匠法案(第4読会)」昭和33年3月26日~同年4月3日7頁)(乙15)。 ② 意匠法6条5項について、当初案を修正し、「意匠に係る物品の形状、 模様又は 規定である6条に記載はなかった(「意匠法案(第4読会)」昭和33年3月26日~同年4月3日7頁)(乙15)。 ② 意匠法6条5項について、当初案を修正し、「意匠に係る物品の形状、 模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について」の意匠を出願する場合は、「その旨及びその物品の機能の説明を願書に記載しなければならない」とする規定とした(「意匠法案(第5読会)」昭和33年4月16日~同年同月23日7頁、修文。乙16)。 ③ 昭和33年4月21日の法制局審査において、「びっくり箱は複数のものが同時にとれる。複数意匠ではないか。」という点が問題点として挙げられ、これに対して、意匠課としては「物品自身が動くことは物品そのものと考えている」との回答があった(第5読会(昭和33年4月21日付け)メモ1頁。乙17)。 ④ 「動く意匠をとりたい場合はその旨を記載すること」と意匠法6条5項を修正するべき旨の記載がされている(第5読会(同上)メモ2頁)(乙17)。 ⑤ 意匠法6条5項の修正結論として、「Ⅴ(判決注:メモ内においては「IV」と記載)に機能を入れる。入れ方は動くような物品について種々の 形態のものを請求するときはその旨を明らかにすることができるように する」ように規定することとされた(第5読会(同上)メモ3頁。乙17)。 ⑥ 上記修正案の検討において、「複数の意匠ではないか。7条の例外規定をおくべきである」との発案があったのに対して、6条5項の出願規定を調整して、動的意匠が一意匠である旨対応した(第5読会(昭和33 年4月22日付け)メモ1頁、齋藤氏発言及びこれに対する回答。乙18)。 ⑦ 昭和33年11月2 に対して、6条5項の出願規定を調整して、動的意匠が一意匠である旨対応した(第5読会(昭和33 年4月22日付け)メモ1頁、齋藤氏発言及びこれに対する回答。乙18)。 ⑦ 昭和33年11月20時点での「意匠法案(第4読会(判決注:通し番号が前後するものの表紙記載のまま))」として、意匠法6条5項は「機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品 の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠許可を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。」と規定されている(意匠法案(第4読会)昭和33年11月20日~同年12月10日。乙19)。 エ上記イによれば、昭和29年から30年における意匠法改正に係る委員 会での議論では、動的意匠について、意匠権として保護すべきか否かについての検討がなされたところ、上記イ③のとおり、「可撓鉄線の玩具」を動的意匠として保護すべきかについて、「その場合は一定の形がないから意匠の対象にならない」との意見に基づき結論が出されており、可撓性を有する鉄線を用いた玩具のように、具体的な形状が様々の不規則な変化をし、 形状の変化の推移に再現性がないために一定の形状を特定し得ない状態のものは、意匠法上の「意匠」として認められないものと解されたことが分かる。 一方、上記イ②の議論における「ビックリ箱」については、上記イ①にもよれば、伸縮する機構を備えたものが想定されていることが伺われると ころ、縮んだ状態から延び(伸び)切った状態へと遷移する状態について、 最初の形状と変化後の形状とを示すことができることから、上記「可撓性玩具」とは異なるものと認識された。 こうした特別委員会等における議論を踏まえて、上記ウにお へと遷移する状態について、 最初の形状と変化後の形状とを示すことができることから、上記「可撓性玩具」とは異なるものと認識された。 こうした特別委員会等における議論を踏まえて、上記ウにおける意匠法改正の過程では、上記ウ②、③のとおり、再度上記イにおける「びっくり箱」を想定して動的意匠についての意匠法による保護が検討されたところ、 上記ウ②のとおり、当初、「意匠に係る物品の形状・・・が・・・変化する場合において、その変化の前後の形状」の意匠(下線は判決で付記)を出願する場合を想定したのに対し、上記ウ③のとおり「びっくり箱は複数のものが同時にとれる。複数意匠ではないか。」との法制局審査における問題提起や上記ウ⑥のとおり複数意匠であるとの指摘を受けて、上記「変化の 前後の形状」との記載では複数意匠と捉えられかねないことから、これを修整することとした。 そして、上記ウ③のとおり物品自身が動くことは物品そのものであると考え、上記ウ⑥のとおり、動的意匠が一意匠であることを前提とした上で、特別の例外規定を置くことなく、上記ウ⑦のとおり、意匠法6条5項(現 同条4項)を、「その変化の前後にわたるその物品の形状」について意匠登録を受けようとする(下線は判決で付記)との文言に修正して、意匠法改正をすることとされたものである。 このように、昭和34年意匠法改正の過程においては、動的意匠につき、物品の形状について「その変化の前後の形状」とするのでは、一意匠であ ることに疑義が生じることから、物品自身が動くことは物品そのものであるとの認識のもとに、「その変化の前後にわたるその物品の形状」と規定されたものであり、特別の例外規定が置かれなかったことからしても、物品の形状は、その変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上 との認識のもとに、「その変化の前後にわたるその物品の形状」と規定されたものであり、特別の例外規定が置かれなかったことからしても、物品の形状は、その変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品に必要とされる形状についての要件を満たすことが前提とされてい たことは明らかである。 ⑸ 上記⑶、⑷を踏まえると、意匠法6条4項に定める動的意匠のうち物品の形状が変化するものについて、その物品の形状は、変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品としての要件、すなわち物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識の資料である境界を捉えることのできる定形性があり、その変化の態様に一定の規則性があるか変化 する形状が定常的なものであることが必要であると解される。 ⑹ 意匠法6条4項の解釈についての原告の主張に対する判断原告は、前記第3〔原告の主張〕1のとおり、動的意匠は、物品の機能に基づいて、一定の規則性をもって変化する形態であれば、「定形性」を有することとなるから、本件審決は意匠法6条4項の解釈を誤っている旨を主張す る。 しかし、意匠法6条4項の「意匠に係る物品の形状・・・がその物品・・・の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品等の形状等」を願書に記載しなければならない旨の出願の規定により、意匠に必要とされる物品の形状の要件が直ちに変更されるとは解し難いとこ ろであり、上記⑴ないし⑸で検討したとおり、動的意匠について定める意匠法6条4項の改正の経緯や、意匠一般に係る意匠法の定めにも鑑みると、上記のとおり変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品としての要件、すなわち物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識 緯や、意匠一般に係る意匠法の定めにも鑑みると、上記のとおり変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品としての要件、すなわち物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識の資料である境界を捉えることのできる定形性があり、その変化 の態様に一定の規則性があるか変化する形状が定常的なものであることが必要であると解されるところである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 3 本願意匠の内容について⑴ 上記1、2での検討を踏まえると、動的意匠であり、かつ部分意匠である 本願意匠につき、意匠登録を受けようとする内容については、以下のとおり 認められる。 ア 【意匠に係る物品の説明】には、「本物品は容器入りの発泡性飲料であり、開蓋後に容器内の圧力が開放されると、容器内周面より起泡する。」と記載され、【意匠の説明】には、「・・・開蓋後、容器内周面より起泡し、『開蓋後の平面図』に示す状態から『発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1~ 10』に示す状態へと発泡状態が経時的に変化する。『開蓋後の平面図』に示す状態から『発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1~10』に示す状態までの変化の時間は10秒である。」とあるとおり、缶内部の発泡性飲料が容器内の圧力の変化により容器内周面から起泡し、発泡状態が10秒の間に「発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図」の1ないし10に示すとお り変化するものである。 イ願書の添付写真には、未だ開栓していない閉蓋状態の容器の外側の形状等を表す斜視図及び六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図)に加え、開栓した後の開蓋状態の容器の外側の形状等並びに容器内に現れる容器の内側及び発泡性飲料の形状等を表す各図(開蓋後の 斜視図、開 図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図、底面図)に加え、開栓した後の開蓋状態の容器の外側の形状等並びに容器内に現れる容器の内側及び発泡性飲料の形状等を表す各図(開蓋後の 斜視図、開蓋後の平面図、発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1ないし10、発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図)が示されている。 ウ本願において意匠登録を受けようとする部分である、各図においてピンク色に着色された部分以外の部分は、①斜視図、平面図、開蓋後の斜視図、開蓋後の平面図、発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1ないし10及び 発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図に示された容器上面の蓋部の周囲に位置する大径リング状の金属色を呈する縁部(以下「大径リング状縁部」という。)、②開蓋後の斜視図に示された飲料の上部と大径リング状縁部との間の、極めて細い三日月形状で暗い金属色の容器内部、並びに、③開蓋後の斜視図、開蓋後の平面図、発泡状態の変化を示す開蓋後の平面 図1ないし10及び発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図に示さ れた濃褐色の飲料と乳白色の気泡である。 エ本願において登録を受けようとする意匠は、容器の蓋の開栓により変化する形状等であって、変化前である閉蓋時は、容器上面の蓋部の周囲に位置する大径リング状縁部の形状等であり、変化後である開蓋時は、大径リング状縁部の形状等に加え、その内方に現れる、容器内部の一部、濃褐色 の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の気泡の形状等である。 このうち、「変化の前後にわたるその物品の形状」である発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1ないし10に基づく上記10秒間の発泡状態の経時的変化は以下のとおりであり、これらは写真1枚につき概ね1秒ごと に生じる変化で わたるその物品の形状」である発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1ないし10に基づく上記10秒間の発泡状態の経時的変化は以下のとおりであり、これらは写真1枚につき概ね1秒ごと に生じる変化である。 (ア) 発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1によれば、上記イの開蓋後の平面図が大径リング状縁部内の飲料上部が全面濃褐色であるのに比べて、缶周縁部液面上に沿って乳白色の泡が生じているところ、気泡の量が少なく細い帯状となっていたり、泡がない箇所(図内右斜め上部分、下部 分等)と、気泡の量が多く太い帯状となっている箇所(上部分、右下部分等)とがあり、中央部にはほのかに白い部分がある。 (イ) 発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図2について、泡が略円環状の輪郭を形成しているものの、缶周縁に帯状となった気泡の幅は一定ではなく、その輪郭形状はいびつな円形である。 前記(ア)と比べて、気泡による帯の幅が増した箇所(右上部分)がある一方、消滅ないし減少した箇所(右下部分)がある。また、中央部には前記平面図1の白い部分が消えて、白い気泡の小さな集合が不規則に散在する。 (ウ) 発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図3及び同平面図4に至り、円環 形状の径が漸次的に狭まっていくものの、輪郭形状の径が狭まる進行の 度合いは場所により一定ではなく、全体として缶の中心より上方向へそれて行き、形状も円ではなくいびつな形状である。円環形状の中央付近には白い気泡がある。 (エ) 発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図5において、円環形状の径はすぼまって縦長になり、同平面図5及び同平面図6において、円環形状の 径が漸次的に狭まっていくものの、輪郭形状の径が狭まる進行の度合いはところにより一定ではなく、全体として缶の中心より上方向へそれて って縦長になり、同平面図5及び同平面図6において、円環形状の 径が漸次的に狭まっていくものの、輪郭形状の径が狭まる進行の度合いはところにより一定ではなく、全体として缶の中心より上方向へそれて行き、形状も円からはかけ離れたいびつな形状である。同平面図7及び同平面図8において、形成された泡は次第に開口部全面を覆うが、中央部付近にくぼみがあり、同平面図7から同平面図8にかけて小さくなっ ている。 (オ) 発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図9、同平面図10及び発泡後の状態を示す開蓋後の開口部拡大斜視図においては、泡沫面が缶口部へ向けて盛り上がっていき、缶口面上部に概ね円錐台状の立体形状を形成するが、発泡の状態は一様ではなく、大きな単独の気泡が見え隠れする部 分(左部分)がある上、気泡が盛り上がった立体形状は、2段の円錐台状である。 ⑵ 本願意匠の要旨認定に係る原告の主張についての判断ア原告は、前記第3〔原告の主張〕2及び3のとおり、本願意匠の要旨は開蓋後の濃褐色の液体及び液体の上方を順次覆うように出現する乳白色の 「泡沫」の総体が、濃褐色の液体の上方を覆うように盛り上がって変化する形状等にあり、本件審決の本願意匠の要旨認定は誤りである旨主張する。 しかし、前記2で検討したとおり、動的意匠におけるその物品の形状は、変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品に必要とされる形状についての要件を満たすものであり、動的意匠として登録を受け ようとする意匠出願の要旨についても、それに沿い認定されるべきである ところ、原告の上記主張は、願書の記載及び添附された写真に基づき必要にして十分なものとはいえない。 その上で、意匠の要旨は、願書に添附された説明及び写真に基づき認定されるものであるところ ところ、原告の上記主張は、願書の記載及び添附された写真に基づき必要にして十分なものとはいえない。 その上で、意匠の要旨は、願書に添附された説明及び写真に基づき認定されるものであるところ、原告の上記主張は、上記⑴エ(ア)及び(イ)のとおり、中央部付近に当初生じた泡の一部がいったん消えること(乳白色の気泡が 一旦生じた後に再度濃褐色の液体が現れる箇所)などについても記載されているものではなく、原告の主張は、願書に基づくものとはいえない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 イ原告は、前記第3〔原告の主張〕4で主張するとおり、本件審決が認定した乳白色の気泡が一旦生じた後に再度濃褐色の液体が現れる箇所などは 実際の物品を見た者において全く言及しないなど(甲28、29)、需要者の注意を全く引かない部分であるとともに、上記「乳白色の気泡」は泡沫と区別される気泡で液体中の気体の粒子であり、これが液面に浮上して缶周縁部で泡沫に成長しているのであって消滅しているものではないから、本件審決は要旨認定の手法としても技術的にみても誤りである旨を主張す る。 しかし、中央部付近に当初生じた泡の一部がいったん消えること(乳白色の気泡が一旦生じた後に再度濃褐色の液体が現れる状況)を含め、本願意匠の内容については、願書に添附された写真等に基づけば、前記⑴のとおり認定されるべきものである。そして、開蓋後の液面の状態は、通常、 需要者が見ているものであり、需要者の注意を全く引かないとはいえない。 一方、気泡と泡沫の区別について原告の主張する内容は、願書の記載及び添付された写真に示された「発泡状態」からは把握できないものであって、それらを意匠を受けようとするものの内容とすることはできない。 したがって、原告の上記主 いて原告の主張する内容は、願書の記載及び添付された写真に示された「発泡状態」からは把握できないものであって、それらを意匠を受けようとするものの内容とすることはできない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 4 本願意匠の意匠該当性について ⑴ 既に検討したとおり、動的意匠は、出願に係る意匠が、意匠法2条1項の「意匠」である状態を保ちながらその要素である形状等を変化させる場合に、その変化の過程であるその前後の状況を含めて全体として一つの動的な形状等として把握し、これを一つの意匠として保護しようとするものであり、変化の前後にわたる物品の形状である中間状態も含め、全体として一つの物品 の形状等として把握できる定形性等が必要である。 具体的には、上記2⑸のとおり、物品の形状は、その変化の前後にわたるいずれの状態においても、意匠法上の物品としての要件、すなわち物品の属性として一定の期間、一定の形状があり、その形状認識の資料である境界を捉えることのできる定形性があり、その変化の態様に一定の規則性があるか 変化する形状が定常的なものであることが必要である。 これを本願についてみると、前記3⑴エのとおり、発泡状態の変化を示す開蓋後の平面図1ないし3において、缶周縁に帯状となった気泡の幅は一定ではなく、その輪郭形状もいびつな円形であり、その過程において、気泡による帯の幅が増した箇所がある一方で、消滅ないし減少した箇所がある。ま た、中央部の白い部分が消えて、白い気泡の小さな集合が不規則に散在する状態になった後、円環形状の径が漸次的に狭まっていくものの、輪郭形状の径が狭まる進行の度合いも場所により一定ではなく、形状も円ではなくいびつな形状を示した後に、2段の円錐台形状に至る。このような気泡の発生 なった後、円環形状の径が漸次的に狭まっていくものの、輪郭形状の径が狭まる進行の度合いも場所により一定ではなく、形状も円ではなくいびつな形状を示した後に、2段の円錐台形状に至る。このような気泡の発生及び消滅の状況は、上記意匠ないし動的意匠の要件である一定の期間、一定の 形状を有し、境界を捉えることのできる定形性があるものとみられないほか、変化の態様に一定の規則性があるか、あるいは変化の形状が定常的であるとも認め難いものである。 なお、本願意匠を実施した商品とされる「生ジョッキ缶」についての公開情報によっても、気泡の総体の形状及びその変化は、開栓ごとに異なり、缶 の周縁部に大きな泡が複数視認できる状態(甲31、15頁)、まだらに湧い た気泡が増加する状態(乙8)、泡の総体が球の一部を切り取ったようなドーム形状に盛り上がった状態(乙9)、缶内部の液面の周縁部にかろうじて泡の集合がみられる状態(乙10、4頁)などが認められるにとどまり、開栓の都度、本願の願書の添付写真と同じ形状等が再現されるものとは認められず(甲1、17、31、乙7ないし10)、この点に照らしても、本願意匠に示 された気泡の発生及び消滅の状況が定形性を欠き、変化の態様に一定の規則性はなく、変化の形状が定常的であるとも認め難いとの上記の認定は、相当ということができる。 そうすると、本願意匠は、意匠登録を受けることのできる意匠には該当しないものというべきである。 ⑵ 本願意匠の意匠該当性についての原告の主張に対する判断原告は、前記第3〔原告の主張〕5で主張するとおり、本願意匠は一定の規則性をもって形状が変化するものであり、これは特許登録されていることにより技術的にも裏付けられたものである旨を主張する。 しかし、本願意匠においてその物品の 〕5で主張するとおり、本願意匠は一定の規則性をもって形状が変化するものであり、これは特許登録されていることにより技術的にも裏付けられたものである旨を主張する。 しかし、本願意匠においてその物品の形状が一定の規則性をもって変化す るものとはいえないことについては既に検討したとおりである。また、原告の主張する特許に係る技術により、缶内に充填された飲用可能液が缶の上端部が隠れるように発泡するもの(特許第7161596号、請求項6。甲34)であったとしても、必ずしも本願の願書の記載及び添付写真に示されたとおりに物品の形状が変化することが示されているとはいえない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 その他、原告は種々主張するが、それらの主張を参酌しても、本願意匠が意匠法に定める意匠に該当しないとの判断は左右されない。 5 結論以上のとおりであり、本願意匠は、意匠法に定める意匠に該当しないから、 これと同旨の本件審決の認定及び判断に誤りは認められず、原告主張の取消事 由には、理由がない。 よって、原告の請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平 健 裁判官今井弘晃 裁判官 水野正則(別紙審決書写し省略) 水野正則
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