平成20(行コ)16等 非開示処分取消請求控訴,同附帯控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成17年(行ウ)第18号)

裁判年月日・裁判所
平成21年1月29日 仙台高等裁判所 情報公開
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判決文本文59,896 文字)

- 1 -主文 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 被控訴人の請求を棄却する。 被控訴人の本件附帯控訴を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴及び附帯控訴の趣旨 控訴の趣旨主文第1項,第2項,第4項と同旨。 附帯控訴の趣旨(1)原判決を次のとおり変更する。 (2)被控訴人が平成14年5月20日にした行政文書の開示請求につき,宮城県警察本部長が同年6月20日付けでした処分(平成15年3月5日付けで一部変更された後のもの)のうち,次の文書(部分)を非開示とした部分を取り消す。 ア犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺及び支払精算書中の,別紙非開示部分一覧表の●印を付した部分イ支出負担行為兼支出命令決議書,施行伺中の別紙非開示部分一覧表の●印を付した部分ウ領収書全部(3)訴訟費用は,第1,2審とも,控訴人の負担とする。 第2事案の概要等 事案の概要本件は,宮城県の住民を構成員とする権利能力のない社団である被控訴人が,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。ただし,平成14年宮城県条例第60号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,- 2 -情報公開の実施機関である宮城県警察本部長(以下「警察本部長」という。)に対して平成11年度の宮城県警察本部(以下「警察本部」という。)刑事部,交通部及び警備部の報償費支出に関する一切の資料について開示請求をしたところ,警察本部長が一部を開示し,一部を非開示とする処分をしたため,非開示とされた部分につき(ただし,その後に一部変更されて開示された部分を除く。),取消しを求めた事案である。 原審が被控訴人の請求の一部を認容し,一部を棄却したため,控訴人がその敗訴部 したため,非開示とされた部分につき(ただし,その後に一部変更されて開示された部分を除く。),取消しを求めた事案である。 原審が被控訴人の請求の一部を認容し,一部を棄却したため,控訴人がその敗訴部分につき控訴し,被控訴人がその敗訴部分につき附帯控訴をした。なお,被控訴人は,当審において,請求の一部(別紙非開示部分一覧表の☆印を付した部分)を取り下げ,控訴人はこの取下げに同意した。 本件で開示請求の対象となった行政文書は,原判決別紙文書目録記載①ないし⑬の文書であるが,警察本部長が当初非開示とした文書名及び非開示部分は,別紙非開示部分一覧表のとおりであるところ,その後,平成15年3月5日付けで同一覧表の○印を付した部分が開示され,また,当審において同一覧表の☆印を付した部分の請求が取り下げられたため,現在,開示請求の当否が争われているのは,同一覧表中,⑤の施行伺,⑥の犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,⑨の現金出納簿,⑪の捜査費支出伺及び⑫の支払精算書の各●印を付した部分並びに⑬の領収書である。 前提となる事実(証拠の記載のないものは当事者間に争いがない。)(1)当事者ア被控訴人は,宮城県の住民を構成員とし,地方行財政の不正を監視,是正すること等を目的として結成された権利能力なき社団である。 イ控訴人は,警察本部長の所属する公共団体である。 (2)本件条例の規定本件条例には,下記のような規定がある。 記- 3 -第1条(目的)この条例は,地方自治の本旨にのっとり,県民の知る権利を尊重し,行政文書の開示を請求する権利及び県の保有する情報の公開の総合的な推進に関して必要な事項を定めることにより,県政運営の透明性の一層の向上を図り,もって県の有するその諸活動を説明する責務が全うされるようにするとともに,県民による県政の監視 する情報の公開の総合的な推進に関して必要な事項を定めることにより,県政運営の透明性の一層の向上を図り,もって県の有するその諸活動を説明する責務が全うされるようにするとともに,県民による県政の監視と参加の充実を推進し,及び県政に対する県民の理解と信頼を確保し,公正で開かれた県政の発展に寄与することを目的とする。 第2条(定義) この条例において「実施機関」とは,知事,公営企業管理者,病院事業管理者,教育委員会,選挙管理委員会,人事委員会,監査委員,公安委員会,警察本部長,地方労働委員会,収用委員会,海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会をいう。 この条例において「行政文書」とは,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真及びスライドフィルム(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。次項において同じ。)並びに電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。次項において同じ。)であって,当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして,当該実施機関が保有しているものをいう。 3(省略)第3条(責務) 実施機関は,この条例に定められた義務を遂行するほか,県の保有する情報を積極的に公開するよう努めなければならない。この場合において,実施機関は,個人に関する情報が十分保護されるよう最大限の配慮をしなければならない。 - 4 - 行政文書の開示を請求しようとするものは,この条例により保障された権利を正当に行使し,情報の公開の円滑な推進に努めなければならない。 第4条(開示請求権)何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,行政文書の開示を請求することができる。 第5条(開示請求の手続) 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は 条(開示請求権)何人も,この条例の定めるところにより,実施機関に対し,行政文書の開示を請求することができる。 第5条(開示請求の手続) 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は,次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を実施機関に提出してしなければならない。 (1)ないし(3)(省略)2(省略)第6条(開示請求に対する決定等) 実施機関は,開示請求のあった日から起算して15日以内に,行政文書の全部若しくは一部を開示する旨の決定,行政文書を開示しない旨の決定,第11条の規定により開示請求を拒否する旨の決定又は開示請求に係る行政文書を保有していない旨の決定(以下「開示決定等」と総称する。)をしなければならない。(以下省略)2ないし4(省略)第7条(開示の実施) 実施機関は,前条第1項の行政文書の全部又は一部を開示する旨の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは,速やかに,開示請求者に対し,行政文書の開示をしなければならない。 閲覧の方法による行政文書の開示にあっては,実施機関は,当該行政文書を汚損し,又は破損するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは,前項の規定にかかわらず,その写しにより,こ- 5 -れを行うことができる。 第8条(行政文書の開示義務) 実施機関は,開示請求があったときは,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該行政文書を開示しなければならない。 (1)法令(条例を含む。以下同じ。)の規定により公開することができないとされている情報(2)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,特定の個人が識別され,若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別 により公開することができないとされている情報(2)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,特定の個人が識別され,若しくは識別され得るもの又は特定の個人を識別することはできないが,公開することにより,なお個人の権利利益が害されるおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 イ法令の規定により又は慣行として公開され,又は公開することが予定されている情報ロ当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職,氏名及び当該職務遂行の内容に係る部分(3)(省略)(4)公開することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報(5)県の機関又は国等(国又は地方公共団体その他の公共団体をいう。以下同じ。)の機関が行う衛生,営業,建築,交通等に係る規- 6 -制等に関する情報であって,公開することにより,人の生命,身体,健康,生活又は財産の保護に支障が生ずるおそれのあるもの(6)(省略)(7)(省略) 前項の場合において,開示請求に係る行政文書が地方自治法(昭和22年法律第67号)第180条の2の規定により,警察の職員が知事の委任を受け,又は知事の補助執行として作成し,又は取得したものであるときは,同項第4号中「支障が生ずるおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」とあるのは,「支障が生ずるおそれのある情報」として同項の規定を適用する。ただ 又は取得したものであるときは,同項第4号中「支障が生ずるおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」とあるのは,「支障が生ずるおそれのある情報」として同項の規定を適用する。ただし,実施機関が公安委員会又は警察本部長である場合で,開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されているときは,この限りでない。 (1)その団体又はその団体の構成員が集団的に又は常習的に犯罪を行うおそれのある団体に係る取締りに関する情報(2)刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による犯罪の捜査,公訴の維持又は刑の執行に関する情報(3)犯罪の予防,鎮圧若しくは捜査に関し情報を提供したもの,第1号の取締り(以下この号において「取締り」という。)の対象となった団体若しくは前号の犯罪の捜査(以下この号において「捜査」という。)の対象となったもの又は取締り若しくは捜査の関係者が識別され,又は識別され得る情報(4)犯罪の予防,鎮圧又は捜査に係る方法,技術,特殊装備,態勢等に関する情報第9条(部分開示)実施機関は,開示請求に係る行政文書の一部に前条の規定により開示す- 7 -ることができない情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合において,非開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは,開示請求者に対し,当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし,当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと明らかに認められるときは,この限りでない。 (3)本件訴訟に至る経緯ア被控訴人は,警察本部長に対し,平成14年5月20日,本件条例4条に基づき,平成11年度における警察本部刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する一切の資料につき,行政文書の開示請求をした(以下「 被控訴人は,警察本部長に対し,平成14年5月20日,本件条例4条に基づき,平成11年度における警察本部刑事部,交通部,警備部の報償費支出に関する一切の資料につき,行政文書の開示請求をした(以下「本件開示請求」という。)。 イ警察本部長は,本件条例6条1項の規定に基づき,平成14年6月20日,本件開示請求に対応する行政文書として,平成11年度の警察本部刑事部,交通部の犯罪捜査協力報償費(県費。以下「捜査報償費」という。)の支出に関係する13の行政文書(原判決別紙文書目録記載①ないし⑬のもの)と,同年度の刑事部,交通部,警備部の捜査報償費以外の報償費の支出に関係する18の行政文書を特定し,前者の行政文書については,原判決別紙文書目録記載「第1最初に非開示とされた文書ないし部分」を非開示とし,その余を開示する旨の処分(以下「一部非開示処分」という。)をした。 警察本部長が上記の一部非開示処分において非開示とした理由は,非開示としたものは本件条例8条1項2号,同条2項本文により読み替えられた同条1項4号,同条2項ただし書の規定による同条1項4号に該当するというものであった(別紙非開示部分一覧表参照)。 ウ被控訴人は,警察本部長の一部非開示処分を不服として,平成14年7月23日,上級行政庁である宮城県公安委員会(以下「県公安委員会」という。)に対し,行政不服審査法に基づく審査請求をした。 - 8 -エ警察本部長は,平成15年3月5日付けで,一部非開示処分の一部を取り消し,原判決別紙文書目録記載「第2平成15年3月5日の部分開示決定で開示された文書ないし部分」(別紙非開示部分一覧表中の○印の付されたもの)を被控訴人に開示した(以下,同日付けで変更された後の一部非開示処分を「本件処分」という。)。 オ宮城県情報公開審査会(以下「情報 れた文書ないし部分」(別紙非開示部分一覧表中の○印の付されたもの)を被控訴人に開示した(以下,同日付けで変更された後の一部非開示処分を「本件処分」という。)。 オ宮城県情報公開審査会(以下「情報公開審査会」という。)は,平成16年9月,県公安委員会が本件条例の規定に基づき前記ウの審査請求につき同審査会にした諮問に対する答申をした。 カ県公安委員会は,平成17年4月27日,前記ウの審査請求に対し,本件処分のうち一部(前記イのうち後者の18の行政文書に係るものの一部)について非開示処分を取り消し,その余の非開示部分に係る審査請求を棄却する裁決をした。 キ被控訴人は,平成17年9月20日,本件訴訟を提起した(本件記録上明らかである。)。 (4)本件訴訟の対象文書とその性質本件訴訟の対象文書は,平成11年度の警察本部捜査第一課,同第二課,暴力団対策課,鑑識課,機動捜査隊及び交通指導課の5課1隊(以下,これらを「本件各所属」といい,それぞれを「所属」という。)における捜査報償費に係る文書であるところ,現在本件処分の適否が争われている文書及び部分は,原判決文書目録記載の①ないし⑬の文書のうち,別紙非開示部分一覧表中の●印の付されたものである(以下,原判決別紙文書目録記載①の文書を「本件①の文書」,同目録記載②の文書を「本件②の文書」などといい,同目録記載全体の文書を「本件各文書」という。)。 本件各文書は,実施機関である警察本部長の指揮監督権限に属する職員が職務上作成し,又は取得した文書であって,警察本部長の指揮監督権限に属する職員が組織的に用いるものとして警察本部長が保有している行政文書- 9 -(本件条例2条2項のもの)である。 また,本件各文書は,教育委員会等への事務の委任及び補助執行に関する規則(昭和51年規則第60号)等により るものとして警察本部長が保有している行政文書- 9 -(本件条例2条2項のもの)である。 また,本件各文書は,教育委員会等への事務の委任及び補助執行に関する規則(昭和51年規則第60号)等により警察本部長が知事の委任を受け,又は補助執行として作成又は取得した予算執行関係文書である。 (5)捜査報償費の性格,支払の流れ等捜査報償費は,犯罪捜査等の過程において必要となる経費であって,その性質上,特に緊急かつ秘密を要するため,通常の手続による支払では捜査活動上支障を来すことから,一般の資金前渡金とは異なる取扱いがされている。 その支払の範囲は,刑事・保安・交通等各種犯罪の捜査等に伴う情報提供者や捜査協力者(以下「協力者等」という。)に対する謝礼金及び謝礼金支払に関連して必要となる諸雑費(接触費・通信費等)である。情報提供者への謝礼とは犯罪等に関する情報の提供を受けた場合にする謝礼であり,捜査協力者に対する謝礼とは,捜査に必要な物の提供を受けたり,施設を借り受けたりした場合にする謝礼である。 支出命令者は,警察本部会計課長・警察署長であり,資金前渡職員には,警察本部にあっては関係課の管理官(次長,副隊長)が,警察署にあっては副署長(次長)が指定されている。出納執行者から資金前渡の方法により資金前渡職員へ交付された捜査報償費の執行は,取扱者である所属長が,取扱補助者である資金前渡職員から捜査員に現金を概算交付して支払わせる。精算完了後の関係証拠書類は,出納局長からの特別扱いにより,警察本部長及び各警察署長において保管することが認められている。 (甲94,103,乙6,10,34,35)第3本件の争点と当事者の主張 本件の争点(1)本件⑥の文書,本件⑨の文書,本件⑪ないし⑬の各文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項ただし書の規定による 4,103,乙6,10,34,35)第3本件の争点と当事者の主張 本件の争点(1)本件⑥の文書,本件⑨の文書,本件⑪ないし⑬の各文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項ただし書の規定による同条1項4号」欄に●印を付さ- 10 -れた情報は,本件条例8条2項ただし書により同条1項4号が適用される非開示情報か否か(以下「争点(1)」という。)。 (2)本件⑤の文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項本文」欄に●印が付された情報は,本件条例8条2項本文で読み替えられた同条1項4号が適用される非開示情報か否か(以下「争点(2)」という。)。 (3)本件⑬の文書の別紙非開示部分一覧表の「8条1項2号」欄に●印が付された情報は,本件条例8条1項2号が適用される非開示情報か否か(以下「争点(3)」という。)。 (4)本件処分の部分開示は違法か否か(以下「争点(4)」という。)。 (5)本件処分は本件各文書に係る捜査報償費(以下「本件捜査報償費」という。)の支出が架空であることを隠ぺいする目的でされたものか否か(以下「争点(5)」という。)。 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)について(控訴人の主張)ア本件条例8条2項ただし書による同条1項4号の解釈基準本件条例が8条1項4号に規定する情報(以下「4号情報」という。)を非開示情報と定めたのは,公共の安全と秩序を維持することが宮城県(以下「県」という。)の県民全体の基本的利益を擁護するために県に課せられた重要な責務であって,情報公開法制においてもこれらの利益は十分に保護する必要があるという立法上の趣旨によるものであり,同号が特に「実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」という定め方をしたのは,公共の安全と秩序の維持に関する情報の開示又は非開示の判断については,その るという立法上の趣旨によるものであり,同号が特に「実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」という定め方をしたのは,公共の安全と秩序の維持に関する情報の開示又は非開示の判断については,その性質上,犯罪等に関する将来予測として専門的,技術的判断を要するなどの特殊性があることから,このような情報に該当するか否かについては実施機関の第一次的な判断を尊重するという趣旨である。 - 11 -以上の趣旨に照らすと,8条2項ただし書の規定により4号情報に該当するとしてされた非開示処分が違法となるのは,実施機関の第一次的な判断が合理性のある判断として許容される限度を超える場合,すなわち,当該処分が裁量権を逸脱し又は濫用したと認められる場合に限られるというべきである。 そうすると,4号情報該当性を争う取消訴訟の審理においては,実施機関の認定判断の過程に則して,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があり,その判断が事実の基礎を欠くかどうか,事実に対する評価が明白に合理性を欠くことなどにより,その判断が社会通念に照らし,著しく妥当性を欠くかどうかを審査する方法によるべきである。 そして,処分の取消訴訟においては,4号情報の該当性を否定する側において裁量権の逸脱又は濫用があったことを基礎付ける具体的事実を主張立証する責任を負うというべきである。 イ本件⑥の文書,本件⑨の文書,本件⑪ないし⑬の各文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項ただし書の規定による同条1項4号」欄に●印を付された情報(以下「争点(1)に係る情報」という。)(ア)本件⑫の文書(支払精算書)及び本件⑬の文書(領収書)には,協力者等の住所,氏名等が記録されている。これらは直接かつ確定的に協力者等が特定される情報である。また,これらの文書には,事件名,捜査員との接触場所(支払精算書 書)及び本件⑬の文書(領収書)には,協力者等の住所,氏名等が記録されている。これらは直接かつ確定的に協力者等が特定される情報である。また,これらの文書には,事件名,捜査員との接触場所(支払精算書備考欄),領収書の有無(同確認書欄),受領額及び受領日などが記録されている。これらは協力者等ないし捜査協力の事実に係る情報である(以下,これらの情報を「協力者等情報」という。)。 (イ)本件⑥の文書(犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書),本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺),本件⑫の文書(支払精算書)及び本件⑬の文書(領収書)には,個別の支払額が記- 12 -録されている(以下,これらの情報を「金額情報」という。)。 (ウ)本件⑥の文書(犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書),本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺),本件⑫の文書(支払精算書)及び本件⑬の文書(領収書)には,個別の支払時期あるいはこれを特定し得る情報が記録されている(以下,これらの情報を「時期情報」という。)。 (エ)本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺)及び本件⑫の文書(支払精算書)には,協力者等ないし捜査協力の事実に係る事件名及び支払事由が記録されている(以下,これらの情報を「事件等情報」という。)。 (オ)本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺)及び本件⑫の文書(支払精算書)には,特定の捜査員の階級,氏名及び印影が記録されている(以下,これらの情報を「捜査員情報」という。)。 ウ争点(1)に係る情報の4号情報該当性(ア)協力者等情報協力者等情報は,協力者等ないし捜査協力の事実に関する独立した一体的な情報をなすものである。 これを公開することにより,協力者等の個人が特定されるばかりで る情報の4号情報該当性(ア)協力者等情報協力者等情報は,協力者等ないし捜査協力の事実に関する独立した一体的な情報をなすものである。 これを公開することにより,協力者等の個人が特定されるばかりでなく,捜査協力の時期,内容,関係者等の事実が特定されることになり,協力者等や捜査員等の関係者に対する圧力や危害を加えるなどの攻撃や妨害工作が行われるおそれがあるし,協力者等においてもこのような攻撃等を恐れて警察に対する協力を渋るなどの萎縮的効果が生じたり,協力者等ないし捜査協力の事実を秘匿し一般に公表しないという前提条件(約束)に基づく信頼関係が損なわれたりするなどして,警察における将来の捜査活動に支障を来すおそれがある。 (イ)金額情報- 13 -金額情報は,捜査活動を費用面から表すものとして捜査活動と密接にかかわる情報であり,一つの執行(捜査報償費をその支払先である協力者等へ支払うこと。以下,単に「執行」という場合はこれに同じ。)に関する情報それ自体が犯罪捜査に関する情報であるばかりか,これを事件ごとに一連のものとしてとらえれば,事件ごとの捜査態勢,捜査方針,捜査手法,捜査の進展等の各種捜査情報を反映する情報といえる。 これを公開すれば,協力者等の生命,身体等に危害が及ぶおそれがあり,さらには,当該情報を,公開された情報のほか,被疑者等の事件関係者が保有し,又は入手し得る情報と照合・分析することにより,捜査状況等の事実が推察されることとなり,被疑者等の事件関係者等が逃走や証拠隠滅を図るおそれがある。 (ウ)時期情報時期情報は,捜査報償費を協力者等に交付した時期,すなわち当該協力者等と捜査員が接触した確定的な時期やその直近の時期を表すものであり,犯罪捜査に関する情報である。 これを公開することにより,公開された情報のほか,被疑者等 を協力者等に交付した時期,すなわち当該協力者等と捜査員が接触した確定的な時期やその直近の時期を表すものであり,犯罪捜査に関する情報である。 これを公開することにより,公開された情報のほか,被疑者等の事件関係者が保有し又は入手し得る情報と照合・分析することによって協力者等が特定又は推定されるおそれがあるほか,個別具体的な事件や捜査の事実が明らかとなり,協力者等の生命,身体等に危害が及び,又は被疑者等の事件関係者が逃走や証拠隠滅を図るおそれがある。 (エ)事件等情報事件等情報は,捜査報償費を支出した個別の犯罪捜査に係る具体的な事件の内容に関する情報であり,犯罪の捜査に関する情報である。 これを公開することにより,特定の所属で取り扱われた特定の事件が明らかとなるばかりでなく,協力者等及び当該事件を担当する捜査員が特定又は推定されるおそれがあり,協力者等の生命,身体等に危害が及- 14 -ぶおそれがあり,さらには,被疑者等の事件関係者が捜査活動の進展状況等を推察し,逃走や証拠隠滅等を図るおそれがある。 (オ)捜査員情報捜査員情報は,これを開示することにより,特定の捜査員が識別され,事件関係者等が当該捜査員やその家族に対して,工作や圧力を加えるなどの妨害工作を企て,あるいは逆恨み等による襲撃が行われるおそれがあるほか,確定的な捜査員情報から協力者等が特定又は推定されるのみならず,個別の事件や捜査に関する事実も特定又は推定されるおそれがある。 (カ)各情報の関連性上記各情報は,それぞれが密接に関連した情報であって,捜査報償費の個別の支出ごとに,協力者等情報,金額情報,時期情報,事件等情報及び捜査員情報の関係記載部分が,その捜査報償費に係る捜査活動に関する独立した一体的な情報をなすものである。また,本件各文書にはこれらの情報以外の情報 ,協力者等情報,金額情報,時期情報,事件等情報及び捜査員情報の関係記載部分が,その捜査報償費に係る捜査活動に関する独立した一体的な情報をなすものである。また,本件各文書にはこれらの情報以外の情報は記録されていないし,これらの情報に属さないものについては開示済みである。 そして,これらの情報のいずれかが開示されることとなれば,協力者等ないし捜査協力の事実が特定又は推定されるなど,当該協力者等が被疑者等事件関係者から報復等され,あるいは,協力者等がそのような事態を恐れるなどして,以後の捜査協力に影響を及ぼし,警察における捜査活動に支障が生ずるおそれがある。 したがって,争点(1)に係る情報は,いずれも4号情報に該当するものというべきであり,警察本部長が非開示としたことには相当な理由がある。 エ非開示理由の追加控訴人は,本件処分において,本件⑫の文書の情報については4号情報- 15 -に当たるとしたが,本件⑫の文書の情報中,協力者等情報,金額情報,時期情報は,本件条例8条1項2号所定の非開示情報にも該当するので,非開示理由を追加する。 オ被控訴人の主張について被控訴人は,本件捜査報償費の支出がすべて架空であると主張する。しかし,これらはすべて適正な支出である。被控訴人の主張は,具体性を欠く主観的・抽象的なもの,あるいは他の警察における事項,捜査報償費予算の特性や警察が行う犯罪捜査活動のあり方等を理解しないか,又は故意に曲解した単なる憶測にすぎない。 また,被控訴人は,4号情報に該当するには守秘義務に関する3要件を満たす必要がある旨主張する。しかし,守秘義務に関する3要件の充足は4号情報該当性の要件ではないというべきである。 (被控訴人の主張)ア4号情報の解釈基準4号情報該当性の判断に際しては,行政機関の長の第一次的な判断を尊 。しかし,守秘義務に関する3要件の充足は4号情報該当性の要件ではないというべきである。 (被控訴人の主張)ア4号情報の解釈基準4号情報該当性の判断に際しては,行政機関の長の第一次的な判断を尊重し,その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内か否かを審理,判断すべきであるとしても,その許容される限度内であること,すなわち本件条例8条1項4号所定の「相当の理由」があることを控訴人において主張立証すべきであって,裁量権の逸脱,濫用があった場合にのみ4号情報該当性が否定されるとするのは情報公開の理念に反し不当である。 イ本件捜査報償費の支出の架空性について(ア)本件捜査報償費の支出は,すべて,幹部の飲み代,接待費,冠婚葬祭費などの裏金作りのために,実際には存在しない協力者等に対して支払ったものとして架空,不正にされたものである。 ところで,本件条例は,有形,無形の偽造文書や情報を想定していないので,非開示として保護されるのは真正かつ真実のものに限られると- 16 -するのが素直な解釈である。そうすると,本件各文書は,いずれも有形,無形の偽造文書であるから,本件条例の非開示文書や情報に該当しない。 また,架空支出に係る協力者等や犯罪捜査を公表したところで,公共の安全と秩序の維持に支障が生ずることはあり得ない。すなわち,架空支出に係る本件各文書の情報は,本件条例が非開示とすることによって守ろうとした利益は存在しないのであって,非開示情報には当たらないというべきである。 仮に架空支出が本件捜査報償費の支出の一部であり,本件各文書には虚偽・偽造文書とそうでないものが混在しているとしても,控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証しない以上,非開示事由に関する主張立証が尽くされていないとして,非開示処分は全面的に取り 文書とそうでないものが混在しているとしても,控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証しない以上,非開示事由に関する主張立証が尽くされていないとして,非開示処分は全面的に取り消されるべきである。 (イ)本件捜査報償費の支出が架空であるとする根拠は,次のとおりである。 全国の都道府県警察で,捜査報償費に関する架空経理などの疑惑が噴出している。例えば,北海道警察の元警視長Aは,県の住民が原告となり,平成12年度の警察本部の捜査報償費の支出が架空支出であるとして,宮城県警察の会計課長を被告として県へ損害賠償をするよう求めた住民訴訟(仙台地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲号犯罪捜査協力報償費返還請求事件。以下「別件損害賠償代位訴訟」という。)の証人として,北海道警察には捜査報償費を正規に支払って運営している捜査協力者なる者は存在せず,捜査報償費に関する会計書類は全部偽造であり,捜査報償費は全額裏金に回されていたこと,捜査報償費を支払う協力者等が多数存在しているのであればその身の保全と協力者等から得られる情報の管理・有効活用を図るシステムが存在しなければならないが,それはないこと,各都道府県警察は組織,予算,人事の仕組みはほぼ同じであ- 17 -り,犯罪の捜査についても大きな違いはないので,捜査報償費の不正経理に関しては,全国の警察で同じようなことが行われているのではないかとみるのが一般的であり,宮城県警察も同様であると推測されることなどを証言した。 また,宮城県警察の署長や所属長を歴任した元警視は,平成16年4月16日,新聞社の取材に応じ,架空の事件を作って領収書を偽造し,捜査報償費などで裏金作りをしていたと公表した。宮城県警察の元巡査部長も,そのころ,新聞社の取材に対し,長年架空の領収書を書き続けていたと公表した。 の取材に応じ,架空の事件を作って領収書を偽造し,捜査報償費などで裏金作りをしていたと公表した。宮城県警察の元巡査部長も,そのころ,新聞社の取材に対し,長年架空の領収書を書き続けていたと公表した。 前の県知事B(以下「B前知事」という。)は,本件訴訟の証人として,B前知事自身が捜査報償費につき不正支出があるとの心証を抱くに至ったことやその根拠・経緯について,本件各文書に捜査協力者の氏名と印影の文字が違うものがあったことや,宮城県警察の元幹部職員から平成12年度の宮城県警察の捜査報償費の支出の多くが架空であったと聞いたことなどを具体的に証言している。 (ウ)本件捜査報償費の支出は,以下のとおり不自然な点が多い。 a平成12年度との対比(a)不自然な使い切り状態平成11年度も平成12年度もほぼ使い切りの状態である。 (b)不自然な単価のばらつき平成11年度も平成12年度も,総件数で若干の相違はあるものの,平均単価はほとんど変わりがない。しかし,個別的に見ると,件数や単価に不自然なばらつきがある。 (c)犯罪発生件数と相関関係がない平成11年度と平成12年度とを比較すると,犯罪等の発生件数がかなり増えているのに捜査報償費の支出額が減った課署がある一- 18 -方で,発生件数が減ったのに支出額は増えた課署もある。 (d)入金日の全額払戻し「捜査報償費の取扱要領」では「現金は金融機関に預金して保管する。ただし,経理の性格上,必要な限度の現金を手もとに保管することができる。」とされているが,すべての課署で,入金されたその日に捜査報償費の全額が払戻しされている。 b月別の対比(a)本件各所属とも共通して,毎月の捜査報償費の受入額と支払額がほぼ同じであり,全く同額というものもある。 (b)協力者等の人数がある特定の人数に集中する 額が払戻しされている。 b月別の対比(a)本件各所属とも共通して,毎月の捜査報償費の受入額と支払額がほぼ同じであり,全く同額というものもある。 (b)協力者等の人数がある特定の人数に集中する傾向が顕著である。 (c)協力者等への支払単価の開きが大きい。 (d)本件各所属とも,月別の犯罪発生件数と,受入額,支払額及び協力者等の人数との間に相関関係がない。 (e)本件各所属とも,月の途中での追加の請求・交付はなく,年間を通して平均的に執行されている。 (エ)警察本部長の不合理な対応警察本部長は,被控訴人が当時の宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。ただし,平成12年宮城県条例第131号による改正前のもの。以下「改正前の本件条例」という。)に基づきB前知事を実施機関として本件開示請求と同一の行政文書の開示請求をし,その一部非開示処分の取消しを求めて同知事を被告としてした別件取消訴訟(仙台地方裁判所平成▲年(行ウ)第▲号文書開示拒否処分取消請求事件,仙台高等裁判所平成▲年(行コ)第▲号文書開示拒否処分取消請求控訴事件。以下「別件取消訴訟」という。)に関し,B前知事が再三にわたり報償費の支出に係る文書内容の把握と捜査員からの聴き取りをしようとしたのに対し,ことごとくこれを拒否した。また,警察本部長は,- 19 -B前知事が,別件取消訴訟の第1審で敗訴した部分のうち月別報償費執行額についての控訴の要否を判断するのに必要であるとして,現場の捜査員からの説明を求めたのに対しても,これを拒否した。 さらに,警察本部長は,平成15年,宮城県監査委員(以下「監査委員」という。)が知事要求監査により,平成12年度から平成14年度までの警察本部及び警察署における犯罪捜査報償費の執行についての違法,不当な行為の有無を対象事項として実施 城県監査委員(以下「監査委員」という。)が知事要求監査により,平成12年度から平成14年度までの警察本部及び警察署における犯罪捜査報償費の執行についての違法,不当な行為の有無を対象事項として実施した監査(以下「平成12年度等知事要求監査」という。)において,捜査上の秘密や協力者等の保護を理由に,支出関係証拠書類の具体的な事件名,協力者等の住所・氏名,接触場所の事項を非開示とし,捜査員からの聴き取り調査を拒否し,捜査報償費の具体的な執行状況の説明も捜査上の秘密などを理由に拒否した。上記監査は宮城県警察にとって県民の信頼を取り戻す絶好の機会であり,別件取消訴訟上も格好の立証手段であったが,警察本部長は,法に違反してまでも上記のとおり監査を妨害し,信頼を取り戻す機会や立証の手段を自ら放棄した。 警察本部長は,平成16年4月,B前知事が,別件取消訴訟の控訴審での釈明のために必要であるとして,本件捜査報償費の支出に係る書類の閲覧と捜査員からの聴き取りを求めたのに対し,いったんは関係書類を提示したが,同知事の約束違反を理由に書類を引き揚げ,捜査員からの聴き取りも行わせなかった。この求釈明への対応によっては非開示処分が取り消されるリスクがあるところ,警察本部長は,B前知事による協力者等や捜査員への事実の確認を回避するためにそうしたリスクを負った。その理由は,本件捜査報償費の支出のすべてが裏金にされて協力者等へ支払われていないことを隠ぺいするためである。 警察本部長は,情報公開審査会が,本件の一部非開示処分を不服とする審査請求につき県公安委員会から受けた諮問に対してインカメラの方- 20 -法で審査をしたものの,情報提供者の実在や記録どおりに本件捜査報償費の支出がされたことの心証形成に至らなかったことから,捜査員からの聴き取りを申し入れたが, 諮問に対してインカメラの方- 20 -法で審査をしたものの,情報提供者の実在や記録どおりに本件捜査報償費の支出がされたことの心証形成に至らなかったことから,捜査員からの聴き取りを申し入れたが,これに応じなかった。 宮城県警察は,平成17年4月に,平成16年度までの捜査報償費の支出に関する内部監査の結果を公表した。しかし,その内容は書面にしてわずか3枚分しかなく,書面審査,捜査費執行職員からの聴き取り調査及び領収書に係る飲食店等の所在確認調査をしたにとどまり,協力者等への聴き取り調査をすることはなかった。 警察本部長は,監査委員が平成17年6月の別件損害賠償代位訴訟第1審判決を契機に実施した平成12年度の警察本部を対象とする捜査報償費の随時監査(以下「平成12年度随時監査」という。)に対し,捜査協力者等の住所・氏名を非開示とした。また,捜査員からの聴き取り調査には応じたものの,捜査員は協力者等の住所・氏名に関する個別具体的な説明をすることはなかった。 監査委員は,平成15年9月,平成12年度等知事要求監査に係る結果報告で,平成12年度から平成14年度までの警察本部及び警察署における捜査報償費の執行につき,協力者等から,謝礼金を受け取った事実を確認することができなかったと報告した。また,情報公開審査会は,一部非開示処分を不服とする審査請求につき県公安委員会がした諮問に対して平成16年9月にした情報公開審査会の答申において,情報提供者が実在し,行政文書どおりに捜査報償費が支出されていることについて心証を形成することはできなかったと記載した。 さらに,監査委員は,平成18年3月に作成した平成12年度随時監査の結果報告書で,謝礼金の支払については最終的な事実確認を行うことができなかったと記載した。 ウ守秘義務に関する3要件の必要性- らに,監査委員は,平成18年3月に作成した平成12年度随時監査の結果報告書で,謝礼金の支払については最終的な事実確認を行うことができなかったと記載した。 ウ守秘義務に関する3要件の必要性- 21 -4号情報につき「相当の理由」があったかどうかは,守秘義務に関する3要件,すなわち,①非公開とすべき情報がいまだ公知の事実でないこと,②非公開とすべき必要性があること,③行政文書に記載された行為が適法であることを充足するか否かによって判断すべきである。 エ争点(1)に係る情報の4号情報該当性に対する反論(ア)金額情報について協力者等へ支払う捜査報償費の個別の金額は,各所属長が,①事件解決の影響度や情報入手の困難性から見た情報価値の程度,②情報提供謝礼等を支払う必要性の有無,③情報提供謝礼等の金額の妥当性を総合的に勘案して決定しているから,個別の執行額を公開したところで,個別的具体的事件が明らかになるとか特定の協力者等が識別されるなどの公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 接触費や通信費の個別執行額は,これを公開したところで個別的具体的事件名や特定の協力者等の氏名,協力者等との接触に用いられた場所が明らかになって今後の捜査に支障が生ずるなど公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 (イ)時期情報について日を除く年と月については,これを公開したところで個別的具体的な事件が明らかになるとか特定の協力者等が識別されることにより犯罪捜査に支障が生ずるなどの公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 (ウ)事件等情報について本件⑨の文書,本件⑪の文書及び本件⑫の文書の摘要欄,支出の事由,支払事由はそのほとんどが定型的又は類型的な表現で記録されているところ,これらについては,公開したところで個別的具体的な事 報について本件⑨の文書,本件⑪の文書及び本件⑫の文書の摘要欄,支出の事由,支払事由はそのほとんどが定型的又は類型的な表現で記録されているところ,これらについては,公開したところで個別的具体的な事件が明らかになるとか協力者等が特定されるといったことにより犯罪捜査に支障- 22 -が生ずるなど公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 (エ)捜査員情報について捜査員の官職については,当時同じ官職に複数者が存在していたから,官職によって特定の捜査員を識別できる状況にはなく,これを公開したところでどのような官職の職員が捜査報償費を支出したかが明らかとなるにとどまり,犯罪捜査に支障が生ずるなどの公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 捜査員の氏名,印影及び捜査報償費を受領した者が作成する領収書のあて先については,「上様」のように特定の捜査員が識別され得ない表現で記録されている場合は,これを公開したところで特定の捜査員が識別されたり個別的具体的事件が明らかになって犯罪捜査に支障が生ずるなどの公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 (2)争点(2)について(控訴人の主張)ア本件条例8条2項本文の解釈基準本件条例8条2項本文によって読み替えられる「支障が生ずるおそれがある情報」(以下「読替え後の4号情報」という。)とは,社会通念に照らし,類型的にみてそのようなおそれがある情報といい得ることをもって足りるというべきである。 なお,本件捜査報償費の支出が架空でないことは,控訴人の前記主張のとおりである。 イ本件⑤の文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項本文」欄に●印が付された情報本件⑤の文書(施行伺)の別紙非開示部分一覧表の「8条2項本文」欄に●印が付された情報は,本件処分の時点で公表されていない鑑識課及 文書の別紙非開示部分一覧表の「8条2項本文」欄に●印が付された情報本件⑤の文書(施行伺)の別紙非開示部分一覧表の「8条2項本文」欄に●印が付された情報は,本件処分の時点で公表されていない鑑識課及び機動捜査隊に所属する警察職員の氏名,印影に関する情報である(以下,- 23 -これらの情報を「争点(2)に係る情報」という。)。 ウ読替え後の4号情報該当性(ア)警察業務の特殊性警察は,「個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防,鎮圧及び捜査,被疑者の逮捕,交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする。」(警察法2条1項)としているとおり,我が国における犯罪の予防,鎮圧,捜査等における中心的な役割を果たすことが予定されている。そして,被疑者や被規制者等と直接に対峙し,逮捕や規制につき物理的かつ強制的に実現させなければならないものであるから,これらを目的とする職務については,その相手方となる被疑者やその関係者,過激派,暴力団等からの反発や反感を招きやすい。そのため,過去,全国において,警察を敵視する人物や団体等によって警察職員や警察施設が襲撃等を受けた事例のほか,警察に関する情報が収集されたという事例が現実に発生したことは公知の事実であり,宮城県警察もその例外ではない。 (イ)争点(2)に係る情報上記警察業務の特殊性に照らすと,警察職員の氏名及び印影を公開することにより,警察組織に恨みを持ちあるいは警察活動を妨害しようとする人物や団体等が,当該警察職員やその家族の私生活を侵害したり当該職員に襲撃,工作等を行ったりし,それによって当該職員が萎縮し,警察業務の停滞につながるおそれがある。また,警察活動を実地で行う者は主に警部補(同相当職)以下の警察職員であり,これらの警察職員の活動内容を把握する 等を行ったりし,それによって当該職員が萎縮し,警察業務の停滞につながるおそれがある。また,警察活動を実地で行う者は主に警部補(同相当職)以下の警察職員であり,これらの警察職員の活動内容を把握することは,警察の動きを把握することと同様の効果があり,その結果,犯罪組織等が具体的な警察活動を妨害する行動に出るなどして本来の警察活動が阻害されるおそれがある。 したがって,争点(2)に係る情報は,公開することにより,公共の安- 24 -全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある。 (被控訴人の主張)ア本件条例8条2項本文の解釈基準非公開事由に関しては厳格な解釈態度をとるべきであるから,読替え後の4号情報に該当するといえるためには「おそれ」が主観的・抽象的に,認められるだけでは不十分であり,「おそれ」が客観的・具体的に認められることが必要であるというべきである。したがって,読替え後の4号情報も公共の安全と秩序の維持に支障があることが客観的・具体的に認められなければならない。 イ架空支出であることによる読替え後の4号情報非該当性(ア)本件捜査報償費の支出が架空であること及び有形,無形偽造の文書や情報は本件条例による非開示の対象でないことは,上記(1)の被控訴人の主張のとおりである。 本件⑤の文書は,すべて内容虚偽の文書であるから,そこに記載された情報は,読替え後の4号情報に該当しない。架空支出に係る争点(2)に係る情報を公開したところで,公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれはない。 (イ)仮に架空支出は一部であって,偽造文書とそうでないものが混在しているとしても,控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証しない以上,非開示処分は全面的に取り消されるべきである。 ウ控訴人の主張に対する反論警察職員のうち警 ものが混在しているとしても,控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証しない以上,非開示処分は全面的に取り消されるべきである。 ウ控訴人の主張に対する反論警察職員のうち警部(同相当職)以上の警察職員については宮城県職員録や新聞の人事異動記事に氏名が公表されているところであり,襲撃,工作等が存在するのであれば警部以上の者の方が襲撃等を受けるおそれは高いとも考えられるが,実際にはそのような襲撃等は生じていない。 - 25 -その他の警察職員についても,当該所属部署では名札を付けて一般市民と対応し,あるいは所属及び氏名を名乗って職務を遂行しているのであるから,それらにより警察職員の氏名や所属は容易に判明する。 控訴人は,警察業務の特殊性を強調するが,警察業務が反発・反感を招きやすいとは必ずしもいえない。 (3)争点(3)について(控訴人の主張)本件⑬の文書(領収書)の別紙非開示部分一覧表の「8条1項2号」欄に●印が付された情報(以下「争点(3)に係る情報」という。)は,捜査報償費を受領した協力者等の住所,氏名及び印影である。これらは協力者等情報であるほか,特定個人を識別できる情報であるから,本件条例8条1項2号本文に該当し,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しない(以下,同条1項2号によって非開示とされる情報を「2号情報」という。)。 また,上記文書には,当該個人が記入した当該金員の受領額及び受領日が記録されている。これらは,当該個人に関する情報であって,当該個人が識別され,又は識別され得る情報であるから,同様に2号本文に該当し,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しない。 したがって,争点(3)に係る情報は2号情報に該当する。 (被控訴人の主張)本件捜査報償費の支出が架空であること及び有形,無形偽造の文書や情報 に該当し,かつ,同号ただし書のいずれにも該当しない。 したがって,争点(3)に係る情報は2号情報に該当する。 (被控訴人の主張)本件捜査報償費の支出が架空であること及び有形,無形偽造の文書や情報が非開示の対象でないことは,前記のとおりである。本件⑬の文書(領収書)は,すべて,警察職員が,電話帳などから無作為かつ無断で得た第三者や架空人の住所,氏名を使用して偽造したものである。したがって,争点(3)に係る情報は2号情報に該当しない。 なお,電話帳などから勝手に使用した住所,氏名を公開したときには名義を冒用された人物のプライバシーが侵害されることになるが,虚偽情報であ- 26 -る以上,プライバシー侵害は実質的にはないか侵害の程度は低く,逆に虚偽情報であることによる情報公開の要請は格段に高い。こうした場合のプライバシー侵害は,偽造文書を作成した行政主体に対する損害賠償請求によって保護されるべきものである。 仮に架空支出が一部であって,領収書には偽造領収書とそうでないものが混在しているとしても,控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証しない以上,非開示処分は全面的に取り消されるべきことは前記のとおりである。 (4)争点(4)について(控訴人の主張)本件条例9条は,その文理に照らすと,1個の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報のうちに非開示情報に該当するものがあるときは,当該情報を除いたその余の情報についてのみこれを開示することを実施機関に義務付けているにすぎず,非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化してその一部を非開示とし,その余の部分を開示することまでをも実施機関に義務付けているものではない。そして,ここにいう情報とは,個々の構成要素が,ある事象,事柄の伝達のために人為 的な情報を更に細分化してその一部を非開示とし,その余の部分を開示することまでをも実施機関に義務付けているものではない。そして,ここにいう情報とは,個々の構成要素が,ある事象,事柄の伝達のために人為によって統合され,構成され,一体的で,他と独立した知らせとなっていると社会通念上いえるものをいう。 これを本件についていうと,捜査報償費の個々の支払に係る,協力者等情報,金額情報,時期情報,事件等情報及び捜査員情報という各情報は,当該捜査報償費を「いつ」,「どこで」,「だれに」,「だれが」,「何(いくら)を」,「どのような理由で」交付したのかといった情報であって,これらの情報は,事象,事柄についての一まとまりの知らせを形作ったと社会通念上評価される情報であるというべきである。 これらを前提とすると,本件各文書に記録されている捜査報償費の個々の- 27 -支払に関する各非開示情報は,その記述が一体となって独立した一個の情報であって,これらの記述をさらに細分化して開示することはできないものである。 (被控訴人の主張)従前から,文書中の独立した一体的な情報の中に開示情報と非開示情報とが混在している場合に,その中から開示情報のみを取り出して部分開示すべきか否かという点が議論されていたが,最高裁平成19年4月17日第三小法廷は,愛知県の食糧費支出に関する予算執行文書等について,その文書中に記載された懇談会出席公務員の氏名や所属名,職名等の出席公務員が識別される部分は,公務員の本件各懇談会出席に関する情報としてすべてこれを公開すべきであると判示した。この判断は,いわゆる独立した一体的情報論から実質的に決別したものと評価すべきであり,端的に非開示情報に当たるものを除き,残りは全部開示すべきとしたものである。 また,本件各文書に記録された情報は,捜査報償 は,いわゆる独立した一体的情報論から実質的に決別したものと評価すべきであり,端的に非開示情報に当たるものを除き,残りは全部開示すべきとしたものである。 また,本件各文書に記録された情報は,捜査報償費の支出がされた年月日,金額,目的,交付者,受領者等というように重層的にとらえることができる。 このように重層的なとらえ方が可能である場合には,開示することが適当でないと認められる一まとまりをもって,その範囲を画することが適当であるから,これらからどれを除けば非公開事由に該当するおそれがないかを個別に検討すべきである。 しかし,控訴人は,このような分析作業を放棄し,具体的主張及び立証をしない。そうである以上,被控訴人の請求がすべて認められるべきである。 (5)争点(5)について(被控訴人の主張)情報公開請求に対する非開示処分は,覇束行為であって,裁量判断の余地はないところ,非開示処分は,情報公開条例が認めた非開示処分の本来の目的を実現するためにのみ認められるべきものであるから,本来の目的以外の- 28 -目的のためになされた非開示処分は違法となる。 本件捜査報償費の支出は,架空かつ不正な支出であり,本件処分はそれが架空かつ不正な支出であることを隠ぺいする目的の下にされたものである。 したがって,本件開示請求の一部を認めなかった本件処分は違法である。 (控訴人の主張)被控訴人の主張は争う。本件捜査報償費の支出が架空不正でないことは既に主張のとおりであるから,本件処分は架空支出を隠ぺいする目的でされてものではない。 第4当裁判所の判断 はじめに本件における争点は,控訴人が本件処分において非開示とした情報が本件条例8条1項2号,4号,同条2項本文により読替え後の同条1項4号の非開示情報に当たるか否かであるが,被控訴人は,本件各文書に係る捜査 件における争点は,控訴人が本件処分において非開示とした情報が本件条例8条1項2号,4号,同条2項本文により読替え後の同条1項4号の非開示情報に当たるか否かであるが,被控訴人は,本件各文書に係る捜査報償費(本件捜査報償費)の支出はすべて宮城県警察が裏金作りのために実際には存在しない協力者等に対して支払ったように装った架空支出であり,したがって,本件各文書に記載された協力者等の情報は虚偽であって,本件条例が非開示とすることによって保護しようとした利益は何ら存在せず,いずれも非開示情報には当たらないと主張している。 確かに,仮に本件各文書に係る本件捜査報償費がすべて架空のものであったとしたら,本件各文書は,犯罪の捜査や治安の維持といった本来の警察活動に関する文書ではないものと思われ,本件条例が非開示とすることによって保護しようとした利益は存在しないものと考えられる。そうであってみれば,本件においては,本件捜査報償費の支出が架空であるか否かを判断する前に本件条例8条1項2号,4号等の解釈や非開示情報該当性を判断するのは相当でないもののようにも思われるが,本件捜査報償費の支出が架空支出であるか否かを判断する上でも,本件で争われている非開示情報の内容や本件条例の規定の趣- 29 -旨等の検討が必要であるものと思われる。 そこで,まず,本件捜査報償費の支出が架空のものではないことを前提に,本件各文書に記録された争点(1)ないし(3)に係る情報が本件条例が規定する非開示情報に当たるか否かを判断し,その後に本件捜査報償費の架空性などについて判断することとする。 争点(1)に係る情報について(1)本件条例8条1項4号の解釈基準前記前提となる事実のとおり,非開示情報を定めた本件条例8条1項4号には「公開することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公 。 争点(1)に係る情報について(1)本件条例8条1項4号の解釈基準前記前提となる事実のとおり,非開示情報を定めた本件条例8条1項4号には「公開することにより,犯罪の予防,鎮圧又は捜査,公訴の維持,刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」と規定されている。 しかるところ,証拠(乙1,2,8)及び弁論の全趣旨によると,改正前の本件条例8条4号には「公開することにより,犯罪の予防又は捜査,人の生命,身体又は財産の保護その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのある情報」と規定されており,他方,県公安委員会と警察本部長は実施機関とされていなかったことが認められる。そのため,改正前の本件条例の下では,県公安委員会と警察本部長が保有している行政文書は開示請求の対象とならないと解され得るものであったが(最高裁平成13年12月14日第二小法廷判決・民集55巻7号1567頁参照),改正によって実施機関に県公安委員会と警察本部長が加えられ,県公安委員会,警察本部長が保有している犯罪の予防,捜査等に関する文書についても開示請求の対象となり得ることが明記されたことから,改正前の本件条例8条4号の規定を本件条例の8条1項4号と5号に分け,県公安委員会,警察本部長が保有している犯罪の予防,捜査等に関する情報については,開示の是非につき専門的・技術的判断を要するなどの特殊性が存するために実施機関の第一次的な判断を尊重する趣旨で,同条1項4号において「支障が生ずるおそれがあると- 30 -実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」とし,それ以外の情報についての同条1項5号の「支障が生ずるおそれがあるもの」とは異なった表現をしたものと解される(乙2)。 したがって,4 -実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」とし,それ以外の情報についての同条1項5号の「支障が生ずるおそれがあるもの」とは異なった表現をしたものと解される(乙2)。 したがって,4号情報に該当するとした実施機関の判断が違法であるか否かは,実施機関の当該判断が合理性を有する判断として許容される範囲内にあるか否か,すなわち,実施機関の判断に裁量権の逸脱,濫用があるか否かによって決せられるべきものと解するのが相当である。 また,本件条例8条2項本文は,開示請求に係る行政文書が地方自治法(昭和22年法律第67号)180条の2の規定により,警察の職員が知事の委任を受け,又は知事の補助執行として作成し,又は取得したものであるときは,本件条例8条1項4号の「支障が生ずるおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」を「支障が生ずるおそれのある情報」と読み替えることにしているところ,この規定は,予算執行関係文書など本来知事が作成すべきものを警察職員が作成したにすぎない場合には実施機関の第一次的な判断の尊重は必要ないことから「支障が生ずるおそれのある情報」と読み替えることにしたものであるが,その中に同条2項ただし書に記載された情報が含まれる場合には,実施機関である県公安委員会,警察本部長の第一次的な判断を尊重する趣旨で,同条1項4号の規定を適用すべきものとしたものと解される(乙2)。 被控訴人は,4号情報につき相当の理由があった否かについては守秘義務に関する3要件を充足するか否かによって判断すべきであると主張するが,そのように解することはできない。 (2)争点(1)に係る情報の内容等ア証拠(甲7,68,70,71の1ないし4,乙6,10,16,18の1・2,20,21,34,35)及び弁論の全趣旨によれば,争点(1 することはできない。 (2)争点(1)に係る情報の内容等ア証拠(甲7,68,70,71の1ないし4,乙6,10,16,18の1・2,20,21,34,35)及び弁論の全趣旨によれば,争点(1)に係る情報の内容等につき,以下の事実を認めることができる。 - 31 -(ア)本件⑥の文書(犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書。甲68,乙16はその例)は,1か月ごとの本件各所属の捜査報償費の受入額,受入年月日,支払額,支払年月日,残額が記録され,捜査報償費の取扱者である当該所属長がその証明をする体裁になっている文書である。受領者や事件の内容等の記載はない。本件においては,受入額,1か月支払額合計と残高は開示されており,個々の支払額,支払年月日が非開示となっている。 (イ)本件⑨の文書(現金出納簿。甲70,乙18の1,2はその例)は,各所属の資金前渡職員が受け入れた捜査報償費を管理するために記帳するものであり,年度ごとに作成され,毎月の捜査報償費の受入額,受入年月日,受入額の累計,支払額,支払額の累計,支払年月日,支払の対象となった事件名,支給を受けた捜査員の階級,氏名,個別の残高,一か月の支払額,残高の合計が記載されている。また,捜査員に支給した金額と捜査員が執行した金額に過不足が生じたときには,精算金額,精算の対象となった事件名,当該捜査員の官職,氏名,差引金額が記載される。このうち,毎月の受入額,受入年月日,受入額の累計,支払額の合計及び累計,残高の合計(累計を含む。)は開示されている。 (ウ)本件⑪の文書(捜査費支出伺。甲71の3,乙20はその例)は,資金前渡職員が所属の捜査員において捜査報償費の執行を必要とする場合に所属長にその支出の伺いをするために作成する文書であり,支出伺日,支払伺金額,所属名(勤務課署名),交付金 ,乙20はその例)は,資金前渡職員が所属の捜査員において捜査報償費の執行を必要とする場合に所属長にその支出の伺いをするために作成する文書であり,支出伺日,支払伺金額,所属名(勤務課署名),交付金額,支出の事由,捜査員の領収年月日,捜査員の官職,氏名,印影,決裁欄の印影が記録されている。このうち,所属名(勤務課署名)と決裁欄の印影は開示されている。 (エ)本件⑫の文書(支払精算書。甲71の4,乙21はその例)は,捜査報償費を執行した捜査員が所属長に対して執行状況を報告し,精算確- 32 -認を受けるために作成する文書であり,宛名,所属名(勤務課署名),作成年月日,捜査員の官職,氏名,印影,捜査報償費を受領した年月日及び受領額,実際に執行した捜査報償費の額,差引過不足額,執行した年月日,債主名(協力者等の住所,氏名など捜査報償費の支払先),支払事由(事件名や事件の内容),領収書を徴することができなかったときの理由(備考欄),確認欄の印影,決裁欄の印影が記録されている。 このうち,宛名,所属名(勤務課署名),決裁欄の印影は開示されている。 (オ)本件⑬の文書(領収書)は,捜査報償費を受領した協力者等がその領収を証するために作成する文書であり,受領金額,受領年月日,受領者の住所,氏名,印影が記録されている。 イ本件各文書は,警察本部長が知事の委任を受け,又は補助執行として作成・取得した予算執行関係文書であることは当事者間に争いがないところ,上記アで認定したところによれば,争点(1)に係る情報は,いずれも犯罪の捜査に関する情報といえるから,本件条例8条2項ただし書により,同条1項4号が適用される情報ということができる。 (3)争点(1)に係る情報の4号情報該当性上記(2)で認定したところによれば,本件⑫の文書(支払精算書)及び本件 件条例8条2項ただし書により,同条1項4号が適用される情報ということができる。 (3)争点(1)に係る情報の4号情報該当性上記(2)で認定したところによれば,本件⑫の文書(支払精算書)及び本件⑬の文書(領収書)には,協力者等の住所,氏名等の協力者等が特定される情報や事件名,捜査員との接触場所,領収書の有無(同確認書欄),受領金額及び受領日などの協力者等情報が記録され,本件⑥の文書(犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書),本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺),本件⑫の文書(支払精算書)及び本件⑬の文書(領収書)には,捜査報償費の執行日時,執行金額などの金額情報や時期情報が記録されている。また,本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺)及び本件⑫の文書(支払精算書)には,協力者等ないし捜査協力- 33 -の事実に係る事件名及び支払事由などの事件等情報が記録されている。本件⑨の文書(現金出納簿),本件⑪の文書(捜査費支出伺)及び本件⑫の文書(支払精算書)には,特定の捜査員の階級,氏名及び印影の捜査員情報が記録されている。 しかるところ,協力者等情報は,協力者等ないし捜査協力の事実に関する情報であり,これを公開することにより,協力者等の個人が特定されるばかりでなく,捜査協力の時期,内容,関係者等の事実が特定されることになり,協力者等や捜査員等の関係者に対する圧力や危害を加えるなどの攻撃や妨害工作が行われるおそれがあるし,協力者等においてもこのような攻撃等を恐れて警察に対する協力を渋るなどの萎縮的効果が生じたり,協力者等ないし捜査協力の事実を秘匿し一般に公表しないという前提条件(約束)に基づく信頼関係が損なわれたりするなどして,警察における将来の捜査活動に支障を来すおそれがある。 また,金額情報や時期 ,協力者等ないし捜査協力の事実を秘匿し一般に公表しないという前提条件(約束)に基づく信頼関係が損なわれたりするなどして,警察における将来の捜査活動に支障を来すおそれがある。 また,金額情報や時期情報は,捜査活動を費用面から表すものとして捜査活動と密接にかかわる情報であり,本件各所属において,捜査報償費を支出した捜査が行われていることを示すものであり,事件ごとの捜査態勢,捜査方針,捜査手法,捜査の進展等の各種捜査情報を反映する情報といえる。したがって,これを公開すれば,被疑者等の事件関係者によって,捜査状況等の事実が推察され,被疑者等の事件関係者等が逃走や証拠隠滅を図るおそれがないとはいえない。また,時期情報は,事件の関係者が警察の取調べを受けたり,捜査員と接触したりした場合にはだれが捜査に協力したかを知る手掛かりになるおそれもないとはいえず,そうなっては,協力者等の生命,身体等に危害が及び,又は被疑者等の事件関係者が逃走や証拠隠滅を図るおそれもある。 事件等情報は,捜査報償費を支出した個別の犯罪捜査に係る具体的な事件の内容に関する情報であり,犯罪の捜査に関する情報であるから,これを公- 34 -開することにより,特定の所属で取り扱われた特定の事件が明らかとなるばかりでなく,協力者等及び当該事件を担当する捜査員が特定又は推定されるおそれがあり,協力者等の生命,身体等に危害が及ぶおそれがあり,さらには,被疑者等の事件関係者が捜査活動の進展状況等を推察し,逃走や証拠隠滅等を図るおそれがある。 捜査員情報は,これを開示することにより,特定の事件に関わった特定の捜査員が識別され,事件関係者等が当該捜査員やその家族に対して,工作や圧力を加えるなどの妨害工作を企て,あるいは逆恨み等による襲撃が行われるおそれがある。また,捜査員情報と時期情報, 関わった特定の捜査員が識別され,事件関係者等が当該捜査員やその家族に対して,工作や圧力を加えるなどの妨害工作を企て,あるいは逆恨み等による襲撃が行われるおそれがある。また,捜査員情報と時期情報,金額情報などを組み合わせると,協力者等が特定又は推定されるおそれもある。 したがって,争点(1)に係る情報について,いずれも警察本部長が4号情報に該当すると判断したことには相当の理由があるものといえる。 また,本件⑫の文書に記録された情報のうち,協力者等,特定の個人が識別される債主名欄の情報は,支払年月日欄,金額欄の情報と共に2号情報にも当たるといえる。 争点(2)に係る情報について(1)本件条例8条2項本文の解釈基準本件条例8条2項本文によって読み替えられる「支障が生ずるおそれがある情報」とは,社会通念に照らし,類型的にみてそのようなおそれがある情報といい得ることをもって足りるというべきである。 被控訴人は,同項本文にいう「支障が生ずるおそれのある情報」とは「おそれ」が主観的・抽象的に認められるだけでは不十分で,「おそれ」が客観的・具体的に認められることが必要であると主張するが,採用することができない。 (2)争点(2)に係る情報の内容等証拠(甲67,乙15の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,本件⑤の文- 35 -書(施行伺。甲67,乙15の1・2はその例)は,本件各所属ごとに割り当てられた捜査報償費の資金前渡の施行を伺う文書であり,現在も非開示となっているのは,当該文書を起案した,本件処分時において氏名が公表されていない警部補以下の警察職員の氏名,印影の警察職員情報であることが認められる。 (3)争点(2)に係る情報の読替え後の4号情報該当性警察は,個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防,鎮圧及び捜査,被疑者の逮捕 職員の氏名,印影の警察職員情報であることが認められる。 (3)争点(2)に係る情報の読替え後の4号情報該当性警察は,個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防,鎮圧及び捜査,被疑者の逮捕,交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務としており(警察法2条1項),我が国において,犯罪の予防,鎮圧及び捜査等において中心的な役割を果たすことが予定されている。そして,犯罪の予防,鎮圧,捜査等は,犯罪者等と直接に対峙し,時には物理的かつ強制的に実現されなければならないものであって,相手方となる犯罪者やその関係者の反発や反感を招きやすい性質を有しているものといえる。そのため,全国において,警察を敵視する人物,団体等によって警察職員や警察施設が襲撃を受けた事例や警察に関する詳細な情報が収集された事例が過去において少なからず発生したことは公知の事実であり,また,証拠(乙26の1ないし5,27の1ないし5,28の1ないし15,29の1・2)によっても,そのように認められる。 そうすると,未だ公表されていない警部補以下の警察職員の氏名等を開示すれば,事件の捜査等に当たった警察職員やその家族が攻撃の対象とされたり,あるいは警察活動の妨害を企図して様々な懐柔,干渉行為を加えられたりするおそれがあるものといえる。 被控訴人は,警察職員のうち警部(同相当職)以上の警察職員については宮城県職員録や新聞の人事異動記事に氏名が公表されているところであり,襲撃,工作等が存在するのであれば警部以上の者の方が襲撃等を受けるおそれは高いと考えられるのに実際にはそのような襲撃等は生じていないと主張- 36 -するが,警部補以下の警察職員は,現場において捜査業務等の実働を担当し,犯罪者等と直接対峙することが多いものと思われるのであって,氏名が公 に実際にはそのような襲撃等は生じていないと主張- 36 -するが,警部補以下の警察職員は,現場において捜査業務等の実働を担当し,犯罪者等と直接対峙することが多いものと思われるのであって,氏名が公表された警部以上の警察職員が襲撃されていないからといって,実働を担当する警部補以下の警察職員が襲撃されないとはいえない。また,被控訴人は,一般の警察職員についても,当該所属部署では名札を付けて一般市民と対応し,あるいは所属及び氏名を名乗って職務を遂行していると主張するところ,確かに,警察においては名札を付けて職務を行う部署も存するが,すべての部署で名札を付けて職務を行っているわけではない。 したがって,警部補以下の警察職員の氏名等の争点(2)に係る情報は,読替え後の4号情報に当たるものというべきである。 争点(3)に係る情報について(1)争点(3)に係る情報の内容等本件⑬の文書は,捜査報償費を受領した協力者等がその領収を証するために作成した文書であり,受領金額,受領年月日,受領者の住所,氏名,印影が記録されていることは,前記2(2)で認定したとおりである。 (2)争点(3)に係る情報の2号情報該当性争点(3)に係る情報の,協力者等の住所,氏名,印影の情報は,協力者等が個人である限り,本件条例8条1項2号の非開示情報であることは明らかである。また,捜査報償費の受領年月日,受領金額も個人に関する情報であって,2号情報に該当するものというべきである。 本件捜査報償費の架空性について(1)宮城県警察の捜査報償費等に関する事実関係被控訴人は,本件捜査報償費の支出はすべて裏金作りのために実際には存在しない協力者等に対して支払ったように装った架空の支出であると主張し,その根拠として,北海道警察の元警視長の証言,宮城県警察の元警視や元巡査部 件捜査報償費の支出はすべて裏金作りのために実際には存在しない協力者等に対して支払ったように装った架空の支出であると主張し,その根拠として,北海道警察の元警視長の証言,宮城県警察の元警視や元巡査部長の新聞社取材に対する対応,B前知事の証言,警察本部長の不合理な- 37 -対応,捜査報償費支出の不自然性などを挙げている。 しかるところ,証拠(甲7,51の1ないし8,56の1ないし3,61の1ないし53,63,92,94,95,96の1・2,99,101の1ないし14,102の1ないし4,103ないし107,108の1ないし19,124の1ないし17,乙9の1ないし5,34,35,42の1ないし13,52の1ないし7,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,宮城県警察の捜査報償費等に関する事実関係として,以下の事実を認めることができる。 ア捜査報償費の取扱要領平成11年当時,宮城県警察においては,捜査報償費について取扱要領(甲94。以下「取扱要領」という。)が定められていたが,これによると,捜査報償費は犯罪捜査の過程において必要となる経費であり,特に緊急かつ秘密を要するため,通常の支払では捜査活動に支障を来すことから一般の資金前渡金とは異なる取扱いをするものとされ,概括的な金額の資金前渡により取り扱い,所属長は捜査員に現金を概算交付して支払うとされている。そして,捜査報償費は,協力者等に対する謝金と謝金支払に関して必要とする諸雑費(交通費・接触費等)に分けられている。また,捜査報償費の資金前渡職員は,警察本部にあっては関係課の管理官(次長・副隊長),警察署にあっては副所長(次長)の職にある者が指定されている。そして,取扱要領は,捜査報償費の具体的な事務処理の手順を定めている。 イ捜査報償費の支出状況等平成11年度において捜査報償費は, ),警察署にあっては副所長(次長)の職にある者が指定されている。そして,取扱要領は,捜査報償費の具体的な事務処理の手順を定めている。 イ捜査報償費の支出状況等平成11年度において捜査報償費は,宮城県警察全体で3696万0500円の予算措置が講じられ,これが警察本部に属する生活安全企画課,少年課,生活保安課,銃器対策課,鉄道警察隊,捜査第一課,捜査第二課,暴力団対策課,鑑識課,機動捜査隊及び交通指導課の9課2隊と仙台中央- 38 -警察署など管内の25の警察署に配分された。本件各所属である捜査第一課には393万円,捜査第二課においては333万円,暴力団対策課には314万4000円,鑑識課には139万5000円,機動捜査隊には298万円,交通指導課には120万円が配分された。そして,宮城県警察全体の各所属に配分された捜査報償費は,各所属においてほぼ全額が使われた。 平成12年度の捜査報償費は,宮城県警察全体で3694万円の予算措置が講じられ,平成11年度と同様これが警察本部の9課2隊と管内の25の警察署に配分されたが,警察本部の9課2隊に配分された捜査報償費は1987万9000円であり,そのうち捜査第一課には437万9000円,捜査第二課には300万円,暴力団対策課には322万4000円,鑑識課には124万円,機動捜査隊には312万8000円,交通指導課には120万円が配分された。そして,本件各所属が執行した金額は捜査第一課が437万1597円,捜査第二課が299万8219円,暴力団対策課が322万2730円,鑑識課が123万円,機動捜査隊が312万4480円,交通指導課が119万8232円であり,宮城県警察全体としても,平成12年度においても,各所属に配分された捜査報償費は各所属においてほぼ全額が使われた。なお,支出の内訳をみ 隊が312万4480円,交通指導課が119万8232円であり,宮城県警察全体としても,平成12年度においても,各所属に配分された捜査報償費は各所属においてほぼ全額が使われた。なお,支出の内訳をみると,捜査第一課においては,協力者等への謝礼として現金423万5000円(158件)と菓子折等の費用6636円(3件),諸雑費として接触費12万4561円(75件)とその他5400円(10件)を,捜査第二課においては,協力者等への謝礼として現金291万円(102件),諸雑費として接触費8万7929円(62件)とその他290円(8件)を,暴力団対策課においては,協力者等への謝礼として現金317万円(61件),諸雑費として接触費5万2300円(40件)とその他430円(6件)を,鑑識課においては,協力者等への謝礼として現金123万円(123- 39 -件)を,機動捜査隊においては,協力者等への謝礼として現金310万円(137件),諸雑費として接触費2万4480円(30件)を,交通指導課においては,協力者等への謝礼として現金119万円(59件),諸雑費として接触費8232円(9件)をそれぞれ支出したとされている。 なお,平成13年度からは,全国の警察において,捜査員が月初めに数千円を受け取り月末に精算するという捜査諸雑費の制度が取り入れられたものの,この捜査諸雑費は,平成13年度,同14年度は,捜査報償費の中から配分され,平成15年度から一般捜査報償費と捜査諸雑費とに分けて予算措置がとられるようになった。 ウ情報公開審査会に対する警察本部長の対応等(ア)本件開示請求に対する本件処分につき,被控訴人が県公安委員会に審査請求をした際,警察本部長は,県公安委員会の諮問機関である情報公開審査会に対し,捜査報償費に関して,以下のとおりの説明をした。 ア)本件開示請求に対する本件処分につき,被控訴人が県公安委員会に審査請求をした際,警察本部長は,県公安委員会の諮問機関である情報公開審査会に対し,捜査報償費に関して,以下のとおりの説明をした。 捜査報償費は,犯罪捜査の過程において必要となる経費,すなわち犯罪の捜査等に従事する捜査員の活動のための諸経費及び協力者等に対する経費であって,その経費の性質上,特に緊急を要し,かつ,捜査上の秘密が伴うため,他の一般的な経費と同様の支出手続による取扱いとした場合には,捜査活動に支障を来すことが必至であることから,概括的な金額の資金前渡によるなどの支出手続によって取り扱われているのであり,特にその秘匿性に配慮した取扱いがされている。捜査報償費の支出は,各所属の所要見込み等に応じて配分し,各所属の所属長が取扱者になり,配分された予算額と犯罪捜査等の状況を見定めて,当該所属の資金前渡職員に対し支出事務を命じ,所要見込額を資金前渡させている。 捜査報償費の支出事務は,計画的な支出が予定されている一般的な事務経費の支出とは異なり,突発的に発生する事件捜査に常時対応する必要があることや,予算執行事務の適正管理及び捜査の効果的遂行を実現す- 40 -る必要があることから,現金管理や随時の資金前渡等を行っているものである。捜査報償費の主なものは,犯罪現場等における鑑識活動において居宅内外装,自動車,家具等物品の汚損,破損等を伴った場合や鑑識活動に必要な電気,水,指紋の付着したコップ,書類等の物品の提供があった場合の協力者に対する謝礼,情報提供者に対する謝礼,捜査員が情報提供者から情報提供を受ける場合に要した飲食費や情報提供者の交通費,公衆電話等の通信費である。支出証拠書類には,特定の事件名や捜査員の氏名,協力者等の氏名などや個々の捜査における個別の執行金 情報提供者から情報提供を受ける場合に要した飲食費や情報提供者の交通費,公衆電話等の通信費である。支出証拠書類には,特定の事件名や捜査員の氏名,協力者等の氏名などや個々の捜査における個別の執行金額が記載されており,犯罪捜査に直接的に関係する情報が具体的に記載されている。したがって,これらについては,犯罪捜査の密行性や協力者等の情報源を完全に秘匿する必要があり,厳重な秘密保持が要求されることから支出証拠書類を一体の綴りとして,捜査報償費の取扱者であり,かつ,捜査指揮の責任者である所属長において保管,管理がされている。このような支出証拠書類の性質にかんがみ,出納事務上も特別な配慮がされ,その内容を証明するものとして,犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書(本件⑥の文書)を作成し,取扱者が奥書証明の上,出納機関に提出することによって,その支出の適正に関する審査を受けている。 (イ)情報公開審査会は,インカメラ手続で本件各文書を審査したところ,協力者等の領収書が一部の課を除いてほとんどなく,真実捜査報償費が協力者等に支払われているとの心証を形成することができなかったため,捜査報償費を交付したとされる捜査員からの事情聴取を警察本部長に申し入れたが,警察本部長は,①本件各文書は,協力者等に関する情報や犯罪捜査に伴う情報収集の時期等に関する情報が記載され,犯罪捜査等の実態たる事実を記録しているものであること,②情報公開審査会の審査は,警察本部長の第一次的な判断が合理性を持つものとして許容され- 41 -るか否かを審査するものであるから警察本部長の行った判断について個々の捜査員が説明し得るものではなく,むしろ警察幹部等の適当な者から説明させることが妥当と考えられること,③情報公開審査会のしようとしている聴取の内容は,個別の捜査に関する事項に った判断について個々の捜査員が説明し得るものではなく,むしろ警察幹部等の適当な者から説明させることが妥当と考えられること,③情報公開審査会のしようとしている聴取の内容は,個別の捜査に関する事項にわたらざるを得ないものであり,捜査の具体的な手法等捜査の秘密に関わるものであること,④捜査員は,協力者等に対して情報提供の出所や協力の事実について外部に明らかにしないことを約束して協力してもらっており,捜査員が情報公開審査会に事情聴取に応じたことが明らかになれば,そのこと自体で捜査員と協力者等の信頼関係を損なうこととなり,現在の協力者等を失うおそれがあるばかりでなく,以後情報提供を始めとする各種協力を得ることが一層困難となるおそれがあることなどから,捜査員が事情聴取に応じると今後の治安維持に重大な支障を来すおそれがあるとして,捜査員の事情聴取には協力することができないと回答した。 エB前知事と警察本部長の文書開示をめぐる対立(ア)B前知事は,改正前の本件条例の下においては実施機関とされていなかった警察本部長が保管,管理している予算執行関係文書につき,被控訴人が提起した文書開示許否処分取消請求訴訟において,平成12年3月17日,仙台高等裁判所が知事を実施機関として認める判決を言い渡したことから,警察本部長の保管,管理している予算関係執行文書,特に捜査報償費の実態につき関心を抱くようになり,捜査報償費を執行する捜査員から説明を聞きたいと考え,何回かにわたって警察本部長にその旨を申し入れた。これに対して,警察本部長は,捜査の秘密等の理由を挙げて現場の捜査員からの事情聴取には応じなかった。 (イ)被控訴人は,本件で問題とされているのと同じ平成11年度の宮城県警察の捜査報償費に関する文書について,知事を実施機関として,仙台地方裁判所に別件取消 の捜査員からの事情聴取には応じなかった。 (イ)被控訴人は,本件で問題とされているのと同じ平成11年度の宮城県警察の捜査報償費に関する文書について,知事を実施機関として,仙台地方裁判所に別件取消訴訟(同庁平成▲年(行ウ)第▲号事件)を提- 42 -起したところ,同裁判所は,平成15年1月,被控訴人の請求を一部認容する判決を言い渡した。 この判決に対し,警察本部長は,B前知事に控訴をするよう要請したが,B前知事は,控訴をする前提として,捜査報償費の具体的な使途を知る必要があるとし,捜査員からの聴き取り調査を警察本部長に求めた。 これに対して,警察本部長は,聴き取り調査によって協力者等が明らかになれば,協力者等に不安を与え,情報提供を拒まれることになって捜査の進展に多大な影響を及ぼすとして,捜査員の聴き取り調査に応じなかった。B前知事は,それでは控訴はできないとし,なおも警察本部長に聴き取り調査を求めたが,警察本部長の態度は変わらなかった。そのため,B前知事は,上記の判決につき,一部を除き控訴をしなかった。 (ウ)警察本部長が捜査員からの聴き取り調査を拒み続けていることから,B前知事は,捜査報償費の執行に不正があるのではないかと考えるようになり,平成15年3月25日,後述のとおり,監査委員に対して,平成12年度から平成14年度までの宮城県警察の捜査報償費の執行につき違法,不当な行為があるか否かの監査をするよう要求した。 また,B前知事は,同年4月8日に発信したメールマガジンで「県警犯罪捜査報償費の闇」と題し,宮城県警察の捜査報償費について疑義がある旨を公表しただけでなく,記者会見の中でも同様の発言を繰り返し行った。 (エ)B前知事は,平成16年4月16日,警察本部長に対し,文書の閲覧と捜査員の事情聴取を要請した。 当時,北海道警察や ある旨を公表しただけでなく,記者会見の中でも同様の発言を繰り返し行った。 (エ)B前知事は,平成16年4月16日,警察本部長に対し,文書の閲覧と捜査員の事情聴取を要請した。 当時,北海道警察や静岡県警察等における捜査報償費の不正使用がマスコミで大きく取り上げられ,また,宮城県警察の元警視なる者が報道機関に対して宮城県警察でも捜査報償費で裏金作りをしていると語ったことが新聞報道されていたため,警察本部長は,警察庁の示唆もあり,- 43 -B前知事の上記要請に応えることにし,同月22日,求められた文書をB前知事に提示し,B前知事は,同日午前10時30分ころから提示された文書に目を通した。これらの文書には捜査員,協力者等の氏名・押印,日時,場所,金額などが黒塗りされることなく記載されていた。また,B前知事は,会計課の職員に対して,協力者等の氏名をメモするよう指示した。文書に目を通したB前知事は,同日午後,報道関係者に対し,提示された文書には黒塗り部分はない,文書を提示されることにつき警察本部長から条件は付されなかったなどと述べた。 警察本部長は,B前知事が文書の内容を報道関係者に話したことや協力者等の氏名をメモさせたことを知ると,同日午後1時30分ころ,文書の提示を中断するとして,提示した文書を持ち帰り,その後予定されていた捜査員の事情聴取にも応じなかった。また,その際,会計課の職員がした協力者等の氏名のメモも回収した。 文書の提示を中断したことについて,警察本部長は,同日午後5時20分ころ,記者会見を行い,その中でB前知事の要請に応えるにつき①捜査上の秘密の保持と協力者等の保護の徹底,②文書や聴き取りの内容を一切公表しない,③聴き取りは警察本部長側が指定した捜査員に対して行い,これには幹部職員が立ち会う,との3条件を出し,B前知事 き①捜査上の秘密の保持と協力者等の保護の徹底,②文書や聴き取りの内容を一切公表しない,③聴き取りは警察本部長側が指定した捜査員に対して行い,これには幹部職員が立ち会う,との3条件を出し,B前知事側もこれを了承していたはずなのに,報道関係者に文書の内容を話すなどし約束を破ったからであると説明した。 これに対して,B前知事は,同日,報道機関に対し,警察本部長が記者会見で述べた3条件は文書で交わされたものではなく,会話の中のことであり,報道関係者に話した程度のことは約束違反にならないと思った,また,協力者等の氏名をメモしたことは文書を提示した警察本部長側も織り込み済みであると思ったなどと説明した。 (オ)その後,B前知事と警察本部長の双方は,互いに相手方に対する不- 44 -信感を募らせ,その対立はますます激しくなり,B前知事は,平成17年度の捜査報償費につき警察本部長の3000万円の予算要求に対して2300万円(一般捜査報償費400万円,捜査諸雑費1900万円)しか予算計上せず,さらに,平成17年6月24日,同月27日以降の捜査報償費の予算を一切執行しないようにとの通知を警察本部長に対して行うまでに至った。 これに対し,警察本部長は,B前知事が要求する協力者等に関する情報は開示することができないが,捜査報償費は必要であり,これを捜査員個人に負担させるわけにもいかないので,幹部職員からのカンパによってしのぐなどと表明した。 捜査報償費の予算執行停止の措置は,同年11月にB前知事の任期が終了し,新知事が就任するまで続いた。 (カ)上記のようなB前知事と警察本部長の対立は,平成15年以降,捜査報償費の不正疑惑問題とからめて,宮城県内で大きく報道された。 オ平成12年度等知事要求監査(ア)B前知事は,平成15年3月25日,監査委員に対 B前知事と警察本部長の対立は,平成15年以降,捜査報償費の不正疑惑問題とからめて,宮城県内で大きく報道された。 オ平成12年度等知事要求監査(ア)B前知事は,平成15年3月25日,監査委員に対し,平成12年度から平成14年度までの宮城県警察の捜査報償費の執行につき違法,不当な行為があるか否かの監査をするよう要求した。そこで,監査委員は,監査を実施することにし,宮城県警察に対し,捜査報償費の支出関係証拠書類(本件各文書に当たるもの)の提出を求めた。これに対して,宮城県警察は,捜査上の秘密,協力者等の保護を理由に,すべての支出関係証拠書類につき,具体的な事件名,協力者等の住所,氏名,接触場所の事項に黒テープを貼付した形で提示した。そのため,監査委員は,具体的な事件名,協力者等の住所,氏名,接触場所を知ることはできなかった。 (イ)この監査においては,執行状況を確認するため,平成14年度の支- 45 -出関係証拠書類と勤務関係書類との突き合わせや各所属長,管理官(次長,副署長),課長補佐等からの聴き取り調査も行われた。なお,個々の捜査員に対する聴き取り調査には宮城県警察が応じなかった。この監査の結果,平成12年度から平成14年度までの捜査報償費の予算額はいずれも3694万円であり,執行額は平成12年度が3654万1804円,平成13年度が3488万5132円,平成14年度が3516万1060円であり,3年間の執行件数は1万4000件余りであった。 このうち,平成14年度の執行金額3516万1060円については,情報提供者に要する経費(現金,物品謝礼等)が2662万5592円(4054件)と金額にして75.7%を占め,そのほかは,協力者に要する経費(現金,物品謝礼等)が115万1414円(451件),協力者等との接触に要する経費 金,物品謝礼等)が2662万5592円(4054件)と金額にして75.7%を占め,そのほかは,協力者に要する経費(現金,物品謝礼等)が115万1414円(451件),協力者等との接触に要する経費が544万3243円(2812件),聞き込み,張り込み,追尾等に要する経費が117万8820円(3457件)であり,そのほかに,早朝・深夜等における協力者等の交通費(18件),早朝・深夜等における捜査員又は協力者等の補食費(64件),捜査活動の過程での被害者等の対策に要する経費(9件)などとしても支出された。 (ウ)監査委員は,平成14年度において執行金額の多かった銃器対策課,捜査第一課,捜査第二課,暴力団対策課,機動捜査隊,仙台中央警察署,仙台南警察署の7機関(以下,これらの7機関を「抽出機関」という。)を抽出し,3年間の捜査報償費について第二次調査を行った。抽出機関においては,情報提供者への謝礼金は3年間で1604件であったが,領収書が徴されているものはそのうちの58件であった。また,情報提供謝礼金については,所属によっては支払月額が件数が年間を通して同程度となっていたり,情報提供謝礼金の支払金額や支払件数が一- 46 -部の捜査員に偏っていたりした(捜査員一人で年間74万円を支払っている者や年間22件を執行している者がいた。)。平成14年度の捜査諸雑費においては,早朝・深夜における補食費として捜査諸雑費を支払ったとされる職員が,当該支払の日時に宿直勤務となっていた事例や2名の捜査員による1泊2日の県外出張の際,情報提供者への謝礼として7件の謝礼品を出張先で購入し交付していた事例があった。 聴き取り調査においては,所属長等から,犯罪捜査において情報提供者から種々の情報が得られないことには捜査活動ができず,また,犯罪捜査に有用な情報 件の謝礼品を出張先で購入し交付していた事例があった。 聴き取り調査においては,所属長等から,犯罪捜査において情報提供者から種々の情報が得られないことには捜査活動ができず,また,犯罪捜査に有用な情報提供・協力をしてもらった者に必要により謝礼金品を交付することは不可欠であるとの認識等が示され,また,捜査諸雑費については,捜査活動の現場責任者である者を中間交付者として登録しておき,この中間交付者に月初めに概算交付され,この中間交付者が個々の捜査員の捜査活動に応じて執行し,月末に精算を行っている,宿直勤務をしていた職員が補食費を支払ったとされた事例は,実際には捜査員が補食費を使ったが,当該捜査員が中間交付者ではなかったため,宿直勤務をしていた捜査員の捜査諸雑費から支出したものとの説明がされた。 また,1泊2日の県外出張で7件の情報提供謝礼品の交付があった事例については,出張においては捜査員は出張を有効活用するため多くの相手方と接触するように務めているからであるとの弁明がされた。 (エ)監査委員は,平成15年9月5日,支出関係証拠書類については必要とされる書類の作成,必要事項の記載がされていて,取扱要領や経理の手引きに定められた手続を経て捜査報償費が執行されている状況は確認したものの,協力者等に直接接触することができなかったため,捜査報償費が実際に協力者等に支払われたか否かを確認することはできなかった旨の監査報告をB前知事に提出した。 カ平成12年度随時監査- 47 -(ア)被控訴人が仙台地方裁判所に提起した捜査報償費の返還を求める別件損害賠償代位訴訟(同庁平成▲年(行ウ)第▲号事件)につき,平成17年6月21日,同裁判所は,被控訴人の請求を棄却する判決を言い渡したが,その理由中で,平成12年度の宮城県警察の捜査報償費の支払の相当部分 代位訴訟(同庁平成▲年(行ウ)第▲号事件)につき,平成17年6月21日,同裁判所は,被控訴人の請求を棄却する判決を言い渡したが,その理由中で,平成12年度の宮城県警察の捜査報償費の支払の相当部分は実態がなかったものと推認する余地がある,特に鉄道警察隊及び鑑識課の捜査報償費について実態がなかった疑いが強い旨の判示をした。 (イ)そのため,監査委員は,平成17年10月26日から平成18年3月23日までの間,警察本部の9課2隊の捜査報償費の執行につき違法,不当な行為の有無を監査するため,平成12年度の宮城県警察の捜査報償費について地方自治法199条5項に基づく随時監査を実施した。この監査は,支出関係証拠書類や関係帳簿の書面調査や捜査員が協力者等と接触場所として利用した飲食店及び謝礼品を購入した店舗(以下「飲食店等」という。)の調査,捜査報償費の執行責任者である課長,管理官等や捜査報償費を執行した捜査員,関係人からの聴き取り調査などによりされることになった。なお,宮城県警察は,平成16年度の定期監査からは捜査員からの聴き取り調査に応ずるようになり,平成17年度の定期監査から協力者等の接触場所を一部を除き開示するようになっていた。 監査委員は,警察本部長に対して,支出関係証拠書類の全面開示を強く求め,警察本部長と協議を重ねたが,結局,警察本部長は,協力者等とは住所,氏名を部外に明らかにしないと約束していること,監査委員が協力者等に接触する可能性は払拭し得ないことを理由に,協力者等の住所,氏名は開示できないとし,これらの情報は開示しなかった。 (ウ)書面調査の結果によると,警察本部9課2隊が執行した平成12年度の捜査報償費は合計1954万2594円であったが,このうち,協- 48 -力者等への謝礼(現金,菓子折等)が1907万6636円 )書面調査の結果によると,警察本部9課2隊が執行した平成12年度の捜査報償費は合計1954万2594円であったが,このうち,協- 48 -力者等への謝礼(現金,菓子折等)が1907万6636円,815件であり,このうち1907万円,812件が現金で支払われた形となっており,そのうち領収書のあるものは148万5000円,135件のみであった。なお,菓子折等6636円の3件については領収書があった。また,接触費は45万8608円,323件であり,そのうち,領収書のあるものは28万0967円,115件であった。 また,捜査報償費の月別支払件数,支払金額は,件数が89件(3月)から105件(9月)の間,支払金額が156万1124円(11月)から175万8901円(9月)の間とほぼ同程度の件数,同程度の金額で推移していた。謝礼金の支払単価は,鉄道警察隊ではすべて5000円,鑑識課ではすべて1万円となっており,5万円以上の執行は暴力団対策課に限られていた。謝礼金についての領収書(135件)は,鑑識課の123件についてはすべて領収書が徴取され,交通指導課では59件のうち10件が,少年課では29件のうち1件が,捜査第一課では158件のうち1件が領収書が徴取されていたが,上記4課を除く各所属では全く領収書が徴取されていなかった。領収書が徴取されていない677件については,取扱要領に基づき,いずれも支払報告書に所属長の確認を受けていた。 (エ)協力者等との接触のために利用した飲食店に支払った接触費323件のうち,領収書があるものは115件であり,残り208件は領収書がなかったが,取扱要領で領収書の徴取を省略することができるのは1000円程度までとされていたところ,208件はすべて1000円未満であった。領収書のある飲食店115件と協力者等へ交付 8件は領収書がなかったが,取扱要領で領収書の徴取を省略することができるのは1000円程度までとされていたところ,208件はすべて1000円未満であった。領収書のある飲食店115件と協力者等へ交付した菓子折等3件,合計118件のうち,捜査の必要上非開示とされた4件と領収者の住所,氏名が不明な4件を除く100件につき,領収書記載の日時に営業をしていたか否か,当該領収書を発行したか否か,当時使用して- 49 -いた領収書の種類などにつき,照会文書を送付して調査したところ,回答の得られた店舗は72店舗であり,回答を得られなかった28店舗のうち21店舗はすべて倒産等により店舗がなくなっており,7店舗は所在が確認され,この7店舗については電話で照会したものの協力を得られなかった。回答した72店舗のうち,領収書記載の日時に営業をしていたと回答したものは61店舗であり,その他は分からない,又は回答なしであり,営業していなかったとの回答はなかった。当該領収書を発行したか否かについては,発行したとの回答が36店舗からあり,分からないとの回答が29店舗からあった。また,発行したものではないとの回答が1店舗から,発行したかどうか分からないが領収金額が控えの金額と異なると回答した店舗が1店舗あった。領収書の種類については,平成12年当時に使用していた領収書と同じであると回答した店舗は55店舗であり,異なると回答した店舗は5店舗であって,その他は分からないか,回答なしであった。 監査委員は,調査対象となった領収書のうち,平成12年当時使用していたものと異なると回答した5店舗,当該領収書を発行したことはないと回答した1店舗,発行したかどうか分からないが領収金額が控えの金額と異なると回答した1店舗の合計7店舗と,監査対象機関以外の6機関が接触場所として利用 答した5店舗,当該領収書を発行したことはないと回答した1店舗,発行したかどうか分からないが領収金額が控えの金額と異なると回答した1店舗の合計7店舗と,監査対象機関以外の6機関が接触場所として利用した6店舗の合計13店舗について,実地調査をしたところ,平成12年当時使用していた領収書と異なると回答した5店舗については,いずれも当該店舗が使用していたものであるとの回答があった。また,当該領収書を発行したことはないと回答した1店舗についても当該店舗が発行したことに相違ないとの確認がされた。領収金額が控えの金額と異なると回答した1店舗も当該店舗で発行した領収書であることが確認された。また,監査対象機関以外の6機関が接触場所として利用した6店舗についても,各領収書がそれぞれの店舗で発- 50 -行されたものであることが確認された。 (オ)監査委員の聴き取り調査は,各所属の所属長か,それに次ぐ地位にある管理官,次長,副隊長等合計16名と各所属の捜査員合計52名,退職者1名(B前知事)について行われた。 聴き取り調査に対し,所属長や管理官等は,犯罪捜査においては情報提供や捜査協力を得ることが必要であり,有用な情報提供や捜査協力を得るためには謝礼金品の交付や飲食を伴う接触は不可欠であって,これが事件の早期解決,精度の高い捜査,迅速かつ的確な捜査につながると捜査報償費の必要性を訴えたほか,以下のとおり述べた。すなわち,捜査報償費の支払について,支払の要否や金額は捜査員の申出や事件捜査の過程における捜査方針などにより所属長が情報の内容,協力者等の職業・地位のほか,捜査報償費の予算状況などを総合的に判断して決めている,捜査員の申出があった場合でも捜査報償費の予算枠の関係で計画的に執行しなければならないことから断ることもある。捜査報償費の執行が件数 位のほか,捜査報償費の予算状況などを総合的に判断して決めている,捜査員の申出があった場合でも捜査報償費の予算枠の関係で計画的に執行しなければならないことから断ることもある。捜査報償費の執行が件数,金額とも各月平均的になっているのは予算を有効に,かつ,計画的に執行した結果であり,年間予算を基に四半期ごと,各月ごとに計画を立てて執行している。捜査報償費の執行が特定の捜査員に集中しているのは,それぞれの所属で捜査報償費を執行する捜査員が限られている結果である。また,複数の捜査員が協力者等に接触するときは上位の者が執行しているのでこれも特定の捜査員に執行が集中する原因となっている。所属長が謝礼金の支払を決定したときは,管理官等に指示し,管理官等から捜査員に現金を交付しているが,その際,捜査員には領収書用紙を渡し,領収書の徴取を指示しているが,協力者等の情報収集が大事であることから無理をしてまで徴取するよう指示はしていない。領収書が徴取できなかったときは,捜査員から協力者等から得た情報の内容や交付時の状況等の報告を受け,支払の事実を確認している。捜査員- 51 -に交付した謝礼金が交付不能などにより返戻された例はない。捜査報償費について不適正な取扱いは行われていない。 (カ)また,鉄道捜査隊の所属長は,聴き取り調査に対し,当時,鉄道警察隊は列車内に乗り込み犯罪の未然防止を図る「警乗」と,鉄道施設内での盗撮,すり,置き引きなどの「施設内捜査」を主な業務としていたが,捜査報償費が特定の捜査員に限られていたのは,当該捜査員2名が施設内捜査を担当していたからであり,それ以外の捜査員は警乗業務を担当し,警乗業務を担当する捜査員は捜査報償費を使用しなかったからである,謝礼金が定額であったのは,施設内捜査で扱う事件がすりや置き引きであり,これに関す たからであり,それ以外の捜査員は警乗業務を担当し,警乗業務を担当する捜査員は捜査報償費を使用しなかったからである,謝礼金が定額であったのは,施設内捜査で扱う事件がすりや置き引きであり,これに関する情報に大差がなかったことから1件5000円としていたためであると説明した。 鑑識課の所属長は,聴き取り調査に対し,当時の鑑識課の業務として,事件現場での鑑識活動のほか,関係者の指紋採取,似顔絵の作成や関係者からの情報の収集などの事件現場を離れての活動があった。これらについては,協力者等に謝礼金を支払っていた,平成13年度から鑑識課の捜査報償費の予算が半減したが,その代わり関係者からの情報収集は主務課や所轄警察が行うことになったので,鑑識本来の業務に影響はなかった,謝礼金が1件1万円と定額であったのは限られた予算の中で広く情報と協力を得るためであった,などと説明した。 (キ)捜査員52名に対する聴き取り調査は,捜査報償費の支払の関係,支払精算書の作成等の関係,領収書の徴取の関係について行われた。その結果,捜査員らからは,協力者等から得られた情報として,問題とした店舗への出入り状況,被疑者の身辺関係や生活実態,被疑者の住所,所在地,勤務先,被疑者の性格や資産,生活情報などが多く回答された。 また,謝礼金を必要とした理由については,「今までの情報提供に対するお礼と今後の協力」,「情報に対するお礼と今後の情報を得るための- 52 -糸口が半々」との回答が多かったが,「情報について調書をとったのでその協力に対するお礼」や「被疑者を特定する情報に対する謝礼」という回答もあった。なお,すべての捜査員が謝礼金の額は「情報の内容や重要度により上司が決定すると回答した。また,多くの捜査員が「協力者等とは何回か接触している中で信頼関係を築いた。」と述べ,謝礼 という回答もあった。なお,すべての捜査員が謝礼金の額は「情報の内容や重要度により上司が決定すると回答した。また,多くの捜査員が「協力者等とは何回か接触している中で信頼関係を築いた。」と述べ,謝礼金支払の時期については,「聴取過程もあるし最後に支払う場合もある。」,「事前に情報を得ており,ある程度捜査ができたところで謝礼金を渡す。」との回答が多かった。接触費の執行は,主として軽食又は飲み物であるが,アルコールを伴う食事の場合もあった。飲食店の領収書を一部開示しなかったのは,当該飲食店の経営者が協力者等を知っているもの,逆に協力者等が当該飲食店の人間を知っているもの,当該飲食店が接触場所として常に使っているものであるとの説明があった。支払精算書については,すべての捜査員が自分の筆跡であることを確認し,記載事実に誤りはないと述べた。支払精算書と通勤届等の筆跡が異なる捜査員に確認したところ,業務が多忙なため通勤届等を所属の事務職員に記載してもらったと述べた。領収書については,すべての捜査員が管理官等からもらってくるように指示されたと回答し,領収書不徴取の理由については,ほとんどの捜査員が「被疑者から仕返しを受けることを恐れて拒否された。」とか,「かかわりたくないし,領収書を書かなければならないなら協力しないと言われて断念した。」とかと回答したが,一部の捜査員は,「領収書がないと私がねこばばしたと思われるので説得して書いてもらった。」との回答もあった。また,多くの捜査員が捜査報償費の自己負担について,「タクシー代やビール券代を払ったことがあった。」,「喫茶店の支払や飲み代を払ったことがあった。」,「携帯電話代は自分で負担していた。」などと述べていた。 (ク)監査委員は,B前知事が在任中,記者会見や県議会答弁などで,宮- 53 -城県 。」,「喫茶店の支払や飲み代を払ったことがあった。」,「携帯電話代は自分で負担していた。」などと述べていた。 (ク)監査委員は,B前知事が在任中,記者会見や県議会答弁などで,宮- 53 -城県警察の現職警察官から「内部告発」の手紙をもらっているとか,不正経理の確証を握っているとかいった発言を繰り返していたことから,B前知事に対して関係人調査を行う必要があると判断し,B前知事に対する聴き取り調査を行った。その結果,B前知事から現職警察官の手紙の内容や宮城県警察の捜査報償費の使途に不正があると思う理由のついての説明はあったものの,監査の決め手となるような直接的かつ具体的な情報は得られなかった。 (ケ)以上のような調査の結果,監査委員は,平成18年3月23日,随時監査結果報告書(乙34)を県公安委員会宛に提出したが,これには,書面調査の結果として,支出関係証拠書類には,必要とされる書類の作成及び必要事項の記載がされており,取扱要領に定められた手続に基づき捜査報償費が執行されていた,このすべての支出行為につき勤務関係書類と突き合わせを行ったが,おおむね適正に執行されていることが確認された,捜査報償費の執行件数及び金額が各月平均的になっていることについては,予算を有効に,かつ,計画的に執行した結果であり,また,捜査報償費の執行が特定の捜査員に集中していることについては捜査報償費を執行する捜査員が限られているので,結果的に特定の捜査員になっているとの説明を受けた,しかし,領収書を徴取したものは全体の21.8%にすぎず,また,協力者等の住所,氏名がすべて非開示とされたため,支払事実の最終確認はできなかったとした。また,飲食店等の調査については,領収書があり,かつ,文書による照会に対して72店舗から回答があり,その回答等から実地調査が必要と すべて非開示とされたため,支払事実の最終確認はできなかったとした。また,飲食店等の調査については,領収書があり,かつ,文書による照会に対して72店舗から回答があり,その回答等から実地調査が必要と判断した13店舗について実地調査をしたところ,飲食店等の利用については領収書の記載どおりであることが確認されたものの,協力者等の住所,氏名が非開示とされたため,当該飲食店が協力者等との接触に利用されたか否かは確認し得なかったとした。また,聴き取り調査については,所属長,- 54 -管理官等からは捜査報償費の必要性や全般的な執行状況について,捜査員からは個別の支出状況等についてそれぞれ説明を受け,その説明はおおむね納得し得るものであったが,すべての捜査員が協力者等の住所,氏名を明らかにせず,また,一部の捜査員は執行の細部については記憶がないと述べるとか,捜査員間で状況説明に違いがみられるなど,必ずしもすべての説明が納得し得るものではなかった。したがって,個々の執行が適正であると認めることはできなかったが,反面,不当であると判断すべき根拠も見当たらなかったとした。 キ平成15年度の捜査報償費の執行平成15年度から捜査報償費は,協力者等への謝礼に充てる一般捜査報償費と捜査員の費用に充てる捜査諸雑費に分けて予算化することになったところ,宮城県警察の内部監査の結果,平成17年4月,平成15年度の宮城県警察全体の一般捜査報償費の執行は1037万円余りにとどまったことが判明したとして,宮城県警察会計課は,その旨を宮城県会計課に報告した。一般捜査報償費の執行が減少した点につき,宮城県警察会計課は,①平成15年度から捜査諸雑費が一般捜査報償費から除外された,②捜査報償費問題が報道され,協力者等が捜査報償費を受け取らないケースが増えた,③相談業務の増加 が減少した点につき,宮城県警察会計課は,①平成15年度から捜査諸雑費が一般捜査報償費から除外された,②捜査報償費問題が報道され,協力者等が捜査報償費を受け取らないケースが増えた,③相談業務の増加に伴って警察官の業務量が増え,協力者等と接触する機会が減った,と説明した。 なお,平成15年度においては,捜査報償費の執行率は全体で80%にとどまった。 ク捜査報償費に関する情報開示の現状等(ア)警察庁は,平成16年,捜査費執行の透明性を求める国民の要請が高まっており,同執行に関する説明責任を果たす必要があると考え,捜査費執行の適正化をより一層推進するため,都道府県警察における会計検査,監査への対応,領収書徴取の在り方に関する方針を示した。 - 55 -宮城県警察においても,上記警察庁の方針に従い,平成16年4月から,監査委員のする捜査員の聴き取り調査に応じることにしたほか,平成17年4月から,協力者等との接触場所については原則として開示することにした。 (イ)宮城県警察は,監査委員との監査方法等について協議した結果,平成17年11月,平成18年1月以降に執行する分について,捜査報償費を支払った協力者等には監査委員に対する住所,氏名の開示があり得る旨を説明し,開示することにつき了解を得るようにし,協力者等から了解を得られたものについては,捜査中その他の理由で支障があるものを除いて,監査委員に対し,その住所,氏名を原則として開示することにした。 その結果,宮城県警察が監査委員に協力者等の住所,氏名を開示した割合は,平成17年度(平成18年1月から3月まで)で約60%,平成18年度(平成18年4月から平成19年3月まで)で約65%となっている。 監査委員は,住所,氏名が開示された協力者等につき,直接協力者等に接触していないが,電話帳や住 ら3月まで)で約60%,平成18年度(平成18年4月から平成19年3月まで)で約65%となっている。 監査委員は,住所,氏名が開示された協力者等につき,直接協力者等に接触していないが,電話帳や住宅地図によって協力者等が実在することを確かめており,協力者等の住所,氏名が開示された分については不正支出は認められないとの監査報告をした。 (2)検討ア警察本部長の対応について(ア)被控訴人は,B前知事からの要請を拒み続けた警察本部長の対応は不合理であると主張する。 しかるところ,上記(1)で認定したところによると,平成11年,平成12年当時,宮城県警察における捜査報償費の年間予算は3600万円余りであり,そのほとんどが執行されていたものといえるところ,平- 56 -成12年度の捜査報償費については,定期監査のほかに,平成12年度等知事要求監査と平成12年度随時監査が行われており,特に平成12年度随時監査においては,捜査員からの聴き取り調査や飲食店等についての実地調査も実施するなどしていて,捜査報償費支出の状況がかなり詳細に判明している。そして,平成11年度と平成12年度では捜査報償費の予算額,執行額がほとんど異なるところはないことからすると,平成11年度の捜査報償費の支出の状況も,平成12年度のそれとほとんど変わらないものと推認するのが相当である。そして,平成12年度随時監査の結果によれば,宮城県警察本部の9課2隊については,平成12年度において,合計1954万2594円の捜査報償費を執行しているところ,そのうちの97.6%に当たる1907万6636円が協力者等への謝礼(現金1907万円,菓子折等6636円)で占められており,現金で支払われた謝礼金1907万円(812件)のうち領収書のあるものは148万5000円(135件)の 07万6636円が協力者等への謝礼(現金1907万円,菓子折等6636円)で占められており,現金で支払われた謝礼金1907万円(812件)のうち領収書のあるものは148万5000円(135件)のみ(金額で7.8%,件数で16.6%)であったことが認められるのであるから,本件で問題になっている平成11年度における本件各所属(警察本部の5課1隊)の本件捜査報償費についても,ほぼ同様な形で執行されていたものと推認することができ,したがって,本件捜査報償費の大部分は協力者等への謝礼金という形で執行され,しかも,謝礼金として執行されたものについてはその多くにつき領収書が存しなかったものと推認することができる。 そして,警察本部長は,被控訴人やB前知事からの再三の求めにもかかわらず,捜査報償費に関する協力者等の住所,氏名の開示には絶対に応じられないとの態度を貫いており,監査委員に対しても,平成18年1月以降の分につき,監査委員に開示することにつき協力者等の了解を得られたもののみを開示するようになったにすぎないことが認められる。 - 57 -以上のことにかんがみれば,大部分が協力者等に現金で支払われたとする捜査報償費については,その多くについて領収書もなく,また,受領したとされる協力者等に受領の有無を確かめることもできない以上,果たして協力者等に真実交付されたのであろうか,捜査員個人で,あるいは宮城県警察が組織ぐるみで不正使用したのではないであろうかとの疑問を抱かせるところではある。 (イ)しかしながら,協力者等の住所,氏名は知事に対してといえども明かすことはできないとしてきた警察本部長の対応をもって必ずしも不合理なものということはできない。 すなわち,捜査報償費の協力者等に対する謝礼の中には,情報提供者からの情報提供に対する謝礼とそれ以外 かすことはできないとしてきた警察本部長の対応をもって必ずしも不合理なものということはできない。 すなわち,捜査報償費の協力者等に対する謝礼の中には,情報提供者からの情報提供に対する謝礼とそれ以外の犯罪捜査に必要な協力に対する謝礼とがあるところ,情報提供は,通常は知ることが困難な情報の提供を,事件関係者の近くにいて当該情報を知り得る者から受けるものであるから,これが事件関係者に知られれば,情報提供者が報復等を受けるおそれがあるものといえる。また,情報提供ではない形で捜査に協力したにすぎない場合であっても,協力した者が事件関係者から逆恨みを買うなどして思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がないとはいえない。 犯罪捜査に協力すべきは国民の義務であるとはいっても,できればトラブルには巻き込まれたくはないとするのが人情であり,遺憾ながら,喜んで警察の捜査に協力する人ばかりではないのが実情と思われる。 したがって,情報提供者はもちろんのこと,それ以外の協力者においても,犯罪捜査につき警察に協力したことを知られたくないと思うのはやむを得ないことであり,協力者等の情報を開示するとなると,犯罪捜査につき一般人からの捜査協力を受けることが困難になることは十分に予想されるところである。 また,秘匿を条件に犯罪捜査の協力を得た場合には,警察には協力者- 58 -等の氏名等を秘匿すべき義務があるものというべきであって,不用意に協力者等の住所,氏名を捜査関係者以外の者に明かし,それによって協力者等が被害を受けるに至ったなら,単に個人情報の漏えいに留まらない責任問題も生ずる余地があるであろう。 そして,知事といえども犯罪捜査の対象になり得るし,捜査の対象が知事の関係者ということもあり得るところであるから,捜査に関する情報は,知事に対しても秘密にする必要があるもの ずる余地があるであろう。 そして,知事といえども犯罪捜査の対象になり得るし,捜査の対象が知事の関係者ということもあり得るところであるから,捜査に関する情報は,知事に対しても秘密にする必要があるものといわざるを得ない。 (ウ)これらのことにかんがみれば,警察本部長が協力者等の情報につき県予算の執行責任者である知事からの開示要求を拒んだからといって,それを不合理と決め付けることはできないし,そのことをもって本件捜査報償費の支出の適正さを疑う根拠にすることもできないものというべきである。 イ捜査報償費支出の状況等について(ア)被控訴人は,本件捜査報償費支出には使い切り状態になっていたり,単価に不自然なばらつきがあったり,犯罪発生件数との相関関係がなかったりするなど,不自然な点が多いと主張する。 しかるところ,前記(1)で認定したところによれば,平成11年度,平成12年度の捜査報償費については各所属において予算額全額をほぼ使い切っていることが認められ,また,平成12年度の捜査報償費の月別の支出が平均的になっていて犯罪発生件数との捜査報償費の支出とは必ずしも相関関係がないことや各所属において支払単価にばらつきがあることが認められ,被控訴人が指摘するような支出状況自体はあったことがうかがわれるから,平成11年度の捜査報償費の支出状況についても同様の指摘をすることができるものと推認される。 (イ)そこで,検討するに,被控訴人が不自然であると主張するもののうち,各所属によって謝礼金の単価にばらつきがあることについては,な- 59 -るほど,前記(1)で認定したとおり,謝礼金の単価は,暴力団対策課では1件5万円も超えるものもある一方,鉄道警察隊では一律5000円,鑑識課では一律1万円となっているのであって,各所属においてばらつきがあることが )で認定したとおり,謝礼金の単価は,暴力団対策課では1件5万円も超えるものもある一方,鉄道警察隊では一律5000円,鑑識課では一律1万円となっているのであって,各所属においてばらつきがあることが認められる。しかしながら,謝礼金の多寡は,得られる情報の内容によるものと思われるから,各所属によって謝礼金の単価にばらつきがあること自体は不自然ではない。また,前記(1)で認定したところによると,謝礼金は,各所属の所属長が予算枠の範囲内で決めていたことが認められるから,予算の少ない鑑識課等にあっては一律に低額に抑えていたとしても不自然とはいえない。 また,証拠(甲64ないし70)によれば,捜査報償費は,毎月初めに会計課から各所属の資金前渡職員の金融機関に振り込まれ,各所属の資金前渡職員は,その当日,金融機関からその全額の払戻しを受けていることが認められるが,捜査報償費が犯罪捜査の過程において必要となる経費であることからすると,各所属においていつでも支出し得る状態にしておくことは必ずしも不自然とはいえない。 (ウ)しかし,捜査報償費については各所属に配分された金額がほぼ全額執行されていることや,月別の支払件数や支払金額が毎月ほぼ同じように平均的になっていることについては,疑問がないわけではない。すなわち,捜査報償費が,取扱要領にあるように,犯罪捜査の過程において必要となる経費であることからすると,情報提供が必要な事件が多い月とそうでない月は当然あり得るものと思われるし,年度末に使い切らないものが生ずることも当然あるものと思われるからである。 この点につき,平成12年度随時監査における所属長や管理官等の説明は,各所属は,年間予算を基に四半期ごと,各月ごとに計画を立てて執行しており,予算枠の関係で捜査員の申出を断ることもあるということであると説 つき,平成12年度随時監査における所属長や管理官等の説明は,各所属は,年間予算を基に四半期ごと,各月ごとに計画を立てて執行しており,予算枠の関係で捜査員の申出を断ることもあるということであると説明し,また,同監査における捜査員からの聴き取り調査で- 60 -は,捜査報償費の支払時期について,捜査員は情報提供時のこともあれば捜査終了時のこともあると説明しているのであるから,捜査報償費は,いつの時点で支払うかは決まっておらず,各所属において捜査報償費の残額を考慮しながらある程度は計画的に支出することも可能であると思われる。しかしながら,それにしても,管内25の警察署を含めたすべての各所属が予算を使い切る形で毎月計画的に捜査報償費を執行し得るのかという疑問はなお残るものといわざるを得ない。 また,鑑識課の捜査報償費の支出については,別件損害賠償代位訴訟の仙台地方裁判所の判決において実態がなかった疑いが強いとされたところであるが,前記(1)で認定したところによると,平成12年度随時監査において,鑑識課の所属長は,平成12年度まで鑑識課は事件現場における鑑識活動のほか,関係者の指紋採取,似顔絵の作成,関係者からの情報収集など,事件現場以外の捜査活動も行っており,これらについては協力者等に謝礼金を支払っていた,限られた予算の中で広く情報と協力を得るため1件1万円としたと説明し,また,平成13年度から予算が半減されたことも,同年度から鑑識活動への協力要請は捜査を担当する主務課,所轄で行うことになり,鑑識課の活動が本来の鑑識活動に限定されたためであって,予算の半減や全廃も本来の鑑識活動には支障を来さなかったと述べている。そして,鑑識課では123件すべてについて領収書が徴取されていたところ,証拠(乙42の6ないし8)によれば,平成12年度当時の ,予算の半減や全廃も本来の鑑識活動には支障を来さなかったと述べている。そして,鑑識課では123件すべてについて領収書が徴取されていたところ,証拠(乙42の6ないし8)によれば,平成12年度当時の鑑識課の職員は,監査委員の聴き取り調査の際,監査委員に対し,捜査報償費を支払った事件の内容や協力者等について,ある程度具体的に供述していることがうかがわれるのである。 そうしてみると,鑑識課の捜査報償費の支出につきこれがすべて架空の支出であったと断ずることはできないものの,鑑識課の捜査報償費の支出は必ずしも必要ではなかったのではないかという疑問がある。 - 61 -(エ)平成15年度における一般捜査報償費の執行が1037万円余りにとどまったことは前記(1)で認定したとおりである。そして,平成15年度の捜査報償費の執行率は80%に止まっているところ,従前の捜査報償費の予算額は全体で3600万円程度であったから,平成15年度における執行率からすると約2900万円が執行されことになるので,捜査諸雑費としては1800万円余りが執行されたことになる。なお,証拠(甲108の10)によれば,平成15年度分の捜査諸雑費は平成16年1月末までに約1538万円が執行されていることが認められる。 上記によれば,捜査報償費は,一般捜査報償費と捜査諸雑費は,ほぼ同額程度(それぞれ約1800万円)として予算化されたものの,一般捜査報償費としての支出は,平成15年度において,相当程度に減少したものといわざるを得ない。しかるところ,宮城県警察会計課は,捜査報償費執行の減少の理由として,①捜査諸雑費が別途予算化されたこと,②捜査報償費が報道されたため協力者等が捜査報償費を受け取らなくなったこと,③相談業務の増加に伴って協力者等との接触が減少したことの3点を挙げる。 上記① して,①捜査諸雑費が別途予算化されたこと,②捜査報償費が報道されたため協力者等が捜査報償費を受け取らなくなったこと,③相談業務の増加に伴って協力者等との接触が減少したことの3点を挙げる。 上記①の点はともかくとしても,平成15年度の一般捜査報償費の予算が約1800万円であったとすると,約1037万円という執行額は協力者等への支出が大幅に減少したことを意味するものといえる。その理由としては,相談業務の増加ということもあり得るものとは思われるものの,その大きな要因としては平成15年にB前知事と警察本部長の対立を含む捜査報償費の問題がマスコミで大きく取り上げられたことによるものと推認される。そして,この点については,宮城県警察会計課が説明するように,捜査報償費に係る協力者等の住所,氏名が開示されることをおそれた協力者等が捜査報償費を受け取らないようになったとも考えられるが,他面において,各所属においてそれまで捜査報償費と- 62 -して支出したものの中に説明が難しい支出,すなわち,不正な支出や不要な支出があり,宮城県警察全体においてそのような支出をしなくなった結果とも考えられところである。したがって,平成15年度における一般捜査報償費支出の減少は,それ以前の捜査報償費の支出に問題があったのではないかと疑う根拠とはなる。 ウB前知事の証言等(ア)B前知事の証言B前知事は,原審において証人として供述しているところ,B前知事の供述は,大略以下のとおりである。すなわち,B前知事は,知事在職当時,捜査報償費は適正に執行されていないという疑いを持ったが,それは別件取消訴訟の仙台地方裁判所の判決に対応すべく捜査員からの聴き取りをしようとしたところ,宮城県警察側はこれに応じなかったことから始まった,平成16年4月22日に警察本部長から捜査報償 たが,それは別件取消訴訟の仙台地方裁判所の判決に対応すべく捜査員からの聴き取りをしようとしたところ,宮城県警察側はこれに応じなかったことから始まった,平成16年4月22日に警察本部長から捜査報償費に関する執行関係文書を提示され,約3時間閲覧し,その際,領収書も見たが,その中の協力者等の氏名の文字と押された印鑑の文字が異なっていたこと(例として「○○」と「○○」を挙げる。)とある所属においては接触場所がすべて仙台市内の公園となっているが,そのすべてが異なった公園となっていたり,協力費が毎月同じ金額になっていたりしたことの2点からおかしいと思った,在職中,近年退職した宮城県警察の元幹部職員が宮城県警察の捜査報償費の支出は98%から99%は架空であると述べた,また,その元幹部職員からはある所属の平成12年度の捜査報償費の一覧表(甲100の1)をもらったが,元幹部職員はこれに記載されている支出はすべて虚偽であると述べていた,B前知事は,県職員を使って上記一覧表にある協力者の氏名の何人かにつき電話番号を電話帳で調べ,電話を掛けてみたが,捜査報償費をもらったという人はいなかった,元幹部職員の氏名や元の所属名は,その人との約束があ- 63 -るので供述することはできない。 しかしながら,警察本部長が捜査員からの聴き取り調査に応じなかったことは必ずしも本件捜査報償費の支出の架空性を根拠付けるものでないことは前記のとおりである。また,領収書に記載した氏名の文字と押された印鑑の文字とが異なるという点も氏名の記載は新字体であるのに印鑑は旧字体であったり,その逆であったりすることは一般社会において必ずしもそれほどまれなことではなく,このことをもって当該領収書が虚偽であるとはいえない。また,ある所属においては接触場所がすべて仙台市内の異なる公園となっ の逆であったりすることは一般社会において必ずしもそれほどまれなことではなく,このことをもって当該領収書が虚偽であるとはいえない。また,ある所属においては接触場所がすべて仙台市内の異なる公園となっていたり,毎月同じ金額を執行していたりしたことは不自然といえば不自然なもののようにもみえるが,それによって虚偽とする十分な根拠となるものではない。元幹部職員の供述は伝聞であって,その供述の信用性につき真偽を確かめることはできない。 また,一覧表(甲100の1)に記載されていた協力者等については,当該一覧表が本物かどうかも判然としない上,B前知事自らが供述するように同一覧表に関する調査は極めて不完全なものにすぎない。したがって,当該一覧表をもって不正支出の確たる証拠とはいえない。 結局,B前知事が不正支出とする根拠は,B前知事の主観を交えた推測にすぎず,B前知事の上記供述をもって本件捜査報償費がすべて架空であったと認めさせるに足りるものではない。 (イ)新聞報道等について証拠(甲24の1ないし21,28の1ないし4,32の1ないし4,33ないし40,41の1ないし12,42の1ないし3,43の1・2,44の1・2,45,46,47の1・2,48の1ないし3,49,50の1ないし10)によれば,捜査報償費の不正使用は,北海道警察等,全国の各地の警察において問題とされ,新聞報道等がされていることは被控訴人の指摘するとおりであると認められる。しかしながら,- 64 -そうだからといって,宮城県警察における本件捜査報償費の支出がすべて架空とはいえない。 また,証拠(甲51の1ないし7,52)によれば,宮城県警察の元警視が平成16年4月15日,報道機関に対して,宮城県警察では領収書を偽造して協力者等に支払ったことにして裏金を作っていると語り,また, た,証拠(甲51の1ないし7,52)によれば,宮城県警察の元警視が平成16年4月15日,報道機関に対して,宮城県警察では領収書を偽造して協力者等に支払ったことにして裏金を作っていると語り,また,宮城県警察の元巡査部長も,同月25日,報道機関に対して,県内各地の警察署などに勤務していた当時,1か月から3か月に1回程度のペースで,会計課の職員の依頼で,見知らぬ人物の名前でいずれも3000円の領収書を作成していたと語ったことが認められる。しかしながら,これらの元警視や元巡査部長が宮城県警察の捜査報償費の全体につき知り得る立場にあったのかどうか不明である。この点につき,被控訴人は,上記の元警視とは,甲第114号証の1・2の内部告発書を作成した人物であり,その人物とは,宮城県警察本部の生活保安課長をしていたCであって,同人のした内部告発は信用性が高いと主張するが,甲第119号証の1によれば,Cがかつて生活保安課長をしており,その地位は警視であったことは認められるものの,他面,同人は内部告発の事実を否定し,生活保安課における捜査報償費の支出は適正であったと証言していることも認められる。その点はともかくとして,上記元警視は,捜査報償費が裏金作りに使われているとは述べているものの,「県警本部事件担当課の場合,年間不正額は約80万円だった」と述べたというのであり(甲51の1),また,甲第114号証の1・2によれば,上記の内部告発書には,捜査報償費には県費と国費があり,初め県費として捜査が始められたものも後に広域捜査ということになって国費が使われることもあった,ある年の年間不正捻出額は八十数万円であったと記載されていることが認められるところ,甲第111号証によれば,生活保安課の平成11年度の県費(52万円)と国費(625万- 65 -円)を併せ った,ある年の年間不正捻出額は八十数万円であったと記載されていることが認められるところ,甲第111号証によれば,生活保安課の平成11年度の県費(52万円)と国費(625万- 65 -円)を併せた捜査報償費の合計額は677万円であったことが認められるから,仮に上記内部告発書を作成し,報道機関に内部告発した人物がCであり,生活保安課の捜査報償費の支出の実態について語ったものであるとしても,捜査報償費の全部が虚偽であると述べているわけではなく,その一部について不正があると述べているにすぎないものというべきである(なお,県費のみであるとすると予算額が52万円しかないのであるから,そこから八十数万円を不正支出することはできないことになる。)。したがって,元警視や元巡査部長が報道機関に語ったことを前提としても,宮城県警察の捜査報償費の中にある程度の不正支出があるといえるにとどまり,本件捜査報償費がすべて架空であったと認める根拠とはならない。 (ウ)また,証拠(甲54)によれば,北海道警察の警視長であったAは,別件損害賠償代位訴訟において,証人として北海道警察における捜査報償費については協力者等の90%は架空であった,協力者等について謝礼を支払う必要のある事件もあったが,その謝礼は正規の手続を踏んだものではなく,あらかじめ裏金として作っていたものの中から支出していたなどと供述したことが認められる。 しかしながら,Aの供述するところが果たして北海道警察の全体の在り方であったかどうか疑問である上,北海道警察がそうであるからといって宮城県警察もそうであるということはできないし,同人の供述によっても協力者等からの情報提供が得られなければ捜査ができず,情報提供を得るために多額の謝礼金を支払わなければならない事件もあったことがうかがえるのであるから, ということはできないし,同人の供述によっても協力者等からの情報提供が得られなければ捜査ができず,情報提供を得るために多額の謝礼金を支払わなければならない事件もあったことがうかがえるのであるから,同人の供述によって本件捜査報償費の支出が架空であるとすることはできない。 エ捜査報償費の支出をうかがわせる事情前記(1)で認定したとおり,平成12年度随時監査によれば,取扱要領- 66 -により領収書の徴取が必要とされる接触費115件についてはすべて領収書があり,この115件と協力者等に謝礼として交付した菓子折等の領収書3件などにつき監査委員が調査した限り,調査に応じた飲食店等の領収書はいずれも当該飲食店等が発行したものであったことが確認されたというのであるから,平成12年度の捜査報償費の接触費のうち領収書があるものについては,実際にその支出はあったものと認めるのが相当であり,したがって,架空の支出とはいえない。 また,平成15年度の一般捜査報償費の約1073万円の執行については,宮城県警察の捜査報償費の問題がマスコミに大きく取り上げられ,協力者等の氏名等が開示されるのではないかという状況の中であえて行われたことからみると,実際に協力者等に支出された可能性が高いものと思われる。 そして,宮城県警察においては,平成18年1月から監査委員に開示することにつき協力者等の了解を得られたものについては協力者等の住所,氏名を監査委員に開示するようになったところ,その開示の割合は全体の約60%に達していること,開示された協力者等の住所,氏名について監査委員が住宅地図等によってその存在を確認したところ,いずれも実在していたことが確認されたことが認められる。そうであってみれば,平成18年1月以降に執行された捜査報償費は少なくともその約60%については実 住宅地図等によってその存在を確認したところ,いずれも実在していたことが確認されたことが認められる。そうであってみれば,平成18年1月以降に執行された捜査報償費は少なくともその約60%については実際に協力者等に支払われたものと推認される。そして,宮城県警察が平成18年1月になって初めて協力者等に謝礼金を支払うようになったとは考え難いところであるから,それ以前においても,協力者等に対する謝礼金の支払はされていたものと推認するのが相当である。 オ小括以上の事柄を総合勘案すると,捜査報償費は,その支出の仕組みからみて不正使用を招きやすいものであることは否めず,本件捜査報償費の支出- 67 -についてもその一部は不正使用されたのではないかと疑われるところがあるものといわざるを得ない。しかしながら,反面,捜査報償費として適正に支出されたものがあることをうかがわせる事情もあり,個々の捜査報償費の支出につきそれが架空支出であることを示す確たる証拠はない。 そうしてみると,本件捜査報償費の支出のすべてが架空であったと認めることはできないし,一部に不正使用があるとしても,本件捜査報償費のどの部分が不正使用であったかについては,本件全証拠によっても判然としないものといわざるを得ない。 争点(1)ないし(3)について前記2ないし4で検討したところによれば,争点(1)ないし(3)に係る情報は,それぞれ4号情報,読替え後の4号情報,2号情報に該当するものというべきである。 そして,本件捜査報償費の支出がすべて架空であると認めることができないことは,上記5で判断したとおりであるから,本件各文書がいずれも有形,無形の偽造文書であるということもできず,そこに記載された情報が非開示とすることによって保護しようとした利益が存在しないゆえに本件条例の非開示情報に したとおりであるから,本件各文書がいずれも有形,無形の偽造文書であるということもできず,そこに記載された情報が非開示とすることによって保護しようとした利益が存在しないゆえに本件条例の非開示情報には当たらないということもできない。 被控訴人は,架空支出が本件捜査報償費の支出の一部であって,本件各文書に虚偽・偽造文書とそうでないものが混在している場合には控訴人において両者を区分するに足りる外形的事実について主張立証すべきである旨の主張をするが,採用することができない。被控訴人の上記主張は,本件捜査報償費の執行がすべて適正であったことの立証責任を警察本部長に負わせるに等しい結果になり,本件条例の趣旨,目的に沿わないことになるからである。非開示情報に該当するにもかかわらず,当該文書が虚偽・偽造文書であって本件条例が非開示とすることによって保護しようとした利益が存在しないことは被控訴人において立証すべきである。 - 68 -そうだとすると,争点(1)ないし(3)に係る情報について,それぞれ4号情報,読替え後の4号情報,2号情報に該当するものとしてした警察本部長の本件処分に裁量権の逸脱や濫用による違法があったとはいえない。 争点(4)について本件条例9条は,その文理上,1個の行政文書に複数の情報が記録されている場合において,それらの情報のうちに非開示情報に該当するものがあるときは,当該情報を除いたその余の情報についてのみこれを開示することを実施機関に義務付けているにすぎず,非開示情報に該当する独立した一体的な情報を更に細分化してその一部を非開示とし,その余の部分を開示することまでをも実施機関に義務付けているものではないと解すべきである。そして,ここにいう一体的な情報とは,個々の構成要素が,ある事象,事柄の伝達のために人為によって統合され, ,その余の部分を開示することまでをも実施機関に義務付けているものではないと解すべきである。そして,ここにいう一体的な情報とは,個々の構成要素が,ある事象,事柄の伝達のために人為によって統合され,構成され,一体的で,他と独立した知らせとなっていると社会通念上いえるものをいうものと解される。 これを本件についてみるに,争点(1)ないし(3)に係る情報の,協力者等情報,金額情報,時期情報,事件等情報及び捜査員情報は,具体的な捜査報償費をいつ,どこで,だれが,だれに,いくらを,どのような理由で交付したのかに関する情報であって,これらの情報は,事象,事柄について一体的な情報を成すものといえるから,警察本部長において,更に細分化して開示部分と非開示部分とは分けて開示しなければならないものではない。警察本部長がした部分開示が違法ということはできない。 これと異なる被控訴人の見解は,採用することができない。被控訴人が引用する最高裁平成19年4月17日第三小法廷判決は,本件に適切ではない。 争点(5)について本件捜査報償費の支出のすべてが架空であるといえないことは前記5で判断したとおりであり,そうであってみれば,警察本部長の本件処分が架空支出を隠ぺいする目的でされたものと認めることはできない。他に被控訴人の主張を- 69 -認めるに足りる証拠はない。 したがって,争点(5)についての被控訴人の主張は,採用することができない。 結論 以上によれば,警察本部長のした本件処分に被控訴人主張に係る違法があるものと認めることはできず,被控訴人の本件請求は,失当として棄却すべきものである。 よって,原判決中被控訴人の請求を一部認容すべきものとした部分は不当であるからこれを取り消し,被控訴人の請求を棄却し,被控訴人の本件附帯控訴は理由がないからこれを棄却す して棄却すべきものである。 よって,原判決中被控訴人の請求を一部認容すべきものとした部分は不当であるからこれを取り消し,被控訴人の請求を棄却し,被控訴人の本件附帯控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第2民事部裁判長裁判官大橋弘裁判官山口均裁判官岡田伸太

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