令和1(行ケ)10111 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年3月11日 知的財産高等裁判所 4部 判決 審決取消
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令和2年3月11日判決言渡令和元年(行ケ)第10111号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和2年2月5日判決 原告株式会社総本家駿河屋 訴訟代理人弁護士山崎和成後亮山中祐訴訟代理人弁理士森治工藤莞司 被告株式会社総本家駿河屋 訴訟代理人弁護士冨宅恵藤原誠西村啓訴訟代理人弁理士高山嘉成主文 1 特許庁が無効2017-890044号事件について,令和元年7月18日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文第1項と同旨 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(1) 株式会社総本家駿河屋(平成21年12月18日設立,旧商号「千鳥屋宗家株式会社」。以下「総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)」という場合がある。)は,平成26年5月20日,「総本家駿河屋」の文字を標準文字により書してなる商標(以下「本件商標」という。)について,指定商品を第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」として,商標登録出願(商願2014-40006号。 以下「本件出願」という。甲26の1 ,指定商品を第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」として,商標登録出願(商願2014-40006号。 以下「本件出願」という。甲26の1)をし,同年6月17日付けで,指定商品を第30類「最中」とする手続補正(甲26の3)をした。 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,平成29年4月12日,本件出願について,登録査定(甲26の14)を受け,同月28日,商標権の設定登録(登録第5943016号。以下,この商標権を「本件商標権」という。)を受けた(甲1の1,1の3,2の1ないし2の3,27)。 株式会社寛永堂(以下「寛永堂」という。)は,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)を合併し,本件商標権を一般承継し,その旨の移転登録(受付日同年5月26日)を経由した(甲2の1ないし2の3,27)。 (2) 原告は,平成29年7月18日,寛永堂を被請求人として,本件商標について商標登録無効審判を請求した(甲23)。 被告(平成26年5月26日設立)は,寛永堂から,本件商標権の譲渡を受け,その旨の移転登録(受付日平成29年7月27日)を経由した(甲27)。 特許庁は,上記請求を無効2017-890044号事件として審理を行い,令和元年7月18日,「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月26日,原告に送達された。 (3) 原告は,令和元年8月21日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。 その要旨は,①本件商標と別紙記載1の「駿河屋」の文字を横書きしてなる登録第553169号商標(以下「引用商標1」という。乙3の1,2)及び別紙記載2 は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。 その要旨は,①本件商標と別紙記載1の「駿河屋」の文字を横書きしてなる登録第553169号商標(以下「引用商標1」という。乙3の1,2)及び別紙記載2の「駿河屋」の文字を横書きしてなる登録第553170号商標(以下「引用商標2」という。乙4の1,2)とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから,本件商標は,商標法4条1項11号に該当しない,②総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)が本件商標について登録出願をし,商標権を取得した行為が著しく社会的妥当性を欠き,その登録を容認することが商標法の目的に反するということはできないから,本件商標は,同項7号に該当しないというものである。 第3 当事者の主張 1 取消事由1(本件商標の商標法4条1項11号該当性の判断の誤り)(1) 原告の主張本件審決は,本件商標(「総本家駿河屋」の標準文字)は,視覚上,まとまりよく一体に表された,その構成文字全体をもってひとつの店舗の名称を表したものとして,取引者,需要者に認識されるとみるべきものであり,また,引用商標1及び2が,本件商標の登録査定時において,周知性を有していたと認めるに足りないから,本件商標の構成中「駿河屋」の文字部分が,取引者,需要者に対して,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということはできず,本件商標の構成中の「駿河屋」の文字部分から,「スルガヤ」の称呼及び和菓子の老舗としての「駿河屋」の観念を生じるといえないとして,本件商標と引用商標1及び2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり,本件 商標は,商標法4条1項11号に該当しない旨判断した。 しかしながら,以下の と引用商標1及び2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり,本件 商標は,商標法4条1項11号に該当しない旨判断した。 しかしながら,以下のとおり,本件商標から「駿河屋」の文字部分を要部として抽出し,この文字部分と引用商標1及び2とを対比して,本件商標と引用商標1及び2の類否を判断すべきであり,その結果,本件商標と引用商標1及び2とは類似する商標であるというべきであるから,本件審決の上記判断は誤りである。 ア引用商標1及び2の周知性の判断の誤り(ア) 株式会社駿河屋(以下「旧駿河屋」という。)は,昭和19年3月に設立された後,和歌山市所在の本店店舗,京都伏見店,全国のデパートやスーパーマーケットに出店及び出品をし,引用商標1及び2を使用した「羊羹」を広く販売していた(甲10,38の1ないし4,39の1ないし3,40の1ないし8,41,42の1ないし9)。 その後,旧駿河屋は,平成26年2月4日,民事再生法に基づく再生手続開始決定を受けた後,同年5月29日付けで事業を停止し,同年6月25日,破産手続開始決定を受け,平成27年6月25日,費用不足による破産手続廃止決定の確定により,法人格が消滅した。 旧駿河屋が永年にわたり引用商標1及び2を「羊羹」に使用した結果,旧駿河屋が事業を停止した当時までに,旧駿河屋が和菓子(羊羹)の老舗として広く一般に認識されるとともに,引用商標1及び2は,旧駿河屋が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表示するものとして需要者の間で周知著名となった。 (イ) 旧駿河屋は,暖簾分けを行った分家各社とともに,「駿河屋の商標及び商標権の保全に協力」すること等を目的とする「駿河屋会」(甲13,35,43の1ないし3,44の1ないし3)を た。 (イ) 旧駿河屋は,暖簾分けを行った分家各社とともに,「駿河屋の商標及び商標権の保全に協力」すること等を目的とする「駿河屋会」(甲13,35,43の1ないし3,44の1ないし3)を形成していた。「駿河屋会」では,旧駿河屋は,「駿河屋」の本家として「総本家駿河屋」と称され,分家各社は,旧駿河屋と峻別するために,「駿河屋」の文字 に各分家を表す地名を小さく付した上で,引用商標1及び2を「羊羹」に使用し,旧駿河屋が事業を停止した後も,同様な態様で,永年にわたって引用商標1及び2の使用を継続している(甲44の2ないし5,45,49の3ないし15)。これにより,旧駿河屋が獲得した引用商標1及び2の周知著名性は,維持されている。 (ウ) 原告は,旧駿河屋の破産手続廃止決定確定後の平成26年11月7日に設立された後,平成27年2月18日,旧駿河屋の旧京都伏見店で営業を再開し,さらに,同年3月24日,旧駿河屋の旧本店店舗を「駿河町本舗」として営業を再開し,現在では合計9店舗で営業を行っている(甲13,16,46の1ないし8,47の1ないし10)。 原告は,各店舗において,引用商標1及び2を使用した「羊羹」を販売している。 また,①原告は,駿河屋会に未加盟であるが,駿河屋会と加入条件等について協議中であること,②原告の代表取締役Aは旧駿河屋の元代表取締役Bの長男であること,③駿河屋会が管理する引用商標1及び2の商標権について黙示の使用許諾を受けていることなどから,原告は,広く一般から旧駿河屋の後継者として認識され,引用商標1及び2を通常使用権に相当する権利に基づいて使用しているものといえるから,旧駿河屋が獲得した引用商標1及び2の周知著名性の維持に寄与ないし貢献している。 (エ) 平成28年5月7日NH 1及び2を通常使用権に相当する権利に基づいて使用しているものといえるから,旧駿河屋が獲得した引用商標1及び2の周知著名性の維持に寄与ないし貢献している。 (エ) 平成28年5月7日NHKテレビで放送された「ブラタモリ」(「3 7 京都・伏見」)(甲47の1ないし3の2)では,旧駿河屋が獲得した和菓子(羊羹)の老舗としての名声,引用商標1及び2の周知著名性が全国に再拡散された。 (オ) 以上によれば,引用商標1及び2は,本件査定時において,旧駿河屋,駿河屋会の構成員又は原告が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表 示するものとして,周知著名であったものである。 したがって,引用商標1及び2の周知性を否定した本件審決の判断には誤りがある。 イ本件商標の要部抽出の可否についての判断の誤り(ア) 本件商標は,「総本家駿河屋」の漢字6文字からなるところ,その構成文字である漢字は,仮名文字やアルファベットとは異なり,一文字一文字が意味を有するとともに,各文字を組み合わせることによって,一つのまとまりのある意味を有する単語を構成することに照らすと,本件商標は,「総本家」の文字部分と「駿河屋」の文字部分からなる結合商標である。 そして,本件商標の構成中「総本家」の文字部分は,「多くの分家の分かれ出たもとの家。おおもとの本家。」を意味し(甲6)で,店舗名の一部として,その頭部あるいは尾部に普通に使用されていること,前記アのとおり,引用商標1及び2は,本件出願時及び本件査定時において,旧駿河屋,駿河屋会の構成員又は原告が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表示するものとして,周知著名であったこと,羊羹や最中などの和菓子の販売者の屋号においては,全国的に「〇〇屋」,「△△堂」というものが多く,和菓子の需要者は, 原告が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表示するものとして,周知著名であったこと,羊羹や最中などの和菓子の販売者の屋号においては,全国的に「〇〇屋」,「△△堂」というものが多く,和菓子の需要者は,甘味を好む中高年層や来訪時の手土産を求める一般の消費者が大半であるという取引の実情があることに照らせば,本件商標の構成中「駿河屋」の文字部分は,周知著名な老舗の屋号を示す固有名詞部分として,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのに対し,本件商標の構成中「総本家」の文字部分は,「多くの分家の分かれ出たもとの家」と一般名詞にすぎず,商品の出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというべきである。 そうすると,本件商標から「駿河屋」の文字部分を要部として抽出し,これと引用商標1及び2をそれぞれ比較して商標そのものの類否を判断 することも,許されるというべきである。 これと異なる本件審決の判断は誤りである。 (イ) これに対し被告は,「京三条」,「京都駅前」,「二条」などの地名を「駿河屋」の文字に付した商標が登録されていること,「駿河屋」の文字が含まれる商標が使用されていることなどを根拠として,「駿河屋」だけの使用では,何人の商品の出所を示すものであるのか,取引者及び需要者は認識することができなくなっている旨主張する。 しかしながら,地名を「駿河屋」の文字に付した商標が登録されている理由は,主として,旧駿河屋から分家した駿河屋会の構成員各社と旧駿河屋とを峻別するためのものであって,このことは,菓子や羊羹についての「駿河屋」の識別力が低減し,又は消滅していることを示すものではない。 したがって,被告の上記主張は失当である。 ウ本件商標と引用商標1及び2の類否判断の誤り本件商標の要部であ の「駿河屋」の識別力が低減し,又は消滅していることを示すものではない。 したがって,被告の上記主張は失当である。 ウ本件商標と引用商標1及び2の類否判断の誤り本件商標の要部である「駿河屋」の文字部分と引用商標1及び2を対比すると,「駿河屋」の文字部分を共通にし,いずれも「スルガヤ」の称呼,店舗名としての「駿河屋」の観念が生じ,称呼及び観念が同一であるから,本件商標と引用商標1又は引用商標2を本件商標の指定商品に使用するときは,出所の混同を生じるおそれがある。 したがって,本件商標と引用商標1及び2は全体として類似するというべきである。 これと異なる本件審決の判断は誤りである。 エ小括以上のとおり,本件商標は,引用商標1及び2に類似する商標であって,本件商標の指定商品「最中」は引用商標1及び2の指定商品「羊羹」と類似するから,本件商標は商標法4条1項11号に該当する。 したがって,本件商標の同号該当性を否定した本件審決の判断に誤りがあるから,本件審決は取り消されるべきである。 (2) 被告の主張ア引用商標1及び2の周知性の判断の誤りの主張に対し(ア) 旧駿河屋は,「駿河屋」を単独では使用せず,「総本家」の文字を付して「総本家駿河屋」を使用し,又は「総本家駿河屋」の商標と同時に「駿河屋」を使用し,駿河屋会所属の分家との区別を明確にして,出所の混同を防止してきたから,引用商標1及び2が,旧駿河屋が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表示するものとして周知著名性を獲得したものとはいえない。 (イ) 仮に旧駿河屋が引用商標1及び2について周知著名性を獲得したとしても,旧駿河屋は,破産手続廃止決定の確定により,その法人格が消滅していること,駿河屋会所属の分家は,地名に「駿河 。 (イ) 仮に旧駿河屋が引用商標1及び2について周知著名性を獲得したとしても,旧駿河屋は,破産手続廃止決定の確定により,その法人格が消滅していること,駿河屋会所属の分家は,地名に「駿河屋」の文字を付して,旧駿河屋との出所の混同を防止してきたこと,原告は,旧駿河屋から事業譲渡を受けておらず,旧駿河屋が営業していた地で「株式会社総本家駿河屋」の商号を使用して営業しているだけであり,旧駿河屋の有していた引用商標1及び2についての周知著名性を引き継いでいるわけではないことからすれば, 旧駿河屋が獲得した引用商標1及び2についての周知著名性は,旧駿河屋の法人格の消滅とともに断絶している。 (ウ) したがって,引用商標1及び2の周知著名性を否定した本件審決の判断に誤りはない。 イ本件商標の要部抽出の可否についての判断の誤りの主張に対し(ア) 前記アのとおり,旧駿河屋においては引用商標1及び2について周知著名性を獲得していないか,仮に獲得したとしても,旧駿河屋の法人格の消滅とともに断絶している。 (イ) 次に,引用商標1及び2の商標登録がされた後に,指定商品を「煉 羊羹」,「菓子」等とする「駿河屋」の文字を含む9件の商標(乙5ないし13)が商標登録されている。 また,商品「菓子」又は「羊羹」について,主に,地名に「駿河屋」の文字を加えた商標を多数の者が使用している。具体的には,「宇治駿河屋」(乙14),「先斗町駿河屋」(乙15),「京阪宇治駅前駿河屋」(乙16),「京三条駿河屋」(乙17),「河内駿河屋」(乙18),「伏見駿河屋」(乙19),「大阪の駿河屋」(乙20),「京都駅前駿河屋」又は「京都駅前京駿河屋」(乙21),「駿河屋岡本」又は「大阪・長堀の駿河屋」(乙22),「駿河屋稲荷店」又は「稲荷駿河屋」 「伏見駿河屋」(乙19),「大阪の駿河屋」(乙20),「京都駅前駿河屋」又は「京都駅前京駿河屋」(乙21),「駿河屋岡本」又は「大阪・長堀の駿河屋」(乙22),「駿河屋稲荷店」又は「稲荷駿河屋」(乙23),「二條駿河屋」又は「二条駿河屋」(乙24),「美濃国駿河屋」(乙25),「京都駅前駿河屋」(乙26)のように使用されている。 これらの使用者には,「京阪宇治駅前駿河屋」(乙16),「京三条駿河屋」(乙17),「河内駿河屋」(乙18),「美濃国駿河屋」(乙25),「京都駅前駿河屋」(乙26)のように,駿河屋会(甲29)の構成員でない者も含まれている。 さらに,引用商標1 及び2の商標権者である株式会社大阪の駿河屋は「大阪の駿河屋」の商標を,有限会社伏見駿河屋は「伏見駿河屋」の商標を,株式会社京都駅前駿河屋は「京都駅前駿河屋」の商標を使用し,互いに出所の混同が生じないようにしている。旧駿河屋においても,「総本家駿河屋」のように「総本家」の文字を付して使用し,他の分家との出所が混同しないようにしていることは,前述のとおりである。 また,引用商標1及び2の商標権者は,駿河屋会以外の者による「駿河屋」の商標の使用に対して,商標権侵害を主張することなく,長年放置してきた。 これらの取引の事情によれば,本件商標の登録査定時には,もはや, 「駿河屋」という商標だけでは,商品「和菓子」や「羊羹」について,何人の商品の出所を示すものであるのか,需要者は,認識できない状態になっていた。 したがって,本件商標から「駿河屋」の文字部分を要部として抽出することはできない。 ウ本件商標と引用商標1及び2の類否判断の誤りの主張に対し前記ア及びイによれば,本件商標を分離観察して「駿河屋」の文字部分のみを要部として抽出することはできないから 抽出することはできない。 ウ本件商標と引用商標1及び2の類否判断の誤りの主張に対し前記ア及びイによれば,本件商標を分離観察して「駿河屋」の文字部分のみを要部として抽出することはできないから,本件商標と引用商標1及び2とは,外観,称呼及び観念において異なり,非類似であるとした本件審決の判断に誤りはない。 エ小括以上のとおり,本件商標は,引用商標1及び2に類似する商標であるとはいえないから,本件商標は商標法4条1項11号に該当しないとした本件審決の判断には誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(本件商標の商標法4条1項7号該当性の判断の誤り)について(1) 原告の主張ア旧駿河屋の民事再生手続において,旧駿河屋と株式会社千鳥屋宗家(以下「㈱千鳥屋宗家」という。)の子会社の総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)の間で平成26年4月28日に締結された事業譲渡契約(以下「本件事業譲渡契約」という。乙34)について裁判所の許可が得られないまま,旧駿河屋から本件事業譲渡契約が白紙撤回され,同年6月25日,再生手続が廃止決定がされるとともに,破産手続開始決定がされた。旧駿河屋が事業譲渡を白紙撤回したのは,和歌山市小倉にあった製造工場及び製造部門従業員の処遇をめぐり,㈱千鳥屋宗家が,製造部門従業員の雇用の確保を事実上困難とする提案をしてきたことから,旧駿河屋としては,やむなく 事業譲渡方式による民事再生を断念せざるを得なかったためであり,㈱千鳥屋宗家に主な責任がある。 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,実体のない登記上だけのペーパーカンパニーであって,本件商標を使用する意思も能力もなく,旧駿河屋の破産手続における私的入札でも落札できず,旧駿河屋の権利を何ら承継していない 屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,実体のない登記上だけのペーパーカンパニーであって,本件商標を使用する意思も能力もなく,旧駿河屋の破産手続における私的入札でも落札できず,旧駿河屋の権利を何ら承継していない。 また,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,原告に対する権利行使のためにのみ本件商標権の設定登録を受けたものであり,その設定登録前の平成29年4月19日付け及びその設定登録後の同年5月17日付けで,原告に対し,原告による本件商標の使用が本件商標権の侵害に当たる旨の警告(甲3の1,2)をし,この段階から刑事責任までも持ち出していた。 このような総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)の原告に対する権利行使は,権利の濫用であり,本件商標の出願経緯に社会的相当性を欠くものがあるから,本件商標の商標登録を認めることは,商標法の予定する秩序を著しく逸脱するものである。 イ以上によれば,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当するというべきである。 したがって,本件商標の同号該当性を否定した本件審決の判断に誤りがあるから,本件審決は取り消されるべきものである。 (2) 被告の主張ア商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法4条1項7号に該当するのは,その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような特段の事情がある場合に限られるが,本件においては,かかる特段の事情が存在しないから,同号を適用すべき事案ではない。 イ(ア) 和菓子の製造・販売等を業とする㈱千鳥屋宗家は,旧駿河屋の民事 再生手続において,旧駿河屋のスポンサー候補として選定された。 ㈱千鳥屋宗家の100%子会社である総本家駿河屋(旧千鳥屋宗 ) 和菓子の製造・販売等を業とする㈱千鳥屋宗家は,旧駿河屋の民事 再生手続において,旧駿河屋のスポンサー候補として選定された。 ㈱千鳥屋宗家の100%子会社である総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,平成26年4月28日,旧駿河屋との間で,裁判所の許可を得ることを停止条件として,旧駿河屋が総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)に対し,譲渡実行日同年5月30日,譲渡代金4億8000万円の約定で旧駿河屋の事業を譲渡する旨の本件事業譲渡契約(乙34)を締結した。 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,民事再生申立代理人の指示を受けて,同月16日,商号を「千鳥屋宗家株式会社」から「株式会社総本家駿河屋」に変更し,本店所在地を「和歌山市駿河町12番地」に変更した。そして,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,本件事業譲渡契約の譲渡対象に「総本家駿河屋」の商標権が存在したが,役務の分類のものしかなかったため,同月20日,本件出願(指定商品は本件出願後に「最中」に補正)をした。 また,㈱千鳥屋宗家は,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)が旧駿河屋から譲渡を受けた事業を行うための準備行為として,店舗レジシステム及び配送用車両の購入,従業員の募集広告,店舗賃貸借契約の締結をし,多大な投資をした。 ところが,㈱千鳥屋宗家は,本件事業譲渡契約の譲渡実行日の直前の同月29日,民事再生申立代理人側から,一方的に本件事業譲渡契約を破棄する旨の連絡を受けた。 その後,旧駿河屋の破産手続開始決定後,破産管財人によって,旧駿河屋の財産(不動産,機械装置,一部の商標(引用商標1及び2の共有持分は含まれない。))の入札が行われ,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)も応札したが,落札することができなかった。 以上の経緯によれば,㈱千鳥屋宗家及び総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)が本件商標を 有持分は含まれない。))の入札が行われ,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)も応札したが,落札することができなかった。 以上の経緯によれば,㈱千鳥屋宗家及び総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)が本件商標を使用した事業を行う意思を有し,その能力及び設備を 有していたことは明らかである。 したがって,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,実体のない登記上だけのペーパーカンパニーであって,本件商標を使用する意思も能力もないとの原告の主張は失当である。 (イ) 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)の原告に対する平成29年4月19日付け通知書(甲3の1)では,本件商標が登録査定段階にあり,侵害となるのは設定登録後である旨を明示し,刑事責任についても,「登録後において,上記標章の使用を継続すれば,それは故意の使用となり,刑事上の責任も生じますことを申し添えておきます。」との指摘に留め,末尾で「紳士的に話し合い」を行うことを持ち掛けており,不当過剰な通知内容ではない。 したがって,総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)の原告に対する本件商標権の権利行使の態様に何ら違法はない。 ウ以上によれば,本件商標は商標法4条1項7号に該当しないから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由2は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2の1の事実と証拠(甲1ないし3,9ないし11,13ないし16,19ないし23,26ないし30,35ないし49,乙7ないし10,13ないし27(いずれも枝番のあるものは枝番を含む。))及び弁論の趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)ア旧駿河屋は,昭和19年3月27日に設立された,菓子の製造,卸売,小売等を目的とする株式会社である。旧駿河屋は,「総本家駿河屋」の屋号 の趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)ア旧駿河屋は,昭和19年3月27日に設立された,菓子の製造,卸売,小売等を目的とする株式会社である。旧駿河屋は,「総本家駿河屋」の屋号で,「羊羹」,「饅頭」等の和菓子を販売し,本店所在地の和歌山県のみならず,京都府や大阪府にも店舗展開した。旧駿河屋は,平成24年3 月期には,和歌山県に15店舗,京都府に1店舗,大阪府に3店舗の直営店を有し,百貨店11店舗(近鉄百貨店和歌山店,高島屋和歌山店,高島屋京都店,高島屋堺店,近鉄百貨店阿倍野店,京阪百貨店京橋店等)に販売店を出店し,このほか,百貨店72店舗及び量販店(ダイエー,イズミヤ等)等532店舗の銘店コーナ等に和菓子等を出品していた(甲41)。 同3月期における直営店での売上高は約7億6568万円,百貨店での売上高は約4億8955万円であった(甲41)。 イ甲42の1(「日本の名菓 《和菓子》」昭和60年2月1日発行)には,旧駿河屋が販売する「羊羹」に関し,「徳川家ゆかりの伝統の味「煉羊羹」」との見出し下に,「元和5年(1619),五代目Cは,徳川頼宣が駿河の国から紀州和歌山へお国替えとなった時に,一緒にお供をした。 それを境に駿河屋は,紀州家御用御菓子司として和歌山に御用本店を置くようになった(現在でも駿河屋は和歌山と伏見に総本家を置いている。)。」,「駿河屋の「煉羊羹」は,秀吉の聚楽第茶会に諸侯の引き出ものに用いられ絶賛されたという「伏見羊羹」を発展させたもので,試作に成功したのが慶長4年(1599)のことである。」,「淡紅色をした「極上本煉煉羊羹」は,みかけとちがいその歯ざわりはずっしり重く,深く厚みのある味が伝わってくる。」との記載がある。 (2)ア旧駿河屋は,昭和26年9月17日及び同年10月22 」,「淡紅色をした「極上本煉煉羊羹」は,みかけとちがいその歯ざわりはずっしり重く,深く厚みのある味が伝わってくる。」との記載がある。 (2)ア旧駿河屋は,昭和26年9月17日及び同年10月22日,合資会社駿河屋ほか4名とともに,別紙記載1及び2の引用商標1及び2について,指定商品を「羊羹」としてそれぞれ商標登録出願し,昭和35年7月21日,それぞれ商標権の設定登録を受けた(乙3の1,2,4の1,2)。 イ旧駿河屋のD及びEは,昭和32年4月24日,旧駿河屋の前身の個人営業の「総本家駿河屋」の分家又は「総本家駿河屋」等から暖簾分けを受けた「別家」の株式会社大阪の駿河屋,合資会社駿河屋,「堺筋駿河屋」(F),「伏見駿河屋」(G),「七条駿河屋」(H)等とともに,普通 会員を「駿河屋」の商号,商標を使用し,煉羊羹,菓子の製造又は販売に従事する個人,特別会員を普通会員の主宰する会社等とし,会員相互の親睦を図るとともに老舗駿河屋の伝統を守り,商号及び商標権の確保に協力し,共存共栄を図ることを目的として,「駿河屋」の商号,商標の保全に必要な協定及びその他の措置等の事業を行う「駿河屋会」を発足した(甲35,43の1ないし3)。 駿河屋会の会員は,駿河屋会の発足の前後を通じて,「駿河屋」の商標を使用した羊羹等の和菓子の販売を継続的に行っている。 令和元年12月時点の駿河屋会の会員店舗は,「伏見駿河屋」,「大阪の駿河屋」,「京駿河屋」,「大阪・長堀の駿河屋」,「するがや祇園下里」,「先斗町駿河屋」,「稲荷駿河屋」,「宇治駿河屋」及び「二条駿河屋」の9店舗(甲44の1)であった。 (3)ア(ア) 旧駿河屋は,経営が悪化し,平成26年1月17日,和歌山地方裁判所に民事再生の申立てをし,同年2月4日,再生手続開始決定を受けた。 (イ 河屋」の9店舗(甲44の1)であった。 (3)ア(ア) 旧駿河屋は,経営が悪化し,平成26年1月17日,和歌山地方裁判所に民事再生の申立てをし,同年2月4日,再生手続開始決定を受けた。 (イ) 和菓子の製造・販売等を業とする㈱千鳥屋宗家は,旧駿河屋の民事再生手続において,旧駿河屋のスポンサー候補となった後,㈱千鳥屋宗家の子会社である総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,平成26年4月28日,旧駿河屋との間で,裁判所の許可を得ることを停止条件として,旧駿河屋が総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)に対し,譲渡実行日同年5月30日,譲渡代金4億8000万円の約定で旧駿河屋の事業を譲渡する旨の本件事業譲渡契約(乙34)を締結した。 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,同月16日,商号を「千鳥屋宗家株式会社」から「株式会社総本家駿河屋」に変更し,また,同月26日,和菓子販売等を目的とする被告(旧商号「株式会社駿河屋」)が設立された。 (ウ) 総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,平成26年5月20日,本件商標について,本件出願をした。 (エ) 旧駿河屋は,平成26年5月29日,本件事業譲渡契約を解除し,直営店19店舗を閉鎖するとともに,全従業員を解雇して事業を停止した(甲13,21)。 和歌山地方裁判所は,同年6月25日,旧駿河屋について,再生手続廃止決定とともに,破産手続開始決定をした。 (オ) 平成26年7月3日,旧駿河屋の所有する不動産及び機材等を一括購入する入札が実施され,Jが落札した(甲28の17)。 (カ) 平成27年6月25日,旧駿河屋について,破産手続廃止決定が確定した。 イ(ア) 平成26年11月7日,菓子の製造,卸売,小売業等を目的とする原告が設立された。 原告は,平成27年2月18日,旧駿河 27年6月25日,旧駿河屋について,破産手続廃止決定が確定した。 イ(ア) 平成26年11月7日,菓子の製造,卸売,小売業等を目的とする原告が設立された。 原告は,平成27年2月18日,旧駿河屋の旧京都伏見店舗で営業を再開し,さらに,同年3月24日,旧駿河屋の旧本店店舗を「駿河町本舗」として営業を再開した。 その後,令和元年9月21日時点で,原告は,合計9店舗(乙27)で営業を行っていた。 (イ) 旧駿河屋の旧本店店舗における営業の再開に関し,平成27年3月17日発行の各新聞(甲16添付の「刊行物3」)において,「駿河屋,新会社で再出発」(産経新聞),「「こんなに愛されていたとは」新生「駿河屋」新社長が意気込み」(産経新聞),「駿河屋24日に再開社名変更し,元職人ら16人体制で」(わかやま新報),「駿河屋の和菓子継承創業家迎え新会社旧本店,24日から」(讀賣新聞),「駿河屋ブランド守る伝統継承新会社で営業再開」(毎日新聞),「駿河屋が24日営業再開和菓子の老舗」(日本経済新聞),「駿河屋の “味”復活関係者ら喜びの声」(朝日新聞),「駿河屋,24日「再開」和菓子老舗和歌山の旧本店で」(朝日新聞)と報道された。 ウ総本家駿河屋(旧千鳥屋宗家㈱)は,平成29年4月12日,本件出願について,登録査定を受け,同月28日,本件商標権の設定登録を受けた。 (4) 旧駿河屋を含む駿河屋会の会員による「駿河屋」の商標の使用態様は,以下のとおりである。 ア旧駿河屋は,平成26年2月9日当時,その管理,運営するウェブサイト(甲11の資料1ないし3)において,「総本家」の文字部分と「駿河屋」の文字部分との間に空白を設け,「総本家」の文字部分が小さく表記された「総本家駿河屋」の商標を使用していた。 旧駿 ェブサイト(甲11の資料1ないし3)において,「総本家」の文字部分と「駿河屋」の文字部分との間に空白を設け,「総本家」の文字部分が小さく表記された「総本家駿河屋」の商標を使用していた。 旧駿河屋の販売する「羊羹」の包装資材(甲38の1ないし4,39の1)には,商品名「栗羊羹」,「夜の梅」,「煉羊羹」を大きな文字で縦書きで記載した右横に小さな文字で「駿河屋の極上本煉」と記載され,商品名の下欄には「総本家」の文字部分が右肩に小さく表記された「駿河屋」の文字からなる縦書きの商標が付されていた。また,旧駿河屋の包装紙及び紙袋(甲39の2,3)には,横書きの「駿河屋」の商標の上に小さな文字で「総本家」と記載されていた。 2011年の近鉄和歌山百貨店のお歳暮カタログ(甲40の5)に,旧駿河屋の「栗羊羹」,「夜の梅」及び「煉羊羹」の商品が,写真とともに掲載された。 また,平成2年3月30日から同年4月4日まで,近鉄和歌山百貨店催会場において,「総本家駿河屋と銘菓の歩み」と題する催し(甲40の8)が開催された。 イ株式会社大阪の駿河屋は,その管理,運営するウェブサイト(乙20)において,「駿河屋」の文字部分の左側に空白を設けて「大阪の」の文字部分を小さく記載した「大阪の駿河屋」の商標を使用し,「駿河屋のお菓 子」の見出しの下に,「伝統の製法で作られた羊羹に昔ながらの味わいが楽しめるお菓子。お菓子の老舗,駿河屋のラインナップです。」,「古来より受け継がれた,駿河屋羊羹の「こころ」」などと表示している。 また,取扱商品の羊羹「富士鶴」の箱(甲44の3,45)には,「駿河屋」との記載があり,その上部に小さな文字で「大阪」と記載されている(甲44の3,45)。 そして,株式会社大阪の駿河屋は,本部・工場のほか,阪神百貨店西宮 鶴」の箱(甲44の3,45)には,「駿河屋」との記載があり,その上部に小さな文字で「大阪」と記載されている(甲44の3,45)。 そして,株式会社大阪の駿河屋は,本部・工場のほか,阪神百貨店西宮店,松坂屋高槻店,関西国際空港に直営店を有している。 ウ合資会社駿河屋は,「大阪・長堀の駿河屋」の屋号で営業し,店舗には「駿河屋」と表示した暖簾がかかっている(甲29)。 エ有限会社伏見駿河屋は,「駿河屋」の文字部分の左側に「伏見」の文字部分を小さく記載した「伏見駿河屋」の商標(乙19)を使用し,本店のほかに通信販売サイトを開設している。店舗には,「駿河屋本店」と記載した看板(乙19)が掲げられている。取扱商品の「煉羊羹」の包装紙(甲44の2)には,「駿河屋製」と記載されている。 オ株式会社京都駅前駿河屋は,「京都駅前京駿河屋」,「京都駅前駿河屋」の商標を使用し,その管理,運営するウェブサイト(甲44の4,乙21)において,「烏丸通に面する駿河屋ビル1階の店舗。南をのぞめば京都駅の正面,北側はヨドバシカメラ。京都タワービル,近年開設された京都駅前運転免許更新センターとも近接し,人の流れが絶えない立地で,なじまれる「駿河屋」の看板が存在感を放ちます。」などと表示している。 株式会社京都駅前駿河屋の1階店舗には「駿河屋」と記載された看板が,地下2階の店舗には「SURUGAYA」と記載された看板(甲44の4,乙21)が掲げられている。 取扱商品の羊羹「でっち羊羹」の包装紙(甲44の4)には「駿河屋」と記載され,その右肩に小さな文字で「京都駅前」と記載され,また,羊 羹「呉竹の里」の包装紙には「駿河屋」と記載され,その上方に小さな文字で「京都駅前」と記載されている。 カ宇治駿河屋は,その管理,運営するウェブサイト(甲44の 」と記載され,また,羊 羹「呉竹の里」の包装紙には「駿河屋」と記載され,その上方に小さな文字で「京都駅前」と記載されている。 カ宇治駿河屋は,その管理,運営するウェブサイト(甲44の5,乙14)において,「宇治」の文字部分と「駿河屋」の文字部分との間に空白を設け,「宇治」の文字部分が小さく表記された「宇治駿河屋」の商標を使用している。取扱商品の「本煉・紅羊羹」の商品名の下方には,「駿河屋」と記載され,その右肩に小さな文字で「宇治」と記載されている。 キ先斗町駿河屋は,その管理,運営するウェブサイト(乙15)において,「先斗町駿河屋」の商標を使用し,「駿河屋の羊羹小豆・紅・茶駿河屋五百年の伝統の味をふまえ,現代の人々のお口に合うように整えました。」などと表示している(乙15)。 取扱商品の羊羹「夜の梅」の包装紙(乙15)には,「夜の梅」と記載され,その右肩に小さな文字で「駿河屋の」と記載されている。 ク京三条駿河屋は,その管理,運営するウェブサイト(乙17)において,「京三条駿河屋」の商標を使用し,「駿河屋からの分家,暖簾分けによるものは11社で,京三条駿河屋はその一つです。」などと表示している。 (5) 駿河屋会の会員以外の「駿河屋」の文字の使用態様は,次のとおりである。 ア京阪宇治駅前駿河屋は,店舗に「駿河屋」と記載された看板(乙16)を掲げている。 イ河内駿河屋は,「河内駿河屋」の商標(乙18)を使用している。 ウ岐阜県可児市に「創作菓子処美濃国駿河屋」(乙25)という名称の店舗がある。 (6)ア原告の「駿河屋」の文字の使用態様は次のとおりである。 (ア) 原告は,その店舗において,「駿河屋」の文字部分を「総本家」の文字部分よりも大きく表示した「総本家駿河屋」の暖簾(乙27)を掲 )ア原告の「駿河屋」の文字の使用態様は次のとおりである。 (ア) 原告は,その店舗において,「駿河屋」の文字部分を「総本家」の文字部分よりも大きく表示した「総本家駿河屋」の暖簾(乙27)を掲げている。 原告は,平成28年(2016年)に「総本家駿河屋」と題するリーフレット(甲46の1,2)を,平成29年(2017年)ないし平成31年(2019年)に「駿河屋煉羊羹」と題するリーフレット(甲46の3ないし8)を発行した。 取扱商品の「煉羊羹」の包装紙(乙27)は,中央に「煉羊羹」が大きく記載され,その下方の中央に小さな文字で「駿河屋」と,「駿河屋」の右上に「総本家」,左下に「謹製」と小さな文字で記載されている。 (イ) 婦人画報2017年3月号(甲47の7)では,原告の「極上本煉羊羹」が和歌山県の「いちばん」の和菓子として紹介されている。また,2018年3月1日発行の「てんとう虫3月号」(甲47の8),2019年3月28日発行の「LOVE!和菓子」(甲47の9)でも,「極上本煉羊羹」が紹介されている。 イ原告は,平成29年7月27日時点において,駿河屋会との間で,引用商標1及び2の使用許諾について協議中である(甲48の1)。 2 取消事由1(本件商標の商標法4条1項11号該当性の判断の誤り)について複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,その構成部分全体によって他人の商標と識別されるから,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは原則として許されないが,取引の実際においては,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は,必ずしも常に構成部分全体によって 許されないが,取引の実際においては,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は,必ずしも常に構成部分全体によって称呼,観念されるとは限らず,その構成部分の一部だけによって称呼,観念されることがあることに鑑みると,商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合な どには,商標の構成部分の一部を要部として取り出し,これと他人の商標とを比較して商標そのものの類否を判断することも,許されると解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 そこで,以下においては,上記の観点を踏まえて,本件商標が引用商標1及び2に類似する商標(商標法4条1項11号)に該当するかどうかについて判断する。 (1) 引用商標1及び2の周知性等についてア引用商標1及び2は,別紙記載1及び2のとおり,「駿河屋」の漢字3文字を横書きに書してなり,その構成文字に相応して,「スルガヤ」の称呼が生じる。 しかるところ,前記1の認定事実を総合すると,①旧駿河屋は,昭和19年3月に設立以来,平成26年5月29日に事業を停止するまでの約70年間にわたり継続して,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」を販売し,平成24年3月期時点では,和歌山県に15店舗,京都府に1店舗,大阪府に3 立以来,平成26年5月29日に事業を停止するまでの約70年間にわたり継続して,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」を販売し,平成24年3月期時点では,和歌山県に15店舗,京都府に1店舗,大阪府に3店舗の直営店,百貨店11店舗に販売店を出店し,このほか,百貨店72店舗及び量販店等532店舗の銘店コーナ等に「駿河屋」の商標を使用し,同3月期における直営店での売上高は約7億6568万円,百貨店での売上高は約4億8955万円であったこと,②旧駿河屋が販売する「羊羹」については,「徳川家ゆかりの伝統の味「煉羊羹」」,「駿河屋は,紀州家御用御菓子司として和歌山に御用本店を置くようになった(現在でも駿河屋は和歌山と伏見に総本家を置いている。)。」,「駿河屋の「煉羊羹」は,秀吉の聚楽第茶会に諸侯の引き出ものに用いられ絶賛され たという「伏見羊羹」を発展させたもので,試作に成功したのが慶長4年(1599)のことである。」,「淡紅色をした「極上本煉煉羊羹」は,みかけとちがいその歯ざわりはずっしり重く,深く厚みのある味が伝わってくる。」などと刊行物(甲42の1(「日本の名菓 《和菓子》」)で紹介されていたこと,③旧駿河屋は,昭和32年4月24日,旧駿河屋の前身の個人営業の「総本家駿河屋」の分家又は「総本家駿河屋」等から暖簾分けを受けた「別家」等とともに,会員相互の親睦を図るとともに老舗駿河屋の伝統を守り,商号及び商標権の確保に協力し,共存共栄を図ることを目的として,「駿河屋」の商号,商標の保全に必要な協定及びその他の措置等の事業を行う「駿河屋会」を発足し,「駿河屋会」の会員は,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」等の和菓子を販売し,平成27年6月25日に旧駿河屋の破産手続廃止決定が確定した前後を通じて,ウェブサイトや取扱商品の「羊羹」の包装等に し,「駿河屋会」の会員は,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」等の和菓子を販売し,平成27年6月25日に旧駿河屋の破産手続廃止決定が確定した前後を通じて,ウェブサイトや取扱商品の「羊羹」の包装等に「駿河屋」の商標の使用を継続していること,④旧駿河屋の事業停止(平成26年5月29日)から約10か月後の平成27年3月24日,原告は,旧駿河屋の旧本店店舗において営業を再開し,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」等の和菓子を販売するようになり,旧本店店舗における営業再開時には「駿河屋」の再建として新聞各誌で大きく報道されたことが認められる。 上記認定事実によれば,本件商標の登録査定時(登録査定日平成29年4月12日)において,「駿河屋」の商標は,羊羹等の和菓子の取引者,需要者の間において,近畿地方を中心に, 旧駿河屋又はその分家等が取り扱う和菓子(特に,羊羹)を表示するブランド名として広く認識され,全国的にも相当程度認識されていたものと認められる。 そして,このような「駿河屋」の商標の周知性等に照らすと,「駿河屋」の文字を横書きに書してなる引用商標1及び2から,「羊羹」等の和菓子のブランド名としての「駿河屋」の観念が生じるものと認めるのが相当で ある。 イこれに対し被告は,①旧駿河屋は,「駿河屋」を単独では使用せず,「総本家」の文字を付して「総本家駿河屋」を使用し,又は「総本家駿河屋」の商標と同時に「駿河屋」を使用し,駿河屋会所属の分家との区別を明確にして,出所の混同を防止してきたから,引用商標1及び2が,旧駿河屋が取り扱う和菓子(特に「羊羹」)を表示するものとして周知著名性を獲得したとはいえない,②仮に旧駿河屋が引用商標1及び2について周知著名性を獲得したとしても,旧駿河屋は,破産手続廃止決定の確定により,その法人格が消滅 に「羊羹」)を表示するものとして周知著名性を獲得したとはいえない,②仮に旧駿河屋が引用商標1及び2について周知著名性を獲得したとしても,旧駿河屋は,破産手続廃止決定の確定により,その法人格が消滅していること,駿河屋会所属の分家は,地名に「駿河屋」の文字を付して,旧駿河屋との出所の混同を防止してきたこと,原告は,旧駿河屋から事業譲渡を受けておらず,旧駿河屋が営業していた地で「株式会社総本家駿河屋」の商号を使用して営業しているだけであり,旧駿河屋の有していた引用商標1及び2についての周知著名性を引き継いでいるわけではないことからすれば, 旧駿河屋が獲得した引用商標1及び2についての周知著名性は,旧駿河屋の法人格の消滅とともに断絶している旨主張する。 しかしながら,上記①の点については,前記1(4)アの認定事実によれば,旧駿河屋がそのウェブサイトで使用していた「総本家駿河屋」の表示は,旧駿河屋が営業主体であることを表示したものと認識することができるが,一方で,旧駿河屋の販売する「羊羹」の包装資材,包装紙及び紙袋においては,「駿河屋」の文字部分が,同文字部分の右肩等に小さな文字で記載された「総本家」文字部分と外観上明確に区別される態様で示されているから,「駿河屋」の文字部分は独立した商標として使用されているものと認められる。 次に,上記②の点については,前記ア認定のとおり,「駿河屋」の商標は,旧駿河屋のみならず,駿河屋会の会員の分家及び別家の経営する店舗 の営業活動を通じて,取引者,需要者の間において,近畿地方を中心に,旧駿河屋又はその分家等が取り扱う和菓子(特に,羊羹)を表示するブランド名として広く認識され,全国的にも相当程度認識されていたものと認められるものであり,このような「駿河屋」の商標のブランド名としての周知性 はその分家等が取り扱う和菓子(特に,羊羹)を表示するブランド名として広く認識され,全国的にも相当程度認識されていたものと認められるものであり,このような「駿河屋」の商標のブランド名としての周知性等は旧駿河屋の破産手続廃止決定の確定による法人格の消滅により直ちに失われるものとはいえない。 また,前記1(2)イのとおり,駿河屋会は,「駿河屋」の商号,商標を使用し,煉羊羹,菓子の製造又は販売に従事する個人及びその主宰する会社等を会員とし,会員相互の親睦を図るとともに老舗駿河屋の伝統を守り,商号及び商標権の確保に協力し,共存共栄を図ることを目的として,「駿河屋」の商号,商標の保全に必要な協定及びその他の措置等の事業を行うために発足したものである上,前記1(4)の認定事実によれば,駿河屋会の会員の分家及び別家等の取扱商品の羊羹の包装等においては,「駿河屋」の文字部分が,同文字部分の右肩等に小さな文字で記載された「大阪」,「伏見」,「京都駅前」又は「宇治」の文字部分と外観上明確に区別される態様で示されているから,「駿河屋」の文字部分は独立した商標として使用されているものと認められる。加えて,株式会社大阪の駿河屋のウェブサイトでは,「駿河屋のお菓子」の見出しの下に,「伝統の製法で作られた羊羹に昔ながらの味わいが楽しめるお菓子。お菓子の老舗,駿河屋のラインナップです。」,「古来より受け継がれた,駿河屋羊羹の「こころ」」などと表示していること(前記1(4)イ),株式会社京都駅前駿河屋は,その店舗に「駿河屋」と記載された看板及び「SURUGAYA」と記載された看板を掲げていること(前記1(4)オ)に照らすと,駿河屋会の会員の分家及び別家は,旧駿河屋の破産手続廃止決定の確定後も,「駿河屋」の商標を取扱商品の羊羹等の和菓子のブランド名として継続して使用 れた看板を掲げていること(前記1(4)オ)に照らすと,駿河屋会の会員の分家及び別家は,旧駿河屋の破産手続廃止決定の確定後も,「駿河屋」の商標を取扱商品の羊羹等の和菓子のブランド名として継続して使用していたことが認められる。 さらには,旧駿河屋の事業停止から約10か月後の平成27年3月24日,原告は,旧駿河屋の旧本店店舗において営業を再開し,「駿河屋」の商標を使用した「羊羹」等の和菓子の販売を行っていることに鑑みると,和菓子のブランド名としての「駿河屋」の周知性等は,本件商標の登録査定時においても維持されていたものと認められる。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (2) 本件商標の要部抽出の可否についてア本件商標は,「総本家駿河屋」の標準文字から構成された,「総本家」の文字部分と「駿河屋」の文字部分とからなる結合商標である。 本件商標の構成文字は,外観上,同書,同大,同間隔で表示されており,「ソウホンケスルガヤ」の称呼も生じるが,一方で,前記(1)認定のとおり,「駿河屋」の商標は,本件商標の登録査定日当時,羊羹等の和菓子の取引者,需要者の間において,近畿地方を中心に, 旧駿河屋又はその分家等が取り扱う和菓子(特に,羊羹)を表示するブランド名として広く認識され,全国的にも相当程度認識されていたものと認められるのに対し,「総本家」の語は,「多くの分家の分かれ出たもとの家。おおもとの本家。」を意味する普通名詞であること(甲6)に照らすと,「総本家」の文字部分と「駿河屋」の文字部分とは,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 そして,本件商標がその指定商品の「最中」に使用された場合には,本件商標の構成中の「駿河屋」の文字部分が和菓子の ことが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 そして,本件商標がその指定商品の「最中」に使用された場合には,本件商標の構成中の「駿河屋」の文字部分が和菓子のブランド名として周知であったことから,取引者,需要者に対し,上記商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。 そうすると,本件商標の構成中「駿河屋」の文字部分を要部として抽出し,これと引用商標1及び2とを比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるというべきである。 イこれに対し被告は,①引用商標1及び2の商標登録がされた後に,指定商品を「煉羊羹」,「菓子」等とする「駿河屋」の文字を含む9件の商標(乙5ないし13)が商標登録されていること,②商品「菓子」又は「羊羹」について,主に,地名に「駿河屋」の文字を加えた商標を多数の者が使用しており,これらの使用者には,「京阪宇治駅前駿河屋」(乙16),「京三条駿河屋」(乙17),「河内駿河屋」(乙18),「美濃国駿河屋」(乙25),「京都駅前駿河屋」(乙26)のように,駿河屋会の会員でない者も含まれていること,③引用商標1 及び2の商標権者である株式会社大阪の駿河屋は「大阪の駿河屋」の商標を,有限会社伏見駿河屋は「伏見駿河屋」の商標を,株式会社京都駅前駿河屋は「京都駅前駿河屋」の商標を使用し,互いに出所の混同が生じないようにしていること,④引用商標1及び2の商標権者は,駿河屋会以外の者による「駿河屋」の商標の使用に対して,商標権侵害を主張することなく,長年放置してきたこと等の取引の実情によれば,本件商標の登録査定時には,「駿河屋」という商標だけでは,商品「和菓子」や「羊羹」について,何人の商品の出所を示すものであるのか,需要者は,認識できない状態にな してきたこと等の取引の実情によれば,本件商標の登録査定時には,「駿河屋」という商標だけでは,商品「和菓子」や「羊羹」について,何人の商品の出所を示すものであるのか,需要者は,認識できない状態になっていたから,本件商標から「駿河屋」の文字部分を要部として抽出することはできない旨主張する。 しかしながら,前記(1)認定のとおり,「駿河屋」の商標は,本件商標の査定日当時,羊羹等の和菓子の取引者,需要者の間において,近畿地方を中心に, 旧駿河屋又はその分家等が取り扱う和菓子(特に,羊羹)を表示するブランド名として広く認識され,全国的にも相当程度認識されていたものと認められる。 このことは,指定商品を「煉羊羹」,「菓子」等とする「駿河屋」の文字を含む9件の商標が商標登録されていること(上記①)や,株式会社大阪の駿河屋は「大阪の駿河屋」の商標を,有限会社伏見駿河屋は「伏見駿 河屋」の商標を,株式会社京都駅前駿河屋は「京都駅前駿河屋」の商標を,それぞれの営業を表示するものとして使用していること(上記③)によって左右されるものではない。 また,前記1(5)認定のとおり,駿河屋会の会員以外の者が「駿河屋」の文字を使用している例もみられるが,それが多数であるとはいえない上,羊羹等の和菓子についての具体的な使用態様も明らかでないから,上記②及び④をもって,「駿河屋」の商標が,何人の商品の出所を示すものであるのか,需要者が認識できない状態になっていたということはできない。 したがって,被告の上記主張は採用することができない。 (3) 本件商標と引用商標1及び2の類否について本件商標の要部である「駿河屋」の文字部分(標準文字)と別紙記載1及び2の引用商標1及び2を対比すると,字体は異なるが,「駿河屋」の文字を書してなる点で外観が共 標と引用商標1及び2の類否について本件商標の要部である「駿河屋」の文字部分(標準文字)と別紙記載1及び2の引用商標1及び2を対比すると,字体は異なるが,「駿河屋」の文字を書してなる点で外観が共通し,いずれも「スルガヤ」の称呼及び羊羹等の和菓子のブランド名としての「駿河屋」の観念が生じる点で,称呼及び観念が同一である。 そうすると,本件商標と引用商標1又は引用商標2が本件商標の指定商品「最中」に使用された場合には,その商品の出所について誤認混同が生ずるおそれがあるものと認められるから,本件商標と引用商標1及び2は,それぞれ全体として類似しているものと認められる。 したがって,本件商標は,引用商標1及び2に類似する商標であるものと認められる。 これに反する被告の主張は理由がない。 (4) 小括以上のとおり,本件商標は引用商標1及び2に類似する商標であって,本件商標の指定商品「最中」は引用商標1及び2の指定商品「羊羹」と類似するから,本件商標は,商標法4条1項11号に該当するものと認められる。 したがって,これを否定した本件審決の判断に誤りがあるから,原告主張の取消事由1は理由がある。 3 結論以上によれば,原告主張の取消事由1は理由があるから,その余の取消事由について判断するまでもなく,本件審決は取り消されるべきである。 よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官古河謙一 裁判官岡山忠広 (別紙) 引用商標目録 1 登録第553169号商標 登録出願日 一 裁判官岡山忠広 (別紙) 引用商標目録 1 登録第553169号商標 登録出願日昭和26年9月17日設定登録日昭和35年7月21日指定商品第30類「羊羹」(平成13年2月14日書換登録)商標権者株式会社駿河屋,合資会社駿河屋,株式会社大阪の駿河屋,有限会社伏見駿河屋,株式会社京都駅前駿河屋,I 2 登録第553170号商標 登録出願日昭和26年10月22日設定登録日昭和35年7月21日指定商品第30類「羊羹」(平成12年10月4日書換登録)商標権者株式会社駿河屋,合資会社駿河屋,株式会社大阪の駿河屋,株式会社伏見駿河屋,株式会社京都駅前駿河屋,I

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