主文 本件即時抗告を棄却する。 理由 本件抗告の趣意は,主任弁護人A,弁護人B及び同C連名で作成の即時抗告申立書に記載されたとおりであるから,これを引用するが,要するに,原決定は,○ 1 防犯ビデオの設置状況に関する報告書については,刑訴法316条の15第1項6号により,○ 2 被告人の取調べに関する取調べ状況報告書等13通(以下「本件各報告書」という)中の不開示希望調書の有無及び通数に関する部分については,同項8号により,それぞれ開示すべき場合であったのに,○ 1 については,当該証拠の存在が窺われないとして,○ 2 については,同号の判断を誤り,いずれも請求を棄却しており,不当であるから,原決定を取り消し,各証拠の開示を命ずる旨の決定を求める,というのである。 そこで,所論にかんがみ,記録を調査して検討する。 (1)○ 1 防犯ビデオの設置状況に関する報告書について弁護人らが開示を請求する防犯ビデオの設置状況に関する報告書は,検察官が取調請求している捜査報告書(立証趣旨は,犯行現場付近の防犯カメラに被告人3名が写っていること,甲56号証)の当該防犯カメラを含む,強盗致傷事件の現場付近に設置された全ての防犯カメラの設置状況を内容とするものであるが,検察官は,かかる報告書は未開示記録中に存在しない旨の意見を述べている。そして,捜査において如何なる点を捜査するかは担当する捜査官の判断によるものであること,弁護人の主張する開示を求める報告書の内容等にかんがみれば,検察官の上記意見が不合理なものとはいえず,原審が検察官に対し保管する証拠の標目の一覧表の提示を命じていないことも不当とはいえない。そうすると,上記捜査報告書の開示を命ずべきものとはいえない。 (2)○ 2 本件各報告書13通中の不開示希望調書の有無及び通数に関する部 証拠の標目の一覧表の提示を命じていないことも不当とはいえない。そうすると,上記捜査報告書の開示を命ずべきものとはいえない。 (2)○ 2 本件各報告書13通中の不開示希望調書の有無及び通数に関する部分について本件各報告書が,刑訴法316条の15第1項8号に該当することは所論のとおりであるところ,これを開示すべきか否かは,検察官請求証拠の信用性を判断するための重要性及び被告人の防御準備のための必要性の程度並びに開示したことによって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮して判断すべきものである。 本件各報告書を開示した場合の弊害について検討すると,一般的には,検察官主張のように,不開示を希望した供述調書の内容が詮索されたり,供述者や関係者の安全,名誉,プライバシー等が損なわれたり,捜査の秘密を保持することが困難になるなどの弊害が生じることは考えられるが,そもそも本件申立ての対象となっている証拠が,被告人の供述調書に関する報告書である以上,開示による弊害が大きいとまではいえない。 しかしながら,被告人の供述調書及び不開示部分以外の本件各報告書は既に開示になっている上,弁護人らは,本件各報告書の不開示部分の重要性及び必要性について,取調べの全容を把握するために不可欠であるなどと主張するにとどまり,特定の供述調書の信用性を争うなど,特段の事情を何ら示していない。そうすると,本件各報告書の不開示部分の重要性及び必要性が大きいとはいえない。 これらの事情を総合して勘案すると,本件各報告書の開示を命ずべきものとまではいえない。 よって,本件証拠開示に関する裁定請求を棄却した原裁判は不当ではないから,本件即時抗告は理由がないことに帰し,刑訴法426条1項後段により,これを棄却することとして,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・木村烈,裁判官・加藤 定請求を棄却した原裁判は不当ではないから,本件即時抗告は理由がないことに帰し,刑訴法426条1項後段により,これを棄却することとして,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・木村烈,裁判官・加藤亮,裁判官・田尻克已)
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