令和7(わ)35 贈賄被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年11月26日 秋田地方裁判所
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判決文本文2,095 文字)

令和7年11月26日宣告秋田地方裁判所刑事部判決令和7年(わ)第35号、第61号贈賄被告事件 主文 被告人を懲役1年6月に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、土木工事業、土木資材及び建設資材の販売、木材加工製品の製造及び販売等を業とするA株式会社Bセンター長等として、同社の土木工事、木材加工製品の製造及び販売等の業務に従事していたものであるが、第1 [令和7年5月16日付起訴状の公訴事実に対応する事実]前記Aの代表取締役を務めていたCと共謀の上、秋田県秋田地域振興局建設部保全・環境課道路保全班の班長として、同班が担当する道路の維持管理業務を掌理し、その担当に係る道路事業の計画・要望・調整等をするなどの職務に従事するとともに、履行期間を令和3年3月1日から令和5年3月31日までとする同局発注の「道路・河川等維持管理業務委託」の主任監督員として、同委託に係る道路等の復旧・修繕の範囲及び内容等を受注者と協議するほか、同業務において再委託が必要となった場合にはその再委託先の業者につき受注者と協議し、承諾するなどの職務に従事していたDが、同局が令和4年度に競争入札の方法で発注した道路補修工事に関し、その設計図書に記載される転落防止柵の仕様を、従前の鋼材加工品から前記A株式会社のみが同局管内で取り扱う防腐性能等を有する木材加工品の仕様に変更させ、同社がその下請等で受注することにつき有利かつ便宜な取り計らいをしたこと、及び前記「道路・河川等維持管理業務委託」に基づき実施された「E転落防止柵補修」工事の再委託に係る受注者との協議に関し、再委託先の業者として前記A株式会社を推奨し、承諾するなどの有利かつ便宜な取り計らいをした 路・河川等維持管理業務委託」に基づき実施された「E転落防止柵補修」工事の再委託に係る受注者との協議に関し、再委託先の業者として前記A株式会社を推奨し、承諾するなどの有利かつ便宜な取り計らいをしたことに対する謝礼、並びに今後も同様の取り計らいを受けたい との趣旨の下、令和5年5月10日、秋田市ab丁目c番d号「F」において、前記Cが前記Dに対し、現金200万円を供与し、第2 [令和7年8月8日付起訴状の公訴事実に対応する事実]秋田県産業労働部公営企業課企業施設チームのチームリーダーとして、同チームが担当する発電土木施設の維持管理等に関し、その担当に係る土木工事等の設計、積算、監督、検査の業務等を掌理するなどの職務に従事していたDが、令和6年度に秋田県及び同県秋田発電・工業用水道事務所が特命随意契約等の方法で発注した発電土木施設における土木工事に関し、受注先等の業者選定等について前記A株式会社が有利かつ便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下、前記Dに対し、令和6年11月9日、秋田市e字f地内路上に駐車中の自動車内において、現金100万円を供与し、もって、いずれも前記Dの職務に関し賄賂を供与したものである。 (事実認定の補足説明)弁護人は、被告人から前記Dに対する仕事の請託がないこと、前記Dからの金銭の要求がないことなどから、前記C又は被告人から前記Dに供与された現金が「賄賂」に該当するかにつき疑問を呈している。そこで念のため検討するに、後記旧刑法198条の「賄賂」は、公務員の一定の職務に対する対価であれば足り、個別的な職務行為との間の対価関係を必要とするものではないところ、被告人らが前記Dの職務行為に対する謝礼として現金を供与したことは争いがなく、関係証拠上も明 務員の一定の職務に対する対価であれば足り、個別的な職務行為との間の対価関係を必要とするものではないところ、被告人らが前記Dの職務行為に対する謝礼として現金を供与したことは争いがなく、関係証拠上も明らかであるから、被告人に単純贈賄罪が成立する。 (量刑の理由)本件は、各種工事や木材加工製品の販売等を行う株式会社に勤めていた被告人が、秋田県の発注した工事の再委託先又は受注先を自社とすること等について、県職員から便宜な取り計らいを受け、その謝礼等の趣旨で当該県職員に現金を供与した事案である。被告人と当該県職員は複数回にもわたって便宜供与と謝礼の提供を行っ ており、その額も計300万円と相当高額に上ることからすると、公正に行われるべき県の職務行為に対する信頼を著しく害する悪質な行為といえる。当該会社は上記便宜により秋田県発注の公共工事売上高を伸ばし、相当の営業利益を上げており、将来の継続的な受益を目論んで安易に賄賂を提供した点は、厳しい非難に値する。 以上によると被告人の刑事責任を軽く見ることはできないが、被告人が反省の弁を述べていること、前記A株式会社を懲戒解雇になったこと、量刑に影響すべき前科がないこと等の事情を斟酌し、今回は執行猶予が相当と認めた。 (求刑懲役1年6月)令和7年11月26日秋田地方裁判所刑事部 裁判官川畑百代

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