平成15(行ケ)324 特許取消決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年4月28日 東京高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-10351.txt

キーワード

判決文本文6,059 文字)

平成15年(行ケ)第324号特許取消決定取消請求事件(平成16年4月19日口頭弁論終結)判決原告ガンブロルンディアアクチーボラグ(旧商号) ガンブロアクチーボラグ訴訟代理人弁理士浅村皓同浅村肇同小池恒明同岩井秀生同岩本行夫同森徹同吉田裕同山本貴和被告特許庁長官今井康夫指定代理人千壽哲郎同増山剛同高木進同伊藤三男 主文 特許庁が平成10年異議第75616号事件について平成15年3月6日にした決定を取り消す。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療用溶液を調合するためのシステム,該システムによる処置に適したカートリッジ及 のない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療用溶液を調合するためのシステム,該システムによる処置に適したカートリッジ及び該カートリッジを作る方法」(後に「粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の透析液又は医療処置用の置換液を調合するためのシステム」と訂正)とする特許第2753242号発明(昭和63年2月5日出願〔優先権主張昭和62年2月6日,同年5月27日,同年8月11日及び同年9月18日・スウェーデン王国〕,平成10年2月27日設定登録,以下,この特許を「本件特許」という。)に係る特許権者である。 その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,平成10年異議第75616号事件として特許庁に係属した(ただし,上記特許異議の申立ては,後に,請求項3~40,42~48及び50~58に係る特許について取り下げられた。)ところ,原告は,平成14年7月19日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「本件訂正」という。)を請求した。 特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成15年3月6日,「特許第2753242号の請求項1,2,41,49に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし,その謄本は,同月26日,原告に送達された。 (2) 原告は,本件決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年1月20日,本件明細書の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2004-39013号事件として審理した上,同年3月25日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決という。)をし,その謄本は 載等を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2004-39013号事件として審理した上,同年3月25日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決という。)をし,その謄本は,同年4月6日,原告に送達された。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 設定登録時のもの(以下,その明細書を「登録明細書」という。)【請求項1】少なくとも一つの粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の溶液を調合するためのシステムにおいて,水源と,単一の物質だけで成る粉末形態の濃縮物(11)を収容しているカートリッジ(10)と,第1管路装置(1)であって,水を該第1管路装置(1)内へ引き込むために水源と連通する第1端と,調合した溶液を引き渡すための第2端とを有する,第1管路装置(1)と,水源に連通する第1端と,前記カートリッジ(10)内に水を導入して水に溶解した粉末濃縮物を含む濃縮物流体を作るために前記カートリッジ(10)の入口と連通する第2端とを有する第2管路装置(8)と,前記カートリッジ(10)の出口と,前記第1管路装置(1)の前記第1端と前記第2端との中間における第1混合点(7)とに連通する第3管路装置(8)であって,前記濃縮物流体を前記第1管路装置(1)中を流れている水と混合して調合溶液を前記第1管路装置(1)中に作り,前記第1管路装置(1)の前記第2端へ流すために,前記濃縮物流体を前記カートリッジ(10)から前記第1管路装置(1)中へ導く第3管路装置(8)と,前記第1管路装置(1)内で前記濃縮物流体と水とを混合することによって得られた調合溶液の成分を測定するために,前記第1混合点(7)の下流において前記第1管路装置(1)内に備えた計測装置(14)と,前記カートリッジ(10)からの前記濃縮物流 水とを混合することによって得られた調合溶液の成分を測定するために,前記第1混合点(7)の下流において前記第1管路装置(1)内に備えた計測装置(14)と,前記カートリッジ(10)からの前記濃縮物流体の流れを制御するために,前記計測装置(14)に応答する,前記第3管路装置(8)に備えた第3流量調整装置(13)と,を有することを特徴とするシステム。 【請求項2】少なくとも一つの粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の溶液を調合するためのシステムにおいて,該システムが,水源と,粉末形態の濃縮物(11)を収容し,その上部に入口と,その底部に出口とを有するカートリッジ(10)と,水源に連通する第1端と,調合した溶液を引き渡すための第2端とを有する第1管路装置(1)と,水源に連通する第1端と,前記カートリッジ(10)の前記入口とに連通する第2端とを有し,水を前記水源から前記カートリッジ(10)の上部へ導入して水に溶解した粉末濃縮物を含む濃縮物流体を作る第2管路装置(8)と,前記カートリッジ(10)の前記出口と,前記第1管路装置(1)の前記第1端と前記第2端との中間における第1混合点(7)とに連通する第3管路装置(8)であって,前記濃縮物流体を前記第1管路装置(1)中を流れている水と混合して調合溶液を前記第1管路装置(1)中に作り,前記第1管路装置(1)の前記第2端へ流すために,前記濃縮物流体を前記カートリッジ(10)から前記第1管路装置(1)中へ導く第3管路装置(8)とを有し,水が前記カートリッジ(10)の上部から底部に流れ,それによって前記第3管路装置(8)の中の溶解した粉末濃縮物の濃度レベルが比較的一定に維持されることを特徴とするシステム。 【請求項41】請求項1から40までのいずれか1つに記載のシステム れによって前記第3管路装置(8)の中の溶解した粉末濃縮物の濃度レベルが比較的一定に維持されることを特徴とするシステム。 【請求項41】請求項1から40までのいずれか1つに記載のシステムによる医療処置に適したカートリッジ(10)において,水の入口と濃縮物流体の出口との間に配置されて,1回の処置に適した量の粉末濃縮物(11)を含み,この粉末濃縮物(11)は単一の物質だけで成ることを特徴とするカートリッジ。 【請求項49】請求項41に記載のカートリッジを作る方法において,a)水源に接続するための入り口とカートリッジを通って流れる水を混合点に引き渡すための出口とを有する前記カートリッジを準備し,b)前記カートリッジを通って流れる水に濃縮物が溶解されるように,少なくとも1回の処置に十分な量の単一の物質だけで成る粉末形態の濃縮物で前記カートリッジを充填することを特徴とする方法。 (以下,上記【請求項1】,【請求項2】,【請求項41】及び【請求項49】に係る発明を総称して,「本件各発明」という。)(2) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。なお,この訂正により設定登録時の請求項41及び49は削除された。)【請求項1】少なくとも一つの粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の透析液又は医療処置用の置換液を調合するためのシステムにおいて,水源と,単一の物質だけで成る粉末形態の濃縮物(11)を収容しているカートリッジ(10)と,第1管路装置(1)であって,水を該第1管路装置(1)内へ引き込むために水源と連通する第1端と,調合した溶液を引き渡すための第2端とを有する,第1管路装置(1)と,水源に連通する第1端と,前記カートリッジ(10)内に水を導入して水に溶解した粉末濃縮物を含 き込むために水源と連通する第1端と,調合した溶液を引き渡すための第2端とを有する,第1管路装置(1)と,水源に連通する第1端と,前記カートリッジ(10)内に水を導入して水に溶解した粉末濃縮物を含む濃縮物流体を作るために前記カートリッジ(10)の入口と連通する第2端とを有する第2管路装置(8)と,前記カートリッジ(10)の出口と,前記第1管路装置(1)の前記第1端と前記第2端との中間における第1混合点(7)とに連通する第3管路装置(8)であって,前記濃縮物流体を前記第1管路装置(1)中を流れている水と混合して調合溶液を前記第1管路装置(1)中に作り,前記第1管路装置(1)の前記第2端へ流すために,前記濃縮物流体を前記カートリッジ(10)から前記第1管路装置(1)中へ導く第3管路装置(8)と,前記第1管路装置(1)内で前記濃縮物流体と水とを混合することによって得られた調合溶液の成分を測定するために,前記第1混合点(7)の下流において前記第1管路装置(1)内に備えた計測装置(14)と,前記カートリッジ(10)からの前記濃縮物流体の流れを制御するために,前記計測装置(14)に応答する,前記第3管路装置(8)に備えた第3流量調整装置(13)と,を有し,前記カートリッジ(10)の前記入口がカートリッジの上部にあり、前記カートリッジ(10)の前記出口がカートリッジの底部にあって、それで水が前記カートリッジ(10)の上部から底部へ流れ、それによって前記第3管路装置(8)の中の溶解した粉末濃縮物の濃度レベルが比較的一定に維持されるシステム。 【請求項2】少なくとも一つの粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の透析液又は医療処置用の置換液を調合するためのシステムにおいて,該システムが,水源と,単一の物質だけで成る粉末形態の濃 求項2】少なくとも一つの粉末形態の濃縮物を水と混合させることによって医療処置用の透析液又は医療処置用の置換液を調合するためのシステムにおいて,該システムが,水源と,単一の物質だけで成る粉末形態の濃縮物(11)を収容し,その上部に入口と,その底部に出口とを有するカートリッジ(10)と,水源に連通する第1端と,調合した溶液を引き渡すための第2端とを有する第1管路装置(1)と,水源に連通する第1端と,前記カートリッジ(10)の前記入口とに連通する第2端とを有し,水を前記水源から前記カートリッジ(10)の上部へ導入して水に溶解した粉末濃縮物を含む濃縮物流体を作る第2管路装置(8)と,前記カートリッジ(10)の前記出口と,前記第1管路装置(1)の前記第1端と前記第2端との中間における第1混合点(7)とに連通する第3管路装置(8)であって,前記濃縮物流体を前記第1管路装置(1)中を流れている水と混合して調合溶液を前記第1管路装置(1)中に作り,前記第1管路装置(1)の前記第2端へ流すために,前記濃縮物流体を前記カートリッジ(10)から前記第1管路装置(1)中へ導く第3管路装置(8)とを有し,水が前記カートリッジ(10)の上部から底部に流れ,それによって前記第3管路装置(8)の中の溶解した粉末濃縮物の濃度レベルが比較的一定に維持され,前記カートリッジ(10)がその上部に配置された通気穴(18)を有するとともに、該システムが、前記カートリッジ(10)の前記通気穴(18)と連通する脱気管路装置(19)であって、前記カートリッジ(10)から該脱気管路装置(19)を通る液体の流れを阻止するように作用する遮断装置(20)を有する脱気管路装置(19)を有しているシステム。 3 本件決定の理由本件決定は,本件訂正は,平成6年法律第116号による改正前 を通る液体の流れを阻止するように作用する遮断装置(20)を有する脱気管路装置(19)を有しているシステム。 3 本件決定の理由本件決定は,本件訂正は,平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書及び3項の規定に適合しないので認められないとして,本件各発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記2(1))のとおり認定した上,本件各発明は,米国特許4407322号明細書,米国特許第4082667号明細書,特開昭58-41566号公報及び国際公開第86/03416号パンフレットに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができず,本件各発明に係る特許は,拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるから,特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により,取り消されるべきものであるとした。 第3 原告主張の本件決定取消事由本件決定が,本件各発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,本件決定は,発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。 第4 被告の主張本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかで 所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,本件決定が,本件各発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,本件決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,訴訟費用は,原告の申立て等本件訴訟の経緯にかんがみ,原告に負担させることとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美裁判官古城春実裁判官早田尚貴

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る