令和3(う)784 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反

裁判年月日・裁判所
令和5年3月2日 東京高等裁判所 棄却 東京地方裁判所 平成30特(わ)605
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判決文本文155,667 文字)

- 1 -令和5年3月2日宣告 東京高等裁判所第6刑事部令和3年(う)第784号 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件主 文本件各控訴を棄却する。 5理 由第1 本件事案の概要及び本件各控訴の趣意1 原判決が認定した罪となるべき事実の要旨は、次のとおりである(以下、略称等は、特に断らない限り、原判決の例による。)。 被告人A1株式会社(以下「被告会社A1」という。)及び同A2株式会社10(以下「被告会社A2」という。)は、B1及びB2(以上の4社を併せて「被告会社等4社」という。)とともに、いずれも土木工事の請負業等を営む事業者であり、被告人A3(以下「被告人A3」という。)は被告会社A1常務執行役員土木営業本部副本部長、同A4(以下「被告人A4」という。)は被告会社A2土木営業本部副本部長、aはB1専務執行役員土木本部長(平成1527年6月からは代表取締役副社長土木本部長)、bはaの部下でC1各社からの発注案件の営業を担当するJプロジェクトチーム部長、cはB2専務執行役員土木事業本部土木営業統括(平成27年4月からは常任顧問)の職にあり、それぞれの所属する会社の従業者としてC2が発注するリニア中央新幹線に係る建設工事の受注等に関する業務に従事していたものであるが、被告人A203及び被告人A4(「被告人両名」)並びにa、b及びcは、それぞれその所属する被告会社等4社の他の従業者らと共謀の上、それぞれその所属する被告会社等4社の業務に関し、平成26年4月下旬頃(cにおいては平成27年1月下旬頃)から平成27年8月下旬頃までの間、東京都新宿区所在の飲食店等において、面談等の方法により、C2が被告会社等4社を指名して競争見積の25方法により順次発注するリニア中 ては平成27年1月下旬頃)から平成27年8月下旬頃までの間、東京都新宿区所在の飲食店等において、面談等の方法により、C2が被告会社等4社を指名して競争見積の25方法により順次発注するリニア中央新幹線(品川駅・名古屋駅間)に係る地下 - 2 -開削工法によるターミナル駅新設工事(「本件ターミナル駅新設工事」)について、受注予定事業者を決定すること及び当該受注予定事業者が受注できるような価格で見積りを行うことなどを合意した上(「本件合意」)、本件合意に従って、本件ターミナル駅新設工事である品川駅新設(北工区)、品川駅新設(南工区)及び名古屋駅新設(中央工区)の各工事について、それぞれ受注予5定事業者を決定し(「本件受注予定事業者決定」)、当該各工事に係る競争見積において、見積書をC2に提出する前に、受注予定事業者である会社が代表者となっている共同企業体(JV)の見積価格等に関する情報を、当該会社の従業者が他の会社の従業者に連絡するなどし(「本件価格連絡」。本件合意、本件受注予定事業者決定及び本件価格連絡を併せて「本件合意等」)、もっ10て、被告会社等4社が共同して、本件ターミナル駅新設工事の受注に関し、相互にその事業活動を拘束し、遂行することにより、公共の利益に反して、本件ターミナル駅新設工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限した。 2 被告会社A1及び被告人A3の各控訴の趣意は、被告会社A1の主任弁15護人平尾覚、弁護人木目田裕、同細谷夏生、同秋吉諒、同木下郁弥、同浅野啓太及び同松本佳子並びに被告人A3の主任弁護人平尾覚、弁護人沼田知之、同鈴木悠介、同北住敏樹、同河野光輝、同細谷夏生、同秋吉諒、同木下郁弥、同浅野啓太及び同松本佳子連名作成の控訴趣意書及び控訴趣意書補充書並びに被告会社A1の主任弁護人 弁護人平尾覚、弁護人沼田知之、同鈴木悠介、同北住敏樹、同河野光輝、同細谷夏生、同秋吉諒、同木下郁弥、同浅野啓太及び同松本佳子連名作成の控訴趣意書及び控訴趣意書補充書並びに被告会社A1の主任弁護人平尾覚、弁護人木目田裕、同木下郁弥、同浅野啓太及20び同松本佳子並びに被告人A3の主任弁護人平尾覚、弁護人沼田知之、同木下郁弥、同浅野啓太及び同松本佳子連名作成の控訴趣意書補充書⑵及び控訴趣意書補充書⑶記載のとおりであり、各論旨は、訴訟手続の法令違反、事実誤認、法令適用の誤り及び量刑不当である。 3 被告会社A2の控訴の趣意は、主任弁護人和田衞、弁護人中藤力、同佐25川聡洋、同外崎友隆及び同藤井健一連名作成の控訴趣意書並びに被告人A4の - 3 -主任弁護人辻嶋彰、弁護人石部奈々子及び同森本哲也並びに被告会社A2の主任弁護人和田衞、弁護人中藤力、同佐川聡洋、同外崎友隆及び同藤井健一連名作成の「検察官の答弁書に対する反論」と題する書面記載のとおりであり、論旨は、理由不備、事実誤認及び量刑不当である。 4 被告人A4の控訴の趣意は、主任弁護人辻嶋彰、弁護人石部奈々子及び5同森本哲也作成の控訴趣意書及び控訴趣意書補充書並びに前記「検察官の答弁書に対する反論」と題する書面記載のとおりであり、論旨は、理由不備、事実誤認及び量刑不当である。 5 これらに対する検察官の答弁は、検察官井上一朗作成の答弁書記載のとおりであり、原判決の認定、判断は適切であって、各控訴趣意にはいずれも理10由がない、というのである。 第2 理由不備の論旨について被告会社A2及び被告人A4の各論旨は、要するに、原判決は、被告人4名が、公共の利益に反して、本件ターミナル駅新設工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限したとして、独占禁止法の不当な取 被告会社A2及び被告人A4の各論旨は、要するに、原判決は、被告人4名が、公共の利益に反して、本件ターミナル駅新設工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限したとして、独占禁止法の不当な取引制限の罪を認15定したが、罪となるべき事実において、その構成要件要素である「競争」に該当すべき具体的事実を摘示していないから、理由不備(刑訴法378条4号前段)に当たる、というのである。 そこで検討すると、まず、有罪判決を言い渡すに当たって示さなければならない罪となるべき事実(刑訴法335条1項)とは、刑罰法令各本条における20犯罪の構成要件に該当する具体的事実をいい、これを示すには、その各本条の構成要件に該当すべき具体的事実を当該構成要件に該当するか否かを判定するに足る程度に具体的に明白にし、その各本条を適用する事実上の根拠を確認し得るようにする必要があり、かつそれをもって足りるものと解される。そして、原判決は、被告人両名を含む被告会社等4社の従業者らが共謀の上、「C252が被告会社等4社を指名して競争見積の方法により順次発注する本件ターミ - 4 -ナル駅新設工事について、本件合意をした上、3工区の各工事について、それぞれ本件受注予定事業者決定及び本件価格連絡を行い、もって、被告会社等4社が共同して、本件ターミナル駅新設工事の受注に関し、相互にその事業活動を拘束し、遂行することにより、公共の利益に反して、本件ターミナル駅新設工事の受注に係る取引分野における競争を実質的に制限した」旨説示してお5り、これは、本件ターミナル駅新設工事という一定の取引分野における被告会社等4社の競争を、相互拘束及び共同遂行により実質的に制限したという実行行為を具体的に明白にしたものといえるから、そこに理由不備があるとはいえない。 所論 設工事という一定の取引分野における被告会社等4社の競争を、相互拘束及び共同遂行により実質的に制限したという実行行為を具体的に明白にしたものといえるから、そこに理由不備があるとはいえない。 所論は、本件が、民間工事を対象とし、競争の存否が激しく争われた事案で10あることを理由に、競争が認められる具体的根拠を罪となるべき事実に記載すべきであったとする趣旨と解されるが、独自の見解に基づく主張であって採用できない。 また、所論は、罪となるべき事実において、「本件ターミナル駅新設工事について、被告会社等4社のうち少なくとも2社は、その通常の事業活動の範囲15内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく、C2に当該各工事の施工を供給することができる状態にあった」という趣旨の記載をすべきであったともいうが、「競争」の定義(独占禁止法2条4項)に照らし、原判決が被告会社等4社が指摘のような状態にあったとの事実を認定したことは前記罪となるべき事実の記載から明白であるから、そのよう20な記載を行う必要があったとはいえない。 理由不備の論旨は理由がない。 第3 訴訟手続の法令違反の論旨について被告会社A1及び被告人A3の各論旨は、要するに、原審裁判所は、被告会社A1及び被告人A3の原審弁護人(「A1側弁護人」)による、競争性の主25張立証に必要不可欠な証人9名(d1、d2、d3、d4、d5、d6、d - 5 -7、d8及びd9)の証人尋問請求をいずれも却下したが、これは裁判所の裁量を著しく逸脱しているから、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たる、というのである。 しかし、原審記録によれば、前記各証人の立証趣旨に掲げられた事項については、いずれもほかに相応の証拠が取り調べられてい 判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たる、というのである。 しかし、原審記録によれば、前記各証人の立証趣旨に掲げられた事項については、いずれもほかに相応の証拠が取り調べられているところ、それらに加え5て前記各証人の尋問が必要不可欠であったことを示す事情は見当たらないから、原審裁判所がいずれも必要性なしとして各証人尋問請求を却下したことが裁量の逸脱に当たるとはいえない(なお、いずれの却下決定に対しても、A1側弁護人による異議の申立てはなされていない。)。 訴訟手続の法令違反の論旨は理由がない。 10第4 事実誤認及び法令適用の誤りの論旨について1 各論旨被告人4名の事実誤認の各論旨は、要するに、原判決は、①被告人両名らが本件合意をした事実を認め、②原判示の品川駅及び名古屋駅関連の各工事(「本件各工事」)について、㋐被告会社等4社が見積り・施工を行うことは15可能であり、かつ、㋑C2においても被告会社等4社を競争させる意思を有していたとして、競争が存在していたものと認め、③本件合意等によって競争の実質的制限が生じたものと認めて、被告人4名を独占禁止法の不当な取引制限の罪について有罪としたが、前記①ないし③の事実はいずれも認められず、被告人4名は無罪であるから、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事20実の誤認がある、というのである。 また、被告会社A1及び被告人A3の法令適用の誤りの各論旨は、要するに、原判決の前記②及び③の判断には、独占禁止法2条4項及び6項の解釈適用の誤りがあり、それが判決に影響を及ぼすことが明らかである、というのである。 252 原判決の判断の概要 - 6 -前記とおおむね同旨のA1側弁護人並びに被告会社A2の原審弁護人及び被告人A4の原審弁護人(「A 影響を及ぼすことが明らかである、というのである。 252 原判決の判断の概要 - 6 -前記とおおむね同旨のA1側弁護人並びに被告会社A2の原審弁護人及び被告人A4の原審弁護人(「A2側弁護人」。以下、A1側弁護人とA2側弁護人を併せて「原審各弁護人」ともいう。)の主張に対し、原判決が、原判示の事実を認定し、被告人4名を有罪と認めた理由は、要旨、次のとおりである。 ⑴ 本件各工事の受注に至る経過の概要5品川駅新設工事については、①C2は、平成26年12月25日、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事(併せて「品川駅工事開削工区」)として、被告会社等4社を指名して指名競争見積の方式で出件し、被告会社等4社から見積書等の提出を受けたが、いずれの見積価格も基準価格を大幅に上回っていたため、見積合せ(各社の本見積書の提出を受けての検討)は不調(協議先を10選定しないこと)に終わった。②その後、C2は、平成27年8月19日、各工事の一部の工程を切り出す形で品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事として被告会社等4社を指名して指名競争見積の方式で出件し、見積合せにおいてそれぞれ最安値であったB2が品川駅北工区その1工事について、B1が品川駅南工区その1工事について、第1順位の価格協議先となり、それ15ぞれ平成27年9月16日と同年10月21日に工事請負契約を締結した。 名古屋駅新設工事については、①C2は、平成27年4月24日、名古屋駅中央工区全工事として、被告会社等4社を指名して指名競争見積の方式で出件し、指名を辞退したB1以外から、契約価格の上限を設定する際の参考とするための参考見積書の提出を受けたが、いずれの見積価格も予算を大きく上回っ20ていたため指名競争見積手続を中止した。②C2は、平成2 名を辞退したB1以外から、契約価格の上限を設定する際の参考とするための参考見積書の提出を受けたが、いずれの見積価格も予算を大きく上回っ20ていたため指名競争見積手続を中止した。②C2は、平成27年11月下旬から同年12月初旬にかけて、被告会社A1及び被告会社A2(以下、併せて「被告会社両社」という。)に対して同工事の一部の工程を切り出した名古屋駅中央工区1期工事について参考見積を非公式に依頼した。③C2は、平成28年3月10日、名古屋駅中央工区1期工事の更に一部の工程を切り出す形で25名古屋駅中央西工区1期工事として被告会社A1及びB1を指名して指名競争 - 7 -見積の方式で出件した。当初の見積合せでは被告会社A1の見積価格の方がB1のそれより安値であったが、C2は、各見積書に条件に反する見積りが認められたとして修正見積書の提出を指示し、修正見積書の見積価格はB1の方が安値になるなどし、B1が第1順位の価格協議先となり、平成28年9月6日に工事請負契約を締結した。 5⑵ 本件合意の成否等についてア 原審各弁護人の主張A1側弁護人は被告人A3について、A2側弁護人は被告人A4について、本件合意をした事実はない旨主張する。 イ 関係者の各供述について10 関係者の各供述の内容a、b、c及びcの部下のeは原審公判廷で、被告人A3の部下のfは捜査段階で、それぞれ、平成26年4月以降、被告人両名にaを加えた3者で、リニア中央新幹線関連工事に関する情報交換のための被告会社両社及びB1の関係者らによる3社会合を繰り返し開催し、同年7月以降はbもこれに参加する15ようになり、その中で、本件ターミナル駅新設工事等に係る受注調整に向けた話合いを行い、さらに、cもこの話合いに加わり、平成27年2月頃まで 合を繰り返し開催し、同年7月以降はbもこれに参加する15ようになり、その中で、本件ターミナル駅新設工事等に係る受注調整に向けた話合いを行い、さらに、cもこの話合いに加わり、平成27年2月頃までに、品川駅北工区全工事についてはB2、品川駅南工区全工事についてはB1、名古屋駅中央工区全工事については被告会社A1がそれぞれ受注予定事業者となり、他の建設会社はその受注予定事業者の受注に向けて協力することが決定さ20れた旨、この決定に基づいて、それ以降の指名競争見積手続の各段階において、被告会社等4社の本件価格連絡を担当した者(「価格連絡担当者」)等の間で繰り返し見積価格等に関する情報を連絡するなどした旨を供述している(「aらの各供述」)。 aらの各供述の信用性25a 客観的証拠との整合性 - 8 -aらの各供述は、cが後任者への引継ぎ用として作成したメモ(「c引継ぎ用メモ」)の記載と整合している。すなわち、c引継ぎ用メモには、「リニア中央新幹線工事」という項目中に、①「平成26年末~27年当初にかけて、a専務からリニアに関して、B1、A1、A2の3社は意見交換している。B2だけが独り歩きしている。3社は迷惑と思っている。仲間に入らないかとの誘5いが、数回あり、了承した。」との記載、②「A3さんとの約束」として、「B2」が「品川駅北工区」に対応し、「A1」が名古屋駅等に対応するなどという旨の記載及び③「aさんとの約束」として、「B1」が「品川駅南工区」に対応するなどという旨のaらの各供述に沿う内容の記載がある。 b 供述内容の合理性10また、aらの各供述は、本件価格連絡があった事実を合理的に説明できる。 後記のとおり被告会社等4社の各価格連絡担当者の間で本件価格連絡を重ねていたことが、証拠上明ら b 供述内容の合理性10また、aらの各供述は、本件価格連絡があった事実を合理的に説明できる。 後記のとおり被告会社等4社の各価格連絡担当者の間で本件価格連絡を重ねていたことが、証拠上明らかに認められる。指名競争見積手続が行われている中であえて見積価格そのものの連絡を含む本件価格連絡を繰り返し行っていた理由として、aらの各供述は、受注調整の合意が行われていたという最も合理的15な理由を提供するものである。 c 虚偽供述の疑いはないことa、b、c及びeは、検察官による利益誘導等により虚偽の供述をしたとは認められず(詳細は後記のとおりである。)、fは被告会社A1の従業員であり、捜査段階であえて同社に不利な虚偽の内容を述べる動機は認められない。 20d 供述の信用性に関する結論以上の事情等を踏まえると、aらの各供述は信用することができる。 ウ 本件合意の成否等に関する前提事実以上のように信用できるaらの各供述を中心として、関係各証拠を総合すれば、以下の前提事実が認められる。 25 平成26年4月21日以降に開催された3社会合の経緯及び開催状況等 - 9 -被告人A3は、かねて被告人A4との間で、リニア中央新幹線関連工事に関する情報交換を重ねていた。 被告人A3は、平成26年3月にB1のaを訪ね、リニア中央新幹線関連工事についてたたき合い(過当競争)になってゼネコンが赤字受注等になることに関し、被告会社両社及びB1の3社で対策を話し合うことを提案し、「B25については、取りあえず入れないが、いずれ連絡を取る。」などと述べた。 その後、被告人両名及びaは、平成26年4月21日の会合を皮切りに、3社会合を繰り返し開催するようになった。3社会合は、おおむね月1回程度、東京都内の飲食店 、いずれ連絡を取る。」などと述べた。 その後、被告人両名及びaは、平成26年4月21日の会合を皮切りに、3社会合を繰り返し開催するようになった。3社会合は、おおむね月1回程度、東京都内の飲食店において行われていた。 3社会合では、リニア中央新幹線関連工事に関し、発注方法についての議論10や、発注時期及び工区割りについての情報交換が行われたほか、各社の受注希望工区が重ならなければ競合を避けられるとの観点から、各社がどの工区について受注意欲を持っているかということなどについての情報交換が行われた。 平成26年4月21日又は同年5月21日の3社会合では、被告人A3が、被告会社等4社の「各社希望施工区間」欄が設けられ、同欄に丸印が付された15リニア中央新幹線関連工事に係る一覧表(「希望工区一覧表①」)を配布した上、aに対し、この表には予想されるB1の受注希望工区が記載されているが、正確な受注希望工区をまとめて持ってきてほしい旨依頼した。その際、被告人A4は、aに対し、B1が受注希望工区を選定するに当たり、被告会社A2の受注希望工区と重複しないように配慮してほしい旨述べた。 20その後、aは、bに対し、被告会社両社にB1の受注希望工区を説明するために必要であるとして、希望工区一覧表①を参考に、B1の受注希望工区を記載した一覧表(「希望工区一覧表②」)を作成させ、これを平成26年6月3日の3社会合に持参して、被告人両名に交付した。 平成26年7月24日の3社会合で、被告人A3は、a又はbに対し、希望25工区一覧表①にB1の受注希望工区を反映させて修正した一覧表(「希望工区 - 10 -一覧表③」)を交付した。 この日の3社会合で、被告人A3が、「品川駅についてはB1とB2で施工してはどうか。」などと述べたの 注希望工区を反映させて修正した一覧表(「希望工区 - 10 -一覧表③」)を交付した。 この日の3社会合で、被告人A3が、「品川駅についてはB1とB2で施工してはどうか。」などと述べたのに対し、aが、品川駅工事開削工区は1工区で出件されると考えられ、B1が全て施工したい旨述べて反論したため、被告人A3が、B2をB1のJVに加えることを提案し、aもその提案を受け入れ5たということがあった。また、この日の3社会合では、名古屋駅については、中央工区と西工区を被告会社A1が施工し、東工区を被告会社A2が施工するという話になっており、aも異論を述べなかった。 平成26年9月下旬頃の品川駅工事開削工区の分割決定とその後の3社会合での意見交換等10C2は、平成26年9月下旬頃、品川駅工事開削工区について、南北2工区に分割して出件する方針を事実上決定した。 品川駅工事開削工区が2工区に分割されて出件される見込みであるという情報を得たaは、平成26年11月14日の3社会合で、「品川駅工事開削工区のうち、規模の大きい工区についてはB1が受注し、規模の小さい工区につい15てはB2が受注してもやむを得ない。」旨述べ、被告人両名から異論は出なかった。この日の3社会合で、被告人A3が、品川駅工事開削工区及び名古屋駅新設工事の発注方法については被告会社等4社を指名する指名競争見積になる見込みである旨述べた上、公募競争見積であれば、受注を希望しない工事については競争参加しなければ済むが、指名競争見積であれば、競争参加して見積20書を提出せざるを得ないので、指名を受けた事業者間での協力が必要となる旨述べ、出席者から異論は出なかった。 平成26年12月25日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の出件状況及び発注手続 提出せざるを得ないので、指名を受けた事業者間での協力が必要となる旨述べ、出席者から異論は出なかった。 平成26年12月25日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の出件状況及び発注手続の概要等a C2は、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事について、被告会25社等4社を指名する指名競争見積の方式で平成26年12月25日に出件した。 - 11 -b 後記の名古屋駅関連各工事を含む本件各工事に関する指名競争見積手続の概要は基本的には以下のようなものであった(なお、再出件の際に変更が加えられた部分もあることは後記のとおりである。)。 ① C2の請負業者指名委員会が参加事業者を指名し、見積通知を行う。 ② 参加事業者が、指定された期限までに、C2に対し、参考見積書、技術5提案書等を提出する(品川駅北工区全工事、品川駅南工区全工事及び名古屋駅中央工区全工事において、この参考見積書等の提出期限は出件から約3か月後に設定されていた。)。 ③ C2は、参加事業者に対し、参考見積書、技術提案書等に関するヒアリングを行い、必要に応じ、改善された参考見積書、技術提案書等の提出を受け10る。 ④ 各見積書提出者には、標準点(100点)が与えられるが、それに加えられる加算点(10点満点)については、C2の技術評価委員会が技術提案書等を評価して算出される。 ⑤ C2は、参加事業者から提出された参考見積書の見積価格を参考にして、15契約金額の上限となる基準価格を設定する。 ⑥ 参加事業者が、指定された期限までに、C2に対し、本見積書を提出する(見積合せ)。 ⑦ C2は、前記の標準点に加算点を加えた数値を本見積書の見積価格(本見積価格)で除することによって評価値を算出するという総合評価方式により、 に、C2に対し、本見積書を提出する(見積合せ)。 ⑦ C2は、前記の標準点に加算点を加えた数値を本見積書の見積価格(本見積価格)で除することによって評価値を算出するという総合評価方式により、20評価値の最も高い参加事業者を第1順位の協議先として選定する。 ⑧ C2は、第1順位の価格協議先と価格協議を行い、協議が整えば請負契約を締結する。この協議が整わなかった場合は、C2は評価値が次順位の参加事業者と価格協議を行う。 品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の出件後の3社会合での意25見交換等 - 12 -平成26年12月25日の3社会合で、同日に出件された品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の話題が出た際、aが、「品川駅工事開削工区が南工区と北工区に分かれたので、規模の小さい工区はB2にやらなければいけない。」などと述べ、被告人両名から異論は出ず、規模の大きい品川駅南工区全工事はB1、規模の小さい品川駅北工区全工事はB2が受注することとし、受5注予定事業者以外の3社がその受注に協力することが出席者間で了承された。 また、この日の3社会合で、被告人A4がbに対し、品川駅の見積作業に協力してほしい旨述べ、bはこれを了承した。そして、この日の3社会合で、被告人A3が、「B2がいろいろな工区で単独で営業しているのは迷惑であり、そろそろB2と話をしなければならない。」などと述べ、cと付き合いがあった10aが、「B2に自分が話をしておこうか。」などと述べたのに対し、被告人A3は、「そうしてくれ。」と述べた。 平成27年1月頃のcとの各会合の状況等aとcは、平成27年1月8日に会合し、品川駅北工区全工事についてはB2が、品川駅南工区全工事についてはB1が受注を希望していることを確認し、15 平成27年1月頃のcとの各会合の状況等aとcは、平成27年1月8日に会合し、品川駅北工区全工事についてはB2が、品川駅南工区全工事についてはB1が受注を希望していることを確認し、15お互いに協力し合うことを話し合った。この際、aは、被告会社両社及びB1の3社で意見交換しているが、B2の単独行動に迷惑しているなどと述べ、この受注調整の枠組みにB2も加わるよう持ちかけたが、cは「考えさせてくれ。」などと述べて返答を保留した。cは、平成27年1月20日に、aと再び会合し、B2として被告会社両社及びB1の3社による受注調整の枠組みに20加わることを了承し、aは被告会社両社に伝えておく旨述べた。これを受けて、aは、平成27年1月下旬頃、被告人A3と会合し、cが受注調整の枠組みに加わることを了承した旨伝えた。 被告人A3及びcは、平成27年1月30日に、C2のOBであるg(平成29年に死亡)の仲介により面識を得た上で、同年2月4日に、改めて2人で25会合し、被告会社A1は名古屋駅、南アルプストンネル山梨工区及び静岡工区 - 13 -等の受注を目指し、B2は品川駅北工区の受注を目指すという方針を確認し合った上で、被告人A3が被告会社A1はB2が品川駅北工区を受注できるよう協力する代わりにB2は被告会社A1が名古屋駅と南アルプストンネルを受注できるよう協力してほしいなどと述べ、cがこれを了承するなどした。被告人A3は、平成27年2月5日の3社会合で、aらに対し、cと会合したこと及5びその内容を伝えた。 平成27年1月以降の本件価格連絡の準備状況等被告人A3及びaは、平成27年1月頃、受注調整における協力方法として、価格連絡担当者を指定して本件価格連絡を行うことを話し合い、被告会社A1は被告人A3の部下 月以降の本件価格連絡の準備状況等被告人A3及びaは、平成27年1月頃、受注調整における協力方法として、価格連絡担当者を指定して本件価格連絡を行うことを話し合い、被告会社A1は被告人A3の部下のfを、B1はaの部下のbを価格連絡担当者とすること10とした。 被告人A3は、平成27年1月上旬又は中旬頃、fに対し、「リニアの関係では、被告会社等4社で話をしていて、品川駅南工区はB1、品川駅北工区はB2、名古屋駅中央工区及び西工区は被告会社A1、名古屋駅東工区は被告会社A2が受注することに決まっている。今後、担当者同士で連絡を取って、そ15うなるように動いてもらいたい。話はできているから、資料のやり取りや金額の連絡をしてほしい。」「品川駅の積算は難しいが、指名された以上いい加減な見積書を提出することはできないので、一番勉強しているB1から資料をもらうように。」などと述べて資料のやり取りや価格連絡等を指示するとともに、B1における価格連絡担当者がbであることを伝え、fはこの指示を了承した。 20被告人A4は、平成27年1月頃、自分が被告会社A2における価格連絡担当者となる旨bに伝え、bはaにその旨報告した。 a及びcは、平成27年2月20日に面会した際、B1はbを、B2はcの部下のeを価格連絡担当者とすることや、C2が各工種について安い方の単価に合わせての値引きを要求してくること(いわゆる「安いとこ取り」)を防ぐ25ために、各社で工種の主要単価を合わせることなどを話し合った。 - 14 -その頃、cは、eに対して、「品川駅北工区はB2が、品川駅南工区はB1がそれぞれ受注できるという話になっており、eがB2の窓口としてB1及び被告会社両社の各窓口と協力して進めてもらいたい。」旨指示し、eは価格連絡の指示と 、「品川駅北工区はB2が、品川駅南工区はB1がそれぞれ受注できるという話になっており、eがB2の窓口としてB1及び被告会社両社の各窓口と協力して進めてもらいたい。」旨指示し、eは価格連絡の指示と理解した上でこれを了承した。 平成27年4月15日の3社会合において、被告人A3が、bに対し、「品5川駅と名古屋駅は、似た工種が多い。品川駅では単価を下げないようにしてほしい。名古屋駅に影響するから。」などと述べたところ、被告人A4もこれに賛同し、「そうですね。うちも名古屋の東がありますからねえ。」などと述べた。 平成27年3月26日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事に係る参考見積書提出期限までの価格連絡の状況等10a B1からの参考資料等の提供fは、被告人A3の指示を受けて、bに依頼し、平成27年3月、複数回にわたり、見積関連資料(工事桁設置・撤去工に関する資料、当時のB1の見積価格や工種ごとの内訳金額等の概算額を記載した各総括表等)の提供を受けて、被告会社A1社内の関係者に交付した。 15bは、平成27年3月26日より前に、被告人A4に対して、見積関連資料(品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事に係る各総括表)を提供した。 被告人A4は、同月18日又は19日頃、前記各総括表を、被告会社A2において品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の積算作業を統括していたd7に交付し、前記各総括表を参照して、d7らにおいて積算作業中であった被20告会社A2の見積価格をB1のものより高くするよう指示するなどした。 bは、平成27年3月頃、eに対し、見積関連資料(B1の積算基準に関する資料及び品川駅南工区全工事に係る総括表)を交付した。 b 南工区に関する価格連絡bは、品川駅南工区全工事に関し、平成 bは、平成27年3月頃、eに対し、見積関連資料(B1の積算基準に関する資料及び品川駅南工区全工事に係る総括表)を交付した。 b 南工区に関する価格連絡bは、品川駅南工区全工事に関し、平成27年3月下旬頃、aの了承を得て、25B1が提出する参考見積価格を決定した上で、参考見積書の提出期限である同 - 15 -月26日より前に、f、被告人A4及びeとそれぞれ電話で会話し、B1の参考見積価格に関して一定の幅を持った金額(下限額はB1の参考見積価格よりも二、三十億円低い額、上限額はB1の参考見積価格よりも数十億円高い額となるもの)を伝えた上で、被告会社A1、被告会社A2及びB2にはその上限額よりも高い参考見積価格を提出してほしい旨依頼し、これに対し、f、被告5人A4及びeは、それぞれ前記依頼を承諾する旨返答した(fは、返答の前に、bの前記依頼について被告人A3に報告し、その了承を得ていた。)。この際、bは、上限額について、品川駅北工区全工事の受注を希望していたB2のeに対しては、f及び被告人A4に対して伝えた額よりも二、三十億円低い金額を伝えていた。 10c 北工区に関する価格連絡eは、品川駅北工区全工事に関し、平成27年3月26日よりも前に、b、f及び被告人A4とそれぞれ電話で会話し、品川駅南工区全工事の受注を希望していたB1のbに対してはB2の参考見積価格よりも数十億円高い金額を一定の幅を持たせて伝え、fに対してはbに伝えた上限額以上の金額を伝え、被15告人A4に対してはfに伝えた金額よりも高い金額を伝えた上で、B1、被告会社A1及び被告会社A2にはそれぞれに伝えたような金額を参考見積価格として提出してほしい旨依頼し、b、f及び被告人A4はそれぞれこの依頼を承諾する旨返答した(fは、返答の前に、e 上で、B1、被告会社A1及び被告会社A2にはそれぞれに伝えたような金額を参考見積価格として提出してほしい旨依頼し、b、f及び被告人A4はそれぞれこの依頼を承諾する旨返答した(fは、返答の前に、eの前記依頼について被告人A3に報告し、その指示を受けるなどしていた。)。 20 平成27年3月26日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事に係る参考見積書の提出結果等被告会社等4社が平成27年3月26日までに提出した参考見積価格においては、品川駅北工区全工事についてB2のもの(約745.3億円)が、品川駅南工区全工事についてB1のもの(約1480.3億円)がそれぞれ最安値25となった。 - 16 -被告会社等4社が参考見積書と共に提出した技術提案書等に対する加算点(品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事で共通)は、平成27年4月23日にC2社内において開催された技術評価委員会により、B1が7.0点、B2が6.5点、被告会社A1及び被告会社A2がいずれも6.0点と決定され、同月27日付けで被告会社等4社に通知された。 5 平成27年5月13日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事に係る本見積書提出期限までの価格連絡状況等a 見積資料の交付fは、平成27年4月頃、bから工事桁設置・撤去工に関するより詳細な見積資料の提供を受け、また、bに対して被告会社A1における構真柱や地中連10続壁工に関する見積資料を交付した上、bから電話で被告会社A1とB1の構真柱や地中連続壁工に関する見積内容の違いを聴取した。fがこのようにして得た資料や情報は、被告会社A1内の品川駅担当プロジェクトチームメンバーの検討の用に供された。 b 改善後の参考見積書に関する価格連絡状況15C2は、被告会社等 した。fがこのようにして得た資料や情報は、被告会社A1内の品川駅担当プロジェクトチームメンバーの検討の用に供された。 b 改善後の参考見積書に関する価格連絡状況15C2は、被告会社等4社から参考見積書及び技術提案書等の提出を受けた後、技術提案ヒアリングを実施し、その内容を踏まえた改善後の参考見積書の提出を受け付けていた。B2は、平成27年4月17日、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事のいずれについても参考見積価格を数億円ずつ増額した改善後の参考見積書を提出したが、それらの提出前に、eは、b、f及び被告人20A4と連絡を取り合い、B2とB1、被告会社A1及び被告会社A2との間でそれぞれ相互の改善後の参考見積価格が逆転しないことを確認していた。 c 平成27年5月13日に見積合せが2回実施されることになったことC2は、平成27年5月13日に予定していた品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積合せに先立って、同見積合せの際、1回目でC2が設定25した基準価格以下の見積価格の提出がない場合、当日中に2回目の見積合せを - 17 -行うこととし、被告会社等4社に通知していた。 d 南工区についての価格連絡状況これを受けて、bは、平成27年5月13日より前に、品川駅南工区全工事に関し、f、被告人A4及びeに対し、それぞれ電話で、B1が1回目に提出する本見積価格及び2回目に提出する本見積価格について、一定の幅を持たせ5た金額を伝え、被告会社A1、被告会社A2及びB2には1回目及び2回目の見積合せのいずれにおいても伝えた幅の上限額より高い本見積価格を提出してほしい旨依頼し、f、被告人A4及びeは、その都度、前記各依頼を承諾した(fは、その都度、事前又は事後に被告人A3に報告し、その了承を得てい ずれにおいても伝えた幅の上限額より高い本見積価格を提出してほしい旨依頼し、f、被告人A4及びeは、その都度、前記各依頼を承諾した(fは、その都度、事前又は事後に被告人A3に報告し、その了承を得ていた。)。この際、bは、B1が1回目に提出する本見積価格について、f及び被10告人A4に対しては、実際より数億円低い金額から百億円以上高い金額までの幅を持たせた金額を、品川駅北工区全工事の受注を希望していたB2のeに対しては、実際よりも数億円低い金額から数十億円高い金額までの幅を持たせた金額をそれぞれ伝え(eに伝えた上限金額はf及び被告人A4に伝えた金額よりも低い金額であった。)、B1が2回目に提出する本見積価格については、f、15被告人A4及びeのいずれに対しても、1回目に係る幅を持たせた金額から上限も下限も20億円から30億円下げるという趣旨の発言をした。 e 北工区についての価格連絡状況eは、平成27年5月13日より前に、品川駅北工区全工事に関し、b、f及び被告人A4に対し、それぞれ電話で、一定の金額を伝えた上で(品川駅南20工区全工事の受注を希望していたB1のbに対しては、B2の本見積価格より20億円以上高い金額を下限額とし、上限額も定めて一定の幅を持った金額を伝え、fに対してはbに伝えた上限額以上の金額を下限額として伝え、被告人A4に対してはfに伝えたものより更に数十億円高い下限額を伝えた。)、その幅の範囲内の金額をB1、被告会社A1及び被告会社A2に本見積価格として25提出してほしい旨依頼していたところ、前記のように同じ日に2回目の見積合 - 18 -せが行われることが明らかになったため、更に、b、f及び被告人A4に対し、それぞれ電話で、前回依頼した金額は2回目の提出金額とし、1回目の提出金額はそれよ 同じ日に2回目の見積合 - 18 -せが行われることが明らかになったため、更に、b、f及び被告人A4に対し、それぞれ電話で、前回依頼した金額は2回目の提出金額とし、1回目の提出金額はそれより数億円上げてほしいなどと依頼し、b、f及び被告人A4は、その都度、前記各依頼を承諾する旨返答した(fは、その都度、事前又は事後に被告人A3に報告してその了承を得ていた。)。 5 平成27年5月13日の品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積合せが不調とされたこと被告会社等4社が平成27年5月13日に提出した本見積価格において、1回目及び2回目共に、品川駅北工区全工事についてはB2のもの(1回目につき693.2億円、2回目につき686億円)、品川駅南工区全工事について10はB1のもの(1回目につき1345億円、2回目につき1320億円)がそれぞれ最安値であったが、いずれもC2の基準価格を大幅に上回るものであったことから、前記各工事の見積合せはいずれも不調とされ、価格協議先は選定されなかった。 新たな条件指定による減額検討依頼とその後の価格連絡状況15品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積合せが不調に終わった後、C2は、被告会社等4社に対し、新たに工事の条件を指定することなどによってどの程度の減額が可能となるかの検討を依頼した。 これを受けて、bは、eに対し、B1における新たな条件指定による前記各工事に係る減額の内容を伝えるなどした。 20 平成27年8月19日の品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事の出件状況等C2は、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積合せが不調に終わったことから、平成27年8月19日に、各工程の一部を切り出す形で条件変更をした品川駅北工区 南工区その1工事の出件状況等C2は、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積合せが不調に終わったことから、平成27年8月19日に、各工程の一部を切り出す形で条件変更をした品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事(地中連続壁25工等は残されていたが、工事桁架設、構真柱工、アンダーピニング工、本体構 - 19 -造物新設等については除かれていた。)を、被告会社等4社を指名する指名競争見積の方式で再出件した。その際、C2は、価格協議先の選定方法として、技術提案等を評価せず、単純に最も安い見積価格を提出した競争参加事業者を第1順位の価格協議先とする方法を採用することとし、その旨記載した変更競争参加説明書を被告会社等4社に交付して周知した。 5 平成27年8月26日の品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事に係る本見積書提出期限までの価格連絡状況等a 見積資料の交付品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事の見積合せは、平成27年8月26日に予定されていたところ、fは、その数日前、被告人A3の指10示を受けて、bから、品川駅南工区その1工事の見積内訳に関する資料の提供を受けた。 b 南工区に関する価格連絡bは、平成27年8月26日より前に、品川駅南工区その1工事に関し、f、被告人A4及びeに対し、電話で、B1の本見積価格について一定の幅を持っ15た金額を伝え(いずれに対しても、B1の本見積価格程度の金額を下限額とし、それから数十億円高い金額を上限額として伝えたが、f及び被告人A4に伝えた上限額よりも品川駅北工区その1工事の受注を希望していたB2のeに伝えた上限額の方が低かった。)、被告会社A1、被告会社A2及びB2にはその上限額より高い本見積価格を提出してほしい旨 人A4に伝えた上限額よりも品川駅北工区その1工事の受注を希望していたB2のeに伝えた上限額の方が低かった。)、被告会社A1、被告会社A2及びB2にはその上限額より高い本見積価格を提出してほしい旨依頼し、f、被告人A4及びeは、20前記依頼を承諾する旨返答した(fは、返答をする前又は後にbの前記依頼について被告人A3に報告し、その了承を得ていた。)。 c 北工区に関する価格連絡eは、平成27年8月26日より前に、品川駅北工区その1工事に関し、bに対し、電話で、B2の本見積価格よりも数億円高い金額を下限額、十数億円25高い金額を上限額とした幅を持った金額を伝え、B1にはその幅の範囲内の金 - 20 -額を本見積価格として提出してほしい旨依頼し、bはこの依頼を承諾する旨返答した。 eは、cからの指示に基づいて、見積総額が約220億円となるように品川駅北工区その1工事の見積内訳及び総額を記載した資料を作成した上、平成27年8月21日、fに前記資料を交付するとともに、被告会社A1には約2250億円程度の本見積価格を提出してもらいたい旨依頼した。これを受けて、fは、前記資料の約220億円という見積総額の記載部分付近に「A1に望む金額」と書き込み、eから聞き出した情報に基づいて、前記資料に「B2は200億弱で提出予定」と書き込んだ上、これを被告人A3を含む被告会社A1社内の関係者らに交付した。その後、fは、平成27年8月26日の見積合せ前10に、被告人A3から、被告会社A1が積算できる本見積価格の上限は205億円であるなどとB2に伝えるよう指示され、eに対し、電話でその旨伝えたところ、eは、これを了承した。 eは、平成27年8月26日より前に、品川駅北工区その1工事に関し、被告人A4に対し、電話で、fに伝えた どとB2に伝えるよう指示され、eに対し、電話でその旨伝えたところ、eは、これを了承した。 eは、平成27年8月26日より前に、品川駅北工区その1工事に関し、被告人A4に対し、電話で、fに伝えた希望額を上回る金額を伝えた上、それ以15上の本見積価格を提出してほしい旨依頼し、被告人A4はこの依頼を承諾する旨返答した。また、被告人A4は、平成27年8月下旬、d7に対し、電子メールで、被告会社A2における品川駅南工区その1工事の見積価格を360億円以上、品川駅北工区その1工事の見積価格を210億円以上とするよう指示するなどした。 20 平成27年8月26日の見積合せの結果並びに平成27年9月16日の品川駅北工区その1工事に関するB2の工事請負契約締結及び平成27年10月21日の品川駅南工区その1工事に関するB1の工事請負契約の締結等被告会社等4社が平成27年8月26日にC2に提出した本見積価格において、品川駅北工区その1工事についてはB2のもの(約193.2億円)が、25品川駅南工区その1工事についてはB1のもの(341億円)がそれぞれ最安 - 21 -値となり、品川駅北工区その1工事についてはB2が、品川駅南工区その1工事についてはB1がそれぞれ第1順位の価格協議先となった。その後のC2との各価格協議を経て、品川駅北工区その1工事については平成27年9月16日にB2(請負代金182.5億円)が、品川駅南工区その1工事については同年10月21日にB1(請負代金325億円)がそれぞれ工事請負契約を締5結した。 平成27年4月24日の名古屋駅中央工区全工事の出件状況等C2は、名古屋駅中央工区全工事について、平成27年4月24日に、被告会社等4社を指名する指名競争見積の方式で出件した。 B1の 平成27年4月24日の名古屋駅中央工区全工事の出件状況等C2は、名古屋駅中央工区全工事について、平成27年4月24日に、被告会社等4社を指名する指名競争見積の方式で出件した。 B1の名古屋駅中央工区全工事からの辞退10B1は、平成27年5月にaがC2の中央新幹線推進本部長のhと会談して辞退申出の意向を伝えるなどした上で、平成27年6月25日、名古屋駅中央工区全工事の指名競争見積手続への参加を正式に辞退した。 平成27年7月30日の名古屋駅中央工区全工事に係る参考見積書提出期限までの価格連絡の状況等15fは、平成27年4月下旬頃に、被告人A3から、名古屋駅中央工区全工事の見積りについて、「他社に自由にやらせていたら、必要なリスクを積まないから、安くされてしまう。他社の資料をこっちで用意する必要があるから、i支店のj(当審注:j(以下「j」という。)を指す。)に3種類の見積りの資料を作成するようにお願いしておいた。jには、うちの見積りから1割、2割、203割くらい乗せて作るように言っておいたから。渡すのが直前になったら、他社も数字を変更できなくなるから、早めに渡さないと。」などと伝えられ、同年6月下旬頃、被告人A3から、被告会社A2用、B2用及びB1用として、被告会社A1の見積価格から約1割ないし約3割程度増額させた3種類の見積資料(「3種類の他社用の見積資料」)を渡されて、それらを前記各社に渡すよ25うに指示され、これを了承した。 - 22 -平成27年5月19日及び同年6月29日、被告人A3は、cと面会し、主要工種の単価に関し、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積りを下げないことなどを話し合った。 被告人A3及びfは、平成27年6月25日、被告人A4と面会し、fが、 A3は、cと面会し、主要工種の単価に関し、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の見積りを下げないことなどを話し合った。 被告人A3及びfは、平成27年6月25日、被告人A4と面会し、fが、被告人A4に対し、3種類の他社用の見積資料のうち最も低い2000億円台5の見積価格が記載された見積資料を示して、名古屋駅中央工区全工事について、被告会社A2には同見積資料記載のもの程度の参考見積価格を提出してほしい旨依頼したところ、被告人A4はこれを承諾する旨返答して前記見積資料を受領した。 fは、被告人A3の指示を受けて、平成27年6月26日、eと面会し、310種類の他社用の見積資料のうち2000億円台を超える見積価格が記載された見積資料を示して、B2には同見積資料記載のもの程度の参考見積価格を提出してほしい旨依頼し、eはこの見積資料を受領した。その後、eは、B2社内において、同工事の参考見積価格を引き上げるべきであるという趣旨の意見を述べるなどした。 15fは、被告人A3からの指示を受けて、名古屋駅中央工区全工事について、平成27年7月30日とされていた参考見積書の提出期限前に、被告人A4及びeに対し、それぞれ電話で、被告会社A1の参考見積価格は1900億円程度である旨伝えるとともに、被告会社A2及びB2の参考見積価格を尋ねたところ、被告人A4及びeは、それぞれ、被告会社A2及びB2は被告会社A120の依頼した金額程度の参考見積価格を提出する旨返答し、fは、その旨被告人A3に報告した。 平成27年7月30日の名古屋駅中央工区全工事に係る被告会社両社及びB2の参考見積書の提出結果並びに平成27年8月28日の指名競争見積手続の中止の前後の状況等25被告会社A1、被告会社A2及びB2の3社が平成27年7 駅中央工区全工事に係る被告会社両社及びB2の参考見積書の提出結果並びに平成27年8月28日の指名競争見積手続の中止の前後の状況等25被告会社A1、被告会社A2及びB2の3社が平成27年7月30日にC2 - 23 -に提出した名古屋駅中央工区全工事の参考見積価格において、被告会社A1のもの(約1879.7億円)が最安値となったものの、C2の予算を大幅に上回るものであった。C2は、このまま見積合せを行ってもC2の予算以下の本見積価格が提出される見込みはなく、価格協議先の選定は困難であると判断して、同工事の指名競争見積手続を中止し、同年8月28日、被告会社両社及び5B2にその旨通知した。 平成27年8月19日、被告人A3は、C2に対し、同工事について、コストダウン策を提案すると共に、指名競争見積手続を打ち切り、被告会社A1との間で総額1200億円の特命随意契約を締結してほしい旨申し入れたものの、C2は、予算を大幅に上回っており、指名競争見積手続のさなかであるなどと10して、この申入れを拒絶していた。また、被告会社A1は、平成27年8月31日、同年9月4日及び同月7日にも、コストダウン策を提案すると共に、設計施工協力方式での特命随意契約で発注してほしい旨申し入れたが、C2はこの申入れにも同意しなかった。 その後もC2は被告会社A1から継続的にコストダウン策の提案を受け、平15成27年9月から12月にかけて合計33回の打合せを行った。 平成27年11月頃のC2から被告会社両社に対する名古屋駅中央工区1期工事の非公式参考見積提出の依頼C2は、名古屋駅中央工区全工事の工程を分割し、まずその一部の工程の出件を検討することとし、平成27年11月下旬頃から同年12月初旬にかけて、20被告会社両社に対し、 公式参考見積提出の依頼C2は、名古屋駅中央工区全工事の工程を分割し、まずその一部の工程の出件を検討することとし、平成27年11月下旬頃から同年12月初旬にかけて、20被告会社両社に対し、名古屋駅中央工区1期工事の参考見積を提出するよう非公式に依頼した。 被告会社両社間の名古屋駅中央工区1期工事の非公式参考見積に係る価格連絡の状況等被告人A3は、平成27年12月上旬ないし中旬頃、fに対し、被告会社A251i支店において当時積算していた見積価格を上回る約542億円という見積 - 24 -価格を記載した見積資料を被告会社A2に交付して、見積書作成の参考とさせるよう指示した。 fは、被告人A3の指示に従って、平成27年12月17日頃、被告人A4に対し、前記見積資料を交付して、被告会社A2の見積価格を約542億円とするよう依頼し、被告人A4はこの依頼を承諾する旨返答して前記見積資料を5受け取った。 被告人A4は、その後、d7に前記見積資料を交付し、被告会社A2の名古屋駅中央工区1期工事に対する見積価格が同見積資料記載の価格を上回るものとなるよう指示した。この指示を受けてd7は被告会社A2の見積価格を引き上げようと努力したものの、約300億円までしか引き上げることができず、10被告人A4に対し、見積価格を約542億円とする根拠となる数量及び単価に関する追加資料を入手するよう依頼し、被告人A4はfにその旨伝えた。fは求められた追加資料をd7に交付し、被告会社A2社内では、d7らが、前記追加資料を参照するなどして見積価格の引き上げを図り、これを約524億円まで引き上げることができた。平成27年12月23日、被告人A4が、fに15対してA2としては524億円の見積価格を提出する旨伝え、fはこれを了承 て見積価格の引き上げを図り、これを約524億円まで引き上げることができた。平成27年12月23日、被告人A4が、fに15対してA2としては524億円の見積価格を提出する旨伝え、fはこれを了承するとともに、被告人A3にその旨報告し、被告人A3もこれを了承した。 平成27年12月の名古屋駅中央工区1期工事に係る非公式参考見積の提出結果等被告会社両社が平成27年12月24日から同月25日にかけてC2に提出20した名古屋駅中央工区1期工事の見積価格において、被告会社A1のもの(約473.8億円)が被告会社A2のもの(524億円)を下回る最安値となったものの、いずれもC2が独自に算出していた見積価格を大幅に上回るものであった。被告会社A1及び被告会社A2の見積りを精査するなどしたC2関係者は、経費率の高さなどから、競争原理が働いていない可能性がある旨の疑念25を抱くに至った。 - 25 - 平成28年1月から2月のC2からB1への参加依頼等平成28年1月上旬頃、hは、aに対し、名古屋駅中央工区1期工事のうちの地中連続壁工に係る見積書をB1に作成してほしい旨依頼し、aは、当初、難色を示したものの、hから重ねて依頼され、これを承諾した。 被告人A3は、C2がB1に対して前記のような見積依頼をしたことを把握5すると、fに対し、被告会社A1i支店において作成した前記工事の地中連続壁工に係る見積内訳書をB1に交付して相互の見積価格を比較するよう指示した。これを受けてfは、平成28年1月19日、bに対し、前記見積内訳書を交付し、B1の地中連続壁工の見積価格と比較するよう依頼し、bはこれを承諾した。bは、同月下旬頃、fに対し、前記見積内訳書記載の金額とB1の地10中連続壁工の内訳金額との差額を伝え、fは、 書を交付し、B1の地中連続壁工の見積価格と比較するよう依頼し、bはこれを承諾した。bは、同月下旬頃、fに対し、前記見積内訳書記載の金額とB1の地10中連続壁工の内訳金額との差額を伝え、fは、これを被告人A3や被告会社A1社内のプロジェクトメンバーに伝えた。 平成28年1月下旬頃、B1はC2に地中連続壁工に関する概算見積書を提出した。これを受けて、平成28年2月上旬頃から中旬頃にかけて、hがaに対し、改めて出件する名古屋駅新設工事の指名競争見積手続にB1にも参加し15てほしい旨依頼した。aは、当初、地中連続壁工の機械やオペレーターの確保の困難性などを挙げ、工事開始を8か月遅らせないと難しいなどと述べて難色を示したものの、hから8か月遅れでも構わない、C3、DとJVを組んで名古屋駅工事に対応してほしいなどと言われて重ねて依頼され、結局、一部(後記の在来線部及びタワーズ車路部)の工事は絶対にやらないなどと付言しつつ20これを承諾した。 被告人A3は、平成28年2月頃、aに対し、B1が名古屋駅新設工事の指名競争見積手続に参加するのであれば、B1の見積価格をできる限り高くしてほしい旨依頼し、aが、B1は既に受注している品川駅南工区その1工事の見積書の内容と大きくかい離する見積書を提出することは困難であるなどという25旨返答すると、被告人A3は、B1の見積価格を連絡してもらいたい旨依頼し - 26 -た。 平成28年3月10日の名古屋駅中央西工区1期工事の出件状況及び発注手続の概要等前記のようにB1の指名競争見積手続への参加意向を確認したC2は、名古屋駅中央工区1期工事を東西に分割し、aが参加を拒否しなかった部分(後記5の新幹線部及び西口駅広部に該当し、地中連続壁工が含まれる。)については名古屋駅 積手続への参加意向を確認したC2は、名古屋駅中央工区1期工事を東西に分割し、aが参加を拒否しなかった部分(後記5の新幹線部及び西口駅広部に該当し、地中連続壁工が含まれる。)については名古屋駅中央西工区1期工事として指名競争見積の方式で出件する方針を固めた。その後、C2は、被告会社両社及びB2に名古屋駅中央西工区1期工事への競争参加の意向を確認し、被告会社A1は参加する意向があるが、被告会社A2及びB2には参加する意向がないことを確認した上で、平成28年3月410日に開催した請負業者選定委員会において、名古屋駅中央西工区1期工事について、被告会社A1及びB1を指名する指名競争見積の方式で出件することを正式に決定し、平成28年3月10日に名古屋駅中央西工区1期工事を出件した(標準点100点と10点満点の加算点の合計点を見積価格で除して算出する評価値の高低によって価格協議先を選定する総合評価方式が採用されており、15その旨記載した競争参加説明書が被告会社A1及びB1に交付されていた。)。 なお、この際、B1が参加を拒否した部分の工事(後記の在来線部及びタワーズ車路部に該当する。「名古屋駅中央東工区1期工事」)については、C3を代表者とするJVと特命随意契約を締結することとされた。 また、C2は、前記競争参加説明書に「C2が予定する価格以下での見積書20の提出がない場合には、協議先が選定されないことがあり、その場合の措置は別途通知する。」旨規定していた。 平成28年6月20日の被告会社A1及びB1による名古屋駅中央西工区1期工事に係る本見積書提出期限までの価格連絡の状況等fは、平成28年4月7日、被告人A3の指示に基づき、bに対し、被告会25社A1i支店のプロジェクトチームが作成した名古屋駅中央西工区1期工事 工事に係る本見積書提出期限までの価格連絡の状況等fは、平成28年4月7日、被告人A3の指示に基づき、bに対し、被告会25社A1i支店のプロジェクトチームが作成した名古屋駅中央西工区1期工事の - 27 -地中連続壁工に係る積算条件等に関する資料を交付して、B1の地中連続壁工の積算条件と比較するよう依頼し、bもこれを承諾し、その後、fに対し、被告会社A1の積算条件とB1の積算条件の違いを伝え、fは、これを被告人A3や被告会社A1のプロジェクトチームメンバーに伝えた。 fは、平成28年5月下旬頃、被告人A3の指示に基づいて、bに対し、電5話で、名古屋駅中央西工区1期工事に係るB1の見積価格を教えてほしい旨依頼し、bもこれを承諾した。bは、平成28年5月26日に開催された3社会合において、被告人A3及びfに対し、その時点におけるB1の見積価格に関する資料を交付するとともに、同見積価格は約120億円強である旨伝えたところ、被告人A3は、bに対し、その時点における被告会社A1の見積価格は10約150億円である旨伝えた上で、B1の見積価格をもっとつり上げてほしい旨依頼した。被告人A3又はfは、その後、前記のB1の見積価格を被告会社A1のプロジェクトメンバーに伝えた。 被告会社A1社内では、平成28年6月上旬頃、社内手続を経て、名古屋駅中央西工区1期工事に係る入札最低価格を112.8億円とすることが決定さ15れた。 fは、平成28年6月頃、被告人A3の指示に基づいて、bに対し、電話で、名古屋駅中央西工区1期工事に係るB1の最終的な見積価格を教えてほしい旨依頼するとともに、見積価格をつり上げてほしい旨依頼することを繰り返した。 B1は、その後も見積作業を継続し、平成28年6月16日、最終的な見積価20格を128 の最終的な見積価格を教えてほしい旨依頼するとともに、見積価格をつり上げてほしい旨依頼することを繰り返した。 B1は、その後も見積作業を継続し、平成28年6月16日、最終的な見積価20格を128.3億円とすることを決定し、その頃、bが電話でfにその旨伝え、fがこれを直ちに被告人A3に報告した。被告会社A1においては、B1の見積価格が128.3億円であることを前提に、予想される被告会社A1及びB1の各技術評価に係る加算点を加味して、被告会社A1が価格協議先に選定されるための見積価格を検討し、最終的に約114.5億円とすることを決定し25た。 - 28 - 平成28年6月20日の名古屋駅中央西工区1期工事に係る本見積書の提出結果及び修正見積書の提出指示等平成28年6月1日までに、被告会社A1及びB1から名古屋駅中央西工区1期工事に係る技術提案関連書類が提出され、同月9日及び10日に開催されたC2の技術評価委員会において、同工事に係る被告会社A1の加算点が7. 50点、B1の加算点が8.5点であることが決定された。 平成28年6月20日、被告会社A1が見積価格を約114.5億円、B1が見積価格を128.3億円とする見積書をそれぞれC2に提出したものの、いずれもC2が予定する価格を上回っていたことから価格協議先は選定されなかった。 10平成28年6月21日、C2は、被告会社A1及びB1に対し、見積条件に反する見積りが認められたとして、同月24日までに修正見積書を再提出するよう指示するとともに、その修正見積書の見積価格と技術提案等の総合評価をもって価格協議先を選定することがある旨を通知した。また、被告会社A1では、同月21日頃までに、前記のように被告会社A1の加算点は7.0点、B151の加算点は8.5点 格と技術提案等の総合評価をもって価格協議先を選定することがある旨を通知した。また、被告会社A1では、同月21日頃までに、前記のように被告会社A1の加算点は7.0点、B151の加算点は8.5点であることを把握していた。 平成28年6月24日の名古屋駅中央西工区1期工事に係る修正見積書提出期限までの被告会社A1及びB1の間の価格連絡の状況等B1では、C2の修正指示に従って見積価格の修正作業を行い、B1の修正見積価格が109.9億円となったことから、bは、平成28年6月23日頃、20fにその旨を伝えた。被告会社A1では、これを受けて、再度、被告会社A1及びB1の各技術評価に係る加算点を加味して、被告会社A1が評価値でB1を上回るための見積価格を検討したものの、当該見積価格が先に社長決裁を経た入札最低価格である112.8億円を下回っており、社長がその提出を了承しなかったことから、同月24日、提出見積価格を約112.8億円とするこ25とを決定した。 - 29 -被告人A3は、平成28年6月24日、修正後の見積書の提出前に、aに対し、B1の見積価格を上げてほしい旨依頼し、これに対してaがC2の修正指示に従わざるを得ない旨返答すると、さらに、B1が第1順位の価格協議先に選定されてC2との価格協議を開始したら、C2からの工事費削減の求めには応じないでほしい旨依頼し、aもこれを承諾した。 5平成28年6月24日の修正見積書の提出結果及び平成28年9月6日の名古屋駅中央西工区1期工事に関するB1との工事請負契約の締結等平成28年6月24日、被告会社A1が見積価格を約112.8億円とした修正見積書を、B1がこれを下回る109.9億円を見積価格とした修正見積書をそれぞれC2に提出した。C2は、B1に対し、その修正見 平成28年6月24日、被告会社A1が見積価格を約112.8億円とした修正見積書を、B1がこれを下回る109.9億円を見積価格とした修正見積書をそれぞれC2に提出した。C2は、B1に対し、その修正見積書に係る工10事費内訳書に付記されていたC2の指定に反する見積条件を削除するよう指示し、B1はこれに応じて、同月下旬、前記付記を削除した工事費内訳書を再提出した。 被告人A3らは、平成28年7月5日にC2を訪問してhらと面談し、提出済みの見積価格から更に値引きする旨申し出るなどして被告会社A1を価格協15議先に選定してほしい旨訴えるなどしたものの、C2側はこの訴えに応じなかった。 C2は、平成28年7月7日、技術評価委員会を開催して、評価値が高かったB1を第1順位の価格協議先に選定して価格協議を開始した。同年9月6日、B1がC2との間で名古屋駅中央西工区1期工事の工事請負契約を締結した20(請負代金107.3億円)。 bは、B1が名古屋駅中央西工区1期工事の価格協議先に選定された後の3社会合において、被告人A3及びfに対し、B1が同工事の価格協議先に選定されたことを謝罪したところ、fは、謝罪には及ばない旨返答した。 エ 本件合意の成否等についての検討25以上の前提事実によれば、かねてからリニア中央新幹線関連工事に関する情 - 30 -報交換を重ねていた被告人A3及び被告人A4は、aの参加を得て平成26年4月21日から3社会合を開催し、希望工区一覧表①ないし③のやり取り等を経て各社の受注希望工区をすり合わせ、品川駅北工区全工事についてはB2、品川駅南工区全工事についてはB1、名古屋駅中央工区全工事については被告会社A1、名古屋駅東工区については被告会社A2をそれぞれ受注予定事業者5とし、指名競争見積手続にお 全工事についてはB2、品川駅南工区全工事についてはB1、名古屋駅中央工区全工事については被告会社A1、名古屋駅東工区については被告会社A2をそれぞれ受注予定事業者5とし、指名競争見積手続において指名事業者間で協力し合う方針を共有した上、その後、a及びcの会談並びに被告人A3及びcの会談を経て、被告人A3、被告人A4及びaの間における前記のような受注調整の枠組みにcも加わり、受注希望工区も確認され、価格連絡担当者が定まり、積算に関する資料や見積価格そのものに関する情報を繰り返し提供し合うなどして本件価格連絡が行わ10れたということになる。そうすると、被告人A3、被告人A4、a、b及びcの間で、本件合意をした上、その合意に従って本件受注予定事業者決定を行い、本件価格連絡をしたといえることは明らかである。 オ 前提事実の認定に関する原審各弁護人の反論について前記各証言の信用性について15a A1側弁護人は、a、b、c及びeの各供述が信用できないと主張し、この点に関して、①B1及びB2が独占禁止法上の課徴金減免申請を行っているため不当な取引制限の罪を認めるしかない状況にある、②被告人A3及び被告人A4が起訴されている一方でB1やB2の関係者が起訴されていないことからすれば検察官とa、b、c及びeとの間で、検察官の想定するストーリー20に沿った供述・証言をする代わりに刑事処分を軽くする旨の約束や合意が少なくとも暗黙のうちに形成されている、③a、b、c及びeは、被告人A3及び被告人A4に責任を転嫁しようとしている、④a、b、c及びeの各供述は、本件各工事に関する競争の存否やC2の意図に関しては具体性を欠くなどと主張する。 25しかし、①については、B1及びB2が課徴金減免申請を行って会社組織と - 31 - びeの各供述は、本件各工事に関する競争の存否やC2の意図に関しては具体性を欠くなどと主張する。 25しかし、①については、B1及びB2が課徴金減免申請を行って会社組織と - 31 -して独占禁止法違反を認めた状況にあり、a及びcらはB1及びB2の幹部として各社の方針に忠実に従って行動する者らであるとはいえ、同人らの供述内容は、自らが独占禁止法に違反する合意や価格連絡をし、違法行為に積極的に関与したことを認めるものであって、独占禁止法違反を認める会社の方針に従うためにされた虚偽の供述であるとは考えられない。②については、a及びc5らが不起訴等の刑事処分の軽減を期待した可能性は否定できないとしても、違法行為への関与を認めれば、社内の処分や名誉の低下等の大きな不利益が予想される状況において、違法行為への関与がないにもかかわらず虚偽の自白をするとは考えられない。③については、a及びcらは、自己の認識・役割等について保身のために過小な評価をするなどの証言をした場面もあったことがうか10がわれるものの、殊更に被告人A3及び被告人A4に責任転嫁する姿勢は認められず、本件合意等に関する前提事実の認定に影響するような核心部分の信用性は揺るがない。④については、核心部分に関し十分に具体的な供述をしていると認められる。そして、aらの各供述は、前記のように客観的証拠に裏付けられた合理的な内容のものであることを踏まえると、弁護人らの各主張を検討15しても、信用性が損なわれるものではない。 b また、A1側弁護人は、⑤c引継ぎ用メモについて、cが、同メモに受注調整の約束を記載しつつ、日々の出来事を記録しているメモ帳にはその点を記載していないこと、同メモが実際は後任者に引き継がれていないことは不自然であるなどという主張もしているが、cが が、同メモに受注調整の約束を記載しつつ、日々の出来事を記録しているメモ帳にはその点を記載していないこと、同メモが実際は後任者に引き継がれていないことは不自然であるなどという主張もしているが、cが本件合意等について記録を残す方20法については様々な態様があり得るところである上、cは、受注調整の目的を達し得る状況になったことから、自己が違法行為に関与していた証拠となる同メモについて、最終的には後任者に引き継がないとの判断をしたものと考えられ、この点に関するA1側弁護人の主張も採用できない。 c A1側弁護人は、fの検察官調書に関し、不起訴等の刑事処分の軽減を25受けるための虚偽の自白であって信用できないと主張するとともに、同人の検 - 32 -察官調書(原審甲42)には、平成27年1月上旬から中旬頃に被告人A3からの指示の際に「被告会社等4社で話をしている」などという話をされた旨の記載があるが、cの供述によれば、同人と被告人A3が初めて会ったのは平成27年1月30日のことであり、その際リニア中央新幹線工事に関する具体的な話題は出なかったなどとされていることを指摘して、fの検察官調書は信用5できないと主張する。 しかし、fが刑事処分の軽減を期待したとしても、自己の所属する会社にとって著しく不利な内容であり、かつ、自身にとっても社内の処分等の大きな不利益が予想される中で、価格連絡担当者として行動して違法行為をし、被告会社A1による本件合意等に深く関与したことを内容とする虚偽の自白をするま10での動機は認められない。fは、原審公判廷では、記憶にないなどの証言を繰り返すことにより、検察官調書とは相反する内容の証言をしたが、被告会社A1及び上司であった被告人A3が犯行を否認する状況において、それらの否認の主張に整合するよ 公判廷では、記憶にないなどの証言を繰り返すことにより、検察官調書とは相反する内容の証言をしたが、被告会社A1及び上司であった被告人A3が犯行を否認する状況において、それらの否認の主張に整合するように配慮した証言をしようとした供述態度が明らかであって、fの原審公判供述は信用できない。 15原審甲42についてA1側弁護人が主張する点については、aの供述によれば、同人は平成27年1月20日にcから受注調整の枠組みに加わるとの返答を得てから数日後には被告人A3にcとの面談内容を伝えたというのであり、時期に大きなずれがあるわけではないことなどから、A1側弁護人の主張は採用できない。 20d A2側弁護人は、①被告人A4が希望工区一覧表①をaが受け取った際に被告会社A2に配慮してほしい旨述べたとされているが、その後希望工区一覧表②においてB1は何ら被告会社A2に配慮していない、②被告人A4がB1に対して品川駅の見積作業について協力を求める発言をするということはあり得ず、また、被告人A4の方からbに「被告会社A2の担当者は私です。」25との電話をしたというのは唐突で不自然である、③cが被告会社A2の土木営 - 33 -業本部長であったkに対して3社会合等について確認していなかったことやeに対して被告会社A2と連絡を取るよう指示していなかったのは不自然であるなどと指摘して、a、b及びcの各供述が信用できない旨主張する。 しかし、①については、3社会合の初期であり、リニア中央新幹線に関する工事の全体像については受注調整が進んでいない段階において、B1が被告会5社A2の受注希望に配慮していなかったとしても不自然ではないし、②については、被告会社A2が受注を目指す名古屋駅東工区工事の見積に影響しないように被告人A4が類似の工種が おいて、B1が被告会5社A2の受注希望に配慮していなかったとしても不自然ではないし、②については、被告会社A2が受注を目指す名古屋駅東工区工事の見積に影響しないように被告人A4が類似の工種が含まれる品川駅工事の見積作業について協力を求めることは不自然ではないし、③被告人A4の被告会社A2内の立場に加え、被告人A4が3社会合に参加して被告会社A2を含む3社の方針が共有化され10ていた経緯を踏まえれば、cの連絡状況も不自然ではない。以上のとおり、いずれの点も当時の状況等に照らして不自然とはいえない事情を指摘するものにすぎず、A2側弁護人の主張は採用できない。 e また、A2側弁護人は、④被告会社A2の目標工事の中に名古屋駅東工区工事は含まれておらず、c引継ぎ用メモの記載はこのことと整合しない旨主15張している。 しかし、被告会社A2内における平成26年3月の中央新幹線第4回連絡会議において名古屋駅東工区工事を目標工事に挙げるなどして被告会社A2が名古屋駅東工区工事を目標工事としていたことは被告会社A2関係者の原審公判供述等の証拠上明らかである。平成29年になって同社は名古屋駅東工区工事20を目標工事から外したなどの事情はあるものの、そのことが前記認定に影響するものではなく、A2側弁護人の主張は採用できない。 被告人両名の供述の信用性についてA1側弁護人は、被告人A3の原審公判供述等を基礎として、前記関係者らの供述する事実の中に認められないものがあると主張する(①3社会合の開催25を持ちかけたのはaであって被告人A3ではない、②3社会合では受注意欲に - 34 -関する情報交換は行われていない、③被告人A3が希望工区一覧表①を配布した際aに対して正確な受注希望工区をまとめて持ってきてほしい旨依頼したこと はない、②3社会合では受注意欲に - 34 -関する情報交換は行われていない、③被告人A3が希望工区一覧表①を配布した際aに対して正確な受注希望工区をまとめて持ってきてほしい旨依頼したことはない、④被告人A3が希望工区一覧表③を配布したことはない、⑤被告人A3が、3社会合において、本件各工事について受注予定事業者の提案をしたり、事業者間での協力が必要という旨の発言をしたり、B2とも話をしなけれ5ばならない旨の発言をしたりしたことはない、⑥aが品川駅の受注予定事業者についての話をしたことはない、⑦被告人A3がaからcとの面談内容を伝えられたことはない、⑧被告人A3とcとの会談で受注希望工区が話題に上ったことはなく、被告人A3がaに対してcとの間で合意が成立した旨を告げたことはない、⑨被告人A3がaとの間で担当者を指定して価格連絡を行うことを10合意したことはない、⑩被告人A3は、fとの関係で、平成27年1月上旬から中旬頃に本件各工事について受注調整が成立している旨伝えると共に他社の担当者との間での価格連絡を指示したことも、平成27年4月下旬頃に他社に被告会社A1の要求する見積価格にしてもらう必要があると伝えたことも、B2の参考見積価格や本見積価格に関する報告を受けたこともないなどという。)。 15A2側弁護人は、被告人A4の原審公判供述等を基礎として、①被告人A4は希望工区一覧表②を受け取っていない、②a及びcの会談、被告人A3及びcの会談並びにaと被告人A3の会談を認識しておらず、平成27年2月の3社会合で、被告人A3やaからcとの会談内容を聞いたこともなく、その内容は知らなかったため、B2との間で本件合意がされたという認識がないと主張20する。 しかし、被告人両名の供述は、c引継ぎ用メモや希望工区一覧表①、 からcとの会談内容を聞いたこともなく、その内容は知らなかったため、B2との間で本件合意がされたという認識がないと主張20する。 しかし、被告人両名の供述は、c引継ぎ用メモや希望工区一覧表①、②のような客観的証拠や、被告会社等4社間で積算に関する資料や見積価格そのものに関する情報を繰り返し提供し合うなどして本件価格連絡がされていた事実を説明することができない不合理な内容といえ、いずれも信用できない。 25カ 本件合意の成否に関する弁護人の反論について - 35 -本件価格連絡の理由についてA1側弁護人は、①本件各工事について受注を希望しない建設会社は、短い検討時間の中で、工事のコストやリスクを適切に計上せず過少な見積りを作成すること(「過少違算」)を避け、かつ、C2に非協力的であると評価されない程度に必要な項目を網羅した内容の見積りを作成する必要があったもので、本5件価格連絡は、このような事情を背景とした窮余の方策だったのであり、受注予定事業者に受注させることを目的とするものではなかった、②被告会社A1の品川駅工事プロジェクトチームの担当者らがB1の積算資料等を参考に積算を行うなどしたのは、短い検討時間の中で、かつ、合理的な見積りを行うための情報が不足している状況下で、一定の体裁を整えた見積りや施工計画を作成10する必要があったからである、③名古屋駅中央工区全工事に関する3種類の他社用の見積資料を被告会社A1が提供したことについては、他社において施工計画や積算の参考にしてもらうためである、④名古屋駅中央西工区1期工事における被告会社A1とB1との間の情報交換は情報戦の一環として行われたにすぎない、⑤本命業者としては、C2から他社の見積りを材料とした価格引下15げの要求をされても、自社の見積りの妥当性 工事における被告会社A1とB1との間の情報交換は情報戦の一環として行われたにすぎない、⑤本命業者としては、C2から他社の見積りを材料とした価格引下15げの要求をされても、自社の見積りの妥当性を説明するとともに、他社の見積りの不合理性を指摘してこれに応じないことが可能であったが、そのような説明等に必要な多大な労力と時間を回避するために他社に見積情報を提供したにすぎないなどと主張し、見積価格等の情報交換の事実は本件合意の存在を推認させるものとはいえないという。 20また、A2側弁護人も、被告人A4が本件価格連絡を行った理由は、情報不足による積算担当者の苦境を救うと共に、被告会社A2が価格協議先に選ばれるような面倒な状況に陥ることを確実に回避したかったからであるなどと主張し、本件価格連絡が行われたのは本件合意が存在していたからではないという。 しかし、事前検討を行っていない事業者における合理的な見積書等の作成や25積算担当者の負担軽減といった目的は、受注調整を主な目的とした場合であっ - 36 -ても併存し得るもので、直ちにこれを排斥するものではない。また、本件価格連絡においては、前記のように、参加事業者間において、積算等の参考になる資料の提供等にとどまらず、見積価格そのものに関する情報の連絡が、参加事業者を網羅し、かつ、各社の見積価格に差が付くような形で繰り返されていた上、名古屋駅中央工区全工事の受注を希望する被告会社A1によって金額の異5なる3種類の他社用の見積資料が作成されたり、「A1に望む金額」「B2は200億弱で提出予定」と手書きされた見積資料も存在したりするなど特定の事業者の受注に向けて調整する意図を推認させる事実が認められるが、前記の原審各弁護人の主張はこれらを合理的に説明することができていない。 提出予定」と手書きされた見積資料も存在したりするなど特定の事業者の受注に向けて調整する意図を推認させる事実が認められるが、前記の原審各弁護人の主張はこれらを合理的に説明することができていない。 なお、A2側弁護人は、品川駅北工区全工事についてeが被告人A4に見積10価格等の連絡をしてきた時期は参考見積書提出日の3日前であり、本件合意に基づくものであるとすれば遅すぎると主張するが、見積書提出前であれば他社の見積価格等は一定の意味がある情報であるといえ、採用できない。 受注調整を行う必要性についてa A1側弁護人は、本件各工事についてどの事業者が受注・施工するかは15C2の意向によりあらかじめ決定していたため、受注調整を行う意味はなかった旨主張し、A2側弁護人も、出件前からの事情と出件方式を前提にすると、本件各工事の受注事業者がどこになるかは誰の目にも明らかな状況であり、本件合意の必要性はなかった旨主張する。 しかし、本件各工事の受注事業者があらかじめ決定していたなどとはいえな20いことは後記のとおりであり、原審各弁護人の主張は採用できない。 b A2側弁護人は、名古屋駅東工区工事について、出件時期が先になると見込まれており、中堅ゼネコンの参加が当然に予想され、被告会社等4社の協力は無意味であって、被告人A4にとって違法なことをしてまで受注を確実にしなければならない工事ではなく、本件合意をする動機はなかったなどとも主25張している。 - 37 -しかし、被告会社A2が名古屋駅東工区工事を目標工事としていたことは前記のとおりであって、出件時期や出件方法に不透明な部分があったとしても被告会社等4社間での受注調整には相応の意味があると考えることは何ら不合理ではなく、A2側弁護人の主張は採用できない。 希望工 記のとおりであって、出件時期や出件方法に不透明な部分があったとしても被告会社等4社間での受注調整には相応の意味があると考えることは何ら不合理ではなく、A2側弁護人の主張は採用できない。 希望工区一覧表について5A1側弁護人及びA2側弁護人は、希望工区一覧表①は被告人A3がC2OBのgから依頼を受け、同人の考えに基づいて作成したものであって、受注調整のために用いられたと認められない旨主張する。 しかし、前記の前提事実に照らせば、3社会合においてaに対して被告人A3が希望工区一覧表①を交付すると共に被告人A4が被告会社A2への配慮を10求め、後日B1の受注希望工区が記載された希望工区一覧表②が被告人両名に交付され、これを基に修正された希望工区一覧表③が作成されたなどというのであるから、各希望工区一覧表が被告会社A1、被告会社A2及びB1の受注希望の整理に相応の効果を有していたことは明らかというべきである。また、仮に希望工区一覧表①の作成に当たってgが関与していたとしても、C2の意15思決定を示したものなどとはいえず、gの関与はこの判断を左右するものではない。原審各弁護人の主張は採用できない。 3社会合の目的等についてA1側弁護人は、3社会合は工区割り、発注方式、発注時期等に関するC2の検討状況や自社が把握し切れていない他社の技術的検討状況について情報収20集する目的で行われていたにすぎず、3社会合は受注調整の場ではなかったと主張するが、技術的検討状況等に関する情報収集の目的は、受注調整を主たる目的とする場合でも併存し得るものであって、採用できない。 また、A1側弁護人は、3社会合が受注調整の場であったとするならば、B2が参加しなければ功を奏しないはずであり、平成27年1月8日に初めてa25がcを受注調整 得るものであって、採用できない。 また、A1側弁護人は、3社会合が受注調整の場であったとするならば、B2が参加しなければ功を奏しないはずであり、平成27年1月8日に初めてa25がcを受注調整に誘ったというのも極めて不自然であるなどと主張するが、当 - 38 -初はB1が品川駅全工区の受注を目指していた状況があったことに加え、受注調整を企図するものが他社を巻き込んでいく手順・時期については多様な要素が考慮されて様々な態様となることがあり得ると考えられるから、cを誘った経緯が不自然であるとはいえない。 被告人A4の態度について5A2側弁護人は、被告人A4の3社会合での発言態度は、本件各工事について被告会社A2は当事者ではなかったことから、aや被告人A3の発言自体を聞き洩らしていたか、聞いてはいたものの敢えて口を挟まなかったことを意味すると主張するが、名古屋駅東工区や南アルプストンネル長野工区に関して被告会社A2が強い利害関係を有していたことなどを前提とすると、被告人A410の供述に基づくA2側弁護人の主張は採用できない。 ⑶ 競争性の存否についてア 争点の概要等A1側弁護人及びA2側弁護人は、本件各工事の見積り・施工は事前検討を行っていない建設会社には不可能であり、本件各工事について現実的に受注可15能な建設会社は事実上一つの事業者に限られていた、C2は当該事業者に受注させることを決定しており、競争によって受注事業者を選定する意思を有していなかったなどと主張し、本件各工事について本件合意の前に競争が存在しない状態になっていた旨主張する。 以下、原審各弁護人が指摘する点に沿って本件各工事の競争性の存否につい20て検討することとする。 イ 見積り・施工の客観的可能性等について原審各弁護人の主張 状態になっていた旨主張する。 以下、原審各弁護人が指摘する点に沿って本件各工事の競争性の存否につい20て検討することとする。 イ 見積り・施工の客観的可能性等について原審各弁護人の主張の骨子A1側弁護人及びA2側弁護人は、本件各工事は、一連のリニア中央新幹線関連工事の中でも特に技術的な難易度の高い工事であり、また、C2の発注図25書等による情報提供は不十分なものであったから、高い技術力を有する建設会 - 39 -社であったとしても、長期間にわたる徹底した技術的検討なしには、3か月という期限内に合理的な施工計画の作成及び積算業務を完了することも、工期内に安全かつ確実に施工することも不可能であった旨主張する。 見積り・施工の客観的可能性等についての前提事実関係証拠を総合すれば、以下の前提事実が認められる。 5a 品川駅工事の概要① 東海道新幹線の品川駅の地下に、その営業を続けながら、並行する形でリニア中央新幹線品川駅を新設する工事である。 ② 東海道新幹線の線路の下に、工事桁と呼ばれる鉄骨を埋め込み、これによってその下の地中梁から線路を支える構造とし、線路下の掘削を可能にする10(工事桁架設)。 ③ 東海道新幹線品川駅の地下に、掘削時に周囲が崩れてくるのを防ぐなどするために、鉄筋コンクリート製の壁を打設して、リニア中央新幹線品川駅の新設箇所を囲み込む(地中連続壁)。 ④ 地中連続壁の内側を掘削して作業スペースを確保した上で、工事中の基15礎杭となり、後には地下駅の中柱となる構真柱を打設する(構真柱構築)。 ⑤ 構真柱の上部に上床版と呼ばれる鉄筋コンクリート製の板(後にリニア中央新幹線駅函体の天井部分となるもの)を架設する。上床版とその上の地中梁の間に多数のジャッキを設置して、ジャッキを制御 築)。 ⑤ 構真柱の上部に上床版と呼ばれる鉄筋コンクリート製の板(後にリニア中央新幹線駅函体の天井部分となるもの)を架設する。上床版とその上の地中梁の間に多数のジャッキを設置して、ジャッキを制御しながら東海道新幹線の品川駅・駅ビル・線路等の荷重を既設の杭で支える状態から上床版及び構真柱20で支える状態に受け替える(アンダーピニング)。 ⑥ 既設の杭のうち上床版から下の部分を切断して、上床版の下部を掘削し、リニア中央新幹線品川駅の函体を構築する(地下函体構築)。 ⑦ リニア中央新幹線品川駅の函体の内部に各種の設備を設置し、また、工事桁の撤去・埋め戻し等を行う(駅設備設置)。ジャッキを設置していた空間25は埋め戻されて補強され、東海道新幹線の品川駅・駅ビル・線路等の荷重を全 - 40 -て構真柱を含む地下駅全体で支える構造となる。 b 名古屋駅工事の概要① 東海道新幹線名古屋駅及び在来線名古屋駅の地下に、その営業を続けながら、交差する形でリニア中央新幹線名古屋駅を新設する工事である。 ② そのうち、東海道新幹線及び在来線の鉄道直下である中央部が中央工区5であり、その東側及び西側は後に出件される予定であった。中央工区は、東側から順にタワーズ車路部、在来線部、新幹線部及び西口駅広部と呼ばれる部分によって構成されていた。 ③ 新幹線部の工事をみると、地中連続壁を構築し、構真柱や上床版を設置し、東海道新幹線の線路が乗る高架橋を上床版で支える構造に受け替え、上床10版の下の掘削と中床版等の構築を繰り返してリニア中央新幹線名古屋駅の本体構造物を完成させるというものであった。 c 工事管理者についてC2では、営業線近接工事に関しては、作業範囲ごとに工事管理者を配置することを求めていた。この工事管理者の資格は、土木建築 駅の本体構造物を完成させるというものであった。 c 工事管理者についてC2では、営業線近接工事に関しては、作業範囲ごとに工事管理者を配置することを求めていた。この工事管理者の資格は、土木建築会社の技術職員でC152が発注する営業線近接工事における現場管理業務の一定年数以上の経験や所定の講習の受講などの要件を充足した者に対し、申請に基づいて付与されるものである。工事管理者のうち、新幹線の駅・線路に係るものが「工事管理者(新幹線)」(「新幹線工事管理者」)と、在来線の駅・線路に係るものが「工事管理者(在来線)」(「在来線工事管理者」)と呼ばれていた。 20d 被告会社等4社の施工実績・技術力等一般について被告会社等4社は、いずれもスーパーゼネコンと呼ばれ、豊富な施工実績、高い技術力、充実した組織力及び潤沢な資金力を有する大手総合建設業者であり、平成29年3月期において、土木工事の年間完成工事高がいずれも2800億円を超え、土木・建築工事を併せた年間完成工事高において業界1位25ないし4位を占めていた。 - 41 -また、被告会社等4社は、いずれも現に営業している鉄道駅等の直下におけるアンダーピニング工事を施工した経験を有していた。 ⒝ C2は、品川駅工事開削工区(品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事)への競争参加事業者を指名するに当たり、平成26年12月18日、中央新幹線建設部長以下、複数の職員で構成される請負業者選定委員会を開催し、5ゼネコン各社の技術力、施工能力、施工実績及び資金力等を経営事項審査総合評点(いわゆるP点)及び新幹線工事管理者の有資格者数により評価するとともに、営業線近接工事の施工実績の有無・内容を検討し、被告会社等4社について、これらがいずれも高い水準にあるなどと判断して、前記 評点(いわゆるP点)及び新幹線工事管理者の有資格者数により評価するとともに、営業線近接工事の施工実績の有無・内容を検討し、被告会社等4社について、これらがいずれも高い水準にあるなどと判断して、前記各工事について、被告会社等4社を指名する指名競争見積の方式で出件することを決定した。 10C2は、名古屋駅中央工区全工事の競争参加事業者を指名するに当たっても、平成27年4月17日、中央新幹線建設部名古屋建設部長以下で構成される請負業者選定委員会を開催し、経営事項審査総合評点(いわゆるP点)、新幹線工事管理者や在来線工事管理者の有資格者数及び営業線近接工事の施工実績等を前提にして、被告会社等4社を指名する指名競争見積の方式で出件すること15を決定した。 e 品川駅工事開削工区についてB2は、社内に擁する土木技術者数においてB1及び被告会社両社に劣っていたが、品川駅工事開削工区に含まれる難工事とされていた工事桁工事に関しても、新幹線の工事桁工事の経験はなかったとはいえ、在来線の工事桁工事の20施工実績は有していた。このため、出件前から、品川駅工事開削工区が2工区に分割されて出件された場合には、JV代表者として1工区の受注を目指すという方針の下、C2に対して工区分割を促す営業活動を行い、実際に品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事が分割して出件されると、品川駅北工区全工事の受注を目指していた。また、B2は、品川駅工事開削工区に係る各工事25の競争見積において、見積り及び技術提案の作業を独自に行い、所定の期間内 - 42 -にC2に見積書及び技術提案書等を提出しており、実際に、受注した品川駅北工区その1工事について、問題なく施工している。 被告会社両社は、品川駅工事開削工区について、B1のような事前の技術的検討を行っ C2に見積書及び技術提案書等を提出しており、実際に、受注した品川駅北工区その1工事について、問題なく施工している。 被告会社両社は、品川駅工事開削工区について、B1のような事前の技術的検討を行ってはいなかったものの、いずれも地下駅建設工事に関して高い技術力を有していたほか、品川駅工事開削工区に係る各工事の競争見積において、5技術提案等の作業を独自に行い、それぞれ所定の期間内にC2に提出していた。 また、被告会社A1のl支店においては、自社が受注を目指していた品川駅非開削工区等に加えて品川駅北工区全工事を受注しても施工が可能であると考えて、同工事の受注を真剣に目指して見積り及び技術提案等の作業を行っていた。 10f 名古屋駅中央工区についてB1は、名古屋駅中央工区全工事の一部を切り出して出件された名古屋駅中央西工区1期工事の競争見積手続に参加した際には、独自に見積り及び技術提案等の作業を行い、所定の期間内にC2に提出した上、被告会社A1のものを上回る加算点を得ており、受注後も実際に問題なく施工している。 15B2は、名古屋駅中央工区全工事の見積り及び技術提案等の作業を独自に行い、所定の期間内にC2に提出していた。 被告会社A2は、かつて地下鉄桜通線名古屋駅の西工区工事を施工してアンダーピニング工事の施工実績を有していたほか、被告会社A1JVに参加して名古屋駅中央工区の東側に隣接するJRゲートタワーの建設工事を施工した経20験を有しており、本件当時は、地下鉄東山線のアンダーピニング工事が含まれる名古屋駅東工区の工事の受注を目指していたほか、名古屋駅中央工区全工事の技術提案等の作業を独自に行い、所定の期間内にC2に提出していた。 原審各弁護人が本件各工事の見積り・施工の困難性に関して主張する諸事情25A1 目指していたほか、名古屋駅中央工区全工事の技術提案等の作業を独自に行い、所定の期間内にC2に提出していた。 原審各弁護人が本件各工事の見積り・施工の困難性に関して主張する諸事情25A1側弁護人及びA2側弁護人は、本件各工事の見積り・施工の困難性に関 - 43 -して、以下の趣旨の主張をする。 a 主として見積手続に関する主張本件各工事の出件方法は、見積りを求めるだけでなく、施工計画の作成も建設会社に検討させるものであり、また、参考見積書、技術提案書、施工計画は、いずれも実際の施工を前提とするものを各期限までに提出しなければならなか5った。しかし、出件時の発注図書に付された図面は、技術提案の検討や各工種の見積りを行う上で質、量ともに極めて不十分であった。また、質問回答手続においては、品川駅工事に関して約750問、名古屋駅工事に関して約700問の質問が提起されているが、そもそもこれほどの質問が提起されること自体出件図書の不十分さ、あいまいさを示しているといえる上、C2の回答の中に10は、「各社の施工計画による。」「各社で計測されたい。」などといった質問者の疑問に正面から答えていないものが多数認められた。事前の準備検討をしていなかった建設会社が、指定された3か月という期間で現実の施工を前提とする技術提案書、参考見積書を作成することは客観的に不可能であった。いかに人員を投入しようとも、本件各工事に関して被告会社A1やB1が長年にわたっ15て行ってきた技術的検討を3か月以内に終わらせることは不可能であった。 b 主として工事内容に関する主張品川駅について① 品川駅工事開削工区においては、東海道新幹線の軌道4線全てを合計123個もの工事桁で受ける必要があった。工事桁の架設工事の作業時間は、東20海道 て工事内容に関する主張品川駅について① 品川駅工事開削工区においては、東海道新幹線の軌道4線全てを合計123個もの工事桁で受ける必要があった。工事桁の架設工事の作業時間は、東20海道新幹線の終電から翌日の始発までの限られた時間に限定されており、その時間の中で一定の工事を遂げた後、枕木や砕石の復旧作業を終え、また別の機会に一連の作業を行う必要があり、高精度かつ分単位の緻密な計画(サイクルタイム)を策定することが不可欠であった。また、工事桁及びその架設に用いる受架台については、C2が定めた時期に支給される計画となっていたため、25その支給時期に合わせて作業の工程を組む必要があった。 - 44 -地面とその上にある既設構造物との距離が短い条件下(低空頭)の箇所もあり、地中に多数の基礎杭があり、工事材料や工事機械の搬入路が1本しかなく横幅も狭いなどといった条件下で、地中連続壁を約55メートルないし60メートルの大深度まで構築するため、硬質な地層を掘削する必要があった。このため、これらの特殊条件に対応した掘削機械を新規に開発する必要があった。 5構真柱建込み工事については、低空頭下かつ多数の既設構造杭が存在する中で、鋼管を効率的につなぎ合わせ、精緻な設置作業を行う必要があった。構真柱に使用する鋼管も肉厚かつ大口径の特殊なものであった。 北工区については駅ビル1棟と東海道新幹線軌道4線、南工区については駅ビル2棟と東海道新幹線軌道4線をアンダーピニング工で仮受けする必要があ10ったところ、総延長約450メートルという広範囲で、3棟の既設駅ビルと軌道4線の変位を高い精度で制御し、施設の健全性や鉄道の安全性を確保するという極めて高い技術が要求された。 地下水位が高い地盤条件の中で、深さ50メートル以上の掘削をしなけ 囲で、3棟の既設駅ビルと軌道4線の変位を高い精度で制御し、施設の健全性や鉄道の安全性を確保するという極めて高い技術が要求された。 地下水位が高い地盤条件の中で、深さ50メートル以上の掘削をしなければならず、様々な地下水対策を行う必要があった。 15また、既設品川駅の直下を掘削するため、施工範囲に電気、電話等に関する様々な既設埋設物があり、これらを一切損傷することなく施工するための工夫が要求された。 そして、施工の過程で重大な事故等が発生した場合に、東海道新幹線やC4の主要在来線に支障を生じ、多額の経済的損失が生じるおそれがあり、また、20工期も10年以上と長く、施工リスクは甚大であった。 ② B1は、C2の事前検討依頼に応えるなどする一方で、様々な技術・機械の開発に取り組んでおり、品川駅工事を安全かつ確実に施工するために、低空頭下かつ大深度の構真柱建込技術、低空頭下かつ大深度の地中連続壁施工技術、地下水対策、多数のジャッキを統合管理して高精度な変位制御を可能とす25るアンダーピニング技術等の検討を進め、アンダーピニング技術、掘削機械、 - 45 -機械式継手の嵌合機等について特許を取得していた。B2も、B1ほどではないにせよ、出件以前から綿密な技術検討をしていた。 ⒝ 名古屋駅について① 名古屋駅中央工区全工事においては、東海道新幹線の高架橋が崩壊しないように、わずかの地盤沈下や高架橋構造物の変形も許されない0.1ミリメ5ートル単位での高精度の施工が要求されていた。 東海道新幹線の高架橋及び在来線の直下という非常に狭い空間において、地下水位も高く、非常に強固な地盤もある地層を地下深くまで掘削することが要求されていた。 現場の地層は、水分を豊富に含む帯水層が多く、地下水が非常に豊富でその10流れも 常に狭い空間において、地下水位も高く、非常に強固な地盤もある地層を地下深くまで掘削することが要求されていた。 現場の地層は、水分を豊富に含む帯水層が多く、地下水が非常に豊富でその10流れも非常に早く、崩落性の高い崩れやすい地盤であった。そのような中で、施工深度40メートルという大深度まで掘削して地中連続壁を構築する工事を行うため、地下水対策を徹底する必要があった。 構真柱の建込工事も、地下水が多いなどという厳しい条件下であったにもかかわらず、極めて厳しい管理基準値が設定されていた。 15工事桁架設工事、様々な地中埋設物への対応も必要であり、営業中の巨大な駅の直下ということもあり、工期も10年以上と長く、施工上のリスクは甚大であった。 ② 被告会社A1は、C2の事前検討依頼に応えるなどする一方で、以下のような技術開発や施工上の課題の検討などを進めていた。このため、名古屋駅20中央工区全工事については、このような検討を行っていた被告会社A1でなければ、工期内に安全かつ確実に施工することができなかった。 構真柱については、低空頭下であることなどもあって、肉厚40ミリメートルの鋼管を継ぎ足していく必要があり、その方法として多くの箇所で機械式継手の方法を使用する必要があったが、当時、肉厚40ミリメートルの鋼管に適25用できる機械式継手は製造販売されていなかった。被告会社A1においては、 - 46 -名古屋駅中央工区全工事の出件以前に、肉厚40ミリメートルの構真柱を機械式継手で接続する方法を開発していた。 また、C2は地中連続壁のコンクリートに関して高い強度を要求していたが、被告会社A1はこのようなコンクリートを切削する施工方法を発明していた。 そして、C2は、函体と地中連続壁を鉄筋によって接続する本体一体連壁の5 続壁のコンクリートに関して高い強度を要求していたが、被告会社A1はこのようなコンクリートを切削する施工方法を発明していた。 そして、C2は、函体と地中連続壁を鉄筋によって接続する本体一体連壁の5施工を求めていたところ、被告会社A1は、この方式を採用した場合の地下水侵入を防止する方法を発明していた。 被告会社A1は、超低空頭でも地中連続壁工事を可能とする機械を設計し、試験機の製作を行っていた。 ⒞ 工事資格者・施工体制について10① 被告会社A2は、本件各工事を想定した施工体制構築のための準備を指名まで全く行っておらず、他の重要顧客の工事を複数抱えており鉄道土木工事の人的体制に全く余裕がなく、本件各工事の施工に必要な資格者やその他の技術者を確保することは不可能であった。 本件各工事の施工に当たっては技術者を相当数配置する必要があるところ、15品川駅工事開削工区と名古屋駅中央工区全工事の工期は重複しており、また、各ゼネコンとも有資格者数には限りがあったため、両工事を並行して施工することは不可能であった。長年品川駅工事の技術的検討を行ってきたB1は品川駅工事の受注を目指すこととなるが、それは名古屋駅中央工区全工事を受注できなくなることを意味し、B2についても同様である。同様に被告会社A1も20名古屋駅中央工区の受注を目指すこととなり、それは品川駅工事開削工区の受注ができなくなることを意味する。 ② B1は、品川駅工事開削工区の受注に向けて、被告会社A1は、名古屋駅中央工区全工事の受注に向けて、それぞれ工事管理者の資格保有者確保の観点から、C2に営業線近接工事の発注を依頼するなどしていた。 25c 被告会社A2の技術提案等の内容に関する主張 - 47 -実際に、被告会社A2の本件各工事に関する技術提案や施 保の観点から、C2に営業線近接工事の発注を依頼するなどしていた。 25c 被告会社A2の技術提案等の内容に関する主張 - 47 -実際に、被告会社A2の本件各工事に関する技術提案や施工計画は、B1や被告会社A1のものと比して大きく見劣りするものであり、具体性・実現性が極めて乏しいものであった。 工事桁架設工事について被告会社A2は、品川駅工事開削工区の工事桁工事に関し、一部の作業につ5いてサイクルタイムを作成することができず、4つの作業を同時に行うという現実的でない部分がある全体工程表しか作成できず、実際に使用可能であるか不明な場所に仮設ヤードを設置することとしていた。 ⒝ 地中埋設物への対応について被告会社A2は、品川駅工事開削工区について、発注図書及び質問回答手続10によっても地中埋設物の全容が分からなかったため、過去の事例を参考にして、概算の値で積算を行うしかなかった。 また、被告会社A2は、名古屋駅中央工区全工事について、地中埋設物を損壊することなくその周囲の地盤のみを掘削する方法として、ラッピングウォール工法による透かし掘りを提案したものの、その実現性を担保するための検討15や実験を行うことはできていなかった。 ⒞ 掘削機械について被告会社A2は、品川駅工事及び名古屋駅工事において、低空頭かつ狭隘な空間での大深度の地中連続壁構築のための各種掘削機械が必要であると判断したものの、それらの仕様・寸法すら決めることができないまま、それらの調達20が間に合うことを所与の前提とせざるを得ず、搬入・搬出等の手順も検討できていなかった。 ⒟ 構真柱建込みについて被告会社A2は、品川駅工事開削工区について、構真柱の建込み作業の精度確保のために、深礎工法に加えてレーザーを用いた目視による確認 搬出等の手順も検討できていなかった。 ⒟ 構真柱建込みについて被告会社A2は、品川駅工事開削工区について、構真柱の建込み作業の精度確保のために、深礎工法に加えてレーザーを用いた目視による確認を行う工法25を提案したが、同工事で安全確実に施工できるとの技術的裏付けはなかった。 - 48 -また、被告会社A2は、肉厚・大口径の鋼管を機械式継手でつぎ足すための低空頭のつり込み機や嵌合機の仕様を決めることができず、これに関する見積りは概算での算定にならざるを得なかった。 また、被告会社A2は、名古屋駅中央工区全工事の構真柱建込みに関して、パイプドリル工法、構真杭ドライ施工法(ODP工法)で施工するとの提案を5行ったが、同工事の施工条件下で現実の施工が可能であるか否かや必要な新規機械の製作が可能か否かの検証はできていなかった。 また、被告会社A2は、肉厚40ミリメートルの鋼管に適用できる機械式継手が開発される見込みがあることの確認もないまま、そのような機械式継手で鋼管を接合する旨の提案を行った。 10アンダーピニング工について被告会社A2は、品川駅工事開削工区のアンダーピニング工に関して、C2から既設駅ビルの構造等に関する情報の提供を得られなかった。このため、被告会社A2は、ジャッキに導入する応力を一般的な数値である120パーセントとすることはできず、100パーセントとする前提で施工計画を立てざるを15得ず、C2が示したジャッキの配置及び荷重の値を前提として、既設駅ビルの健全性を保ちながらアンダーピニング工事を行えるか否かの検証(設計照査)も行えていなかった。また、被告会社A2は、多数のジャッキを制御するために、多数の人員が計測器の数値を読み取り、それを基にジャッキを調整するという、人手に依存した施工方法の か否かの検証(設計照査)も行えていなかった。また、被告会社A2は、多数のジャッキを制御するために、多数の人員が計測器の数値を読み取り、それを基にジャッキを調整するという、人手に依存した施工方法の大枠を提示するにとどまった。 20⒡ 地下水対策について被告会社A2は、品川駅工事開削工区について、B1やB2のように浸透流解析を実施できなかった結果、工期や工費の増大要因ともなり物理的に他の工事の妨げともなるディープウェル(地下水揚水のための井戸)の多数設置を行う計画を立てざるを得なかった。 25被告会社A2は、名古屋駅中央工区全工事について、ディープウェルとリチ - 49 -ャージウェルを組み合わせる施工方法を提案したが、浸透流解析や実験での効果検証を行うことができていなかった。 ⒢ 工程全般について被告会社A2の品川駅工事開削工区の工程表は、南工区の3次掘削の施工速度が途中で不自然に速まり、本来掘削の速度が遅くなるはずの4次掘削から最5終掘削の施工速度が速まっており、南工区の構真柱の建込工事の中に、実際に施工可能かの検討を何ら経ることなく、2か所で同時に施工することとされている部分があり、地中連続壁の掘削機械の調達が間に合わないにもかかわらず、間に合う前提で工程が組まれているなど、現実性を欠いたものであった。 d 経営判断の限界等に関する主張10本件各工事のような難易度・規模の工事において事前の技術検討を行っていなかったゼネコンが期限内に合理的な参考見積り及び施工計画を提出できないというのは、単に見積りの精度に相対的な差が生じるという問題ではなく、数百億円単位の赤字や工事を完成することができない事態に至るリスクを抱えることを意味し、これらのリスクはたとえ大手ゼネコンであっても抱えることが15許され 相対的な差が生じるという問題ではなく、数百億円単位の赤字や工事を完成することができない事態に至るリスクを抱えることを意味し、これらのリスクはたとえ大手ゼネコンであっても抱えることが15許されない性質・規模のものであって、そのような参考見積書を作成・提出するといった経営判断は合理的なものとはいえず、取締役の善管注意義務に違反するようなものであって、そのような状態が独占禁止法2条4項にいう「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態とはいえない。 20大手ゼネコンといえども人的・物的資源には限りがあり、工事を安全確実に施工するためには、適切な人員の確保はもちろんのこと、必要な技術、機械の開発、調達、検証等がされていなければならず、本件のような前例がないと評されるほどの難工事の場合にはこの点が極めて重要になる。多数の鉄道土木工事技術者を確保するとなれば、相当な期間をかけて、他の重要な鉄道工事との25兼ね合いを調整し、無資格者に施工経験を積ませるための工事を事前に受注し - 50 -ておくなどの準備活動が必要である。受注を目指していた工事ではない工事のために施工体制を組むとなると、受注戦略に多大な影響を及ぼすだけでなく、重要な顧客を発注者とする鉄道工事の遂行にも支障をもたらす結果になることが明白であり、企業がそのような経営判断を行うとすれば独占禁止法2条4項にいう「通常の事業活動の範囲」を逸脱するものであって、当該ゼネコンの5「事業活動の態様」に「重要な変更」を加えるものである。 検討a 被告会社等4社の基本的施工能力等について前記のとおり、被告会社等4社は、経営事項審査総合評点や工事管理者の有資格者数といった客観的指標に 」に「重要な変更」を加えるものである。 検討a 被告会社等4社の基本的施工能力等について前記のとおり、被告会社等4社は、経営事項審査総合評点や工事管理者の有資格者数といった客観的指標にも表れているように、国内のゼネコン各社10の中でも格段に高い技術力、経営規模を有しており、鉄道工事の実績も十分であったと認められる。 ⒝ また、前記のような前提事情に加え、①被告会社等4社のいずれも品川駅工事開削工区において難易度が高いとみられていたアンダーピニング工に関して相応の施工経験があること、②aが、品川駅工事開削工区について、B115の特許技術がなければ施工できないということはなく、被告会社等4社のうちB1以外の会社が品川駅工事開削工区を施工することも不可能ではない旨供述していること、③被告会社A1関係者らも、一定の留保をつけるなどしつつも名古屋駅中央工区全工事に被告会社等4社のうち被告会社A1以外の会社に施工が不可能なものはない旨供述していること等も踏まえると、同等の品質の施20工が可能であるかはともかく、本件各工事を構成する各工種に被告会社等4社のいずれかが施工できないようなものは含まれていなかったと認められる。 b 見積りの客観的可能性について本件各工事の難易度が高く、大規模であり、C2から相応の情報提供が行われてはいたものの、必ずしも十分とはいえない部分もあり、ゼネコン各社25が検討しなければならない課題やリスクも多く、ゼネコン各社の負担が重かっ - 51 -たこと、それらに照らして本件各工事における参考見積書、技術提案書等の提出期間である3か月という期間が相当短い期間であったことについては、ゼネコン関係者の供述がほぼ一致しており、否定できないところである。 ⒝ しかし、被告会社等4社は、実際に 見積書、技術提案書等の提出期間である3か月という期間が相当短い期間であったことについては、ゼネコン関係者の供述がほぼ一致しており、否定できないところである。 ⒝ しかし、被告会社等4社は、実際に、いずれも所定の期間内に独自に参考見積書、技術提案書等を作成してC2に提出しているのであって、そのこと5自体、事前検討を行っていなかったゼネコンが見積りを所定の期間内に行うことが不可能とはいえなかったことを示すものである。なお、前記のように平成27年3月に被告会社A1からの依頼に応じてB1が工事桁に関する資料を交付しているが、被告会社A1社内において名古屋駅受注を優先する人員配置をしていたため同社l支店が限られた人員で積算作業を強いられていたことも踏10まえると、被告会社A1が同資料がなければ品川駅工事開削工区の見積りを行うことが技術的に不可能であったことを示す事情とはいえない。 ⒞ 原審各弁護人は前記のように手続や工事内容等について種々の主張をするが、ゼネコン側の見積り作業の負担が重かったことを示してはいるものの、被告会社等4社に見積り自体が不可能であることを示すものではない。 15c 施工の客観的可能性についてB1や被告会社A1の事前検討の成果について品川駅及び名古屋駅の個別事情を前提とする本件各工事の難易度・規模を踏まえると、原審各弁護人がB1及び被告会社A1の事前検討に基づく技術面での成果として挙げる各点が本件各工事を施工する上で安全性・確実性を高める20ために有効であったことは否定できない。しかし、そのことが被告会社等4社のうち他の会社において、事前検討を行っていた事業者と同等の品質の施工が可能であるかはともかく、本件各工事を施工することが不可能であることを直ちに意味するものではない。 ⒝ B2及びB1に 等4社のうち他の会社において、事前検討を行っていた事業者と同等の品質の施工が可能であるかはともかく、本件各工事を施工することが不可能であることを直ちに意味するものではない。 ⒝ B2及びB1による工事施工の事実について25そして、B2が品川駅北工区その1工事を受注して問題なく施工しており、 - 52 -B1が名古屋駅中央西工区1期工事を受注して問題なく施工している。確かに、品川駅北工区その1工事及び名古屋駅中央西工区1期工事は品川駅北工区全工事及び名古屋駅中央工区全工事の一部を切り出して出件された工事であり、A1側弁護人及びA2側弁護人はこの際B2及びB1の施工困難な点を除いて切り出されたものであると強調するが、少なくとも、最初に出件された各工事の5うち品川駅北工区その1工事及び名古屋駅中央西工区1期工事の各工事に含まれている範囲内(高い技術が求められるとされる地中連続壁工も含まれる。)では、B1及び被告会社A1が行ったような長期間の事前検討が必ずしも施工に当たって不可欠とはいえなかったことが示されているといえる。 ⒞ 品川駅工事開削工区のアンダーピニング工について10品川駅工事開削工区のアンダーピニング工が、大規模で高い精度を求められる難工事であることについては関係者の供述が一致している。とはいえ、B1のようなアンダーピニング用統合管理システムを開発していなかったB2も被告会社A1のl支店も、アンダーピニング工を含む品川駅北工区全工事の受注を真剣に目指していたのであり、そのような方針の下で活動していた関係者ら15は、品川駅工事開削工区のアンダーピニング工を自社が施工できないとは考えていなかったと認められる。A2側弁護人は前記のように問題のある提案であったと主張するものの、被告会社A2もアンダーピニング は、品川駅工事開削工区のアンダーピニング工を自社が施工できないとは考えていなかったと認められる。A2側弁護人は前記のように問題のある提案であったと主張するものの、被告会社A2もアンダーピニング工の施工方法の提案を行ってはいる。 ⒟ 名古屋駅中央工区全工事における構真柱の機械式継手について20原審各弁護人が主張するような、肉厚40ミリメートルの鋼管に適用できる機械式継手が製造販売されていないという事実については、質問回答手続の中で被告会社A1がこの点に関する質問をしたのに対してC2が肉厚30ミリメートルの鋼管用の機械式継手を用いて対応されたいという旨回答し、これが被告会社等4社全体に周知されていたことから、鋼管のいかなる厚みが最適であ25るかはともかく、質問回答の手続上は解決されていたといえる。 - 53 -高い強度のコンクリートを切削する技術についてC2が要求していた高い強度のコンクリートを切削する技術(地中連続壁工に関連するもの)については、被告会社A1の技術者の原審公判供述によっても、同社の特許技術がなくとも施工が不可能ではないと認められる。 ⒡ 超低空頭下用の掘削機械について5品川駅工事開削工区のヒアリングにおいてではあるが、被告会社A2が掘削機械の新規製造が必要であるものの製造業者の能力に照らして時間がかかるという問題についてC2に述べているが、工事の実現可能性の問題には発展するなどしていないことから、直ちに見積り・施工可能性に影響する事項とは考え難い。 10⒢ 小括以上のように、原審各弁護人の主張は、各参加事業者の事前検討の有無等により施工の品質等に差が生じ得ることを示すものであっても、本件各工事を施工することが不可能であったことを示すものとはいえない。また、仮にゼネコンの検討 護人の主張は、各参加事業者の事前検討の有無等により施工の品質等に差が生じ得ることを示すものであっても、本件各工事を施工することが不可能であったことを示すものとはいえない。また、仮にゼネコンの検討未了により作業工程等に原審各弁護人が主張するような問題があるに15もかかわらず当該ゼネコンが工事を受注するという事態が生じたとしても、ゼネコン側の経済的負担や工期等に影響する問題は生じ得るにせよ、C2が計画の修正に応じないなどのために直ちに施工自体が不可能になるという事態までは想定し難い。 d 被告会社A2の技術提案等の問題について20被告会社A2の技術提案等の問題についての原審各弁護人の主張を見ても、事前検討を行っていなかった被告会社A2にとって見積作業等の負担が相当重く、また、事前検討ができなかったためB1等の技術提案等と比べて安全性・効率性において劣る点が存在したことを示してはいるものの、機械式継手や掘削機械の開発に関する点については、品川駅工事開削工区のヒアリングでC225関係者と議論されたが問題とはされていないなど、安全な施工が実現不可能で - 54 -あるなどの理由により技術提案自体が意味のないものであったとまではいえない。 e 施工体制について個別工事の施工体制についてまず、本件各工事に共通して必要とされており、C2が営業線近接工事の施5工能力・実績の指標として用いた新幹線工事管理者の有資格者数について検討すると、新幹線工事管理者等の資格者はJV全体で必要人数を確保していれば足りるとされていた上、現場での経験等による有資格者の補充も可能であったこと、C2関係者の原審公判供述によれば、令和元年9月下旬の時点で実際に工事を施工している各JVが配置した新幹線工事管理者は、品川駅北工区その101 での経験等による有資格者の補充も可能であったこと、C2関係者の原審公判供述によれば、令和元年9月下旬の時点で実際に工事を施工している各JVが配置した新幹線工事管理者は、品川駅北工区その101工事について十数名、品川駅南工区その1工事について四十数名、名古屋駅中央西工区1期工事について10名前後であったこと、被告会社等4社が本件各工事の出件時においていずれも数十名以上の新幹線工事管理者の有資格者を雇用していたこと等を踏まえると、新幹線工事管理者の不足を根拠として被告会社等4社が本件各工事のいずれかを施工することができなかったということ15はできない。 さらに、前記のように被告会社等4社が技術力、経営規模及び鉄道工事の実績において十分なものを有していた上、本件各工事を構成する各工種に被告会社等4社のいずれかが施工できないようなものは含まれていなかったことから、人的・物的資源の割り当て次第では、被告会社等4社は本件各工事を施工する20ことが可能であったと考えられる。 ⒝ 複数の工区の施工について先行していた品川駅工事開削工区について平成27年8月26日に見積合せが行われ、同年9月及び10月にそれぞれ工事請負契約が締結されたことは前記のとおりである。本件公訴事実はこれ以前の本件合意、本件受注事業者決定25及び本件価格連絡の各行為を対象とするものと解されるところ、これらの各行 - 55 -為は、本件各工事の受注事業者が確定していなかった中でされたものであって、本件各工事のいずれかを被告会社等4社のいずれかが受注したことを前提として他の工区の受注の不可能性を主張することは、前提を欠くといえる。また、参加事業者にそれぞれ受注希望工区が存在したからといって、被告会社等4社による合意なくしてそれぞれの希望に応じた受注が確定 として他の工区の受注の不可能性を主張することは、前提を欠くといえる。また、参加事業者にそれぞれ受注希望工区が存在したからといって、被告会社等4社による合意なくしてそれぞれの希望に応じた受注が確定されるわけではない以5上、希望工区が重なっていないことによって競争性が欠けることになるものでもない。 なお、被告会社A1関係者(l支店)は、本件当時、受注に向けた業務に必要な人材の確保や、受注後に必要となる現場の作業員等といった人繰りの問題は、本社が上手に人員配置等の調整を行うことで解決可能と思っていたことを10前提として、名古屋駅中央工区全工事に加えて品川駅北工区全工事等の受注に向けて真剣に取り組んでいた旨供述しており、被告人A4も、被告会社A1、被告会社A2及びB1について、他の鉄道会社の仕事を全部やめてしまえばという留保付きではあるが、品川駅及び名古屋駅の両方を施工できる体力があると認める趣旨の供述をしており、人的・物的資源の割り当てによっては本件各15工事の複数工区を受注することも不可能ではなかったことを認めているといえる。 ⒞ 有資格者の補充に関する原審各弁護人の主張についてA1側弁護人及びA2側弁護人は、有資格者の拡充を可能とする方法があり得たとしても、本件各工事のような極めて難易度が高く、リスクも高い工事を20施工するに当たり、そのような不確実な見込みの数字を前提にして施工体制を構築することなどできず、新たに有資格者となったばかりの者に任せられないと主張する。 しかし、C2関係者の原審公判供述によれば、品川駅北工区その1工事、品川駅南工区その1工事及び名古屋駅中央西工区1期工事を受注したゼネコンは25それぞれ実際に有資格者を補充しながら工事を進めているところであって、原 - 56 -審各弁護人 区その1工事、品川駅南工区その1工事及び名古屋駅中央西工区1期工事を受注したゼネコンは25それぞれ実際に有資格者を補充しながら工事を進めているところであって、原 - 56 -審各弁護人の主張は採用できない。 f 見積り・施工の客観的可能性に関する関係者の供述についてB1関係者は、品川駅工事開削工区に関して、被告会社等4社のうち事前検討を行っていない会社であっても、相当の困難は伴うものの、見積りや施工が不可能であったとはいえないという趣旨の供述をしている(aは、かつて5hに対して「数か月で見積るのは事情を知っている会社でないと無理である」旨の発言をしたことを認めているが、aの供述全体の中でみれば、この発言も、事前検討を行っていない会社にとっては見積りの負担が相当なものとなり、精度の高い見積りはできないという趣旨でされたものと解される。)。 B2関係者は、品川駅南工区全工事をもし受注したとしても施工はする旨供10述しており、B1関係者は、hの競争手続参加依頼に際して同社が拒否した部分に相当する名古屋駅中央東工区1期工事についても、受注すれば施工できるがやりたくはないと思っていたという旨の供述をしている。 これらの供述は、前記のような認定に沿い、これを支えるものといえる。 ⒝ A1側弁護人は、B1の開発した技術の品川駅工事開削工区における必15要性に関して、①平成26年5月のC2との打合せにおいてB1関係者が同社の開発したアンダーピニングシステムに関して「従来のシステムでは実現不可能と考えた」と発言していること、②B1関係者が原審公判廷でB1が品川駅工事開削工区のために開発した技術(構真柱特殊嵌合機等)に関して「必要だと思っていた」旨供述したことを指摘して、これら技術がなければ品川駅工事20開削工区を施工 関係者が原審公判廷でB1が品川駅工事開削工区のために開発した技術(構真柱特殊嵌合機等)に関して「必要だと思っていた」旨供述したことを指摘して、これら技術がなければ品川駅工事20開削工区を施工することは不可能であったと主張している。しかし、これらはいずれもB1関係者が自社技術の有用性について供述している場面(特に①は発注者にアピールしている場面)であることを踏まえれば、直ちにそれらの言葉が額面どおりの意味を持つものとすることはできず、前記認定を左右するものではない。 25⒞ その他、A1側弁護人は、ゼネコン関係者やC2関係者の発言を指摘し - 57 -て、特定のゼネコンの技術がなければ本件各工事を施工することは不可能であった旨主張するが、いずれも当該技術の有用性を示すものではあっても、当該技術を持たない他の事業者による工事の施工が不可能であることを示すものとまではいえない。 g 経営判断の限界等について5本件各工事の難易度・規模に照らして、事前検討を行っていなかったゼネコンが本件各工事の見積り・施工に当たって負うリスク、受注戦略への影響及び他の重要顧客の工事への影響等が大きいものであったことについては、ゼネコン関係者の供述がおおむね一致しており、否定できないところである。 しかし、前記のような被告会社等4社の基本的な施工能力や施工実績、本件10各工事の見積り・施工の客観的可能性に関する各事情の検討のほか、C2が本件各工事に関し指名競争見積方式を採用する判断をしたことに加え、技術評価委員会において各社の提案で明らかに不適格であるとの評価をされたものもなかったことにも照らすと、事前検討を行っていなかったことなどによるリスク等を負担して指名競争見積手続に参加する経営判断が、原審各弁護人が主張す15るほどに不 不適格であるとの評価をされたものもなかったことにも照らすと、事前検討を行っていなかったことなどによるリスク等を負担して指名競争見積手続に参加する経営判断が、原審各弁護人が主張す15るほどに不合理で違法性を帯びる程度に至っていたということはできない。よって、本件各工事について独占禁止法2条4項にいう「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態を逸脱していたとはいえない。 h 小括20以上の検討を踏まえると、本件各工事の難易度・規模その他原審各弁護人の主張する事情を踏まえても、本件各工事について見積り・施工が客観的に不可能であったとはいえず、この点によって独占禁止法上の競争性が失われるものではないというべきである。 ウ C2が、特定の事業者に発注することを決定してはおらず、競争によっ25て受注事業者を選定する意思を有していたといえるか否か - 58 -原審各弁護人の主張A1側弁護人は、①本件各工事は、事前検討を行っていた建設会社でなければ期限内に合理的な施工計画の作成及び積算業務を完了することができず、また、工期内に安全かつ確実に施工することはできなかったのであり、このような事情を前提として、C2は、出件のはるか前から、技術力・施工能力等を踏5まえ、将来の受注を前提に、名古屋駅中央工区全工事について被告会社A1、品川駅工事についてはB1に技術検討を行わせており、それぞれの建設会社に発注することを決めていた、②事前検討を行っていない建設会社が本件各工事の見積・施工を行うことが現実的に不可能だと理解していた各建設会社関係者も本件各工事の受注者はあらかじめ決定されているものと認識していたと主張10する。 A2側弁護人 ない建設会社が本件各工事の見積・施工を行うことが現実的に不可能だと理解していた各建設会社関係者も本件各工事の受注者はあらかじめ決定されているものと認識していたと主張10する。 A2側弁護人も、C2は、品川駅工事についてはB1に、名古屋駅中央工区工事については被告会社A1に、適宜必要な情報を提供しながら各種検討業務を依頼し、B2にも平成25年末頃から情報を提供するなどした一方で、他のゼネコンには情報提供すらせず、そのことはゼネコン各社の間では周知の事実15となり、C2の幹部も平成25年秋頃には認識していた、C2は、本件合意の成立前に、特定のゼネコンにこれらの工事を施工させると実質的に決定しており、当該ゼネコン以外のゼネコンが本件各工事の施工という役務をC2に供給する余地はなくなっていたと主張する。 C2の意思に関する前提事実20この点に関して、関係証拠から以下の前提事実が認められる。 a 本件ターミナル駅新設工事の発注方法等に関する検討経緯調査設計段階平成20年発注の品川駅及び名古屋駅の調査設計(C2が計画する建築物や土木構造物をいかなる方法でどの程度の工期・工事費をかけて作り上げるのか25を検討する業務。書面上の契約件名は「駅部調査設計⑴」とされている。)に - 59 -ついては、被告会社A1の協力を受ける前提でC5(「C5」)に発注され、その下請関係の中に被告会社A1の関係会社が入っており、実際の検討作業は被告会社A1が関与して行われていた。引き続き行われた平成21年発注の品川駅の調査設計(駅部調査設計⑵)については、B1の協力を受ける前提でC5に発注され、その下請関係の中にB1から紹介された会社が入っており、実際5の検討作業はB1が関与して行われていた。 平成21年発注の名古屋駅の調査 計⑵)については、B1の協力を受ける前提でC5に発注され、その下請関係の中にB1から紹介された会社が入っており、実際5の検討作業はB1が関与して行われていた。 平成21年発注の名古屋駅の調査設計(駅部調査設計⑵)並びに平成22年発注の品川駅及び名古屋駅の調査設計(駅部調査設計⑶)についても、被告会社A1又はB1が関与して検討されていた。品川駅及び名古屋駅に関する調査設計は平成23年3月にC2がC5から成果品を受け取って終了した。 10⒝ 概略設計段階平成23年3月の調査設計終了後も、C2は、品川駅及び名古屋駅の概略設計(調査設計で得られた大まかな設計を、構造物の寸法を定めるなどして深度化し、発注時に競争参加事業者に交付する設計図書として用いることができる程度に具体化する業務。書面上の契約件名は「首都圏ターミナル駅構造物設計15ほか⑴」「同⑵」「中京圏ターミナル駅構造物設計⑴」「同⑵」「同⑶」などとされている。)を順次発注した。これらにおいては、C5への発注に当たり、特定のゼネコンやその関係会社が契約当事者となることはなかった。 ⒞ 発注方法の検討段階C2では、平成24年秋頃から、当時の副社長の指示により、中央新幹線推20進本部長のh及び同本部企画推進部長のm以下の同本部職員が、リニア中央新幹線関連建設工事の発注方法に関する検討を進めていたが、当時は約9兆300億円と見込まれていた東京・大阪間のリニア中央新幹線関連建設工事の総費用をC2が全額自己資金により賄うことを予定していたこともあり、一貫して、競争原理の導入によりコストダウンを図ることが重要方針とされていた。平成2525年5月頃には、mらが、事業者間の競争原理によって徹底したコストダウ - 60 -ンを図りつつ計画の早期実現や高品質な施工を目指し コストダウンを図ることが重要方針とされていた。平成2525年5月頃には、mらが、事業者間の競争原理によって徹底したコストダウ - 60 -ンを図りつつ計画の早期実現や高品質な施工を目指し得る発注方法を採用すべきであるなどとする検討結果を取りまとめて副社長に報告し、その了承を得ていた(この際用いられたメモには、「まずは、競争原理で、入札で競うことで低価格を追求」などという記載がある。)。その頃から、鉄道運転保安に直結する品川駅及び名古屋駅の工事については、スーパーゼネコンといわれる被告会5社等4社を指名して技術提案と価格の両面を競わせる競争見積の方法を採用することが想定されていた。 ⒟ 平成25年11月の検討依頼禁止通知について平成25年11月、C2では、ゼネコン各社に新たに技術的検討を依頼することを平成26年以降は原則として禁止することや、ゼネコン各社からの技術10的検討や提案の申出を受け入れる場合には当該ゼネコンに当該受入れと将来の受注とは関連しない旨告知することなどを決定し、その旨の文書を作成して中央新幹線推進本部職員等に周知していた(「検討依頼禁止通知」)。 被告会社等4社らのC2との接触や事前検討の状況B1は品川駅工事に関して、被告会社A1は名古屋駅工事に関して、C2側15(C2やC5)からの依頼等を受け、施工方法や施工計画の検討や工事金額の算定を行うなどしていたが、これらは、前記の平成25年11月の検討依頼禁止通知の後も、平成26年12月に品川駅工事開削工区が、平成27年4月に名古屋駅中央工区全工事がそれぞれ出件される直前まで継続していた。それらの事前検討の中では、工期・工程の短縮方法、施工計画及び図面の作成検討な20ど工事内容に直結する内容を含む広範かつ詳細な検討事項に関して、多数回、 それぞれ出件される直前まで継続していた。それらの事前検討の中では、工期・工程の短縮方法、施工計画及び図面の作成検討な20ど工事内容に直結する内容を含む広範かつ詳細な検討事項に関して、多数回、B1又は被告会社A1の担当者とC2側の担当者の双方が出席する会議、打合せ等が行われており、C2側からB1又は被告会社A1に、また、B1又は被告会社A1からC2側に、それぞれ資料が提供されるなどしていた。 B2は、平成25年頃までには品川駅工事に関する技術的検討を始めており、25同年11月には同社従業員がC2を訪問して品川駅工事に関する営業活動の進 - 61 -め方について助言を求めるなどし、その後、C2から品川駅工事の図面を入手して工事手順を検討するなどしていた。B2は、遅くとも平成26年2月頃までにはリニア中央新幹線品川駅を特に注力して受注を目指すべき第1順位の案件と位置付けており、平成26年4月にはC2から求められて鋼管杭の機械式継手に関する事例紹介を実施し、その頃C2の工事管理者の有資格者のリスト5アップをするなどしていた。 ⒡ 発注方法の決定C2では、平成26年12月には、鉄道運転保安に直結する工事(品川駅工事開削工区、名古屋駅中央工区全工事を含む。)は基本的に指名競争見積の方式で、それ以外の工事は公募競争見積の方式でそれぞれ出件するという方針に10ついて、経営幹部(会長、社長、副社長)の了承を得た上、具体的な発注方法を定めた通達である「指名競争見積方式及び公募競争見積方式による工事事務取扱要領」を発出し、また、前記方針について、平成27年1月頃までに、社内の会議体にも報告した。 b 本件指名競争見積手続の内容・運用等15品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事についてC2が、品川駅北工区全工事及び について、平成27年1月頃までに、社内の会議体にも報告した。 b 本件指名競争見積手続の内容・運用等15品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事についてC2が、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事への競争参加事業者を指名するに当たって行った平成26年12月の請負業者選定委員会において、被告会社等4社が選定された際の判断が、経営事項審査総合評点、工事管理者資格の有資格者数という客観的指標や営業線近接工事の施工実績に基づいて判20断されたことは前記のとおりである。 前記各工事に関して価格協議先を選定する総合評価方式においては、前記のように、見積書提出者に一律に標準点100点が付与され、それぞれの技術提案等を評価して算出される加算点は10点満点というものであった(この標準点と加算点の合計点を見積価格で除することで評価値が算出され、この評価値25が最も高い業者が第1順位の価格協議先に選定されることは前記のとおり。)。 - 62 -そして、加算点算出のための技術提案等の評価項目、評価基準、得点配分等も規定されていた。これらの事項は競争参加説明書に記載され、被告会社等4社に周知されていた。実際の被告会社等4社の加算点も、B1が7.0点、B2が6.5点、被告会社A1及び被告会社A2がいずれも6.0点というものであった。なお、前記各工事の競争参加説明書には、見積合せ後に手続が不調と5なることについての記載はなかったが、参考見積書提出期限後かつ本見積書提出期限前であった平成27年4月、C2は被告会社等4社に対してC2の基準価格以下での見積書の提出がない場合には不調となる旨の通知を行った。 また、C2は、調査設計及び概略設計の成果に基づく情報等を現場内容説明書等の出件図書に織り込んで被告会社等4社に交付するとともに、 価格以下での見積書の提出がない場合には不調となる旨の通知を行った。 また、C2は、調査設計及び概略設計の成果に基づく情報等を現場内容説明書等の出件図書に織り込んで被告会社等4社に交付するとともに、質問回答手10続を設けて原則として全ての競争参加事業者に質問事項とその回答を伝えていた。 ⒝ 品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事についてC2は、品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事を再出件した際、価格協議先の選定方法として、技術提案等を評価せず、基準価格も設けず、15単純に最も安い見積価格を提出した競争参加事業者を第1順位の価格協議先とする方法を採用することとし、その旨記載した変更競争参加説明書を被告会社等4社に交付して周知した。 また、前記各工事の出件前後も、競争参加事業者からの質問及び回答を被告会社等4社に伝え、同一内容の現場内容説明書を交付するなどしていた。 20⒞ 名古屋駅中央工区全工事についてC2が、名古屋駅中央工区全工事への競争参加事業者を指名するに当たって行った平成27年4月の請負業者選定委員会において、被告会社等4社が選定された際の判断が、経営事項審査総合評点、工事管理者資格の有資格者数という客観的指標や営業線近接工事の施工実績に基づいて判断されたことは前記の25とおりである。 - 63 -C2は、名古屋駅中央工区全工事を出件するに当たっても、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事と同様の総合評価方式(標準点100点に技術提案等の評価に基づく10点満点の加算点を合計し、これを見積価格で除することで評価値を算出し、この評価値が最も高い業者が価格協議先に選定されることとし、加算点算出のための技術提案等の評価項目、評価基準、得点配分等も5あらかじめ規定されているとい を見積価格で除することで評価値を算出し、この評価値が最も高い業者が価格協議先に選定されることとし、加算点算出のための技術提案等の評価項目、評価基準、得点配分等も5あらかじめ規定されているというもの)を採用しており、これらの事項は競争参加説明書に記載され、被告会社等4社に周知されていた。また、前記競争参加説明書において「C2が予定する価格以下での見積書の提出がない場合には、協議先は選定されない。」という旨規定していた。 また、C2は、調査設計及び概略設計の成果に基づく情報等を現場内容説明10書等の出件図書に織り込んで被告会社等4社に交付するとともに、質問回答手続を設けて原則として全ての競争参加事業者に質問事項とその回答を伝えていた。 ⒟ 名古屋駅中央西工区1期工事についてC2は、名古屋駅中央西工区1期工事について、標準点100点と技術提案15を評価して付与する10点満点の加算点の合計点を見積価格で除して算出する評価値の高低によって価格協議先を選定する総合評価方式を採用することとして、その旨記載した競争参加説明書を被告会社A1及びB1に交付して周知した。また、C2は、前記競争参加説明書において、「C2が予定する価格以下での見積書の提出がない場合には、協議先が選定されないことがあり、その場20合の措置は別途通知する。」旨規定していた。 c 被告会社等4社の従業者におけるC2の意思に関する認識を示す各事情aは、平成26年9月頃、C2に対し、リニア中央新幹線関連工事の受注事業者選定方法として、技術評価を重視して選定する手続を採用するよう働きかけていた。 25⒝ 平成26年7月頃、B2社内では、リニア中央新幹線関連工事の受注事 - 64 -業者選定方法についてC2に提案する内容として、技術評価を重視する方法 採用するよう働きかけていた。 25⒝ 平成26年7月頃、B2社内では、リニア中央新幹線関連工事の受注事 - 64 -業者選定方法についてC2に提案する内容として、技術評価を重視する方法が望ましいという議論が行われていた。 ⒞ 被告人A3、被告人A4及びaは、平成26年4月の3社会合において、本件ターミナル駅新設工事を含むリニア中央新幹線関連工事の望ましい発注方法について議論した。 5⒟ bは、平成26年10月、C2中央新幹線建設部品川駅担当課長のnから、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の受注事業者選定方法について、「とにかく金で決まると考えてくれ。」などと言われて価格重視の競争手続を採用する旨伝えられ、平成21年からC2に協力してきたB1が競争させられるのはおかしいのではないかなどと不満を述べたものの、nから、「金がな10いから仕方がない。」などと言われ、当日中に、nとの前記のやり取りをaに報告した。 被告人A3は、平成27年5月、被告会社A1社内において、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の入札最低価格等を決定する「受注工事検討委員会」にオブザーバーとして出席するに当たり、同委員会で発言を求めら15れた場合に備えて手持ち資料を作成し、「C2の狙い」の項に「ゼネコン各社にコスト競争をさせ、工事契約額の低減を図る。」と記載し、「当社の基本方針」の項に「ゼネコン全体で、不必要な価格競争に走らない。(C2は徹底的な価格競争をさせようとしている)」、「入札参加各社が協調して適正な価格で発注させることが最重要。」、「この流れの中で、当社が受注できれば良いが、無理20をする必要はない。」などと自分の考えを記載していた。 また、被告人A3は、平成27年6月、被告会社A1社内において「リニア案件受注 要。」、「この流れの中で、当社が受注できれば良いが、無理20をする必要はない。」などと自分の考えを記載していた。 また、被告人A3は、平成27年6月、被告会社A1社内において「リニア案件受注戦略会議」が開催された際、リニア中央新幹線関連建設工事への被告会社A1の対応方針について、自ら作成した席上配布資料に沿って説明したものであるが、前記資料には、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事につ25いて、「品川駅(北)(南)工区では、3社競争の認識あり」などと記載され、 - 65 -名古屋駅中央工区全工事について、「価格協議先をA11社に絞らせる →3社と当社の価格差30%以上」などと記載されていた。 検討これらの前提事実を踏まえると、以下のように考えられる。 C2は、本件各工事の大規模性や難易度の高さゆえに、出件の相当前の時期5である計画段階から高い技術力を有するスーパーゼネコンから事前検討の協力を得てきた。しかし、発注方法については、安全の確保や計画の早期実現も考慮しながらではあるものの、リニア中央新幹線関連工事の総費用が定められていることを背景として、一貫して競争原理の導入によるコストダウンが重要方針とされた。実際に本件各工事に係る見積合せにおいても、C2は、リニア中10央新幹線計画の早期実現も追求していた中で、事前検討をしていた事業者の見積価格が参加事業者間で最安値となっているにもかかわらず、C2が予定していた基準価格を上回ることなどから手続を不調としたり中止したりして、改めて他の事業者も含めて選定対象とする手続をとるなどしており、コストダウンを強く追求していたことは明らかである。 15そして、本件各工事の出件の方法をみると、具体的な手順が定められており、総合評価方式が採用された場合でも、標準点が 続をとるなどしており、コストダウンを強く追求していたことは明らかである。 15そして、本件各工事の出件の方法をみると、具体的な手順が定められており、総合評価方式が採用された場合でも、標準点が100点あるにもかかわらず、各参加事業者によって差がつく加算点が10点満点でしかない上、その加算点の算出方法も詳細に定められており、単純に見積価格のみで価格協議先が選定される方式が採用された場合もあるのであって、見積価格が相当に重視される20ことが明らかで、C2の恣意が入り込み難い方法が採られているといえる。実際の運用においても、出件後は各参加事業者に見積りや技術提案等に必要な資料・情報について共通化を図る仕組みは備えられており、各社の技術提案に基づいて付与された加算点の差も大きいものではない。 さらに、結局品川駅北工区その1工事についてはB2、名古屋駅中央西工区251期工事はB1という、それぞれ当初から事前検討を行っていたものではない - 66 -事業者が受注したのであって、このことは、C2が当初から受注事業者を決定していたとはいえないことを示している。 そうすると、C2は、コストダウンを追求する方法として、本件各工事に関して被告会社等4社を競争させる意思を有しており、そのために前記のような見積価格が重視され恣意が入り込み難い手続を採用したと認められる。 5また、被告人A3及び被告人A4を含む被告会社等4社の担当者らについても、本件価格連絡を行っていたことに加えて、前記のようにC2が受注事業者をあらかじめ決定していると認識していたとすれば説明がつかない競争を意識した各言動が認められるところであり、C2が前記のような意思等を有していたことは事業者側の担当者らも認識していたといえる。 10以下では、原審各弁護人の主張を たとすれば説明がつかない競争を意識した各言動が認められるところであり、C2が前記のような意思等を有していたことは事業者側の担当者らも認識していたといえる。 10以下では、原審各弁護人の主張を参照しつつ、C2の意思に関して更に検討する。 事前検討依頼をはじめとする諸事情についてa 原審各弁護人の主張A1側弁護人及びA2側弁護人は、C2関係者も、本件各工事は前例のない15難工事であり、長期間にわたる技術的検討が必要である上、技術的協力を行った事業者が競争見積手続において圧倒的に有利な立場に立つことを認識していたにもかかわらず、C2は、B1及び被告会社A1に対して、それぞれ技術的検討を長期間にわたり行わせ、しかも、それは出件の直前まで続いており、これは、名古屋駅工事については被告会社A1に受注させ、品川駅工事について20はB1に受注させるつもりであったからである旨主張する。 また、A1側弁護人及びA2側弁護人は、その他にも被告会社両社の従業者がC2関係者と接触した際の発言、名古屋駅中央工区全工事の指名競争見積手続中止後の被告会社A1との33回に及ぶ打合せ等の様々な事情を指摘して、C2が事前検討を行っていた事業者に受注・施工させる意思を有していた根拠25になる旨主張している。 - 67 -b 事前検討依頼について検討するに、本件各工事の大規模性や難易度の高さゆえに、C2が計画段階から高い技術力を有するスーパーゼネコンの協力を必要としていたことはC2関係者も認めるところである。実際に前記のとおり、C2は、出件前から本件各工事に関してB1及び被告会社A1から事前検討の協力を得て、それに基づ5いて長期間にわたって会議や情報交換等を続け、平成25年11月の検討依頼禁止通知が存在したにもかかわらず、B1及び ら本件各工事に関してB1及び被告会社A1から事前検討の協力を得て、それに基づ5いて長期間にわたって会議や情報交換等を続け、平成25年11月の検討依頼禁止通知が存在したにもかかわらず、B1及び被告会社A1に広範な検討依頼や情報提供等を行い続けていた。B1が品川駅の検討にかけた費用は約10億円に上り、被告会社A1が名古屋駅の事前検討にかけた費用も6億円を超えており、両社が工事受注に向けて抱いた期待も相当に大きかったと考えられる。 10しかし、B1や被告会社A1が事前検討に深く関与していたとはいえ、将来の請負契約を締結する地位を予約するような拘束力はないから、事前検討を依頼するなどしていたことをもって、C2が工事受注事業者を決定していたなどとはいえない。B1や被告会社A1においても、事前検討の早期の段階では発注方法も具体的に定まってはいなかったことを踏まえると、特命随意契約では15ない競争方式が採用される可能性も十分に想定し得たといえる。そして、C2が指名競争見積方式を採用する方針が明らかになる中でも事前検討を継続していたことは、発注方法や加算点の評価等に関し少しでも自社に有利となるよう営業活動を行っていたものとみられるから、事前検討依頼に関する諸事情をもってC2が受注事業者を決定していたとは認められない。 20c C2関係者らの発言について被告人A3は、品川駅に係る駅部調査設計⑵に協力する建設会社が被告会社A1からB1に変更された経緯に関して、平成21年2月にC2関係者から、「将来の施工まで考えるとそのまま検討してもらうのは大変だろうからどちらかを選べ」と言われて被告人A3が名古屋駅を選ぶ旨返答したことが契機とな25っている旨供述している。しかし、出件の5年以上前の発注方法も未定の段階 - 68 -におけ 大変だろうからどちらかを選べ」と言われて被告人A3が名古屋駅を選ぶ旨返答したことが契機とな25っている旨供述している。しかし、出件の5年以上前の発注方法も未定の段階 - 68 -における発言をもってC2の意思決定を示すものとみることはできないし、被告人A3も、この際名古屋駅の調査設計をしている事業者にそのまま名古屋駅を施工させるという直接的な発言はなかったというのであるから、同発言をもって受注事業者が決定されていたとは認められない。 また、B1側で作成されたヒアリング議事録には、平成26年11月にC25関係者が「もちろんA駅(品川駅)は当社(B1)にとらせたいのが本音」と述べたという記載があり、bは、平成27年6月にC2関係者が「O社(B1)でいいと思っている。」と発言したと供述する。しかし、C2関係者からそのような発言があったとしても、工期の短縮や安全性の向上等の観点から受注事業者に関する担当者の希望を述べたと解することはできても、正式な文書や会10議に基づくものではなく、C2がB1に品川駅工事を受注・施工させることを決定していたことを示すものとはいえない。仮にC2関係者から意中の事業者であることを伝えるかのような発言があったとすれば、指名競争見積手続の進行の前後であることを踏まえると、不適切ではあるが、他方で、B1の関係者等においても、同発言が何らの拘束力もないことは十分に理解できたといえる。 15その他、A1側弁護人及びA2側弁護人は様々なC2関係者らの言動を指摘してC2が本件各工事について事前検討を行った特定の事業者に受注させる意思を有していたと主張するが、発言内容をみても、正式な文書等に基づくものではなく、C2が組織として受注事業者を決定していることを意味するものとはいえない。 20d 本件各 事業者に受注させる意思を有していたと主張するが、発言内容をみても、正式な文書等に基づくものではなく、C2が組織として受注事業者を決定していることを意味するものとはいえない。 20d 本件各工事の難易度・規模等との関係についてA2側弁護人は、①本件各工事が難度・規模等に照らして事前準備なく受注を目指せるような工事ではないことをC2も熟知していたはずであり、価格が安ければ被告会社等4社のどこでも構わないという判断に基づいて出件したと考えることはできない。②C2が名古屋駅中央工区全工事と品川駅工事開削工25区の工期が重複していることを考慮した形跡が全くうかがえないのは、被告会 - 69 -社等4社が本件各工事の受注を競い合うことが期待できない状況にあることを容認していたからにほかならない、などと主張する。 しかし、本件各工事の見積り・施工の客観的可能性が否定されるものではないのは前記のとおりである上、C2が前記のような指名競争見積手続によって出件したこと等を前提とすると、受注事業者を決定していたということはでき5ない。 e 発注図書と質問回答についてA1側弁護人及びA2側弁護人は、C2が不十分な発注図書しか整えず、質問回答においても十分な情報提供を行ってこなかったことや参考見積書等の提出期間が約3か月という期間を設定したことは、そもそもC2としては事前検10討を行った建設会社に発注することを決めており、それ以外の建設会社に平等な競争環境を提供する必要性を感じていなかったからにほかならないなどと主張する。 しかし、原審各弁護人が指摘する発注図書や質問回答が不十分であったという点は、C2に近年の大規模工事の経験が不足していたことや、開業時期との15関係で手続の進行を極めて急いでいたことなどが原因と考えられ 原審各弁護人が指摘する発注図書や質問回答が不十分であったという点は、C2に近年の大規模工事の経験が不足していたことや、開業時期との15関係で手続の進行を極めて急いでいたことなどが原因と考えられるのであって、情報提供等に関する事務に不相当な点があったとしても、C2に意中の事業者以外の事業者を排除する目的があったとまではうかがわれない。 f 小括その他の原審各弁護人が主張する事情を併せて検討しても、C2が受注事業20者を決定していたとの合理的疑いは生じない。この点に関する原審各弁護人の主張は採用できない。 本件競争見積手続の仕組みやC2の恣意的運用についてa 原審各弁護人の主張A1側弁護人は、本件指名競争見積手続は、以下の点を踏まえてその実質を25見れば、C2が望む建設会社に受注させるよう操作することが可能な仕組みと - 70 -なっており、また、C2は恣意的な運用をしたという。 ① C2は、本命業者以外の事業者の参考見積価格が本命業者よりも低い場合には、本命業者に対して、コストダウンを指示するなどして、本命業者を第1順位の価格協議先に選定されるように誘導することが可能であった。 ② C2の裁量によって契約締結が左右される余地が十分にあった。 5③ C2は、本見積書が提出された後であっても、見積手続を不調にしたり、契約手続を中止したりした上、特定の事業者に対してのみコストダウンを求めることが可能であった。 A2側弁護人も、本件指名競争見積手続に以下のような問題点があると指摘する。 10① 価格協議先が受注者になる保証がない。 ② 参考見積書及び技術提案書の提出・ヒアリングによってC2の意向が強く働き得る。 ③ C2は、見積価格がC2の基準価格とかい離している場合には価格協議先を選定せずに手続 注者になる保証がない。 ② 参考見積書及び技術提案書の提出・ヒアリングによってC2の意向が強く働き得る。 ③ C2は、見積価格がC2の基準価格とかい離している場合には価格協議先を選定せずに手続を不調により終了させることとするなどルールを恣意的に15変更することが可能で、実際に変更している。 ④ 技術評価委員会の構成員やその所掌業務、品川駅工事の準備検討への関与の程度、同委員会の審議に用いられた資料の内容等に照らし、同委員会における審査は形だけのものであったといえる。 ⑤ 基準価格を下回る見積価格が示されることはないことは客観的に明らか20であった上、C2幹部もそれを十分に認識していたのであり、C2は、本件指名競争見積手続を実施しさえすれば受注者が円滑に決まるとは考えておらず、競争手続の結果を踏まえてB1やB2と綿密な協議を重ねて予算内で発注できる範囲でそれぞれに受注することを意図していたと考えられる。 b 手続の仕組みに関する検討25しかし、前記のように本件指名競争見積手続自体、技術評価、価格協議先の - 71 -選定、価格協議等の各段階において、具体的な手続や決定方法が定められ、C2の恣意が入り込み難いものになっていたといえる。 価格協議においても、前記のように見積価格が重視された総合評価方式によって評価値が第1位になった参加事業者(品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事については単純に見積価格が最安値の参加事業者)が第1順5位の価格協議先となり、この価格協議が整わなかった場合に初めて第2順位の価格協議先との価格協議が開始されるという手続になっているのであって、このようないわば価格重視の手続を経て選ばれた価格協議先との価格協議を恣意的な理由により不調にすることは、困難であったと認められる。 協議先との価格協議が開始されるという手続になっているのであって、このようないわば価格重視の手続を経て選ばれた価格協議先との価格協議を恣意的な理由により不調にすることは、困難であったと認められる。 C2は、本件指名競争見積手続を不調ないし中止にしているが、早期の着工10が要請される中で工事開始を遅延させることとなるこれらの措置をC2がコストの削減等の合理的な考慮ではなく受注事業者を操作するために恣意的に用いることができる状態にあったとは認められない。なお、C2関係者の供述によれば、C2としては当初(品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の出件時)は手続を不調にすることは想定していなかったが、その後被告会社等4社15の参考見積書の提出などを経て、C2の予定する価格と被告会社等4社の本見積価格が大きくかい離する可能性が高いことを認識したことから、前記各工事の見積合せの直前に不調手続を導入することとし(品川駅北工区その1工事、品川駅南工区その1工事及び名古屋駅中央工区全工事の各出件時)、その後は最安値の見積価格がC2の予定する価格を上回る場合であっても手続を進めて20契約締結に至ることが可能な方針に転換したと認められる。このような経緯に照らすと、C2が不調手続や手続中止を恣意的に用いようとする意思や、意中の事業者と予算内で契約できるように利用する意思をもって、契約に至る仕組みを構築したともいえない。 c C2による手続の恣意的操作があったか否かに関する検討25品川駅工区分割について - 72 -ⓐ 原審各弁護人の主張A1側弁護人及びA2側弁護人は、C2が品川駅工事を2工区に分割して出件したことに関して、C2が北工区をB2に、南工区をB1にそれぞれ受注・施工させる意思を有していたからであると主張し、その根拠 A1側弁護人及びA2側弁護人は、C2が品川駅工事を2工区に分割して出件したことに関して、C2が北工区をB2に、南工区をB1にそれぞれ受注・施工させる意思を有していたからであると主張し、その根拠として、①B2は、社内の有資格者数などの問題から1工区で出件された場合には施工が困難であ5ったことなどから、C2に対して2工区に分割すべきであるという営業活動をしていたこと、②工事内容において、北工区は規模が小さく、新幹線の工事桁に関連する工事が入っていないなど、B2の施工を容易にする条件を満たすものであったこと、③品川駅両工区を一つのゼネコンが受注することが想定し難かったこと、④2工区に分割した場合、施工の効率性や工事費用等に影響する10問題(アンダーピニングの調整等様々なもの)が発生すること、⑤C2において2工区分割によるコストダウン効果の比較検討が行われていないこと、⑥C2は名古屋駅中央工区については2工区分割の検討をしていなかったこと、⑦品川駅南北両工区を一体として受注・施工した場合の見積りの提出が求められていないこと、⑧B2がC2と繋がりが深いEとJVを組成するに至った経緯15等を指摘する。 ⓑ 検討関係証拠に照らして、B2が自社の工事管理者数等の事情もあってC2に品川駅工事開削工区を2工区で出件するべきである旨働きかけていたこと、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の工事内容の比較において、工事桁関20連工事が規模の大きい南工区の方に設定されていること等が認められ、これらを前提とすると、C2において、B2が競争に参加しやすい環境を整えることも考慮に入れて品川駅工事開削工区の工区設定を行った可能性は十分に考えられるところであり、また、2工区に分割することによって施工の効率性や工事費用等に影響する技術的問題 参加しやすい環境を整えることも考慮に入れて品川駅工事開削工区の工区設定を行った可能性は十分に考えられるところであり、また、2工区に分割することによって施工の効率性や工事費用等に影響する技術的問題点が発生し得ることも否定はできない。 25しかし、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事が被告会社等4社のう - 73 -ち特定のゼネコンでなければ見積り・施工が客観的に不可能であったとはいえないことは前記のとおりであって、工区が分割されたからといって、品川駅北工区全工事がB2でなければ受注できないという事態にはなっていなかった。 また、品川駅北工区全工事又は品川駅南工区全工事の一方を受注したゼネコンが他方を受注できないという方式(いわゆる「一抜け方式」)も採用されてい5なかった。そして、工区分割によるコストダウン効果についてどの程度詳しい検討を行うか、どの工事について工区分割を検討するか、分割した工区について両工区を一体として施工した場合の見積りの提出を求めるかといった点は、発注者の裁量の範囲内で様々な結論があり得る事項といえ、B2も参加しやすい工区割とすることはスーパーゼネコン間の競争を促進する面もあったと考え10られることから、品川駅の工区割に関するC2の判断が必ずしも不合理とはいえない。 以上の事情に加え、C2の社内資料にも、「工区設定の基本」として「コスト低減のため競争原理を確保できる範囲内で大きな工区を設定する。」とするものなど、品川駅の工区割に当たって競争原理を働かせることを企図する内容15のものが複数存在することを踏まえると、C2関係者が、メリット・デメリットを検討した上で、スーパーゼネコン間の競争性の確保を企図して品川駅工事開削工区を2分割して出件することとしたものであると供述している点は、その限度 とを踏まえると、C2関係者が、メリット・デメリットを検討した上で、スーパーゼネコン間の競争性の確保を企図して品川駅工事開削工区を2分割して出件することとしたものであると供述している点は、その限度で信用できる。 そうすると、C2が品川駅工事開削工区を2工区に分割して出件した理由は20北工区をB2に、南工区をB1にそれぞれ受注・施工させる意思を有していたからであるという原審各弁護人の主張は採用できない。 ⒝ 被告会社A1との33回に及ぶ打合せ名古屋駅中央工区全工事の手続中止後にC2が被告会社A1と33回にも及ぶ打合せを行ったことは前記のとおりである。また、被告会社A1側で作成し25た平成28年6月の打合せ議事録には、C2側の発言として、「A1と9月よ - 74 -り単独(価格協議順位1位者)で協議を開始した。この時点ではA1にお任せするつもりであった。」との記載がある。これらの事情に照らし、C2がこの頃被告会社A1に工事を受注させることを選択肢としつつ受注価格の引下げを図っていたことがうかがわれる。 しかし、C2関係者も受注事業者や発注方式を最終的に決定した旨の発言を5しているわけではない。また、C2は、その後に結局は名古屋駅中央西工区1期工事について被告会社A1とB1を指名して指名競争見積手続に付していることも踏まえると、名古屋駅工事の受注事業者を被告会社A1に決定した上で指名競争見積手続を恣意的に中止して被告会社A1を相手にコストダウン交渉をしていたとみることはできない。 10⒞ 名古屋駅中央西工区1期工事の出件経緯及び出件後の推移ⓐ 原審各弁護人の主張A1側弁護人及びA2側弁護人は、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事について、形式的には指名競争見積手続に付した上で、B1に受注させるため、手続を恣 経緯及び出件後の推移ⓐ 原審各弁護人の主張A1側弁護人及びA2側弁護人は、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事について、形式的には指名競争見積手続に付した上で、B1に受注させるため、手続を恣意的に操作していたものであるという。 15原審各弁護人がその根拠として主張するのは以下のような事項であるが、いずれについても原審各弁護人がいうようなC2の恣意的な運用の根拠とみることはできない。 ⓑ B1に参加を要請した経緯等について① 原審各弁護人の指摘20C2は、受注に消極的な態度を示すB1を説得し、工期や工区を変更することまでして指名競争見積手続に参加させている。また、この際、B1に準大手ゼネコンであるDとJVを組むことを要請しており、その理由としてC2関係者は、B1が手を引くと考えられる名古屋駅中央西工区2期工事において被告会社A1の競争相手となることができるように名古屋駅工事の経験を積ませた25いと考えたものである旨供述しているところ、B1が名古屋駅中央西工区1期 - 75 -工事を受注しなければその目的は達成することができないから、C2はB1の受注を望んでいたと考えるのが自然である。また、平成28年2月から3月頃にかけてのhとの面談に関してaから聞いた内容としてbがノートに残していた文言には、hが「特命にできなかった 申し訳ない」「辞退はかんべんしてほしい」と述べたり、「(hが)B1にやってもらいたいと思っているだろう」5とaが考えたり、aの「負けるかもしれない」という発言に対してhが「勝つでしょう」と発言したなどというものがある。 ② 検討しかし、これらの原審各弁護人の指摘する事情は、いずれも、C2がB1に対して被告会社A1との競争を望んで指名競争見積手続への参加を求めていた10ものとして たなどというものがある。 ② 検討しかし、これらの原審各弁護人の指摘する事情は、いずれも、C2がB1に対して被告会社A1との競争を望んで指名競争見積手続への参加を求めていた10ものとして理解できる。 Dを名古屋駅中央西工区1期工事のJVに加えるよう要請したことに関しては、C2関係者が、名古屋駅中央西工区1期工事を被告会社A1が受注したとしても競争相手として残る、東工区を経験していれば少なくとも名古屋駅について白紙で臨むことにはならないなどと考えてDを含むJVに名古屋駅中央東15工区1期工事を特命随意契約で発注していた旨説明しており、この説明内容が企業判断として不合理とはいえず、DをJVに加えるよう要請したことからB1に受注させるとの意思まで認めることはできない。 また、bがノートに残していた各文言も、その発言があったとしても、hがB1に指名競争見積手続への参加を強く促すために述べた言葉として理解でき、20直ちにB1を名古屋駅中央西工区1期工事の受注事業者として決定していたことを意味しない。 ⓒ 手続の仕組みについて① 原審各弁護人の主張C2が、名古屋駅中央西工区1期工事について、約46億円という低い予定25価格を設定しつつ、競争参加説明書において「C2が予定する価格以下での見 - 76 -積書の提出がない場合には、協議先が選定されないことがあり、その場合の措置は別途通知する。」と規定するなどしていたのは、順位1位のゼネコンと価格協議を行うこともできれば、手続を白紙に戻すことも可能な仕組みを採用しているのであって、被告会社A1が評価値においてB1を上回る懸念がある状況下で、B1に確実に受注させる仕組みを整えようとしたものと推測される。 5② 検討C2関係者は、一度契約手続に失敗しているので、 あって、被告会社A1が評価値においてB1を上回る懸念がある状況下で、B1に確実に受注させる仕組みを整えようとしたものと推測される。 5② 検討C2関係者は、一度契約手続に失敗しているので、名古屋駅中央西工区1期工事においては、まず契約手続を進めてある程度契約の見通しを立てた上で予算承認の手続をとるという方針とし、従前の設備投資計画で承認されていた名古屋駅中央工区全工事の予算である662億円から名古屋駅中央西工区1期工10事に相当する金額として切り出した約46億円を予定価格としたものの、ゼネコンの見積りがこの予定価格を下回る可能性は現実的にはあり得ないとも考えており、予定価格以下の見積りの提出がない場合でもしかるべき手続を経たうえで協議先を選定することを想定していた旨説明している。この説明内容は、着工予定時期が迫る中でゼネコンの見積りが高止まりしていたという状況下で15の企業判断として不合理なものとはいえず、この契約手続の仕組みから被告会社A1が評価値においてB1を上回った場合であってもB1に受注させようとの意思をうかがうことはできない。 ⓓ 平成28年6月20日の見積書提出後の手続運用状況(見積書の修正指示の内容の違い、B1の修正見積書の条件削除、被告会社A1からの値下げ提20案の拒否)について① 原審各弁護人の主張平成28年6月20日に名古屋駅中央西工区1期工事の見積書が提出された後、被告会社A1及びB1に見積書の修正を指示した際、C2は、被告会社A1に対してはコンクリートの材料費の計上方法について修正を指示しただけで25あったが、B1に対しては、コンクリートの材料費の計上方法に加えて、地中 - 77 -連続壁工の機械経費の計上方法及び径80ミリメートル以上の礫に対応する機械の除外についても指 だけで25あったが、B1に対しては、コンクリートの材料費の計上方法に加えて、地中 - 77 -連続壁工の機械経費の計上方法及び径80ミリメートル以上の礫に対応する機械の除外についても指示した。また、同月24日にB1が提出した修正見積書には、条件(C2が、機械を売却できなかった場合にその製作費全額を、また、80ミリメートルを超える礫への対処が必要になった場合にその費用を負担するという趣旨)が付記されていたが、C2は、B1に当該条件を削除させた修5正見積書を当初の提出日と同じ日付で(いわゆるバックデートをさせて)提出させた。その一方で、C2は、平成28年7月5日に被告会社A1が行った5. 5億円のコストダウンの提案については拒絶している。C2のこれらの行為は、被告会社A1が第1順位となることを避けるために行われたものにほかならない。 10② 検討C2関係者は、B1の見積書に関しては、機械経費の計上方法がC2の指定に反していることや礫の最大径についてC2の指定したものを超える条件を想定した補助機械を用いることとしていることが判明したので修正を求めたが、被告会社A1は、メールによる質問に対する回答や被告人A3が提出してきた15書面によってこれらの問題がない旨明言していたため、同趣旨の修正を指示することはしなかったものである、B1の修正見積書に付記されていた条件についてもC2の指定した条件に反するものであったので削除を求めたものである、被告会社A1からのコストダウンの提案については、請負社側の都合で再度見積書を出したいという申出を受けるのでは公平公正な契約手続になじまないと20考えて拒絶したなどという旨の説明をしている。これらの説明は客観的証拠の裏付けもあって信用でき、これらを踏まえると、C2は、本件指名競争見積 申出を受けるのでは公平公正な契約手続になじまないと20考えて拒絶したなどという旨の説明をしている。これらの説明は客観的証拠の裏付けもあって信用でき、これらを踏まえると、C2は、本件指名競争見積手続に則って行動していたということができ、原審各弁護人指摘の事情から、被告会社A1が第1順位となることを避けるべく恣意的な対応がされていたと考えることはできない。 25ⓔ bの付せんに残されていた言葉について - 78 -① 原審各弁護人の主張bが平成28年7月11日に入手した情報を記載した付せんには、「107. 3(成)が生きるとするとさすがにまずいのでB1の金を引き下げさせようとしている」「oから泣きが入っている 『これ以上動くな、これ以上動くと連壁の次は成と思っているのにこれもなしにするぞ!』」などと記載されている5が、これらは、C2がB1に対して被告会社A1の提案した価格との関連を意識してコストダウンを求めたことや、名古屋駅中央西工区2期工事についても被告会社A1に受注させない意思を有していたことなどを意味する。 ② 検討当該付せんの記載については、bの供述によっても、C2関係者がどのよう10な状況下で発言したものか必ずしも明らかでない上、B1に対し被告会社A1との競争を強く促すためにされた発言とも理解できるものであって、直ちにC2が組織として被告会社A1には受注させない意思を有していたことを推認させるものではない。 ⓕ 名古屋駅中央西工区1期工事を出件する前に被告会社A1との検討内容15の扱いに関して弁護士に意見を求めたことについて① 原審各弁護人の主張C2は、名古屋駅中央西工区1期工事出件前の平成28年2月に、被告会社A1との間での合計33回の打合せから得られた成果の扱いが独占禁止法等の関 に意見を求めたことについて① 原審各弁護人の主張C2は、名古屋駅中央西工区1期工事出件前の平成28年2月に、被告会社A1との間での合計33回の打合せから得られた成果の扱いが独占禁止法等の関連法規に照らして問題を生じないかといった点等に関して弁護士事務所に相20談しているが、これ以前に品川駅工事開削工区や名古屋駅中央工区全工事の出件に当たってそのような相談をした形跡はない。このことは、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事については、これを出件する前から、かねてより検討を依頼していた被告会社A1ではなくB1に受注させることを前提にしていたことを推認させる。 25② 検討 - 79 -C2関係者は、前記の弁護士事務所への相談が行われた経緯に関し、名古屋建設部長がその時点で問題意識を持ったためであり、問題意識を持った理由は聞いておらず分からないなどと説明している。この際の弁護士への相談は、打合せを重ねていた被告会社A1以外の事業者が受注した場合を想定して法的な問題が生じないかを確認したものと理解でき、C2が被告会社A1を排除して5B1に受注させることを前提にしていたことを推認させるものではない。 ⓖ 小括以上のように、C2の各対応等は、被告会社A1の競争相手を作るという方針をとっていたためと理解でき、C2があらかじめB1に発注することを決定していたり、被告会社A1を恣意的に排除したりするためにとられた対応とは10認められない。また、これらの事情は、本件公訴事実以降のものであり、原審各弁護人もこれらから遡ってC2に当初から恣意的運用をする意図があったと主張しているものと解されるが、これらの事情が各ゼネコンの見積価格が高止まりしており、被告会社A1の見積りが経費率等において不自然であることなどがC2内部で共有 初から恣意的運用をする意図があったと主張しているものと解されるが、これらの事情が各ゼネコンの見積価格が高止まりしており、被告会社A1の見積りが経費率等において不自然であることなどがC2内部で共有された後のものであることなども踏まえると、C2の当初15からの意思を推認する根拠とすることはできない。この点に関する原審各弁護人の主張は採用できない。 ⒟ 名古屋駅中央東工区2期工事の推移A1側弁護人は、C2が、名古屋駅中央東工区2期工事(在来線部及びタワーズ車路部に係るもの)について、平成30年12月、被告会社A1のJVに20特命随意契約で発注していることを指摘し、この事実は、C2において、名古屋駅中央工区工事を被告会社A1に発注する意向を有していたことを強く推認させると主張する。 しかし、C2関係者の原審公判供述によれば、名古屋駅中央東工区2期工事について、被告会社等4社に対する意向確認の結果、B2及び被告会社A2が25辞退し、B1と被告会社A1が受注してもよいという意向を示したが、施工体 - 80 -勢や検討時間を考慮して被告会社A1を選んだということである。B1も受注してもよいという意向を示したということであって、必ずしも被告会社A1でなければ施工できない工事とは考えられず、C2が同工事を被告会社A1に受注させたことは、その前に発注されたものも含め名古屋駅中央工区工事全体を被告会社A1に受注させる意思を有していたと推認させるものではない。 5d 恣意的運用の余地及び存否等に関する結論以上検討したところからすれば、本件指名競争見積手続に恣意的運用の余地があり、また実際にC2が恣意的運用を行ったという原審各弁護人の主張は採用できない。 C2関係者の供述について10a C2関係者の各供述内容C2 本件指名競争見積手続に恣意的運用の余地があり、また実際にC2が恣意的運用を行ったという原審各弁護人の主張は採用できない。 C2関係者の供述について10a C2関係者の各供述内容C2関係者の供述は、本件指名競争見積手続は競争によるコストダウンを図るために導入したものであり、本件各工事についてあらかじめ発注先を決めていたことはなく、被告会社等4社のいずれについても見積り・施工が可能だと考えていたという趣旨で一致している。 15b 信用性の検討A1側弁護人は、本件各工事の難易度、事前検討の経緯等様々な事情を指摘して、前記のC2関係者の各供述は信用できず、C2は、可能な限り低いコストで工事を発注したとの外観を整えて株主等のステークホルダーに対する説明が容易になることや本命業者に対する価格交渉材料を得ることができることな20どの背景事情から形だけの指名競争見積方式を採用していたのであるが、C2関係者は、実質的にも競争が存在した旨強弁せざるを得ない状況に置かれているなどと主張する。 確かに、既に検討した各事情を前提とすると、C2関係者らが、工法の検討状況や工事期間の関係から、事前検討の協力を得るなどしていた特定のゼネコ25ンに対する強い信頼を有しており、そのゼネコンが受注することを期待してい - 81 -た面があったことがうかがわれる。 しかし、前記の各事情・検討結果(特に、C2が前記のような恣意が入り込み難い発注方式を採用し、その枠組みの中で対応していたこと)を踏まえると、C2は、競争によるコストダウンを追求し、被告会社等4社に競争を求めていたものであって、C2関係者も、その前提として被告会社等4社のいずれにつ5いても見積り・施工が不可能ではないと認識していたと解されるから、その旨の供述は信用できる 被告会社等4社に競争を求めていたものであって、C2関係者も、その前提として被告会社等4社のいずれにつ5いても見積り・施工が不可能ではないと認識していたと解されるから、その旨の供述は信用できる。 C2の意思に関する結論以上によれば、C2は、特定の事業者に発注することを決定してはおらず、競争によって受注事業者を選定する意思を有していたといえる(被告会社等410社の側でもそのことを認識していたといえることも前記のとおりである。)。 本件ターミナル駅新設工事が民間工事であることについて原審各弁護人は、競争性を否定する主張の中で、C2が特定の事業者に発注することを決定していたとの事実を前提にして、本件ターミナル駅新設工事が民間工事であって公共工事とは異なることを強調するが、C2が特定の事業者15に受注させることを決定していたとは認められない本件において、このような原審各弁護人の主張は、前提を欠いているといえ、前記判断を左右するものではない。 ⑷ 本件合意が不当な取引制限の構成要件に該当するか否かに関する原審各弁護人のその他の主張について20ア 市場支配的状態・因果関係について既に認定した事実によれば、本件各工事の指名競争見積手続の参加事業者全てが参加して本件合意が成立し、本件受注予定事業者決定や本件価格連絡が行われたのであるから、本件合意等によって受注事業者及び受注価格を相当程度自由に左右することができる状態がもたらされていたことは明らかである。 25これに関連して、A1側弁護人及びA2側弁護人は、以下の各主張を前 - 82 -提として、本件合意等により受注事業者及び受注価格をある程度自由にできる状態がもたらされたとはいえない、本件合意等と競争の実質的制限との因果関係(以下「因果関係」という。 張を前 - 82 -提として、本件合意等により受注事業者及び受注価格をある程度自由にできる状態がもたらされたとはいえない、本件合意等と競争の実質的制限との因果関係(以下「因果関係」という。)も認められないなどというが、いずれの主張も採用できない。 a A1側弁護人は、本件各工事の施工には長期間にわたる技術的検討が不5可欠であったため、C2は、本件各工事について、事前検討をしていたゼネコンに発注することを決めており、本件合意により受注事業者をある程度自由に左右することはできず、また、因果関係が認められないなどと主張する。 A2側弁護人も、本件各工事の出件までに競争が存在しない状況になっていた上、万が一施工できないゼネコンが価格協議先に選定されたとしても施工で10きない旨をC2に説明して受注を回避するほかなく、結局当該ゼネコンが受注者になることはないから、本件価格連絡は受注事業者にも受注価格にも影響を及ぼすものではなく、本件合意等により受注事業者及び受注価格をある程度自由にできる状態がもたらされたとはいえないと主張する。 しかし、本件各工事について各参加事業者に見積り・施工の客観的可能性が15ないとはいえず、C2が発注先をあらかじめ決定していたともいえないことは前記のとおりである。 なお、A2側弁護人は、被告会社A2が本件各工事の受注を希望しない方針であったことを指摘するが、同社が本件各工事の指名競争見積手続の参加事業者となりながら、本件ターミナル駅新設工事に関し、自社が受注予定事業者と20はならない旨の合意をしていた以上、被告会社A2の方針は不当な取引制限への該当性に影響しない。 b また、A1側弁護人は、C2は、工事内容を変更して再度見積書の提出を求めたり、契約手続自体を中止したり、価格協議において金額引 以上、被告会社A2の方針は不当な取引制限への該当性に影響しない。 b また、A1側弁護人は、C2は、工事内容を変更して再度見積書の提出を求めたり、契約手続自体を中止したり、価格協議において金額引下げの要請をしたりして見積価格を引き下げさせることが可能であったため、本件合意等25が最終的な受注金額に影響を与えたとはいえず、因果関係も認められないと主 - 83 -張し、A2側弁護人も、本件指名競争見積手続はC2がヒアリング、価格協議及び手続の不調による終了をすることができるなどC2の意向が強く働き得る仕組みになっており、また、C2は手続を恣意的に運用していたため、本件合意によって受注事業者及び受注価格の決定をある程度自由に左右できる状態がもたらされたとはいえないと主張する。 5しかし、本件指名競争見積手続の仕組みやC2の運用が競争性を損なうものではなかったのは前記のとおりである。そして、品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事については本件受注予定事業者決定のとおりに受注がされたことに加え、名古屋駅中央西工区1期工事については本件受注予定事業者決定とは異なりB1が受注する結果とはなったものの、本件合意等によって10見積価格を高止まりさせることは、その後のC2との協議先に選定された事業者との間の価格引下げ等の協議を経ても、価格協議の出発点として受注価格に一定の影響を与える状況にあったと認められるから、これらの主張は、採用できない(なお、A1側弁護人は、被告会社等4社の見積価格とC2の予算のかい離はC2の予算の不合理性に起因するなどとも主張しているが、C2の予算15が低額であったとしても、指名競争見積手続の参加事業者である被告会社等4社の合意によって受注価格を引き上げることが許容されるものではなく、犯罪の成 起因するなどとも主張しているが、C2の予算15が低額であったとしても、指名競争見積手続の参加事業者である被告会社等4社の合意によって受注価格を引き上げることが許容されるものではなく、犯罪の成否に影響する事情ではない。)。 c そして、A1側弁護人は、価格協議の場で本命業者以外の会社の見積りを交渉材料とされても、本命業者としては、自社の見積りの妥当性や他社の見20積りの不合理性を指摘してC2からの価格引下げの要求に応じないことが可能であったため、本命業者以外の会社の見積価格は最終的な受注価格に影響せず、因果関係も認められないなどと主張し、A2側弁護人も同旨の主張をする。 しかし、前記のように、平成27年4月15日の3社会合において、被告人A3がbに対して名古屋駅に影響するから品川駅で単価を下げないでほしいと25要請し、被告人A4も名古屋駅東工区工事があるなどとしてこれに同調する発 - 84 -言をしていたこと等の事実に照らしても、本件指名競争見積手続においては、他社の見積価格だけでなく、その積算根拠までが意味を有しており、その後の価格協議を経ても、受注価格に影響を及ぼし得るものであったと認められることなどから、本件合意等の受注価格への不影響を根拠に因果関係を否定する主張は採用できない。 5d なお、これらの点に関連して、A1側弁護人は、参考見積りは受注事業者や受注価格を決定するためのものではなく、C2の基準価格設定の参考とするために提出が求められているにすぎず、参考見積りに関する価格連絡が行われていたとしても名古屋駅中央工区全工事の受注事業者又は受注価格に影響を与えるものとはいえないなどとも主張する。 10しかし、参考見積りといえども技術提案等と共に根拠を示して行う以上、基準価格設定の参考となることはもと 央工区全工事の受注事業者又は受注価格に影響を与えるものとはいえないなどとも主張する。 10しかし、参考見積りといえども技術提案等と共に根拠を示して行う以上、基準価格設定の参考となることはもとより、その後の本見積りとの整合性も要求されるものであり、その意味で本件指名競争見積手続の中で相応の意味を有していることは明らかであって、そのことは被告人両名等が参考見積り段階から本件価格連絡を繰り返していたことにも表れている。この主張も採用できない。 15イ 公共の利益に反するか否かについてA1側弁護人は、本件各工事の難易度や必要な人員・コスト等からすれば、事前検討やゼネコン間での施工の分担がなければ工期内に安全・確実に施工を完遂させることが不可能ないし困難であり、仮に被告人らが受注調整を行ったとしても、それはC2の利益にもかなう行為であり、不当な取引制限の要件の20うち「公共の利益に反して」(独占禁止法2条6項)という点が満たされないと主張する。 しかし、事前検討を行うなどした事業者が受注をすることが本件各工事の施工の安全性・効率性には資するものであったとしても、発注者であるC2が本件指名競争見積手続をとって被告会社等4社に競争させるという判断をした以25上、それを受注する事業者である被告会社等4社の側で一方的に否定し、競争 - 85 -の枠組みを破壊することを許すまでの事情があるとはいえない。また、本件合意により見積価格を高止まりさせて受注価格を引き上げることは、競争によるコストダウンを図ろうとしたC2の利益に著しく反し、ひいてはリニア中央新幹線の利用料金に影響することが予想されるところであって、公共の利益に反することが明らかである。 5ウ 被告人A3及び被告人A4の権限等について原審各弁護人の主張A いてはリニア中央新幹線の利用料金に影響することが予想されるところであって、公共の利益に反することが明らかである。 5ウ 被告人A3及び被告人A4の権限等について原審各弁護人の主張A1側弁護人は、被告人A3には本件各工事の指名競争見積手続に参加するか否かの決定権限及び提出見積価格の決定権限が認められておらず、被告人A3とaらとの間での情報交換は、「共同して・・相互にその事業活動を拘束」10したものではなく、意思決定権限のない者と競合他社の者との間で情報交換がされたとしても、意思決定機関や意思決定権限者に他社との情報交換の内容が伝わっていないのであれば、「共同して・・相互にその事業活動を拘束」したものとはいえないと考えられると主張する。 また、A2側弁護人は、被告人A4は、目標工事や具体的な工事に応札する15か否か等を決定する権限を有しておらず、被告会社A2が本件各工事を受注しないという方針は出件前から決まっていたため、被告人A4が本件合意をしたとしても、これにより被告会社A2の事業活動を拘束し得るものではなかったと主張する。 検討20被告人A3は、被告会社A1の土木営業本部副本部長であり、土木営業本部長からリニア中央新幹線関連工事の営業や競争見積への対応を任されており、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の提出見積価格の検討に関連して応札方針会議に出席するなどしており、競争見積への参加や見積価格決定についての被告会社A1の方針に大きな影響を及ぼす立場にあった。また、被告人25A4は、被告会社A2の土木営業本部副本部長であり、リニア中央新幹線関連 - 86 -工事の営業部門を統括する責任者として、目標工事や応札について担当支店の判断や決定に影響を及ぼす立場にあった。 そして、被告人両名は 営業本部副本部長であり、リニア中央新幹線関連 - 86 -工事の営業部門を統括する責任者として、目標工事や応札について担当支店の判断や決定に影響を及ぼす立場にあった。 そして、被告人両名は、自ら又は価格連絡担当者として指名した部下職員を介して、本件各工事の指名競争見積手続に参加する都度、自社がC2に見積書を提出するなどする前に、参加事業者間で見積価格等に関する情報を連絡し合5うなどして調整を行ったものである。 このような被告人らの立場・関与態様からすれば、被告人両名は、被告会社両社の本件各工事に係る指名競争見積手続に係る各行為に強い影響力を及ぼし得る立場にあり、また、実際に及ぼしたものであって、被告人両名やa、b及びc等の行為が、被告会社等4社の本件ターミナル駅新設工事の受注に関して10共同して相互にその事業活動を拘束し、遂行する行為に該当することは明らかである。 エ 「一定の取引分野」が成立するかA2側弁護人は、本件各工事は、いずれもC2を取引先とする1回限りの工事で、地域的な広がりや時間的継続性のない取引であり、駅工事であること以15外に質的な共通点は全く存在せず、これらについて「一定の取引分野」が成立すると解することはできないと主張する。 しかし、本件ターミナル駅新設工事には、前記のように工種が類似している複数の高難度の工事が含まれており、工事内容の共通性や規模の大きさに照らし、「一定の取引分野」が成立しているといえる。 20オ 小括本件合意等は、相互にその事業活動を拘束し、遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限するものであって、不当な取引制限の構成要件を満たすといえる。 ⑸ 被告人A3及び被告人A4の故意について25ア 原審各弁護人の主張 利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限するものであって、不当な取引制限の構成要件を満たすといえる。 ⑸ 被告人A3及び被告人A4の故意について25ア 原審各弁護人の主張 - 87 -A1側弁護人は、被告人A3が、事前検討を行ったゼネコンのみが期限内に施工計画の策定及び見積業務を完了することができるのであって本件各工事には競争が存在しないと認識しており、また、C2が本件各工事について受注事業者を決めていると認識していたため、自らの行為により、本件各工事に関する競争を実質的に制限することについての認識を欠いていた旨主張する。 5A2側弁護人も、被告人A4は、品川駅工事開削工区や名古屋駅中央工区全工事は技術的検討や施工体制の確保等の周到な準備がなければ工期内に安全確実に施工できない工事であること等の種々の事実を認識しており、本件各工事について特定のゼネコンに受注させることがC2の意向であって、受注に係る競争は存在していないものと認識していたのであって、本件価格連絡等によっ10て競争が実質的に制限されるという認識を欠いていたなどと主張する。 イ 検討しかし、被告人A3及び被告人A4は、いずれも、品川駅工事開削工区の出件方法等を認識した上で、C2に告げることなく、3社会合を開催し、aらとの間で本件合意・本件受注予定事業者決定を行った上、本件価格連絡を繰15り返し行っていたが、これらの行為は、本件各工事について競争が存在していなかったとすれば必要性に乏しい上に、発覚すれば受注調整を疑われることが明らかな行為といえる。 また、被告人A3は、前記のように被告会社A1社内の受注工事検討委員会やリニア案件受注戦略会議に関して、「C2の狙い」の項に「ゼネコン各社に20コスト競争をさせ、工事契約額の低 行為といえる。 また、被告人A3は、前記のように被告会社A1社内の受注工事検討委員会やリニア案件受注戦略会議に関して、「C2の狙い」の項に「ゼネコン各社に20コスト競争をさせ、工事契約額の低減を図る。」と記載した資料や、「品川駅(北)(南)工区では、3社競争の認識あり」と記載した資料を作成しているが、これらはいずれも当時被告人A3がC2は競争によるコスト削減を指向していることを認識していたことを示している。被告人A4も、平成27年3月にbから入手した品川駅工事開削工区に関するB1の各統括表をd7に交付し25た際、「そのままは他の人に見せないで、d7さんのメモにしてください。あ - 88 -くまでもA2の方針ということで。」などと記載したメッセージを送信して、B1との価格連絡を被告会社A2社内で秘匿するよう指示していたが、この行為も被告人A4が本件価格連絡の違法性を十分承知していたことを示している。 これらの事実に照らせば、被告人A3も被告人A4も、本件各工事の受注に関し、競争が存在していることを認識し、また本件合意等の各行為によってこ5の競争を実質的に制限することになることも十分に認識していたと認められる。 被告人A3及び被告人A4は、原審公判廷において、競争は存在しないものと認識していたという趣旨の供述をしているが、前記のような客観的証拠に整合せず、信用できない(被告人A4は、捜査段階では競争が存在しないと認識していた旨の供述は一切していなかったところ、原審公判に至ってそのよ10うに認識していた旨供述しているが、供述を変更した理由について合理的な説明はされていない。)。 A1側弁護人は、①本件価格連絡はC2に対して価格協議で他社の見積りの不合理さを説明する手間を惜しんでのことであった、②被告人A3作成資 述を変更した理由について合理的な説明はされていない。)。 A1側弁護人は、①本件価格連絡はC2に対して価格協議で他社の見積りの不合理さを説明する手間を惜しんでのことであった、②被告人A3作成資料の「コスト競争」という記載は、当て馬事業者の見積りを交渉材料として値15下げ交渉をすることを意味しているにすぎない、③被告人A3作成資料の「3社競争の認識あり」という記載は、3社が見積りを提出した事実を意味するなどと主張する。 また、A2側弁護人は、④被告人A4がd7に秘匿を指示したのは単にコンプライアンス規定違反の認識を有していたからであって受注調整の認識を有し20ていたからとはいえないなどと主張する。 しかし、これらの主張は、指名競争見積手続が進行する中で被告人両名らが行っていた前記各行為の性質・内容や資料の文脈等に照らして無理があり、採用できない。 ⑹ 結論25以上によれば、原判示の事実が認められる。 - 89 -その他、原審各弁護人の主張を検討しても前記判断を左右するものはない。 3 当裁判所の判断⑴ はじめに原判決の前記認定、判断は、論理則、経験則等に照らしておおむね不合理なところはなく、当裁判所としても是認することができる。 5以下、所論も踏まえてその理由を説明する。 ⑵ 本件合意についてア 前提事実について所論は、原判決が「本件合意の成否等に関する前提事実」として認定した一連の事実に関し、①平成26年4月21日又は同年5月21日の3社会合にお10いて、被告人A3が希望工区一覧表①を配布するなどした際、被告人A4がaに対し、B1が受注希望工区を選定するに当たり、被告会社A2の受注希望工区と重複しないように配慮してほしい旨述べたとの事実を認定したことは、論理則、経験則に違反する 布するなどした際、被告人A4がaに対し、B1が受注希望工区を選定するに当たり、被告会社A2の受注希望工区と重複しないように配慮してほしい旨述べたとの事実を認定したことは、論理則、経験則に違反する、②平成26年7月24日の3社会合で、被告人A3が、a又はbに対し、希望工区一覧表③を交付したとの事実を認定したことは15誤っている、③被告人A4がbに、平成26年12月25日の3社会合で、品川駅の見積作業に協力してほしい旨述べたなどの事実や、平成27年1月頃、自分が被告会社A2における価格連絡担当者になる旨を伝えたとの事実を認定したことは、論理則、経験則に違反する、④「被告人A3は、平成27年2月5日の3社会合で、aらに対し、cと会合したこと及びその内容を伝えた。」20との認定のうち、「その内容」を伝えたとの点は、証拠に基づかない認定である、⑤平成27年2月20日頃、cがeに対し、「eがB2の窓口として、B1及び被告会社両社の各窓口と協力して進めてもらいたい。」旨指示したとの事実を認定したことは、論理則、経験則に違反する、⑥平成27年4月15日の3社会合において、被告人A3がbに対し、「品川駅と名古屋駅は、似た工25種が多い。品川駅では単価を下げないようにしてほしい。名古屋駅に影響する - 90 -から。」旨述べたところ、被告人A4もこれに賛同し、「うちも名古屋の東がありますからねえ。」などと述べたとの事実を認定したことは、論理則、経験則に違反する、という。 しかし、①については、原判決は、aの供述等に基づいて、指摘の事実を認定したものと解されるから、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえな5い。所論は、希望工区一覧表①は、被告人A3がgの情報や考えを基に作成したものであって、被告人A4との協議によって作成された したものと解されるから、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえな5い。所論は、希望工区一覧表①は、被告人A3がgの情報や考えを基に作成したものであって、被告人A4との協議によって作成されたと認定できないのはもちろん、被告人A4が被告人A3から事前にその内容を知らされていたとも認められないから、被告人A4が前記のような発言をすることは信じ難いというが、被告人A4が被告人A3から希望工区一覧表①の内容を知らされ、そこ10に被告会社A2の希望工区として記載された内容が、実際の同社の希望とほぼ整合することを確認するなどしていたとしても何ら不自然とはいえない(被告人両名の供述が信用できないことは原判決が正当に説示するとおりであるから、被告人両名がこのような事実について述べていないことは、かかる判断を妨げない。)。なお、所論は、希望工区一覧表①の内容は、同時期に被告人A154が作成していた一覧表(A4①の添付書面1-10ないし1-21。以下、「A4一覧表」という。)、取り分け、希望工区一覧表①の作成日(平成26年3月20日)の前後に作成された平成25年8月6日付けのもの(前記添付書面1-20。以下「A4一覧表①」という。)及び平成26年5月9日付けのもの(前記添付書面1-21。以下「A4一覧表②」という。)の内容と齟20齬するから、希望工区一覧表①の内容が被告人A4に共有されていたとは考えられないともいうが、その指摘するところを検討しても、必ずしもそのようにはいえない。すなわち、まず、A4一覧表①を希望工区一覧表①と比較すると、その作成日付が相当離れている上、所論もいうように、前者には各工区ごとの各建設会社の欄に、C2に対する事前支援をしていることを意味する丸印25が付されているにとどまり、それ以上に各社の希望工区を示す 作成日付が相当離れている上、所論もいうように、前者には各工区ごとの各建設会社の欄に、C2に対する事前支援をしていることを意味する丸印25が付されているにとどまり、それ以上に各社の希望工区を示す印は付されてい - 91 -ないのであるから、そもそもそれらの内容を単純に比較することに無理があるというべきである。所論は、後者では被告会社A2の希望工事とされている5つの工区について、前者では丸印が付されていない点が齟齬すると主張するが、それらの工区について、被告会社A2が、事前支援をしていなかったものの受注を希望していた可能性や、前者の作成日から後者の作成日までの間に同5社の希望が変わった可能性なども十分考えられるから(現に、A4一覧表②では、前記5つの工区のうち、3つは同社の目標工事とされている。)、直ちに齟齬があるとはいえない。更にいえば、仮に、実際には同社が希望していない工区が同社の希望工区として後者に記載されていたとしても、それにより同社が特段の不利益を被るとは考え難いことにも照らすと、後者にそのような記載10があり、被告人A4がそれに気づいたとしても、当然にその訂正等を求めるはずであるともいえないから、そのことから被告人A4が希望工区一覧表①の内容を事前に把握していなかったことがうかがわれるとはいえない。次に、A4一覧表②についてみると、被告人A4の供述によっても、内容的に、従前のA4一覧表を更新してこれを作成したのは、pであったというのであるから(A154①41頁)、直ちにその内容が被告人A4の認識を表しているかは疑問もある。その点は措き、A4一覧表②に被告人A4の認識が反映されているものと想定したとしても、被告会社A2においては、希望工区一覧表の作成日とA4一覧表②の作成日の間の平成26年3月31日に開催 問もある。その点は措き、A4一覧表②に被告人A4の認識が反映されているものと想定したとしても、被告会社A2においては、希望工区一覧表の作成日とA4一覧表②の作成日の間の平成26年3月31日に開催された「中央新幹線第4回連絡会議」において、同社の目標工事を話し合うなどしていた(q①19~2028頁、A4①8~13頁)のであるから、その間に、同社の目標工事に関する被告人A4の認識が変わった可能性も十分にある。A4一覧表②と希望工区一覧表①における被告会社A2の希望工区の齟齬として、所論が指摘する点は、その多くが、前者では同社の受注目標とされていない工区が、後者では同社の希望工区とされているというものであって、必ずしも、被告人A4が後者25の訂正等を求めるとは限らないことは、前記のとおりである。所論は、前者で - 92 -は受注目標とされているのに、後者では被告会社A2の希望工区とされておらず、むしろB2の希望工区とされている工区が2つ(所論のいう橋梁⑷及び橋梁⑻)あるともいうが、それらの工区は、前記「中央新幹線第4回連絡会議」のために被告人A4らが作成した目標工事案に含まれていないことにも鑑みると、被告人A4において、平成26年3月20日頃の時点において、これらが5被告会社A2の希望工区に当たらないと認識していたとしても、特に不自然とはいえない。被告人A4自身が、希望工区一覧表①と思われる一覧表を3社会合で受け取り、それを翌日確認した際、被告会社A2の欄を見て、自分が目標としようと思っている工区が大体分かっているんだなと思った記憶がある旨述べていること(A4①60~62頁)に照らしても、同一覧表に記載された被10告会社A2の希望工区が、その当時被告人A4が認識していた被告会社A2の希望工区とほぼ整合していたことは 記憶がある旨述べていること(A4①60~62頁)に照らしても、同一覧表に記載された被10告会社A2の希望工区が、その当時被告人A4が認識していた被告会社A2の希望工区とほぼ整合していたことは優に認められるところであって、これが齟齬していたとする所論は採用できない。なお、所論は、希望工区一覧表①とA4一覧表とでは、工区設定や施工延長、発注者情報などの記載にも齟齬があるとして、そのことが、被告人A4と被告人A3との間で希望工区一覧表①の内15容をすり合わせたという原判決の推認と整合しない旨も主張するが、原判決は、被告人A3及び被告人A4が、希望工区一覧表①ないし③のやり取り等を経てaとの間で各社の受注希望工区をすり合わせたと認めたにとどまり、希望工区一覧表の工区設定等の記載についてまでそれらの者がすり合わせて作成したと認めたわけではないから、この点の所論は前提を欠き、採用できない。 20②については、平成26年7月24日の3社会合で、a又はbが、被告人A3から、希望工区一覧表①にB1の受注希望工区を反映させて修正した希望工区一覧表③の交付を受けたことは、a及びbがいずれも供述しているところであるから、これに基づいて、原判決が前記事実を認定したことに誤りはない。 なお、希望工区一覧表③自体が証拠として顕出されていないことは指摘のとお25りであるが、この点に関し、bは、受け取った受注希望工区一覧表③は、その - 93 -後自身が保管していたが、強制捜査が入るという話を聞いたときに、部下にシュレッダーにかけさせた旨の説得的な説明をしている(b④28頁)から、この点が前記認定の障害となるとはいえない。その他、交付の際の状況に関し、aやbの供述にあいまいな点があるなどとする所論の指摘を検討しても、希望工区一覧表③の交付を受け している(b④28頁)から、この点が前記認定の障害となるとはいえない。その他、交付の際の状況に関し、aやbの供述にあいまいな点があるなどとする所論の指摘を検討しても、希望工区一覧表③の交付を受けたとの点に疑問を生じさせるものはなく、前記認定5を左右しない。 ③については、原判決は、a及びbの供述に基づいて、指摘の各事実を認定したのであって、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえない。前者の事実につき、所論は、被告人A4の供述に基づき、平成26年12月25日は品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の出件当日であり、被告人A4は10出件図書の内容を全く把握しておらず、また、被告会社A2が競争見積手続に参加するか否かも決まっていなかったから、被告人A4が、同日の時点で、見積作業にB1の協力を仰ぐつもりだったとは到底考えられない旨主張するが、被告人A4の供述が信用できないことは原判決が説示するとおりである。そして、被告人A4がこの時点で出件図書の内容を把握していなかったことや、被15告会社A2の前記各工事の指名競争見積手続への参加が正式には決定していなかったことを前提としても、被告人A4において、被告会社A2がこれに参加するに至ることや、その場合に見積作業に相応の負担が生ずるであろうことは、当然に予想できたはずである。そして、この日の3社会合では、B1が品川駅南工区全工事を受注できるよう、被告会社A2を含む他社が協力すること20が了承されたというのであるから、そのような利益を受ける立場にあるbに対し、被告人A4が、前記の程度の依頼をしたとしても、何ら不自然ではないというべきである(bが供述するように、被告人A4の前記発言が、その直前に、bがB2にいろいろ教えてあげなければならなくなる旨を述べたことを受けてなされたも の依頼をしたとしても、何ら不自然ではないというべきである(bが供述するように、被告人A4の前記発言が、その直前に、bがB2にいろいろ教えてあげなければならなくなる旨を述べたことを受けてなされたものであったとすれば、なおさらである。)。また、後者の点に25ついて、所論は、価格連絡担当者に関するbの供述は、被告会社A1やB2に - 94 -ついては、aから「担当者を決めて連絡することになった。お前のところに連絡がある。」旨を告げられたのに、被告会社A2だけは、被告人A4の方から唐突に「私が担当者です。」などと連絡してきたという点において、不自然不合理であるというが、各社において、価格連絡担当者が決まった時期や、それをB1側に伝える時期・方法が区々になったとしても特に不自然・不合理とは5いえない。所論はいずれも採用できない。 ④については、確かに、指摘の点に関し、aは、3社会合で被告人A3からcと会ったことを聞いた旨は供述したものの、そこでcと話した内容を聞いたとまでは供述しておらず、ほかにこれを認めるに足りる証拠も見当たらないから、原判決の前記認定には、一部誤りがあるといえる。しかし、この誤りは、10他の事実認定に影響するものではないし、これらの前提事実を踏まえて、本件合意の存在を認めた結論にも影響するものではない(所論は、この点も踏まえて、被告人A4は、被告人A3、a及びcの間で行われた各2者会談の内容を全く知らなかったと主張するようであるが、かかる主張が採用できないことは後記のとおりである。)。 15⑤については、原判決は、c及びeの供述に基づいて、指摘の事実を認定したのであって、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえない。所論は、cの供述は、被告会社A2側と連絡を取るようeに指示したことを明確に否定し 判決は、c及びeの供述に基づいて、指摘の事実を認定したのであって、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえない。所論は、cの供述は、被告会社A2側と連絡を取るようeに指示したことを明確に否定しているというが、cの供述は、eに対し、被告会社等4社の間で、品川駅北工区はB2が、品川駅南工区はB1が受注することを決めたことを伝え、B120のbと連絡を取り合って、必要な作業を進めるよう指示したことを述べた上で、そのときに、被告会社両社の担当者と連絡を取るように指示した記憶はない、その後の平成27年3月下旬頃にeが被告人A4と接触したことについて心当たりはないなどと述べたものである。これに対し、eは、cから、B2の窓口として、B1及び被告会社両社の窓口と協力して進めてもらいたい旨指示25されたと供述しているところ、cの前記供述は、かかる指示をしたことを積極 - 95 -的に否定する趣旨とまでは解されないし、eの供述によっても、被告会社A2の価格連絡担当者が被告人A4であることは、cから聞いたわけではないというのであるから、平成27年3月下旬頃のeと被告人A4の接触についてcが心当たりがないと述べたことも、前記のような指示をしたことと矛盾するほど不自然とまではいえない。所論は、平成27年2月20日頃に、cがeに対5し、前記のような指示をしたのであれば、被告人A4の連絡先等を伝えないはずがないし、指示を受けたeがbから促されるまでその指示を放置することもあり得ないともいうが、cが被告会社A2の価格連絡担当者をいまだ伝えられていなかったなどの可能性も十分に考えられる。むしろ、仮にcの前記の指示がなかったとすれば、eは、他社の従業者であるbから言われただけで、やは10り他社の従業者である被告人A4に対し、検討中の自社の見積価格 などの可能性も十分に考えられる。むしろ、仮にcの前記の指示がなかったとすれば、eは、他社の従業者であるbから言われただけで、やは10り他社の従業者である被告人A4に対し、検討中の自社の見積価格に関する情報を伝えるという、少なくともコンプライアンス違反であることが明らかな行為を、cの意向を確認せずに行ったことになるが、これは、そもそもeがcの指示によって本件価格連絡に携わるようになったという経緯に照らし、あまりにも不自然であって、考えられないというべきである。そうすると、cの前記15供述を踏まえても、前記判断は変わらない。 ⑥については、原判決は、fの検察官調書における供述に基づいて、指摘の事実を認定したのであって、そこに論理則、経験則違反があるなどとはいえない。所論は、指摘のような被告人A4の発言は、同被告人はもとより、この日の3社会合に同席していた被告人A3もbも供述していないから信用できない20というが、被告人両名の供述が信用できないことは原判決が指摘するとおりであるし、bは、前記のようなやり取りがあったことを否定しているわけではないから、これらの点は、前記認定の障害となるものではない。所論は、品川駅の工事と名古屋駅東工区の工事では難易度等が異なり、前者の単価が後者のそれに影響することはないから、被告人A4が前記のような発言をするはずがな25いともいうが、その主張を前提としても、B1が受注予定の品川駅の工事につ - 96 -いて単価を高く設定することが、将来名古屋駅東工区の工事を受注する事業者の不利益とならないことは明らかである。そうすると、被告人A3が、品川駅の工事の単価が名古屋駅の工事の単価に影響すると考えて(被告人A3がこのように考えていたことは、同被告人が平成27年6月29日にcと面会した際、品川 は明らかである。そうすると、被告人A3が、品川駅の工事の単価が名古屋駅の工事の単価に影響すると考えて(被告人A3がこのように考えていたことは、同被告人が平成27年6月29日にcと面会した際、品川駅北工区における地中連続壁工の単価が名古屋駅の工事におけるそれ5に影響する旨の話をしたこと(c①67~71頁)に照らしても明らかである。)前記のような発言をしたのを受けて、被告人A4が前記の程度の発言をしたとしても、さして不自然とはいえない。 その他、所論を検討しても、原判決が認定した「本件合意の成否等に関する前提事実」に、その結論に影響するような事実誤認は見当たらない。 10イ 本件合意の成否等についての検討について所論は、原判決が「本件合意の成否等に関する前提事実」等を踏まえ、被告人両名、a、b及びcが、本件合意をした上、その合意に従って本件受注予定事業者決定を行い、本件価格連絡をしたといえることは明らかであると判断したことに関し、①事前の検討を行っていなかった建設会社は、本件各工事につ15いて、実際の施工を前提として見積りを作成することも、実際に施工することもできない一方で、重要顧客であるC2との関係上、辞退もできなかったため、価格協議先に選ばれることを回避しつつ、過少違算を避け、もっともらしい見積価格を提出しなければならなかったところ、本件価格連絡は、このような事情を背景に、窮余の方策として実施されたものであるから、本件合意を推20認させるものではない、②希望工区一覧表①ないし③は、各社の受注希望の整理に効果を有しておらず、本件合意の成立を推認させない、③仮に、品川駅北工区、品川駅南工区、名古屋駅中央工区の工事について基本合意や受注予定事業者決定がなされたとしても、それは、3社会合とは関係なく、aとc、cと被告人 、本件合意の成立を推認させない、③仮に、品川駅北工区、品川駅南工区、名古屋駅中央工区の工事について基本合意や受注予定事業者決定がなされたとしても、それは、3社会合とは関係なく、aとc、cと被告人A3、aと被告人A3の各2者会談によって成立したものであり、被告25人A4は関係していない、④c引継ぎ用メモの記載は、cが被告人A4と本件 - 97 -合意をしていないことを示している、として、原判決の前記判断が誤っているという。 しかし、①については、本件各工事について、事前の検討を行っていなかった建設会社は、見積りや施工が不可能であったなどといえないことは、後記のとおりである。被告会社等4社の従業者において、受注を希望しない工事であ5っても、指名を受けた以上、辞退をすることは事実上困難であると認識していたことはうかがわれるが、単に自社が価格協議先に選ばれるのを避けようとするのであれば、十分な利益を上乗せするなどして高い見積価格を提出すれば足りるのであるから、見積価格そのものに関する情報を他社との間でやり取りするという、少なくともコンプライアンスに違反することが明らかであり、犯罪10にも問われかねない行為を行う合理的な理由になるとは考えられない。所論は、受注を希望しない会社であっても、もっともらしい見積価格を提出する必要があったとして、高すぎる見積価格も避ける必要があったと主張するようであるが、その理由は明らかでないし、そのような意向に他社が協力する理由も見当たらない。さらに、原判決もいうように、本件価格連絡が、各社の見積価15格に差が付くような形で繰り返されていたことや、やりとりされた資料の中に、特定の事業者の受注に向けて調整する意図をうかがわせる記載がみられることも、所論の挙げる理由のみでは説明できない。そうする 格に差が付くような形で繰り返されていたことや、やりとりされた資料の中に、特定の事業者の受注に向けて調整する意図をうかがわせる記載がみられることも、所論の挙げる理由のみでは説明できない。そうすると、本件価格連絡が行われたことについて最も合理的な理由を提供するなどとして、本件合意等の存在を認定した原判決の判断に誤りはない。 20②については、原判決は「3社会合においてaに対して被告人A3が希望工区一覧表①を交付すると共に被告人A4が被告会社A2への配慮を求め、後日B1の受注希望工区が記載された希望工区一覧表②が被告人両名に交付され、これを基に修正された希望工区一覧表③が作成されたなどというのであるから、各希望工区一覧表が被告会社A1、被告会社A2及びB1の受注希望の整25理に相応の効果を有していたことは明らかというべきである」と判断している - 98 -ところ、そこでいう前提事実の認定に誤りはないし、それらの事実から、これらの一覧表が受注希望の整理に相応の効果を有していたと評価したことも相当である。所論が指摘するように、3社会合において、これらの一覧表に基づいて議論したことや、都度一覧表が更新され、それに基づいて調整結果が確認されたことがなかったことは、原判決の前記判断を左右しない。所論は、bが本5件一覧表に書かれていることが重要でない旨証言したともいうが、この点に関するbの証言(b④24~25頁)は、同人が、配布された希望工区一覧表③について、B1の希望が反映されているかは確認したと思うが、品川駅工事開削工区について、同社の希望どおり1工区になっていたかは覚えていない、希望が反映されていなくても、被告人A3に今後反映するよう申し入れることは10考えなかったなどと証言し、その理由を問われた際に、「(品川駅工事開 社の希望どおり1工区になっていたかは覚えていない、希望が反映されていなくても、被告人A3に今後反映するよう申し入れることは10考えなかったなどと証言し、その理由を問われた際に、「(品川駅工事開削工区は)最後まで特命随意契約で受注することを目指していたため、その一覧表に書かれていることがあまり重要でないということだったと思う」旨述べたというものであって、希望工区一覧表③の作成より前の調整状況について述べたものではないし、指名競争見積手続が採用された場合の調整の必要性を否定する15ものでもないから、この点も、原判決の前記判断を左右しない。 ③については、原判決が認定したような3社会合の状況やcに声を掛けた経緯、それを受けて更に3社会合が行われて基本合意等がなされたこと、その後の価格連絡が被告会社A2も含む被告会社等4社の間で行われていること等の事情に照らせば、被告人A4を含む被告会社等4社の従業者の間で、本件合意20と本件受注事業者決定がなされたことは優に認められる。所論は、原判決が、「平成26年12月25日の3社会合で(中略)規模の大きい品川駅南工区全工事はB1、規模の小さい品川駅北工区全工事はB2が受注することとし、受注予定事業者以外の3社がその受注に協力することが出席者間で了承された。 (中略)そして、この日の3社会合で、被告人A3が、「B2が色々な工区で25単独で営業しているのは迷惑であり、そろそろB2と話をしなければならな - 99 -い。」などと述べ、cと付き合いがあったaが、「B2に自分が話をしておこうか。」などと述べたのに対し、被告人A3は、「そうしてくれ。」と述べた。(中略)aとcは、平成27年1月8日に会合し、品川駅北工区全工事についてはB2が、品川駅南工区全工事についてはB1が受注を希望している どと述べたのに対し、被告人A3は、「そうしてくれ。」と述べた。(中略)aとcは、平成27年1月8日に会合し、品川駅北工区全工事についてはB2が、品川駅南工区全工事についてはB1が受注を希望していることを確認し、お互いに協力し合うことを話し合った」と認定した点に関し、a5は、平成26年11月頃にcと会い、品川駅工事開削工区が2工区に分けられるとの見通しを踏まえて、「大きい方はB1、小さい方はB2」という話をしたと供述しており、これによれば同年12月25日より前に、既にB1とB2との間では大きい工区をB1、小さい工区をB2が受注する旨の確認をしていたことが認められるから、これが同日の3社会合を経て決まった旨の前記認定10は誤っていると主張するものと解される。しかし、B1とB2が前記各工区の工事を確実に受注するためには、被告会社両社の協力も必要になるところ、原判決は、平成26年12月25日の3社会合で被告会社両社とB1との間でかかる協力が了承され、これを受けてaとcが話し合うなどしたことによって、順次、被告会社等4社の間で本件合意が成立したと認定したものと解され、そ15こに何ら誤りはないし、本件合意の成立に3社会合が大きく関係していることも明らかである。また、所論は、平成27年2月25日に3社会合が予定されていたにもかかわらず、同年1月20日のaとcとの会談の数日後に、aと被告人A3がわざわざ2人だけで会談し、aとcとの会談の内容の共有等をしたことから、aや被告人A3が3社会合を受注調整を行う場所と考えていなかっ20たことが明らかであるともいうが、aは、この点に関し、「cとの話の内容は、その数日後に被告人A3が訪ねてきたときに伝えた。被告人A4には伝えなかったが、それは被告人A3から連絡が行くと思っていたからである」旨供 であるともいうが、aは、この点に関し、「cとの話の内容は、その数日後に被告人A3が訪ねてきたときに伝えた。被告人A4には伝えなかったが、それは被告人A3から連絡が行くと思っていたからである」旨供述しているのであって(a①37~38頁)、aにおいて、cとの話を伝えるためにわざわざ被告人A3と2人だけで会ったとは認められないし、被告人A254を排除して被告人A3にのみこれを伝えようとしたとも認められないから、 - 100 -所論は採用できない。さらに、所論は、被告人A4は、被告人A3、a及びcとの間で行われた各2者会談の事実及びその内容を知らなかったともいうが、原判決が認定した、平成26年12月25日の被告人A4も出席した3社会合で、aがB2に話をする旨述べるなどしていたこと、cから受注調整の枠組みに加わる旨の返答を得たaが、被告会社両社に伝えておく旨述べたこと、その5後被告人A3もcと会い、受注調整の話をした上、翌日の被告人A4も参加した3社会合で、cと会ったことを伝えたこと(他方、その内容まで伝えたとは認定し難いことは、前記のとおりである。)などの事実に照らせば、遅くともその3社会合までに、cが受注調整の枠組みに加わる旨の意向を示したことが、被告人A4にも、何らかの形で伝わっていたことは優に推認できるという10べきである。その他の所論の指摘を検討しても、被告人A4を含む被告会社等4社の従業者の間で、本件合意等がなされたとの前記判断を左右する事情は見当たらない。 ④について、所論は、c引継ぎ用メモには、被告会社A1及びB1に関しては、それぞれ「A3さんとの約束」、「aさんとの約束」との記載があるのに15対し、被告会社A2に関しては、「k専務談。A2・・・南アルプストンネル(長野)、sシールド 岐阜の車両基地」と 関しては、それぞれ「A3さんとの約束」、「aさんとの約束」との記載があるのに15対し、被告会社A2に関しては、「k専務談。A2・・・南アルプストンネル(長野)、sシールド 岐阜の車両基地」という記載があるにすぎないことが、cと被告人A4が本件合意をした事実がないことを示しているというが、cは、原審公判において、aから、リニア中央新幹線の工事に関し、かねてから被告会社両社とB1の3社で意見交換しているが、B2も3社の仲間に入ら20ないかと持ち掛けられ、受注調整の誘いだと思った、一旦保留して検討の上、最終的に3社の仲間に入るとaに返答したなどと、原判決の認定に沿う供述をしているところ、この点はc引継ぎ用メモに同旨の記載があることによっても強く裏付けられている。所論が指摘するようなc引継ぎ用メモの記載の相違は、cが、被告人A3及びaとは、それぞれ直接会った上、相互の希望工区に25関する具体的な受注調整の交渉をするなどしていたのに対し、被告会社A2の - 101 -関係では、同社のk専務の話や、支店からの情報によって、同社の希望工区をいくつか把握していたが、それらはB2の希望と競合していないと認識しており(c②55~56頁)、被告会社A2の従業者と相互の希望工区に関する具体的な受注調整の交渉もするに至っていなかったことに鑑みれば、何ら不自然とはいえないのであって、cの前記供述の信用性を左右しないし、原判決の認5定にも影響しない。 その他、所論を検討しても、被告人両名、a、b及びcが、本件合意をした上、その合意に従って本件受注予定事業者決定を行い、本件価格連絡をしたといえるとした原判決の判断を左右するものは見当たらない。 ⑶ 競争性について10ア はじめに所論は、競争性を欠くという理由として、①事前検討を行 予定事業者決定を行い、本件価格連絡をしたといえるとした原判決の判断を左右するものは見当たらない。 ⑶ 競争性について10ア はじめに所論は、競争性を欠くという理由として、①事前検討を行っていた会社以外は、見積りも施工も不可能であったこと、②C2において、特定の受注予定事業者を決定していたことを挙げるので、以下順次検討する。 ところで、原判決は、本件合意等が、品川駅北工区、品川駅南工区及び名古15屋駅中央工区の工事を、その一部が切り出されて出件される場合も含めて対象とすると認定したものと解されるし、実行行為のうち、本件合意及び本件受注予定事業者決定は平成26年4月下旬頃から平成27年2月頃までに、本件価格連絡はその頃から同年8月下旬頃までに、それぞれ行われたと認定したものと解される。これに対し、所論が、競争性を欠くから無罪である旨主張してい20ることに鑑みると、基本的に、所論は、遅くとも平成27年2月頃には、品川駅北工区、品川駅南工区及び名古屋駅中央工区に含まれる工事について、それぞれ1個の工区として出件されるか、その一部が切り出されて順次出件されるかを問わず、前記①及び②の事情が存在していたと主張するものと解されるので、それを前提に検討する。 25イ 見積り・施工の可能性について - 102 -被告会社A1及び被告人A3の所論は、独占禁止法が保護しようとしている「競争」とは、形だけの競争ではなく、実質的な競争を意味するところ、実質的な競争があったといえるためには、見積り・施工が「客観的に不可能であったとはいえない」との認定では足りず、「現実的に可能であった」ことが必要と解されるとした上で、「本件各工事の難易度・規模その他原審各弁護人5の主張する事情を踏まえても、本件各工事について見積り・施工が いえない」との認定では足りず、「現実的に可能であった」ことが必要と解されるとした上で、「本件各工事の難易度・規模その他原審各弁護人5の主張する事情を踏まえても、本件各工事について見積り・施工が客観的に不可能であったとはいえず、この点によって独占禁止法上の競争性が失われるものではないというべきである」とした原判決の判断は、同法2条4項の解釈適用を誤ったものである、という。 しかし、原判決が前記のように説示したのは、見積り・施工が不可能であっ10たとの原審各弁護人の主張に答えたためと解されるし、その説示の直前に、「本件各工事について独占禁止法2条4項にいう「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態を逸脱していたとはいえない」と説示していることなど、その説示全体をみれば、原判決は、見積りや施工が可能であ15ったことを認定して独占禁止法2条4項に当たると判断したものと認められる。そうすると、原判決の判断に、同項の解釈適用の誤りがあるとはいえない。 所論は、①競争の要件である見積り・施工の可能性は、検察官に立証責任があるのに、原判決は、原審各弁護人が提示した消極的間接事実を排斥する20にとどめ、立証責任を実質的に転換するという過ちを犯している、②原判決は、多数の消極的間接事実を個別に分断して評価し、いずれも見積りや施工が不可能であったことを示すものではない旨判示しており、それらを総合して判断することを怠っている、として、原判決の判断構造自体に誤りがあるという。 25しかし、①について、原判決は、「見積り・施工の客観的可能性等について - 103 -の前提事実」を認定した上で、それらの事実を踏まえて、被告会社等4社が高い技術 りがあるという。 25しかし、①について、原判決は、「見積り・施工の客観的可能性等について - 103 -の前提事実」を認定した上で、それらの事実を踏まえて、被告会社等4社が高い技術力、経営規模を有しており、鉄道工事の実績も十分であったことや、本件各工事を構成する各工種に被告会社等4社のいずれかが施工できないようなものは含まれていなかったことを認めるとともに、特定の会社以外は見積りや施工が不可能であったとする原審各弁護人の種々の主張について検討し、結果5的にこれを排斥したものである。そして、具体的な判断内容をみても、見積りの可能性に関しては、被告会社等4社が、実際に所定の期間内に独自に参考見積書等を作成して提出したことを認定し、そのこと自体が、事前検討を行っていなかったゼネコンによる見積りが不可能とはいえなかったことを示すものであるとして、これが不可能であったとする原審各弁護人の主張を排斥したもの10であって、立証責任を実質的に転換したなどといえないことは明らかである。 他方、施工の可能性に関しては、確かに、原判決の説示は、事前に検討を行っていた会社以外は施工が不可能であった旨の原審各弁護人の主張を排斥することに重点が置かれており、それが積極的に可能であることを示す具体的な事情は、必ずしも明確には指摘されていない。しかし、被告会社等4社の施工実績15や、本件各工事を構成する工種等に加えて、被告会社等4社が、品川駅工事開削工区及び名古屋駅中央工区全工事のいずれにおいても、C2の請負業者選定委員会での検討を経て競争参加事業者に指名されたこと、被告会社等4社が、それらの工事について、いずれも(ただし、名古屋駅中央工区全工事におけるB1を除く。)指名競争見積手続に参加し、参考見積書や技術提案書等を提出20していた 者に指名されたこと、被告会社等4社が、それらの工事について、いずれも(ただし、名古屋駅中央工区全工事におけるB1を除く。)指名競争見積手続に参加し、参考見積書や技術提案書等を提出20していたこと、その後、品川駅北工区その1工事についてはB2、名古屋駅中央西工区1期工事についてはB1という、いずれも事前の検討を行っていなかった会社が受注し、問題なく施工したことなど、「見積り・施工の客観的可能性等についての前提事実」で認定された事実によれば、被告会社等4社が指名競争見積手続に参加して参考見積書等を提出した各工事の施工が可能であった25ことは、強く推認できるというべきである。原判決も、そのような判断のも - 104 -と、原審各弁護人が指摘する事情が、かかる推認を覆し、施工が不可能であったことをうかがわせるようなものであるかどうかを検討したために、前記のような説示になったものと解されるから、かかる説示をもって、原判決が実質的に立証責任を転換したなどとはいえない。 ②についても、原判決は、原審各弁護人が主張する種々の事情は、これらを5併せても、施工が可能であったとの前記推認を覆すに足りないと判断したものと解されるから、総合判断を怠ったとの非難は当たらない。 そうすると、原判決の判断構造に誤りがあるとする所論は採用できない。 所論は、原判決が、「被告会社等4社は、実際に、いずれも所定の期間内に独自に参考見積書、技術提案書等を作成してC2に提出しているのであっ10て、そのこと自体、事前検討を行っていなかったゼネコンが見積りを所定の期間内に行うことが不可能とはいえなかったことを示すものである」としたことに関し、事前検討を行っていなかった会社が提出した見積書等は体裁だけを整えたものであるから、それらの提出をもって見積りが可 の期間内に行うことが不可能とはいえなかったことを示すものである」としたことに関し、事前検討を行っていなかった会社が提出した見積書等は体裁だけを整えたものであるから、それらの提出をもって見積りが可能であると認定したことは誤りであるという。 15しかし、原判決が認定したとおり、被告会社等4社は、参加した本件各工事に係る指名競争見積手続において、いずれも所定の期間内に参考見積書、技術提案書等を作成してC2に提出しているのであるから、そのこと自体が、それらの会社において見積りが不可能とはいえなかったことを極めて強く推認させる事情であると認めたことに、何ら誤りはない。所論は、事前に検討を行って20いない会社が提出した参考見積書等は、実際の施工を前提とせず、体裁だけを整えたものであるというが、関係証拠によれば、いずれの会社においても、参考見積書や技術提案書等は、多数の者が関与する社内手続を経て作成されているところ、その過程で、これが実際の施工を前提としないものであることが了解されていたことをうかがわせる事情は全く見当たらないし、その提出を受け25たC2において、実際の施工を前提としていないなどという否定的な評価をさ - 105 -れた参考見積書等もなかったと認められるから、所論は採用できない。 なお、所論は、被告会社A1が、品川駅南工区全工事の指名競争見積手続に際し、B1から受領した積算資料に基づいて自社の見積書等を提出していることを挙げて、前記資料がなければ、被告会社A1が前記工事の見積りを行うことは不可能であったと主張するようであるが、この点について、原判決が「被5告会社A1社内において名古屋駅受注を優先する人員配置をしていたため同社l支店が限られた人員で積算作業を強いられていたことも踏まえると、被告会社A1が同資 あるが、この点について、原判決が「被5告会社A1社内において名古屋駅受注を優先する人員配置をしていたため同社l支店が限られた人員で積算作業を強いられていたことも踏まえると、被告会社A1が同資料がなければ品川駅工事開削工区の見積りを行うことが技術的に不可能であったことを示す事情とはいえない」と判断したことに誤りはない。 所論は、そのような証拠はないというが、被告会社A1は、名古屋駅中央工区10や品川駅非開削工区の受注を目指していたことに加え、品川駅北工区も「傾注案件」としていたのに対し、品川駅南工区はそうではなかったこと(原審甲64)、被告会社A1のl支店で品川駅北工区及び品川駅南工区に関するプロジェクトマネージャーを務めていたd5は、本社に対して応援の人員を求めていたが、受け入れてもらえなかったこと(原審甲60)、同人らは、品川駅北工15区の積算を優先し、品川駅南工区については、それを土台にして積算する方針をとったこと(原審甲58)、しかし、工事桁関係の工事は、品川駅北工区にはなく、品川駅南工区にしかなかったこと、後者の積算を担当したl支店のd6は、工事桁の架設については、鉄道技術室が作ってくれた積算を使ってそれらしい見積りを作ることができたが、工事桁の撤去についてはどういう作業が20必要かよく分からず、既に土木営業本部がB1からもらってきた積算資料を利用してもっともらしい積算を行う作業を進めていたこともあり、同様にB1の資料をもらえると思って、d5に依頼してB1の資料をもらったこと(原審甲71)などの関係証拠から認められる事実を踏まえると、被告会社A1が、品川駅南工区の見積作業に当たってB1の資料を求めたのは、他の工区と比較し25ても特に、品川駅南工区の受注を目指しておらず、十分な人員をその積算に充 - 10 実を踏まえると、被告会社A1が、品川駅南工区の見積作業に当たってB1の資料を求めたのは、他の工区と比較し25ても特に、品川駅南工区の受注を目指しておらず、十分な人員をその積算に充 - 106 -てていなかったことや、B1から容易に資料をもらえる状況であったことが大きく影響しているものと解されるから、必ずしも、同資料がなければ被告会社A1が同工区の見積りを行うことが不可能であったことを示すものでないとした原判決の前記判断に誤りはない。 その他、所論が種々主張する点を検討しても、現に被告会社等4社がそれぞ5れ参考見積書等を作成して提出しているにもかかわらず、見積りが不可能であったことをうかがわせるものはないから、見積りが可能であったとする原判決の判断に誤りはない。 a 次に、施工の可能性に関する所論を検討するが、この点の検討に当たっても、被告会社等4社が、参加した本件各工事に係る指名競争見積手続にお10いて、いずれも見積書等を作成してC2に提出していることを十分に踏まえる必要がある。すなわち、ある会社がある工事を施工する旨の見積書等を提出するということは、当該会社において、相手方に対し、それに沿った工事を施工する意思があることを正式に表明することを意味するから、その前提として、自社がその工事を施工することが可能と認識しているはずであるし、そのよう15に認識している以上、実際にもそれを施工することが可能であるはずである。 施工が不可能と認識しながら見積書等を提出することや、施工が可能と考えてこれを提出したものの、実際には不可能であるなどということは、それをうかがわせる相応の事情がない限り、あり得ない。 そうすると、被告会社等4社が見積書等をそれぞれ提出したことは、これら20の会社において各工事を施工することが可 能であるなどということは、それをうかがわせる相応の事情がない限り、あり得ない。 そうすると、被告会社等4社が見積書等をそれぞれ提出したことは、これら20の会社において各工事を施工することが可能であったことを強く推認させる事情といえる。 なお、本件各工事のうち、名古屋駅中央工区全工事については、指名競争見積手続が中止されたため、本見積書の提出には至っていないが、同工事についても、手続に参加した3社(被告会社両社及びB2)は、参考見積書や技術提25案書を提出している。そして、関係証拠によれば、参考見積書といえども、技 - 107 -術提案書を踏まえて根拠を示して作成されていたこと、後に提出予定だった本見積書との整合性も意識されていたこと、その作成過程で相応の社内手続が経られていたことが認められるから、参考見積書や技術提案書を提出したことだけでも、本見積書を提出した場合とおおむね同様の推認が働くというべきである。 5b 所論は、原判決の「被告会社等4社の基本的施工能力等について」に係る判断に関し、①問題になっているのは、本件各工事に含まれる具体的な工事の施工が可能か否かなのであるから、「アンダーピニング工」といった抽象的な工事種類の施工経験があるとの事実は、当該施工経験に係る工事の規模や難易度が本件各工事における特定の工事と同程度であったとの条件を満たさない10限り、本件各工事における特定の工事の施工可能性を推認させ得ない、②原判決は、aやA1関係者の各供述の評価を誤っている、として、前記判断に誤りがあるという。 しかし、①について、ある工種の施工経験があるからといって、直ちに同じ工種の別の工事の施工が可能であるなどといえないことは、指摘のとおりであ15るが、ある工種について相応の施工経験があることが、同種 し、①について、ある工種の施工経験があるからといって、直ちに同じ工種の別の工事の施工が可能であるなどといえないことは、指摘のとおりであ15るが、ある工種について相応の施工経験があることが、同種の別の工事の施工の可能性を肯定する方向に働く一つの事情に当たるとみること(逆に、そのような施工経験がないことが、これを否定する方向に働く事情に当たるとみること)は合理的であり、そこに誤りがあるとはいえない。そして、原判決は、「本件各工事を構成する各工種に被告会社等4社のいずれかが施工できないよ20うなものは含まれていなかった」ことを、その「基本的施工能力等」をうかがわせる一つの事情として認定したもので、これのみで本件各工事が施工可能であったと判断したわけではないから、この点に関する原判決の判断に誤りがあるとはいえない。 ②について、所論は、原判決は、「aが、品川駅工事開削工区について、B251の特許技術がなければ施工できないということはな」い旨供述していると認 - 108 -定したが、aは地中連続壁工についてそのように述べたものにすぎず、その他の工種については何ら述べていないから、前記認定は誤っているという。しかし、aは、原審検察官から「(A2側弁護人から)本日示された複数の特許に関する技術や機械、こういったものがないと、品川駅南工区は絶対に施工できないということになるんですか」と問われて、「いや、あの特許は別に、うち5の独特のやり方であって。例えば、連壁なんかは外注業者さんが持っておられる連壁の機械だとかということというのはありますから、それを工夫してやれば。あれがないとできないということではないと思います。」と答えているのであって(a②125頁)、連壁(地中連続壁工を意味すると解される。)の関係にとどまらず、A2側弁 ますから、それを工夫してやれば。あれがないとできないということではないと思います。」と答えているのであって(a②125頁)、連壁(地中連続壁工を意味すると解される。)の関係にとどまらず、A2側弁護人が指摘する各種の特許等が不可欠ではないと10証言したものと解されるから、原判決がaの証言を曲解しているなどとはいえない。また、所論は、原判決が、fやr(以下「r」という。)の各証言を指摘して、「被告会社A1関係者らも、一定の留保をつけるなどしつつも名古屋駅中央工区全工事に被告会社等4社のうち被告会社A1以外の会社に施工が不可能なものはない旨供述している」と認定したことについても、両名は、抽象15的にできないことはないと答えたにすぎない、rは、むしろ、事前の準備検討をしていない会社において工期その他の契約条件の制約を前提とする施工はできない趣旨を証言している、などと主張するが、原判決は、ここでは、あくまで特定の会社(名古屋駅中央工区については被告会社A1)以外の会社には施工できないような種類の工事が含まれるかを検討しているものと解されるか20ら、これを否定する根拠の一つとして前記A1関係者らの証言を指摘したことにも誤りはない。そうすると、原判決の前記判断に誤りがあるとはいえない。 c 所論は、原判決が、品川駅工事開削工区についてB1が、名古屋駅中央工区全工事について被告会社A1がそれぞれ行っていた事前検討の成果が、本件各工事を施工する上で安全性・確実性を高めるために有効であったことは否25定できないとしつつ、そのことが被告会社等4社のうち他の会社において、事 - 109 -前検討を行っていた事業者と同等の品質の施工が可能であるかはともかく、本件各工事を施工することが不可能であることを直ちに意味するものではないと判断し のうち他の会社において、事 - 109 -前検討を行っていた事業者と同等の品質の施工が可能であるかはともかく、本件各工事を施工することが不可能であることを直ちに意味するものではないと判断した点に関し、①事前検討をしていた建設会社が目指したのと同程度の品質は必ずしも求められていなかったことを前提にするのであれば、少なくとも、どの程度の安全性・確実性が求められていたのか、どの程度の差であれば5施工上の安全性・確実性の許容範囲内といえるのかという肝腎の事項について明らかにした上で、事前検討をしていなかった建設会社であっても、必要とされる安全性・確実性を確保した上で、工期その他の契約条件に従った施工ができることを積極的に判示すべきところ、原判決の前記判断にはそれがないから、論理性を欠いている、②C2が、施工上の安全性・確実性はもとより、工10事全般の品質において低い基準を採用するはずはないし、建設会社としても安全かつ確実な施工ができる見込みが立たない状況で本件各工事を受注することはあり得ない、という。 しかし、①については、原判決の前記の判断は、事前検討を行っていた会社とそれ以外の会社との間で、施工の品質が異なり得るとしても、そのことから15直ちに、施工が可能なのは前者のみであることにはならないとしたものであって、そこに何ら誤りはない。そして、原判決は、その説示全体を通じて、後者の会社であってもそれぞれが提出した見積書等に沿った工事の施工が可能であったこと、それがC2の求める最低限の品質を満たすものであったことを認めて、客観的な施工の可能性を肯定したものと解され、そのような判断が論理性20を欠いているなどとはいえない。 ②については、本件各工事について採用された指名競争見積手続によれば、C2において、被告会社等4社 施工の可能性を肯定したものと解され、そのような判断が論理性20を欠いているなどとはいえない。 ②については、本件各工事について採用された指名競争見積手続によれば、C2において、被告会社等4社の施工の品質に差があり得ることを当然の前提としつつも、必ずしも品質のみを基準とするのではなく、価格も考慮して(むしろ価格を重視して)発注先を決めようとしていたことは明らかであるし、こ25れに参加した被告会社等4社も当然にかかるC2の意向は認識していたものと - 110 -認められる。また、品質が最高でないからといって直ちに求められる安全性・確実性の水準を満たさないことにはならないから、所論のようにはいえない。 d 所論は、原判決が、B2が品川駅北工区その1工事を、B1が名古屋駅中央西工区1期工事をそれぞれ受注して問題なく施工しているとの事実を指摘し、これを、少なくとも、最初に出件された各工事のうち品川駅北工区その15工事及び名古屋駅中央西工区1期工事の各工事に含まれている範囲内では、B1及び被告会社A1が行ったような長期間の事前検討が必ずしも施工に当たって不可欠とはいえなかったことを示す事情と評価した点に関し、①B2は品川駅北工区全工事の出件の約1年前から事前検討に着手しているから、事前検討を全く行っていない建設会社も施工が可能であったとの推認はできない、②B101が名古屋駅中央西工区1期工事の施工を問題なく進めているとの事実を認めるに足りる証拠はないし、仮にその事実があったとしても、同工事は、当初の名古屋駅中央工区全工事のうち地中連続壁工事だけを切り出した上で、B1の要請により、施工時期を8か月遅らせ、かつ、B1が施工を断った在来線部等を取り除いた形で出件されたものであるから、B1が名古屋駅中央工区全工事15について 連続壁工事だけを切り出した上で、B1の要請により、施工時期を8か月遅らせ、かつ、B1が施工を断った在来線部等を取り除いた形で出件されたものであるから、B1が名古屋駅中央工区全工事15についても問題なく施工できる状態にあったとの推認はできない、という。 しかし、①については、原判決は、直接的には、B2が品川駅北工区その1工事を施工した事実をもって、その工事に含まれている範囲内では、B1が行ったような長期間の事前検討が施工に当たって不可欠ではなかったと認めたものであって、そこに誤りはない。 20②のうち、B1が名古屋駅中央西工区1期工事の工事を問題なく施工しているとの事実は、例えば、hが、原審検察官から、「B1に名古屋中央西工区を施工してもらっているけれども、やはりいまいちだなと、A1でなければやっぱり無理だなというような御判断というのはC2の中でなさったことがありますか」と問われて「いや、ございません」と述べたこと(h①21頁)によっ25ても十分認められるから、証拠に基づく認定といえる。また、原判決は、この - 111 -事実から、直接的には、同工区の工事に含まれている範囲内では、被告会社A1が行ったような長期間の事前検討が施工に当たって不可欠ではなかったと認めたものであって、そこに誤りはない。 なお、原判決は、これらの事実を、間接的には、他の会社による他の工事の施工可能性を判断するためにも用いている可能性があるが、本件各工事の類似5性や原審各弁護人の主張に照らせば、前記各事実はそのような点の判断に一定程度資するものといえるし、これのみで結論を導いているわけでないことは明らかであるから、そこにも誤りはない。 e 所論は、品川駅工事開削工区のアンダーピニング工に関する原判決の判断について、①原判決が指摘する被告 いえるし、これのみで結論を導いているわけでないことは明らかであるから、そこにも誤りはない。 e 所論は、品川駅工事開削工区のアンダーピニング工に関する原判決の判断について、①原判決が指摘する被告会社A1の関係者が、名古屋駅中央工区10全工事と同時に品川駅工事開削工区の工事を施工することが可能か否かを検討したことをうかがわせる証拠はないから、それらの者の認識は、同社が品川駅工事開削工区のアンダーピニング工を施工できる状態にあったことを推認させない、②被告会社A2もアンダーピニング工の施工方法の提案を行っていると説示するのみで、提出物の内容が施工可能性を推認させるものであるかの検討15を怠っている、として原判決の前記判断には誤りがあるという。 しかし、①については、ある会社の担当者がある工事を自社で施工が可能と認識していたことが、実際に同社が同工事を施工可能であったことを強く推認させる事情に当たることは明らかであるから、原判決の前記判断に誤りはない。所論は、被告会社A1が名古屋駅中央工区全工事を受注して施工すること20を当然の前提とする点で不当であるし、そもそも原判決がここで問題としているのは、B1のようなアンダーピニング用統合管理システムを開発していなかった他の会社は品川駅工事開削工区のアンダーピニング工の施工が不可能であったとする原審各弁護人の主張の当否であるところ、所論指摘の点はこの点の判断に影響しないから、所論は採用できない。 25②については、被告会社A2が、アンダーピニング工の施工方法を提案して - 112 -いることは、同社がそれに沿った工事を施工可能であることを強く推認させる事情というべきであるし、提案を受けたC2においても、それが不適切であるとの評価はされていないから、被告会社A2は前記工事を施 いることは、同社がそれに沿った工事を施工可能であることを強く推認させる事情というべきであるし、提案を受けたC2においても、それが不適切であるとの評価はされていないから、被告会社A2は前記工事を施工不可能であった旨の原審各弁護人の主張を排斥した原判決の判断に誤りはない。所論は、アンダーピニング工に関する同社の提案内容が、C2の技術評価委員会によって、5管理システムと評価できるものではないと判断されたとして、否定的な評価を受けたかのようにいうが、所論が指摘する証拠(原審甲25の74頁)によっても、同委員会で使用された資料のアンダーピニング工に関する部分に「全体管理システムの導入(B1、B2、A1)」と記載されていることが認められるにすぎず、このことから、被告会社A2の提案が「全体管理システム」と評10価されていないとはいえても、それゆえに不適切であるとの評価がなされたなどとはいえない。かえって、同委員会が決定した加算点において、被告会社A2が、アンダーピニング工に係る施工計画について、B2や被告会社A1と同じ点数(0.5点)を獲得し、アンダーピニング工を含む技術提案について「(ストラット以外の項目について)技術上の問題は無いことから、全て適と15する」とされたこと(原審甲25)に照らせば、被告会社A2のアンダーピニング工に関する提案が、同委員会によって相応に適切である旨の評価を受けたことが明らかである。 f 所論は、名古屋駅中央工区全工事における構真柱の機械式継手に関する原判決の判断について、原判決は、質問回答手続において質問に対する回答が20示されたことで解決したとして問題を矮小化し、消極的間接事実としての評価を回避するという誤りを犯している、という。 しかし、当然ながら、本件各工事の仕様を決めるべきは発注者たるC する回答が20示されたことで解決したとして問題を矮小化し、消極的間接事実としての評価を回避するという誤りを犯している、という。 しかし、当然ながら、本件各工事の仕様を決めるべきは発注者たるC2であるし、質問回答の内容は契約図書の一部となる(j②5頁)のであるから、C2が回答を示したことによって、この点の問題が解決したとした原判決の判断25に誤りはない。所論は、被告会社A2の従業員であるq(以下「q」とい - 113 -う。)の証言を引用して、C2が肉厚30ミリメートルの鋼管用の機械式継手で対応せよと回答したからといって、安全かつ確実な施工について責任を負う建設会社としては、設計条件が肉厚40ミリメートルとなっている以上、技術的な検証をしないまま安易に前記回答どおりの施工をするという対応をとることはあり得ないなどとも主張するが、前記のC2の回答(j②別紙2(No.5935の部分)参照)が「適用方として、設計計算上より応力発生箇所が機械式継手の全強以下となっている箇所を選定している」と理由を示していることに照らせば、安全性等を検討した上での回答であることは明らかであり、建設会社にこれに従うことを躊躇させるほど問題のある回答であるとはいえない(q自身も、30ミリメートル厚の機械式継手で代用することが技術的に考えられない10のかと問われて、「今となっては考えられないこともないんですが、当時は、そこまで考える余裕はありませんでした。」と証言している(q①150頁)。)。所論は採用できない。 その他、所論を検討しても、この点に関する原判決の判断を左右するものは見当たらない。 15g 所論は、高い強度のコンクリートを切削する技術に関する原判決の判断について、被告会社A1の技術者であるjは、確かに同社の特許技術がないと する原判決の判断を左右するものは見当たらない。 15g 所論は、高い強度のコンクリートを切削する技術に関する原判決の判断について、被告会社A1の技術者であるjは、確かに同社の特許技術がないと地中連続壁工の施工が不可能であったとまでは言わないと証言したが、同時に、各工事の施工条件に対応した高精度の施工技術の確立が安全かつ確実な施工にとって重要であることを示唆する証言もしている、として、原判決は、供20述全体の趣旨を十分に検討することなく、恣意的に切り取った供述内容を根拠として、消極的間接事実の適切な評価を怠るという論理則違反を犯しているなどという。 しかし、原判決がここで問題としているのは、C2が名古屋駅中央工区の地中連続壁のコンクリートに関して高い強度を要求していたため、高い強度のコ25ンクリートを切削する施工方法を発明していた被告会社A1以外の会社は同工 - 114 -区の工事を施工できなかったとする原審各弁護人の主張の当否であるところ、被告会社A1の技術者であるj自身が同社の特許技術が不可欠ではないと証言したのであるから、その点は十分信用できるし、それを前提とすれば前記主張に理由がないことも明らかであるから、原判決の前記判断に誤りはない。所論指摘の点は、原判決のかかる判断を不当とするものではなく、採用できない。 5h 所論は、超低空頭下用の掘削機械に関する原判決の判断について、①本件で問題となるのは、安全確実な施工が可能であるか否かであり、C2によるヒアリングで問題視されたか否かではない、②C2側が被告会社A2側の説明について突っ込んだ議論をしなかったのは、同社に品川駅工事開削工区を施工させる意思を有していなかったからであると考えるのが合理的である、とし10て、原判決の前記判断には誤りがあるという。 の説明について突っ込んだ議論をしなかったのは、同社に品川駅工事開削工区を施工させる意思を有していなかったからであると考えるのが合理的である、とし10て、原判決の前記判断には誤りがあるという。 しかし、①については、C2にとって、本件各工事が極めて重要なものであったことは明らかであるし、参考見積書、技術提案書等の提出後に行われるヒアリングが、これを提出した各会社においてその改善や本見積書作成等の作業を進めるためにも、C2において各社の提案等の内容を正確に把握し、適切な15加算点を決定するためにも、相応に重要な手続であることもまた容易に推認できる。そうすると、仮に、かかるヒアリングにおいて、施工の可能性を疑わせるような問題が発見されたのであれば、その点について相応の対応等がなされるのが自然といえる。ところが、被告会社A2が提起した、掘削機械の新規製造に時間がかかるという点については、特段の大きな問題とされていない(そ20の後の技術評価委員会でも、特に被告会社A2の施工可能性に否定的な評価はされていない。)のであるから、このことは、C2側においても被告会社A2側においても、前記問題は施工可能性を直ちに疑わせるようなものではないと認識されていたことをうかがわせる事情といえるし、そのことは、実際にもこの問題が施工可能性を否定するようなものではないことを推認させるから、こ25の点を挙げて、あらかじめ超低空頭下用の掘削機械を設計するなどしていなか - 115 -った会社は施工が不可能であった旨の原審各弁護人の主張を排斥した原判決の判断に誤りはない。 ②について、所論は、指摘のように考えられる根拠として、ヒアリングにおける被告会社A2の説明は、必要な掘削機械(品川駅北工区につき4台、品川駅南工区につき6台)は全て新規製造に 判断に誤りはない。 ②について、所論は、指摘のように考えられる根拠として、ヒアリングにおける被告会社A2の説明は、必要な掘削機械(品川駅北工区につき4台、品川駅南工区につき6台)は全て新規製造により調達しなければならないが、製造5業者3社が他の仕事を止めて製造したとしても、1年で3台程度しか製造できないというものであったところ、製造業者がそのとおり製造してくれる保証はないから、この説明は、現実問題として、工期に間に合うように施工することはできないという趣旨のものと理解されるということを挙げるが、被告会社A2において、新規製造を行うことを前提とした参考見積書等を提出している以10上、C2側において、被告会社A2側の説明を、指摘のような趣旨に理解するのが当然とはいえない。その他の所論を踏まえても、後に検討するとおり、C2において、あらかじめ受注させる事業者を決定していたなどとは認められないから、所論は前提を欠き、採用できない。 i 所論は、施工の客観的可能性に関する「小括」として示された原判決の15判断について、これは、要するに、発注者であるC2は、工事の完成を望んでいるので、建設会社側の検討不足により施工の過程で様々な問題が生じたとしても、それらの問題を解決して工事の完成に漕ぎつけようとする建設会社の行動を妨げるようなことはしないはずであるから、問題解決のために建設会社の経済的負担が生じたり、工期が遅れたりすることはあったとしても、いずれ工20事は完成するので、検討未了が施工不可能という事態をもたらすことはないとの趣旨と解されるが、かかる判断は、事前検討をしていない建設会社による施工の可否と当該建設会社が施工することに伴う経済的負担や工期への影響とを切り離して論じている点で、その前提において誤っている、事前検討をして れるが、かかる判断は、事前検討をしていない建設会社による施工の可否と当該建設会社が施工することに伴う経済的負担や工期への影響とを切り離して論じている点で、その前提において誤っている、事前検討をしていない建設会社であっても、工期その他の契約条件を度外視すれば本件各工事の25施工自体は不可能ではないかもしれないが、そうする場合、多額の経済的負担 - 116 -を負うなどして重大な経営リスクを招くから、そのようなリスクを甘受してまで本件各工事を受注し施工することはもはや当該会社の「通常の」事業活動の範囲から逸脱する、として、原判決の前記判断は誤っているという。 まず、原判決の説示の趣旨は、おおむね所論のいうとおりと解されるが、受注した建設会社は、指定された工期内に施工する旨の施工計画等を提出してい5たはずであるし、その提出を受けたC2においても、それが不適格でないことを確認していたはずであるから、計画どおりの施工ができないという事態は、基本的には想定されないはずである(所論は、事前検討を行っていない会社が提出した施工計画等は体裁を整えただけのものであることを前提に、縷々主張するが、そのような主張が前提を欠くことは、既に説示したとおりである。)。 10もとより、様々な事情により、計画どおりの施工ができないという想定外の事態が生ずる可能性はあるが、それは事前検討を行っていた建設会社が受注したとしても同様であり、せいぜい、事前検討を行っていなかった建設会社が受注した場合にはその可能性がより高まるという程度の差があり得るにすぎない。 そうすると、原判決がゼネコン側の経済的負担や工期等に影響する問題が生じ15得るなどとするのも、事前検討を行っていない建設会社が受注した場合にそのような問題等が生ずる可能性が高い(他方、事前検討を行っ ると、原判決がゼネコン側の経済的負担や工期等に影響する問題が生じ15得るなどとするのも、事前検討を行っていない建設会社が受注した場合にそのような問題等が生ずる可能性が高い(他方、事前検討を行っていた建設会社であればその可能性がない)とする趣旨ではなく、そのような事態が生じる可能性が、受注者が事前検討を行っていなかった場合には相対的に高まり得るとする趣旨にとどまると解される。 20所論は、本件各工事において、工期は極めて重要であり、工期内に確実に施工ができる状況になければ、競争の存在の前提となる供給可能性を肯定することはできないなどというが、受注者が工期を遵守できないという事態が基本的に想定されないことや、例外的にそのような事態が生じ得ることは、受注者の事前検討の有無にかかわらず同様で、ただその程度が異なり得るにすぎないこ25とは、前記のとおりである。そして、工期内に施工ができないといったリスク - 117 -をどこまで許容するかは、C2が判断すべき事柄であるから、同社において種々の条件等を踏まえて、必ずしもそのリスクが最小ではない建設会社に発注することも、何ら妨げられない。そうすると、そのような建設会社には当該工事の施工可能性(供給可能性)がないかのようにいう所論は失当である。 所論は、工期が遅れると、受注者に多額の経済的負担等が生ずるなどとし5て、C2の意向にかかわらず、施工可能性が否定されるべきであるというようであるが、関係証拠(原審甲25、26、30、原審弁126等)によれば、本件各工事を受注した建設会社において、提出した技術提案書や施工計画に沿った施工を過失なく行う限り、損害賠償や再度の施工等を行う義務は生じないと解されるし、C2から図面等で示された地質その他の条件が著しく異なる場10合や、予期せ 、提出した技術提案書や施工計画に沿った施工を過失なく行う限り、損害賠償や再度の施工等を行う義務は生じないと解されるし、C2から図面等で示された地質その他の条件が著しく異なる場10合や、予期せぬ地中障害物の発生等により施工方法が変更となった場合には、請負代金変更の対象となり得るとされていることも認められるから、施工の遅れが、直ちに、所論がいうほど多額の経済的負担を受注者にもたらすとはいえない。そもそも、受注者においては、そのようなリスクも織り込んだ見積価格等を提示して受注に至っているはずであることにも鑑みると、事前検討を行っ15ていない工事を受注することによって、直ちに重大な経営リスクを招くほど多額の負担等が生ずるとする所論は採用できない。 結局、仮に、事前検討を行っていない建設会社が受注することによって、計画どおりの施工ができないという可能性がある程度高まるとしても、そのような事態が生じ得ることには受注者も発注者も備えているはずであるし、いざそ20のような事態が生じた場合、柔軟に計画を修正するなどして、双方が施工に向けて協力することが当然に見込まれるから、施工自体が、物理的に、あるいは受注者に重大な経営リスクをもたらすほどの経済的負担が生じる等の理由によって、不可能になるという事態まではにわかに想定し難いというべきであり、原判決の判断もこれとおおむね同旨と解されるから、誤りはない。 25その他、所論を検討しても、かかる判断を左右するものは見当たらない。 - 118 -j 所論は、被告会社A2の技術提案等の問題に関する原判決の判断について、①B1の技術提案等と比べて安全性・効率性において劣るとしても、安全な施工が実現不可能という程度のものではないとする点は、論理性を欠き、独占禁止法上の「競争」の概念も無視して 原判決の判断について、①B1の技術提案等と比べて安全性・効率性において劣るとしても、安全な施工が実現不可能という程度のものではないとする点は、論理性を欠き、独占禁止法上の「競争」の概念も無視している、②問題とすべきは、被告会社A2の技術提案が実際の施工を前提としたものであったか否かであるから、「技5術提案自体が意味のないものであったとまではいえない」との説示は失当である、③原審各弁護人が、被告会社A2の技術提案の問題点を具体的に明らかにしたにもかかわらず、この点について十分かつ具体的な検討を行っていない、として、原判決の前記判断には誤りがあるという。 しかし、①については、原判決が指摘するとおり、被告会社A2が提出した10技術提案書等について、その後行われたC2とのヒアリングにおいて、その施工可能性を疑わせるような指摘等がなされた事情は見当たらないし、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事に係る技術提案等は、技術評価委員会でも、B1やB2よりは劣るものの、被告会社A1とそん色のない加算点を得ているのであるから、これらの点が、当該技術提案が実際の施工に耐え得るもの15であることを推認させる事情に当たることは明らかであるし、B1等より劣るからといって、直ちに安全な施工が不可能ということにならないことも当然である。そもそも、被告会社A2において、安全性を欠き、実際の施工に耐えない技術提案書を提出するなどということが考え難いこと(原審記録を検討しても、そのように相手方の心証を害するとともに、自社の信用を損なうことが明20らかな行為をあえて行う合理的な理由は見当たらない。)にも照らせば、原判決の前記判断に誤りはない。 ②については、原判決の指摘の説示は、被告会社A2が提出した技術提案書等が、実際の施工を前提としないもので 為をあえて行う合理的な理由は見当たらない。)にも照らせば、原判決の前記判断に誤りはない。 ②については、原判決の指摘の説示は、被告会社A2が提出した技術提案書等が、実際の施工を前提としないものではなく、それに沿った施工が可能である旨をいうものと理解し得るから、失当とはいえない。 25③については、前記の事情から、被告会社A2の技術提案が実際の施工を前 - 119 -提としないなどといえないことが強く推認されるところ、原審各弁護人が指摘する個々の問題点を検討しても、前記の推認を覆すものは見当たらない(当審で所論が指摘する点を検討しても、同様である。)。そもそも、仮に、当該技術提案に不備があったとしても、直ちに同社の施工可能性を疑わせることにはならないし、ましてや、他社の施工可能性を疑わせることにはほとんどならない5のであって、この点が競争性の有無に関する結論に影響する余地が乏しいことも考慮すれば、原判決が個々の問題点に関する判断を逐一示さなかったことも不適切とはいえない。 その他、所論を検討しても、この点に関する原判決の判断を左右するものは見当たらない。 10k 所論は、個別工事の施工体制に関する原判決の判断について、①原判決が認定した被告会社等4社が雇用する新幹線工事管理者の有資格者数は、全員が本件各工事の施工に割り当て得ることを意味しない、②原判決は、品川駅北工区その1工事、品川駅南工区その1工事及び名古屋駅中央西工区1期工事に必要な有資格者数を認定しているが、これらの工事は、品川駅北工区全工事、15品川駅南工区全工事及び名古屋駅中央工区全工事のごく一部を切り出したものであって、後者の工事にはより多くの有資格者が必要になる、③新幹線工事管理者の不足が施工不能の理由にならないと結論づけるのであれば、事前の準 全工事及び名古屋駅中央工区全工事のごく一部を切り出したものであって、後者の工事にはより多くの有資格者が必要になる、③新幹線工事管理者の不足が施工不能の理由にならないと結論づけるのであれば、事前の準備をしていなかった被告会社A2が有していた有資格者のうち少なくとも何名を本件各工事に割り当てることができたといった具体的な事実を証拠によって認20定しなければならないはずであるのに、そうしていない原判決の判断には論理の飛躍がある、として、原判決の前記判断には誤りがあるという。 しかし、①については、指摘の事情は原判決も当然の前提としつつ、被告会社等4社がそれぞれ相当数の新幹線工事管理者の有資格者を雇用していることを、本件各工事に必要な工事管理者数(原判決は、実際に配置された人数を指25摘しているが、配置が必要だった数は、同じ時点で、品川駅北工区その1工事 - 120 -は昼間4名程度、夜間4名程度、品川駅南工区その1工事は昼間6名程度、夜間8名程度、名古屋駅中央西工区1期工事は昼間2名程度、夜間2名程度であったと認められる(h②130~134頁)。)を確保し得たことを推認させる一つの事情とみたものと解され、かかる判断に誤りはない。 ②については、品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事は、そ5れぞれ、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事から、当初の数年間に施工すべき工事を切り出したものであるから、仮に後者の工事を受注したとしても、その当初に配置が必要だった工事管理者数は、前者のそれと大差なかったものと考えられる。また、名古屋駅中央西工区1期工事は、名古屋駅中央東工区1期工事と共に、名古屋駅中央工区全工事から、当初の数年間に施工すべき10工事を切り出したものであるから、仮に名古屋駅中央工区全工事を受注したと 名古屋駅中央西工区1期工事は、名古屋駅中央東工区1期工事と共に、名古屋駅中央工区全工事から、当初の数年間に施工すべき10工事を切り出したものであるから、仮に名古屋駅中央工区全工事を受注したとしても、その当初に配置が必要だった工事管理者数は、前記の名古屋駅中央西工区1期工事に必要な人数に名古屋駅中央東工区1期工事に必要な人数(令和元年9月下旬の時点で、昼間3名程度、夜間16名程度と認められる(h②134頁)。)を併せた程度だったものと考えられる。その後の工事に配置すべき15工事管理者は、現場で経験を積ませて補充する余地がより大きいことも考慮すると、原判決の指摘する事情は、品川駅北工区全工事、品川駅南工区全工事、名古屋駅中央工区全工事も含めて、本件各工事について、被告会社等4社に新幹線工事管理者が不足していたとはいえないことをうかがわせる事情といえるから、原判決の判断に誤りはない。 20③については、いかなる証拠や事実から要証事実を認定するかは基本的に自由なのであって、所論は前提を欠く。原判決が指摘する事情に加えて、被告会社等4社が本件各工事の施工計画等を提出していることに鑑みれば、必要な工事管理者を確保し得ないとの事情で実際には施工が不可能であったなどとは認められないから、原判決の認定に誤りはなく、そこに論理の飛躍があるなどと25はいえない。 - 121 -その他、所論を検討しても、この点に関する原判決の判断を左右するものは見当たらない。 l 所論は、複数の工区の施工に関する原判決の判断について、①本件各工事のいずれかを被告会社等4社のいずれかが受注したことを前提として他の工区の受注の不可能性を主張することは前提を欠く旨の原判決の説示は、本件の5事実関係や企業の経営判断の常識から逸脱している、②被告人A れかを被告会社等4社のいずれかが受注したことを前提として他の工区の受注の不可能性を主張することは前提を欠く旨の原判決の説示は、本件の5事実関係や企業の経営判断の常識から逸脱している、②被告人A4の供述を根拠に、複数工区の受注が不可能ではなかったなどと認定することはできない、として、原判決の前記判断には誤りがあるという。 しかし、①については、原判決がここで検討しているのは、B1、B2及び被告会社A1は、それぞれ受注を目指していた工区があったから、それと工期10の重複する他の工区の工事を並行して施工することは不可能であったとして競争性を否定する原審各弁護人の主張の当否であるところ、かかる競争性の有無は、本件合意が行われた平成27年2月頃の時点で既に問題になるのであるから、被告会社等4社が現に本件各工事のいずれかを受注したことを前提とし得ないとする点に誤りはないし、各社に受注希望工区が存在し、それが重なって15いなかったとしても、各社が希望どおり受注することを前提にすることはできないとする点にも誤りはない。そうすると、原判決が原審各弁護人の前記主張を排斥したことに誤りはないし、このように解したとしても、被告会社等4社がそれぞれ受注目標工事を選定したり、その受注に向けて所要の準備等をしたり、各社の判断で受注を希望しない工事の競争見積手続への参加を辞退したり20することを何ら妨げるものではないから、これが経営判断の常識等から逸脱した判断であるなどとはいえない。 ②については、確かに、原判決が引用する被告人A4の供述は、被告会社両社及びB1が、他の鉄道会社の仕事を全部やめるという、非現実的な仮定をした上で、自身の推測を述べたものにすぎないし、そもそも被告人A4が他社の25施工能力等を正確に把握していたとも考え難いから、か 及びB1が、他の鉄道会社の仕事を全部やめるという、非現実的な仮定をした上で、自身の推測を述べたものにすぎないし、そもそも被告人A4が他社の25施工能力等を正確に把握していたとも考え難いから、かかる供述を根拠に、前 - 122 -記3社において複数工区の施工が可能であったと認めるかのような原判決の説示は相当でない。もっとも、この点は、原審各弁護人の前記主張を排斥した原判決の結論を左右するものではない。 その他、所論を検討しても、この点に関する原判決の結論を左右するものは見当たらない。 5m 所論は、有資格者の補充に関する原判決の判断について、hが各建設会社の準備状況について正確に理解した上で証言をしたのか疑問であるから、hの証言をもって原審各弁護人の主張を排斥した原判決の前記判断は不当であるという。 しかし、hは、新幹線工事管理者の実情について気になり確認した結果とし10て、原判決が引用する証言をしているところ、同人は発注者たるC2の幹部なのであるから、このような確認をなし得ることに何ら疑問はないし、この点について虚偽を述べる理由も見当たらない。反対尋問等を踏まえても、かかる証言の信用性を疑わせる事情が特に見当たらないことにも鑑みれば、原判決がその信用性を認め、それを前提とする判断をしたことに何ら誤りはない。 15a 原判決が、「見積り・施工の客観的可能性に関する関係者の供述について」の説示において、B1やB2の関係者の供述を、事前検討を行っていない建設会社であっても、見積りや施工が可能であったとの認定に沿い、これを支える供述であると認めた点に関し、所論は、各関係者の供述の評価に誤りがあるという。 20まず、B1関係者が、品川駅工事開削工区について、事前検討を行っていない会社であっても見積りや施工が不可 支える供述であると認めた点に関し、所論は、各関係者の供述の評価に誤りがあるという。 20まず、B1関係者が、品川駅工事開削工区について、事前検討を行っていない会社であっても見積りや施工が不可能であったとはいえない旨の供述をしたという点については、所論指摘のとおり、原判決が指摘するaやbは、一方で、それらが相当に困難である旨の供述もしているし、そもそも、同人らにおいて、他社の見積りや施工に係る能力等を正確に認識していたとも考え難いか25ら、この点が、B2及び被告会社両社の見積りや施工の可能性を推認させる大 - 123 -きな事情に当たるとはいえない。もっとも、これらの会社も、品川駅工事開削工区の指名競争見積手続に参加し、参考見積書や技術提案書等を提出していること、それらについて、C2から否定的な評価を受けていないこと、B2は品川駅北工区その1工事を現に受注し、問題なく施工していることなど、既に検討した事情からは、これらの会社において、品川駅北工区、品川駅南工区の各5工事の見積り・施工が可能であったことが十分に認められるから、前記各供述を、かかる認定を支えるものと位置付けたことが誤りとまではいえない。 次に、B2関係者が、品川駅南工区全工事について、もし受注したとしても施工はする旨供述したという点は、仮に、原判決が指摘する前記のようなeの供述が、前記工事を、品川駅北工区全工事と並行して施工できるとする趣旨で10あるとすれば、所論指摘のとおり、B2が品川駅工事開削工区全体の受注は困難と考え、その分割を働きかけてきた経緯等に照らし、にわかに信用し難いというべきである。もっとも、前記eの供述は、品川駅北工区全工事の受注を前提とせず、品川駅南工区全工事のみを受注した場合について述べたものと解する余地もあり、そうであれば、 らし、にわかに信用し難いというべきである。もっとも、前記eの供述は、品川駅北工区全工事の受注を前提とせず、品川駅南工区全工事のみを受注した場合について述べたものと解する余地もあり、そうであれば、B2が同工事についても参考見積書等を提出し15ていること等とも整合し、信用できる。原判決も、このような理解を前提に、eの供述が、原判決の認定に沿う旨説示したものと解し得るから、そこに誤りがあるとはいえない。 b 原判決が、「見積り・施工の客観的可能性に関する関係者の供述について」の説示において、B1関係者の発言や供述を挙げて、同社の技術がなけれ20ば品川駅工事開削工区を施工することは不可能であったとするA1側弁護人の主張を排斥した点に関し、所論は、原判決が前記発言等の証拠評価を誤っているという。 しかし、前記のB1関係者の発言等が、自社技術の有用性について供述している場面でなされたものであるとの認定に誤りはないし、それを踏まえれば、25直ちにそれらが額面どおりの意味をもつものとは認められないとの評価も相当 - 124 -である。前記のとおり、B1以外の会社も品川駅工事開削工区の施工が可能であったことを認めるに足りる事情があることにも鑑みれば、前記の発言等がかかる認定を左右しないとした結論にも誤りはない。 原判決が「経営判断の限界等について」の説示において、被告会社等4社のうち、事前検討を行っていた会社以外の会社が本件各工事を施工すること5は、多額の赤字を生じさせたり工事の完成が不可能になったりするリスクや、他の工事の遂行への支障等をもたらすことになるから、そのような会社は、「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態にはないとし の支障等をもたらすことになるから、そのような会社は、「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態にはないとして、本件各工事は独占禁止法にいう競争性が認められないとする原審各弁護10人の主張を排斥したことについて、所論は、種々の点を指摘して、かかる原判決の判断には誤りがあるといい、さらに、被告会社A1及び被告人A3の所論は、原判決の判断は同法2条4項の解釈適用を誤っているというものと解される。 そこで検討するに、被告会社等4社が、高い施工能力・施工実績を有するこ15とに加え、本件各工事の指名競争見積手続に参加して、参考見積書や技術提案書、施工計画等を提出していたこと、その後のヒアリングや技術評価委員会の審査において、その内容が不適格とされなかったことなどに照らせば、被告会社等4社において、これを受注したにもかかわらず、その責めに帰すべき事由によって施工計画等に沿った施工を行えずに多額の損害賠償等の責任を負うよ20うな事態や、工事の完成を断念せざるを得ないような事態に至る可能性は、そもそも高いとはいえない。もとより、不測の事態により施工が計画よりも遅れたり、それにより費用負担が生じたりする可能性はあるが、そのようなリスクも十分に織り込んで見積価格等を設定しているはずであり、それを踏まえて請負契約締結に至っているのであるから、そのような事態が生じたからといっ25て、直ちにその事業活動の継続を困難にするような事態に至るとは考え難い。 - 125 -更にいえば、被告会社等4社において、真に、見積価格等に織り込むことによってもカバーし切れないリスクがあるとか、既に受注し、又は受注予定の他の工事等の関係で本件各工事を受注すると多大な悪影 5 -更にいえば、被告会社等4社において、真に、見積価格等に織り込むことによってもカバーし切れないリスクがあるとか、既に受注し、又は受注予定の他の工事等の関係で本件各工事を受注すると多大な悪影響が生じるなどと認識していたのであれば、それにもかかわらず本件各工事の指名競争見積手続に参加するという経営判断自体、極めて不合理で違法性をも問われかねない判断とい5うことになるはずであるが、被告会社等4社が行った本件各工事の指名競争見積手続に参加する旨の経営判断について、事前にも事後にも、その不合理性等が問題とされた形跡はないのであって、このことも、当該会社において前記のように認識していなかったこと、ひいては、そのような状況が実際にもなかったことを強く推認させる。 10以上によれば、少なくとも被告会社等4社が実際に指名競争見積手続に参加し、参考見積書等を提出するに至った工事に関する限り、当該会社が「通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく」「役務を提供することができる」状態にあったことは優に認められる。原判決も、その措辞に明確でないところはあるが、おおむね同旨15をいうものと理解できるのであって、その結論に、事実誤認や法令適用の誤りがあるとはいえない。 そうすると、品川駅北工区、品川駅南工区、名古屋駅中央工区に含まれるいずれの工事に係る役務についても、2以上の事業者が供給可能であったと認められるから、競争性に欠けるところはない。 20ウ C2の意思についてはじめに原判決は、C2が特定の事業者に発注することを決定しておらず、競争によって受注事業者を選定する意思を有していたと認定するに当たり、要するに、これを推認させる事情として、㋐C2は、コストダウンを強く追求して は、C2が特定の事業者に発注することを決定しておらず、競争によって受注事業者を選定する意思を有していたと認定するに当たり、要するに、これを推認させる事情として、㋐C2は、コストダウンを強く追求していたこ25と、㋑本件各工事について、見積価格が相当に重視され、C2の恣意が入り込 - 126 -み難い指名競争見積手続を採用していたこと、㋒現に当初から事前検討を行っていたものではない事業者が受注したことがあること、㋓C2関係者が、あらかじめ発注先を決めていたことはないなどと供述していること等の事情を認め、他方、㋔特定の事業者に対する事前検討依頼の事実等、原審各弁護人が主張する種々の事情は、C2が受注事業者を決定していたとの合理的な疑いを生5じさせるものではないと判断した。所論は、前記諸点に関する原判決の各判断に誤りがあり、前記のようには認定できないと主張するので、以下順次検討する。 コストダウンの追求(前記㋐)について原判決は、要するに、C2においては、平成24年秋頃からリニア中央新幹10線関連建設工事の発注方法に関する検討を進めるに当たり、巨額の費用を全額自己資金により賄うことを予定していたこともあり、一貫して、競争原理の導入によりコストダウンを図ることが重要方針とされていたこと、平成25年5月頃には、品川駅及び名古屋駅の工事について、被告会社等4社を指名して技術提案と価格の両面を競わせる競争見積の方法を採用することが想定されてい15たこと、同年11月には、ゼネコン各社に新たに技術的検討を依頼することを禁止等する内容の検討依頼禁止通知が発出されたこと、本件各工事に係る指名競争見積手続においても、リニア中央新幹線計画の早期実現も追求しており、かつ、事前検討をしていた事業者の見積価格が最安値となっているにもかかわ の検討依頼禁止通知が発出されたこと、本件各工事に係る指名競争見積手続においても、リニア中央新幹線計画の早期実現も追求しており、かつ、事前検討をしていた事業者の見積価格が最安値となっているにもかかわらず、予定していた基準価格を上回ることなどから手続を不調としたり中止し20たりしていることなどから、C2がコストダウンを強く追求していたことが認められるとしているところ、所論は、①C2において、平成25年5月頃には被告会社等4社を指名して競争見積の方法を採用することが想定されていたとの認定は誤っている、②検討依頼禁止通知の発出という事実の評価を誤っている、③発注方法に関し、C2が一貫して競争原理の導入によるコストダウンを25重要方針としていたとはいえない、という。 - 127 -しかし、①については、原判決が挙げるmの供述等の関係証拠によれば、同人らC2関係者は、平成25年5月頃の時点で、本件各工事について、被告会社等4社を指名する競争見積手続を採用することを想定していたことが認められるから、原判決の認定に誤りはない。所論は、同時期にmらが副社長に報告した際に用いたメモに、前記のような内容が明記されていないことや、特定の5建設会社から支援を受けているという事実が記されていないことをもって、mの前記供述は信用できないというようであるが、指摘の点は、特にその信用性を疑わせる事情とはいえず、採用できない。 ②について、所論は、C2のt(以下「t」という。)が作成した平成25年10月10日付け「ゼネコン等業者への対応方について」という文書(m②10別紙2-11)に、品川駅工事開削工区について「現時点でO社のみ」「T社はB駅での競合を避けるため、入札への真剣度は低くなる可能性大。S社、K社の参加が望まれる。ただし、これまでの 書(m②10別紙2-11)に、品川駅工事開削工区について「現時点でO社のみ」「T社はB駅での競合を避けるため、入札への真剣度は低くなる可能性大。S社、K社の参加が望まれる。ただし、これまでのO社の協力度を考えると当社から積極的に他社の参加を促すのは心苦しい部分がある」などと、名古屋駅について「軌道等を除けば、T社のみ」「S社、K社から提案(手伝い)の申し出があ15る模様。S社、K社の提案を受入れ、競争可をアピール」などとそれぞれ記載されていることを挙げて、C2は、協力を依頼していた会社以外の会社は、C2から競争への参加を促す行為をしなければ、競争への参加を期待できない状況にあったことを認識していたものと推認できるが、その後も自ら競争を促すような行為を全く行っていないとした上、検討依頼禁止通知は、あくまで平成2026年以降の依頼を原則として禁止するものにすぎず、前記のような状況において競争を促す機能を果たし得ないとして、その発出を、C2に競争させる意思があったことを推認させる間接事実として取り上げた原判決の判断は誤りであるという。しかし、仮に、指摘の文書から、その作成の時点において、tらC2関係者が、品川駅工事開削工区の関係ではB1、名古屋駅の関係では被告25会社A1しか受注に積極的でないと認識していたことがうかがわれるとして - 128 -も、そのような状況を容認していないことは明らかである(同じ文書には、「A駅はO社、B駅はT社、C駅はS社と勝手な住み分けがなされる恐れがある」などの記載もある。)し、C2において競争を促すような行為を全く行っていないともいえない(B2の求めに応じて品川駅工事に関する資料を渡したことのほかにも、例えば、名古屋駅中央工区全工事の出件前の平成27年3月5頃に、C2の関係者が、 を促すような行為を全く行っていないともいえない(B2の求めに応じて品川駅工事に関する資料を渡したことのほかにも、例えば、名古屋駅中央工区全工事の出件前の平成27年3月5頃に、C2の関係者が、被告会社A2及びB2の担当者に対し、公表資料を使って施工手順を説明し、不明な点等について答えるという機会を設けたことも認められる(o①9頁)。)。いずれにしても、真にC2が受注事業者を決定しており、競争させる意思がなかったのであれば、検討依頼禁止通知を発出する必要はなかったはずであるから、その発出をもって、C2において競争させ10る意思を有していたことを推認させる一つの事情とみたことに誤りはない。 ③については、関係証拠によれば、C2において、少なくとも平成24年秋頃以降は、一貫してコストダウンを図ることが重要方針とされていたことが認められるから、原判決の前記認定に誤りはない。所論は、競争入札ではなく、随意契約によることが前提になっていたともいうが、C2において採用が想定15されていたのは、特命随意契約ではなく、競争見積手続による競争性のある随意契約であったと認められるから、前記判断を左右しない。 競争見積手続の仕組み等(前記㋑)についてa 原判決は、要するに、本件各工事について採用された指名競争見積手続について、具体的な手順が定められていること、総合評価方式が採用された場20合でも、標準点100点に対し加算点は10点満点でしかない上、単純に見積価格のみで決定する方式が採用された場合もあることなどから、見積価格が相当に重視され、C2の恣意が入り込み難い方法であると認めた。これに対し、所論は、①具体的な手順が定められていたとしても、客観的な入札結果のみにより自動的に受注事業者が決まるわけではなく、これを決定する場面において2 の恣意が入り込み難い方法であると認めた。これに対し、所論は、①具体的な手順が定められていたとしても、客観的な入札結果のみにより自動的に受注事業者が決まるわけではなく、これを決定する場面において25C2の恣意が入る余地がある、②本見積書提出の前段階でもC2の恣意・誘導 - 129 -が入り込む仕組みになっている、③C2は、事前に説明した手続自体をその裁量で手続開始後に変更している、④C2が見積価格を相当に重視していたことは、同社の恣意の介在の余地があることと矛盾しない、という。 しかし、①については、仮に、C2において、受注させたいと考える意中の事業者がいたとしても、ほぼ見積価格で決まる評価値によって、第1順位及び5第2順位の価格協議先が決まるのであるから、意中の事業者の評価値が上位2位以内に入らない限り契約の対象とはなり得ないし、第2順位になったとしても、まずは第1順位の事業者と交渉をしなければならないのであるから、意中の業者に発注できない可能性が高いことになる。所論は、第1順位の事業者との契約を拒めばよいというが、そうしつつ、他方で第2順位の事業者と契約す10ることが、容易でないことは明らかである(第1順位の事業者がC2にとって有利な条件を提示していたにもかかわらず、それを拒んでより不利な第2順位の事業者の提示した条件で契約することは、その合理性が厳しく問われることになろう。他方で、評価値では劣っていた第2順位の事業者が、一転して第1順位の事業者よりも有利な条件を提示してくれることが期待し難いことも明ら15かである。)。所論は、手続自体を不調にしてやり直すこともできたともいうが、原判決もいうように、早期の着工が要請される中で、安易にやり直しを選択することが困難であることは明らかであるし、やり直したからといって )。所論は、手続自体を不調にしてやり直すこともできたともいうが、原判決もいうように、早期の着工が要請される中で、安易にやり直しを選択することが困難であることは明らかであるし、やり直したからといって意図したとおりの結果になるとも限らないから、現実的でない。そうすると、現に採用された指名競争見積手続が、C2の恣意が入り込み難い手続であったとの20認定に誤りはない。 ②について、所論がいかなる誘導等を想定しているのかは明らかではないが、各事業者が設定する見積価格を、C2において誘導することに限界があることは明らかであるから、そのような誘導によって意中の事業者を第1順位の価格協議先とすることをC2が当然のこととして想定していたなどとは考えら25れない。 - 130 -③については、C2が、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の競争参加説明書には記載がなかった不調手続を参考見積書提出期限後に導入したことは原判決も認定するとおりであるが、提出されていた各参考見積書において、前者についてはB2、後者についてはB1(いずれも所論がいう意中の事業者に当たると解される。)がそれぞれ最安値を提示していたにもかかわら5ず、前記のように不調手続を導入していることや、不調にした後の手続として、C2の社内では、いわゆるオークション方式(各社と並行して価格協議を行い、他社の金額を示すなどして全社にコストダウンを迫り、最終的に最も低い金額を提示した会社と契約を締結するという方式)の採用も検討されたものの、それによると協議担当者の裁量が大きくなりすぎるおそれがあることが懸10念されて、オークション方式は採用されず、予算や発注条件を見直すなどして改めて見積合わせを行うという方式が採用されたこと(原審甲37)に鑑みれば、恣意的に受注事業者を るおそれがあることが懸10念されて、オークション方式は採用されず、予算や発注条件を見直すなどして改めて見積合わせを行うという方式が採用されたこと(原審甲37)に鑑みれば、恣意的に受注事業者を決定するために不調手続を導入したものでないことは明らかであるし、不調手続を利用することによって、指名競争見積手続を採用しつつ意中の事業者と確実に契約するなどということが現実的でないことは15前記のとおりである。なお、所論は、競争参加説明書に不調手続の記載がなかったのは、C2が自ら妥当な工事金額を積算していなかったために、予算と現実の工事金額とのかい離の程度が分からず、手続を不調にする基準を決めることができなかったためと解されるとして、このことが、C2において競争させる意思があったことを否定する事情に当たるともいうが、根拠の乏しい推論と20いうほかなく、採用できない。そうすると、これらの点は、原判決の判断を左右しない。 ④については、仮に、発注者において、何らかの事情で指名競争見積手続を採用しつつも、恣意的に意中の事業者を価格協議先にすることを意図していたのであれば、見積価格という自身では左右できない点ではなく、自ら左右し得25る加算点を重視する方式を採用するのが自然かつ合理的であるところ、C2 - 131 -は、一般的な指名競争見積手続と比較しても価格を重視するという、前記と正反対の方式を採用したのであるから、この点も挙げて、かかる方式がC2の恣意が入り込み難いものであると認め、この点が、コストダウンのために事業者を競争させる意思を有していたことをうかがわせる一つの事情に当たるとみた原判決の判断に誤りはない。 5b 所論は、①C2が品川駅工事開削工区を分割したのは、品川駅北工区全工事をB2、品川駅南工区全工事をB1に を有していたことをうかがわせる一つの事情に当たるとみた原判決の判断に誤りはない。 5b 所論は、①C2が品川駅工事開削工区を分割したのは、品川駅北工区全工事をB2、品川駅南工区全工事をB1にそれぞれ受注させるためである、②名古屋駅中央工区全工事につき平成27年6月にB1の辞退を認めたことは、後に条件変更をして出件する予定の品川駅南工区その1工事を同社に受注させることをもくろんでいたことを推認させる、③名古屋駅中央工区全工事の契約10手続中止後に、被告会社A1とのみ33回に及ぶ打合せを行ったのは、同社への発注を決めていたためである、④名古屋駅中央西工区1期工事を出件した経緯や出件後の扱いには、B1にこれを受注させるための種々の恣意がみられる、⑤名古屋駅中央東工区2期工事を被告会社A1に特命随意契約で発注したことは、名古屋駅中央工区の工事を同社に受注させる意向を有していたことを15推認させる、⑥加算点の評価が適正でない、として、C2が、現に特定の事業者に受注させるための恣意的な運用を行ったという。 しかし、①について、原判決は、同旨の原審各弁護人の主張に対し、C2において、B2が競争に参加しやすい環境を整えることも考慮に入れて品川駅工事開削工区を分割した可能性は考えられるとしつつも、工区が分割されたから20といって、品川駅北工区全工事がB2でなければ受注できないという事態にはなっていなかったこと、両工区の一方を受注したゼネコンが他方を受注できないという、いわゆる一抜け方式が採用されていなかったこと、C2関係者による、競争性の確保を企図して分割した旨の供述は、複数の社内資料の内容に沿い、信用できることなどを指摘して、C2が工区を分割した理由が、品川駅北25工区全工事をB2に、品川駅南工区全工事をB1にそれぞれ受注・施 保を企図して分割した旨の供述は、複数の社内資料の内容に沿い、信用できることなどを指摘して、C2が工区を分割した理由が、品川駅北25工区全工事をB2に、品川駅南工区全工事をB1にそれぞれ受注・施工させる - 132 -意思を有していたからであるとの主張は採用できないと判断しているところ、かかる判断に誤りはない。所論は、aの証言を挙げて、工区の分割の結果、B1が両工区を施工することが不可能となったとした上で、それを前提に、そのようなB1が規模の小さい品川駅北工区全工事の受注を目指すことは経営判断としてあり得ず、当然品川駅南工区の受注を目指すから、北工区を受注できる5のはB2に限られていたと主張するが、指摘のaの証言は、「2工区に分けられても、両方の受注を目指すという選択肢もなくはなかったが、人員が(分割されない場合に比べて)1.5倍くらい必要になり、それだけの人員が振り分けられるかどうかという問題があった。無理すれば人員が足りないことはないかもしれないが、そこまで無理する必要はないと判断した」旨をいうにとどま10り、必ずしも不可能であったとまでいう趣旨とは解されないし、被告会社両社においても各工区の施工が不可能であったといえないことは既に述べたとおりであるから、所論は前提を欠く。また、所論は、C2が両工区を別々の建設会社に受注させる意向を有していたことは建設会社にとっても明らかであり、特定の建設会社が両方を受注する事態はおよそ想定されていなかったため、一抜15け方式を採用するまでもなかったと考えられるともいうが、C2において、自社のそのような意向を建設会社が認識した上、その意向に沿った行動をとってくれることを当然に想定していたなどとは到底考えられない。仮に、真に両工区について別の会社が受注することを望んでいたのであ 、自社のそのような意向を建設会社が認識した上、その意向に沿った行動をとってくれることを当然に想定していたなどとは到底考えられない。仮に、真に両工区について別の会社が受注することを望んでいたのであれば、一抜け方式を採用するのが自然な判断であることは明らかであるから、これを採用していない20ことに関する原判決の評価に誤りはない。所論は、複数の者が目にする社内資料において建前を記載するのは当然であり、ましてやB2に受注させるために工区を分割するなどと記載できるはずがないなどともいうが、真にC2が組織として受注させる建設会社を決定していたのであれば、その旨を社内資料に記載することに何ら支障はなかったはずであるから、所論は採用できない。さら25に、所論は、工区を分割することが不合理である旨縷々主張するが、現に、分 - 133 -割後の品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事をそれぞれ異なる事業者が受注したが、その施工に当たって特段の不都合が生じた形跡がないことなどに照らせば、所論がいうほど不合理でないことは明らかであるから、この点をもって、工区の分割が、B2に品川駅北工区の工事を受注させるための恣意的な判断であるなどとはいえない。 5②については、B1が名古屋駅中央工区全工事の指名競争見積手続への参加を辞退した平成27年6月の時点において、C2では、不調に終わった品川駅南工区全工事の一部を切り出して再度出件すること、そこでは単純に見積価格のみで価格協議先を選定する方法を採用することが検討されていたことがうかがわれるから、この時点で恣意的にB1に受注させることをもくろんでいたと10は認められない。C2側において、出件後の品川駅南工区その1工事において、B1が最も安い見積価格を提示することを予期していた可能性はうか の時点で恣意的にB1に受注させることをもくろんでいたと10は認められない。C2側において、出件後の品川駅南工区その1工事において、B1が最も安い見積価格を提示することを予期していた可能性はうかがわれるが、不調に終わった品川駅南工区全工事において、B1が最も安い見積価格を提示していたことに鑑みれば無理もないし、前記のような手続を予定していたにもかかわらず、これによらずに同社に受注させることをもくろんでいた15ことまで推認することはできない。また、名古屋駅中央工区全工事からの辞退を申し出た会社はほかになかったと認められるから、B1の辞退の申出をC2が認めたことが恣意的な取扱いに当たるともいえない。そうすると、この点をもって、B1に品川駅南工区の工事を受注させるための恣意的な取扱いと評価することはできない。 20③について、原判決は、C2が、名古屋駅中央工区全工事の手続中止後の平成27年9月から12月にかけて、被告会社A1と33回の打合せを行った点に関し、その打合せ議事録に「A1と9月より単独(価格協議順位1位者)で協議を開始した。この時点ではA1にお任せするつもりであった」とのC2側の発言が記載されていることも踏まえて、C2がこの頃被告会社A1に工事を25受注させることを選択肢としつつ受注価格の引下げを図っていたことがうかが - 134 -われるとしながらも、C2関係者が受注事業者や発注方式を最終的に決定した旨の発言をしているわけではないことや、C2が、その後に結局は名古屋駅中央西工区1期工事について被告会社A1とB1を指名して指名競争見積手続に付していることを踏まえると、C2において、名古屋駅中央工区の工事の受注事業者を被告会社A1に決定した上で指名競争見積手続を恣意的に中止して被5告会社A1を相手にコスト 名して指名競争見積手続に付していることを踏まえると、C2において、名古屋駅中央工区の工事の受注事業者を被告会社A1に決定した上で指名競争見積手続を恣意的に中止して被5告会社A1を相手にコストダウン交渉をしていたとみることはできないと説示しているところ、かかる判断に誤りはない。所論は、C2関係者が、受注事業者を決定した旨の発言をするわけがないというが、真に受注事業者を決定していたのであれば、その旨の発言をすることに何の支障もないはずである。また、所論は、前記のC2側の発言は、この打合せの時点ではA1に受注させる10意向をC2が有していたことを示す事情とみるべきであるというが、前記のとおり、本件合意が平成27年2月頃に行われていることに鑑みると、C2が受注事業者を決定していて競争させる意思を欠いていたといえるかどうかも、基本的にはその時点で問題となるというべきである。そして、前記の発言は、それが正確に記録されているとしても、せいぜい、C2関係者が、打合せを開始15した平成27年9月頃の時点で、価格等の協議が整って被告会社A1と契約締結に至ることを期待していたことを示すものにとどまり、現に契約締結に至っていないことに照らしても、その時点で同社に受注させることまで決定していたことを示すものでないことは明らかである。そして、C2が、被告会社A1との間でのみ、前記のような期待を持って打合せを行ったことも、中止された20名古屋駅中央工区全工事の指名競争見積手続において、被告会社A1が参考見積書等を提出し、そこで最安値の参考見積価格を提示していたこと、手続中止後に同社の側から打合せの申入れがあったこと、他方で、前記手続に参加していた他の会社(被告会社A2及びB2)からは、特に打合せの希望がなかったと解されること等の事情に鑑みれば、 ていたこと、手続中止後に同社の側から打合せの申入れがあったこと、他方で、前記手続に参加していた他の会社(被告会社A2及びB2)からは、特に打合せの希望がなかったと解されること等の事情に鑑みれば、恣意的な取扱いとまではいえないから、25このことは、いまだ名古屋駅中央工区の工事が出件すらされていなかった平成 - 135 -27年2月頃の時点で、C2が被告会社A1の受注を期待していたことを示すものではないし、まして、その旨決定していたことを示すものではない。 ④については、前記のとおり、C2の意思も、基本的には、平成27年2月頃の本件合意の時点のものが問題になるところ、その時点で、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事をB1に受注させることを決定していたことをうかがわ5せる証拠等は全くない。所論も、そのような主張はしておらず、むしろ、これを含む名古屋駅中央工区の工事について、前記の時点では、被告会社A1に受注させることを決定していたために、競争させる意思を欠いていた旨の主張をしているものと解される。そうすると、仮に、名古屋駅中央西工区1期工事に関し、B1に受注させるための恣意的な扱い等が認められるとしても、前記の10時点において、名古屋駅中央工区の工事について、C2が被告会社A1に受注させることを決定していたことが推認できるなどとはいえない。なお、本件合意の時点では前記のような決定をしていなかったとしても、その後の実行行為(本件受注予定事業者決定及び本件価格連絡)の時点ではそのような決定をしていたという事情があれば、犯罪が成立する範囲に影響する可能性はあるが、15本件における全ての実行行為は、平成27年8月下旬頃までに行われている(原判示事実参照)のに対し、所論が、名古屋駅中央西工区1期工事をB1に受注させるための恣意 囲に影響する可能性はあるが、15本件における全ての実行行為は、平成27年8月下旬頃までに行われている(原判示事実参照)のに対し、所論が、名古屋駅中央西工区1期工事をB1に受注させるための恣意的な取扱いとして挙げる事情は、いずれもそれよりも後に生じたものであるから、前記のような可能性もない。そうすると、具体的な内容を検討するまでもなく、この点に関する所論は採用の余地がない。 20⑤について、原判決は、名古屋駅中央東工区2期工事は、B1も受注してもよいという意向を示したということであって、必ずしも被告会社A1でなければ施工できない工事とは考えられず、C2が同工事を被告会社A1に受注させたことは、名古屋駅中央工区工事全体を被告会社A1に受注させる意思を有していたと推認させるものではないと判断したのに対し、所論は、B1の前記の25意向は、婉曲に断りの意思を示したものといえるから、原判決の判断は失当で - 136 -あるという。そこで検討するに、名古屋駅中央東工区2期工事に関し、hは、要旨、「平成30年春頃から、契約のための準備を進めた。もともとは被告会社等4社の指名競争見積方式を採用することを予定していたが、既に本件独占禁止法違反事件が事件化していたので、被告会社等4社の意向確認をしたところ、B2や被告会社A2は、こういう時期なのでしばらくリニア中央新幹線関5連工事への参画は控えたいとのことだった。他方、被告会社A1は、指名競争という形では参加できないが、特命随意契約であれば検討したいとのことであり、B1も同様であった。その後、被告会社A1から、施工体制もとれるし是非参加したいという話があったが、B1は、準備をしていた工事ではないので少し検討時間がほしいということだった。そういう中で、契約の時期の問題も10あるの 、被告会社A1から、施工体制もとれるし是非参加したいという話があったが、B1は、準備をしていた工事ではないので少し検討時間がほしいということだった。そういう中で、契約の時期の問題も10あるので、被告会社A1との特命随意契約という形で進めることを同年6月頃に社内的に整理して同社と調整を始め、同年12月にそれが整って契約した」旨供述している(h①14~16頁)ところ、その信用性を疑う理由はないから、契約に至る経緯は前記のとおりであったと認められる。そして、これによれば、本件独占禁止法違反事件の発覚という想定外の事情によって、被告会社15等4社やC2の置かれた状況等は大きく変わっていたものと解されるから、この時点の事情から遡って本件合意時のC2の意向を推認することは困難というべきであるし、前記のような被告会社等4社の意向等を踏まえれば、その時点で被告会社A1と特命随意契約を締結したことが、特に恣意的な対応ともいえない。そうすると、この点が恣意的な対応であるとし、そのことがもともとC202が名古屋駅中央工区の工事を被告会社A1に発注する意向を有していたことを強く推認させる旨のA1側弁護人の主張を排斥した原判決の結論に誤りはない。 ⑥について、所論は、bの供述を挙げて、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事についてB1が獲得した加算点が低すぎるというが、bが自社の提25案内容を贔屓目にみるのは無理もないし、同人が他社の技術提案等の内容を具 - 137 -体的に把握しているとも考えられないから、この供述をもって、加算点の評価が適正でないなどとはいえない。そもそも、C2において、意中の事業者に受注させるために加算点を恣意的に操作するのであれば、意中の事業者の加算点を操作して高くすることはともかく、低くする合理的な理由は全 適正でないなどとはいえない。そもそも、C2において、意中の事業者に受注させるために加算点を恣意的に操作するのであれば、意中の事業者の加算点を操作して高くすることはともかく、低くする合理的な理由は全く考え難いのであって、この点からしても、指摘の事情から、C2の恣意がうかがわれるな5どとはいえない。 c その他、所論が種々指摘する点を検討しても、本件指名競争見積手続に恣意的運用の余地があり、また実際にC2が恣意的運用を行ったなどとはいえないとした原判決の判断を不当とするものは見当たらない。 事前検討を行っていない事業者による受注(前記㋒)について10原判決が、「結局品川駅北工区その1工事についてはB2、名古屋駅中央西工区1期工事はB1という、それぞれ当初から事前検討を行っていたものではない事業者が受注したのであって、このことは、C2が当初から受注事業者を決定していたとはいえないことを示している」としたことに対し、所論は、この事実は弁護人の主張と矛盾しない、当初の予定がその後の事情で修正・変更15されたからといって、結論は左右されない、などという。 しかし、原審各弁護人は、一方で、調査設計等の事前の検討を依頼した時点で施工業者を決めていたという主張もしていたのであるから、原判決の指摘する前記の事実は、いずれもこれに対する適切な反証といえる。また、名古屋駅中央西工区1期工事をB1に受注させたという事実は、これを含む名古屋駅中20央工区の工事を特定の会社(被告会社A1を指すと解される。)に受注させることを決めていた旨の、原審以来の各弁護人の主張が事実でないことを推認させる事実といえる。所論は、当初は被告会社A1に受注させることを決めていたが、その後の事情によって、受注させないことを決めたのであるから、前記のような推認は の各弁護人の主張が事実でないことを推認させる事実といえる。所論は、当初は被告会社A1に受注させることを決めていたが、その後の事情によって、受注させないことを決めたのであるから、前記のような推認はできないというようであるが、その主張によっても、そのよう25な事情として指摘されているのは、被告会社A1と価格が折り合わなかったと - 138 -いう、当初から想定可能なものにとどまるから、採用できない。原判決の前記説示に誤りはない。 C2関係者の供述(前記㋓)について原判決は、要するに、C2関係者(h、m、u、o)の、あらかじめ発注先を決めていたことはなく、被告会社等4社のいずれについても見積り・施工が5可能と考えていた旨の供述について、C2の恣意が入り込み難い発注方式を採用し、その枠組みの中で対応していたこと等を踏まえると信用できるとし、かかる供述を、C2が発注先を決めていたことはないという事実を認める一つの根拠としたものであるが、かかる判断に誤りはない。 所論は、前記のC2関係者は、本件各工事の発注手続が適正に行われたこと10が否定されると社内でマイナスの評価を受けるから、虚偽の供述をしていると考えられる旨いうようであるが、本件各工事に関し、C2が競争手続を採用せず、特命随意契約の方式で特定の事業者に発注したとしても、何ら適正を欠くことにはならないのであるから、仮に、同社が真にそのような決定をしていたのであれば、前記の同社関係者において、これを否定しなければ社内でマイナ15スの評価を受けるなどと考えたはずがないし、何らかの事情でそのように考えたとしても、そのために、偽証罪に問われ得るとともに、社内の評価も害し得る偽証という違法行為にまで及ぶということも不自然である。前記のような各供述が、相互によく合致し、こ らかの事情でそのように考えたとしても、そのために、偽証罪に問われ得るとともに、社内の評価も害し得る偽証という違法行為にまで及ぶということも不自然である。前記のような各供述が、相互によく合致し、これに沿う社内文書等があること、現に指名競争見積手続が採用されるなどしていること等にも照らすと、これらの者がそろっ20て虚偽を述べているなどとは考えられず、所論は採用できない。 事前検討依頼等(前記㋔)についてa 所論は、原判決が、B1や被告会社A1が事前検討に深く関与していたとはいえ、将来の請負契約を締結する地位を予約するような拘束力はないから、事前検討を依頼するなどしていたことをもって、C2が工事受注事業者を25決定していたなどとはいえないとした原判決の判断に対し、①名古屋駅及び品 - 139 -川駅の各概略設計には、それぞれ被告会社A1及びB1が関与していたから、原判決がこれを認定していないことは誤りである、②C2関係者の発言等は、拘束力を伴う合意ではなくても、特定の建設会社に将来の施工を任せるという意思の存在を強く推認させる事情に当たる、③事前の検討を行う建設会社が圧倒的に有利な立場に立つことはC2も認識していたから、真に競争を求めてい5たのであれば、特定の建設会社に事前の検討を行わせることはあり得ず、少なくとも出件の直前まで事前の検討を行わせることはあり得ない、として、原判決の前記判断は誤っているという。 しかし、①について、関係証拠(原審甲18等)によれば、C2がC5に発注した各調査設計については、被告会社A1の関係会社(E株式会社)やB110の関係会社(株式会社G)が下請けとして入っていたのに対し、概略設計についてはそのような事情はないこと、むしろ、C2としては、概略設計の段階ではゼネコン等が関与する 会社(E株式会社)やB110の関係会社(株式会社G)が下請けとして入っていたのに対し、概略設計についてはそのような事情はないこと、むしろ、C2としては、概略設計の段階ではゼネコン等が関与するという形はとらないようにしており、現に関係会社を下請けに入れたりはしていなかったことが認められるから、原判決が、概略設計については、「C5への発注に当たり、特定のゼネコンやその関係会社が契15約当事者となることはなかった」と認定したことに誤りはない。所論は、原判決も認定する、調査設計終了後も、C2へのB1や被告会社A1の協力があったという事実を挙げて、これは概略設計のために行われたのであり、これを概略設計と切り離している点において、原判決に誤りがあるという。確かに、概略設計が行われていた時期にもB1や被告会社A1による協力が行われてお20り、その中には概略設計に関係するものもあった可能性があるが、それを踏まえても、原判決の前記の認定が誤りとはいえないし、事前検討依頼の事実をもってC2が工事受注事業者を決定していたなどとはいえないとする結論も変わらない。 ②については、C2において、真に事前検討を依頼した事業者に発注するこ25とを決めていたのであれば、その旨の拘束力のある合意等をすることは十分可 - 140 -能であるし、そうしておかなければ、将来、当該事業者に実際に発注することを確実に実現し得ないはずである。また、当然ながら、特定の事業者に発注することを決定する前提として、当該事業者が受注する意向を確認しているはずであるが、そうであれば、当該事業者の側からも、拘束力のある合意等を求めるのが自然である。それにもかかわらず、そのような拘束力のある合意等はな5されていないのであるから、この点をもって、C2が工事受注事業者を決 あれば、当該事業者の側からも、拘束力のある合意等を求めるのが自然である。それにもかかわらず、そのような拘束力のある合意等はな5されていないのであるから、この点をもって、C2が工事受注事業者を決定していたことを否定する方向に働く事情とみた原判決の判断に誤りはない。所論は、拘束力のある合意等がなくとも、事実上、受注事業者を決定したといえる場合があるというようであるが、様々な状況の変化や人事異動等が想定される中で、いかにして将来の発注を決定することができるという趣旨か判然とせ10ず、採用できない。 ③については、原判決もいうとおり、C2は、本件各工事の大規模性や難易度の高さゆえに、計画段階から、高い技術力を有する被告会社A1及びB1の協力を得ざるを得なかったのであって、そのことから、将来の工事の施工を両社に発注する意図が推認できるとはいえない。そして、C2は、一貫して競争15原理の導入によるコストダウンを追求し、遅くとも平成25年5月頃には、被告会社等4社による指名競争見積手続の方法を採用することを想定していたところ、概略設計については前記両社の関係会社が下請けに入らないようにしたり、平成26年以降ゼネコンに技術的検討を依頼することを原則禁止等する検討依頼禁止通知を発出したり、本件各工事の出件に当たって調査設計及び概略20設計の成果に基づく情報等を出件図書に織り込んだりして、競争に当たって前記両社が有利になりすぎないように相応の配慮をしている。なお、実際には、平成26年12月以降も、前記両社とC2側との間で、本件各工事に関する打合せ等が行われたことは所論指摘のとおりであるが、このような検討依頼禁止通知に反する対応が、C2の意思を表すものでないことは明らかであるから、25このことから、前記両社に発注することを決定してい 合せ等が行われたことは所論指摘のとおりであるが、このような検討依頼禁止通知に反する対応が、C2の意思を表すものでないことは明らかであるから、25このことから、前記両社に発注することを決定していたと推認することはでき - 141 -ない。 b 所論は、原判決が、原審各弁護人が挙げるC2関係者らの発言について、正式な文書等に基づくものでないことを指摘するなどして、C2が組織として受注事業者を決定していることを意味するものとはいえないと判断したことに関し、C2は、建前上は競争により受注事業者を選定するという立場をと5らざるを得ず、正式な文書で特定の建設会社に発注の意向を示すはずのないことは当然であるところ、前記C2関係者らの各発言は、正式な文書等に基づくものでなくても、C2が組織として決定していた内容を伝えていたものとみるべきである、として、原判決の前記判断は誤っているという。 しかし、指名競争見積手続を採用するという方針自体、C2が決定したもの10であり、そうしなければならない事情はなかったのであるから、同社において、建前上競争により受注事業者を選定するという立場をとらざるを得なかったなどとはいえない。真に受注させる事業者を決定していたのであれば、その旨の正式な文書を発出することなどに何ら障害はなかったはずであるから、所論は前提を欠く。所論は、正式な文書等によらずとも、会社が事実上意思決定15をしたといえる場合はあるともいうが、一般論はともかく、本件各工事については、C2において、一貫して競争原理の導入によるコストダウンが重要方針とされ、現に指名競争見積方式が採用されていたのであるから、それにもかかわらず、同社が実際には特定の事業者への発注を決定していたという、明らかに前記の方針等に反する事実を認定するためには、 重要方針とされ、現に指名競争見積方式が採用されていたのであるから、それにもかかわらず、同社が実際には特定の事業者への発注を決定していたという、明らかに前記の方針等に反する事実を認定するためには、それを認めるに足りる相応20の事情が必要というべきである。ところが、前記のような同社関係者らの発言は、いずれも口頭での非公式の発言であるという点でも、競争手続を採用しながら特定の事業者に受注させるための方法等を何ら示していないという点でも、前記のような事実を認めるに足りるものではないから、原判決の前記判断に誤りはない。 25c A2側弁護人による、要旨、本件各工事が大規模かつ難易度が高いの - 142 -に、C2が名古屋駅中央工区全工事を出件するに当たり、既に出件されていた品川駅工事開削工区の工期との重複等を考慮した形跡がうかがわれないことが、受注事業者を決定していたことを推認させる旨の主張に対し、原判決は、本件各工事の見積り・施工の客観的可能性が否定されないことは既に認定したとおりであり、C2が指名競争見積手続によって出件したこと等を前提とする5と受注事業者を決定していたということはできないと判断した。これに対し、所論は、①前記推認を否定するためには、被告会社等4社が、事前準備の有無にかかわらず、品川駅工事開削工区と名古屋駅中央工区の両方を同時に施工することが可能であったという事実が立証される必要であるところ、そのような立証はされていない、②事前検討をしていた会社が技術面でも価格面でも競争10上極めて有利になることは容易に想定できるにもかかわらず、C2があえて被告会社等4社を指名したことも、前記推認を裏付ける事情に当たる、という。 しかし、①については、本件各工事の施工の可能性を検討するに当たり、ある事業者がいずれ 定できるにもかかわらず、C2があえて被告会社等4社を指名したことも、前記推認を裏付ける事情に当たる、という。 しかし、①については、本件各工事の施工の可能性を検討するに当たり、ある事業者がいずれかの工区を受注したことを前提として、それと工期が重複するために別の工区の工事の施工が不可能であるなどとする主張が採用できない15ことは、既に述べたとおりである。C2の意思の問題として検討しても、品川駅北工区及び品川駅南工区について、C2が受注事業者を決定していたとは認められないから、被告会社等4社がこれらと並行して名古屋駅中央工区の工事を施工可能であるとの認識がない限り同工事について競争させる意思が欠けるなどとはいえず、所論は前提を欠く。②については、C2において、事前検討20の有無にかかわらず、各社が公平に見積書等を作成できるよう、調査設計等の成果に基づく情報等を出件図書に織り込んだり、質問回答手続を設けたりしていることが認められる。仮に、それらを踏まえてもなお、事前検討を行っていた事業者が事実上有利になるとの認識をC2が有していたとしても、恣意の入り込み難い指名競争見積手続を採用している以上、そのことから受注事業者を25決定していたことが推認されるなどとはいえない。その他所論が指摘する点を - 143 -検討しても、採用できるものはなく、原判決の前記判断に誤りはない。 d 所論は、原判決が、原審各弁護人が指摘する発注図書や質問回答が不十分であったという点は、C2に近年の大規模工事の経験が不足していたことや、開業時期との関係で手続の進行を急いでいたことなどが原因と考えられるのであって、情報提供等に関する事務に不相当な点があったとしても、C2に5意中の事業者以外の事業者を排除する目的があったとまではうかがわれないとした の進行を急いでいたことなどが原因と考えられるのであって、情報提供等に関する事務に不相当な点があったとしても、C2に5意中の事業者以外の事業者を排除する目的があったとまではうかがわれないとした点に関し、①C2が事前検討をしていた事業者とそうでない事業者とを真に競争させる意思を有していたのであれば、事前検討の有無による格差を埋めるための方策を積極的に講じたはずであるのに、現実には不十分な情報提供しかしなかったことは、C2が競争により受注事業者を選定する意思を有してい10たことを否定する間接事実に当たる、②C2が質問に対して非現実的な回答等をしていることは、実際の施工を見据えた回答をする必要性を感じていなかったことを示している、という。 しかし、①については、結局、事前検討を行っていなかった会社も、指名競争見積手続に参加した本件各工事において、参考見積書等を提出できているこ15とに照らし、C2が講じた情報提供のための措置が、およそ不十分なものであったとまではいえない。仮に、所論が推測するように、意中の事業者への発注を決定していたのに、別の目的(意中の事業者に値下げを迫るためのいわゆる当て馬とする、当初予算と各社の見積価格のかい離を明確にし、予算の見直し等をしやすくする、など)のために、他の事業者を指名したのだとしても、そ20の目的を達するためには、後者の事業者にも相応の検討をした上で見積書等を提出してもらう必要があるから、C2が、あえて不十分な情報提供にとどめるべき理由はない。したがって、いずれにせよ、C2が、被告会社等4社を指名している以上、各社がその施工方法等を十分に検討した上で見積書等を提出することを望んでいたと考えるのが相当であるから、参加事業者からみて情報提25供に不十分な面があったとしても、C2が意図して している以上、各社がその施工方法等を十分に検討した上で見積書等を提出することを望んでいたと考えるのが相当であるから、参加事業者からみて情報提25供に不十分な面があったとしても、C2が意図してそうしたわけではないこと - 144 -が推認されるというべきである。原判決の前記判断は、相応に合理的な推測に基づくものといえ、そこに誤りがあるとはいえない。②について、所論は、非現実的な回答の例として、名古屋駅中央工区全工事の構真柱に肉厚40ミリメートルの鋼管を指定しながら、その機械式継手については肉厚30ミリメートルの鋼管用のもので対応するように指示したという点を挙げるが、かかる回答5が相応の検討を踏まえた上でなされたものと考えられ、非現実的なものとまでいえないことは、既に述べたとおりである。また、所論は、回答内容に「請負者の計画による」といったものが多い点も、不十分であると主張するようであるが、この点に関し、C2の関係者が、「当初は、任意仮設を多くして、ゼネコンに自由な発想でいろいろ知恵を出してもらう方が安くなるのではないかと10いうことで、任意仮設部分が多い形で始めた」旨説明していること(u②87頁)は相応に合理的であるから、この点も、特に不適切な回答とはいえない。 そもそも、質問回答の内容は、原則として全ての事業者(所論のいう意中の事業者も含む。)に伝えられ、契約図書の一部となるというのであるから、C2において、そこで実際の施工を見据えた回答をする必要性を感じなかったなど15ということは考え難いというべきである。原判決の前記判断に誤りはない。 e 所論は、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事の出件に当たって、被告会社A1との33回の打合せから得られた成果の扱いが独占禁止法等に照らして問題を生じないかといった点を弁護士 判断に誤りはない。 e 所論は、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事の出件に当たって、被告会社A1との33回の打合せから得られた成果の扱いが独占禁止法等に照らして問題を生じないかといった点を弁護士事務所に相談したのは、同社ではなくB1に同工事を受注させることを決定していたためであるとの主張を前提とし20た上で、それ以前の品川駅工事開削工区及び名古屋駅中央工区全工事の各出件図書の中にも、それぞれB1及び被告会社A1との打合せ等から得られた成果が含まれるのに、それらの出件に当たって前記のような問題について弁護士事務所に相談していないことは、前記両社への受注を決定しており、それ以外の事業者が受注する場合を想定しなかったことを推認させる、と主張するようで25ある。 - 145 -検討するに、まず、C2が、名古屋駅中央西工区1期工事の出件に当たって弁護士事務所に前記のような相談をしたのは、原判決もいうように、被告会社A1以外の事業者が受注した場合を想定して法的な問題が生じないかを確認したものと解される。そして、これと同様に考えれば、確かに、品川駅工事開削工区及び名古屋駅中央工区全工事の出件に当たっても、同様の相談を行っても5おかしくないとはいえる。しかし、このような相談を行うか否かについて、C2において明確かつ統一的な方針があり、これに基づいて決めていたというよりも、各工事を担当する部署において、出件の都度判断していたと考える余地があるし、各工事の出件図書に含まれる特定の会社との打合せ等から得られた成果の種類や量も様々であったと考えられるから、前記の点から直ちに、品川10駅工事開削工区及び名古屋駅中央工区全工事の出件に当たっては受注事業者を決定していたことが推認されるとはいえない。所論の主張を前提としても、品川駅北工 えられるから、前記の点から直ちに、品川10駅工事開削工区及び名古屋駅中央工区全工事の出件に当たっては受注事業者を決定していたことが推認されるとはいえない。所論の主張を前提としても、品川駅北工区については、事前協力を行った会社ではない会社(B2)に受注させることを決定していたというのであるから、少なくともその工区について、所論のいうような理由で事前協力を行った会社との打合せ等から得られた成果15を用いることが問題にならないと考えたはずがないこと、そのような成果の使用が事前協力をした会社によって問題とされることを懸念するのであれば、出件時にそのような問題が生ずることを懸念するはずであって、事後的に当該会社に受注させるから問題とならないなどと考えるはずがないことも考慮すれば、所論のいうような推認はできないというべきである。 20f その他、所論が縷々主張するところを検討しても、C2が受注事業者を決定していたとの合理的な疑いは生じないとする原判決の判断を左右するものはない。 小括以上によれば、C2は、当初から受注事業者を決定してはおらず、競争によ25って受注業者を選定する意思を有していたといえるとする原判決の判断に誤り - 146 -はない。 ⑷ 本件合意等による競争の実質的制限についてア 原判決は、本件各工事の指名競争見積手続の参加事業者全てが参加して本件合意が成立し、本件受注予定事業者決定や本件価格連絡が行われたのであるから、本件合意等によって受注事業者及び受注価格を相当程度自由に左右す5ることができることが明らかであるとして、本件合意等が、独占禁止法2条6項の「不当な取引制限」、すなわち、「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若し が明らかであるとして、本件合意等が、独占禁止法2条6項の「不当な取引制限」、すなわち、「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反10して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」に当たると認め、本件合意等と競争の実質的制限との因果関係を否定し、公共の利益に反するという要件を欠くなどとする原審各弁護人の主張を排斥しているところ、かかる原判決の判断に誤りはない。 被告会社A1及び被告人A3の所論は、①C2の牽制力が強力であったた15め、被告会社等4社の情報交換により、受注者及び受注価格をある程度自由に左右することができる状態がもたらされたとはいえない、②C2の予算は不合理に低廉であり、およそ契約締結に至る余地がなかったから、価格支配力は同社の側にあり、本件合意等による競争の実質的制限は認められない、③被告会社A1やB1に長年の技術的検討を行わせたり、B2からの営業活動を踏まえ20て品川駅工事開削工区を分割したりしたというC2の行動によって、他の会社は経営上の合理的判断として、当該工区の受注を目指さないこととなって受注希望工区が分かれていた以上、本件各工事については競争が存在していなかった、④本件各工事の出件に至るまでの過程が非競争的なものであったから、独占禁止法上の保護に値する競争は存在しなかった、⑤原判決は、既遂時期の判25断を誤っている、として、原判決の前記判断には、事実誤認及び独占禁止法2 - 147 -条6項の解釈適用を誤った法令適用の誤りがある、という。 ①に関する所論は、要するに、本件各工事 25断を誤っている、として、原判決の前記判断には、事実誤認及び独占禁止法2 - 147 -条6項の解釈適用を誤った法令適用の誤りがある、という。 ①に関する所論は、要するに、本件各工事において、C2は、ヒアリング等を利用して各社の見積価格を誘導したり、第1順位の価格協議先との契約締結を拒んだり、手続自体を不調としたりすることによって、受注事業者及び受注価格を自由に決定できたから、本件合意はこれらに因果関係を及ぼしていない5というものと解されるが、C2が、価格重視の指名競争見積手続を採用しつつ、所論のいうような方法で恣意的に受注事業者等を決定することが現実的でないことは、既に述べたとおりであるから、同社において、これらを自由に決定できたなどとはいえない。 ②について、原審記録によれば、C2において、予算内でなければ絶対に契10約を締結しないという固い運用をしていたわけではないこと、実際に予算を超えた額で契約締結に至ったこともあることが認められるから、予算が低額であることをもって、価格支配力が同社の側にあったとは認められない。 ③については、原審記録によれば、例えば、品川駅非開削工区は、B1が関与した品川駅の調査設計等の範囲に含まれていたものの、被告会社等4社を含15む8社の指名競争見積方式で出件され、結局株式会社H(以下「H」という。)が受注に至っていること(u①5~6頁)、被告会社A1及びB2もその受注を真剣に目指していた時期があること(原審甲60、c①36頁)が認められるのであって、複数の建設会社が、C2の行動によって、同工区のB1への発注が決定しているなどと認識していなかったことは明らかである。ま20た、名古屋駅東工区が、被告会社A1が関与した名古屋駅の調査設計等の範囲に含まれていたのに、被告会社A って、同工区のB1への発注が決定しているなどと認識していなかったことは明らかである。ま20た、名古屋駅東工区が、被告会社A1が関与した名古屋駅の調査設計等の範囲に含まれていたのに、被告会社A2がその受注を目標としていた時期があることや、その一部である東山線工区が指名競争見積方式で出件され、Hが受注したこと(o②110頁、159~161頁)に照らせば、少なくともこれらの会社が、C2の行動によって、名古屋駅東工区の被告会社A1への発注が決定25しているなどと認識していなかったことも明らかである。更にいえば、ターミ - 148 -ナル駅新設工事と並ぶ難工事とされる南アルプストンネル山梨工区及び南アルプストンネル長野工区をみても、公募競争見積方式で出件された結果、それぞれC2の依頼により事前検討を行っていた被告会社A1と被告会社A2が受注に至ったものの、いずれの手続にも複数の会社が参加し、被告会社両社を下回る見積価格を提出した会社もあったというのであるから(h②140~1415頁)、これらに参加した各社において、C2の行動によって、各工区の被告会社両社への発注が決定しているなどと認識していなかったことも容易に認められる。以上を踏まえれば、本件各工事についても、C2が特定の会社に事前の検討を行わせるなどしたことにより、他の会社が当然に受注を目指さなくなったために競争が存在しない状態になっていたなどとはいえないから、所論は採10用できない。 ④に関する所論は判然としないが、C2が特定の建設会社に対して事前検討を依頼したことなどから、本件各工事について競争性が欠けるなどといえないことは、既に述べたとおりである。競争性が認められる場合であっても、前記のような事情があれば、その競争は保護に値しないとして、独占禁止法違反の15 ら、本件各工事について競争性が欠けるなどといえないことは、既に述べたとおりである。競争性が認められる場合であっても、前記のような事情があれば、その競争は保護に値しないとして、独占禁止法違反の15罪の成立が否定されるべきであるとの主張であるとすれば、独自の見解に基づくものというほかなく、採用できない。 ⑤に関する所論も必ずしも判然としないが、事業者が他の事業者と共同してその事業活動を拘束すべき合意をした場合において、その合意により、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争が実質的に制限されたものと認め20られるときは、不当な取引制限の罪は直ちに既遂に達すると解される(最高裁判所昭和59年2月24日第二小法廷判決、刑集38巻4号1287頁)ところ、原判決もいうとおり、本件合意は、本件各工事の指名競争見積手続において指名され、又は指名される予定の事業者全てが参加して成立しているのであって、これにより競争が実質的に制限されたことは明らかであるから、その時25点で不当な取引制限の罪が成立し、既遂に達したものと認められる。なお、本 - 149 -件の犯罪事実には、本件合意に加えて、本件受注予定事業者決定及び本件価格連絡(平成27年8月下旬頃までの間に行われた、品川駅北工区全工事、品川駅南工区全工事、品川駅北工区その1工事、品川駅南工区その1工事及び名古屋駅中央工区全工事に関する価格連絡に限る。)も含まれ、これら全体が1個の不当な取引制限の罪に該当することになるが、このことによって、本件合意5の時点で既遂罪が成立するという前記判断が変わるものでないことは当然である。そうすると、前記の罪が既遂に達していないかのようにいう所論は採用できない。 イ 原判決は、本件各工事について「一定の取引分野」が成立しない旨のA2側弁護 判断が変わるものでないことは当然である。そうすると、前記の罪が既遂に達していないかのようにいう所論は採用できない。 イ 原判決は、本件各工事について「一定の取引分野」が成立しない旨のA2側弁護人の主張に対し、本件ターミナル駅新設工事には、工種が類似してい10る複数の高難度の工事が含まれており、工事内容の共通性や規模の大きさに照らし、「一定の取引分野」が成立していると判断したが、かかる原判決の判断に誤りはない。 所論は、品川駅南工区及び名古屋駅中央工区の各工事については競争性が認められないことを前提に、品川駅北工区の工事だけでは「一定の取引分野」が15成立しないというが、後者はもとより、前者についても競争性が認められることは既に述べたとおりであるから、所論は前提を欠く。 4 小括事実誤認及び法令適用の誤りの各論旨は、いずれも理由がない。 第5 量刑不当の論旨について201 各論旨は、要するに、被告会社両社をいずれも罰金2億5000万円に、被告人両名をいずれも懲役1年6月、3年間執行猶予にそれぞれ処した原判決の量刑は、いずれも重過ぎて不当である、というのである。 2 原判決は、要旨、次のように述べて、被告人4名を前記の各刑に処した。 25⑴ 本件は、被告会社等4社の幹部職員らが、C2が被告会社等4社を指名 - 150 -して競争見積の方法により発注したリニア中央新幹線の品川駅及び名古屋駅の新設に係る本件ターミナル駅新設工事について受注調整を行い、不当な取引制限をしたという事案である。 ⑵ リニア中央新幹線事業は、昭和48年11月に当時の運輸大臣により、「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」の対象路線とされ、5以後、全国新幹線鉄道整備法に基づいて調査等の様々な手続が進められてきており は、昭和48年11月に当時の運輸大臣により、「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」の対象路線とされ、5以後、全国新幹線鉄道整備法に基づいて調査等の様々な手続が進められてきており、東京、名古屋及び大阪の三大都市圏間の高速かつ安定的な旅客輸送を中長期的に維持・強化する事業とされ、品川・名古屋間の建設費総額に限っても約5兆5000億円に上る(平成26年10月に認可された中央新幹線品川・名古屋間工事実施計画(その1)による)という公共性が高い大規模な国家的10プロジェクトである。同事業関連工事の中でも、本件ターミナル駅新設工事は、既存の新幹線の駅の下にリニア中央新幹線の駅を建設することなどから特に大規模な難工事とされており、被告人両名らのもくろみどおり受注予定事業者が受注するに至った品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事に限ってみても、受注額の合計は約507億円という多額に上る。 15本件犯行は、被告会社等4社が指名されて行われた指名競争見積手続において、その4社全てによって行われている上、参考見積書の提出段階から、見積価格の連絡のみならず、見積価格の内訳や主要工事の単価に至るまで連絡し、見積合せが不調となって条件が変更された品川駅北工区その1工事及び品川駅南工区その1工事の段階に至るまで手続の各段階において 価格連絡を行い続20けるものであった。また、各社の見積価格に差が付くように連絡をし合って受注予定事業者が確実に受注できるようにするなど徹底的な協力行為を伴うものであった。以上によれば、本件犯行は、被告会社等4社の事業活動を相互に強く拘束するものであり、公正かつ自由な競争を大きく阻害するものであったといえる。 25⑶ 被告人A3及び被告人A4は、リニア中央新幹線関連工事を被告会社等 - 社等4社の事業活動を相互に強く拘束するものであり、公正かつ自由な競争を大きく阻害するものであったといえる。 25⑶ 被告人A3及び被告人A4は、リニア中央新幹線関連工事を被告会社等 - 151 -4社が分担して受注・施工する枠組みを作りたい旨の意思を通じた上、B1のa及びB2のcの参加を得て本件合意を成立させ、受注予定事業者を決定し、その後も被告人A3は部下に指示し、被告人A4は自ら本件価格連絡を行っていたものである。被告人A3及び被告人A4は、被告会社A1及び被告会社A2の業務に関し、営業担当幹部として、本件犯行を主導し、その実現に不可欠5の役割を果たしたといえる。 ⑷ 本件犯行の主たる動機は自社が希望する工事を確実に受注すると共に被告会社等4社による価格競争を避けて十分な利益を確保するというものであったと認められる。被告会社A1が名古屋駅工事に関して多額の経済的負担を甘受しながら長期間にわたる事前検討を行っていた関係もあって同工事の受注を10強く期待していたこと、本件各工事の難易度や規模に照らして事前検討を行っていないゼネコンが受注・施工した場合に事業の遂行に影響が生じる可能性があったことなどの事情も認められるものの、本件犯行を正当化する理由になるものとはいえず、本件犯行の経緯や動機において酌むべき事情があるとはいえない。 15⑸ 被告会社A2については、平成19年に名古屋市発注の地下鉄工事に係る独占禁止法違反により有罪判決を受けており、ゼネコン各社は談合決別宣言をしていたにもかかわらず、我が国を代表する建設会社であるスーパーゼネコンの被告会社等4社が、国家的プロジェクトに関し受注調整をしていたことは、建設業界に対する国民の信頼を著しく損ない、社会に与えた影響も大きい。加20えて、被告会社両社は、 社であるスーパーゼネコンの被告会社等4社が、国家的プロジェクトに関し受注調整をしていたことは、建設業界に対する国民の信頼を著しく損ない、社会に与えた影響も大きい。加20えて、被告会社両社は、本件発覚直後にそれぞれ文書の廃棄・隠匿等の組織的な罪証隠滅工作を行っていたと認められる上原審公判廷において、法的な主張にとどまらず、本件合意に関する事実関係についても不合理な弁解をしており、反省の態度が認められない。 ⑹ 他方で、本件犯行後の経過を見ると、被告会社A1は、名古屋駅工事に25関し、価格連絡をしてC2の予算を大きく上回る見積価格を提出したとはいえ、 - 152 -最安値の見積りを提出したことがあったにもかかわらず、当初は辞退していたB1がC2の働きかけによって指名競争見積手続に参加して最終的に受注することになるなど、被告会社両社はいずれも本件各工事に含まれる工事を受注できたわけではなく、本件犯行によって利益を得ていない。 また、被告人A3及び被告人A4も本件犯行によって直接的な個人的利得は5ない。 ⑺ 以上の事情を総合的に考慮し、前記の各刑が相当であると判断した。 3 原判決の前記量刑判断は相当であって、当裁判所としても是認できる。 ⑴ 被告会社A1及び被告人A3の所論は、①本件各工事は、民間工事であり、発注者であるC2が、特定の建設会社と二人三脚で事前の技術的検討を進10めるなど、公正・公平であることが制度上要求されている公共工事とは決定的に異なる過程を歩んできたから、本件犯行が公正かつ自由な競争を大きく阻害するものであったとの評価は妥当しない、②3社会合以前に、被告人A3と被告人A4が、「リニア中央新幹線関連工事を被告会社等4社が分担して受注・施工する枠組みを作りたい旨の意思を通じた上、a及びcの参加を得 のであったとの評価は妥当しない、②3社会合以前に、被告人A3と被告人A4が、「リニア中央新幹線関連工事を被告会社等4社が分担して受注・施工する枠組みを作りたい旨の意思を通じた上、a及びcの参加を得て本件合15意を成立させ」たことを示す証拠は存在しない、③被告会社A1及び被告人A3が、本件各工事をはじめとするリニア中央新幹線事業のためにほとんど無償での技術的検討を行ってきたことが十分に考慮されるべきである、④本件犯行の経緯に斟酌されるべき事情がある、⑤公訴事実の対象とされた本件各工事についてはB1及びB2が受注しており、被告会社A1は本件合意等によって何20の利得も得ていないし、被告人A3は、個人の利益のために本件犯行に及んだわけではない、⑥被告会社A1が独占禁止法遵守のためのコンプライアンス活動に取り組んでいることも斟酌されるべきである、⑦被告会社A1が、数多くの行政機関等から指名停止等を受け、本件について繰り返し報道されるなど、既に十分な社会的な非難を受けていることも考慮されるべきである、⑧公訴事25実の対象となった各工事を受注したB1及びB2の関係者は、独占禁止法違反 - 153 -を認めて逮捕・勾留も起訴もされていないところ、被告人A3が懲役刑に処せられるとすれば、その格差は均衡を著しく失しており、刑事司法一般に虚偽自白誘発の危険を高める結果となる、として、被告会社A1及び被告人A3の量刑は重きに失し、被告人A3については罰金刑が相当である、という。 しかし、①については、本件犯行が、被告会社等4社が指名されて行われた5指名競争見積手続において、その4社全てによって行われていること、参考見積書の提出段階から、見積価格の連絡のみならず、その内訳等まで連絡し、不調になって条件が変更された後も手続の各段階で価格 5指名競争見積手続において、その4社全てによって行われていること、参考見積書の提出段階から、見積価格の連絡のみならず、その内訳等まで連絡し、不調になって条件が変更された後も手続の各段階で価格連絡を行い続けるものであったこと、各社の見積価格に差が付くよう連絡をし合うなど徹底的な協力行為を伴うものであったことなど、原判決が認定した事情に誤りはないし、これ10らを踏まえれば、本件各工事が民間工事であることなど所論指摘の事情を考慮しても、本件犯行が被告会社等4社の事業活動を相互に強く拘束するもので、公正かつ自由な競争を大きく阻害するものであったとする判断にも誤りはない。 ②については、被告人A3と被告人A4が、かねてリニア中央新幹線関連工15事に関する情報交換を重ねていたこと、被告人A3が、平成26年3月頃にaを訪ねた際、リニア中央新幹線関連工事についてたたき合い(過当競争)になることに関し、被告会社両社及びB1の3社で対策を話し合うことを提案したこと、その際、B2については、取りあえず入れないが、いずれ連絡を取るなどと述べたこと、その後、被告人両名とaらは3社会合を繰り返すようにな20り、そこで各社の受注希望工区を含め、種々の情報交換を行ったこと、その中で、B2とも話し合うことになったこと、それを踏まえて、aがcに声を掛けるなどしたこと、これらの経緯を経て、被告人両名を含む被告会社等4社の従業者らの間で、本件合意や本件受注予定事業者決定が行われたことなど、関係証拠に基づいて原判決が認定した事実を踏まえれば、前記のような推認は十分25に可能であるから、この点に関する原判決の認定が証拠に基づかないなどとは - 154 -いえない。 ③については、指摘のような事情もあって、被告会社A1において名古屋駅工事の受注を 25に可能であるから、この点に関する原判決の認定が証拠に基づかないなどとは - 154 -いえない。 ③については、指摘のような事情もあって、被告会社A1において名古屋駅工事の受注を強く期待していたことは認められるが、本件犯行を正当化する理由にならないとして、これが酌むべき事情に当たらないとした原判決の判断に誤りはない。 5④について、所論は、被告会社等4社の関係者が、本件各工事は事前検討を行ってきた建設会社にC2から特命随意契約で発注されると考えていた旨の事実を前提として主張するが、原判決も適切に説示する(86頁)ように、C2は特定の事業者への発注を決定しておらず、被告会社等4社の従業者もそのことを認識していたと認められるから、前記の事実は認められず、所論は前提を10欠く。 ⑤については、指摘の事情は原判決も考慮済みであるし、被告会社A1も本件受注予定事業者決定で名古屋駅中央工区の工事の受注予定事業者とされていたのであって、本件各工事の受注に至らなかったのは結果論にすぎないことにかんがみれば、この点を考慮しても、原判決の量刑が重過ぎるとはいえない。 15⑥については、被告会社A1が、本件犯行の前後を通じて、コンプライアンスの推進等を盛り込んだCSR報告書等を発行していることは認められるが、結局本件犯行に至っていることに鑑みれば、事前の対策等が不十分であったことは明らかであり、この点を特に有利に考慮すべきとはいえない。 ⑦について、被告会社A1や被告人A3が社会的非難を受けたことはうかが20われるが、このような一般情状を考慮するにも限度があり、原判決の量刑を不当とするものではない。 ⑧については、確かに、本件犯行に関与したa、b及びcらは起訴されていないことが認められるが、公訴の提起は、犯人の性格、 な一般情状を考慮するにも限度があり、原判決の量刑を不当とするものではない。 ⑧については、確かに、本件犯行に関与したa、b及びcらは起訴されていないことが認められるが、公訴の提起は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮して検察官が判断するものであり(刑25訴法248条)、前記の者らが不起訴になった理由が、専ら同人らが事実を認 - 155 -めたことのみにあるとは限らないから、その点のみが理由であるかのようにいう所論は前提を欠く。そして、被告人A3が起訴され、有罪と認められた以上、適切な量刑をすべきことは当然であるし、同被告人の刑は執行猶予付きの懲役刑にとどまるのであるから、aらが不起訴になったことを踏まえても、これが重過ぎるとはいえない。 5⑵ 被告会社A2の所論は、①本件価格連絡に当たり、被告人A4は、他社の担当者から渡すと言われた資料をそのまま受け取ったり、被告会社A2に求められる金額を一方的に伝えられたりしたにすぎないから、専ら受動的な立場であったと評価すべきである、②本件各工事は民間工事であり、C2が、特定の建設会社と共に施工に向けた準備検討を行っていたという事実が存在するこ10とを踏まえれば、そのような事態が想定されない公共工事の場合と異なり、本件犯行によって公正かつ自由な競争が大きく阻害されたという原判決の評価は不当である、③被告人A4が本件犯行を主導したとの原判決の認定は誤りである、④被告会社A2の動機に関する原判決の認定は誤っている、⑤被告会社A2の違反行為防止に向けた取り組みは相応に評価されるべきである、⑥C2の15自分本位の振る舞いが本件犯行の原因を作り出したことを斟酌すべきである、⑦被告会社A2が組織的な罪証隠滅工作を行っていたとはいえない、⑧被告会社A 組みは相応に評価されるべきである、⑥C2の15自分本位の振る舞いが本件犯行の原因を作り出したことを斟酌すべきである、⑦被告会社A2が組織的な罪証隠滅工作を行っていたとはいえない、⑧被告会社A2の量刑は、B1及びB2のそれと均衡を失している、⑨被告会社A2の量刑が、被告会社A1のそれと同じなのは不当である、という。 また、被告人A4の所論は、⑩本件価格連絡に当たり、被告人A4は、他社20の担当者から渡すと言われた資料をそのまま受け取ったり、被告会社A2に求められる金額を一方的に伝えられたりしたにすぎず、専ら受動的な立場で関与したにすぎないから、その関与の程度は、被告人A3やbらに比べて相当程度低い、⑪被告人A4は、受注事業者は事実上決まっており、本件指名競争見積手続自体が株主や外部向けの形式的な手続と認識していたから、同被告人が、25公正かつ自由な競争であるとの認識を持ち得なかったことには酌量の余地があ - 156 -るし、本件犯行によって公正かつ自由な競争が阻害されたという原判決の評価も同被告人に対しては酷にすぎる、⑫被告人A4が本件犯行を主導し、その実現に不可欠の役割を果たしたとの原判決の認定は誤りである、⑬被告人A4の動機に関する原判決の認定は誤っている、⑭原判決は、C2の責任を軽視している、⑮被告人A4の関与の度合いが被告人A3のそれより相当低いことは明5らかであり、被告人両名の量刑に差をつけなかったことは極めて不当である、⑯a及びcの処分に比して、被告人A4の量刑は著しく重い、という。 しかし、①及び⑩については、本件価格連絡において、被告会社A2の価格連絡担当者たる被告人A4が中心となって具体的な価格連絡を行った形跡がないことは所論指摘のとおりであるが、それは、本件受注予定事業者決定におい10て は、本件価格連絡において、被告会社A2の価格連絡担当者たる被告人A4が中心となって具体的な価格連絡を行った形跡がないことは所論指摘のとおりであるが、それは、本件受注予定事業者決定におい10て、同社がいずれの工事についても受注予定事業者となっていなかったためにすぎないものと解されるし、被告人A4は、bから品川駅南工区全工事に係るB1の参考見積価格を幅を持って伝えられた際、被告会社A2の参考見積価格はそれより高い金額だから大丈夫である旨答えたり(b①70~71頁)、品川駅北工区全工事及び品川駅南工区全工事の参考見積書提出後に行われたC215からのヒアリングの結果をeに伝えたりする(e①32~33頁)など、一定の範囲で自社の情報を他社に伝えたことも認められるのであって、所論がいうほど、受動的な立場に終始していたとはいえない。被告会社A2が本件各工事を受注して利益を得るなどしていないことは原判決も考慮しているところ、それ以上に、所論指摘の点を同社や被告人A4に有利に斟酌すべきとはいえな20い。 ②については、前記⑴①について述べたとおりの理由で、所論は採用できない。 ③及び⑫について、所論は、3社会合以前に、被告人A4が被告人A3との間でリニア中央新幹線関連工事を被告会社等4社が分担して受注・施工する枠25組みを作りたい旨の意思を通じたという証拠は存在しないというが、その点に - 157 -関する原判決の認定に誤りがないことは、前記⑴②について述べたとおりである。また、所論は、被告人A4が、被告人A3、a及びcとは異なり、執行役員ではなく、これらの者より下位であったから、本件犯行を主導することなど不可能であったというが、この点は、前記のような経緯に関する事実認定を左右するものではないし、被告人A4が、被告会社A2の 行役員ではなく、これらの者より下位であったから、本件犯行を主導することなど不可能であったというが、この点は、前記のような経緯に関する事実認定を左右するものではないし、被告人A4が、被告会社A2の従業者として唯一3社5会合に出席していたことなどに鑑みれば、同被告人が、被告会社A2を代表する者として、被告人A3やaらとの情報交換等を行っていたことは明らかであるから、役職の違いのみをもって、被告人A4が本件犯行を主導することが不可能であったなどとはいえない。 ④及び⑬については、3社会合での被告人A4の発言等に照らせば、被告会10社A2が本件犯行に及んだ主たる動機が、同社が目標としていた名古屋駅東工区の工事の受注を確実にするためであったことは十分推認できるから、原判決の前記認定に誤りはない。所論は、名古屋駅東工区は、公募競争入札に付すことが想定されていたから、被告会社等4社が協力してもその受注を確実にすることはできなかったというが、本件合意が行われた平成27年2月頃の時点に15おいて、同工区について、公募競争入札に付すことをC2が決定していたとは認められない(所論は、平成25年12月26日付けのC2の文書(原審弁156に添付されたもの)を根拠に、同工区は公募競争見積手続に付すことが想定されていたというが、同文書が、同工区がWTO政府調達協定の適用対象となることを前提にしていることは、その内容から明らかである。そして、その20後同社において作成された文書に、「(名古屋駅)東工区については、東山線の受け替えのみWTO外ということはあり得る。」との記載があること(原審弁114資料10)や、平成26年10月に、C2の発注する工事は、前記協定の適用対象外となったこと(原審甲19)を踏まえれば、所論の指摘する前記文書をもって、本件 り得る。」との記載があること(原審弁114資料10)や、平成26年10月に、C2の発注する工事は、前記協定の適用対象外となったこと(原審甲19)を踏まえれば、所論の指摘する前記文書をもって、本件合意の時点で、同工区について公募競争見積手続に付すこ25とが決定していたと認めることはできない。)し、被告人A4らがそのように - 158 -考えていたとも認められないから、所論は採用できない。また、所論は、真の動機は、施工計画の作成や積算に非常に苦慮し、一時は体調を崩すまで追い詰められていた担当者の苦境を救うためであったともいうが、かかる主張は、自身が本件合意に加わったことを否定した上、本件価格連絡への関与も、bらから提供された資料等を受け取った程度にすぎない旨の信用し難い被告人A4の5供述を前提とするものであり、採用し難いが、その点は措き、担当者が積算等に苦慮することを予想し、これを避けることを主たる動機として本件合意等を行った旨をいう主張と善解したとしても、本件価格連絡の態様等に照らし、それが主たる動機と認められないことは、原判決(38頁)が適切に認定するとおりであって、前記判断を左右しない。また、従たる動機として指摘のような10考えが仮にあったとしても、それによって当該積算等担当者の負担が減った形跡は特に見当たらないし、かえって、それらの者を犯罪やコンプライアンス違反の疑いが及びかねない立場に巻き込んでいることがうかがわれることに鑑みれば、特に斟酌すべき事情に当たるとはいえない。 ⑤について、所論は、被告会社A2が、名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談15合事件以降、コンプライアンス体制を大幅に強化しているというが、原審記録によって認められるのは、同社が、談合防止に向けた文書を発出したり、コンプライアンスに関するマ 発注の地下鉄工事を巡る談15合事件以降、コンプライアンス体制を大幅に強化しているというが、原審記録によって認められるのは、同社が、談合防止に向けた文書を発出したり、コンプライアンスに関するマニュアルを配布したり、顧問弁護士による講義を開催したりしたこと程度にとどまるし、現に本件犯行を行っている以上、同社の談合との決別に向けた取り組みが不十分であったことは明らかであるから、特に20有利な事情に当たるとはいえない。 ⑥、⑪及び⑭について、所論は、C2の言動により、被告会社等4社とも本件各工事の受注者が事実上決定しているものと認識する事態が生じていた旨の事実を前提として主張するが、かかる事実が認められないことは前記⑴④について述べたとおりであり、所論は前提を欠く。 25⑦については、関係証拠によれば、被告会社A2において、リニア中央新幹 - 159 -線関連工事の技術的検討を行うLプロジェクト室の室長であったqが、同室の職員に指示するなどして、本件に関係するメールを削除したり、文書を廃棄するなどしたことや、被告人A4が自身の手帳を改ざんしたことが認められるから、原判決の前記認定に誤りはない。所論は、qが本件犯行を知らなかったことや、同人が文書の廃棄等を指示したきっかけが、本件とは別の被疑事実(名5城非常口新設工事に係る偽計業務妨害)でB1に捜索が入ったというニュースを見たことであったことを指摘するが、それらを踏まえても、本件犯行に関係する文書の廃棄等がなされている以上、前記の評価は変わらない。 ⑧について、当審における事実取調べの結果によれば、本件と同じ犯罪事実により、B1は罰金2億円に、B2は罰金1億8000万円にそれぞれ処せら10れたことが認められるが、その量刑に当たっては、有利な事情として、B1が他社に 取調べの結果によれば、本件と同じ犯罪事実により、B1は罰金2億円に、B2は罰金1億8000万円にそれぞれ処せら10れたことが認められるが、その量刑に当たっては、有利な事情として、B1が他社に先駆けて捜査機関に協力したこと、B2は受注調整への関与の時期が他社に比べて遅く、3社会合において既に大枠が決められていた希望工区の受注をより確実なものとするために誘われたという側面があること、両社とも捜査等に協力し本件の解明に貢献していること、コンプライアンス体制の再構築等15の再発防止策を講じ、再発防止を誓っていること、各種機関から指名停止処分、課徴金納付命令等の社会的制裁を受け、あるいはその見込みがあること等が考慮されたことが認められる。そうすると、両社が本件各工事の一部を受注したことなどの事情を考慮しても、両社よりも被告会社両社の量刑が重いことをもって、直ちに不当とはいえない。 20⑨については、確かに、被告人A4に比較して、被告人A3の方が積極的に本件犯行に関与したことは認められるが、その主な理由は、本件合意の時点で、被告会社A2の希望する工区は出件が迫っていなかったことから、本件受注予定事業者決定の対象とされず、その後の価格連絡にも至らなかったためと考えられるし、本件価格連絡の際の被告人A4の態度が、所論がいうほど受動25的なものに終始したわけでないことは、既に述べたとおりである。他方で、被 - 160 -告人A4は、被告人A3とともに、B1及びB2関係者を順次巻き込んで本件犯行に至っているのであるから、被告会社両社の犯情に大きな差があるとまではいえない。加えて、被告会社A2が、平成19年にも本件と同様の独占禁止法違反で処罰されていること等の事情も考慮すれば、被告会社両社の量刑に差をつけなかったことが不当とはいえ に大きな差があるとまではいえない。加えて、被告会社A2が、平成19年にも本件と同様の独占禁止法違反で処罰されていること等の事情も考慮すれば、被告会社両社の量刑に差をつけなかったことが不当とはいえない。 5⑮については、被告人両名の犯情に大きな差があるとまでいえないことは、前記⑨について述べたとおりであるし、いずれも執行猶予が付されていることにも鑑みれば、被告人A4の量刑を、被告人A3のそれよりも軽くしなかったことが不当とはいえない。 ⑯については、前記⑴⑧について述べたのと同様の理由により、被告人A410の量刑が、起訴されなかったaらの処分と比較して重過ぎるなどとはいえない。 4 量刑不当の各論旨は理由がない。 第6 結論よって、刑訴法396条により本件各控訴を棄却することとし、主文のとお15り判決する。 令和5年3月2日東京高等裁判所第6刑事部 裁判長裁判官 石 井 俊 和20 裁判官 松 本 圭 史 裁判官 西 野 牧 子

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