- 1 -平成24年7月18日判決言渡平成23年(行ケ)第10380号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年7月4日判決 原告コーニンクレッカフィリップスエレクトロニクスエヌヴィ 訴訟代理人弁理士伊東忠彦伊東忠重大貫進介山口昭則鶴谷裕二 被告特許庁長官指定代理人山田洋一藏野雅昭関谷隆一 田部元史田村正明 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 - 2 - 事実及び理由 第1 原告の求めた判決特許庁が不服2010-6373号事件について平成23年7月11日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,特許出願拒絶審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯原告は,平成9年(1997年)3月12日の優先権(欧州)を主張して,平成10年2月27日,名称を「スクリーンを基礎とするホストと種々の分散し且つ自由に様式化された情報含む項目との間の会話のためのマルチメディア方法及び装置,及びそのような装置による使用のための情報を含む項目」とする発明について国際特許出願をし(PCT/IB98/00 し且つ自由に様式化された情報含む項目との間の会話のためのマルチメディア方法及び装置,及びそのような装置による使用のための情報を含む項目」とする発明について国際特許出願をし(PCT/IB98/00237。日本における出願番号は特願平10-529271号),平成10年11月9日日本国特許庁に翻訳文を提出し(国内公表公報は特表2000-510984号,甲6),平成20年5月26日付けで特許請求の範囲及び明細書の変更を内容とする補正(発明の名称「マルチメディア方法,マルチメディアシステム,及びアイテム」,甲9),平成21年7月6日付けで特許請求の範囲の変更を内容とする補正(甲12)をしたが,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした(不服2010-6373号)。 特許庁は,平成23年7月11日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし(出訴期間として90日附加),その謄本は平成23年7月26日原告に送達された。 2 本願発明の要旨【請求項3】(本願発明)「情報処理装置及び入出力装置を有するスクリーン・ベースのホストシステムを - 3 -具えるマルチメディアシステムにおいて分散使用できるように構成され,情報を記憶するとともに前記ホストシステムと情報を交換するように構成された情報アイテムにおいて,前記情報アイテムは,前記のホストシステムと近接条件下でアナログ又はデジタル情報をワイアレス接続を用いて交換するのを許容するように構成され,前記情報アイテムは,前記ホストシステムに対する自己識別によって,サービス分野に指向した特定の情報処理及び/又は娯楽を実行させる実際のアイテムを前記ホストシステムが認識するのを許容する自己識別手段と,サービス分野に対して情報処理動作をユーザが実行する際に,前記選択 ビス分野に指向した特定の情報処理及び/又は娯楽を実行させる実際のアイテムを前記ホストシステムが認識するのを許容する自己識別手段と,サービス分野に対して情報処理動作をユーザが実行する際に,前記選択サービス分野に関係する近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する受信手段とを具え,前記分散アイテムに対し物理的な形状要件を課さない,ことを特徴とする情報アイテム。」 3 審決の理由の要点(1) 引用例(特開平9-47575号公報,甲1)には,実質的に次の発明(引用発明)が記載されていることが認められる。 「ゲーム装置に用いられる玩具体であって,当該ゲーム装置は,ゲーム機本体と,当該ゲーム機本体に接続される当該玩具体と,当該玩具体と対応するキャラクターを表示するモニター装置と,当該モニター装置に表示されたキャラクターの動作を指示する操作装置とを有し,前記玩具体は,玩具体主要部と,当該玩具体主要部に着脱自在に装着される複数の玩具体部品とを有し,前記玩具体主要部は,自己のデータを記録する不揮発性メモリを有し,前記それぞれの玩具体部品は,自己を識別させるための識別部を有し,前記ゲーム機本体は,前記玩具体がゲーム機本体に接続されると前記玩具体主要部の不揮発性メモリからデータを読み取る読取手段と,前記それぞれの玩具体部品 - 4 -の識別部を解読して当該玩具体部品を個々に特定する特定手段を有し,前記ゲーム機本体は,前記読取手段によって読み取られたデータ及び特定手段で特定された内容及び前記操作装置の操作に従って前記モニター装置に表示されたキャラクターを制御する制御手段を有し,前記制御部はCPU(マイクロコン 手段によって読み取られたデータ及び特定手段で特定された内容及び前記操作装置の操作に従って前記モニター装置に表示されたキャラクターを制御する制御手段を有し,前記制御部はCPU(マイクロコンピュータ),RAM(ランダムアクセスメモリー)等を有し,勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され,当該玩具体の性能がレベルアップする,玩具体。」(2) 本願発明と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。 【一致点】「情報処理装置及び入出力装置を有するスクリーン・ベースのホストシステムを具えるマルチメディアシステムにおいて分散使用できるように構成され,情報を記憶するとともに前記ホストシステムと情報を交換するように構成された情報アイテムにおいて,前記情報アイテムは,前記のホストシステムとデジタル情報を接続を用いて交換するのを許容するように構成され,前記情報アイテムは,前記ホストシステムに対する自己識別によって,サービス分野に指向した特定の情報処理及び/又は娯楽を実行させる実際のアイテムを前記ホストシステムが認識するのを許容する自己識別手段と,サービス分野に対して情報処理動作をユーザが実行する際に,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する受信手段とを具え,前記分散アイテムに対し物理的な形状要件を課さない,情報アイテム。」【相違点1】情報アイテムとホストシステムとの情報交換につき,本願発明は,ホストシステムと「近接条件下で」アナログ又はデジタル情報を「ワイアレス」接続を用いて交 - 5 -換するとの特定を有するのに対し,引用発明は,そのような特定を有しない点。 【相違点2】受信手段につき,本願発明は,「前記選択 はデジタル情報を「ワイアレス」接続を用いて交 - 5 -換するとの特定を有するのに対し,引用発明は,そのような特定を有しない点。 【相違点2】受信手段につき,本願発明は,「前記選択サービス分野に関係する近接条件を分散アイテムが満たす限り」情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容するとの特定を有するのに対し,引用発明は,そのような特定を有しない点。 (3) 通信接続をワイヤレスとすることは周知技術であり,ワイヤレス接続は,通信可能な範囲を当然に有するものである。一方,引用発明における玩具体とゲーム機本体との「接続」は,有線接続であろうとワイヤレス接続であろうと,通信が可能であればよいことは明らかである。してみれば,引用発明における玩具体とゲーム機本体との「接続」を,周知技術の,通信接続をワイヤレスとする点に基づいて,ワイヤレス接続とし,当該ワイヤレス接続を使用して「(ゲーム機本体が)玩具体主要部の不揮発性メモリからデータを読み取る」,「(ゲーム機本体が)前記それぞれの玩具体部品の識別部を解読」,及び,「勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され」を行うことにより,本願発明の,ホストシステムと「近接条件下で」デジタル情報を「ワイアレス」接続を用いて交換する点,及び,「前記選択サービス分野に関係する近接条件を分散アイテムが満たす限り」情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する点とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。 本願発明の効果は,引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が十分に予測可能なものであって,格別顕著なものがあるとはいえない。 したがって,本願発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて の効果は,引用例に記載された発明及び周知技術から当業者が十分に予測可能なものであって,格別顕著なものがあるとはいえない。 したがって,本願発明は,引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第3 原告主張の審決取消事由(相違点1,2の判断の誤り) 1 審決は,相違点1,2について,「通信接続をワイヤレスとすることは周知技 - 6 -術である」と認定した上で,「引用発明における玩具体とゲーム機本体との『接続』は,有線接続であろうとワイヤレス接続であろうと,通信が可能であればよいことは明らかである。」(11頁)と認定した。 しかし,引用例の段落【0013】,【0015】,【0016】,【0017】,【0029】の記載からすれば,引用発明はワイヤレス接続ではなく,ケーブルによる接続を採用しているといえる。また,段落【0016】,【0017】の記載から,引用発明はワイヤレス接続ではなく,ケーブルによる電気的接続を採用しているものといえるところ,ワイヤレス接続では電気的に接続することができないのであるから,引用発明はワイヤレス接続を全く想定していないということができる。さらに,段落【0029】の記載から,引用発明はゲーム機本体からロボット主要部への電源供給を行っていることが明らかである。ワイヤレス接続ではロボット主要部に電源を供給することができないのであるから,引用発明においてワイヤレス接続を採用することは不可能である。 したがって,引用発明において,「玩具体とゲーム機本体との『接続』は,有線接続であろうとワイヤレス接続であろうと,通信が可能であればよい」との審決の認定は誤りである。そして,引用例の上記段落の記載は,引用発明に対してワイヤレス接続を適用することへの阻害事由で 』は,有線接続であろうとワイヤレス接続であろうと,通信が可能であればよい」との審決の認定は誤りである。そして,引用例の上記段落の記載は,引用発明に対してワイヤレス接続を適用することへの阻害事由である。 2 審決は,相違点1,2に関し,「ワイヤレス接続は,通信可能な範囲を当然に有するものである」(11頁)と認定した。 しかし,相違点2は,「受信手段につき,本願発明は,『前記選択サービス分野に関係する近接条件を分散アイテムが満たす限り』情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容するとの特定を有するのに対し,引用発明は,そのような特定を有しない点」であるところ,これは審決が引用したどの文献にも記載も示唆もされていない。引用発明では,ケーブルを長くすることによりデータの交換を停止するとの記述も示唆もないし,逆に近接している状態においてもロボット主要部への電源供給を遮断するのである。したがって,仮にワイヤレ - 7 -ス接続を引用発明に適用したとしても,「近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する」という本願発明の特徴は容易であることにはならない。 第4 被告の反論1(1) 引用例(甲1)には,玩具体とゲーム機本体との接続につき,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続にするべき積極的な理由は何ら示されておらず,単にケーブル接続を採用した具体例が記載されているのみである。まして,原告が主張するような,ワイヤレス接続ではなくケーブル接続とすべき旨の記載はない。また,引用例の段落【0003】,【0004】の記載からすれば,玩具体とゲーム機本体との接続が,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続であ 続ではなくケーブル接続とすべき旨の記載はない。また,引用例の段落【0003】,【0004】の記載からすれば,玩具体とゲーム機本体との接続が,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続であることは,引用例に記載された発明が解決しようとする課題とは無関係である。さらに,引用例を精査しても,玩具体とゲーム機本体との接続として,ケーブル以外による接続を採用できない事情は見出せない。 そうすると,引用例において,玩具体とゲーム機本体との「接続」が,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続であることは,一実施例にすぎないものと解される。現に,引用例の請求項1には「当該ゲーム機本体に接続される玩具体」との記載があり,前記「接続」は,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続に限定されていないところ,前記「接続」が,ケーブルによる接続,及び,ケーブルによる電気的接続以外の接続であろうと,前記「接続」にとって必須の機能である通信が可能であればよいことは当業者にとって明らかである。 したがって,審決が,引用発明において,「当該ゲーム機本体に接続される当該玩具体」のとおり,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続に限定されない「接続」を認定するとともに,「引用発明における玩具体とゲーム機本体との「接続」は,有線接続であろうとワイヤレス接続であろうと,通信が可能であればよいことは明らかである。」としたことに誤りはない。原告の「引用発明はワイヤレ - 8 -ス接続ではなく,ケーブルによる接続を採用しているものであるといえる。」との原告の主張は誤りであり,また,「ワイヤレス接続では電気的に接続することができないのであるから,引用発明はワイヤレス接続を全く想定していないということができる。」との主張は,その前提において誤 との原告の主張は誤りであり,また,「ワイヤレス接続では電気的に接続することができないのであるから,引用発明はワイヤレス接続を全く想定していないということができる。」との主張は,その前提において誤りである。 (2) 引用例には,ロボット主要部への電源供給につき,ゲーム機本体からケーブルにより行うべき積極的な理由は何ら示されていない。まして,原告が主張するような,ワイヤレス接続ではロボット主要部に電源を供給することができないのでワイヤレス接続を採用することが不可能である旨の記載はない。加えて,ロボット主要部への電源供給につき,ゲーム機本体からケーブルにより行うことは,引用例に記載された発明が解決しようとする課題(段落【0003】,【0004】)とは無関係である。引用例において,ロボット主要部への電源供給につき,ゲーム機本体からケーブルにより行うことは,一実施例にすぎないものと解される。 一方,ワイヤレス接続を行う場合に,電源供給を,ケーブルによらずに,電池等により行うことは,ごく普通のことである。(例えば,甲3(特開平7-306831号公報)の段落【0012】,甲4(特開平6-119093号公報)の段落【0017】)。 そうすると,ロボット主要部への電源供給を,ケーブルによらずに,ロボットに設けた電池等により行うことは,当業者が適宜なし得ることにすぎない。 したがって,原告の「ワイヤレス接続ではロボット主要部に電源を供給することができないのであるから,引用発明においてワイヤレス接続を採用することは不可能であるということができる。」との主張は誤りである。 (3) 上記のとおり,玩具体とゲーム機本体との接続を,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続にすることについて,引用例を精査しても,積極的な理由は何ら示されてお の主張は誤りである。 (3) 上記のとおり,玩具体とゲーム機本体との接続を,ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続にすることについて,引用例を精査しても,積極的な理由は何ら示されておらず,引用例に記載された発明が解決しようとする課題とは無関係であり,ワイヤレス接続を採用できない事情を見出せない。したがって,引用例の段落【0013】~【0017】に,玩具体とゲーム機本体との接続が, - 9 -ケーブルによる接続,又は,ケーブルによる電気的接続であるものが記載されているとしても,引用発明に対してワイヤレス接続を適用することへの阻害事由とはなりえない。 また,引用例の段落【0029】に,ゲーム機本体からロボット主要部へ電源供給を行うものが記載されているとしても,引用発明に対してワイヤレス接続を適用することへの阻害事由とはならない。 したがって,原告が主張する「引用発明に対してワイヤレス接続を適用することへの阻害事由」は存在しない。 2 本願発明において,「前記情報アイテムは,前記のホストシステムと近接条件下でアナログ又はデジタル情報をワイアレス接続を用いて交換するのを許容するように構成され」,「サービス分野に対して情報処理動作をユーザが実行する際に,前記選択サービス分野に関係する近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する受信手段とを具え」ることからみて,本願発明の「近接条件」として,「ワイアレス接続により通信可能な範囲内であること」が含まれることは当業者にとって自明である。 一方,ワイヤレス接続は,通信可能な範囲を当然に有するものである。(例えば,甲3の段落【0011】,甲4の段落【0018】,【0020】,甲5(特開平8-185260号公報) とって自明である。 一方,ワイヤレス接続は,通信可能な範囲を当然に有するものである。(例えば,甲3の段落【0011】,甲4の段落【0018】,【0020】,甲5(特開平8-185260号公報)の段落【0008】)。そして,引用発明における玩具体とゲーム機本体との「接続」を,周知技術である通信接続をワイヤレスとする点に基づいてワイヤレス接続とし,当該ワイヤレス接続を使用して「勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され」を構成すれば,当然に,その前提として,玩具体がゲーム機本体とワイヤレス接続により通信可能な範囲内に存在する場合にのみ「勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され」が構成されるところ,これは,本願発明の「近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する」ことに他ならない。 - 10 -よって,原告の「仮にワイヤレス接続を引用発明に適用したとしても,「近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する」という本願発明の特徴は容易であることにはならない。」との主張は根拠がない。 第5 当裁判所の判断 1 本願発明本願明細書(甲6,9)によれば,本願発明は,情報処理装置及び入出力装置が設けられたスクリーン・ベースのホストシステムに使用され,情報を記憶するとともにホストシステムと情報を交換するように構成された一つ以上の分散アイテムと対話するマルチメディア方法に関するものである。本願発明は,外部メモリ担体と対話してプログラムのようなデータを交換するために種々のコンピュータシステムが提案されてきた一方,無データ処理条件でかつコンピュータにあまり詳しくな 法に関するものである。本願発明は,外部メモリ担体と対話してプログラムのようなデータを交換するために種々のコンピュータシステムが提案されてきた一方,無データ処理条件でかつコンピュータにあまり詳しくない種々のオペレータにより動作するように構成されたマルチメディアシステムは,様式と機能性とにおいて非常に異なるインターフェースを有さなければならず,そのようなデータ担体の機能性と様式とが社会的環境を引きつけなければならないとの認識の下に,即時反応性と内容の物理的認識可能性とを有するデータアイテムに対するシステムを提供することを目的とし,分散アイテムがホストシステムと近接条件下でアナログ又はデジタル情報をワイアレス接続を用いて交換するのを許容するステップと,分散アイテムに対して,サービス分野に指向した関連の選択的な情報処理及び/又は娯楽をユーザに送信するために自己識別により関連の特定アイコンをホストシステムによって呼び出し,選択的サービス分野に対して情報処理動作をユーザが実行することをホストシステムによって許容するステップと,サービス分野に関する近接条件を分散アイテムが満たす限り,各分散アイテムにホストシステムが生成した結果に追随させるステップと,物理的な形状要件に対して分散アイテムの自由なスタイルを許容するステップとを含むことを特徴とするものである。本 - 11 -願発明において,スクリーン上の特定のアイコンの呼び出しは,許容できる対話性のための表彰であり,分散アイテムに適切な処理結果を記憶することは,関連しているとみなされる対話時点で後に再開することができるようにしながら,ユーザがセッションを中止することを可能にするものであり,分散アイテムの自由様式は,小さい子供たちなどに対して認識をより容易にするものである。 一実施例を挙げると,ス ことができるようにしながら,ユーザがセッションを中止することを可能にするものであり,分散アイテムの自由様式は,小さい子供たちなどに対して認識をより容易にするものである。 一実施例を挙げると,スクリーン・ベースのホストは,中央処理装置,メモリ装置,プリンター装置,表示スクリーン装置,及び入出力装置を有している。入出力装置と分散アイテムとの間はワイヤレス相互連絡されるが,表示スクリーン上には,分散アイテムと入出力装置との間の対話により当該アイテムの物理的形状に一致するアイコンなどが表示される。分散アイテムには,ワイヤレス接続へインターフェースするための通信部,処理部,永久メモリ部及び可変メモリ部が内部的に相互接続され,バッテリが積載される。ホスト装置が作動され,ホストが分散アイテムが適切な近接内にあるかどうかを検出すると,そのアイテムの同一性が認識され,関連するアイコンが表示される。また,そのアイテムが近接条件から除去されているかが検出され,そのアイテムが除去されてしまった場合には,そのサービス分野が閉じられ,そのアイテムの永久メモリの内容が後の使用のために凍結され,アイテムのアイコン化された表示が削除される。 2 引用発明引用例(甲1)によれば,引用発明は,3次元的な玩具体とゲーム機とを融合させて,玩具体と対応するキャラクターをモニター装置に表示するようにしたゲーム装置に関するものである。引用発明は,モニター装置へ対戦キャラクターの画像を表示させて対戦ゲーム等を行うようにしたいわゆるビデオゲーム装置が種々提案されているところ,従来のビデオゲーム装置は,対戦するロボットなどの画像がモニター装置に表示されるだけなので,そのロボットを実際に手に取ることができず,プレイヤーにとって親近感が生じなかったことに鑑み,モニター装置に表 来のビデオゲーム装置は,対戦するロボットなどの画像がモニター装置に表示されるだけなので,そのロボットを実際に手に取ることができず,プレイヤーにとって親近感が生じなかったことに鑑み,モニター装置に表示される - 12 -ロボットと対応する実際の玩具体を近くに置いてゲームを操作できるようにし,プレーヤーの感情移入をしやすくしてゲームの興趣性を高めるようにすることを目的としたものである。引用発明は,上記目的を達成するために,(イ)ゲーム機本体と,当該ゲーム機本体に接続される玩具体と,当該玩具体と対応するキャラクターを表示するモニター装置と,当該モニター装置に表示されたキャラクターの動作を指示する操作装置とを有すること,(ロ)前記玩具体は,玩具体主要部と,当該玩具体主要部に着脱自在に装着される複数の玩具体部品とを有すること,(ハ)前記玩具体主要部は,自己のデータを記録する不揮発性メモリを有すること,(ニ)前記それぞれの玩具体部品は,自己を識別させるための識別部を有すること,(ホ)前記ゲーム機本体は,前記玩具体主要部の不揮発性メモリからデータを読み取る読取手段と,前記それぞれの玩具体部品の識別部を解読して当該玩具体部品を個々に特定する特定手段を有すること,(ヘ)前記ゲーム機本体は,前記読取手段によって読み取られたデータ及び特定手段で特定された内容及び前記操作装置の操作に従って前記モニター装置に表示されたキャラクターを制御する制御手段を有すること,との構成を採用したものであって,勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され,当該玩具体の性能がレベルアップするものとしたものである。 一実施例を挙げると,ゲーム機本体は,CPU(マイクロコンピュータ),RAM(ランダムアクセスメモリー)等を備えて種々の制御処理を実行する制御部な 具体の性能がレベルアップするものとしたものである。 一実施例を挙げると,ゲーム機本体は,CPU(マイクロコンピュータ),RAM(ランダムアクセスメモリー)等を備えて種々の制御処理を実行する制御部などを有しており,複数のケーブルを介してモニター装置と接続され,ケーブルを介してロボット玩具のロボット主要部と接続されている。ロボット玩具は,胴体部と,胴体部に着脱自在に装着される手部及び足部とで構成される。胴体部はロボット玩具の特性,過去の対戦結果等の自己のデータを記録した不揮発性メモリを有し,この不揮発性メモリはケーブルを介してゲーム機本体の読取部と電気的に接続されている。ロボット部品である手部及び足部は自己を識別させるための識別部を有する。 ロボット玩具がゲーム機本体に接続されると,読取部が胴体部の不揮発性メモリから当該ロボット玩具の特性データや過去の対戦データ等を読み取るとともに,コネ - 13 -クタに設けられた識別部のスイッチのセット状態を解読して胴体部に装着された手部を個々に特定する。制御部はCDーROMから対戦ゲームに係るプログラム情報,ロボット玩具のキャラクタデータ,それぞれのロボット部品の特性データを読み取るとともに,これらのデータに基づいてロボット玩具に対応するキャラクターを作成し,モニター装置はロボット玩具に対応するキャラクターを表示する。勝者となったロボット玩具の胴体部に設けられた不揮発性メモリにはその対戦データが記録される。 3 情報アイテムとホストシステムとの情報交換のための接続(審決における相違点1の判断)について引用例では,ゲーム機本体(本願発明のホストシステムに相当)と玩具体(本願発明の情報アイテムに相当)との情報交換につき,ケーブルによる電気的接続を採用する旨の記載はあるものの,ワイヤレス接 いて引用例では,ゲーム機本体(本願発明のホストシステムに相当)と玩具体(本願発明の情報アイテムに相当)との情報交換につき,ケーブルによる電気的接続を採用する旨の記載はあるものの,ワイヤレス接続に関する記載はない。しかし,引用例に記載された発明が解決しようとする課題,課題を解決するための手段,及び特許請求の範囲からみて,ゲーム機本体が玩具体主要部の不揮発性メモリからデータを読み取る手段についての限定は認められず,引用例における電気的接続は一実施例にすぎないと認められる。そして,引用発明におけるゲーム機本体と玩具体との間の接続がケーブルによる電気的接続ではなくワイヤレス接続であっても,ゲーム機本体が玩具体(ロボット玩具)のデータ(特性データや過去の対戦データ,識別部のスイッチのセット状態など)を読み取り可能であれば,玩具体(ロボット玩具)を特定してロボット玩具に対応するキャラクターをモニター装置に表示することは可能であり,また,対戦データを玩具体の不揮発性メモリに記録することも可能であって,ゲーム機本体とモニター装置に表示されるロボットと対応する実際の玩具体の情報交換を可能にしてゲームの興趣性を高めようとした引用発明の目的を達成することができる。そうすると,ワイヤレスによる通信・情報交換が周知技術であることからすれば,引用発明におけるケーブルによる電気的接続をワイヤレス接続 - 14 -に置き換えることは,当業者にとって容易想到というべきである。 原告は,ワイヤレス接続ではロボット主要部に電源を供給することができないから,引用発明においてワイヤレス接続を採用することは不可能であり,阻害事由がある旨主張するが,ゲーム機本体からロボット主要部に電源を供給することは,引用例に記載された発明が達成しようとした目的と直接の関係はない においてワイヤレス接続を採用することは不可能であり,阻害事由がある旨主張するが,ゲーム機本体からロボット主要部に電源を供給することは,引用例に記載された発明が達成しようとした目的と直接の関係はない。そして,玩具体への電源供給を電池などにより行うことは周知技術にすぎないものであり,電源供給をゲーム機から行わなくとも玩具体を動作可能とすることは,当業者が適宜なし得ることにすぎない。よって,引用発明においてワイヤレス接続を適用することへの阻害事由があるとの原告の上記主張は採用することができない。 よって,審決の相違点1に判断に誤りはない。 4 情報アイテムとホストシステムとの近接条件(審決における相違点2の判断)について本願明細書(甲6,9)には,本願発明におけるホストシステムと分散アイテムとの「近接条件」に関して,「・・・ホスト装置が,分散アイテムが適切な近傍内にあるかどうかを検出する。これは約1メーターの距離とすることができ,あるいは同じ部屋内の存在であってもよい」(甲9の6頁10行~13行)と記載されていることなどからすれば,ユーザが,本願発明に係るシステムを実際に利用している現場において,ホストシステムと情報アイテムとの距離が近接していると物理的に認識可能な程度の範囲内であること(具体的には,ユーザのいる部屋内か,ユーザの目視可能な程度の範囲内)を意味するものと認められる。 また,引用発明は,前記のとおり,3次元的な玩具体とゲーム機とを融合させて,玩具体と対応するキャラクターをモニター装置に表示するようにしたゲーム装置に関するものであり,モニター装置に表示されるロボットと対応する実際の玩具体を「近くに置いて」ゲームを操作できるようにし,プレーヤーの感情移入をしやすくしてゲームの興趣性を高めることを目的とするもの 関するものであり,モニター装置に表示されるロボットと対応する実際の玩具体を「近くに置いて」ゲームを操作できるようにし,プレーヤーの感情移入をしやすくしてゲームの興趣性を高めることを目的とするものであるから,ゲーム機本体と玩 - 15 -具体とをケーブル接続により接続してゲームを操作するのは,プレーヤーが,モニター装置と玩具体との距離が近接していると認識可能な程度の範囲内にモニター装置と玩具体が存在する場合(具体的には,ユーザのいる部屋内か,ユーザが目視可能な程度の範囲内)であるものと認められる。 そうすると,本願発明における「近接条件」と,引用発明において,モニター装置と玩具体とを「近くに置いて」ゲームを操作することとは,実質的な距離範囲として異なるものではないと解せられる。 そして,ワイヤレス接続による通信において通信可能な範囲を超えると通信ができなくなることは技術的に自明であるところ,引用発明においてゲーム機本体と玩具体との「接続」に周知技術である「ワイヤレス接続」を採用した場合に,「ワイヤレス接続により通信可能な範囲」をモニター装置と玩具体とを「近くに置いて」ゲームを操作する範囲とすることは,当業者にとって自明のことである。その結果,引用発明においては,プレーヤがモニター装置と玩具体とを「近くに置いて」ゲームを操作する範囲にある場合にのみ,「勝者となった玩具体の不揮発性メモリにはその対戦データが記録され」ることなるところ,これは本願発明の「近接条件を分散アイテムが満たす限り,情報アイテムが,前記ホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する」ことに対応するものである。 よって,引用発明において,「近接条件を分散アイテムが満たす限り」において,情報アイテムがホストシステムが生成した結果に追随させることを許 に追随させることを許容する」ことに対応するものである。よって,引用発明において,「近接条件を分散アイテムが満たす限り」において,情報アイテムがホストシステムが生成した結果に追随させることを許容する構成を採用することは当業者にとって容易想到であるというべきである。審決の相違点2に関する判断に誤りはない。 第6 結論 以上によれば,原告主張の取消事由はすべて理由がない。よって原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官真辺朋子 裁判官田邉
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