昭和28(オ)515 保証金返還請求

裁判年月日・裁判所
昭和35年5月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人富沢効の上告理由第一点について。  論旨は、原判決が理由の前段におい

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判決文本文1,385 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人富沢効の上告理由第一点について。 論旨は、原判決が理由の前段において国が当事者となり売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合には「入札の公告及び契約の条件の呈示によつて契約の申込があり、入札によつて承諾の意思表示がなされ……ここに売買契約に必要な意思表示の合致があつたものと解して差し支えはない」と説示しながら、その後段においては「公告にはじまり入札落札を経て契約書作成に終る一連の手続によつて、はじめて国を当事者とする一個の法律行為たる売買契約は完結するものである」と判断したことは、前後矛盾し、判決に理由不備の違法があると主張する。 国が当事者となり、売買等の契約を競争入札の方法によつて締結する場合に落札者があつたときは、国および落札者は、互に相手方に対し契約を結ぶ義務を負うにいたるのであり、この段階では予約が成立したにとどまり本契約はいまだ成立せず、本契約は、契約書の作成によりはじめて成立すると解すべきである。したがつて、原判決が論旨指摘のように判示したことは、入札に関する法理の解釈を誤つたものというべきである。しかし本件においては、Dは落札後契約書作成前に詐術を用いたこと、原判決の確定したところであるから、右詐術は本契約成立前に用いられたこととなり、Dは本契約を取消すことができないのであるから、原判決が上告人の主張を排斥したことは結局正当に帰し、原判決の前記違法は判決の結果に影響を及ぼすものではない。されば論旨は、採用することができない。 同第二点について。 論旨は、原判決は、契約書作成以前においては無能力者の行為を取消しうるが、- 1 -その作成後は取消しえないと判示しているが、右判示は理由 ば論旨は、採用することができない。 同第二点について。 論旨は、原判決は、契約書作成以前においては無能力者の行為を取消しうるが、- 1 -その作成後は取消しえないと判示しているが、右判示は理由不備である。国の競争入札は落札決定で売買契約が成立し、その後に契約書を作成することは契約成立後の附随的のものであるから、原判示のように契約書作成までを全体的一環の法律行為とみるのは違法の解釈であると主張する。 民法二〇条は、契約の相手方が無能力者の詐術により無能力者を能力者と誤信したが故にこれと契約を締結したため、この信頼を保護しないと相手方に損害を生ずる状態を招く場合の規定である。したがつて、契約成立後に詐術が用いられたときは、右二〇条の適用はなく、無能力者が契約を取消しうべき原則に戻ることは当然である。また、予約に基づき本契約が成立したとき、予約は本契約に吸収され、独立の存在を失うと解すべきである。本件において契約書の作成は本契約の締結とみるべきであり、本契約成立前に詐術が用いられた以上、無能力者側において右契約を取消しえないこと、前論旨について説明したとおりであるから、所論は結局において採用することができない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官島保裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官高橋潔裁判官石坂修一- 2 - 裁判官 高橋潔 裁判官 石坂修一

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