令和7年10月28日宣告令和7年(わ)第154号、第186号公契約関係競売入札妨害被告事件 主文 被告人を懲役1年に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、大分市議会議員であったものであるが、第1 造園、緑化、土木工事の請負等を目的とする有限会社Aの代表取締役であるBと共謀の上、大分市が令和6年4月15日に執行した別表1(別表省略)「業務委託名」欄記載の3件の各業務委託の指名競争入札に先立ち、同人の依頼を受けた被告人が、同月10日頃、同市荷揚町2番31号大分市役所議会棟2階控室において、同市都市計画部公園緑地課政策監であったCに対し、前記3件の各業務委託名等が記載された紙片を交付するなどして前記3件の各業務委託の予定価格の教示を依頼し、その頃、同所において、同人から、前記入札における秘密事項である同表「予定価格(税込)」欄記載の各金額が追記された前記紙片を受領して前記3件の各業務委託の予定価格(税込)の教示を受け、次いで、被告人が、その頃、大分県内又はその周辺において、前記Bに対し、電話で、前記3件の各業務委託の予定価格(税込)を教示し、よって、同月15日、同市役所大会議室(8階)において執行された「松栄山公園管理業務委託」の指名競争入札において、同社をして、教示を受けた前記予定価格(税込)から税額を差し引いた399万円で入札させて同業務委託を落札させ、第2 庭園、公園その他公共施設及び道路等の樹木、雑草等の予防、駆除等を目的とする株式会社Dの代表取締役であった分離前の相被告人E、同社の取締役として同社の事務全般を統括していたF及び同社の取締役として同社の入札業務 等に従事していたGと共謀の上、同市が同年5月1 的とする株式会社Dの代表取締役であった分離前の相被告人E、同社の取締役として同社の事務全般を統括していたF及び同社の取締役として同社の入札業務 等に従事していたGと共謀の上、同市が同年5月13日に執行した別表2(別表省略)「業務委託名」欄記載の17件の各業務委託の指名競争入札に先立ち、前記Eの依頼を受けた被告人が、同年4月30日頃から同年5月1日頃までの間に、同市役所において、前記Cに対し、前記17件の各業務委託の予定価格の教示を依頼し、同人から、その頃、同所において、前記入札における秘密事項である前記17件の各業務委託の予定価格が同表「予定価格(税込)」欄記載の各金額である旨記載した紙片を受領して前記17件の各業務委託の予定価格の教示を受け、次いで、被告人が、同日午後2時40分頃、大分県内又はその周辺において、前記Fに対し、スマートフォンのインスタントメッセージサービス機能を利用して、同紙片を撮影した画像を送信して前記17件の各業務委託の予定価格を教示し、さらに、前記Gが、これを基準として別表3(別表省略)「業務委託名」欄記載の各業務委託(以下「本件別表3各業務委託」という。)の指名競争入札における同社の入札金額を同表「入札金額(税抜)」欄記載の各金額とすることを決定し、よって、同月13日、同市役所本庁舎地下1階B15会議室において執行された本件別表3各業務委託の指名競争入札において、同社をして、教示を受けた本件別表3各業務委託に係る前記各予定価格に近接した同表同欄記載の各金額でそれぞれ入札させて本件別表3各業務委託を落札させ、もってそれぞれ偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした。 (量刑の理由)被告人らは、判示第1の犯行において3件分、同第2の犯行において17件分の業務委託の もってそれぞれ偽計を用いて、公の入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした。 (量刑の理由)被告人らは、判示第1の犯行において3件分、同第2の犯行において17件分の業務委託の予定価格を大分市職員から聞き出すなどした上で、同第1の業務委託1件につき予定価格の100%、同第2の業務委託2件につき予定価格の99.6%あるいは99.1%という高い落札率で落札しており、公契約関係の入札の公正を害した程度は大きい。被告人は、市議会議員として高度の廉潔性が求められる立場 にあったのに、共犯者である本件各会社の代表者の依頼に応じることによって次期選挙でより多くの支援を集めたいとの思いから、その立場を利用して、大分市職員から前記各予定価格を聞き出し、これらを本件各会社側へ教示するなど、本件各犯行において重要な役割を果たしており、利己的な犯行動機に酌むべき点はない。 こうした事情、特に、被告人が本件各犯行において果たした役割の重要性に照らすと、その刑事責任は、前記各代表者と比較して軽くないといえるから、懲役刑の選択はやむを得ない。 以上を前提に、被告人には犯罪歴がなく、本件各犯行を認め、市議会議員を辞職し、反省の態度を明らかにしていること、妻が出廷して監督する旨証言していることを考慮し、刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑:懲役1年6月、弁護人の科刑意見:執行猶予)令和7年10月28日大分地方裁判所刑事部 裁判長裁判官辛島靖崇 裁判官北島聖也 裁判官小野あゆみ 小野あゆみ
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